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《印刷用》ためしてガッテン:6月が危険! 徹底解明 いい汗と悪い汗

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《印刷用》ためしてガッテン:6月が危険! 徹底解明 いい汗と悪い汗
NHK総合テレビ 毎週水曜日・午後8時から放送中
http://www.nhk.or.jp/gatten/
6月が危険! 徹底解明 いい汗と悪い汗
2007年6月20日放送
今回の番組について
この時期、ベタベタして不快だと感じる汗。そんな気になる汗を徹底解明! すると、本当に体にいい汗
と悪い汗があることがわかったのです!
たった1週間でいい汗がかける方法から、顔の汗を止める裏ワザまでをご紹介します。
オープニング
問題:背中、胸、脇の下、手。この4つのうち、汗腺の数が最も多いのはどれ?
答え:手のひら
問題:額、腕、胸、脚。汗腺の老化がおこりやすい部分は?
答え:脚
問題:ある吹きガラス職人が汗をたくさんかいたとき経験する、足に出る症状とは?
答え:つる
※つる、筋肉のこむら返りは、熱中症の症状の一環として考えられます。
「顔の汗を止める裏ワザ」
20代の男性に、一度お風呂で汗をかいてもらいました。そのあと、体の汗をふきとり、再度、体から汗
が出てくるのを待ちます。すると、2分後に不思議な現象が起きました。鼻の下を見ると、片側にだけ汗
をかいていたのです。
実はこれ、片方の脇の下を棒で押し続けたため。これは、半側発汗(はんそくはっかん)と呼ばれてい
る現象です。脊髄(せきずい)のいろいろな部位を介して起きる反射(皮膚圧発汗反射)によって起こ
ると考えられています。
ポイント
汗を止めすぎると、顔の部分の体温が上がってしまい危険ですので、汗をかきはじめた時、一時的に、
手で両脇の下のろっ骨を押さえることをオススメします。
「あなたはどっち? いい汗 or 悪い汗」
20代の男性2人に汗かき実験をしてもらいました。室温が35度に保たれている部屋に入り、脚は41度のお
湯につかって、2人の汗の出方と、腕から出る汗の量を比較してみます。
実験開始後、Aくんはすぐに汗が出たのに対して、Bくんは20分後ようやく汗が出てきました。Bくん
は、実験に立ち会った先生から、このまま汗が出ないと危険と言われてしまいました。実は、Aくん
とBくんの汗は、まったく性質が違うものなのです。
集めた2人の汗をシャーレの上で乾かしてみると、16時間後、Aくんの汗はほとんど乾いていたの
に、Bくんの汗はかなりベタついていたのです。まだ水分が残っていました。いったいどういうこと?
いい汗と悪い汗の比較
Aくん(いい汗)
Bくん(悪い汗)
すぐに汗が出る
なかなか汗が出ない(危険)
サラッとしている
ベタベタしている
塩分濃度 低め
塩分濃度 高め
体温を上手に下げる
体温がなかなか下がらない
悪い汗は、不快な上に、いい汗よりも多くの塩分を外に出してしまいました。では、悪い汗が引き起こ
す恐れのある危険な病気とは……。
「発生!悪い汗」
汗と関係が深い病気といえば、熱中症。全国で年間200人以上の人がなくなっているのです。
暑い場所にいると汗が出るのは、体温が高くなるのを防ぐためです。そのメカニズムは、我々の脳にあ
りました。
脳の視床下部という場所には、人間の体温を調節する「体温中枢」があります。体温中枢は、汗を出し
たり、血管を開く指令を出して、体温を一定に保つ仕事をしています。
暑い場所で体内の体温が上がると、体温中枢は、まず皮膚の血管を開く指令を出します。すると、体表
面の血流が増え、熱が放出されるのです。汗が出ない人は、こうして体温を下げようとするのです。血
液が皮膚の近くに集まりすぎると、脳への血流が減少するので、場合によってはめまいや立ちくらみと
いった症状が出てしまいます。ここでさらに体温が上がると、体温中枢は汗を出す指令を出すのです。
先ほどの実験でBくんが20分ほどしてから急激に汗をかきはじめたのは、このためだったのです。悪い汗
を一気に大量にかくと血液がドロドロになってしまい大変危険な状態になるのです。
汗と塩分と水分の関係
塩分は、全身の筋肉を動かすためにはなくてはならない大切なもの。塩分が体内で不足すると、けいれ
んや筋肉のこむら返りが起こる場合があります。
実は人間の血液の水分量は、塩分の量で決められています。悪い汗を大量にかいた場合、水分とともに
塩分が失われます。ここで、水分補給を行っても、血液の塩分がそれ以上うすくならないようにするた
め、飲んだ水分は尿として排せつされてしまい、体に吸収されないのです。
血液ドロドロの状態が回復しないと、最終的には汗をかかなくなります。すると体温も上昇してしま
い、42度以上になると死んでしまうこともあるのです。これが熱中症の怖さです。つまり、水分補給だ
けでは体内の脱水状態は回復しないのです。
なぜ、汗から塩分が多く出る人と、出ない人がいる?
人間の体温調節の時に働く汗腺は、皮膚表面にある「エクリン汗腺」です。エクリン汗腺は、下にポン
プ(分泌管)があって、皮膚表面までは汗を出す通路があります。
脳の体温中枢から汗を出す指令がくると、エクリン汗腺の細胞が働き、周囲の毛細血管からナトリウム
を取り込もうとします。ポンプにナトリウムを多く取り込むことで、浸透圧の原理を使って血液の水を
吸い上げているのです。
ポンプに水分がたまったら汗として皮膚表面に出すのですが、このとき出口付近で取り込んだ塩分を、
血液に戻して再吸収させる働きがあります。悪い汗の場合、この再吸収機能が低下しているため、塩分
を外に多く出してしまっているのです。
では、機能が低下している人はどうすればいいのでしょうか?
「体質大転汗 出てこいいい汗!」
30~40代の女性5人に参加してもらい、「自転車こぎ、ホットヨガ、サウナ、岩盤浴、半身浴」とい
う、5つの人気の汗かきメニューで、いい汗がかけるか実験です。それぞれの汗かきメニューは20分か
ら1時間です。
8日後に、汗のかき方に変化があったかどうか聞いてみると、5人中4人の方で変化がありました! いい汗
をかくことは、意外と簡単にできちゃったのです。しかし、1人だけ「実感としては汗の変化がない」と
いう答えでした。
汗かき実験の結果について
結果として、汗をかくトレーニングをすれば、ほとんどの人は汗の出方が速くなり、量も増え、さらに
塩分の再吸収もよくなっていい汗をかけるようになりました。
汗の変化がないといっていた人のメニューは、半身浴でした。しかし、半身浴の方の実験データを見る
と、わずかですが、汗の出方はよくなり、出る塩分濃度も低くなっていました。また、サウナや岩盤浴
でも、汗の量が減ったり、再吸収が高まったりするという結果になりました。
今回の実験は1人だけのデータでもあり、“今回の実験の範囲内では”効果がなかったというだけで、“サ
ウナや岩盤浴そのものが効果はない”ということではありません。サウナや岩盤浴も、長期的に行うこと
で、いい汗をかく汗腺トレーニングになります。
悪い汗をいい汗にするには、運動が一番!
一方、自転車こぎやホットヨガは効果が顕著に出ました。体を動かしながら汗をかくトレーニングをす
れば、体内の血液量や体液量を増やしてくれるため、体内に多くの水分を蓄えることができる体になる
のです。
さらに、いい汗にすれば、出る塩分も少なくなるため、汗の蒸発も早くなる効果があります。
まとめ「熱中症予防のために汗腺トレーニングでいい汗をかこう!」
熱中症は、急に暑くなり始める6月下旬から急激に増加します。暑くなる前から汗腺トレーニングをして
汗をよりいい汗にすれば、こうした危険を予防する効果が期待できます。
番組でも実際に、悪い汗だったBくんにも挑戦してもらいました。
AくんとBくんの汗が違う理由
Aくんは常に運動をしている人で、大学のテニス部で1週間に3回は運動をしています。一方、Bくんはこ
こ最近運動をまったくしていませんでした。
そこで、Bくんに軽いジョギングを1日30分、1週間続けてもらいました。その結果、汗の量がぐぐっと増
えて、塩分濃度もAくんと同じ濃度にまで下がったのです。
汗腺トレーニング
ジョギングまたはウォーキング(1日30分程度)
水分と塩分の補給を忘れずに!
※水1リットルに対して塩2グラム
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