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講師作成PP(必要な方は各自プリントアウトしてご持参下さい
グローバルビジネスパーソンのための株式市場塾
マーケット・インテリジェンスという考え方
-第1回「 マーケットのメカニズムを知る」-
2014年7月3日
インサイトフィナンシャル株式会社
代表取締役 手島直樹
1
自己紹介
手島直樹(てじまなおき)
インサイトフィナンシャル株式会社代表取締役
株式会社マネジメントソリューションズ及び株式会社トライアンフコーポレーション監査役
資格:
CFA協会認定証券アナリスト(CFA)
公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員
TOEIC:985
学歴:
慶應義塾大学商学部卒業、ピッツバーグ大学経営大学院MBA取得(管理会計専攻)
職歴:
1996年-2001年:アクセンチュア株式会社
官公庁グループにてシステム構築、製造業グループにてCRM等のシステム設計や戦略コンサルに従事。
2001年-2008年:日産自動車株式会社
財務部及びIR部にて企業価値分析を中心としてコーポレートアナリスト(企業内財務アナリスト)業務に携わる。財
務部にてCFO(ティエリー・ムロンゲ氏)のアドバイザーとして財務戦略策定に従事し、IR部ではCEO(カルロス・
ゴーン氏)のアドバイザーとして、企業価値分析、財務戦略策定に留まらず、CEOの投資家コミュニケーション戦略
の策定も行い、スピーチライターも務めた。
2009年-:インサイトフィナンシャル株式会社
日産自動車にて携わったマーケット・インテリジェンス業務をより多くの企業に広めるためにインサイトフィナンシャ
ル株式会社を設立。主に経営企画、財務、IR部門に対するアウトソーシングサービスやトレーニングを行っている。
著書:
『まだ「ファイナンス理論」を使いますか?-MBA依存症が企業価値を壊す』(日本経済新聞出版社)、『グロービッ
シュ実践勉強法』(日本実業出版社)がある。
2
私のファイナンスに対する姿勢
・金融機関出身でないため、ファイナンスに対する姿勢は冷静(バフェットと同じくコンサバティブを好む)
・事業会社の視点でファイナンスを考える
・管理会計専攻であり、情報を活かして経営に役立てることが重要と考える(後述のマーケット・インテリジェンス)
・ファイナンス自体は価値を生まないが、価値を生むためにいかにファイナンスを利用するのかがテーマ
・ファイナンスによって企業価値を破壊することはあってはならないと考える
・株価があること自体が上場企業の資産。株価を経営に活かさない手はない。
・投資に関してかなりの知識を持つが、投資は一切しない(日産とアクセンチュアの株主ではある)
・二枚舌経営が正解(株価や企業価値はIRと経営者だけが考えていればよい)
・IR責任者は内部昇進者が基本
・CFOは内部昇進者が基本
・IR責任者として結果を出した人材がCFOに昇進すべき(万年IR責任者は人材育成の障害)
3
私の地図
「経営」と「ファイナンス」が逆になり、「ファイナンス」が目的化すると企業価値は破壊される恐れが
あります。
経営
ファイナンス
4
弊社のミッション
ファイナンス理論と経営を繋ぐ
5
弊社の提供サービス
市場分析アウトソーシング
株価分析や競合他社(海外企業を含む)の財務分析などを代行するサービスです。経営企画部、
IR部、財務経理部門に十分なリソースをお持ちでないクライアントにご利用いただいております。
ファイナンス企業研修
クライアントをケーススタディとして利用しながら、ファイナンス理論や株価分析などを学びます。既
存のファイナンス関連業務をファイナンス理論の視点から変革することを目的としており、これまで
経営企画、財務、経理、IRに対する企業研修の実績があります。
監査役業務
現在、IPOを目指すベンチャー企業の監査役を務めています。
講演活動
M&A、IPO、企業再生などコーポレートファイナンス全般に関する講演を行っています。
6
本日のテーマ
株式市場に関する私の見解
株式市場の理論
株式市場の特性
株式市場に関する誤解
7
株式市場に関する私の見解
私の見解
株式市場は効率的であり、株価は大体正しい(毎日100%正しいとは言えないが、わざわざ異を唱えるほどの誤りで
もない)ため、株価から学べることは多い。
理論
・効率的市場仮説:情報が新たに公表されれば、素早く株価に織り込まれる
・行動ファイナンス:人間は合理的とは限らず、欲や不安により誤った判断をするため、ミスプライシングが生じえる
現実
・ 株価が割安だと公言する経営者が数知れない(無知を晒しているだけ)
・インデックスを持続的に上回るアクティブマネージャーはいない(インデックス投資の優位性)
・短期投資家が増えたため、マーケットも短期的になり、株価は短期的業績で決まると考える経営者が多い
・その結果、信じがたいことだが、日本でも短期的な経営を行う経営者が増えている
・決算数値に対する意識が過度に高くなっている印象がある
・規模の拡大を目的としたM&Aが多くなっているが、株価が下がることも多い
あるべきアプローチ
・株価は正しいという前提に立ち、変動があった場合にその原因を社内で検討する(誰も正解はわからない)
・株価は将来の期待キャッシュフローの現在価値であるため、長期的な視野で経営を行う
・短期的には株価は会社の実力よりも、期待と実績の差で変動するため、過度に気にする必要はない
・1年から3年間の株価パフォーマンスは、その4割がマクロ経済(最近ではGPIFなど)や業界動向に左右されると言
われており、過度に気にする必要はない
・長期的にはキャッシュフローの改善と株価パフォーマンスは比例するので、経営者は株価よりも、業績の改善に
注力すべきである
・内部者であっても株価の計算は困難であるため、想定株価が市場価格のプラスマイナス15%程度のレンジにあれ
ば(大体このレンジに収まっているケースがほとんど)、割安だの割高だの騒ぐ必要はない
8
本日のテーマ
株式市場に関する私の見解
株式市場の理論
株式市場の特性
株式市場に関する誤解
9
効率的市場仮説の3つのフォーム
■ウィーク・フォーム
過去の株価データや売買高データは株価に織り込まれている
↓
テクニカル分析(チャートを見ながら株価を予測する手法)はムダ
■セミ・ストロング・フォーム
決算情報などの公開情報は株価に織り込まれている
↓
ファンダメンタル分析はムダ(バフェットのような一部の天才は例外)
■ストロング・フォーム
インサイダー情報も含めて株価に織り込まれている、
↓
インサイダー取引でも利益は得られない(さすがにこの水準まで市場は効率的ではない)
人間は合理的であり、コンピューターのように情報処理が可能という前提に立ちます
(行動ファイナンスとの違い)。
10
効率的市場仮説の6つの教訓
1.マーケットには記憶力はない
・株価はランダム・ウォーク
・過去データは将来予想に意味はない
2.株価を疑うな
・安ければ買われ、高ければ売られるため、結果として株価は正しくなる。
・投資家が長期間に渡り、超過リターンを得ることができないのはその証拠
3.株価に学べ
株価の反応は、投資家の意見の貴重なサマリーである(次回のマーケット・インテリジェンス関連)
4.イリュージョンは存在しない
・会計変更による利益増加はイリュージョン(日本会計基準からIFRSに移行など)
・株式配当や分割はキャッシュとは無関係であり、株価にはニュートラル
5.投資家ができることを会社がやっても意味が無い
・リスク分散のためのコングロマリット化
・リスク管理
・レバレッジ
6.すべての株式は同一
・需要への価格弾力性は高く、高リターンが期待できれば上がり、そうでなければ下がる
出所:Principles of Corporate Finance
11
市場アノーマリティ
■ファンダメンタルアノーマリティ
・投資家は市場価値、成長性の分類などの企業のファンダメンタルな特徴に基づき超過リターンを生
むことが可能
・実際、中小株が大型株をアウトパフォーム、バリュー株がグロース株をアウトパフォームする傾向が
ある
・実証研究は困難
■テクニカル・アノーマリティ
・投資家はトレーディングルール(移動平均、レジスタンスレベル、サポートレベル)に基づき超過リ
ターンを生むことが可能
・実証研究は異なる税率やトランザクションコストを考慮しないとの批判
■カレンダー・アノーマリティ
・投資家は時間(1月効果、月末効果)に基づき超過リターンを生むことが可能
・流動性の必要性が説明要因となっている
12
行動ファイナンス:認知エラー(Cognitive Errors)
A.Belief perseverance(考えを変えないこと)の一例
■Conservatism bias
・個人は、新たな情報よりも、元の予測をする際に利用した情報に無意識により重きを置く
・無意識に新たな情報に価値を置かないため、最初の予想を振り切ることは難しい
■Confirmation bias
・個人は、自分の感覚や考えに合致する情報にしか注意を払わない
・自分の意見を肯定する証拠を探し、自分の考えや感覚と異なる証拠を無視する
■Representativeness bias
・経験則を使って、情報を主観的なカテゴリーに分類する
・ Representativenessは、「if-then(こうだったら、こうする)」や型どおりな経験則と言える
■Control bias
・ illusion of controlとも言われる
・結果をコントロールできると感じる
■Hindsight bias
・予測を結果に合致させようとする
・結果に合致した予想しか思い出さない
13
行動ファイナンス:情報処理エラー(Information Processing Error)
B.Information processing error(情報処理エラー)の一例
■Anchoring and adjustment
・予想価格や他の予想等の数値に引きずられる
・投資家が新規の情報と過去の情報を関連付ける際の問題点
■Mental accounting
・目標と目標を達成するための資産を別のメンタルアカウントに分ける(学費は安全資産に投資等)
・各資産のリスクやそれらの相関を考えない
■Framing
・情報の受け方によって情報の見方が変わる
・たとえば、質問方法によって答え方が変わる
■Availability
・将来の確率を過去のイベントをどれだけ簡単に思い出せるかによって測定する
・簡単に思い出せるイベントは、新たな情報に迅速に関係づけられる
14
行動ファイナンス:感情バイアス(Emotional Biases)
■Loss aversion
・リターン対リスクではなく、潜在的な利益と損失に焦点を当てる
・リスクのある投資を考える際、リスク回避よりも損失回避しようとする
■Overconfidence
・illusion of knowledgeとも言う
・自分の情報解釈が優れていると感じている
■Self-attribution
・Overconfidenceに影響する
・Self-enhansing bias:成功は自分のおかげと考える
・Self-protecting bias:失敗は他人のせいと考える
■Status quo bias
・現在のアロケーションを変更しない
・価値を高める戦略の機会を失う
・アセットアロケーションがリスクの高い、高成長資産に偏る
■Regret bias
・Error of commision:行動を取ったことに対する後悔
・Error of omission:行動を取らなかったことに対する後悔
15
効率的市場仮説と行動ファイナンスの相違
行動ファイナンス
効率的市場仮説
株
価
情報を正確に株価に織り込む
株
価
情報を過大に株価に織り込む
調整して正確に織り込む
情報開示
情報開示
時間
時間
情報を正確に織り込む(効率的市場仮説)のであれば、株価は常に正しく、過大反応や過小
反応を繰り返しながら正確に織り込む(行動ファイナンス)のであれば、長期的には株価は正
しい、ということになります。
16
本日のテーマ
株式市場に関する私の見解
株式市場の理論
株式市場の特性
株式市場に関する誤解
17
株式市場は情報を素早く株価に織り込む
18
アマダ:株主還元政策の変更発表
アマダ、稼いだ利益すべて株主に 配当と自社株買い
金属加工機械大手のアマダは15日、稼いだ利益をすべて株主に配分すると発表した。半分を配当
に、残る半分を自社株買いに回す。収益が順調に拡大し、財務の健全性を示す自己資本が十分に
積み上がったと判断。これ以上の積み上がりを抑えることで、資本効率の向上につなげる狙いだ。
株主配分の強化を打ち出す企業は多いが、すべて配分するのは珍しい。2016年3月期までの施策
とするが、その後も効率の改善に取り組む。
この方針に基づき、15年3月期の年間配当を26円と前期実績から6円増やす。市場に流通する自社
株式の買い入れも、15年3月期は予想純利益の半分強にあたる100億円、16年3月期も100億円超
を実施する。同社では自己資本が膨らんだ結果、純利益を自己資本で割った自己資本利益率(RO
E)が前期は3%にとどまった。自己資本を増やさずに利益を増やし、ROEを高める。
日本経済新聞2014年5月16日
19
アマダの株価推移
発表当日と翌日で株価は23.2%上昇(TOPIXは2.0%下落)、その後は大きく変動することはありま
せんでした。これは2日間で株主還元政策の変更の情報が株価に織り込まれたことを意味します。
株主還元政策発表
出所:インサイトフィナンシャル上場企業データベース
20
サンリオ:経営戦略の転換?
サンリオ株が一時ストップ安 物販強化、戦略転換の見方
22日の東京株式市場でサンリオ株が急落し、一時、制限値幅の下限(ストップ安水準)となる2410
円をつけた。21日に開いたアナリスト向けの決算説明会で、人気キャラクター「ハローキティ」を使っ
た物販事業に力を入れると表明。利益率が高いライセンス事業が収益をけん引してきたが、戦略を
転換すると受け止められた。
この日は朝方から売り注文が殺到した。売買代金は604億円と前日の34倍に膨らみ、東証1部で2
番目の大きさ。終値は16%安の2598円で、下落率は東証1部で首位だった。
(以下略)
日本経済新聞2014年5月23日
21
サンリオの株価推移
決算説明会翌日に株価が暴落したため、会社側が投資家の誤解を無くすために追加の説明をし
ましたが、以前の水準には程遠い状態です(会社側が言う「誤解」ではなかったということ)。
決算説明会
出所:インサイトフィナンシャル上場企業データベース
22
株式市場は長期的である
23
短期的だと誤解される要因:株式保有期間の短期化
株式の保有期間は大幅に短期化しています。
(月)
出所:Capitalism For The Long Term (Harvard Business Review March 2011)
24
短期的だと誤解される要因:短期投資家の存在
米国の1983年から2002年のデータでは、短期投資家の比率は3割でした。
出所:Identifying and Attracting the right investors (Journal of Applied Corporate Finance 2004 Fall)
25
短期的だと誤解される要因:投資家のタイプ毎の回転率
短期投資家のポートフォリオの回転率は、他の投資家と比較してかなり高くなっています。
短期投資家が多い企業は、経営が短期的になる傾向があるとの調査結果があります。
株主の質は非常に大事なのです。
出所:Identifying and Attracting the right investors (Journal of Applied Corporate Finance 2004 Fall)
26
短期的だと誤解される要因:ヘッジファンドの規模の拡大
ヘッジファンド 膨張 世界で280兆円、過去最大 3月末、運用難で資金流入やまず
(略)
2.7兆ドルは世界の株式市場全体の5%近くに相当。その資金を支える多くは年金などの機関投
資家だ。金融危機以降、運用難の資金が流れ込む構図が続いている。
(略)
日本経済新聞2014年5月3日
27
短期的だと誤解される要因:超高速取引の増加
投資期間が数秒とも言われる超高速取引(HFT)が売買高に占める割合が上昇しているため、株
式市場が短期的になっていると考えるのも無理はありません。
超高速取引、東京市場でも存在感
超高速取引(HFT)は東京市場でも存在感を高めている。東京証券取引所の売買代金に占める割
合は今年1~3月の1日平均で4割超に達した。東証が売買システムを刷新した2010年当初に比べ
2倍の規模だ。
(以下略)
日本経済新聞2014年4月6日
28
理論:株価は期待キャッシュフローの現在価値である
株式市場が短期的だとすると、企業の長期的なパフォーマンスは株価に織り込まれないということ
になります。
成長率が一定
成長率が一定でない
・・・・・・・・・・
1年後 2年後 3年後
4年後
予測期間は、各年のFCFを算出
5年後
6年後
7年後
8年後
9年後
継続価値の公式を利用し、予測期間以降
のFCFの現在価値をまとめて算出
29
事実:企業価値の構成比率
将来のフリーキャッシュフローが企業価値に占める割合は高くなっており、株式市場が長期的なパ
フォーマンスを考慮して株価を決定していることが分かります。
製薬
ネットワーキング
メディア
今後4年
ソフトウェア
永続価値
継続価値
コングロマリット
小売
電力・ガス
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
出所:What is the market telling you about your strategy?
30
株価の地盤沈下のメカニズム
株式市場は公開された情報を基に企業の短期の業績だけなく、長期の業績の見通しも変化させる
ため、株価が大きく変動することになるのです。
・・・・・・・・・・
1年後
2年後
3年後
4年後
5年後
6年後
7年後
8年後
・・・・・・・・・・
1年後
2年後
3年後
4年後
5年後
6年後
7年後
8年後
31
三陽商会:バーバリー契約打ち切り
三陽商会「バーバリー」失う 来年6月、契約打ち切り 売上高2割減へ
三陽商会は19日、英バーバリー社と結んでいた高級ブランド「バーバリー」のライセンス契約を
2015年6月で終了すると発表した。同ブランドは三陽商会の売上高の2割強を占めるとみられる主
力商品群。今後は「ポール・スチュアート」などバーバリー以外のブランド拡大や、新たな商品の育
成など事業戦略の見直しが急務となる。(以下略)
日本経済新聞2014年5月20日
32
三陽商会の株価推移
売上の2割強を占めるブランドを失うことは、短期の業績だけなく、長期の業績も大きく悪化させる
ため、キャッシュフローの現在価値が大幅に下落し、株価の暴落につながりました。
打ち切り発表
出所:インサイトフィナンシャル上場企業データベース
33
エーザイ:業績悪化を予想しているが
円安頼みの相場に幕 投資家、企業の成長戦略探る
(略)
株式市場では今、企業収益が伸びる芽を探す動きが出てきた。28日に年初来高値を更新したエー
ザイは、13日に2015年3月期の連結純利益が前期比9%減る見通しを発表した。新薬の開発や新
興国での市場開拓に積極投資することに伴う一時的な減益である点を、内藤晴夫社長が投資家に
強く訴えてきたことが株価上昇の一因だ。 (以下略)
日本経済新聞2014年5月29日
34
エーザイの株価推移
今期減益予想のニュースでも株価が上昇したということは、株式市場はその先を見て株価を決定
しているといえます。
決算発表
出所:インサイトフィナンシャル上場企業データベース
35
増資への株式市場の反応:必ずしも下落ではない
「前向き」増資、市場が評価 三井不株、発表前を上回る 資金の使い道で明暗
大型のエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)で調達した資金を、利益成長につなげ
ると見込まれる企業の株価が堅調だ。5月27日に増資を発表した三井不動産の株価は、発表前を
上回る。大型の資金調達が相次ぐなか、その使い道が前向きかどうかなどで投資家は選別してい
る。資金調達企業の個別の株価は明暗が分かれている。(以下略)
日本経済新聞2014年6月7日
日本経済新聞2014年6月7日
36
株価は大体正しい
37
ANAホールディングス
伊東信一郎社長の自社の株価に関するコメント。
「とにかく大いに不満だ」
(日本経済新聞2012年6月7日朝刊)
38
カプコン
カプコン小田CFOの自社の株価に関するコメント。
「当社の時価総額は約1200億円だが、キャラクターの版
権などを勘案すれば企業価値はおそらく倍はある」
(日本経済新聞2014年6月19日朝刊)
39
ANAホールディングス:株価パフォーマンス(5年)
TOPIXを大幅にアンダーパフォームしています。伊東社長と株式市場のどちらが正しいのでしょう
か?
40
ANAホールディングス:キャッシュフローと資産効率性
V字回復を見せており、それに合わせて株価のパフォーマンスが改善してもおかしくないと思われ
ます。
(百万円)
出所:インサイトフィナンシャル上場企業データベース
41
ANAホールディングス:増資のインパクト
増資によって一株当たりの業績が悪化しているので、株価パフォーマンスが良くないのは極めて当
たり前のことです。「増資グセ」への不信感が株価にマイナスの影響を与えている部分もあります。
増資
(億株)
(円)
出所:インサイトフィナンシャル上場企業データベース
42
カプコン:株価パフォーマンス(5年)
TOPIXを大幅にアンダーパフォームしています。小田CFOと株式市場のどちらが正しいのでしょう
か?
43
カプコン:営業利益と営業利益率
バリュードライバーである営業利益も営業利益率も下降傾向にあるため、株価パフォーマンスが悪
化するのは当然のことです。
(百万円)
出所:インサイトフィナンシャル上場企業データベース
FY06~08の期間は利益が大幅に伸びたため、株価パフォーマンスはTOPIXを大幅に
アウトパフォームしていました(前ページのチャートの範囲外)。
44
カプコン:資産効率性
資産効率性も下降傾向にあるため、株価パフォーマンスが悪化するのは当然です。
出所:インサイトフィナンシャル上場企業データベース
45
株式市場は大体正しいと考える根拠
・企業の情報開示は進化しており、アクティブマネージャーも情報優位性だけで超過リ
ターンを得ることは難しくなっている(ファンダメンタル分析能力で勝負する時代)
・無数の投資家がパフォーマンスを競い合う環境下で、ミスプライシングが放っておかれ
る可能性はきわめて小さい
本当に割安だと思うのであれば、「口先介入」ではなく、株主還元政策や資本構成を変更
することにより、自らリスクを取って市場にシグナルを送るべき。競合他社よりもPERが低
いという理由だけで割安と考えるのはあまりにも短絡的。
46
あるべき経営者の姿勢:松井道夫松井証券社長
・流動性が確保されたマーケットで、さまざまな思惑を持つ投資家が多く参加するマーケットで決定さ
れる株価には、それなりに客観性があり、公正だからである。
・もとより、会社の株価について、いかなるコメントもできない、あるいはすべきでない唯一の人間・・・・
それがその会社の経営者だ。なぜなら、その会社の株価はとりもなおさず、その経営者につけられた
成績表だからである。その成績が良いか悪いかを評価する権利は当の経営者にはない。経営者とし
て唯一言えることは、試験と同じで、どういう成績であろうとも、成績が示されたあとで「今後は一点で
も高い点を取るように頑張ります。」ということだけである。
・自らの成績(株価)を真摯に受け止めるしかない。株価が高すぎるとも安すぎるとも、あるいは正しく
評価されていないとも、全く言うつもりはない。正しい評価か否かは第三者ならコメントできるが、経営
者の場合はそれができない。株価はすべてを踏まえたうえで決まる。株価は市場の厳粛な評価であ
る。
47
株式市場は競争優位性を株価に織り込む
株式市場は以下のような競争優位性を合理的に株価に織り込んでいます。つまり、持続的に企業
価値を創造できる企業は、こうした競争優位性を持っているのです。
48
企業価値創造のドライバー
結局、持続的にバリュードライバーを改善できれば株価は上がるのです。
事業バリュー
ドライバー
他のバリュー
決定要因
売上成長率
現金ベース
の税率
営業利益率
追加投資率
資本コスト
予測期間
フリーキャッシュフロー
株主価値
営業利益
-現金ベースの税金
NOPAT
-投資額
FCF
事業価値
+非事業資産
-負債
株主価値
出所:Expectations Investing
49
ニトリHD:株価パフォーマンス(10年)
ニトリHDの似鳥社長は、東洋経済の社長力ランキングで二位(一位は孫さん、三位は永守さん)と
なりました。もちろん株価パフォーマンスはTOPIXを大幅にアウトパフォームしています。
50
ニトリHD:売上高と営業利益率
営業利益率を高水準で維持しながら、高い成長率で売上高を高めています。
(百万円)
出所:インサイトフィナンシャル上場企業データベース
51
ニトリHD:資産効率性
過去10年間で総資産は3倍となりましたが、営業利益は4.3倍となっており、資産効率性が改善して
いるのがわかります。
(倍)
出所:インサイトフィナンシャル上場企業データベース
持続的に企業価値を創造する企業(ソフトバンク、ファストリテーリングなど)の財務諸表
は、ニトリHDと同じようなトレンドを示します。
52
株価は短期的にはサプライズで決まる
53
短期的な株価変動要因
1年から3年といった短期間では、会社固有の要因よりも、外部要因が株価を変動させます。
長期的には株価パフォーマンスは会社固有要因で説明でき、会社の実態に合致したも
のになりますが、短期的にはなかなかそうはいきません(行動ファイナンスの余地あり)。
出所:Journal of Applied Corporate Finance Winter 2014
54
サプライズとは
サプライズとは、期待値と実績値のギャップであり、サプライズの形により株価は以下のように変
動します。
ポジティブ・サプライズ
ノー・サプライズ
<
期待値
ネガティブ・サプライズ
=
実績値
株価上昇
期待値
>
実績値
株価フラット
期待値
実績値
株価下落
株式市場は賢いため、最初はポジティブ・サプライズがあったとしても、その後期待値を高め
るため、ノー・サプライズとなり、最終的にはネガティブ・サプライズとなります(この繰り返し)。
55
Total Shareholder Returnの要素
TSRは、キャピタルゲインとインカムゲインの合計ですが、以下の式でも表すことができます。
①TSR = キャピタルゲイン+ インカムゲイン
②TSR ≒ EPS成長率 + PER変化率 + 配当利回り
短期ではマクロ経済要因、業界要因、サプライズのタイプに大きく影響を受ける
短期でのPER変化率の影響の大きさを花王をケースに見てみましょう。
56
花王:株価パフォーマンス(10年)
花王はTOPIXを大幅に上回っています。この間のTSRは60%ほどであり、年平均にすると5%程度
のリターンとなっています。
57
花王:TSRの要素分解(10年)
TSRの年平均は5%程度ですが、PER変化率が非常に大きいため、毎年のTSRのブレは非常に大
きくなります(行動ファイナンスの余地)。
出所:インサイトフィナンシャル上場企業データベース
年間のPER変化率がプラスの場合は、その年はポジティブサプライズ、マイナスの場合
はネガティブサプライズということになります(EPSが増加してもネガティブサプライズの
ケースもあれば、減少してもポジティブサプライズのケースもある)。
58
期待のマトリクス
短期と長期の期待成長率により以下のマトリックスが成り立ちます。花王のようなエクセレントカン
パニーでも、ネガティブサプライズとポジティブサプライズを繰り返しながら企業価値を創造します。
長期への期待を高められ
ればチャンピョンになれる
期待のマトリクス
期待されていないため、
サプライズを起こしやすい
競合他社対比の期待短期成長率
高
Sprinters
・成長オプション
を作り、実現
Out-of-shape
runners
チャンピョンの地位は長くは維持
できない
World champions
・期待成長率を維持・
実現
・高パフォーマンスに
レバレッジをかける
(M&Aなど)
短期の業績が改善しないと長期
の期待は消えうせ、株価は暴落
Marathon runners
・コアビジネスの業績 ・期待長期成長率を
を改善
維持・実現
・大規模なリストラ
・コアビジネスの業績
を改善
低
低
競合他社対比の期待長期成長率
高
59
ストックオプションは宝くじである
短期的には期待(PERの変化)が株価パフォーマンスをほぼ決めてしまうため、短期間で行使がで
きるストックオプションは、宝くじとほとんど同じです。
60
本日のテーマ
株式市場に関する私の見解
株式市場の理論
株式市場の特性
株式市場に関する誤解
61
誤解:インデックスに組み込まれると株価が上がる
62
JPX日経インデックス400
JPX日経400連動投信、資産額1000億円超に 資本効率に関心高く
1月に算出を始めた新しい株価指数「JPX日経インデックス400」と同じ値動きを目指す投資信託が
人気を集めている。投信評価会社イボットソン・アソシエイツ・ジャパンによると、5月末で新指数に
連動した22本の投信の運用資産は1010億円に達した。
新指数は、日本経済新聞社や日本取引所グループなどが共同で開発した。資本を効率的に使っ
て利益を稼いでいるかを示す指標である自己資本利益率(ROE)の高さなどで選んだ400社で構成
する。連動する投信は、指数構成銘柄に投資し値動きが一致するように運用する。こうした投信の
運用資産の増加は、個人の間で資本効率の高い企業に投資したいという要望が強まっているのを
示す。
新指数の年初からの動きは、日経平均株価に比べ底堅い。海外投資家を中心にROEが高い銘
柄を買う傾向が目立っている。4月には年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、国内株の
運用成績の指標にこの指数を採り入れた。金属加工機械大手アマダが配当などで利益をすべて株
主に配分すると決めたように、上場企業にも資本効率への意識は広がっている。
新指数に連動する投信の運用資産は他の主要株価指数に比べまだ少ないが、指数の普及が進
めば一段と増えそうだ。
日本経済新聞2014年6月2日
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JPX日経インデックス400の選定基準
定量的要素のみならず、定性的要素も考慮している点が画期的です。
■定量的な指標によるスコアリング
各3項目のウェイトを加味した合計点によって総合スコア付けを行う
・3年平均ROE:40%
・3年累積営業利益:40%
・選定基準日時点における時価総額:20%
■定性的な要素による加点
上記のスコア付けの後、以下の3項目を勘案してスコアの加点を行う。
・独立した社外取締役の選任(2人以上)
・IFRS採用(ピュアIFRSを想定)または採用を決定。
・決算情報英文資料のTDnet(英文資料配信サービス)を通じた開示
出所:東証HPのデータを利用
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株価インパクト:期間限定のインパクト
インデックス投資家の売買により、採用されれば株価は上がり、除外されれば株価は下がります
が、所詮需給の問題に過ぎずインパクトは一時的です。
インデックス除外
インデックス採用
超
過
リ
タ
ー
ン
上昇
超
過
リ
タ
ー
ン
下落
下落
-20
0
45
日数
-20
上昇
0
45
日数
マッキンゼーの調査によれば、採用(除外)の20日前から株価は上昇(下落)し始め、
採用(除外)の45日後には、上昇(下落)の影響は消滅していました。結局は、バリュー
ドライバーをどれだけ改善できるかが勝負のカギとなります。
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誤解:ROEが高いと株価が上がる
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ROEとPERの関係:弱い
ROEとPERの関係は以下のチャートを見る限り低くなっています。現在の水準のROEは株価に織り
込まれてしまうため、ROEに関してもサプライズが株価に影響すると思われます。
マーケット反射鏡:株主重視なら株価は「タテ」に動く
日本経済新聞2014年6月19日
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ROE増加幅とPERの関係:相関関係がある程度存在する
ROE増加幅が高まると、PERも上昇する傾向が見られます。要するに、ROEを上昇させることがポ
イントということになります。
(予想PER)
(ROE増加幅)
出所:日経ヴェリタス6/22~28のデータを利用し回帰分析を実施。
データ数は29。30社中1社のデータを異常値として除外。
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ROEの分解
日本企業の財務レバレッジは十分に高く、利益率の低さがROEが低い原因となってます。まずは
利益率を高めることを優先すべきです。
日米ROE比較
出所:生命保険協会調査
みさき投資株式会社による日米欧の製造業、非製造業別のROE比較でも同様
の結果となっています(伊藤レポート)。
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誤解:規模が大きいと時価総額も大きい
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企業規模が大きいほど時価総額は大きい
時価総額は当期純利益や簿価ではなく、キャッシュフローの持続的な収益力で決定されます。収
益力の低い事業の売却で企業規模は縮小しますが、企業価値が高まることが一般的です。
事業売却前
収益性
(ROICなど)
ハードル値
事業A 事業B
事業C
事業D
事業E
事業F
事業G
事業H
事業売却後
収益性
(ROICなど)
ハードル値
事業C
事業D
事業E
事業F
事業G
事業H
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LIXILの戦略
矢継ぎ早のグローバルM&Aで暴走気味の感もあるLIXILですが、藤森社長はジャック・ウェルチ
流の経営を目指しているようです。
「非中核事業の場合は、売上高営業利益率が10%なけれ
ば徐々に売却する。中核事業でも同様に8%に達していな
ければ、他社との提携を検討する」
(日経ヴェリタス6/8~14)
企業が保有する資産や事業の中には、リターンが不十分なもの、他社の方がうまく管理
できるもの(高値で売却可能)もあるため、定期的なチェックが必要です。
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味の素によるカルピス売却
味の素は調味料分野への「選択と集中」によりカルピス社を2012年5月にアサヒグループホール
ディングスに売却しました。
カルピス社
・売上高:1074億円
・営業利益:56億円
・当期純利益:36億円
・ROE:6%←味の素が目標とするROE8%を大きく下回る
味の素
・シナジー効果が限定的との判断
・売却と同時に500億円を上限とする自社株買いを発表し、株価は7.4%上昇
アサヒグループホールディングス
・飲料企業としてカルピスの所有者としては適切
・高値づかみで株価は4.6%下落
資産効率性を意識している姿勢が投資家に伝わるため、味の素は投資家としては安心して
投資できる会社であると言えます。
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味の素:株価パフォーマンス(5年)
TOPIXを大幅にアウトパフォームしています。
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日立製作所:当期純利益
FY08に記録的な最終赤字を記録してから、事業ポートフォリオの再構築に着手し始めました。
(百万円)
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日立製作所:売上と資産規模
FY07から売上と総資産は減少傾向となっています。
(百万円)
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日立製作所:事業ポートフォリオの再構築
■FY07
GEと原子力事業を統合
■FY09
上場子会社5社を完全子会社化
■FY11
HDD子会社を米社に売却
■FY12
東芝、ソニーと中小型液晶パネル事業を統合
■FY13
三菱重工業と火力発電事業を統合
味の素のように業績が良い時に事業ポートフォリオの再構築を行えれば理想的です(パナソ
ニックも日立と同じで業績悪化が事業ポートフォリオ再構築のきっかけ)。
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日立製作所:株価パフォーマンス(5年)
企業規模は縮小しましたが、TOPIXを大幅にアウトパフォームしています。
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誤解:業績が良ければ株価は上がる
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期待という重荷
期待が低いとポジティブ・サプライズも容易ですが、期待が高くなるとそうはいきません。よって、良
い会社ほど株価を上がるのは大変なのです(良い会社は良い投資対象とは限らない)。
期待のマトリクス
競合他社対比の期待短期成長率
高
Sprinters
World champions
簡単
Out-of-shape
runners
Marathon runners
低
低
競合他社対比の期待長期成長率
高
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日産自動車:株価パフォーマンス比較
日産は、1999年のルノーとのアライアンス以降業績を急回復させ、株価が急上昇しましたが、その
後株価パフォーマンスは低迷しました。
【株価パフォーマンスの推移】
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日産自動車:営業利益率の比較
競合他社と比較して大きく劣っていることはありませんでしたが、営業利益率の下落による利益成
長の鈍化がネガティブサプライズとなり、株価パフォーマンスの低迷につながりました。
前述のカプコンも日産と同様な理由で株価パフォーマンスが悪化していると考えられます。
82
誤解:利益成長は株価上昇につながる
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EPS成長を目標とする企業が増えている
「1株利益」経営目標に 株主重視の動き広がる
上場企業、自社株買い活用も
上場企業の間で1株当たり利益(EPS)を中期的な経営目標に掲げる動きが広がっている。オムロ
ンは2017年3月期に1株利益を14年3月期に比べ4割増、ナブテスコは同6割増やす計画。1株利
益の増加は株高や増配につながりやすく、株主重視の姿勢として市場関係者が注目している。自社
株買いを通じて発行済み株式数を減らし1株利益を増やす動きも目標設定を促している。
(以下略)
日本経済新聞2014年6月18日
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PL実績と企業価値創造の関係は弱い
利益増加が一過性の利益や本業との関連が低い利益によるものであれば、企業価値創造にはつ
ながりません。また利益調整は長期的な企業価値創造にマイナスに働くので、避けるべきです。
■企業価値創造に影響しない利益変化の一例
・IFRSへの会計基準変更によりのれん償却が不要になり利益が増える
・減価償却の定率法から定額法への変更で利益が増える
・莫大なプレミアムを支払い企業を買収し、利益が増える(資産効率性の悪化)
・事業(資産)売却益により利益が増える(資産効率性の改善により企業価値が高まる可能性はある)
■利益調整の一例(将来投資を削減することで目先の利益を高める)
・研究開発費の削減
・人材採用の中止
・広告宣伝費の削減
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成長のタイプと企業価値の創造
成長のタイプによって企業価値に与える影響は異なります。
長期的に高成長を維持するのは不可能なため、ROICの改善へのフォーカスを高める
のが望ましいと考えられます(コカ・コーラなどはROICフォーカス)。
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誤解:株主還元政策で企業価値が創造される
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株価は上がるが・・・・
一般的に株価が上昇することが多いですが、株主還元変更という情報がポジティブ・サプライズと
なっているだけであり、企業価値が創造されるわけではありません(情報の非対称性の緩和)。
■株主還元に株式市場がポジティブな要因
・資本効率性が上昇する(後述のアマダのケース)
・M&Aなどの無駄遣いが無くなる(村上ファンドなどのターゲットはこのタイプ)
・将来の業績が改善するとの期待感(配当)
・現在の株価が割安とのシグナル(自社株買い)
■配当と自社株買いへの反応の違い
配当はコミットメントであるため持続的な業績改善が見込まれる時のみに増配されるが、自社株買
いはコミットメントではなく、一過性の収益の還元であることも多く、両者に対する株式市場の反応
は異なる。
■株主還元は、バリュードライバーではない
株主還元は、キャッシュフローの分配の問題でしかなく、分配の仕方自体で企業価値に変化は生
じない
■株主還元による株価上昇に病みつきになってはいけない
株価に対しての影響に即効性があるため、病みつきになりかねませんが、株主還元で引き寄せた
株主は株主還元が原因で去っていきます(株主の質の悪化)。
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続アマダ
自社株買い完了の公表後、3日間で株価は7.3%下落しました(TOPIXは0.6%下落)。自社株買い
狙いの投機家が去って行ったといことでしょう。
自社株買い完了の公表
89
最後に
経営者は株式市場が送るシグナルを有効に活用せよ
90
ご清聴どうもありがとうございました!
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