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生牛価格が急伸
No.2012-079 2012年8月1日 http://www.jri.co.jp 生牛価格が急伸 ~ 拡がる旱魃影響 ~ (1)7月最終週に入り、生牛価格が急伸(図表1)。6月から、コーンや大豆など穀物価格が上昇、 このところ既往最高値を更新。それに対して生牛価格はこれまで安定して推移。しかし、7月末、 1ポンド当たり1.26ドルと最高値圏へ急上昇。 (2)主因はまず飼育頭数の減少(図表2)。2006年秋以降、コーンをはじめ飼料価格が値上がりし、 事業採算が悪化するなか、アメリカの飼育牛頭数は08年初から減勢に転換。さらに10年秋以降、 再びコーンをはじめ穀物価格が上昇に向かい、採算悪化が深刻化した結果、本年初来、飼育頭数 の減勢加速。本年初の生牛価格上昇は飼育頭数の減少を受けた先行き需給逼迫懸念の増大に起因。 もっとも今春、BSE感染牛が確認され、価格急落。 (3)第2の要因は旱魃(図表3)。とりわけ飼料となるコーンや牧草の被害深刻。米農務省が毎週 公表している主要生産地の作柄判断をみると、先週は天候改善が期待されたものの、依然旱魃と 熱波が続いた結果、作柄判断が一段と悪化。先週末から穀物価格が再び強含み。アイオワ州など 畜産地では飼料制約から飼育を諦め、市場出荷に切り替える動きが拡大。短期的には、供給増で 精肉価格低下に作用するものの、飼育頭数の減少に拍車が掛かり、中期的には需給逼迫が加速し、 価格上昇圧力増大に作用する懸念大。 (4)旱魃による飼料価格上昇は生牛に限らず。むしろ飼育期間の短い豚や鶏に対して、より大きく、 かつ短期的な値上がり圧力に。米農務省の7月予測によれば、13年の食肉生産量は5月予測対比、 とりわけ鶏肉、次いで豚肉が減少に(図表4)。これまで一部にはインフレは一時的かつ来年の 問題との見方も。しかし旱魃が深刻化するなか、より早期の影響拡大が視野。 (図表1)生牛とコーン価格 126 (セント/ポンド) (図表2)アメリカの飼育牛頭数 37 (百万頭) (ドル/ブッシェル) (百万頭) 106 8 36 生牛(左目盛) コーン(右目盛) 124 35 102 7 122 34 33 120 98 6 32 118 31 94 5 肉牛(左目盛) 牛総計(右目盛) 116 30 0 114 2012/6 4 07 (年/月/日) (出所) CBOT 29 90 200001 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 (出所) USDA (注) 調査時点は1月1日と7月1日。 (年/半期) (図表3)コーンと牧草の作柄判断 【コーン】 【牧草】 (図表4)2013年食肉生産予測(農務省) 7 1 (%) 0 (千万ポンド) 60 (%) 45 昨年同期 7月30日 7月22日 7月15日 7月8日 6月24日 6月3日 50 40 (%) 0 40 35 ▲7 ▲1 ▲14 ▲2 30 25 30 20 ▲21 20 ▲3 7月推計(5月差、 左目盛) 15 ▲28 10 ▲4 7月推計(5月差の 前年比、右目盛) 10 5 ▲35 と ても 良 い 良い まず ま ず 悪い (出所) USDA 0 と ても 悪 い と ても 良 い 良い まずまず 悪い と ても 悪 い 0 ▲5 6月推計(5月差、 左目盛) ▲42 ▲6 鶏肉 豚肉 七面鳥 牛肉 (出所) USDA 羊肉 《ご照会先》日本総研調査部 藤 井([email protected]、03-6833-6373)