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「認知症ガイドブック」2(PDF文書)

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「認知症ガイドブック」2(PDF文書)
認知症ってどんな病気?
認知症は、脳や身体の病気が原因で記憶・判断力などの障害がおこり、記憶や思考などの能力
が徐々に低下し、日々の生活に支障をきたす状態です。
「認知症になったら、何もできなくなってしまう」「家族と暮らせない」と思っていませんか?
認知症は早期に対応することで、症状を軽くしたり、進行を遅らせることができます。
認知症にはいくつかの種類があります
アルツハイマー型認知症
前頭側頭型認知症
アミロイドベータというたんぱくが脳にた
まり、神経細胞(アセチルコリン)が減少し、
脳の萎縮が進行するために症状がでます。
脳の前頭葉や側頭葉が委縮することにより症
状がでます。脳の委縮によることはアルツハ
イマー型と同じですが、委縮する部分が異な
ります。
◆特 徴◆
◆特 徴◆
発症と進行は比較的緩やかですが、放置すれ
ば確実に進行していきます。
・最近のことを忘れる
・時間や場所がわからない
・暴言や暴力、徘徊などの問題行動が
おこる
初老期(65 歳以前)に発症することが多く、
別名「ピック病」とも呼ばれています。
・同じ言葉や同じパターンの行動を繰り返す
・おちつきがなくなる
・突然、万引きや信号無視など社会ルールに
反する行動をすることがある
おもな認知症
レビー小体型認知症
脳血管性認知症
レビー小体という特殊なたんぱくが脳の神経
細胞にたまることで症状がでます。大脳や脳
幹部に病変がみられ、パーキンソン症状が認
められることがあります。
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を起こした
あと、その後遺症として症状がでます。突然
の脳梗塞や脳出血が原因で急激に認知症が発
症する場合と、小さな脳血管障害を起こして
いるうちに徐々に認知症が進む場合もありま
す。
◆特 徴◆
◆特 徴◆
もの忘れに加えて、初期の症状に「幻視(実
際にないものが見える)」があります。
・人や動物、虫が見えたりする(幻視)
・調子の良いときと悪いときの差が激しい
・歩行が小刻みになり転倒しやすい
脳血管障害が起こるたびに、段階的に進行し
ますが、脳血管障害の再発を防ぐことで進行
を予防できます。
・もの忘れが多い ・転びやすい
・意欲や、自発性が低下する
・急に怒ったり泣いたりする
治療することによって改善される認知症もあります
認知症の症状があらわれても早期に発見し治療することで、よくなる病気があります。実際には、認知
症以外の病気のことがあります。早期に受診することが大切です。
甲状腺機能低下症 正常圧水頭症 慢性硬膜下血腫 脳腫瘍 など
加齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れの違い
歳をとると誰でも忘れっぽくなります。加齢による「もの忘れ」と認知症による「もの忘れ」とは区別
がつきにくいですが、違いがあります。
加齢によるもの忘れ
認知症によるもの忘れ
何を食べたか思い出せない
食べたことを忘れる
約束をうっかり忘れる
約束したこと自体を忘れる
日付や曜日、場所を間違える
日付や曜日、場所がわからなくなる
忘れたことを自覚している
忘れたことを理解できない
物を自分で探す
物を盗まれたと思い込む
経験したことが部分的に思い出せない
経験したこと全体を忘れる
認知症チェックリスト
チェックの数が多いほど、認知症が心配されます。医療機関等へ早めのご相談をお勧めします。
□物忘れが目立つようになった
□何度も同じことを話す・聞く
□置き忘れやしまい忘れが増えてきた
□今までできていたことができなくなった
□言葉や単語がすぐに出てこない
□簡単な計算に手間取ってしまう
□些細なことでも怒りっぽくなった
□何をするにも意欲がなくなった
□外出する機会が極端に減った
□昼間も横になっていることが多くなった
□好きだったことに興味を示さなくなった
認知症かな・・・と思ったときは
認知症は誰もがなる可能性がある病気です。「もしかしたら?」と思ったら、できるだけ早くかかりつ
け医や認知症疾患医療センター、地域包括支援センターに相談しましょう。
早い時期に受診すると
アルツハイマー型などの認知症は、治療により進行を遅ら
せることができます。また、認知症の症状があらわれても
認知症以外の病気のこともあります。早期診断、早期発見
はとても大切です。
認知症は、環境が変わることで、症状が悪化するおそれもあります。「住み慣れた地域で
安心して暮らしたい・・・」誰もが願う想いです。認知症になっても、住みやすいまちをつ
くるためには、家族だけでなく、ご近所や商店や交通機関、金融機関など、地域で一緒に暮
らしている人、働く人が認知症への理解を持っていることが大切です。認知症への理解を広
めることが、誰もが認知症になっても暮らせるまちづくりにつながります。
認知症の人への接し方
認知症になると、人に言われても思い出せないことが重なり、多くの人が「自
分に何かが起こっている」という不安を感じています。誰よりも心配して、苦し
み、悲しんでいるのは認知症になった本人だということを考えながら接すること
が大切です。相手の気持ちになって接することは、日頃の生活と何ら変わりはあ
りません。認知症という偏見を持たず、自分達の問題であるという気持ちで対応
すれば、誰もが安心して暮らせるまちに近づいていくでしょう。
認知症の人への対応の心得
1
驚かせない
2
急がせない
3つの「ない」
3
自尊心を傷つけない
具体的な7つのポイント
1 まずは見守る
認知症と思われる人に気づいたら、本人やほかの人に気づかれないように、一定の距離を保ち、さ
りげなく様子を見守ります。近づき過ぎたり、ジロジロ見たりするのは禁物です。
2 余裕をもって対応する
こちらが困惑や焦りを感じていると、相手にも伝わって動揺させます。自然な笑顔で応じましょう。
3 声をかけるときは1人で
複数で取り囲むと恐怖心をあおりやすいので、できるだけ1人で声をかけます。
4 後ろから声をかけない
一定の距離で相手の視野に入ったところで声をかけます。唐突な声掛けは禁物です。「何かお困り
ですか」「お手伝いしましょうか」「どうなさいましたか」など声をかけましょう。
5 相手に目線を合わせてやさしい口調で
小柄な方の場合は、身体を低くして目線を同じ高さにして対応します。
6 おだやかに、はっきりと
高齢者は耳が聞こえにくい人が多いので、ゆっくりとはっきりした滑舌を心がけましょう。早口、
大声、甲高い声でまくしたてないこと。土地の方言でコミュニケーションをとることも大切です。
7 相手の言葉に耳を傾けてゆっくり対応する
認知症の人は急かされるのが苦手です。同時に複数の問いに答えることも苦手です。相手の反応を
伺いながら会話をしましょう。たどたどしい言葉でも、相手の言葉をゆっくり聴き、何を話したい
のかを相手の言葉を使って推測・確認していきます。
参考:全国キャラバンメイト連絡協議会「認知症を学び地域で支えよう」
認知症サポーターになりませんか?
「認知症サポーター」は、認知症について正しく理解し、認知症の人
や家族を温かく見守り、支援する応援者です。地域や職域で認知症の
人やその家族に対して、できる範囲での手助けをする人です。毛呂山
町では、地域包括支援センターや認知症疾患医療センターで認知症サ
ポーター養成講座を実施しています。受講者には認知症サポーターの
証である「オレンジリング」が配布されます。受講については、地域
包括支援センターへお問い合わせください。
住民のみなさん
や医療機関、金融
機関、役場職員な
ど、たくさんのサ
ポーターが誕生
しています
認知症は日頃の食生活を見直したり、身体や脳のトレーニングを行うことで予防ができると
言われています。認知症は本人や家族のみならず、わたしたちにとっても身近な問題です。毎
日の小さな習慣で、発症を防いだり、進行を遅らせることができます。
生活習慣病を予防しましょう
日頃の生活では、脳血管性障害の原因にな
る脳梗塞などの危険因子を減らすことが大
切です。高血圧、高脂血症、肥満などになら
ないようにします。塩分や脂肪分のとりすぎ
に注意して、適度な運動をするように心がけ
ましょう。
脳を活性化させましょう
社会との交流が少なくなったり、生きがい
や楽しみが減ってしまうと、不活発になり、
うつ傾向や、無気力になることがあります。
日頃から、趣味活動や近所の人と話したり、
地域の集まりや、運動教室に参加するなど、
楽しみをみつけ、積極的に外出しましょう。
からだを動かし、意識して脳を使うことで、
脳に刺激が与えられます。
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