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ブラジル底入れの兆し-輸出増と雇用増(PDF:319KB)

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ブラジル底入れの兆し-輸出増と雇用増(PDF:319KB)
No.2015-072
2015年6月22日
≪藤井英彦の
藤井英彦の視点≫
視点≫
http://www.jri.co.jp
ブラジル底入れの兆し
~ 輸出増と雇用増 ~
(1)ブラジルが変調。実質成長率は前年比で昨年4~6月からマイナス。本年1~3月も▲1.6%。
4四半期連続のマイナス成長。鉱工業生産は2013年6月をピークに減勢。直近の本年4月でも、
前月比▲1.2%と依然減勢。前年比では▲7.6%の大幅減。しかし一部に明るい兆しも。まず
雇用増(図表1)。雇用者数は13年央来の一進一退から昨年11月をピークにほぼ月を追って
減少した後、本年3月を底に4月増加。もっとも単月の増加であり、季節調整に伴う一時的な
増加の可能性も。加えて失業率が昨年10月の4.7%を底に上昇。本年3月5.8%から4月は11年
9月以来の6.0%に。もっとも、非労働力人口は昨年12月をピークに減勢。本年4月減勢加速。
一方、労働力人口は本年3、4月と2ヵ月連続の増加。非労働力から労働力へシフトする動きが
拡がり、失業増。一般に、就業機会の増加を受けて就業意欲が強まる局面で看取される動き。
雇用増と重ねてみれば雇用情勢の好転が窺われる展開。さらに賃金が名目実質とも本年4月、
前月比増(図表2)。消費者心理は本年3月から改善ながら小売売上は依然減勢。クレジット
カードなどローンを活用した同国購買行動に照らせば、金融引締が所得雇用環境や消費者心
理の改善効果を遮断。もっともエリア別にみると大半の州で減勢鈍化(図表3)。さらに農
業が盛んなサンタカタリナ州やマットグロッソ州、リオグランデドスル州などでは増勢転換。
(2)工業生産は依然減勢ながら、鉱業生産は昨年初来、趨勢的に増勢加速(図表4)。一方、
貿易取引をみると、輸出入とも金額ベースでは減勢ながら、数量ベースでは輸出は昨年末来、
農産物や鉱物性燃料、資本財を中心に増勢復帰。輸入数量は一進一退。輸入の伸び悩みは、
通常、需要低迷を示唆。しかし品目別には鉱物性燃料が輸入減の主因。非耐久財や中間財は
増加。油田開発が進むなか、鉱物性燃料では、輸入から輸出への転換が進行。輸出入金額の
減少は一次産品価格の下落も作用。インフレ圧力は今後次第に後退の見方が支配的。年後半
に向けインフレ圧力が後退して消費者・企業行動が積極化し、景気回復に転じる展開が視野。
(図表1)ブラジルの雇用情勢(季調済)
9
(図表2)小売売上数量と名目賃金、消費者心理
6.1 106
(10万人)
6
(%)
労働力人口
雇用者数
非労働力人口
失業者数
失業率
(2014年
=100)
103
5.7
(ポイント)
小売売上数量(左目盛)
名目賃金(左目盛)
消費者信頼感(右目盛)
118
112
100
106
97
3
5.3
100
94
0
4.9
▲3
4.5
2014
2
88
88
85
0
(ポイント)
(2014年=100)
増減(①-②、左目盛)
2014年10~12月(右目盛)
2015年1~3月(②、右目盛)
2015年4月(①、右目盛)
0
82
2013
(年/月)
(注) 失業率以外は対2014年1月差、左目盛。
(図表3)州別小売売上数量(季調済)
4
94
15
(出所) IBGE
6
91
14
15
(年/月)
(注) 消費者信頼感以外は季調済。
(出所) IBGE、BCB
(図表4)輸出入金額と輸出入数量、鉱業生産(季調済)
110
(2014年=100)
140
105
110
(2014年
=100)
125
100
100
110
90
▲2
95
▲4
▲6
90
95
80
輸入数量(左目盛)
輸入金額(左目盛)
輸出数量(右目盛)
輸出金額(右目盛)
鉱業生産(右目盛)
80
70
65
60
2013
(出所) IBGE
14
(出所) IBGEなど
15
(年/月)
【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373)
≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。
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