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いろいろな単振動

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いろいろな単振動
第1章
様々な運動
いろいろな単振動
単振動の問題解決
①
中心を求める方法
単振動の中心は力のつり合いの位置であることを用いて計算する.初速 0 で始まる
単振動なら,中心を求めるだけで振幅も定まる.
②
角振動数,周期を求める方法
STEP1 振動中心からの変位を x とし,物体に力の図示をする.
・大きさのある物体は混乱を避けるため,必ず物体上に代表点をとり(どこでもよ
い),物体上に張り付いたその代表点が振動していることを考える.
STEP2 変位方向に加速度の正をとり,運動方程式を立てる.
・変位 x の 1 次関数でない場合は近似公式を利用する.(ニュートン近似: α  1
)β ≒1 +
のとき (1 + ααβ
など)
・振動中心での力のつり合いから運動方程式の右辺の定数項は必ず消える.
・ x の係数は例外なく必ず負となる(でないと単振動は起きない).
STEP3 単振動の方程式 a = −ω 2 x と係数比較し,角振動数を求める.
・周期は T =
2π
ω
で求められる.単振動の時間についての設問は,まず周期の何
倍かで計算出来ないかを疑う.
52
第 15 講
③
いろいろな単振動
最大の速さ,振幅を求める方法
高頻度で利用できる公式
v0 = Aω
(1)
( v0 は最大の速さ, A は振幅, ω は角振動数)
「静かに放した」で始まる単振動
中心を求めれば直ちに振幅 A がわかるので,②で角振動数 ω を求めれば v0 = Aω
から最大の速さ v0 がわかる.
(2)
「中心で初速を与えた」で始まる単振動
中心で与えた初速は,単振動の最大の速さ v0 に相当するので,②で角振動数 ω を
求めれば v0 = Aω から振幅 A がわかる.
(3)
上記に当てはまらないもの
原則,原理に立ち返り,力学的エネルギー保存則で考える.
④
一般解を求める方法
STEP1 ①~③で単振動の基礎的パラメータである,中心,角振動数,周期,最大
の速さ,振幅を求めておく.
STEP2 初期条件から,単振動はどのように始まり, x 軸上をどのように動くかを
イメージして,大まかな三角関数のグラフをかく.
STEP3 描いたグラフとパラメータから,関数を作る.
・ x (t ) は「静かに手を放した」なら cos 型,
「中心で初速を与えた」なら sin 型の
グラフ.振幅は A .
・ v(t ) は「静かに手を放した」なら sin 型,
「中心で初速を与えた」なら cos 型の
グラフ.振幅は Aω .
[参考] 重力,慣性力,動摩擦力などの一定力作用下でのばねによる単振動は,中心が
自然長から一定力方向にシフトするだけで,角振動数,周期は変わらない.
53
第1章
様々な運動
復元力
物体を定点に引き戻そうとする力を復元力という.復元力が働く場合,物体は振動
し,特にその復元力が定点からの変位に比例する場合,単振動となる.
単振動の復元力
:
f = −kx
〔発展〕単振動の一般解
x 軸上を原点中心,振幅 A ,角振動数 ω で単振
動する物体の,任意の時刻 t での位置 x ,速度 v ,
加速度 a は以下で表せる.
位置
:
=
x
速度
:
=
v
加速度
:
A sin (ωt + θ 0 )
x
A
O
−A
v
Aω cos (ωt + θ 0 )
a =
− Aω 2 sin (ωt + θ 0 )
ただし, θ 0 は初期位相といって,時刻の始まり
O
− Aω
a
t = 0 をいつにとるかによって定まる定数である.
この 3 つの一般解 x , v , a の関係は,微分法を用
いれば v =
dx
dv
,a =
と計算することで順に求
dt
dt
t
Aω
t
Aω 2
O
− Aω
t
2
T =
2π
ω
められる.また, v の一般解から,速度の最大が Aω で計算できることがわかる.こ
れは大変便利なので覚えておこう.
[注意] これらの式を暗記しておく必要はない.せいぜい単振動は三角関数で表せるこ
とだけ覚えておけば良い.
54
第 15 講
いろいろな単振動
〔復習〕密度と浮力
物体の密度を ρ ,体積を V とすると,質量 m は m = ρV で表される.
質量と密度の関係
:
m = ρV
重力加速度を g ,沈んだ部分の体積を V ,液体の密度を ρ 0 とすると,受ける浮力 f
は f = ρ 0V g で表される.
浮力公式
:
f = ρ 0V g
これは「液体に沈んだ物体は,物体が排他した液体の受ける重力と同等の浮力を受け
る」というアルキメデスの原理に基づく.
55
第1章
様々な運動
図のように密度 ρ の液体中に,密度が
2
ρ で均一な長さ l ,断面
3
積 S の円筒物体を鉛直に立てた状態で静かに沈めていく.物体が完
全に液体に沈んだとき,すなわち物体の上面が液面に一致したとこ
ろで静かに放したところ,物体は鉛直を保ちながら単振動した.重
力加速度を g とし,液体の流体抵抗は無視できるものとする.
(1)
物体の単振動の振幅 A を求めよ.
(2)
物体の単振動の周期 T を求めよ.
(3)
物体の単振動における最大の速さ V を求めよ.
56
第 15 講
いろいろな単振動
鉛直上向きに上昇するエレベータの床に,質量の無視できるばね定数
k のばねの一端を固定し,もう一端には質量 m の小物体を固定した.
ばねは鉛直方向のみに伸び縮みする.エレベータに固定された座標系を
考え,この座標系における小物体の鉛直方向の座標を x とする.ばねの
自然長のときの小物体の位置を x = 0 とし,ばねが伸びる向きを x 軸の
正の向きとする.空気の抵抗は無視できるものとし,ばねが縮みきった
り伸びきったりすることは無い.重力加速度の大きさを g とする.
最初にエレベータ,小物体ともに静止していた.このときの小物体の x 座標を x 0 とする.
時刻 t = 0 にエレベータが一定の加速度の大きさ a,初速 0 で鉛直方向に上昇を始めた.す
ると,ばねと小物体のつりあいの位置がずれるため,小物体はこのずれたつりあいの位置
を中心とした単振動を始めた.この単振動の中心の x 座標を x1 とする.
(1)
x 0 , x1 を求めよ.
(2)
この単振動の振幅 A,周期 T を求めよ.
(3)
小物体のエレベータに対する速さの最大値 v0 を求めよ.
(4)
小物体の位置 x を時刻 t の関数として表せ.
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