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裁判所①
第4章 世界と日本の政治制度 裁判所① 司法権の独立 (1) 裁判所の独立 司法権はすべて最高裁判所および下級裁判所に属する (例外)弾劾裁判所の設置 (2) 特別裁判所の禁止 明治憲法下の行政裁判所や軍法会議などは禁止 (3) 行政機関による終審の禁止 最高裁判所=終審裁判所 ※公正取引委員会の審決のように行政機関による前審は可能 (4) 最高裁判所の規則制定権 (5) 最高裁判所による下級裁判所裁判官の指名 (6) 裁判官の独立 裁判官は良心に従い独立して職権を行使し、憲法及び法律にのみ拘束される。 1. 裁判官の任命と罷免 ① 任命 (1) 最高裁判所長官は内閣が指名し、天皇が任命する (2) その他の裁判官は最高裁判所が指名し、内閣が任命する 1 第 50 講 裁判所① ② 罷免 (1) 定年(最高裁・簡易裁 70 歳、その他の裁判所 65 歳) (2) 心身の故障 (3) 弾劾裁判 (4) 国民審査 2. 国民審査 国民が参加できるリコール制度の一つ。 (1) 最高裁判所裁判官のみが対象。 (2) 任命後、はじめての衆議院の総選挙の際に実施し、またそれから 10 年後の最初の 衆議院の総選挙の際、再度実施。以後それを繰り返す。 (3) 不信任の裁判官に×をつける。何も書かない場合には信任したとみなされる。 (4) 国民審査によって罷免された裁判官はかつて一人もいない。 3. 裁判官の身分保障 行政機関による懲戒の禁止、報酬の保障 違憲立法審査権 一切の法律、命令、規則または処分が憲法に適合するかどうかを決定する権限 (1) すべての裁判所が違憲立法審査権をもつ 違憲かどうかの最終判断は終審裁判所である最高裁判所が行う ※最高裁=「憲法の番人」。 2 第4章 世界と日本の政治制度 (2) 具体的な事件に対する判断に付随してのみ違憲審査権を行う(付随的審査制) ※抽象的審査制:憲法裁判所など、通常の司法裁判所とは別に設けられた特別の憲 法裁判所が、法案などの違憲性を抽象的に審査する (例)フランス、ドイツ、ロシアなどは憲法裁判所が行う。 3 第 50 講 裁判所① 4 第4章 世界と日本の政治制度 日本の司法制度が抱える問題やそれへの対策に関する記述として適当でないものを,次の ①∼④のうちから一つ選べ。 〔センター試験〕 ① 裁判官の独立を保障するため,最高裁判所が下級裁判所の裁判官の任命に関与する ことは法的に禁止されている。 ② 国民の司法へのアクセスを促進するために,法曹人口を増やすなどの司法制度改革 が進められている。 ③ 冤罪に問われた人を救済するため,無罪とすべき明らかな証拠が新たに発見された 場合などに,再審を請求することを認める制度が設けられている。 ④ 裁判に時間がかかり過ぎるとの指摘がなされており,裁判の迅速化を進めるための 法律を制定するなどの改革が行われている。 国民審査に関する記述として最も適当なものを,次の①∼④のうちから一つ選べ。 〔センター試験〕 ① 国民審査は,最高裁判所の裁判官及び下級裁判所の裁判官に対して行われる。 ② 国民審査の結果,罷免を可とする票の数が,国民審査の投票をした者全体の 3 分の 2 を超えなければ,その裁判官は罷免されない。 ③ 国民審査において,投票用紙に何も書かずに投票した場合,その票は無効とみなさ れる。 ④ 国民審査は,国民による一種のリコール制度であるが,国民審査によって裁判官が 罷免された例は,これまでにない。 5 第 50 講 裁判所① 日本はアメリカ型の違憲立法審査制を採用したが,日本におけるその運用に関する記述と して最も適当なものを,次の①∼④のうちから一つ選べ。 〔センター試験〕 ① 裁判所が違憲とした法律の規定を国会は改正しなかったが,別の事件で裁判所は再 びその規定を違憲とする判決を下した。 ② ある法律の規定を違憲であると判断した最高裁は,その法律の改正を国会に命じた。 ③ ある事件を扱っていた地方裁判所は,それに適用される法律が違憲であるとの訴え を受け,裁判を中断してその法律の憲法判断を最高裁に仰いだ。 ④ 国会で制定された法律が違憲だとして,国会議員の一部が最高裁にその法律の憲法 判断を要請し,最高裁はそれを受理し審査した。 6