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ガソリン車の排出ガスに及ぼす 自動車技術と燃料技術の影響

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ガソリン車の排出ガスに及ぼす 自動車技術と燃料技術の影響
Japan Clean Air Program
ガソリン車の排出ガスに及ぼす
自動車技術と燃料技術の影響
2005.9.9
石油産業活性化センター
飯塚 正
1 Japan Clean Air Program
日本の排気ガス規制
ガソリン乗用車
’73 規制 Emission Rate %
100
80
’78 規制 CO 2.10g/km HC 0.25g/km NOx 0.25g/km 60
40
20
0
1970
1980
1990
Year
2000 規制 CO 0.67g/km HC 0.08g/km NOx 0.25g/km 2000
CO
THC
HC 2010
2 Japan Clean Air Program
日本のガソリン品質 日本のガソリン品質
1996年からは大気汚染防止法により更に厳しい燃
料の品質規制が開始され、それに対応しております
鉛 硫黄 (Since Dec.31, 2004) ベンゼン (since Jan.1, 2000) MTBE 含酸素分 検出されず
0.01mass% max 0.005mass% max 1vol% max 7vol% max 1.3mass% max 3 Japan Clean Air Program
4
目的
1.既存車/既存燃料を用いた排出ガス・
蒸発ガスの実態把握および、自動車対
策技術/燃料対策技術の検討 2.排出ガス低減のための、新たな
車両技術と燃料技術の検討
内容
1.蒸発ガス試験(蒸気圧影響)
2.四輪車走行試験(硫黄影響)
STEPⅡ概要
4 Japan Clean Air Program
5
蒸発ガス試験
(蒸気圧影響)
5 Japan Clean Air Program
供試車両選定
選定の考え方
目的
既存車
モデル
車
LEV
車両選定
選定理由
・エミッションの現状
把握
・エミッションへの影響
把握(車両技術/
ガソリン性状
・国内96年型
97年型車両
・中央環境審議会答申
の対応車両にて
エミッションへの影響
把握(車両技術/
ガソリン性状
・1978年規制値比 ・既存車の選定基準
1/3を目標とした に準拠
車両
・対応可能なプロト車
・蒸発ガス対策:米国
規制対応仕様
・海外技術評価
・車両区分
・排出ガス対策
システム
・市場保有台数
・加州LEV及び ・既存車の選定基準
95年蒸発ガス
に準拠
規制適合車
6 Japan Clean Air Program
供試燃料 供試燃料
: 3種類 ・市場ガソリンの平均値性状
・市場ガソリンの性状範囲 (B)モデルガソリン : 1種類 ・低蒸気圧モデルガソリン
(A)既存ガソリン
Existing Gasoline Model gasoline Fuel Code G­1 G­2 G­3 G­8 RVP (kPa) 65.5 59.0 75.0 55.0 T50 (℃) 92.5 93.0 92.0 96.5 T90 (℃) 162.5 162.0 162.0 162.5 Aromatics (vol%) 29.9 30.0 30.0 31.8 Olefin (vol%) 11.0 11.5 10.6 11.1 7 Japan Clean Air Program
評価方法
蒸発ガス試験
・測定項目 : HSL,DBL,RL,キャニスター重量変化
・測定方法 : 平成9年中央環境審議会答申に基づく方法
(HSL、DBL)
JCAPで定めた方法(RL)
8 Japan Clean Air Program
蒸発ガス試験結果
市場平均性状の燃料(65.5kPa)での蒸発ガス
HSL+DBL(g/test)
RL(g/km)
試験結果
30
25
20
15
10
5
0
30
25
20
15
10
5
0
RL
GV52
GV01
GV54
GV60
GV05
GV61
GV70
DBL
HSL
GV52
GV01
Current
GV54
GV60
GV05
Prototype
GV61
GV70
LEV
9 RVP
(kPa)
GV52
GV01
Current
GV54
GV60
GV05
Prototype GV61
LEV 75.0
65.5
59.0
55.0
75.0
65.5
59.0
55.0
75.0
65.5
59.0
55.0
75.0
65.5
59.0
55.0
75.0
65.5
59.0
55.0
75.0
65.5
59.0
20
55.0
75.0
65.5
59.0
55.0
Change(g)
Canister weight
DBL (g/test)
Japan Clean Air Program
蒸発ガス試験結果 : 燃料性状の影響
試験結果(DBLへのRVPの影響)
40
30
20
10
0
40 30
NA
10
0
GV70
10 Canister weight change(g)
100
80
60
40
20
0
-20
-40
-60
-80
-100 RVP
(kPa)
GV52
GV01
Current GV54
GV60
GV05
Prototype GV61
73.0
64.0
60.0
54.0
75.0
65.5
59.0
55.0
75.0
65.5
59.0
55.0
75.0
65.5
59.0
55.0
75.0
65.5
59.0
55.0
75.0
65.5
59.0
55.0
75.0
65.5
59.0
55.0
RL (g/km)
Japan Clean Air Program
試験結果(RLへのRVPの影響)
10
8
6
4
2
0
GV70
LEV 11 Japan Clean Air Program
RLに及ぼす燃料タンク燃料油温の影響
10
●:Current 10
RVP=65.5kPa
RL(g/km)
RL(g/km)
RVP=55.0kPa
5
○:Prototype 5
0
0
10
10
RVP=75.0kPa
RL(g/km)
RL(g/km)
RVP=59.0kPa
5
0
5
0
40
45
50
55
Fuel Temp. in Fuel Tank at Test END(℃)
40
45
50
55
Fuel Temp. in Fuel Tank at Test END(℃)
12 Japan Clean Air Program
まとめ
(1)車両技術
l HSL、DBL低減にキャニスタ能力増大が効果のあるこ
とがわかった。
l RL低減にキャニスタ能力能力増大、燃料タンク燃料温度
の上昇抑制が効果あり、パージコントロールの影響も示
唆された。
(2)燃料技術
l キャニスタ能力が破過した場合、RVPの低減がDBL、
RL低減に効果があることがわかった。
l キャニスタ能力が破過しない場合、RVPの増加により
キャニスタ能力の重量は増加するが、DBL,RLにはR
VP低減の影響が見られない事が分かった。
13 Japan Clean Air Program
14
四輪車走行試験
(硫黄影響)
14 Japan Clean Air Program
15
四輪新技術車検討の考え方
・排出ガス目標は1978年規制の1/6(2000年規制の1/2)。
・将来のCO2排出量低減を踏まえ、直噴エンジンを
検討の中心に位置づける。
・最重要課題はリーンNOx触媒へのガソリン中硫黄分の影響
硫黄影響
硫黄以外
走行試験
燃料マトリックス試験
硫黄被毒再生試験 STEPⅡ概要
15 Japan Clean Air Program
16
供試燃料
Properties Sulfur Test Method mass ppm JIS K 2241 (Target) Density RVP Benzene Distillation g/cm3 kPa vol.% JIS K 2249 JIS K 2258 JIS K 2536 ℃ IBP ℃
10% 50% ℃
90% ℃
EP ℃
Research Octane Number Motor Octane Number Aromatics vol.% Saturates vol.% Olefins vol.% MTBE vol.% JIS K 2254 〃 〃 〃 〃 JIS K 2280 〃 JIS K 2536 〃 〃 JIS K 2260 Fuel Code
2G­01 2G­02 2G­03 2 22 86 (10) (30) (80) 0.7493 0.7496 0.7498 77.0 77.0 76.0 0.6 0.6 0.6 30.5 44.5 95.5 151.0 188.0 100.2 88.4 39.6 42.6 16.3 1.5 32.5 45.0 95.0 148.5 187.5 100.2 88.5 39.6 42.6 16.3 1.5 28.5 45.0 96.5 152.5 188.5 100.3 88.4 39.6 42.6 16.3 1.5 16 四輪車走行試験 Japan Clean Air Program
17
供試車両
Vehicle GVA Location Catalyst 1 Type Type GVD Stoichio MPI Lean Burn SIDI Lean Burn SIDI Lean Burn SIDI UB CC CC CC×2 TWC TWC TWC N.D. UB UB UB Location Catalyst 2
GVC 1/6 level of 1978 regulation Prototype Emission target Engine system GVB N.A TWC+ NOx Storage NOx Storage Reduction Reduction type TWC N.D. 17 四輪車走行試験 Japan Clean Air Program
18
試験手順
0 to 15000km Driving facility 1or2 15000 to 30000km 排出ガス測定:
Driving facility 2or1
Emission measurement test facility AorB ・11/10・15モード
Emission measurement test facility BorA Emission measurement test facility A & B (km/hr) 100
・CO/THC/NOx/ 未規制物質 走行パターン
長距離走行(その2)実施要領:参考モード
80
60
40
20 0 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 Second 18 四輪車走行試験 Japan Clean Air Program
19
2.0 CO (g/km, 10・15 mode) CO (g/km, 10・15 mode) 試験結果<10
vs. 走行距離> 10 ・15
15 モード・CO vs.
走行距離>
S=2ppm
1.5 1.0 0.5 target 0.0 S=22ppm 1.5 1.0 0.5 target 0.0 0 CO (g/km, 10・15 mode) 2.0 10000 20000 Mileage (km) 30000 S=86ppm
1.5 1.0 0.5 target 0.0 10000 20000 Mileage (km) 10000 20000 Mileage (km) 30000 GVA(MPI­三元触媒) GVB(直噴­NOx吸蔵還元触媒) GVC(直噴­NOx吸蔵還元触媒) GVD(直噴­NOx低減触媒) 2.0 0 0 30000 ・GVA(MPI車)は全走行距離で目標値以内。
・GVA(MPI車)は全硫黄レベルで走行による増加無し。
・全硫黄レベルで直噴車は走行によって排出量増加傾向。
・GVDの増加量が大きい。
・GVB、GVCは22ppmの15000→30000kmで減少傾向。 19 四輪車走行試験
Japan Clean Air Program
20
0.25 THC (g/km, 10・15 mode) THC (g/km, 10・15 mode) 試験結果<10
vs. 走行距離> 10 ・15
15 モード・THC vs.
走行距離>
S=2ppm 0.20 0.15 0.10 0.05 target 0.00 0 10000 20000 30000 0.20 S=22ppm
0.15 0.10 0.05 target 0.00 0 10000 20000 30000 Mileage (km) Mileage (km) THC (g/km, 10・15 mode) 0.25 GVA(MPI­三元触媒) GVB(直噴­NOx吸蔵還元触媒) GVC(直噴­NOx吸蔵還元触媒) GVD(直噴­NOx低減触媒) 0.25 0.20 S=86ppm 0.15 0.10 0.05 ・全車が全走行距離で目標値以内
・全車、全硫黄レベルともに走行による増加は僅か。
target 0.00 0 10000 20000 30000 Mileage (km) 20 四輪車走行試験
Japan Clean Air Program
21
0.25 0.20 NOx (g/km, 10・15 mode) NOx (g/km, 10・15 mode) 試験結果<10
vs. 走行距離> 10 ・15
15 モード・NOx vs.
走行距離>
S=2ppm 0.15 0.10 0.05 target 0.20 S=22ppm 0.15 0.10 0.05 target 0.00 0.00 0 NOx (g/km, 10・15 mode) 0.25 10000 20000 Mileage (km) 30000 S=86ppm
0.15 0.10 0.05 target 0.00 0 10000 10000 20000 Mileage (km) 30000 GVA(MPI­三元触媒) GVB(直噴­NOx吸蔵還元触媒) GVC(直噴­NOx吸蔵還元触媒) GVD(直噴­NOx低減触媒) 0.25 0.20 0 20000 Mileage (km) 30000 ・GVA(MPI車)は全走行距離で目標値以内。
・GVAは86ppmのみ、僅かに0→30000km 走行で増加。
・86ppmでは直噴車が走行により増加。GVCは
比較的増加が小さく、15000→30000kmでは
変化無しまたは減少。
・22ppmでは、GVB、GVDが走行により大きく増加。
21 四輪車走行試験
Japan Clean Air Program
22
硫黄の影響(30000km
30000km 走行後)
Mode Sulfur change, ppm 86→22 CO GVA(MPI) →
GVB(SIDI) →
GVC(SIDI) →
GVD(SIDI) ↓
THC GVA(MPI) ↓
GVB(SIDI) ↓
GVC(SIDI) ↓
GVD(SIDI) ↓
NOx GVA(MPI) →
GVB(SIDI) →
GVC(SIDI) ↓
GVD(SIDI) →
10・15 86→2 →
→
→
↓
↓
↓
→
↓
→
↓
↓
↓
11 22→2 86→22 86→2 22→2 →
→
→
→ →
→
↓
→ →
↓
↓
→ ↓
↓
↓
↓ →
→
→
→ →
→
↓
↓ →
↓
↓
→ →
→
→
→ →
↓
↓
→ ↓
→
↓
↓ →
↓
↓
→ ↓
↓
↓
↓ →:No Change ↓:Decrease
・硫黄低減により排出ガスは改善の方向。
・直噴車はMPI車より硫黄の影響が出やすい。
22 四輪車走行試験 Japan Clean Air Program
23
0.25 GVC(SIDI)
10・15 NOx 0.20 0.15 2ppm
22ppm
86ppm 0.10 0.05 GVC(直噴-NOx吸蔵還元触媒) 86ppmでは15000→30000kmで排出量減少傾向
触媒セル形状最適化、
空燃比/排気温度制御による
硫黄被毒回復技術を採用
硫黄被毒回復制御が 15000→30000kmで
入った。
target 0.00 0 NOx, g/km 0.4 0.3 10000 20000 Mileage (km) 30000 2ppmと22ppmでは
同様の傾向が
見られない
Variation of NOx
GVC
S=86ppm
0.2 0.1 0.0 15000km ATRI
四輪車走行試験 15000km JARI
30000km JARI 触媒にたまったSoxにより NOx吸蔵能力が低下。
↓ Noxが破過しやすくなった。
↓
運転条件等の変動により Noxオーバーフロー量が
大きく異なった
性能可の方両
NOx (g/km, 10・15 mode) 挙動の解析/考察-1 挙動の解析/考察-1
データがばらついた 23 Japan Clean Air Program
24
挙動の解析/考察-2 THC (g/km) 推定
10・15 mode @0km S=2ppm 0.025 0.020 GVB GVC GVD 0.015 0.010 0.005 0.000 0.00 0.02 0.04 NOx (g/km, 10・15 mode) NOx (g/km) 0.25 10・15 NOx
S=2ppm 0.20 0.15 初期THCは GVCが最も多く GVDが最も少ない
GVDは
硫黄分2ppmでも
走行により
大きくNOx増加
GVB
GVC
GVD
0.10 0.05 0.00 0 10000 20000 Mileage (km) 30000 GVC:
過濃空燃比の制御領域の
頻度を高くして、NOx低減、
硫黄脱離を図ったために THCがやや高め GVD: THC低減のため保温強化、
高排気温を狙ったため、
熱劣化が予想以上に進行
①直噴車
更なる排出ガス低減のためには、耐熱性と
耐硫黄被毒性を向上した触媒やNOx・硫黄脱離
の為の空燃比制御時におけるTHC低減技術、 CO2排出量にも視点をおいた高精度な空燃比
及び排気温度制御の開発が必要である。
②MPI車 CO2低減を目的としてリーン化が進んだ場合には、
同様の課題が想定される。 24 四輪車走行試験 Japan Clean Air Program
四輪車走行試験(硫黄影響)結果まとめ-1
1.走行開始前の排出ガス
・10・15モード、11モード共に全ての供試車両、全ての硫黄レベルで
目標値以内であった。
・硫黄レベルの影響は殆ど見られなかった。
2.30000km走行後の排出ガス
(1)10・15モード
①MPI車
・走行による劣化及び硫黄分の影響が小さく、硫黄分86ppmにおいても
目標値以内であった。
②直噴車
・MPI車より硫黄分の影響が大きいが、その程度は車両によって異なった。
・硫黄分86ppmでは、全車が目標値を超えたが、2ppmと22ppmでは
GVC1台が目標値以内であった。
四輪車走行試験
25 Japan Clean Air Program
四輪車走行試験(硫黄影響)結果まとめ-2
2.30000km走行後の排出ガス
~ 続き
(2)11モード
①MPI車
・走行による劣化及び硫黄分の影響が小さく、
硫黄分6ppmにおいても目標値以内であった。
②直噴車
・MPI車より硫黄分の影響が大きく見られたが、その影響度は
10・15モードよりは小さく、車両によって異なった。
・THCはGVBの硫黄分22ppmと86ppm、GVCの86ppmで
目標値を超えたが、COとNOxは全車が目標値以内で
あった。
四輪車走行試験
26 Japan Clean Air Program
四輪車走行試験(硫黄影響)考察まとめ-1
1.自動車技術
① リーンNOx触媒の耐硫黄性向上のためには空燃比及び温度制御によ
る硫黄脱離促進も重要技術の一つと考えられる。
② この技術は逆にTHC排出量、触媒の熱劣化といった面で不利であると
共に、CO2排出量の点でも直噴車のメリットを減ずることとなる。
③ 更なる直噴車(MPIリーンバーンを含む)の排出ガス低減のためには、
(ア) 耐熱性と耐硫黄被毒性を向上した触媒
(イ) NOx・硫黄脱離のための空燃比制御時におけるTHC低減技術
(ウ) 高精度な空燃比及び排気温度制御技術
の開発が必要である。
四輪車走行試験
27 Japan Clean Air Program
四輪車走行試験(硫黄影響)考察まとめ-2
2.燃料技術
① ガソリン中の硫黄分低減により、排出ガスは低減の方向
である。
② 硫黄分低減は燃料製造過程でのエネルギー消費即ち
CO2排出量増大というデメリットを生ずる。
③ 排出ガス低減システムの耐久性向上を目的とした硫黄
分低減には、燃料製造過程を含むライフサイクルでの
CO2排出量に視点をおいた検討も必要である。
四輪車走行試験
28 Japan Clean Air Program
29 
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