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技術と情熱を、歴史の街倉敷から世界へ
丸五ゴム工業株式会社(岡山県倉敷市) わ が 社のグローバル戦 略 わが社の グローバル戦略 日本の自動車メーカーの期待に応える インドネシアの自動車市場は近年、順調に成長している。 2013年 の 販 売 台 数 は 前 年 比 約10%増 の 約123万 台と、 ASEANトップのタイ ( 2013年は前年比約7%減の約133万 台 )を急 追している。そのうち日本 車のシェアは約 9 割と、 ジャパンブランドへの評価は極めて高い。そうした中で、日本 の自動車メーカーの期待に応えるためにも、インドネシアへの 進出は不可欠と判断したと藤木社長は言う。 「自動車メーカーは日本と海外で同じ車種を生産することが 多く、その部品を日本では当社から調達し、海外では別の会 社から調達するとなると効率が悪いので、どの国においても 当社が対応することを目指しています。そこで、当社としては インドネシアでもインドでも中国でも生産できる環境にしておく ことが重要で、それが結果として日本での受注確保に有利 に働くわけです。逆に言うと、そうした環境がないと日本での インドネシア・西ジャワ州 受注も難しくなるので、自動車部品メーカーとして今後も競争の 土俵に上っていくために海外拠点の整備は不可欠なのです」 技術と情熱を、歴史の街倉敷から世界へ ̶自動車用ゴム製品等の製造でインドネシアに進出 ASEANのモーター大国として、今後も市場の伸びが期 生み出される製品は、国内の全自動車メーカーで使われるほど高い信頼を得ている。 海外展開にも早くから積極的に取り組み、2011年には、堅調な自動車市場の拡大が続くインドネシアに、 出資子会社「PT. MARUGO RUBBER INDONESIA(PTMI)」を設立。PTMI を通じて、 日本の自動車メーカー向けを中心とした自動車用ゴム製品の製造・販売事業を強化し、市場シェアの拡大を狙っている。 藤木 達夫 代表取締役社長 している。丸 五ゴムのインドネシア進出は優れた戦 略 的な 決断だったのだ。 これからも日本で維持します。そうした技術面のことを考える と、今後も日本国内の生産規模は現状並みを維持する必要 丸五ゴム工業株式会社(以下、丸五ゴム) は、1954年の設立以来、防振ゴムや高機能ホースといった 自動車用ゴム製品等の製造を手掛ける。 「お客さまに対して常に新しい価値を提供していく」という企業姿勢から 丸五ゴム工業株式会社 待されるインドネシアを、日本の自動車メーカーは非常に重視 歴史と文化の街・倉敷から世界へ があります」 丸五ゴムの「五」には、世界の五大陸へ飛躍しようという願 PTMIでは第1期の工場建設・設備設置が終わり、2013 いが込められているという。グローバル経営の真価が問われ 年初めから防振ゴムの生産を開始。現在は、第2期工事が る中で、歴史と文化の街・倉敷から世界へ、丸五ゴムはその ほぼ終わりつつある段階で、完成後は高機能ゴムホースの モノづくりの情熱と技術を広く伝え続けていこうとしている。 生産が始まる。 「 今後、受注も増えてくると思うので設備の増 強も考えています。今回、初めてJBICの融資を利用しました JBICの関わり が、機会があればぜひまたお願いしたいとも思っています」 世界を視野に積極的な展開 世界最先端の水準にあると言われる日本のゴム製品製造 技術。競争の激しい自動車業界で鍛えられた丸五ゴムの技 術水準もまた、世界トップクラスにある。 「耐久性という意味で も高温・高圧の厳しい環境で使用されるので、また、開発段 階においても事前に自動車メーカーと綿密なすり合わせを行 2014年4月、JBIC は三菱東京 UFJ 銀行との協調融資により、 ( 藤木社長 ) PTMIの今後の課題は、売上増の実現だ。 「工場の敷地、 設備にもまだ余裕があるので、早くフルに使うことで増産を図 丸五ゴムとの間で400万米ドル(JBIC 分)の貸付契約を締結した ( 協 調 融 資 総 額 は600 万 米ドル )。本 融 資 は、丸 五ゴムがインド ネ シ ア 共 和 国 に お い て 設 立 し た 出 資 子 会 社 PT. MARUGO りたい」 と力強く語る藤木社長は、自らも時々、現地に足を運 RUBBER INDONESIA が、自動車用ゴム製品の製造・販売事業 んで経営の進捗状況を確認する。 「丸五ゴムの海外生産比 を実施するための 必要な資金として実施された。中堅・中小企業 率は、 まだ20%に満たないので、今後さらに高めていかなくて を含 む日本企業 の 海外事業活動を支援 する「 海外展開支援融資 はなりません。一方で、設計・開発技術やモノを作る技術は、 ファシリティ」の一環だ。 いながら進めるので、技術的にも品質的にもかなり高い水準 にあると思います」。開発と技術強化への情熱を感じさせな がら、藤木社長はそう語る。 社 名 丸五ゴム工業株式会社 模での活用・展開が求められてきた。そのため、丸五ゴムも早 創 業 1919年 (大正8年)5月 くから世界を視野に積極的な生産拠点展開を進めてきた。 立 1954年 (昭和29年)1月 資 本 金 9,600万円 まず 1 9 8 8 年 、米 国テネシー州に進 出したのを皮 切りに、 代 表 者 代表取締役社長 藤木達夫 マレーシア ( 1994年 )、中国( 2004年 )、 タイ ( 2010年 )、 インド 事 業 内 容 工業用ゴム製品の製造販売 本社所在地 〒710-8505 岡山県倉敷市上富井58 (2012年 )で合弁会社を設立。また、2011年にはインドネシア 工 本社工場、 矢掛工場 場 西ジャワ州カラワン県において丸五グループ 100%出資の子 会社PTMIを設立した。 8 ① ② こうした高水準の日本のゴム製品製造技術には、世界規 【会社概要】 設 ■ 丸五ゴムを支える技術 JBIC Today August 2014 ①本社工場精練(ゴム練)工程 必要な機能に応じ、数百種類のゴム配合を使い 分けて日当たり18,000kgのゴム生地を生産。 ②製品紹介 左:防振ゴム製品 右:ラバーホース製品 JBIC Today August 2014 9