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掛け替えのない命
1 題 材 名 「世界に一つだけ∼私の命、 みんなの命」 2 題材について 近年、 事故や災害、 紛争、 戦争など人の生死に関わる様々な情報がリア ルタイムで提供されたり、 様々なゲーム機器等では、 簡単にリセットする ことで命を復元できたり、 命を軽々しく、 あたかも再生可能なものとして とらえている子もいるという。 すべての命が掛け替えのないものであり、 命あるものを慈しみ、 敬い、 尊ぶことは、 人間尊重の基本的な精神であり、 豊かな人間性を培う礎であ る。 そこで、 生命に関する身の回りの具体的な事象を取り上げ、 自分の性、 命や健康、 安全について実感をもってとらえさせることが必要である。 特 に自己の誕生を見つめ命の連続を知るとともに、 死についても見つめるこ 掛け替えのない命 3 目 とが大切であると考え、 本題材を設定した。 標 (1) 自他の生命を尊重し、 大切にしていこうとする実践的な態度を身に付ける。 (2) 自他の生命が多くの人の愛情によってはぐくまれ、 掛け替えのないものであることを実感する。 4 教科、 領域等の内容的関連 (1) 道 徳 「家族愛」 (2) 理 科 「ちょうを育てよう」「植物を育てよう(1)(2)」「植物の育ちと花」 (3) 学級活動 「自分の体を見つめよう」「赤ちゃん誕生」 (4) 体 「毎日の生活と健康」 5 育 指導展開例 教 師 の か か わ り □命に関する実態調査の結果を提 導 示し、 学習への意識付けをする。 □昆虫や生き物を死なせてしまっ たことがないかどうかを聞く。 入 62 子供の思考の流れ・学習活動 ○命に関する言葉から、 自分がもつ命に対 留 意 点 ・事前調査より、 生 するイメージを思い起こす。 命に関する言葉の ・私と同じことを考えている人がいる イメージを提示す ・こんな考えをもっていた人もいるのか る。 ○自分の今までの生活を振り返る。 ・○○○のお世話を忘れて死なせてしまっ たよ ・おたまじゃくしを死なせてしまったよ (資料2) ・自宅や生活科など での飼育や栽培の 経験を思い起こせ るようにする。 導 □資料「ヒキガエルとロバ」を読み ○資料を読み、 命の大切さ、 すばらしさに ましょう。 どんな感想をもちま ついて考える。 したか。 ・アドルフたちはひどいことをするな ・読み物資料を配布 する。 (資料1) ・ロバさんはすごいな 入 みんなが、 一つずつ持っている命を見つめてみよう。 □アドルフたちは、 どんな気持ち でヒキガエルに石をぶつけてい ・おもしろ半分に たのでしょう。 ・カエルぐらい 「いいや」 と思っていた □ロバは鞭で何度も打たれたのに 展 ○アドルフたちの気持ちを考える。 なぜ道を変えたのでしょうか。 ○ロバの優しさや思いやりに触れる。 ・安易な気持ちに気 付かせる。 ・ロバの置かれてい ・傷ついてかわいそうだ る困難さや苦しさ ・つらかったろうな に十分共感できる ・カエルだって懸命に生きているんだ ようにする。 ・絶対助けてあげたい、 死なせたくない □通り過ぎたロバとヒキガエルを ○ロバの命に対する深い思いを見つめる。 見ていたアドルフたちは心の中 でどんなことを思っていたでし ょう。 □みなさんも自分たちの命を見つ めてみましょう。 ・自分たちは間違っていた ・みんな一生懸命生きている ・命はたった一つのものだから ・生き物にはすべて大切な命が ある ・命はお互いに大事に しなくては ・赤ちゃんの写真を 提示し泣き声、 笑 い声などを聴かせ る。 □みなさんの命がどのように生ま ○メッセージを聞き、 自他の命の大切さ、 ・赤ちゃんの映像と れ育てられてきたか、 子供が生 すばらしさについて思いを深める。 CD(音声録音)を まれたお父さんの、 みなさんへ ・みんなが支えてくれたんだなあ 掲示する。 のメッセージを聴いてみましょ ・こんなこともあるなんて驚いたなあ う。 ・私たちの家族の人もきっと同じ気持ち なんだな (資料3) ・自分の命と赤ちゃ んの命を重ね合わ せて思いをふくら 開 □心のノート (いきているってど ○自分の慈しみ、 はぐくまれている命を見 んなこと) を開いてみましょう。 つめ、 よりよく生きる希望や願いをもつ。 るようにする。 ・命を大切にこれからもいろいろなこと ・子供の思いの傾向 に挑戦したいなあ。 ・多くの人が見守ってくれているのだな あ。 終 命は、 みんなに支えられ、 守られ、 生かされているものなんだね。 自分の命もみんなの命も、 もっともっと大切にしていきたいなあ。 □今日の学習の感想をまとめまし 末 ませることができ によっては 「心の ノート」 P74、 75 (家族愛)の利用 も考えられる。 ○道徳メモにそれぞれの思いを書きとめる。 ょう。 63 し ぼ る か の よ う に 、 歯 を く い し ば っ て 足 に 力 を 入 れ た の だ 。 せ お っ た か ご が 横 に と つ 然 ロ バ は い な な く と 、 グ ー ン と 足 を ふ ん ば っ た 。 自 分 に 残 っ た す べ て の 力 を ヒ ヒ ー ン ! 農 夫 は 、 急 に 前 に 進 ま な く な っ た ロ バ に は ら を た て 、 何 度 も む ち を 打 っ て い る 。 め つ づ け て い た 。 て い る 小 さ な 生 き 物 に 鼻 を 近 づ け 、 友 だ ち を 見 る よ う な や さ し い 目 で じ っ と 見 つ く ぼ み の 中 の ヒ キ ガ エ ル は 、 も う 動 く 力 も な い よ う だ っ た 。 ロ バ は 、 目 を と じ も と で き ず を お っ て じ っ と し て い る ヒ キ ガ エ ル に 気 が つ い た 。 ロ バ の 息 が あ ら く な る 。 一 歩 一 歩 近 づ い て き た ロ バ は 、 そ の と き ふ と 、 自 分 の 足 ハ 農 ア 夫 は ハ 、 ア ぐ ⋮ い 。 ぐ い と た づ な を 引 っ ぱ り 、 む ち を 打 ち つ づ け る 。 」 ふ ら れ た 。 重 い 野 菜 が た く さ ん つ ん で あ る 荷 車 も 少 し 動 い た 。 ロ バ の 顔 は 、 さ ら 「 に 苦 し そ う に な っ た 。 」 ゴ ト ン 、 と 大 き な 音 を そ し て つ い に 、 車 輪 は ゆ っ く り と 動 き だ し 、 新 し い わ だ ち を つ け て い っ た の で 「 あ る 。 荷 車 は 、 ヒ キ ガ エ ル の い る く ぼ み の 横 を 、 ガ タ ン ︻ 6 資 料 資 1 ︼ ヒ キ 料 ガ エ ル と ロ バ め 子 が あ た ど 石 ヒ 気 う 一 雨 た 。 も を キ 持 わ ぴ あ っ た ぶ ガ ち っ き が ち つ エ 悪 、 飛 り た は け ル い な び の 、 口 て だ ! ん 出 は あ 々 や ぞ た だ し た に れ ! っ ! て け き 道 そ ! た た 。 う 。 。 学 さ け 校 び 帰 な り が の ら ア 、 ド ヒ ル キ フ ガ と エ ピ ル エ め ー が ル け た て ち 、 の 小 前 石 に を 、 投 ヒ げ キ つ ガ け エ 始 ル 」 た て な が ら 通 り 過 ぎ た の だ っ た 。 お い 、 も っ と 石 を 持 っ て 来 い よ 。 「 ヒ キ ガ エ ル は 助 か っ た 。 ア ド ル フ に 言 わ れ て 、 ピ エ ー ル た ち は 、 道 ば た か ら 石 を 集 め て き た 。 」 そ れ を 見 て い た ア ド ル フ の 手 か ら 、 石 が 足 も と に 静 か に す べ り 落 ち て い っ た 。 ヒ キ ガ エ ル は 、 子 ど も た ち に 追 わ れ な が ら 、 ど ろ ん こ 道 に あ る 車 の わ だ ち へ こ 「 ピ エ ー ル た ち も 何 も 言 わ ず に 立 っ て い る 。 ろ が り こ ん だ 。 わ ず か に 水 が た ま っ て 緑 色 を し た そ の く ぼ み の 中 で 、 ほ っ と し た 」 や が て 、 荷 車 の 音 も ロ バ の う れ し そ う な い な な き も 遠 く に な っ て い っ た 。 子 ど 気 持 ち に な っ た よ う だ 。 ゆ っ く り と 、 か ら だ に つ け ら れ た き ず を あ ら い 始 め た 。 「 も た ち は 、 く ぼ み の 中 で 小 さ く 息 を し て い る ヒ キ ガ エ ル と 、 遠 く 去 っ て い く ロ バ ち ょ う ど そ の と き 、 と し を と っ た ロ バ が 荷 車 を 引 い て や っ て 来 た 。 耳 も 聞 こ え 」 の す が た を 、 い つ ま で も い つ ま で も な が め て い た 。 ず 、 目 も よ く 見 え な い よ う な や せ た ロ バ だ っ た 。 荷 車 に も 、 せ な か に し ょ っ て い 「 る 大 き な か ご に も 、 野 菜 が い っ ぱ い に つ ま れ て い た 。 荷 車 に 乗 っ た 農 夫 か ら 、 た 」 ) 64 」 ) よ り ( ( 現 文 部 科 学 省 3 え ず ピ シ リ ピ シ リ と む ち で 打 た れ て い た 。 き っ と 一 日 の つ ら い 仕 事 と 長 い 道 の り 「 」 「 文 部 省 主 と し て 自 然 や 崇 高 な も の と の か か わ り に 関 す る こ と 小 道 学 徳 校 教 育 読 推 み 進 物 指 資 導 料 資 と 料 そ の 指 利 用 導 の 手 引 き に つ か れ は て 、 へ と へ と に な っ て 自 分 の う ま や に か え っ て い く と ち ゅ う な の だ ろ 」 」 出 典 う 。 一 歩 一 歩 ふ み し め る よ う に ど ろ ん こ 道 を 進 ん で き た 。 「 「 ア ガ ド そ ア タ ル っ ド ン フ ち ル た を フ ゴ ち 見 、 ト は て ヒ ン 、 い キ 見 る ガ ガ 守 ほ エ タ っ う ル ン た が の 。 面 や ゴ 白 つ そ 荷 ト う 車 ン だ に 。 く 。 ひ ぼ か み れ に る ロ ぞ バ 。 が 近 づ い て 来 る が 、 坂 道 に あ 「 る わ だ ち の あ と が で こ ぼ こ で な か な か 前 に 進 ま な い 。 ⾗ޣᢱ㧞ޤሶଏߚߜ߇߽ߞߡࠆࠗࡔࠫ ྵȪ̞͈̻ȫ ̹̲̠ͭ͡ ٤ᄢಾ ٤৻ੱߦ৻ߟ ٤↢߈ࠆߎߣ ٤ߊߎߣ ٤↢߹ࠇࠆࠆ߈↢ޔ ٤ߚࠎߓࠂ߁ᣣ ٤ᣂߒ↢ ٤߁ࠇߒ߈ߖ߈ޔ ̧ͥ ٤߁ࠇߒ ٤ߒࠊߖ ٤ߚߩߒ ٤߆ߥߒ ঘȪ̱ȫ ٤߆ߥߒ ٤ߥߊߥࠆޔᶖ߃ࠆ ٤ߎࠊ߿ޔ ٤ߐ߮ߒ ⾗ޣᢱ㧟ߩࠫ࠶ࡔޤ Ԙ⺀↢ߣળߩߘޔ༑߮ߥߤ ำࠍೋߡߚߩߪޔ㔚߇ߞߡᕆߢ㚟ߌߟߌߚ⌀ᄛਛߩ∛㒮ߢߒߚޕำߪ߅Უߐࠎߩᮮߢ࠲ࠝ࡞ߦ൮ ߹ࠇߡޔዊߐߥኢᕷࠍߚߡߥ߇ࠄޕߚߒ߹ߡߞ⌁ߣ߿ߔ߿ߔޔᜰࠍำߩᚻߦㄭߠߌࠆߣޔำߪߣߞߡ߽ዊߐ ߥᚻߢ߅ޔῳߐࠎߩᚻࠍីࠅߒߡߊࠇ߹ߒߚ߅ޕῳߐࠎߩਛߦߪߢ߹ޔᗵߓߚߎߣߩߥᄢ߈ߥᄢ߈ߥ༑ ߮߇ਛߦᐢ߇ߞߡ߈߹ߒߚ߅ޕῳߐࠎߪ߅ޔᲣߐࠎߣߦߎߩవޔ߽ߡߞ߇ߣߎߥࠎߤޔำࠍߞߡ ߎ߁ߣ࿕ߊᔃߦ߈ߚ৻⍍ߢߔޕ ำߩ⺀↢ߪ߅ޔῳߐࠎߣ߅Უߐࠎߩੱ↢ߩਛߢᧄޔᒰߦᦨ㜞ߩ༑߮ߢߒߚޕ ԙ∛᳇ߦߥߞߚߣ߈ ߣߎࠈ߇ਃᣣᓟޔำߪߦ߆߆ࠊࠆߣߡ߽㊀∛᳇ߦ߆߆ߞߡߒ߹߹ߒߚ∛ߚߢ߹ޕ㒮߆ࠄޔᢇᕆゞ ߢߣߡ߽ᄢ߈ߥ∛㒮ߦㆇ߫ࠇ߹ߒߚޕੱ߽ߩ߅ක⠪ߐࠎ߿⋴⼔Ꮷߐࠎ߇ำߩࠅࠍขࠅ࿐ࠎߢߣ߆ഥߌࠃ ߁ߣᔅᱫߦᴦ≮ߒߡ߹ߒߚޕำߩዊߐߥߦߪᧄ߽ߩ⚦▤߇ߟߌࠄࠇߥࠈࠈޔᯏ᪾ߦ࿐߹ࠇߡ߹ ߒߚޕ ߅ῳߐࠎߣ߅Უߐࠎߪᔃ㈩ߢޔᲤᣣޔᲤᣣޔᄛ߽⌁ࠇߥ߶ߤߢߒߚޕߣ߆ర᳇ߦߥߞߡ᰼ߒ⥄ޔಽߩ ߣำߩࠍ឵ߢ߈ࠆߥࠄޔ༑ࠎߢߘ߁ߒࠃ߁ߣᕁ߹ߒߚ߅ޕක⠪ߐࠎߚߜߩ ߥദജߢޔำߪዋߒߕ ߟర᳇ߦߥߞߡ߈߹ߒߚࡩ৻ޕᓟߣߞ߿ޔㅌ㒮ߔࠆߎߣ߇ߢ߈߹ߒߚߩ߈ߣߩߘޕ౮⌀ߪ߅ޔῳߐࠎߣ߅ Უߐࠎߩᄢಾߥቲ‛ߦߥࠅ߹ߒߚޕ Ԛߺߥߐࠎ߳ߩ㗿 ߺߥߐࠎߦવ߃ߚߎߣޕߔ߹ࠅ߇ߣߎߚࠄ߽ߡߞ߆ࠊޔ ࠃࠅߩᄢಾߐࠍࠊ߆ߞߡߊߛߐޕำߚߜߩߪ৻ޔߡߒߘޕߔߢߟ৻ߚߞߚޔᐲᄬ߁ߣߒߡ߽ߣߦ ߪᚯࠄߥ߽ߩߥߩߢߔޕ ߽ߒ∛ޔ᳇߿ࠤࠟߥߤߢޔࠍᄬ߁ࠃ߁ߥߎߣ߇ࠇ߫ޔߪੱߩߜ߁߅ߩࠎߐߥߺޔᷓᖤߒߺߦߊࠇࠆߎ ߣߢߒࠂ߁∛ޔࠄ߆ߔߢޕ᳇ߦߥߞߚࠄ߿߇ߞߡ߽∛ߦߋߔޔ㒮ߦㅪࠇߡⴕߊߢߒࠂ߁ޔߚ߹ޕෂߥߎߣ ࠍߒߚࠄߊߟ߈ޔᵈᗧ߽ߒ߹ߔޔߡߒߘޕࠃࠅ⥄ಽߩߪ⥄ಽߩ߽ߩߛߌߢߪߥߣ߁ߎߣࠍ⍮ࠅޔᄢಾ ߦᄢಾߦߒߡ߶ߒߣᔃ߆ࠄ㗿ߞߡࠆߩߢߔޕ ԛ᭽ߥޘߩᄢಾߐߣᗵ⻢ ߹ߚߡߞ߆ࠊޔߟ৻߁߽ޔ᰼ߒߎߣ߇ࠅ߹ߔޕ ߇ࠆߩߪ߅ޕࠎߖ߹ࠅߪߢߌߛࠎߐߥߺޔῳߐࠎ߿߅Უߐࠎߡߒߘޔࠅߩੱߺࠎߥߡߒߘޔേ‛߿ޔ ᬀ‛ߥߤߦ߽ࠆߩߢߔߩࠄࠇߘޕ߇ߔߴߡᡰ߃วߞߡߺࠎߥ↢߈ߡࠆߩߢߔߩੱޕߪേ‛߿ᬀ‛ߩ ࠍ㘩ߴ‛ߣߒߡߚߛ߈ޕߔߢߩࠆߡ߈↢ߢߍ߆߅ߩߘޔ ߘߩߎߣࠍߒߡᔓࠇߕޔᗵ⻢ߩ᳇ᜬߜࠍ߽ߞߡߊߛߐޕ 65