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No.35 平成27年 11月2日号

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No.35 平成27年 11月2日号
JAPAN
WAY
日本ラグビーが世界に大きな驚きを巻き起こしました。イギリスで開催されたラグビーワールドカッ
プにおいて、惜しくも予選リーグで敗退となりましたが、強豪国を連破したエディー・ジョーンズ率い
る桜ジャージの日本代表チームの戦いは、私にとって改めて「教育や子育て」の原点を教えられたよう
に思います。オーストラリア人のHCであるエディー・ジョーンズが、3年半にわたって指導した代表
チームの強化の方針は、
「JAPAN WAY(ジャパン ウェイ)
」と呼ばれるもので、言葉を換えると
日本人の良さを最大限伸ばし、戦う武器とするものでした。
私たちは、ともすれば、教育や子育てにおいて、
「課題解決」というスタンスで子どもに向き合うこと
が多いように思います。つまり、欠けている部分を補うことに、実に多くのエネルギーを費やしている
のです。しかしエディー・ジョーンズの指導のコンセプトは、
「自身の強みを知り、強みを磨く」なので
す。海外の強豪国の選手に比べて、体格や筋力で劣る日本人が世界で戦うためには、何より日本人の特
性である「敏捷性や勤勉性」を最大限に活かしたチーム作りをひたすら進めたのです。もちろん、その
特性を磨くために、早朝から暗くなるまで猛練習に明け暮れたことは有名な話です。
子育てやスポーツの指導においても言えると思いますが、とにかく私たちは、
「減点方式」による評価
を子どもたちにしてきたように思います。まず、欠点や課題を探そうとする。次にそれを直そうと躍起
になってしまいます。しかしそんな簡単に効果が上がらないから、イライラしてしまいます。そうする
と、必ずと言って良いほど口から出る言葉があります。
「何回言ったらわかるの??」
しかし、大人やコーチが大切にしなければならないのは、
「加点方式」による評価です。その子の長所
を「見よう、見つけよう、伝えよう。」のスタンスではないかと思います。平均的な人間を育てるのでは
なく、一つでも秀でたものを伸ばそうとする姿勢や、欠点より長所を伸ばそうとすることが、最終的に
は、大人になって社会に役立つ人間を育てることに繋がるのではないかと思います。
日本代表のスクラムコーチである、フランス人のマルク・ダルマゾコーチは、
「小よく大を制す」と常々
語っています。小柄だとスクラムを組むのは不利であるというこれまでの定説を見事に覆したダルマゾ
コーチの指導も、体格のサイズやウエイトでスクラムを組むのではなく、小さくても、軽量でも工夫す
れば、大きな相手を押し返すことができることを、これまた証明しました。
エディー・ジョーンズから学んだこと。それは、子どもたちにどんどんとチャレンジをさせること。
そしてどんどん失敗をさせること。ミスをしないように求める子育てや練習ではなく、
「ミスをすること
から成長できる」ことを子どもたちに実体験させること。
校長
五十嵐 信博
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