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ガソリン価格上昇で米国消費の翳りが視野
No.2010-075 2011年3月14日 http://www.jri.co.jp ガソリン価格上昇で米国消費の翳りが視野 ~ 現下の原油価格は従来、個人消費を屈折させる水準 ~ (1)このところガソリン価格が再び上昇(図表1)。直近の2011年1月には3.14ドル/ガロン と08年10月以来の高値。地域によっては1ガロン当たり3.36ドルに(図表2)。 (2)米国は典型的な車社会でガソリン価格の上昇は家計を直撃。すなわち、価格が上昇しても 消費量を減らせず、ガソリン価格が上昇した分、同支出額が増加して可処分所得が減少し、 個人消費が抑制されるとの見方が一般的。その点を確認するために、前回ガソリンが大幅に 値上がりした07年以降について、小売売上高に占めるガソリン販売額シェアの推移をみると、 11%までの局面では実質個人消費は緩やかな増勢を持続。しかし11%を超えてシェアが拡大 した08年初以降、実質個人消費は減勢に転換(図表3)。なお、08年10月以降、ガソリンが 値下がりして販売額シェアは11%水準を切って減少したものの、個人消費は09年春まで落ち 込み。しかし、その主因はリーマン・ショック。 (3)一方、総小売売上高に占めるガソリン販売額シェアとガソリン価格は長期に亙り連動して 推移(図表4)。それは、価格の変動によってガソリンの消費量が変動しにくい、いわゆる 弾力性の低さが現時点でも変化せず持続していることを示唆。 (4)そうしたなか、一段のガソリン価格の上昇は、08年と同様、個人消費にマイナスに作用す る懸念大。ちなみにガソリン価格と原油価格の連動性、およびガソリンの価格と販売額シェ アとの連動性を前提にWTIで本年3月上旬の原油価格103ドル/バレルを引き直すと、ガソリ ン価格は3.35ドル/ガロン、販売シェアは11%と試算。消費屈折が視野に入った可能性。 (図表1)ガソリン価格と原油価格の推移 (ドル/ガロン) (ドル/バレル) 60 40 1.5 )】 0 0.8 1990 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 (資料) US Dept. of Labor “Monthly Labor Review” (年/月) (注) 2011年3月の原油価格は1~10日平均。 サンフランシスコ マ イ ア ミ ロ ス ア ン ゼ ル ス シ ア ト ル ア 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 【2009年平均(ドル/ガロン)】 2.7 (資料) US Dept. of Labor “Monthly Labor Review” (図表3)実質個人消費とガソリン売上シェア (図表4)ガソリン価格とガソリン売上シェア 実質個人消費(季調済、左目盛) ガソリン売上シェア(対総小売売上高、右目盛) 13 (%) (2005年=100) 5 107 12 4 106 11 105 10 104 9 103 8 108 シ カ ゴ ィ 20 ド 3.1 ル / ガ 3.0 ロ ン 2.9 ィ 2.2 ヨ ブ ク ラ ア ン ト ド ヒラ ボ フ デ ン ト ス タ ダ ス ト ラ ロ ラ ト ン デ イ ル ト ス ン フ ュー 80 ( 2.9 ク リ ワ シ ン ト ン D C ー 100 ニ ュー 120 3.4 2 0 1 3.3 1 年 1 3.2 月 ー ガソリン価格(左目盛) 原油価格(WTI、右目盛) 3.6 140 【 4.3 (図表2)都市別ガソリン価格 (ドル/ガロン) (%) 14 ガソリン価格(左目盛) 13 ガソリン売上シェア(対総 小売売上高、右目盛) 12 11 3 10 9 0 102 2007 7 11 (資料) US Dept. of Commerce “Survey of Current Business”(年/月) 08 09 10 2 8 7 1 6 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 (年/月) (資料) US Dept. of Commerce “Survey of Current Business” 《ご照会先》日本総研調査部 藤 井([email protected]、03-3288-4615)