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参照資料 - Glycoforum
セ ン トラル ・ ドク 要な存在 なのではないか、 と考 え られ るのである。 『 科哲』第 5号 (2003年 せん )に 、 “「DNA二 重 ら 50年 」 にお け る知 の呪縛 とそ の解放 "と 題 さて糖鎖 とは何か。文字通 り「糖 の鎖 (く さり)」 して拙 稿 を載せ てい ただ い た。生命 の理解 には要 であ る。以前 はブ ドウ糖や果糖 とい った一 個 の糖 素還 元 主義的 な単一 な論理 ではな く、多要因の 関 分子 (単 糖 )の ほか に、数個 の 単糖 が結 合 した も 係性 を扱 える トー タル なシス テ ム と して の視 点が の (オ リゴ糖 )、 単糖 が長 く鎖状 に連 なった もの 必要 であ るこ とに触れ た もの であるが 、今 回 はそ としては 、例 えばグ リコー ゲ ンや澱粉 の よ うなブ の論 を前提 と した上 で、 現在 世界的 な課題 とな り ドウ糖 のみ が連鎖 した鎖状分子が知 られ ていた。 つつ あ り、我 が国がその先端 を担 ってい る 「糖鎖」 しか し 20世 紀 に入 つて生化学 が生理 学か ら分か に焦 点 を絞 って、具体的 な問題 の一 端 を述 べ てみ たい。 我 々 の身 体 の大 部分 はお よそ 50兆 個 もの細胞 に よって構成 され 、細胞社会 を形成 してい る。 こ の社 会 の形成 と保全 の仕組 み は細胞 間 の 高次 の相 互作 用 に よる もの と考 え られ 、そ の研 究は細胞社 会学 と呼 ばれ る。従 って受精 、発生 ・ 分化 、再生 な どの形 態形 成 、免疫 、脳 ・ 神経機 能、な ど、細 胞 間 の相 互作 用が高度 な階層 的秩序 を構成 してい る機 能構 造体 の理解 には細胞 社会学 的視座 が強 く 要請 され る。 この よ うな視点 に立つ と、 多 くは細 胞膜 の表 面に存在 し、従来そ の意 味 が よ く判 らな か つた糖 鎖 が 、細胞社会 の構 造体 の 、い わば謎 の 司令 塔 と して強 く関与 し、我 々の従 来 の生命機 能 観 に何物 か を付与 して新 しい ドグマ を提供す る重 図 1 DNA鎖 塩基配 れて誕生す る と、生物体 では よ り複雑 な鎖状 の糖 伝子 を中心 として進 め られた ヒ トの が存在 し、 しか もそれ が蛋 白質、脂 質 な どと結合 列 の解読 が一段落 した現在 、 いわ ゆるポス トゲ ノ した複合糖質分子 と して存在 す るこ とがわか って ム解 読完 了時代 に入 つた との声が聞かれ る。糖 鎖 きた。糖 蛋 白質、糖脂 質、 プ ロテオ グ リカ ンが代 は蛋 白質 が知 られ る遥 か以前 の 表的な複合糖鎖分子 で ある (図 1)。 生物機 能 と 研 究 が進 め られて いた。核酸鎖 に至 っては研 究の しては 1930年 頃 まで はエ ネル ギー源 と しての重 開始 は 要性 が主 に注 目され ていたが 、そ の後複合糖 鎖分 わ らず 、生命 活動 に必須 な生命鎖 と しての機能解 子が生命機能 の よ り本質 的 な役割 に与 ってい るこ 明は第 とが次第 に明 らかにな って きた。 1980年 代 中頃に ま った。構造解析 に して も、前 二者 の配 列決定の 英国オ ックスフォー ド大学 を中心 に糖鎖生物 学 (グ 自動化 、更に は、 自動合成機器 の 開発 が現在 ほぼ リコバ イオ ロジー)、 1990年 に 日本で糖鎖工学 一 段 落 したの に対 して、糖鎖 では開発 が漸 く上昇 (グ 19世 紀 中葉 か ら 20世 紀 に入 つてか らで あ った。 に もかか 1、 第 2生 命 鎖 よ りも遥 か に立 ち遅れ て し リコテ クノ ロジー )と い う名 称 が誕 生 し、それ に の端 緒 をつかみつ つ あ る とい つて よい。糖鎖 の一 応 じて糖鎖 (グ リコチ ェー ン)の 概念 が認 め られ 次構造 はそれ ほ ど複雑 なので ある。 ア ミノ酸や ヌ ´ ′ るに至る。 ク レオチ ド単位 が 単純 に直列 的 に連 な るのに対 し 更に現在 では、糖鎖 は、第 1の 生命 鎖 としての て、糖 鎖 の単位 で あ る単糖 に は、例 えば 1→ 1→ 6な どい くつ もの 可能性 が 核酸鎖 (DM、 RNA)、 第 2の 生命鎖 蛋 白質鎖 に次 1→ ぐ第 3の 生命鎖 として知 られ るよ うにな つた あるのに加 えて 、結合様 式 に αや そ のエ ピ体 、 β (図 3、 1→ 2、 4、 の立体 異性 が ある。 更に鎖 の 枝分 かれ もある。 蛋 2)。 蛋 白質鎖、核酸鎖 と、謎 の解明 が進み 、遺 白質鎖 の場合 、例 えば二つの ア ミノ酸 か ら成 る ト 一次 構造 蛋 白 ふ 子 質 コ リペ プチ ドにつ いて 、蛋 白質 を構 成す る 江 20種 類 のア ミノ酸か ら二 つ が選 ばれ る可能 な組 み合 わせ は理論的 には 20× 20× 20=8,000と なる。 しか し ´ ︱ 糖鎖 の場合 の 数 は、人体 に見 出 され る 9種 類 の 単 蛋自質分子 糖 か ら同 じく三つ が選 ばれ る可能 な トリサ ッカ ラ ´ ︱ イ ドの組 み合 わせ は 119,736と い う膨 大な数 にな る こ ととなる。加 えて糖鎖 の複雑 さに よるプ ロ任 DNA分 子 せ の 開鎖性 も さる こ となが ら、そ の 関与す る研 究 i梼 分野 の 幅 が広 い。 後 に触れ る よ うに、糖鎖機 能 を 酸分子 解 明す るにはいわ ゆ る学際、複合領 域 として 、殆 糖脂質分子 血液型 ん どす べ ての科学研 究者 が取 り組 む必要があるこ 懇 嘴亡 郷 とが益 々 はつ き りして きてい る。 それ には誰 もが 糖鎖 の 問題 に容 易 に近 づ き取 り組 め る、オー プ ン i:_ド な研 究 の場 が必 要 で あ り、そ のた めの必要条件 と 図 2 して構 造解析 法 の 自動化機器 の 開発 が 緊急 に求 め 56 られ てい る。 チ ップ化 を含 めて 自動化 の成功 が何 の違 い に よ り異 な る糖鎖 の出現 、③発 生 。分化 の を齋 したか、その意義や重要性 は蛋 白質鎖や核 酸 進行段 階 に応 じて異 な る糖鎖 の 出現 、④細胞 の 種 鎖 の場合 に既 に実証済みである。 類 が 異 な ると異 な る糖鎖 の 出現 、な どの多彩 な異 種機 能である。即 ち これ を総合 してみ る と糖 鎖 は ここで糖鎖 の機能 につ いて これ まで にわか って “ 細胞 の顔 "を な している といつて よいであろ う。 い るい くつか の例 を挙 げてみ よ う。例 えば、古 く また 、がんは “細胞社会 の 乱れ "と して把 える か ら知 られ て い る血液型 は糖鎖 に よつて決 定 され ことがで きるが、細胞 のがん化 の信頼 で きる 目印 てい る。 図 2に 示す よ うに、A型 物質 と B型 物質 として “ 糖鎖 の乱れ "が 以前 か ら指摘 され てい る との違 いは共 通糖鎖 の末端 のガ ラク トー スに N一 (箱 守仙 一郎 に よるがんにお ける糖 鎖生合成 不全 アセ チル ガ ラク トサ ミンが α l→ 3で 結合 してい 説 )。 感染は細菌細胞や ウィル ス な ど外 来性 因子 A型 であ り、ガラク トースが 同 じくα l→ の細 胞社会 へ の侵入 を もつて 開始 され るが、 ここ るのが 3で 結合 す る と B型 にな る。 この意味 で蛋 白質鎖 で も糖鎖が主要 となる。 や核 酸鎖 の場 合 と異 な る。 蛋 白質 をア ミノ酸鎖 に 私た ちは、近代 医学 の始 ま りをジ ェンナーや パ 伸 ば して機能 部位 と して例 えば酵素蛋 白質 の触 媒 スツールの フクチ ン療法 の 開発 と して提 えてい る 部位 の存在箇所 を探 る と、い くつ かの箇所 に局在 が、 この ワクチ ン作用 を担 つてい る主要 な分子 は (DM)の 場合 で も、遺伝 子機 細菌細胞の表 面に存在す る糖 鎖分子 で あ る。 最近 能部位 は局在 す るが、蛋 白質 と比 べ る と纏 ま りを では、 ヒ トイ ンフル エ ンザの感 染予防 あ るい は治 分散 す る。核 酸鎖 もつて存在 している (図 2)。 療薬 の新 たな 開発 が進 め られ てい るが、 この 場合 哺乳動物 の 蛋 白質 の約 半分 は糖鎖化 され て い る とい う。我 々 の血液 に存在す る蛋 白質 は血清 アル に も ウィル ス と細胞 の遭遇 を取 り持 つ 分子 と して 糖鎖分子 が注 目されて い る。 ブ ミンを除 けば殆ん どが糖鎖化 され てい る。 糖鎖 免疫 学は この よ うな感 染機構 の解 明 を 目指 して 化分子 は蛋 白質 と結合 した糖 蛋 白質 、脂質 と結合 進 んできたのであ るが、 これ は 自と他 の識別認識 した糖脂質 、蛋 白質 と結合す るが分子 の大 部 分 を 機構 の解明で あ つて 、免疫 の本性 はむ しろ 自と自 長 い 鎖 の糖鎖 が 占めるプ ロテオ グ リカ ンの三 種類 の識別認識 を主役 とす る。身体の発 生 。分化 にお に大別 され るが、その大部分 は細胞膜 に存在 し、 い て この仕組 みが活動 してお り、発 生・ 分化途 上 しか もそ の表面側 に存在 してい る (図 にある細胞 の異 常 あるいは成 体 で生 じた細胞 の異 1)。 また、がん、感染症 、免 疫異 常 な どは細胞 社会 常は認知 されツト 除 され る。 い わば “自然免疫 "が の 舌Lれ として アプ ロー チす る視 点 も欠 かせ な い。 私た ちの身体 の成 立 、発 生、保全 の 面にお いて活 そ こにお いて 、細胞 の表 面 に存在 す る糖鎖分 子 の 動 してい る。 これ が免疫 の本質で あ り、それ の 乱 機能 の重要性 が細胞 間相 互 作用 の フ ロンテ ィアを れ としてア レル ギー、 自己免疫疾患等が発生す る。 扱 うもの として注 目されて くる。 免疫担 当細胞 として この よ うな考 えを支持 す る もの と して、糖 鎖 の B細 胞、T細 胞 、NK(natural killer)細 胞 、NKT細 胞 、樹 (枝 )状 細胞 、貪 食 次 の よ うな特性 に注 目した い。 ①分子構 造 の 多様 細胞 な ど種 々の 細胞 の存在 が 現在知 られ るよ うに 性 、②動物 の種 、精子 、卵子 、個体 、臓器 、組織 な つた。 これ らの細胞 は活発 な相互作用 下に在 る とともに、絶 えず、 いわば幹 としての細胞 (幹 細 他な らな い こ とが判 明 した。 フ コー ス を結合 した 胞 )か ら分化誘導 され新生 されている。 リガ ン ド蛋 白質分子 は隣接す る細胞 の表 面に在 る 受容体分子 と結合 で きるよ うにな り、その結果受 それ で は、前述 したそ の細胞社会学的実相 は何 容体 が活性 化 され 、翅 の形態形成 (分 化 )が 始 ま なの か。糖鎖 はそ こで どのよ うな役害Jを 演 じてい る。 フ コース に更 に別 の糖 が付加 す る と誘導能 が るのか。最近 、有機 合成化学 に よって作 られ た糖 次 々 と変化 し、新たな分化効果 を誘発す る。現在 、 脂質分子 、 α一 ガ ラク トシルセ ラミ ドに強力 な制 糖鎖 生合成酵 素 (糖 転移酵素 )遺 伝 子 が ク ローニ がん作用 が発 見 され た (谷 口克 ら)。 がんを攻撃 ング されてい るが、2004年 9月 までに世界中でク す る主要な役割 を担 うとされ る NKT細 胞 (natural ローニ ング された 173個 の遺伝子 の うちの killer T cell)を 特 異 的 に活性 化す るた め とい ーセ ン トは我 が国で達成 され てい る。 それ が今後 う。 代表 的ながん細胞 であ る黒色腫細胞 どの よ うに活用 され るのかは大 きな問題 である。 (メ ラノ ーマ 細胞 )を マ ウスに移植 したのち、 この糖脂質 を 2μ g、 3回 注射 す る と、 メラノーマ細胞 の転 シ ョ ウジ ョウバ エ め糖鎖 関連遺伝 子 の約 についてそれぞれ の働 きをノックア ウ ト 61パ 40種 類 (不 能化 ) `完 全 な排除 を齋す。 αガ 移 を抑制す る とともに、 す る と、その殆 ん どが翅 の形態形成 に異常 を齋す ラク トシル セ ラ ミ ドはセ ラ ミ ド脂質 にガ ラク トー こと も最近我 が国で見出 され てい る。 形態形成 に スが 1個 、 αで結合 した もので あるが、興味深 い お いて 細胞 が特定の場所 に曝 され る と特定の方 向 のは 、天然 にはガ ラ ク トー スがセ ラ ミ ドに β結合 に向か つて分化 が開始 され る ことは以前 か ら発 生 した もの しか 存在 しない ことである。 では天然 で 学 にお いて知 られ る ところで あ る。 特定 の場所 と NKT細 胞 を活性化す る糖鎖 は存在す るのか 、存在 は、特定 の細胞 に囲 まれ るこ と、特定 の細胞群 と す る とすれ ば どの よ うな構造 の分子 なのか、昨年 接触 す ることに他 な らない。 この場 の形成 は発 生 NKT細 胞 を活性化 学 の重 要問題 で あつた し、現在 で もそれ は変 わ ら す る α一 ガ ラ ク トー ス基 を糖鎖 内部 に もつ糖脂質 な いが 、そ の 分子 レベ ルでの 実態 は依然 として不 が天然 に哺手L動 物体 に存在す る とい う報告 が な さ 明である。 末になって、超微 量ではあるが れ、エ キサイテ ィ ングなニ ュース となつている。 免疫細胞集 団 に認 め られ る細胞の社会学的行動 『 科 哲』 5号 にお いて 、核 酸 の二重鎖形成 の 基 本法則 である核酸塩 基 の対合則 を発 見 した E シ は、発生 、分化 、更 には再生 、多分化能 を もつ 幹 ャル ガ フの言葉 を引用 しつつ 、生命 の理 解 におい 細胞 、更 には可塑性 に富む脳 にお いて最 も典型 的 て 、 タテ と ヨコの二つの軸 が必 要 な こ とを強調 し に展 開 され てい る。 そ こでは糖鎖 は どの よ うな役 た。 そ の どち らが欠 けて も、生命像 は いびつ な も 割 を演 じてい るのか。 この問題 が現在 、糖鎖科学 の にな る とシ ャル ガ フは言 う。 タテ軸 では “鋳型 者 に提起 されてい る。 (い がた)"に よる生合成 を中心 とす る DM→ RNA 最近 、 シ ョ ウジ ョ ウバエ で “翅 "の 分化誘導能 → 蛋 白質 の 、デ ジタル 世界が展 開 され てい る。 こ を持 つ Notch遺 伝子群 に属す る neurOtic遺 伝子 れ に対 して ヨコ軸 で は “ 鋳型 "で は な く、蛋 白質 によつて産生 され る蛋 白質 が 、 フ コース (単 糖 ) 分子 、糖鎖分子 、脂 質分子間 の高次 の相互作用 に を リガ ン ド蛋 白質 に結合す る フ コー ス転移酵素 に よつて様 々 な生体分子 が生合成 され調節 され るア ナ ロ グ的世界 (多 様 性創 出 の世界 )が 中心 となっ 学 ライ ブ ラ リー 101;岩 波書店 、2005年 )。 てい る。 ポス トゲ ノム解読完 了時代 に入 つて 、現 (注 4)D J Wats, S H Stogatzi cOncct 在 この ヨ コ軸 の解 明 には強い 関心が 向け られ よ う としてい る。 それ には DNA、 e dynalnics Of ・small― wond“ Ne"vorks Naturc 393,440‐ 442(1998) RNAを 中心 とす る タ (注 テ軸 の活用 が 戦略的 に も絶対 に必要 である。 しか 5)マ ーク・ ブキャナン『 複雑 な世界、単純な法則』 (草 思社、2005年 しそれ は必要 条件 では あるが十 分条件 ではない。 ) 生命 自然 の 単 一 性 と多様性 タテ と ヨコが 、交錯 す る ところ、細胞社会学構 築 の原 点 となるで あろ うこの コアの研 究 には新 しい コ ンセプ トの 樹立が必要で あ る (注 1。 2)。 エ ビジ ェネ テ ィクス (注 3)、 無用 とこれ まで考 え られ ていたゲ ノムの大半 を占める DM鎖 によって 産生 され る種 々の RNA鎖 を中心に展 開す る RINAワ 細胞社 会学 ール ド (注 2)、 スモール ワール ドネ ッ トワ‐ ク (注 4・ 多 様性 形 態 形 成的 独 自性 多 彩性 個 体性 5)の コンセ プ トな どはそ の先駆 と見 ら れ る。 そ こに糖鎖研 究が参画 し得 るか否 か。 それ が現在 、糖鎖研 究者 に提示 され てい る大 きな問題 な ので あ る。 それ ほ ど糖鎖 は、 単 に生化 学的 な機 単一性 (細 胞 ) 同質性 普遍性 (一 貫性〉 能 の 問題 に と どま らず、生命 そ の も の 、生命観 に 連 な る謎 に満 ちた未 知 なる世界 な ので あ る。 この 図3 ■ながい 意 味か らすれ ば研 究 は未来 に向 けて まだ緒 につい よ したか たばか りであ り、我 々 は謙虚 にか つ 着実 に糖 鎖 の 語 る声に耳を傾 け なけれ ばなるまい。 以上 、 「糖 鎖」 の役割 につい て先端 的 な知 見 を 概観 し、私見を述 べ たが、更に医学、薬学、農学、 工学その他 の 方 面 において も糖 鎖研 究は精 力的 に 推進 され つつ あ る。 この よ うな広 い領 域 にわた る よ リ トー タル な研 究体制 の構 築 をふ ま えて の統 合 が今後大 いに期待 されてい る。 (注 1)Yoshiaka Nagai Glycobiology in the 21st Century: Coming developmcnt h glycobiologyj Glycottugate」 1954年 東京大学 教養 学科 卒。 66年 同教養 学 科助教授 、74年 東京都老人総合研究所生化学 19 部長 、79年 東京大学医科学研 究所教授 、8191 161‐ 163(2003) 年 同医学部教授 (注 2)『 崩れるグノムの常識一生命科学の新展開』別冊 日経サイエンス 146(日 経サイエンス社、2004年 10月 )。 3)佐 々木裕三『 エ ビジェネティクス入門』 (岩 波科 (注 9195年 東京都 臨床 医学総 合研 究所長 、92年 東京大 学名 誉教授。 9504 年 三 菱化学生命 科学研 究所長。 現在 同名 誉所 長及び三菱化学顧問・理化学研究所研 究顧問。 59