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最 近 の ト ピ ッ ク ス
最 近 の トピ ッ 97 ク ス 最 近 の トピ ッ ク ス 味 覚 と 食 欲 ら視床 を経 て大脳皮質 に至 る経路 は,味の質や強 さを伝 え る系であ り,一方橋味覚野か ら扇桃体 や視床下部 に至 新潟大学歯学部 口腔生理学教室 真 具 富 る経路 は,飲食 物の摂取行動 に関与す る系であ ると考 え 夫 われわれは食物 を口に含んだ時 に,味覚に よってその られ る。 この ことは冒頭 に述べた味覚 と食欲 との関係 を 考 え る時 に大変 に興味あ る知見であ る。 味質を認識す る と共に,その味が好 ましい味であ ると食 ラ ッ トで見つか った橋味覚野は, ネコ, ウサギで も見 欲が増進 され,苦い ものな ど, 口に合 わない ものは,壁 つか ってい る。 しか し ヒ トについてはまだ確か め られ て 腹時 で も食欲が減退す る。 この ように味覚 と食欲 とが密 いない。 接 な関係 にあ ることは,経験的 に容易 に理解 で きる。 し 動物 の肩桃体 を両側性 に破壊す る と食 習慣 の変化が生 か し,従来,味覚に関す る生理学的研究は,味細胞 の刺 じ,手 あた り次第 に物 を ロに入れ る。 また ここを破壊す 激受容機構 や味質の識別機構 な どに主た る関心が寄せ ら ると条件づ け味覚拒 否行動 ( condi t i oned t as t e aver - れ,味覚 と快,不快 な どの情動や食欲 との関係な どにつ si on) が生 じな くなる とい う。条件づ け味覚拒 否行動 と いては あま り研究が行 われて いなか った。 しか し, 近 は,動物がある味溶液 を摂取 した後,動物 に中毒症状 を 年,味覚 の中枢神経機構 に関す る研究が進み,興味 あ る お こす薬物 を投与す ると,それ以後 は,条件づ け る前 に 知見が報告 され てい るので紹介す る。 は好んで飲んでいた味溶液 を拒 否す るよ うにな る現象 を 味覚情報 を中枢 に送 る役 目をもつ味覚神経 には,顔面 い う。 したが って,おそ ら く,肩桃体 は味 の情報 を過去 神経 に属す る鼓索神経,舌咽神経,それに迷走神経 の 3 の記憶 と結びつ ける働 きを してい るもの と考 え られ る。 つがある。従来, この 3神経は延髄 の孤束核 に入 り, こ ミおふ くろの味ミ を楽 しめるの も肩桃体 のおかげか も知 こで第二次 ニ ューロンに切 り替わ り,交叉 して内側毛帯 れ ない。 中を上行 し,視床の後腹側内側核で第三次 ニ ュー ロンと 味覚神経か らの情報 は,単 に食物 の味 を識 別す るため な って大脳皮質の味覚野に達す ると考え られ て きた。 し だ けではな く,情動行動や本能行動 の方 に こそ本来 の意 か し,最近,中枢 における味覚伝導路に関す る新 しい知 義があ るのか も知れ ない。今後 この よ うな分 野での研究 見がい くつか あ る1),2), 3 )0 の進展が期待 され る。 ラ ッ トでは延髄孤束核か らの第二次 ニ ュー ロンは直接 文 視床 に入 るのではな く,同側の背側橋部に存在す る結合 献 腕周囲核 ( par abr achi alnucl ei ,PEN)に終 ることがわ 1 ) Nor gr en,R. : Pat hways t o hypot hal amus か った。 結合腕周囲核 の 内側部は味覚に 関係 した 部位 andamygdal a.∫ .Comp.Neuro1 . ,1 66:1 7- pont i net as t ear e a,PTA) と呼ば で, 特 に橋味覚野 ( 30,1 9 76. れ る。一方外側部 には舌咽神経 と迷走神経 に含 まれ る内 2) Nor gr en,R. :As ynops i sofgus t at or yneur o - 臓感覚神経 の伝 える情報が投射 してい る。橋味覚野か ら anat omy.I n ol f act i onand t as t eVI ,ed.Le の 第三次 ニ ュー ロン は同側の 視床の後腹側 内側核 に至 Magnen,∫ .and Mac Leod,p.p.225-232, り, ここで別 の ニ ューロンに切 り替わ って,同側 の大脳 I RL Pr es s Lt d,London and Was hi ngt on 皮質味覚野 に終 って′ い る。 ところで橋味覚野か ら視床 に DC,1 9 77. 至 る第三次 ニ ュ-ロ\ t ,は途中で分枝 して,内臓感覚 を伝 3) Nor gr en,R. ,Becks t e ad,氏.and Cont r er as , え るニ ュー ロンと共に,扇桃体,分 界条床核,視床下部 R.∫ . : Neuroanatomy ofgust at or yandvi s - の外側野,お よび重秀核- も投射 してい るとい う。 cer alaf f er ent ss ys t em i nr atand monkey. 視床下部外側野は摂食 中枢,腹 内側核は満腹中枢 とし I nol f act i onandt as t eVH, ed.vanderSt ar r e, て食欲発現 に大切 な場所であ り,室穿核は飲水調節 に関 H.P.288,Ⅰ RL Pr es s Lt d,London and 係があ る部位 と考 えられてい る。 したが って橋味覚野か Was hi ngt on DC,1 980. - 4 5・ -