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EPTJ Newsletter from DKN Research
#0626、2006年6月25日 今週の話題 JPCAショー2006(その4:海外からの参加) 世界にプリント基板関連の展示会がたくさんある中で、JPCAショーは、もっとも外国 からの参加が多いイベントになってきています。今年も台湾、韓国を中心にさらに多く の出展がありました。装置や材料関係では、欧米企業の出展も少なくありません。また 視察のための海外の来場者も非常に多くなっています。こちらは、アジアの国々からが 中心で、欧米からはあまり来ていないようです。 以前は、台湾や韓国からの出展というと、だいたい最小限度のブースに垢抜けしない 展示で、いかにも安かろう悪かろうという代物が多かったのですが、この2、3年ずいぶ ん変わってきています。今年のケースで見ると、台湾、韓国の大手プリント基板メーカ ーは、日本メーカーに劣らないくらいの大規模のブースに、新製品や新技術を展示して かなりの注目をあびていました。また材料や製造装置でも、かなり高度の製品が多くな っています。また、ほとんどのメーカーが日本に営業拠点を設けているようです。それ でも、日本の先端技術を越えるまでの製品や技術はほとんどないようです。中国やそ の他の東南アジア諸国のメーカーの出展はまだ、安さだけで売り込んでいる例が多い ようです。 一方、アジア諸国からの来場者の多くは、先端技術情報の収集、設備や材料の調 達などが主要目的となっているようです。このようなアジア諸国のポテンシャルカスタマ ーを獲得すべく、多くの日本のメーカーが韓国語、中国語のできる担当者を配置してい るのが見受けられました。それも、ショーのためだけの通訳ということでなく、実際の海 外向けのビジネスを担当している社員です。中小企業でも、外国人を専門職としてかな り採用しているようです。 中国からの来訪者はもうひとつ大きな目的があるようです。それはプリント基板技術 の経験者の獲得です。中国である程度の資金力のある会社は、技術開発の時間を節 約するために、日本メーカーで製造技術を熟知した技術者を採用しようとしています。 これから定年を迎える団塊世代の技術者はターゲットになっているようです。ショーの 会場ではもちろん、5時以降は外でいろいろな交渉が持たれていたようです。ただ、こ の取引は、製品よりも難しくて、売手と買手の思惑がなかなか一致しないようです。売 手はできるだけ高く売ろうとし、買手は買ってから思ったほどに価値が出ないので、2、 3年で解約という例が多いようです。もっとも買手の方は、かなりドライに考えていて、 賞味期限はせいぜい3年で、使いきったらすててしまうつもりのようです。 日本のメーカーが、安い人件費を得るために、どんどん海外へ出て、国内の製造業 が空洞化することを危惧する意見がありますが、技術で先行していれば、世界の業界 をリードしていくことができると思います。JPCAショーが、海外から多くの企業や人を 集めているのは、日本メーカーがまだリーダーシップを取っているという証でしょう。米 国のIPC・EXPOが出展社だけでなく、来訪者についても、国外からの参加が少なくな -1- って、全体の規模が小さくなっているのに比べると、対象的です。ただ、日本のメーカー も現在の技術にあぐらをかいていると、韓国や台湾のメーカーにまもなく追いつかれ、 追い抜かれてしまうことは自明です。最近では極東の大手メーカーは大きな資金力を 持っていますので、その気になればかなりのことが短時間でできるようになっています。 日本メーカーの経営者は、このような環境下で、如何に生き抜き、成長していくかを考 えることが要求されているわけです。そのような目でこのような大規模な展示会を見る と、見えるものも違ってくるのではないでしょうか。 沼倉研史 DKN リサーチ 今週のヘッドライン 2006年6月25日 1. フレクストロニクス(シンガポールEMS大手)6/16 エンジニアの確保を容易にするために、インドで独自の技術大学を設立へ。 2. Sauquoit Industries (米国のベンチャー企業)6/5 画期的なアイデアのエッチング技術により、フレキシブルな繊維材料の上に電子 回路を形成する技術を開発。ウエアブルコンピュータへの大きな一歩。 3. デジタイムス(台湾の業界メディア)6/19 液晶パネルの市場在庫が増大していることに対応するために、台湾の大手メーカ ーは生産調整へ。従業員には積極的に休暇を取るようなガイダンス。 4. チーメイ(台湾の液晶パネルメーカー大手)6/16 上海郊外の寧波に建設していた新しい工場が竣工。液晶パネルとバックライトの モジュールの量産を開始へ。 5. ホンハイ(台湾のEMSメーカー最大手)6/19 フォックスコンのブランドで、独自のグラフィックカードの事業を立ち上げへ。 6. デジタイムス(台湾の業界メディア)6/19 台湾のノートブックPCメーカー大手4社の2006年における世界シェアは、合計で 70%を越える見込み。 7. Albemarle Corp. (米国の化学品メーカー)6/19 今後増大する極東の需要をにらんで、中国の南京に、リン系の難燃剤の製造工場 と技術・マーケティングセンターを設立へ。 -2- 8. AT&S(オーストリアの基板メーカー最大手)6/19 材料の手当はついており、松下電工オーストリア工場の火災事故による、生産計 画への影響はほとんどないと発表。 9. INCAP (フィンランドのEMSメーカー)6/20 基板組立て能力を強化するために、ジーメンスなどから、最新のSMT実装ライン を購入。0402部品の実装も可能に。 10.ISRAEL BUSINESS ARENA(イスラエルのメディア)6/20 イスラエルのエレクトロニクスメーカーの79%が技術者不足の状況。2005年末 の47%から大幅に上昇。イスラエル全体で1000名が必要。 11.ホンハイ(台湾のEMSメーカー最大手)6/20 台湾のデジタルカメラメーカー大手の、Premier Image Technology 社を、株式交換 方式で買収へ。 12.フォトサーキット(米国基板メーカー大手)6/21 最近の受注減に対応するために、従業員10名をレイオフ。再び倒産の可能性か。 13.ナンヤPCB(台湾の基板メーカー最大手)6/21 2006年第2四半期は、売上げ額、利益ともこれまでの最高を記録する見込み。IC サブストレートが大きな寄与。 14.ギガバイト(台湾のマザーボード大手)6/21 事業拡大のために、携帯電話の組立てサービスのビジネスに参入の計画。 15.Agfa-Gevaert (ドイツ系の光学フィルムメーカー)6/21 世界市場で銀が急騰しているために、プリント基板のフォトツールじぇ用のフィルム の販売価格を引き上げへ。 16.ジェイビルサーキット(米国EMS大手)6/21 2006会計年度第3四半期、売上げは前年同期比で34%増の26億ドル。利益は 8%増の6420万ドル。 17.アサステック(台湾のマザーボード最大手)6/22 中国上海地区に建設していた新工場が落成。製造を開始。 18.ASE(台湾サブストレートメーカー大手)6/22 第2四半期は若干スローダウンしているものの、第3四半期は10∼15%の売上 げ増を見込む。 -3- 19.ジェイビルサーキット(米国EMS大手)6/22 世界的な合理化のために、アイルランドの工場でも65名の従業員が失職に。 20.フォックスコン(台湾のEMS最大手)6/22 日本の自動化機器市場にビジネスを拡大するために、日本にR&Dセンターを新 設に。 21.Advanced Nanotech (米国のベンチャー企業)6/12 インクジェットプリンターを前提にした、安価な印刷半導体用のインクを開発。 22.Yunnan (中国の錫サプライヤー)6/23 シンガポールに合弁で、錫をリサイクル処理を行う会社を設立へ。 23.ルーヴェル(ドイツの基板メーカー大手)6/23 負債の1億25百万ドルも含めて、投資銀行へ全株式を売却へ。 (注)このヘッドライン・ニュース・レターは速報性を重視するために、若干の誤訳や数 字の変換に誤りがある場合もございます。ご了承下さい。 DKNリサーチ 栄泰産業株式会社 最近の興味深い文献から Articles of DKN Research 1. Digest Version of the 2006 Global Projection for Flex Circuit DKN Research, March 2006. http://www.dknresearch.com/GPFC2006.html 2. 「よくわかるICパッケージのできるまで」沼倉研史&J.ヴァーダマン、日刊工業新聞 社、2005年12月発行、1800円 Easy understanding Series, How to make IC packages , (Japanese only), Jan Vardaman & Dominique Numakura, Nikkan Kogyo Shinbun, December, 2005, 1800 yens. 3. 「先端実装インサイド、No.12.高密度実装への道(4)新しいICパッケージ」沼倉研 史、実装技術、2006年2月号 The latest semiconductor package, Part IV , Dominique Numakura, Electronics Packaging Technology, February, 2006 -4- 4. 「高密度フレキシブル基板の最新技術動向」沼倉研史、電子材料7月号別冊、実装 技術ガイドブック、2005 The Latest Technology Trends of the High Density Electronic Circuits , Dominique Numakura, Denshi Zairyo, the Special Edition of Jisso Guidebook, July, 2005 5. Technical Roadmap of High Density Interconnects with Flexible Substrates in Portable Electronics , Robert Turunen & Dominique Numakura, PCB Design Conference West, Mar. 10, 2005, Santa Clara From the Major Industry Magazines 1. Made in Europe , Pete Starkey, CircuiTree, May, 2006. 2. Running Pb-Free Reflow Profiles without Nitrogen , Eli Westerlaken, Circuits Assembly, May, 2006. 3. AOI: A Strategy for Closing the Loop , Peter Conlon, SMT, May. 2006 4. Nano Technology and PCBs (Could nano PCB miniaturization allow the IC world to finally merge with SMT?) Michael Shores, Printed Circuit Design & Manufacturing, March, 2006. 5. Socket Technology Validates High-frequency Devices , James Rathburn, Advanced Packaging, April, 2006 6. Acid-Based Machining Dissolves Part-Making Problems , William Leventon, MD&DI, February, 2006 -5-