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カリフォルニア大学群におけるGlobalHealth およびカリフォルニア大学
45 カ リフォルニア大学群 にお ける Gl obalHe al t hお よびカ リフォルニア大学、 t hCent er-の取 り組み デ ィビス校 における OneHeal お よびカ リフォルニアラッコの生態、歴史的背景、 保護並びに研究 Theappr oachf orGl obalhe al t hatUni ver s i t yofCal i f or ni as chool s and' OneHea lt hCent er'atUni ver s i t yofCal i f or ni a,Davi s andbehavi or ,hi s t or i c albac kgr ound,cons er vat i onand r e s e ar choft hes out her ns eaot t er 笹 岡 香織 1、J o maA. K. Ma z e t 2 、 石井 猛 3 Ka o r iSa s a o ka l , J o maA. K. Ma z e t 2 , Ta ke s h il s hi i 3 1カ リフォルニア州立大学、デイ ビス校、獣 医学部、獣医学科、大学院生 2カ リフォルニア州立大学、デイ ビス校、獣医学部教授並びに Wi l d l i f eHe a l t hセ ンター長 3岡山理科大学 l Uni ve r s i t yofCa l i f o ia m , Da v i s , D. V. M, g r a d ua t es t ud e n t ia m ,Da v i s , D. V. M, MPVM, Ph. D, a ndt hed i r e c t o r 2 Uni ve r s i yo t fCa l i f o o fWi l d l i f eHe a l t hCe n t e r 3 0ka ya maUn i ve r s i yo t fSc i e nc e さま ざまな疾病 によって、世界中で多 くの人間 が死亡 してい る。 医療の進歩によ り、その死亡原 因 も現在では、多岐にわたっていることが分かっ てきてお り、人間 と動物の深いかかわ り合いによ り、動物 ( 家畜な らびに野生動物) を宿 主 として 感染す る疾病 ( 鶏インフルエ ンザ、結核)、昆虫な どか らによる感染 、疾病 ( マラ リア、南メキシコ にお ける妊婦のバ ッタの捕食 に よる鉛 中毒) な ど が大 きな問題 となってきてお り世界的な流行病 と して認識 され始めている。人間の寿命が 40歳か ら 80歳に延びたことか ら、更に大 きな影響 を与える ことは必須であるが、各国による認識 の違い、ま た、更に隠 された因子、要因な ども推測 され るこ 998年、ク リン トン大統領が G8の会合 とか ら、1 において、初 めて これ らの現状、傾 向、流行につ いて政治的公約 を発 し、現在のオバマ大統領 にい 0億 円もの経費 を費や して解明、 ては、年間に 63 解決 にわた ることを提示 してい る。 カ リフォルニ ア州 において も、その土地柄 、例 えば、海外か ら の物資の輸 出入や海外か らの観光客 によ り持 ち込 まれ る可能性のある疾病の危険性 の高 さ、メキシ コか らの移 民数 の増加 な ども手伝 い、 この間題 に Gl o ba l は大 き く注 目してお り、 2009年 6月 8日に 「 He a l t h」学会が行 われ、現行 9校 あるカ リフォル ニア大学群か ら国連 メンバーの一員 も含 めた専門 家 も介 し、カ リフォルニア大学群 がそれぞれ特化 した分野 において一同にこの間題 に取 り組む こと を提唱 してい る。カ リフォルニア大学群の中で も デイ ビス校 は、獣 医学的分野で非常に優秀 な教授 群 を有 し、更 には、野生動物の領域 では他 に類 を o b a l み な い経 験 豊 富 な 専 門家 が い るた め 、 Gl He a l t hの一つ として 「 OneHe a l t hCe nt e r 」を設 置 し、その参加 リス ト中には、カ リフォルニア大 学群 はもちろんの こと、タイ、イ ン ド、フィリピ ンな どのアジア地域 か ら、オランダ、スイ ス、フ ランス、イ ギ リスまでにもわた るヨー ロッパ各国 が参加 してい る。 ここで、アジアでは屈指の技術 を保持 し、かつ、 さま ざまな分野において専門家 が介 してい る学会 を有す る 日本 の参加 も要請 を受 けている。 人間 とのかかわ り合いが深 く、野生動物 におい て経験豊富な専門家の もとにおいて、ラ ッコは、 非常にユニー クな生態、歴史的背景、研究がなさ れてい る。 ラ ッコは、イ タチ科 に属 し、その中で も一番大 きな脊椎動物であ り、海上でほぼ 1日を 過 ごす。 その体 温 を保持す るために、体 重 の約 2530%もの食料 を必要 とす るため 日に幾度 も潜 水 し、必要 となる食料、例 えば、 ウニ、ア ワビ、 イカな どを得てい る。また、ラ ッコの生息には昆 布 が必要不可欠であ り、その昆布 に体 を絡 めるこ とによ り、海流 にのって生息域か ら離れない よ う に した り、親が食料 を得 るために潜水す る際には、 その子供 を昆布 に絡めることによ り、子供を守 り、 かつ、潜水後の晴乳な どを円滑にさせてい る。 ラ ッコの持つ毛は体温調節 には非常に重要な役割 を m2 担ってお り、その毛は 2層か らな り、お よそ 6c に1 00, 000本 もの毛 をもつ。 ラッコは、1日のほ ぼ大半を毛のグルー ミングな どを行い、水に抵抗 性のある毛を維持す ることによ り、温度変化 の激 しい海 と環境 に耐 え うるよ うに体温調節できてい 46 す る。 しか し、1 700年か ら 1 800年代 において、そ の毛皮 を 目的 として乱獲 され 、約 1 5000頭 か ら 30000頭いたラッコが、2000頭 か ら 1 000頭 まで に減 り、 ほぼ絶滅 の危機 まで に達 した。 その後 1 91 1年 に、国際的にラ ッコの毛皮 を取 り締 まる条 約 によって、1 93 8年 にはお よそ 1 00頭が残すのみ となった。そのため、アメ リカ絶滅危倶種保護法 の もとで、絶滅危倶種 として認 定、保護 されてい る 野生カ リフォルニアラ ッコの数 は徐 々に増加 し、2007年 には、お よそ 25 00頭 がカ リフォルニ ア沖にて確認 されてい る。 しか しなが ら、現在 に おいては、人間 との共存 による海の環境 の変化 、 例 えば、船 な どか らのオイル もれ によるラ ッコの 毛の水-の抵抗性減少、昆布 の減少や トキ ソプ ラ ズマ、細菌、真菌な どによる感染症 による死亡、 漁業 との兼ね合いな どによ り、予断 を許 さない状 。 況であ り、ラ ッコの頭数 の増加 も非常 に緩やかな 増加である。また、ラ ッコの死亡率が上昇す るよ うなことがあれば、その原因を迅速 に究明、解決 す る必要があるため、カ リフォルニア州政府 関係 者やカ リフォルニア州立大学の生態学者 、獣医師 な どによ り、懸命 にその生態学的、獣医学的な研 究がつづけ られ、年 に一度その研究内容、成果 を 発表 してい る。近年では、野生のカ リフォルニア ラ ッコを捕獲、無線送信器 を装着、追跡 、一定期 間後の取 り外 しを実施す ることによ り、生態的な 行動 を確認 、デー タ解析 を行 うことで さま ざまな 情報 をえることも可能 となってきている。今後 、 この無線送信暑削こよって記録 された体温や正常な 生態の指針 となる潜水行動 を体の栄養状態 な どと 比較 しなが ら統計学的に解析す ることによ り、予 想できる因子 を究明 してい くことが必要 となる。