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ツアー登山の参加者を募集する広告等について
ツアー登山の参加者を募集する広告等について - 「ツアー登山運行ガイドライン」第 1 章(3)を踏まえて - 平成22年9月 社団法人日本旅行業協会 -1- <はじめに> 平成 21 年 9 月に「ツアー登山運行ガイドライン」を作成しました。自然界における行 動であるツアー登山の参加者募集にあたっては、 「ツアー登山運行ガイドライン」第 1 章 (3)とここに記載された事項も加えて遵守することが必要です。 <書面毎の必要表示・記載事項> 今回必要事項として決められた項目を、それぞれの書面における表示・記載の要否と して整理すると下記の通りとなる。 旅行広告 取引条件説明書面 1.体力的・技術的難易度の目安 ○ ○ 2.行程中の登山歩行時間の目安 ○ ○ 3.必要な装備品 △ ○ 4.旅行条件に反映すべき事項 △ ○ 5.その他旅行者に提供すべき情報等 △ ○ ○=表示・記載が必須の項目(広告・取引条件説明書面それぞれ必要事項は個別に定 義する。) △=可能な範囲で表示する項目。 <具体的表示・記載方法> 1.体力的・技術的な難易度の目安 旅行者が参加を検討しているコースが、技術的・体力的に参加することが可能である かどうかを判断してもらう材料として、総合的にツアー毎に数字や☆印の数等又は文言 を使用し段階的に示すことにより表示すること。 【表示例1・広告】 ○○山△△ルートを巡る登山 ○○山◇◇ルートを巡る登山 3日間 4日間 難易度 ☆☆ 難易度 ☆☆☆ ※難易度は当社基準による。 ※☆の数が多いほど、難易度が高いものを指します。 【表示例2・広告】 ○○山△△ルートを巡る登山 ○○山◇◇ルートを巡る登山 3日間 4日間 難易度 初心者向け 難易度 中級者向け ※難易度は当社基準による。 取引条件説明書面においてはこれに加え、 (社)日本山岳ガイド協会/(社)日本旅行業協 会/(社)全国旅行業協会連絡会作成の「コース難易度算定のための参考基準表」を参 考に 1 日の歩行時間・獲得登高差および目安となる山・ルートと共に記載すること。 -2- 【難易度の定義の記載例・取引条件説明書面】 ☆コース難易度の目安 コース コース難易度の内容 グレード 1 歩行時間は約○~△時間 (省略) 獲得登高差約・・・mまで (省略) 歩行時間は約○~△時間 獲得登高差約・・・m~ ・・・m (省略) (省略) 歩行時間は約○~△時間 獲得登高差約・・・m~ ・・・m (省略) (省略) (省略) (省略) (省略) (省略) (省略) 3 5 目安となる山 ・ルートの例 (省略) 2 4 1日の歩行時間 および獲得登高差 ※(社)日本山岳ガイド協会/(社)日本旅行業協会/(社)全国旅行業協会連絡会作成の「コース 難易度算定のための参考基準表」による 2.行程中の歩行時間の目安 募集型企画旅行の登山部分における歩行時間について、時季のみならず当該旅行の難 易度に見合った行程を組み、広告および取引条件説明書面と共に、およその歩行時間(休 憩時間を含まない。)の1日の合計を日程内に表示すること。 【表示・記載例1】 x日目: ○○温泉 発=バス=xx岳登山『登山口Y(yyヒュッテ)→xx岳山頂→登山口Z (zz荘)歩行時間約5時間』=バス=△△温泉 着 【表示・記載例2】 x日目: ○○温泉 発=ゴンドラ又はリフトで展望台へ=展望台X又はY=下山(歩行時間約3時間) =○○温泉 帰着 【表示・記載例3】 x日目: 終日 ○○岳△△ルート登山(歩行時間約5時間) 3.必要な装備品 装備は安全な登山をするための基本であり、必要なものは必ず持参することがツアー 参加条件であることを表示し、必需品を明示する。また、旅行者への案内に際しては、 装備品の名称に加え、個々の装備品の素材やサイズ等につき、何が重要であるかを示す -3- ことが望ましい。但し、コースによっては不要な装備品もあるため、荷物を軽くすると いう観点から不要と思われる装備を持参させない工夫が必要である。 【装備品リスト記載例・取引条件説明書面】 ☆必需品 ※下記の装備品を持参されない場合、参加をお断りする場合があります。 ・登山靴(はき慣れたもの・・・・) ・雨具(防水透湿性のよいもの・・・・) : (以下略) ☆あると便利なもの ※荷物の重量・容量も考え、各自で判断し持参してください。 ・日焼け止め(使い慣れたものを・・・) ・マット(休憩時に便利・・・) : (以下略) ※こちらに掲げた装備品について不明な点があれば、いつでも旅行取扱店にお問い合 わせ下さい。 4.旅行条件に反映すべき事項 以下の事柄は、ツアー登山という自然界を対象とする募集型企画旅行を実施するにあ たり、旅行者に対し通常の旅行に増して契約の内容の理解を促し、且つ旅行契約上の取 扱いを明確にするために、取引条件説明書面に旅行条件として記載することが、必要と 思われることである。 (1)旅行参加資格として記載すること(※標準旅行業約款の参照条項:第7条1号・ 3号) ここに表示した事柄を満たさない場合、契約締結の拒否の事由となり得ることを 記載する。 【旅行参加資格に加える項目の記載例】 ①事前アンケート等のよるヒアリングの結果、当該コースに求められる体力・技 術的難易度を満たしている方 ②それぞれのコースに求められる装備品を持参いただける方 ③(以下略) : (2)旅行開始前の当社の解除権として記載すること(※標準旅行業約款の参照条項: 第17条第 1 項2号・3号) ここに表示した事柄を満たさない場合、旅行契約解除の事由となり得ることを記 載する。 【旅行開始前の解除権に加える項目の記載例】 -4- ①旅行者が「当社旅行条件書第○条第△項」で定めた参加資格を満たしていない ことや、日程消化に支障があることが分かった場合 ②出発時において旅行者に、病気、けが、飲酒等により健康上や安全上の問題が ある場合や装具に不備がある場合その他日程消化に支障があると、当社が判断し た場合 ③(以下略) : (3)旅行開始後の当社の解除権として記載すること(※標準旅行業約款の参照条項: 第18条第 1 項1号・2号) ここに表示した事柄を満たさない場合、旅行の途中であっても以後の日程の参加 を断ることがあることを記載する。 【旅行開始後の解除権に加える項目の記載例】 ①旅行者が、ガイド、添乗員など引率者の指示に従わない場合 ②旅行者に体調の急変、けが、飲酒等により健康上や安全上の問題が生じた場合 ③(以下略) : 5.その他旅行者に提供すべき情報等 その他、ツアー登山には一般の観光とは異なる固有の注意すべき事項がある。それら の項目は、次に掲げる意味合いに応じ、適切な箇所に表示する。 (1)旅のご注意(デメリット表示)として表示すること 契約締結の拒否や契約解除の事由とはしないものの、安全管理上重要な事柄であ り、万一争いとなった場合、説明した事実の存在が重要となると思われるものを、 旅のご注意などとして表示する。 【記載項目の例】 ①参加者の留守家族にツアー登山に参加していることを知らせる旨 ②捜索、救援等の費用に備え、ヘリコプター捜索等にも対応した保険の加入を勧め る旨 ③行動中に身体健康に異状を自覚した場合は、速やかに引率者へ申告する旨 ④安全な登山の実施や登山中の体調の維持のために、参加者が登山中に実行・遵守 すべき事項 ⑤予定された登山コースや歩行時間は、悪天候ほか約款(標準旅行業約款第13 条・契約内容の変更)に基づく場合に変更となる場合があることを予め理解いた だく旨 ⑥(以下略) : (2)登山のマナーやモラルとして表示すること 上記以外にツアー登山の円滑な実施と、よりよい“旅”とするために、参加する -5- 旅行者各位に協力、理解を呼びかける登山特有の事項を表示する。 【記載項目の例】 ①登山や、山小屋での宿泊のルールやマナーに関する事項 ②環境保全に関する事項 ③(以下略) : 以 -6- 上 コース難易度算定のための参考基準表 コース グレード コース難易度の内容 往復コース。 登山道は明瞭で、緩急は少 1 なく、幅員も充分にある。 転滑落の危険箇所が少な 1 日の歩行時間 北海道エリア および獲得登高差 歩行時間は3~5時間 程度。 獲得登高差約 400m まで ◎藻岩山往復 ◎大雪山黒岳(層雲峡黒岳リフ ト終点から往復) 2 急はあるが、幅員もある。 転滑落の危険箇所が少な い。 歩行時間は5~7時間 程度。 獲得登高差約 400m~ 800m 歩行時間は6~8時間 急があり、幅員が小さい箇 程度。 ら東栗駒コース往復) ◎鳩待峠から山の鼻、竜宮 ◎岐阜・金華山(山麓から (下山はロープウェイ) ◎韓国岳(えびの高原から往 往復) ◎大台ケ原(東大台コー ◎秋田駒ヶ岳(八合目から 往復) ◎戦場ヶ原周回(木道歩き) ◎鳳来寺山(中腹の駐車場 ◎安達太良山(奥岳登山口 ◎富良野岳(十勝岳温泉から往 回) ◎蝶ヶ岳(徳沢から往復) 復) ◎八甲田山(酸ヶ湯から大 ・雌阿寒岳(野中温泉から往復 岳往復) または野中温泉~オンネトー ◎月山(姥沢リフト上から 縦走) 往復) 所がある。転滑落の危険箇 獲得登高差 所が部分的にあり、一部に 約 800m~1000m ◎斜里岳(新道コース往復) ◎早池峰山(小田越登山口 から往復) ◎岩手山(馬返しから往復) ◎鳥海山(鉾立から往復) ◎硫黄岳(赤岳鉱泉から往 復) 登山道はやや明瞭を欠く 歩行時間は7~9時間 部分があり、緩急が大き 程度。 く、幅員も小さく、一部に 獲得登高差 梯子やクサリ場がある。転 約 1000m~1500m 滑落の危険箇所が多い。 ◎利尻岳(鴛泊コース往復) ◎石狩岳(シュナイダーコース 往復) ◎羅臼岳(岩尾別コース往復) ◎幌尻岳(糠平川コース往復) ラ谷を除く) ◎宮之浦岳(淀川登山口から ◎大山(夏道コース往 往復) ◎白山(別当出合から室堂 復) ◎縄文杉(トロッコ軌道から 経由往復) ◎剣山から次郎笈(見ノ 往復) 越から往復) ◎燕岳(中房温泉から合戦 尾根往復) ◎富士山(各登山口最終駐 ◎久住山(牧ノ戸峠から往復) ◎開聞岳(登山口から往復) ◎甲斐駒(北沢峠から往復) ◎仙丈岳(北沢峠から往復) ◎大峰、八経ケ岳(洞川 ◎北岳(白根御池から草す から往復) べり経由で往復) ◎蒜山三座縦走 ◎宮之浦岳から永田岳縦走 ◎祖母山から傾山縦走 ◎宝剣岳(千畳敷から往復) ◎奥穂高岳(涸沢からザイ ◎トムラウシ山(トムラウシ温 泉から往復) ス周回。大蛇嵓とシオカ 往復) ◎赤岳(赤岳鉱泉から往復) 復) ◎御在所岳(裏道を往復) ◎木曽駒ヶ岳(千畳敷から 車場から剣ヶ峰往復) 往復、周回、縦走コース。 高峰 ◎伊吹山(3合目から往復) ◎上高地から岳沢往復 梯子やクサリ場がある。 4 小屋まで から薬師岳、勢至平の周 ◎夕張岳(大夕張コース往復) ◎有馬温泉から六甲最 ら往復) イ姿見の池駅から往復) ◎羊蹄山(各登山口から往復) 九州エリア ◎上高地から徳沢往復 ◎槍ヶ岳(槍沢から往復) 登山道は比較的明瞭で、緩 近畿・関西エリア ◎栗駒山(いわかがみ平か 往復、周回、縦走コース。 3 東海・中ア・南アエリア から往復) ◎大雪山旭岳(旭岳ロープウェ 登山道は比較的明瞭で、緩 信州・甲信越エリア ◎茶臼山(高原の駐車場か い。 往復、周回、縦走コース 東北エリア 平成 22 年 8 月 テングラード経由往復) ◎飯豊連峰(梶川尾根から 飯豊本山、ダイグラ尾根) ◎朝日連峰(大鳥池から大 朝日岳、朝日鉱泉) ◎北穂高岳(涸沢から南稜 経由往復) ◎唐松岳から五竜岳縦走 ◎赤岳(真教寺尾根から美 ◎聖岳から光岳縦走 ◎赤石岳から荒川岳縦走 ◎剣山から三嶺縦走 ◎北岳(大樺沢から八本歯 ◎石鎚山(成就から往復 のコル経由) ◎大崩山(祝子川から湧塚、 で鎖場通過の場合) 大崩山、三里河原周回) 濃戸口へ下山) 往復、周回、縦走コース。 登山道はやや明瞭を欠く 5 部分があり、緩急が極めて 歩行時間は8時間以上 大きく、幅員も小さく、梯 獲得登高差 子やクサリ場が連続して 約 1500m 以上 ◎カムイエクウチカウシ山な ど日高方面の沢詰めルート ◎剱岳(別山尾根から往復) ◎八海山(大日岳) (千本檜 小屋から往復) ◎甲斐駒ヶ岳(黒戸尾根か ら往復) いる。転滑落の危険箇所が 頻繁にある。 ※ 1.「コースの難易度の内容」と「一日の歩行時間および獲得登高差」との組み合わせでコースグレードの1~5を決めている。山岳(ルート)によっては、組み合わせが異なることがある。 ※ 2.山中での宿泊日数(1日の行動区間)の設定は各社の判断による。 ※ 3.本表は、「ツアー登山運行ガイドライン」添付の「コース難易度(コース・グレード)及び引率者比率(ガイド・レシオ)」と関連しており、各エリアの具体的な山名(コース)を例示するにあたって、それに合致した 歩行時間と登高差の目安をさらに表示したものである。 (社)日本山岳ガイド協会/(社)全国旅行業協会/(社)日本旅行業協会 連絡会作成