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アリとキリギリス
H26 全校朝会の話 №13 アリとキリギリス 2014.9.22 校長 西谷 秀幸 先週は、2年生の研究授業がありました。みんな、ワークシートにたくさん書いたり、 進んで手を挙げたりしていて立派でしたね。 また、4年生は社会科見学で清掃工場に行きました。校長先生は、出張のため、一緒に 行けなかったのですが、電車の中では本を読みながら静かに過ごし、しっかりと見学がで きたと聞きました。さすがは、4年生ですね。 みなさんは、イソップ物語の「アリとキリギリス」というお話を知っていますか。知っ ている人も多いと思いますが、どんなお話か、簡単に紹介しましょう。 暑い暑い夏の日。アリたちは冬に備えて一生懸命働いていました。そんなある日、 1匹のキリギリスが草かげで歌を歌っています。 キ リ ギ リ ス が 、「 ア リ さ ん、 ア リ さ ん、 何 で 君 た ちは こ ん な 暑い 日 に 汗 水た ら し て 働いているんだい?」と聞くと、アリは 、「冬に備えて食べ物を集めておくんだよ 。」 と答えました 。キリギリスは 、 「 へえー 、暑いんだから 、もっと楽しめばいいのに! 」 と言って歌を歌い続けました。 そして、秋が過ぎ、冬が来ました。冷たい雪の降る中を ボロボロの服を着たキリギリスが「寒いよ~、お腹がすい たよ~ 。」とさまよっていました。 そうしていると、暖かそうな家を見つけました。アリた ちの家です。キリギリスはノックをして、アリたちに聞き ました 。「寒くてお腹がすいているので、何か食べ物をいただけませんか 。」すると、 アリたちは「 いいですよ 。家の中に入って暖まってください 。食べ物をあげますから 。」 と言ってキリギリスを温かく迎えました。 みなさんも知っていますよね。 でも、このお話は日本以外では結末、最後のところがちがうのです。外国のお話では、 アリたちが「夏に遊んでばかりいるから、そういうことになるのさ、しょうがないね」と 言って何もあげずにドアを閉めてしまうのです。 みなさんは、家に入れてあげる日本の終わり方、家に入れない外国の終わり方、どちら のほうが好きですか。 校長先生は、日本の終わり方がいいなあと思います。人に優しくしてあげれば、いつか は自分にかえってきますからね。 みなさんはどう考えますか。クラスに戻ったら、担任の先生と話をしてみてください。 これで朝会の話を終わります。 (裏面に「先生方へ」があります) 〈先生方へ〉 どうも、アリとキリギリスの終わり方で、温かく迎え入れるのは日本だけのようです。外国 では、ほとんどすべて家に入れずに終わっています。 日本の場合は 、「情けは人の為ならず」や「困っていればお互い様」ですが、外国の場合は 「自業自得」とでも言うのでしょうか。 私は 、 「 前のことはいろいろあるかもしれないが 、困っていればお互い様 、助けてあげよう 」 という日本文化の良さを子供たちに伝えていきたいと思います。これは、アンパンマンの精神 にも共通するところがあると思います。 西洋的な割り切りではなく 、「困ったときはお互い様、うまくいったときにはお陰様」とい う和の精神を様々な機会に教えていきたいですね。 各学級でも補足していただければ幸いです。 さて、先週は、校内研の授業研究、社会科見学、そして土曜授業(学校公開)など、ありが とうございました。授業研究会の講師、朴木先生の話にもありましたが 、「言語活動の充実」 は、まず教師から見本を見せていくことが大切だと思います。暗唱でクラスの言語能力が上が った、言語能力が上がると学力が上がる…という話も興味深かったですね。 もちろん、ただやるだけでは効果がありません。学校全体で共通理解し、繰り返しながら、 手を替え、品を替えて取り組んでいくことが大切です。 1学期にお願いした「板八小暗唱詩文集」の学年選定も9月末までです。合わせて、よろし くお願いいたします。 〈資料〉 アリとキリギリスについて 冬になって暖かい部屋で静かに過ごしているアリの家へ、食べるものもなく住むところ もないキリギリスが訪れたときの結末は3つ存在するようです。 ① アリはキリギリスを家に入れて助ける。 ② アリはキリギリスを追い返して、キリギリスは死んでしまう。 ③ アリは「遊んでばかりいたからさ 。」とキリギリスに皮肉を言う。 ①は良く聞く話、②は意外な発見 ③は推定されるイソップ物語です。 筑波大学付属図書館のホームページ内、近世の出版文化のページによると、イソップ物 語は江戸時代の初期(1659年)に伊藤三右衛門によって『絵入伊曾保物語』として刊 行され 、日本に紹介されているようです 。タイトルは「 アリとキリギリス 」ではなく 、 『蟻 と蝉の事 』。いろいろと調べてみると、どうも③が原作に一番近い解釈であるようです。 イソップ物語は、紀元前6世紀頃のギリシャで書かれたとされています。その作家イソ ップ(Aesop)自身は何を書きたかったのでしょうか。当時彼が奴隷の身分であったこと からアリは彼自身の現在と未来を書きたかったのかもしれませんね。 あくまでもこれは推定ですが…。