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荒尾競馬場跡地の活用に関する 提言書

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荒尾競馬場跡地の活用に関する 提言書
荒尾競馬場跡地の活用に関する
提言書
平成24年12月
荒尾競馬場跡地活用検討委員会
目次
1.はじめに .................................................................................................................................................... 1
1.1 背景 ............................................................................ 1
1.2 委員会の役割 .................................................................... 1
2.荒尾市及び跡地の概要 ............................................................................................................................. 2
2.1 荒尾市の現状と課題 .............................................................. 2
2.2 跡地の地勢及び経緯 .............................................................. 6
2.3 跡地の資産概要 ................................................................. 10
2.4 現在の跡地利用状況と今後の予定 ................................................. 11
3.跡地活用に関係する各種計画等の整理 .................................................................................................. 12
3.1 第 5 次荒尾市総合計画(平成 24 年 3 月策定)....................................... 12
3.2 国土利用計画(荒尾市計画) (平成 14 年 9 月策定) ............................... 14
3.3 荒尾市都市計画マスタープラン(平成 17 年 8 月策定) ............................... 15
3.4 荒尾市住宅マスタープラン(平成 21 年 2 月策定)................................... 17
3.5 各種計画等のまとめ ............................................................. 18
4.跡地活用に関する市民アンケート及び団体ヒアリング.............................................................................. 20
4.1 調査概要 ....................................................................... 20
4.2 市民アンケート調査結果 ......................................................... 21
4.3 団体ヒアリング調査結果 ......................................................... 25
4.4 市民アンケート及び団体ヒアリング調査結果のまとめ................................ 31
5.跡地活用へ向けた提言 ........................................................................................................................... 33
5.1 跡地活用に当たっての基本コンセプトや方向性...................................... 33
5.2 方向性①の具体化へ向けた方策 ................................................... 39
5.3 方向性②の具体化へ向けた方策 ................................................... 41
5.4 方向性③の具体化へ向けた方策 ................................................... 44
5.5 跡地のゾーニングの考え方 ....................................................... 46
6.まとめと今後の課題 ................................................................................................................................ 48
参考資料 ..................................................................................................................................................... 49
荒尾競馬場跡地活用検討委員会設置要綱 ................................................... 49
荒尾競馬場跡地活用検討委員会委員名簿 ................................................... 50
荒尾競馬場跡地の活用に関する提言書の策定経過............................................ 51
土地整理手法の紹介 ..................................................................... 52
市民アンケート調査様式 ................................................................. 54
1.はじめに
1.1 背景
昭和 3 年の設立以来、荒尾市を代表するレジャー施設であった荒尾競馬は、これまで、地
域のシンボル的な存在として、県内外の多くの人々に健全娯楽として親しまれてきた。昭和
23 年の新競馬法施行を踏まえ、昭和 30 年には熊本県と荒尾市による一部事務組合として荒
尾競馬組合が設立され、以後、荒尾競馬組合による事業運営が行われることとなった。競馬
事業が果たした役割としては、雇用や消費による地域経済への波及効果や、競馬事業の収益
配分による地方財政への寄与などが挙げられ、荒尾市には累積で約 87 億 5 千万円の繰り出
しが行われてきた。
しかしながら、平成 9 年の三井三池炭鉱の閉山や景気の低迷、レジャーの多様化等によっ
て、競馬事業の売上は大幅に減少し、平成 10 年度には単年度収支が赤字となるなど、以後、
厳しい経営状況が続くこととなった。これまで、売上向上や経費削減を通じた経営健全化を
図るため、「荒尾競馬短期自主経営健全化計画」や「荒尾競馬あり方検討会」の提言内容な
どに基づく取り組みが行われてきたが、競馬事業の将来性や荒尾市の財政への影響などから、
荒尾市は、平成 23 年 9 月議会にて競馬事業の廃止を表明し、同年 12 月をもって競馬事業が
終了したところである。
競馬事業の廃止に伴い生じた主な課題としては、約 13 億 6 千万円の累積赤字の解消や、
競馬事業関係者の離職による再就職支援が存在するが、もう一つの大きな課題として、約
26 ヘクタールに及ぶ競馬場跡地(以下、「跡地」という。)の効果的な活用が挙げられる。
平成 23 年度末で荒尾競馬組合が解散したことにより、荒尾競馬組合が所有する土地や建物
等の財産は全て荒尾市へ継承されることとなったため、荒尾市は、外部有識者などによる多
角的な視点から活用方法を検討するため、平成 24 年 1 月に「荒尾競馬場跡地活用検討委員
会(以下、「委員会」という。)」を設置した。
1.2 委員会の役割
委員会は、荒尾市長の委嘱・任命によって組織された機関であり、委員は学識経験者、経
済団体、市民団体、行政機関職員ら合計 10 名によって構成されており、その任期は平成 25
年 3 月 31 日までとなっている。
本提言書の策定に至るまでに計 8 回の審議を重ね、これまで、跡地の地勢、荒尾市の地域
特性や各種計画、及び、跡地活用に関する市民アンケート及び関係団体ヒアリングの結果な
どを考慮しながら、活用策の検討を行ってきたところである。
委員会の役割としては、荒尾市の将来を見据え、大局的な視点から、跡地を活用する際の
理念や方向性を示すとともに、方向性を具体化するための方策や活用例についても、市民ア
ンケート等の民意を参考としながら、活用の可能性を幅広く提言する。
1
2.荒尾市及び跡地の概要
2.1 荒尾市の現状と課題
【位置及び交通アクセス】
荒尾市は、熊本県の西北端に位置し、市域は東西約 10km、南北約 7.5km で、面積は 57.15k
㎡である。東部には荒尾市最高峰の小岱山(筒ヶ岳 501.4m)を擁し、西の有明海へとなだら
かな丘陵が起伏している。
荒尾市は、九州各都市とのアクセス条件に恵まれており、福岡方面には、JR 荒尾駅から
特急や快速が運行しており、大牟田駅からは、西鉄電車も利用可能である。また、熊本方面
にも、JR 荒尾駅から特急と快速が運行している。更に、平成 23 年 3 月には、九州新幹線が
全線開通している。
高速道路では、九州自動車道の南関インターチェンジ、菊水インターチェンジが最寄りの
インターチェンジであり、地域高規格道路の有明海沿岸道路を利用すれば、佐賀方面へのア
クセスも便利で、長崎方面へのフェリーが三池港と長洲港から運行している。
図 1.荒尾市の位置と交通アクセス
【主な社会・経済情勢】
荒尾市の人口は、平成 22 年国勢調査時点で 55,321 人となっており、平成 17 年国勢調査
の 55,960 人より 639 人減少しているものの、近隣市町と比較しても、その減少幅は緩やか
なものとなっている。この背景には、同市中心部の緑ケ丘地区や東屋形地区などで、大規模
な宅地開発が行われ、良好な居住環境が整備されたことなどが挙げられる。
2
人口(人)
増減率(%)
0
140,000
123,638
120,000
(-1.1%)
-1
100,000
-2
80,000
60,000
69,541
-3
(-3.2%)
55,321
-4
40,000
(-4.5%)
16,594
20,000
10,564
(-5.7%)
(-5.7%)
南関町
長洲町
玉名市
大牟田市
荒尾市
0
-5
-6
図 2.平成 22 年国勢調査人口と平成 17 年国勢調査からの変動率
荒尾市の平成 22 年就業人口は、22,993 人であり、第三次産業の就業者が増加傾向にある。
また、昼夜間人口比率は 0.88 で、近隣の大牟田市や玉名市、長洲町へ通勤・通学する者が
多く、同市はベッドタウンとしての性質を有している。
表 1.平成 22 年国勢調査
産業分類
第 1 次産業
(4.4%)
第 2 次産業
(27.4%)
第 3 次産業
(66.7%)
農業
漁業
鉱業
建設業
製造業
電気・ガス・
熱供給・水道業
情報通信業
運輸業・郵便業
卸売業・小売業
金融業・保険業
不動産業
学術研究・専門・
技術サービス業
宿泊業・
飲食サービス業
生活関連サービス・
娯楽業
教育・学習支援業
医療・福祉
複合サービス事業
その他サービス業
公務
分類不能
合計
就業人口
就業者数(人)
942
66
7
1,961
4,337
大牟田市
115
456 人
141
1,085
3,415
334
181
6,270 人
南関町
2,370 人
326 人
荒尾市
1,553 人
297
1,215 人
1,279
1,733 人
1,251
長洲町
814
4,419
140
1,161
697
351
22,993
1,925 人
玉名市
図 3.平成 22 年国勢調査通勤・通学者数(人)
3
【主な地域特性】
(1)地理的優位性と交通の利便性の高さ
九州自動車道や有明海沿岸道路、JR 鹿児島本線、三池港、長洲港などが近くにあり、
九州各都市とのアクセス条件に恵まれている。また、平成 24 年度から新たに政令指
定都市となった熊本都市圏や、九州最大のマーケットである福岡都市圏の中間に位置
する県境のまちで、交通機関や高速道路等を利用して通勤通学が容易で、定住人口や
交流人口が増加する潜在能力を有している。そして、中国や韓国などの東アジア諸国
とも近く、文化や観光による交流を通して、国際的に発展する可能性を秘めている。
(2)豊富な観光資源
西日本有数の遊園地を中心に、温泉施設やテーマパークなどの観光・レジャー施設が
集積しており、国の重要文化財・史跡の指定を受け世界遺産候補の一つである万田坑
や、中国の国父である孫文の成し遂げた辛亥革命を支えた宮崎兄弟の生家・資料館な
どの歴史・文化的施設が存在する。また、日本における渡り鳥のオアシスである荒尾
干潟があり、平成 24 年 7 月には、国際的に貴重な湿地の保全を定めたラムサール条約
に登録されている。荒尾市は、これら豊富な観光資源に恵まれており、年間 240 万人
の観光客が同市を訪れている。
(3)災害の少なさと充実した生活環境
荒尾市は、市域面積 57.15k ㎡に人口約 5 万 5 千人が暮らす、熊本県下では人口密度が
高いコンパクトな都市であり、荒尾市民病院を始めとした医療機関や福祉施設、総合
文化センターや運動公園などの文化・スポーツ施設、買い物などの生活環境が充実し
ている。また、気候が温暖で大きな災害も少なく、安全で暮らしやすいまちである。
【主な課題】
(1)荒尾市の人口動向と将来の目標人口
荒尾市は、近隣自治体に比べて人口の減少率が低く抑えられているが、将来的には、
少子高齢化の影響により、荒尾市の人口も大きく減少することが見込まれ、同市の試
算によると、平成 33 年頃には約 52,600 人となることが予測されている。そこで、第
5 次荒尾市総合計画では、この人口減少を食い止め、活気あるまちを目指すため、平
成 33 年度の目標人口が 56,000 人と定められている。
4
■:0~14 歳
(人)
■:15~64 歳
■:65 歳以上
70,000
62,570
59,472
60,000
57,389
56,852
8,850
55,956
55,284
14,996
15,723
54,202
52,600
10,866
12,601
50,000
13,976
56,000
18,500
17,794
18,535
40,000
40,596
30,000
37,654
35,931
35,205
33,735
32,277
20,000
29,422
27,565
30,500
10,000
13,124
10,952
8,857
7,671
7,225
7,284
6,986
6,500
7,000
平成2年
平成7年
平成12年
平成17年
平成22年
平成28年
平成33年
目標人口
(平成33年)
0
昭和60年
実績値
推計値
図 4.人口(年齢3区分人口)の将来見通しと目標人口
(2)働く場やまちの活気、公共交通機関の利便性など
荒尾市が平成 22 年 8 月に実施した「市民まちづくりアンケート」の調査結果による
と、今後のまちづくりの方向性については、「安全なまち」、「福祉のまち」、「産業の
まち」、「子育てしやすいまち」などが上位に挙げられており、また、関心が高い市政
分野は、「福祉対策」、「産業の振興」、「生活環境の整備」、「少子化対策」などとなっ
ている。特に、重要度が高く、満足度が低い項目(重点改善項目)としては、「働く
場」、
「保健や医療体制」、
「高齢者や障がい者の施設やサービス体制」、
「まちの活気」
、
「子育てのための支援体制」、「公共交通機関の利便性」が挙げられている。
5.0
重要改善領域
4.5
重要度(平均値
働く場
重点維持領域
まちの活気
4.0
公共交通機関
3.5
保健や医療
高齢者等サービス
子育て支援
教育環境
防災・防犯
買い物
物価
まちの景観
公園や広場
3.0
)
娯楽の場
2.5
維持領域
2.0
2.0
上下水道
ごみ収集
住宅状況
幹線道路整備
教養・スポーツの場
文化的環境
3.66
自然環境
男女共同参画
ウォッチング領域
2.5 満足度(平均値 2.87) 3.0
図 5.満足度と重要度の分布グラフ
5
3.5
2.2 跡地の地勢及び経緯
【位置及び用途地域】
跡地は荒尾市の北西部に位置し、JR 荒尾駅に近接した、店舗や事業所、住宅などが集積
する、荒尾市の中心市街地であり、隣接する福岡県大牟田市と一体となった市街地が形成さ
れている。跡地は、東は国道 389 号に接し、西は海岸堤防を挟んで有明海に面しており、東
西距離約 300 メートル、南北距離約 800 メートルの、合計地積約 26 ヘクタールによって構
成される平坦な土地である。跡地は、全域が都市計画区域内に位置しており、その用途区分
は「準工業地域(建ぺい率 60%、容積率 200%)」となっている。準工業地域には、危険性や
環境悪化の恐れが大きい工場など以外は、住宅や店舗、事務所、公共施設、工場など様々な
用途の建物が建設可能である。
岸道
海沿
有明
新大牟田駅
三池港
JR 荒尾駅
線
新幹
九州
JR・西鉄
大牟田駅
道
車
動
自
州
九
三池港IC
南関IC
(跡地から 14km)
菊水IC
(跡地から 17km)
荒尾競馬場跡地
半径 5km
新玉名駅(跡地から 15km)
半径 10km
長洲港
JR鹿児島本線
図 6.跡地の位置図(新玉名駅、南関 IC、菊水 IC は跡地からの直線距離)
6
国道 389 号
国道 208 号
万田坑
大島適地
(工場適地)
メガソーラー
計画地
荒尾駅
荒尾競馬場跡地
荒尾市役所
グリーンランド
宮崎兄弟生家
荒尾干潟
(ラムサール条約登録湿地)
図 7.跡地周辺の都市計画図と主要施設等
【経緯】
跡地は、干拓事業によって安政 3 年(西暦 1856 年)に完成した土地であり、当時は農耕
地として用いられていた。この地で正式に競馬事業が開始されたのは、昭和 3 年の競馬施行
法認可後であり、以後、競馬事業が廃止される平成 23 年までの 83 年の間、健全娯楽の提供
による交流の場、調教師・騎手・厩務員等の競馬関係者の就労の場及び居住の場としての役
割を担うこととなる。競馬事業開始当時は、競馬場と農地が混在する利用状況であったが、
昭和 46 年~49 年の第 1・第 2 スタンド完成、昭和 50 年の厩舎団地整備、平成 7 年の駐車場
舗装等の各種施設整備を経て、現在の形態となっている。
7
万田
小学校
浄水センター
厩舎団地
駐車場
荒尾駅
馬 場
スタンド
国道
208 号
国道
389 号
有 明 海
荒尾市役所
厩舎団地
スタンド
駐車場
馬
場
図 8.跡地周辺の航空写真と跡地の主要施設(平成 24 年撮影)
8
【標高】
跡地の標高は、海抜約 1m~3m程度であり、跡地と有明海との間には、堤防が設けられ
ている。この高さは約 6mであり、既往最高潮位とは約 2.6mの開きがある。
堤防
既往最高潮位
朔望平均満潮位
平均水位
+6.15m
+2.63m
+3.52m
+2.45m
跡地
+1.35m~+2.55m
+0.33m
東京湾平均海面
±0m
朔望平均干潮位
-3.13m
図 9.跡地の堤防断面図
【地質】
跡地の地質調査(ボーリング調査)については、過去に施設を建設する際などに実施され
ており、この内、平成 2 年 1 月~2 月に行われた跡地中央付近(厩舎団地南端付近)と跡地
南西付近(パトロール塔付近)の調査結果は次の通りである。
表 2.跡地の地質調査結果
跡地中央付近
深度
-1m
-2m
-3m
-4m
-5m
-6m
-7m
-8m
-9m
-10m
-11m
-12m
-13m
-14m
-15m
土質
埋土
相対稠度・密度
極硬
沖積粘性土
極軟~軟
跡地南西付近
N値
12
土質
埋土
相対稠度・密度
極軟
0
沖積粘性土
極軟
洪積粘性土
硬い~固結
4
15~25
25~35
洪積砂質土
中位~密
26~35
35~50
50
洪積粘性土
洪積砂質土
固結
中位~極密
22~50
31~50
26~50
50
9
N値
2
0
0~5
5~9
18~25
25
25~38
38~50
50
洪積砂質土
密~極密
32~50
32~45
45~50
50
2.3 跡地の資産概要
跡地は、市有地と民有地によって構成されており、筆数及び地積は次の通りである。なお、
民有地の借地契約対象者数は、平成 24 年度時点で 98 名となっている。また、図 10 の通り、
跡地は市有地と民有地が混在している状況である。
表 3.土地の所有状況
荒尾市
民有地
合計
筆数(筆)
267
150
417
地積(㎡)
173,266.44
85,570.21
258,836.65
跡地所有割合(%)
66.94
33.06
100.0
■:市有地
■:民有地
図 10.跡地の所有区分図
跡地に所在する主な建物の構造、建築年次、床面積は次の通りである。跡地に所在する施
設の多くが、建築物の耐震基準が改正された昭和 56 年以前に建設されており、その後の耐
震補強等は特に実施されていないため、耐震性能については不明である。
表 4.跡地に所在する主な建物
名称
構造
建築年次
床面積(㎡)
第1・第2スタンド
競馬組合管理棟
厩舎団地住宅アパート
馬房(27 棟)
調教師・厩務員住宅
鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造
鉄骨造
木造
S46 年(S50 年増築)
S49 年
S54 年
S47 年~H8 年
S47 年~H8 年
10,554.56
1,351.00
1,792.00
12,651.00
3,114.00
10
2.4 現在の跡地利用状況と今後の予定
跡地に所在する騎手・厩務員住宅などの厩舎団地には、平成 24 年 11 月末時点で、13 世
帯 33 名が居住している。(住民基本台帳) 荒尾市では、競馬事業の廃止に伴う競馬関係者の
生活支援策の一つとして、住居部分については、平成 24 年 12 月末まで引き続き、競馬関係
者の住宅として供用することとしている。そして、平成 25 年 1 月以降は、跡地の荒廃防止
や治安維持を図るため、厩舎団地内の老朽化した家屋の一部が解体される予定である。
また、スタンド部分や駐車場などを日本中央競馬会(JRA)及び株式会社日本レーシングサ
ービス(NRS)に、平成 24 年度は単年度契約で貸し付けが行われており、中央競馬や地方競馬
の場外発売が行われている。なお、平成 24 年 11 月には、NRS が地方競馬共同トータリゼー
タシステムを導入し、新たな発売システムが稼働している。場外発売については、現在、委
員会で活用策を検討中であることなどから、平成 25 年度も継続して実施される予定である。
(平成 25 年度の単年度契約の予定。)
厩舎団地
駐車場
駐車場
場外発売
駐車場
図 11.跡地の施設配置及び平成 24 年度利用範囲
凡
例
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
名 称
ゴール
勝馬投票券発売票数
スタンド及び投票払戻所
下見所
掲示板
管理棟
検量所
装鞍所(2棟)
着順枠(6枠)
騎手調整ルーム
採尿所
装蹄所(3棟)
倉庫
番号
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
名 称
厩舎(27棟)
検病厩舎
ゲート倉庫(2棟)
食堂
入場口
駐車場
パトロール塔(5基)
馬運動場
馬診療所
表彰台
厩舎管理事務所
調教監視所
騎手・厩務員住宅
11
番号
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
名 称
発走員詰所
騎手食堂
厩舎団地内食堂
機械室
砂置場
児童公園
歩道橋
愛馬館
国旗掲揚台
外向場外発売所
臨時入場券売場
予想新聞販売所
3.跡地活用に関係する各種計画等の整理
跡地の効果的な活用を検討するに当たっては、荒尾市の政策目標や、跡地周辺地域の土地
利用計画などとの整合を図る必要がある。そこで、荒尾市の長期的なまちづくりの指針であ
る『第 5 次荒尾市総合計画』や、都市計画の基本方針を示した『荒尾市都市計画マスタープ
ラン』などの内、跡地活用に関係すると見込まれる内容の整理を行う。
跡地活用は、荒尾市が目指す将来像を実現するための方策の一つではあるが、跡地は広大
で地理的利便性が高いことからも、様々な施策へ活用可能な潜在性を有している。また、跡
地の活用が周辺地域の活性化を誘発し、引いては、荒尾市全体で調和の取れたまちづくりに
繋がることが期待される。
3.1 第 5 次荒尾市総合計画(平成 24 年 3 月策定)
【計画の概要】
荒尾市におけるまちづくりの長期ビジョンであり、同市の最上位計画として位置付けられ
ている。市の将来像である「ふるさとへの誇り、人のつながりを大切にした、自然と夢にあ
ふれるまち『しあわせ 優都 あらお』」の実現へ向けて、基本方針の「健康で笑顔が輝く
『市民優都』」、「活力あふれる『産業優都』」、「快適でゆとりある『生活優都』」に基づき、
各分野の施策を体系化し、各部門相互の連携を図る総合的な計画である。
将来像
ふるさとへの誇り、人のつながりを大切にした自然と夢にあふれるまち
『しあわせ
優都
あらお』
健康で笑顔が輝く
「市民優都」
活力あふれる
「産業優都」
快適でゆとりある
「生活優都」
荒尾の将来を担う子ども
たちをみんなで育み見守り
ながら、誰もが安心して
健康で暮らせるように
お互いを思いやり、誰もが
夢と誇りを持った笑顔が
輝くまちを目指す
恵まれた自然の中で特色ある
農業や漁業が営まれ、創造性
豊かな企業が集積し、国内外
から多くの人や物が行き
交う、活力あふれるまちを
目指す
自然環境と都市機能が調和
し、高齢者や障がい者も、
全ての市民が安心して快適に
暮らすことができる、心に
ゆとりがあふれるまちを
目指す
図 12.第 5 次荒尾市総合計画が目指す荒尾市の将来像
12
【跡地との関係性】
第 5 次荒尾市総合計画において、跡地活用に関しては、『(基本施策)計画的な土地利用』
の内、
「未利用地の活用」という施策において、
「荒尾競馬場跡地については、本市の発展に
寄与する活用策を検討する」と定められている。この基本施策の方向性としては、地域活力
の向上に繋がる自然と都市機能の調和が取れたコンパクトなまちづくりを目指し、適切な土
地利用を誘導するとともに、公共施設の適正管理や未利用地の活用に努めるというものであ
り、主要施策の具体的な内容は以下の通りである。
<基本施策> 計画的な土地利用
土地利用の適切な誘導
○「国土利用計画(荒尾市計画)」に基づき、土地利用の適切な誘導を図り、
都市と自然が調和した総合的な土地利用を推進します。
○「荒尾市都市計画マスタープラン」に基づき、市街地の計画的な土地利用
を誘導するとともに土地の合理的利用を促進し、市街地の形成を行います。
○緑ケ丘地区周辺と四ツ山・JR荒尾駅周辺を中心拠点として、環状骨格
道路や 公共交通ネットワークを形成します。
○環状骨格道路のエリア内に都市機能を集約させ、コンパクトなまちづくり
を推進します。
未利用地の活用
○学校施設跡地については、地域住民の意見や公共施設の配置状況を総合的に
考慮しながら、適切な活用を図ります。
○本市北部地域の未利用地については、福岡及び熊本都市圏への通勤・通学の
利便性が高いことから、宅地開発等の定住促進に向けた活用を検討します。
○荒尾競馬場跡地については、本市の発展に寄与する活用策を検討します。
○JR荒尾駅周辺については、民間の活力を利用した整備等による賑わいの
創出を図ります。
公共施設の適正管理
○老朽化した公共施設の建替えや適正な配置など、公共施設全体のあり方や整備
方針について、検討を進めます。
図 13.基本施策「計画的な土地利用」の主要施策体系
13
3.2 国土利用計画(荒尾市計画) (平成 14 年 9 月策定)
【計画の概要】
国土利用計画法第 8 条第 1 項に基づき定められた計画であり、策定に当たっては、国
土利用計画(熊本県計画)を基本としている。利用区分別の市土利用として、農用地、
森林、原野、河川・水路・水面、道路、宅地等の地目毎に基本方向が設けられており、
地域別の区分は、市土における自然的、社会的、経済的及び文化的条件を勘案して 6
種類に分かれている。この内、跡地は、臨海地域に位置し、また、荒尾駅周辺地域に近
接している。
図 14.国土利用計画(荒尾市計画)における地域区分図
【跡地との関係性】
(臨海地域の概要)
各種公共施設の点在と住商工が混在しているが、臨海部特有の良好な景観を保全しなが
ら、海岸部については工業及び流通機能の拡大に努めるとともに、海岸保全機能と漁業
資源の維持拡大に努める。
(荒尾駅周辺地域の概要)
行政、交通、商業、業務地域を要する本市の中心市街地であり、将来的にこの機能を
維持し、より高度な本市の顔として成熟させる。そのために、中心市街地としての活性
化を図っていく。
14
3.3 荒尾市都市計画マスタープラン(平成 17 年 8 月策定)
【計画の概要】
都市計画法第 18 条の 2 第 1 項に基づく、荒尾市の都市計画に関する基本的な方針を定
めた計画。平成 16 年 7 月に行われた都市計画の区域区分の廃止(線引き廃止)を踏まえ
て策定されており、土地利用の基本方針等と合わせて、地区別構想を定めている。7 区域
の地区別構想の内、跡地は「荒尾地区」に該当する。また、荒尾市の土地利用や市街地構
造の特性をもとに、5 つの都市計画方針が設定されており、荒尾駅周辺と緑ケ丘地区の 2
箇所を中心拠点として、将来都市構造図が示されている。
方
針
土地利用方針
都市機能充実の方針
暮らしの場づくり方針
交通ネットワーク方針
都市計画推進方針
方針の骨子
丘陵緑地や池など市域内に点在する自然環境と市街地・集落との調
和のとれた土地利用促進(自然・歴史に基づく土地利用の規範、水
系・斜面緑地等の自然環境への配慮など)
2 つの中心拠点をはじめ、商業、工業、娯楽レクレーション施設等
の産業拠点の魅力と活力の充実(景観誘導・ユニバーサルデザイン
推進による機能充実の補完、回遊性・滞留性・快適性の向上など)
市民生活に密接な生活環境の快適化(若者定住促進、子育て・お年
寄り支援など安全・安心な地域づくりなど)
市域内外を結ぶ交通網整備による交通移動の円滑化(市街地環状骨
格および市域ネットワーク道路形成、他市町を結ぶ広域幹線道路の
整備、ユニバーサルデザイン化など)
市民活動と行政の役割分担と連携(都市計画行政の市民との密接化、
市民エネルギーを活かした都市計画の推進など)
荒尾競馬場跡地
図 15.荒尾市都市計画マスタープランにおける将来都市構造図
15
【跡地との関係性】
(荒尾地区整備構想)
◆地区整備の基本方針
近代化以降の万田坑跡や貯炭場など都市的ストックがあり、その環境整備や土地利用更
新によって市街地活力の向上などを進める。特に、商業・医療施設等の公共公益施設の
集積を活かし、高齢者や障がい者も安心安全に暮らせる福祉のまちづくりを、まちづく
りの基本方針とする。
◆項目別の整備方針
整備項目
整備方針
土地利用
商業及び各種公共公益施設の集積があることから、今後はマンシ
ョンや福祉型の集合住宅など、都市型住宅や商業・福祉施設導入
により、既存の社会資本の有効活用や土地の高度利用を進める。
炭鉱住宅跡地の有効利用を街路整備と関連付けて進める。
都市施設及び
都市機能整備
万田坑周辺跡地などの有効活用によって都市機能の充実を進め
る。基本的な都市インフラの整備は終えており、そのストックを
活かし、さらに今後の少子高齢化や環境問題への対応も図ってい
く。
交通施設整備
環状骨格道路の一環となる都市計画道路万田下井手線の整備を促
進する。中心部にふさわしい高齢者・障がい者にもやさしいまち
づくりの象徴として、歩道や公共空間、店舗等のユニバーサルデ
ザイン化など歩行環境整備を進める。
暮らしの場づくり
安全・安心のまちづくりにおいてはハード面の整備に加え、近隣
のコミュニティや各種ボランティア活動の充実も不可欠である。
そのため、コミュニティやボランティア活動を支える市街地環境
整備に住民と共に取り組んでいく。
景観・環境形成
土地区画整理事業が行われており整然とした街並みが形成されて
いるが、その中でも本市域に特徴的な白壁しっくいの住宅も多く
建設されている。また、洋風的な建物も随所に散見され、本市及
び周辺の景観風土をうかがわせている。このような特性を活かし
た市街地景観整備を進めていく。
住民まちづくり
大牟田市の市街地との一体的なまちづくりとして、空き店舗を福
祉的に利用するなど市街地居住の利便性を活かしていく。
16
3.4 荒尾市住宅マスタープラン(平成 21 年 2 月策定)
【計画の概要】
荒尾市の住環境整備・住宅供給の方針を示す計画であり、荒尾市市営住宅ストック総
合活用計画の上位計画に位置付けられている。同市の住宅地の形成経緯に基づき、6
つに類型が区分されており、跡地は「既成市街地」に位置する。
図 16.荒尾市住宅マスタープランにおける地区区分図
【跡地との関係性】
(『既成市街地』の住宅施策)
項目
内容
類型
荒尾駅周辺地区及び万田・倉掛等の古くから宅地化した市街地
課題
人口の空洞化対策、土地・住宅有効活用、再開発
目標とする
住宅地像
住宅施策の方針
・商・軽工業施設・住・多様な公共公益施設の集積する混在型
住宅地
・歩いて暮らせるまち
・公共用地の用地転換を活かし、市営住宅の配置
・遊休地や建物上層部を活かした定住人口の増加促進
・1階店舗等、上層階住宅(民営・公営)の市街地住宅の供給
17
3.5 各種計画等のまとめ
以上、荒尾市が策定した各種計画の内、跡地活用に関係する施策や、跡地周辺地域の土地
利用計画を整理した。この内、
「国土利用計画(荒尾市計画)」や「荒尾市都市計画マスター
プラン」などには、その上位計画となる熊本県の計画が別途存在し、また、熊本県としても、
「政令指定都市誕生後の県内各地域の将来像(平成 23 年 12 月策定)」にて、荒尾市を含む
県北地域の将来像を定めている。これらの各種計画を総合的に考慮すると、跡地周辺地域の
性質や期待されている役割、また、今後のまちづくりの課題としては、主に以下の項目が挙
げられる。
◆中心市街地としての交流・居住機能の強化
跡地周辺の JR 荒尾駅前や県境付近といった地域は、石炭産業が盛んであった時期に、
隣接する福岡県大牟田市と一体的な発展を遂げた経緯がある。近年は、大型商業施設の
撤退などの影響により、商業機能が低下しつつあるが、交通の利便性は高く、また、公
共公益施設も一定程度集積している。このような特性を活かし、中心市街地としての機
能強化や、高齢化社会を見据えた福祉型の集合住宅の整備、また、「歩いて暮らせるま
ち」などが期待されている。更に、広域的な観点からは、熊本県北地域の玄関口として、
福岡都市圏等をターゲットとした、移住・定住の促進や観光振興などの方向性が挙げら
れている。
◆市街地の両拠点と都市機能の集積
荒尾市の発展の歴史を辿ると、まず、石炭産業の隆盛に併せて跡地周辺といった北部地
域が発展し、また、同市中央部への炭鉱住宅の整備に伴い、都市機能が集積していった
経緯がある。その後、昭和 40 年代に桜山団地や八幡台団地などの郊外型住宅団地が整
備され、平成 9 年の三井三池炭鉱閉山以降は、緑ケ丘地区の炭鉱住宅跡地を、商業・居
住機能を有する荒尾市の副都心として整備が行われた。荒尾市の土地利用の方針として
は、跡地周辺の中心市街地と、緑ケ丘地区の副都心とを環状骨格道路で結び、このエリ
ア内に都市機能を集積することを目指しているが、今後、どのようにして効率的な都市
運営を行い、また、地域の特性を活かして調和の取れたまちづくりを行っていくかが課
題である。
◆公共施設の老朽化と施設配置
第 5 次荒尾市総合計画では、様々な施策において公共施設の建替え検討が定められてい
る。主な施設としては、荒尾市民病院や図書館と公民館、市民体育館、市営住宅などが
挙げられるが、これらの施設は、昭和 40 年代に整備されたものが多く、今後一斉に改
修時期を迎えることが見込まれる。公共施設の建替えを行う場合には、現在の位置に建
て替えるか、または別の場所に建てるかの検討を行う必要があるが、仮に、跡地などの
大規模未利用地へ移設を行う際には、荒尾市全体の公共施設の配置バランスや、土地利
用の方針、移設後に生じる土地の活用方法などを併せて整理する必要がある。
18
国の政策等
日本再生戦略(H24~H32) グリーン(エネルギー・環境)、ライフ(健康)、農林漁業(6 次産業化)、担い手としての中小企業等 11 の成長戦略と 38 の重点施策
持続可能で活力ある国土・地域づくり(H23~ ) 持続可能な社会の実現、安全と安心の確保、経済活性化、国際競争力と国際プレゼンスの強化
荒尾市
熊本県
・政令指定都市誕生後の県内各地域の将来像 (H23~)
第5次荒尾市総合計画 (H24~H33)
(県北地域)福岡をターゲットとした交流人口や定住人口の拡大、自動車・半導体・
新エネルギー関連企業の更なる集積、生産性の高い農業の展開 など
『荒尾競馬場跡地は、本市の発展に寄与する活用策を検討する。』
県北地域の振興
個別計画 福(祉・産業等
【土地利用関係の計画】
・国土利用計画(荒尾市計画) (H14~H23)
(荒尾駅周辺)行政、交通、商業、業務地域を要する本市の
中心市街地であり、より高度な本市の顔として成熟させる。
(戦略)創造的企業誘致の推進、新幹線効果の波及、メガソーラー立地、ストーリ
ー性のある観光戦略、アジアの市場に打って出る、歴史・文化を磨き上げる、農
林水産業の生産・出荷体制の再編・強化、安心・安全ブランド力の強化
・国土利用計画(熊本県計画) (H20~H29)
・荒尾市都市計画マスタープラン (H17~)
(荒尾地区の基本方針)商業・医療施設等の公共公益施設の
集積を活かした、安心安全に暮らせる福祉のまちづくり。
・幸せ実感くまもと4カ年戦略 (H24~H27)
整合・連携
(県北・県央地域)都市再開発や都市圏交通の整備・充実、環境にやさしい企業等
の育成・誘致、県境を越えた広域・高速道路網の整備による地域全体の活性化
・熊本県都市計画マスタープラン (H16~)
・荒尾市住宅マスタープラン (H21~)
)
(荒尾区域)JR 荒尾駅周辺や大牟田市に隣接した既成市街地は商業・業務機能を維
持すると共にその活性化を図る。また、市街地の活性を図る観点から中密度住宅
地を配置する。
(既成市街地)商、軽工業施設、住、多様な公共公益施設の
集積する混在型住宅地。歩いて暮らせるまち。
・熊本県住宅マスタープラン (H18~H27)
(地方都市地域)ユニバーサルデザイン住宅の普及啓発、高齢者・子育て世代向け
優良賃貸住宅等の整備促進(街なか居住推進)、空き家対策推進 など
荒尾競馬場跡地の活用検討
(本委員会の役割)
※計画に関する期間は、策定時期や目標時期を示している。
政策目標の達成を通じた地域振興
図 17.跡地活用に関する各種計画等の位置付け
19
4.跡地活用に関する市民アンケート及び団体ヒアリング
4.1 調査概要
荒尾市では、跡地活用に関する民意を把握し、委員会における跡地活用の方向性や具体策
の審議に資することを目的として、市民を対象としたアンケート調査や、関係団体等へのヒ
アリング調査が実施された。対象者及び調査期間等は次の通りである。
市民アンケートでは、主に、期待する跡地活用の分野や、跡地活用を通じた効果について
調査が行われており、また、団体ヒアリングでは、様々な団体の意見を聴取することで、具
体的な活用策や、活用する際の課題についての意見が調査されている。
【市民アンケート調査について】
(1)調査対象者
無作為に抽出した 20 歳以上の市民
荒尾市行政協力員
(2)調査期間
平成 24 年 8 月 24 日(金)
~
1,000 人
126 人
合計 1,126 人
平成 24 年 9 月 12 日(水)
20 日間
(3)調査方法
調査対象者に郵送配付し、郵送にて回収
(4)回答率
配付件数 1,126 件中、回答件数 423 件
回答率 37.6%
(5)調査内容
Ⅰ.回答者の属性
性別、年齢、居住地域
Ⅱ.荒尾市や荒尾競馬事業について
本市の魅力や課題、荒尾競馬場の訪問目的、競馬事業廃止による影響
Ⅲ.荒尾競馬場跡地の活用について
活用への関心度、期待する活用分野や効果、跡地への交通利便性を高める手法
Ⅳ.自由意見
20
【関係団体ヒアリング調査について】
(1)調査対象団体(順不同)
地域・市民団体 荒尾地区協議会、万田地区協議会、エコパートナーあらお市民会議
経済・産業・
不動産関係
団体
荒尾市商店連合会、一般社団法人荒尾市観光協会、荒尾漁業協同組
合、一般社団法人熊本県宅地建物取引業協会荒尾支部、肥後銀行
荒尾支店、独立行政法人都市再生機構九州支社
医療・福祉・
スポーツ団体
荒尾市社会福祉協議会、荒尾市医師会、荒尾市体育協会
合計 12 団体
(2)調査期間
平成 24 年 9 月 21 日(金)
~
平成 24 年 10 月 12 日(水)
22 日間
(3)調査方法
荒尾市政策企画課職員が対象団体を訪問し(または荒尾市役所内において)、
各団体の代表者等から荒尾競馬場跡地の活用に関する意見を聴取。
(4)調査内容
・期待する活用分野
・跡地活用全般に関する見解
・その他(各団体の社会情勢や課題など)
4.2
市民アンケート調査結果
70歳以上
95人
(22.5%)
女性
232人
(55.0%)
N=422
男性
190人
(45.0%)
20~29歳
40人
(9.5%)
30~39歳
47人
(11.1%)
N=422
60~69歳
116人
(27.5%)
図 18.性別
50~59歳
69人
(16.4%)
図 19.年齢
21
40~49歳
55人
(13.0%)
57
50
60
桜山
清里
中央
緑ケ丘
有明
その他
災害が少ない
地域コミュニティ
活動が活発
歴史・
文化が
豊か
公共施設が
充実
道路交通網が
充実
子育て・
教育
環境が充実
高齢者福祉が
充実
治安が良い
働く場が多い
公共交通が
便利
その他
災害が多い
地域コミュニティ
活動が停滞
歴史・
文化が
乏しい
公共施設が
不便
道路交通網が
不十分
子育て・
教育
環境が不十分
高齢者福祉が
不十分
治安が悪い
働く場が少ない
公共交通が
不便
医療施設が
少ない
22
八幡
府本
平井
井手川
医療施設が
充実
娯楽・
レジャー
施設が少ない
買い物が
不便
自然環境が
悪い
図 22.荒尾市の課題
9
18
19
3
14
9
27
52
39
50
71
64
63
72
娯楽・
レジャー
施設が充実
176
200
86
85
100
買い物が
便利
0
31
26
26
30
40
51
31
13
25
50
42
44
50
60
78
79
100
万田中央
178
200
万田
荒尾
0
14
12
19
15
20
2
自然環境が
良い
0
(件)
283
300
234
250
(人)
84
90
80
70
40
10
(件)
図 20.居住地区
350
300
302
150
156
図 21.荒尾市の魅力
250
150
(件)
(件)
200
200
164
164
165
160
160
120
120
94
80
159
145
124
80
40
21
8
9
図 24.荒尾競馬事業廃止に伴う影響
図 23.荒尾競馬場を訪れた目的
あまり関心
が無い
36人
(8.5%)
関心が
無い
5人
(1.2%)
少し関心
がある
119人
(28.2%)
関心が
ある
258人
(61.1%)
N=422
図 25.荒尾競馬場跡地の活用に対する関心度
250
(件)
226
200
173
176
150
141
127
90
100
73
80
77
56
22
その他
23
馬事分野
図 26.荒尾競馬場跡地の活用に望む分野
再生可能
エネルギー分野
スポーツ分野
農水産分野
公共分野
住宅分野
介護福祉分野
医療分野
子育て・
教育分野
産業分野
観光・
娯楽分野
商業分野
0
65
45
50
その他
特に影響は
感じない
市内で働く場所が
減少した
0
賑わいが減って
寂しくなった
特有の施設がなく
なり魅力が低下
その他
競馬場を訪れた
ことがない
業務に従事
するため
催し物を見物
するため
食事・
買い物を
するため
競馬観戦・
馬券
購入のため
0
40
16
(件)
350
300
300
250
JR 荒尾駅の
列車本数増加や
駅舎の改修など
190
200
130
150
その他
5人(1.4%)
広域バス路線網の整備や
便数の増加など
49人
(13.8%)
44人
(12.3%)
N=356
100
50
15
6
その他
特に期待して
いない
憩いの場の創出
定住人口の増加
地域経済の振興
0
258人
(72.5%)
図 27.跡地活用を通じて期待する効果
有明海沿岸道路や
幹線道路の整備促進など
図 28.荒尾競馬場跡地への利便性を高める手法
表 5.自由記入欄の意見概要
意見分類
主な意見内容
企業や工場誘致による若者の雇用の場の創出、商業施設(ショッ
商業・観光・産業関係 ピングセンターやアウトレットモール、大型スーパー、道の駅な
(101 件)
ど)、物流拠点や物流中継基地、レジャー施設(カジノ、水族館、
サファリパーク、テーマパーク、コンサート場、映画館)など
自然・スポーツ関係
(83 件)
太陽光発電施設、風力発電、公園(大型の公園、海浜公園、ラム
サール条約に関連した公園、キャンプ場など)、スポーツ施設(グ
ラウンド、温水プール、サッカー場(国際大会クラス)、サイクリ
ングロード)など
公共施設関係
(25 件)
有明海沿岸道路の整備、文化施設、図書館やスポーツなどの複合
施設、市庁舎の移転など
馬事関係
(12 件)
子育て・教育関係
(12 件)
医療・介護関係
(10 件)
跡地活用全般
乗馬体験、ホースセラピー、乗馬クラブ、場外馬券売り場など
大学、専門学校、学習塾、海洋関係の研究機関や教育機関、保育
園、託児所など
市民病院の移設、老人施設、介護施設、子ども病院など
・高齢者が多いので若い人が増えるようにして欲しい。
・箱モノの建設は不要。慎重に計画して税金の無駄を無くして
欲しい。
・海に面していて自然環境がすばらしいと思っていたが、東日本
大震災以降、津波が心配。
・競馬が開催されていた頃は国道が渋滞していたので、活用する
前に道路整備をして欲しい。
・建物が古くて暗いイメージがあるので、早く取り壊して欲しい。
・これだけのまとまった土地でアクセスが良い所は他にはない。
・どのような事業をやろうにも地権者が賛同されるか心配。
24
4.3 団体ヒアリング調査結果
4.1の調査概要で示した団体ごとに、荒尾市において個別にヒアリングが実施されてい
るが、その回答内容は多岐に亘るため、以下の分野毎に整理を行う。また、異なる団体から
提起された同様の意見については、複合して整理することとし、分野毎の傾向を把握するた
め、肯定的な意見と否定的な意見に区分する。
(1)
商業に関する分野
肯定的な意見
否定的な意見
○他社との競合が難しい部分もあるが、商業 ○シティモールがあるので地元と競合しな
分野では企業の需要があるのではないか。
いような施設を望む声が多いのでは。商業
○跡地に賑わいが生まれれば、自ずと商業施
のシェア争奪が激化して、シティモールが
設は整備されると思う。
無くなってしまっては意味が無い。
○昔は四ッ山地区は賑わっていたので店が ○大牟田にはイオンモールがオープンし、商
出来ると人通りが出来るのでは。以前は露
圏的には繋がっている。また、ゆめタウン
もあることから、同じような大規模な商業
店や直売所等で海産物もよく売れていた。
○沿岸道が整備されれば、競馬場の交通アク
系は厳しいのではないか。
セスが良くなり、自然と商業施設が立地す
るのでは。
(2)
産業・エネルギーに関する分野
肯定的な意見
否定的な意見
○自然分野に関する研究所などの誘致が考え ○近年はメガソーラーが流行しているが、雇
られる。
用を生まないので有効な活用策ではない。
○最近は民間も景気が悪く、投資する体力は
無い。また、塩害などを考えると、跡地に
工場は難しいと思う。
○雇用の確保が大きな課題であり、無人稼働
の工場を誘致しても地域活性化に繋がら
ない。
25
(3)
観光・レジャーに関する分野
肯定的な意見
否定的な意見
○物産館や道の駅、夕陽を見ながら食事でき
る場所など観光分野に活用してはどうか。
○荒尾市にはグリーンランド、万田坑や海達
公子など点はあるが線で繋がないといけな
い。また、跡地に孫文記念館を再建するな
らば、宮崎兄弟生家も活きると思う。跡地
の活用は最後のチャンスで活用策次第では
グリーンランドからの線が出来ると思う。
○駅からの利便性を活かして全国レベルの
スポーツ競技を観覧できる環境を整備し
てはどうか。また、合宿所を併設すると、
その練習を見に来る人も訪れる。駅の利用
者が増えれば、駅舎の改修に繋がるのでは
ないか。
○競馬場跡地に観光物産館を移設してはどう
か。観光物産館は観光の顔としての役割を
持っており、また、荒尾市に点在する観光
資源を、観光物産館を通じて線で繋ぐこと
が期待される。
○ラムサール条約を活かすならホテルの整備
が考えられる。今回のラムサール条約を経
済効果に結びつけるにはどうするかを考え
る必要がある。
○鹿児島県出水市の鶴は、見ることが出来る
のは一時期だけだが多くの観光客が訪れて
いる。荒尾は通年で様々な鳥を見ることが
出来るので、活かし方次第で観光客を誘致
できるのではないか。
○跡地に 1km 程の砂浜を整備して海水浴や潮
干狩りが出来る環境にし、駅からのプロム
ナードを設けることで、賑わいが生まれる
のではないか。
○場外馬券売り場を行うだけなら、長洲のボ
ートピアと同規模で良いと思う。また、ボ
ート・競輪・オートレースなどを一体的に
販売することも考えられるのでは。
○荒尾市周辺エリアの人口密度を考えると、
グリーンランドと同様のレジャー施設は
2つは経営が成り立たないと思う。また、
これからの時代、遊園地などのテーマパー
クを新設することは難しいと思う。
○道の駅を設けるならば、人の流れを考える
と、グリーンランドから東側だと思う。
○高齢者にとっては福岡・熊本へのアクセス
はあまり関係が無く、市内の主なレジャー
施設はグリーンランド位で、万田坑やラム
サールでどの程度観光客を呼べるかは不
明である。
○仮に万田坑が世界遺産になったとしても、
万田坑と平泉は性質が異なり、リピーター
は厳しいのではないか。また、東アジアか
らの観光客を視野に入れるとしても、現在
のような社会情勢では複雑な状況である。
○以前は、不況の時はギャンブルが強かった
が、今はギャンブルは売れていない。現在
場外発売が行われているが、今後は厳しい
のではないか。
26
(4)
保健・医療・福祉に関する分野
肯定的な意見
否定的な意見
○跡地に市民病院を移設して福祉施設を集約 ○災害の危険性が高い土地に市民病院は移
すると、荒尾市が福祉のまちになるのでは。 設できないと思う。
○屋内のプールや老人福祉センターなど、年 ○跡地に市民病院を建替えるのは、病院が多
間を通じて健康づくりに取り組むことが
額の赤字を抱える中で現実的ではない。
できる複合施設があればよいと思う。
○近年、ウェルネスシティという考え方が流
行している。今後の高齢化を見据え、病院
や福祉施設を中心としたまちづくりを行
うことで、住宅も呼び込めると思う。
○総合計画の中でも、高齢者の自立と社会参
加の推進という施策が設けられているが、
現在高齢者が集えるのは潮湯のみである。
将来的には人口が増加することは困難だ
と思われるので、高齢者が集まる拠点があ
れば市民にとって良いのではないか。
○雇用については、製造業が厳しい状況なの
で、介護分野など高齢者をターゲットにし
たビジネスは可能性があるのでは。介護施
設は入所待ちをしている方も多く、ニーズ
は高い。しかし、介護職員が足りない状況
である。
○荒尾市には、介護でも認知症でもない高齢
者が、趣味などの生きがいを持って1日過
ごせる場所が必要だと思う。また、体操教
室を開催するなど複合的な機能を備えては
どうか。
27
(5)
住宅に関する分野
肯定的な意見
否定的な意見
○若い人が住むためにも、一体的にトータル ○浸水被害が想定される地域に、住宅などの
コーディネート出来る機関へ住宅整備を
建物を建てることは疑問である。
任せた方が良いと思う。荒尾市は新築住宅 ○大潮の時に台風が来ると波飛沫が堤防を
の着工件数は多く、住宅のニーズはあると
越え、特に、跡地は住宅地には不向きでは
思う。
ないか。
○今でも大潮の時は、厩舎団地付近の下水処 ○跡地の上に有明海沿岸道路が通れば、プラ
理場から潮が上がってくるが、土地自体が
イバシーや騒音が課題となり、住宅は建て
水に浸かることは今までなかった。
られないと思う。
○荒尾市は土地が安いので、マンションは難
しいのではないか。需要もあまり無い状況
である。
○跡地は土地が低いので、仮に住宅地を整備
するなら、土盛りをして高さを上げないと
いけない。
○跡地は塩害が懸念されるため、このエリア
に住居は難しいと思う。
(6)
子育て・教育に関する分野
肯定的な意見
否定的な意見
○ファミリーサポートセンターと老人が集ま
る場所を複合化するなど、子どもと老人の
交流ができる場所があればと思う。
○保育所、学校、老人ホームまでを一体的に
整備し、教育のまちにしてはどうか。学校
があれば人は集まる。但し、スポーツや学
力など、レベルが高い学校でなければ魅力
は低い。
28
―
(7)
自然・スポーツに関する分野
肯定的な意見
否定的な意見
○跡地はビオトープ公園にしてはどうか。跡 ○ラムサール条約に登録されたが、大島周辺
地のクリークにはボラやカワセミがおり、
の開発が進むと、渡り鳥に影響を及ぼさな
活用するにしてもコンクリートにはせずに
いか懸念する。
水の流れを作った方が良いと思う。跡地で
は、サギやクロツラヘラサギが休息してお
り、これらの鳥が休息していることは、安
心安全な場所であることを意味している。
また、クロツラヘラサギはラムサール条約
に登録される基準の一つである。例えば、
自然を残しながらシギ・チドリが入るよう
な溜池を作って、跡地を特別保護地区に指
定することも考えられる。
○スポーツ施設の整備や、コンパクトシティ
の考え方の下、公共施設を集約することが
考えられる。
○跡地周辺の海岸はラムサール条約に登録
され、夕陽も美しいので、海浜公園を整備
してはどうか。跡地から鳥が見えるなら
ば、展望台を作ってはどうか。
○跡地の周辺にも、元気ロードのような 1km
程度のウォーキングロードを整備しては
どうか。ウォーキングロードは健康増進や
社会教育に繋がり、今後も利用者が増える
と思われる。仮に新たに設けるなら、元気
ロードは道幅が狭いので、より広くした方
が良い。
○跡地は多目的広場にはすぐに転用できる
のでは。将来的には体育館の中に屋内プー
ルがあればよいと思う。今後は高齢者の増
加が見込まれ、また、スポーツクラブに通
っている人は多く、長洲町のプールに通っ
ている人もいる。但し、温水プールで 50m
は難しいと思う。
29
跡地活用全般に関する主な意見
【費用に関する内容】
○場外馬券売り場の借地料を積み立てて、施設の撤去費用に充ててはどうか。
○競馬事業の清算で多額の負債を抱え、将来的には施設解体費も生じてくる中で、今後の費
用負担が大きな課題である。最終的に不要な箱モノを作ると市の財政に禍根を残す。
○活用の具体化に時間がかかっているのは、税金を使っているからであり、維持管理に血税
を投入しているという意識が足りない。未利用施設の解体など、出来ることは並行して進
めるべきである。
○現在跡地に存在する建物を解体するだけでも多額の費用がかかると思われるので、まずは
ローコストで人を集める仕組みを作り、その途中経過の中で将来像を示してはどうか。
【土地整理に関する内容】
○民有地をまとめていくにしても、結果的に接道して価値が上がるならば、地権者は理解す
るのでは。
○民有地は地権者に返却して自由に活用してもらうことも考えられる。
○土地整理は、跡地を住宅メインにするなら区画整理だろうし、商業なら買い取りも考えら
れる。何れにせよ、土地利用のデザイン(絵)が必要であり、跡地の活用方針が見えてこ
ないと、土地整理の手法が見えないと思われる。
○処分性が高い用途は民有地を優先し、その後、市有地の一部を処分してはどうか。
○民有地の代表者を決めなければ、個別に話を聞いても方向性がまとまらないのでは。
○最後には、地権者が市に貸しておいて損は無かったと思えるようにして欲しい。
【活用計画や今後の事業化に関する内容】
○荒尾市は過去にアジアパークを経験しているので、あわてずに事業化してはどうか。
○跡地をどれくらいの期間で活用できるのかが課題だと思う。土地の整理など様々な要因を
考慮すると、10年くらいはかかるのではないか。
○提言書策定以降の展開としては、大きな方向性を示して民間へプロポーザルを募集するこ
とが考えられるのではないか。
○跡地がここまで広くなければポテンシャルが高いと思うが、市内から跡地へ移設すると空
洞化を招き、逆に外からも引っ張りにくい。
○過去に駅前の開発計画を策定する際にもヒアリングに協力したが、結局は絵に描いた餅に
なった。今回、関係者の声を聞いて計画を立てても、同じことを繰り返すのではないか。
○跡地の堤防は荒尾市の管理になっているが、かなり老朽化しており補修箇所が目立つ。県
の堤防は工事が行われているが、市の堤防も何れ改修が必要ではないか。
○公共施設を建設しても経済効果は建設して終わりである。跡地は金を稼ぐ土地になる必要
がある。
○近頃、学校跡地など市内の未利用地が多くなっている。また、市民病院も建替え時期を迎
えており、市全体の施設バランスを考慮する必要がある。今回の跡地活用を契機に、荒尾
市内の公共施設を大幅に入れ替えてはどうか。例えば、跡地に運動公園の機能を全て移管
し、運動公園の土地に市民病院や市役所などの公共施設を建てるなど。
30
4.4 市民アンケート及び団体ヒアリング調査結果のまとめ
前述の通り、荒尾市が実施した跡地活用に関する市民アンケートや団体ヒアリングの調査
結果を整理したが、市民が跡地に期待している機能や、活用に当たっての課題などは、主に
以下の点が挙げられる。
◆人の賑わいや雇用の創出が期待される分野(商業・観光など)への関心が最も高い
市民アンケートの結果によると、跡地活用を通じて期待する効果として、「市外からの
来訪者の増加や働く場所の創出による地域経済の振興」についての回答件数が最も多く、
また、活用を期待する分野も、「商業分野」、「観光・娯楽分野」、
「産業分野」など、人の
交流や経済振興に関するものに多くの回答が寄せられている。
関係団体ヒアリングにおいても、同様の傾向であり、具体的には、物産館や道の駅など
の特産品販売施設、場外馬券売り場を拡張してボートレース・競輪・オートレースといっ
た公営競技の場外発売を複合的に扱う施設、また、跡地の馬場やスタンドを活かしたスタ
ジアムなどの意見があった。但し、商業施設については、跡地周辺に大規模なショッピン
グセンターが存在していることや、あらおシティモールへの影響を考慮して、同様の形態
の施設は避けるべきとの意見も見られた。
◆有明海の眺望や渡り鳥などの地域資源を活かした活用への関心も高く、経済振興や交流
促進への結び付きも期待されている
市民アンケートにおける、活用を通じて期待される効果は、「緑や海などの自然を活か
した憩いの場の創出」が「地域経済の振興」に次いで 2 番目に多く、アンケートの自由記
入欄や団体ヒアリングにおける具体的意見としては、有明海の眺望を活かした海浜公園、
有明海や渡り鳥などの自然環境を学習するビジターセンターの整備、跡地の一部にビオト
ープを整備し渡り鳥の休息地を設けることや、鳥の観察を行うための展望台の整備などが
寄せられている。
本年 7 月に荒尾干潟がラムサール条約に登録されたことを契機として、何かまちづくり
に活用できないかという意見も多く、自然環境を保全しながら、地域経済の振興や交流の
促進などに結び付けていく必要性も提起されている。
なお、市民アンケートの内、活用を期待する分野では「再生可能エネルギー分野」に最
も多くの回答が寄せられたが、団体ヒアリングでは、大規模太陽光発電施設は、継続的な
雇用創出とならず、地域経済への波及効果が低いことから、有効な跡地活用策ではないと
の意見もあった。
◆居住する魅力を高めるには医療・福祉機能を中核とすることが考えられるが、居住地と
して懸念する意見も多く、防災対策の強化が必要と見込まれる
市民アンケート及び団体ヒアリングの両方とも、跡地を宅地開発することについては懸
念を示す意見が多かった。市内住民は、既に市内に居住地を有しているので、住宅分野に
対する関心は低い結果となっているものの、跡地が臨海部であることや土地が低いことな
31
どの地理的条件に起因する影響も大きいと見込まれる。また、病院などの医療施設や、高
齢者が集まり生きがいづくりや健康づくりに取り組むことができるような福祉施設など
の、暮らしを送る上での中核となる施設を配置することにより、その周辺には自然と住宅
が整備されていくのではないかとの意見も寄せられている。
関係団体ヒアリングでは堤防の老朽化に伴う補修の必要性が指摘されており、また、住
宅部には盛り土が必要との意見もあることから、これら防災対策の強化を図りながら、医
療や福祉などの特色を有した居住空間を創造することが、快適で安全な暮らしの実現に繋
がっていくものと見込まれる。
◆跡地活用の効果を高めるためにも、有明海沿岸道路(Ⅱ期)の早期整備が重要
市民アンケートでは、市外からの交流を促進し交通の利便性を高めるのに有効な手法と
して、
「有明海沿岸道路や幹線道路の整備促進など」に最も多くの回答が寄せられた。
(回
答件数全体の 72.5%)
また、ヒアリング調査では、有明海沿岸道路(Ⅱ期)は、依然として「候補路線」に留
まっており、道路やインターチェンジの事業化には暫く時間を要することが見込まれるこ
とから、有明海沿岸地域の連携交流促進を高める機能を跡地に導入することが、有明海沿
岸道路(Ⅱ期)の整備実現に繋がっていくのではないかとの意見も挙げられた。
◆民間の活力を生かし、荒尾市の財政状況を考慮した「身の丈に合った活用」が重要
市民アンケートの自由記入欄や団体ヒアリングでは、競馬事業の清算に伴って生じた財
政支出や今後の施設解体費用などを踏まえ、今後、跡地活用を行う上では、極力、荒尾市
の財政負担が少ない方法を取るべきであるとの意見が寄せられている。現在、跡地全体の
約 2/3(約 17.3ha)は市有地であり、今後活用に当たっては、全てを公共的な用途とする
のではなく、民間団体の参入を促進することが、より良い活用に繋がるものと見込まれる。
また、公共施設を建設する場合にも、PFI 制度などを通じて、民間の資金やノウハウを活
用することが効果的だと見込まれる。
なお、団体ヒアリングでは、跡地活用を迅速に進めるためにも、現在使用していない建
物については、早急に解体すべきだとの意見がある反面、少ない投資で無理のない範囲で
活用を進めるためにも、スタンドなどの建物は当面そのまま残して、活用策を検討しては
どうかとの意見も挙げられている。
32
5.跡地活用へ向けた提言
5.1 跡地活用に当たっての基本コンセプトや方向性
委員会では、近年の社会情勢や荒尾市の地域特性及び課題、また、市民アンケートや団体
ヒアリングを通じた民意などを考慮しながら、長期的な展望に立ち、荒尾市の地域振興や将
来的な発展に繋がると見込まれる跡地活用の検討を行ってきた。跡地周辺は、近年は商店の
減少などにより、まちの賑わいが低下しつつあるものの、以前から荒尾市の中心市街地とし
て発展してきた地域であり、跡地は、JR 荒尾駅や市役所などの公共公益施設に近接する、
交通の利便性が高い、様々な利用の可能性を持った広大で平坦な土地である。また、ラムサ
ール条約に登録された荒尾干潟が跡地南側に隣接するなど、自然環境に恵まれており、競馬
事業を通じた娯楽や賑わいの拠点であった歴史を有している。
跡地活用を起点としたまちづくりの波及効果としては、JR 荒尾駅周辺地域の発展誘導や、
熊本県の北の玄関口として交流・定住の拠点的役割を担うことが期待される。更に、将来的
に跡地周辺への有明海沿岸道路の整備が実現すれば、高速道路のインターチェンジが存在し
ない荒尾市において交通の新たな動脈が生まれることとなり、跡地は、JR 鹿児島本線と連
携した、産業・流通・観光・定住機能の拠点となりうる可能性を有している。
市民アンケートや団体ヒアリングの結果でも、跡地活用への市民の関心は非常に高いもの
があり、また、荒尾競馬事業の廃止により、荒尾市の魅力が低下したことや、賑わいが減っ
て寂しくなったこと、働く場所が減少したことなど、幅広い課題提起が行われている。これ
を受けて、跡地活用を通じた効果としては、地域経済の振興に最も高い関心が集まっており、
また、市民の憩いの場の創出など、暮らしやすさの向上に繋がる活用への期待も高い。
そこで、跡地が有する交通の利便性という潜在的価値の高さや、荒尾市の中心市街地とい
う都市機能の集積状況を最大限に活かし、跡地活用が、荒尾市の地域課題の解決や住民の暮
らしやすさの向上、更には将来的な発展へと資することを期待して、次の通り、活用に当た
っての基本コンセプトと、これを実現するための方向性を提言する。
また、これらの方向性を実現させるための手段として、具体的な方策を併せて提言し、用
途の例示を行う。この内容については、委員会における審議や市民アンケートなどの民意等
を考慮して、荒尾市の地域振興に繋がると期待される様々な分野に亘って、活用の可能性を
幅広く提起したものである。
33
跡地活用の基本コンセプト
人が集まり賑わいがあふれ、自然豊かな環境で安心して
暮らすことができる、良質の都市空間の創造
『人・自然・未来をつなぐ あらお再生拠点』
~新たな価値を創造し、次世代に引き継ぐ荒尾市の新たなシンボルへ~
方向性①
方向性②
ラムサール条約に登録された
荒尾干潟を活かすことで
自然環境の保全や理解促進を
図る
交通アクセスや地域資源を
活かして賑わいを
創出することで
地域の活性化や経済振興を
図る
連携・相乗効果
方向性③
医療・福祉の充実や特色ある
居住環境を創出することで
定住人口の増加を
図る
図 29.跡地活用の基本コンセプトと方向性
34
方向性① 『自然環境の保全や理解促進』の具体的方策
(1)荒尾干潟を活用した自然学習・体験機能
(例:ビジターセンターなど)
(2)自然環境を活かした緑地機能
(例:ビオトープ、展望台、公園など)
方向性② 『地域の活性化や経済振興』の具体的方策
(1)近隣の商圏を考慮した独自性のある商業機能
(例:地域特産品直売所や広域的な集客力を有する
企業など)
(2)スポーツを通じた交流機能
(例:スタジアムや合宿に対応する宿泊施設など)
(3)馬事文化を活かしたレジャー機能
(例:場外馬券売り場など)
方向性③ 『定住人口の増加』の具体的方策
(1)健康で安心した暮らしのための医療・福祉機能
(例:医療施設、健康増進施設など)
(2)自然環境への配慮など特色ある居住機能
(例:再生可能エネルギーを活かした次世代型住宅など)
図 30.跡地活用の方向性と具体的な方策
35
【基本コンセプトのねらい】
跡地は、江戸時代後期に農地として干拓が行われ、以後、地元有志による競馬倶楽部設置
を経て、昭和 3 年から競馬事業が正式に開始されることなった。競馬事業が行われていた跡
地は、地方財政への寄与、健全娯楽の提供、就業の場の創出など、様々な役割を持ちながら、
荒尾市のシンボルとして、長年に亘って地域発展に貢献してきた場所である。
将来の社会情勢を展望すると、地方都市の人口減少は大きな課題であり、自然環境、資源、
エネルギー、財政面など様々な観点から、『持続可能性』が求められている状況にある。時
代の変化により、荒尾競馬事業は役割を終えることとなったが、これまで跡地が築いてきた
歴史を受け継ぎ、次の時代に応じた役割を見据えながら、新たな発展に繋げることが重要で
ある。また、跡地が持つ可能性を最大限活かすためには、行政のみならず、市民や地権者、
企業などの民間が共に連携する『協働』が不可欠である。
そこで、跡地が『荒尾市再生の拠点』となり、この地で新たな価値が創造され、これを
『次世代へ引き継ぐ新しいシンボル』となることを期待して、本コンセプトを提言する。
【方向性①『自然環境の保全や理解促進』について】
跡地の大きな特徴は、臨海部に位置するという点であり、跡地の西側に望む有明海や雲仙
の眺望は、荒尾市を代表する景観の一つである。また、跡地南部の荒尾干潟は、国内有数の
渡り鳥の飛来地として有名であり、本年 7 月には、湿地の保存に関する国際条約であるラム
サール条約に登録されている。
この、国際的にも重要な湿地として認定された、荒尾干潟の豊かな自然環境を保全しなが
ら、賢明な利活用を図っていくことは、荒尾市にとって必要なことであり、団体ヒアリング
を通じた民意では、ラムサール条約登録という契機を、荒尾市の地域振興に繋げていくこと
が期待されていることから、これを跡地で実現していくことが考えられる。また、跡地を通
して自然と触れ合う機会を創出することで、市民の憩いの空間が生まれ、更には、自然の大
切さを学習するような機能を導入することで、実践的な環境保全行動に繋がることが期待さ
れる。
そこで、荒尾市の新たな地域資源である「ラムサール条約登録湿地の荒尾干潟」を活かす
ことで、自然環境の保全や理解促進を図ることを提言する。
【方向性②『地域の活性化や経済振興』について】
跡地は国道 389 号に接しており、JR荒尾駅や国道208号からの直線距離は、最も近い
位置からで約 400 メートルである。また、地域高規格道路である有明海沿岸道路の三池港イ
ンターチェンジまでの距離は、およそ 2 キロメートルであり、近隣には三池港や長洲港が存
在するなど、道路、鉄道、港湾という様々な交通網が充実している。更には、現在は候補路
線となっている有明海沿岸道路(Ⅱ期、大牟田市~熊本市間)の整備が実現すれば、跡地の
交通の利便性が更に高まることが期待される。
36
荒尾市には、西日本有数の遊園地を始めとしたレジャー施設や、万田坑や宮崎兄弟生家と
いった文化施設が存在し、また、跡地から臨む有明海の眺望や、ラムサール条約に登録され
た荒尾干潟など、自然環境も豊かで、多くの地域資源が存在する。
荒尾市における大きな地域課題は、経済の活性化や雇用の創出だが、同市内には、内陸部
の荒尾産業団地や、臨海部の大島適地などの工場適地が複数存在するので、跡地については、
製造業など同様の業態ではなく、第3次産業を主軸とした雇用創出や経済振興が望ましいと
見込まれる。なお、跡地は交通の要衝に位置することから、物流機能を備える可能性も期待
される。
そこで、跡地の交通の利便性や、荒尾市の地域資源を活かして、市外からの交流を促進し、
跡地に賑わいの創出が期待される機能を導入することで、跡地周辺地域の活性化や経済振興
を図ることを提言する。
【方向性③『定住人口の増加』について】
荒尾市の人口は、近隣市町に比べて減少幅が小さいものの、今後は、人口減少が大きな課
題となることが見込まれる。この、荒尾市の人口減少幅が少ない理由としては、自然環境が
豊かであることや災害が少ないこと、また、治安の良さや生活が便利であることなど、総合
的に暮らしやすい都市であることが考えられる。
但し、市民アンケートや団体ヒアリングからは、跡地が臨海部であることから、跡地自体
は住宅地には不向きではないかとの意見が多く寄せられている。しかしながら、競馬事業の
廃止により、厩舎団地の居住者が今後不在となる中で、人口減少対策を講じていくことは、
地域活性化を図るためにも必要な視点であると見込まれる。
そこで、医療・福祉などの、生活する上で重要な機能を中核としながら、特色ある居住環
境を形成し、また、跡地の防災機能を高めることで、荒尾市の定住人口の増加を図ることを
提言する。
なお、以上の方向性①~③については、それぞれが相互に補完・連携することで、新たな
相乗効果を生み出すことが期待される。例えば方向性①と方向性②については、「自然環境
の保全・理解促進」と「地域の活性化・経済振興」の取り組みの連携により荒尾干潟を活用
した荒尾市独自の「エコツーリズム」の実施などの効果が期待される。
37
荒尾競馬場跡地の活用に関する提言概要
荒尾市の地域特性や課題等
跡地及び周辺地域の位置付け
市民アンケートや団体ヒアリングの意見
【地域特性】
【各種計画との関連性】
【活用策に関する内容】
(1)交通アクセスの利便性の高さや地理的優位性②、③
(2)豊富な観光資源と交流人口の多さ ①、②
(3)災害の少なさや生活環境の充実 ③
(1)中心市街地としての交流・居住機能の強化 ②、③
(2)市街地の両拠点と都市機能の集積 ③
(3)歩いて暮らせるまちづくり ③
【主な課題】
【荒尾市における跡地の位置付け】
(1)将来的な人口の減少 ③
(2)雇用の場の確保や経済の活性化 ②
(3)公共施設の老朽化と施設配置 ③
(1)交通の利便性が高い種地 ②、③
(2)新たに生まれる広大で平坦な種地 ①、②、③
(3)自然環境に恵まれた種地 ①
(4)娯楽や賑わいの拠点であった歴史を持つ種地 ②
(1)地域経済の振興に関する活用に高い関心 ②
(2)ラムサール条約登録を活かした地域振興 ①
(3)荒尾市の観光資源を結びつける役割 ①、②
(4)競馬廃止による荒尾市特有の魅力低下 ①、②
(5)臨海部であることの防災面での懸念 ③
(6)高齢化を見据えた医療・福祉の充実 ③
(7)有明海沿岸道路(Ⅱ期)の整備促進に大きな期待
②、③
基本コンセプトと跡地活用の方向性
人が集まり賑わいがあふれ、自然豊かな環境で安心して暮らすことができる、良質の都市空間の創造
『人・自然・未来をつなぐ あらお再生拠点』
~新たな価値を創造し、次世代に引き継ぐ荒尾市の新たなシンボルへ~
方向性① ラムサール条約に登録された荒尾干潟を活かすことで
自然環境の保全や理解促進を図る
方向性② 交通アクセスや地域資源を活かして賑わいを創出することで
地域の活性化や経済振興を図る
方向性③ 医療・福祉の充実や特色ある居住環境を創出することで
定住人口の増加を図る
図 31.地域特性や課題等と跡地活用のコンセプトや方向性の関係性
※①、②、③は、方向性との関連を示している。
38
5.2
方向性①の具体化へ向けた方策
方向性①
ラムサール条約に登録された荒尾干潟を活かすことで
自然環境の保全や理解促進を図る
(1)荒尾干潟を活かした自然学習・体験機能
(例:ビジターセンターなど)
ラムサール条約に登録された荒尾干潟は、荒尾市の環境保全の観点
から重要な意味を持つが、同時に、交流促進を図るための地域資源
としての活用が期待される。そこで、荒尾干潟をテーマとして、自
然環境を学習・体験する機能を提案する。跡地にビジターセンター
が整備されることで、渡り鳥や干潟の学習及び観察を目的とした来
訪者の受け入れ体制が構築され、教育旅行の誘致にも繋がると見込
まれる。また、荒尾干潟に近接する蔵満海岸と一体となって、より、
荒尾干潟の魅力を高めることが期待される。
例:藤前干潟 稲永ビジターセンター(出典:環境省中部地方環境事務所)
39
(2)自然環境を活かした緑地機能
(例:ビオトープ、展望台、公園など)
跡地南部の荒尾干潟は、渡り鳥が多数飛来するラムサール条約登録
湿地であり、また、跡地内の水路においても、野鳥が観察できる。
そこで、跡地をビオトープとして整備し、野鳥に限らず多様な生物
が生息できる環境を整え、跡地の親水性を高めることで、個性ある
緑地機能を備えることが可能になると見込まれる。また、野鳥観察
に関連して展望台を設けることで、有明海の景観を眺める機能も
備えることが可能となる。更に、主に子どもが利用できるような
公園としての機能を備えることで、跡地が、市民にとっての憩いの
場の創出に大きく貢献できるものと期待される。なお、堤防周辺や
居住空間周辺を緑地化することにより、景観の向上や防災機能の強
化に繋がると見込まれる。
例:響灘ビオトープ(出典:北九州市)
例:宗像ユリックス(出典:宗像市)
40
5.3
方向性②の具体化へ向けた方策
方向性②
交通アクセスや地域資源を活かして賑わいを創出することで
地域の活性化や経済振興を図る
(1)近隣の商圏を考慮した独自性のある商業機能
(例:地域特産品直売所や広域的な集客力を有する
企業など)
荒尾市には有明海から小岱山へと、海と山そしてその間の農地と変
化に富んだ地形において、様々な特産品が存在する。また、跡地は
交通の利便性が高いので、商業分野への活用の可能性が考えられる
ものの、跡地近隣には、あらおシティモールやイオンタウン荒尾、
ゆめタウン大牟田やイオンモール大牟田など、大規模なショッピン
グセンターが多数立地している。同様の大規模商業施設が跡地に立
地すると、既存商業施設が疲弊し、特に、荒尾市の第三セクターで
あるあらおシティモールへの影響が懸念される。そこで、地域特産
品の直売所や、広域的な集客力を有する企業など、近隣の商業施設
を考慮した独自性のある商業機能を提案する。また、地域特産品の
直売機能と併せて、荒尾市の観光情報に関する発信機能を備えるこ
とで、グリーンランドや万田坑、宮崎兄弟生家、荒尾干潟など、市
内の地域資源を結び、交流促進を図ることも期待される。
道路・地域情報提供施設
休憩施設
トイレ
地域振興施設
駐車場
例:道の駅の施設イメージ(出典:国土交通省道路局)
41
(2)スポーツを通じた交流機能
(例:スタジアムや合宿に対応する宿泊施設など)
跡地は平坦な地形であり、また、スタンド施設などが存在すること
から、現在の状態を活かすことで、比較的投資を抑えて、スタジア
ムなどスポーツ施設を整備することが可能と見込まれる。また、様々
なレベルの試合にも対応可能な整備を行うことで、駅からの近接性
を活かし、交流機能を担うことが期待される。更に、荒尾市に所在
する熊本県立荒尾高等学校は、全国高等学校ラグビーフットボール
大会に過去数度に亘って出場する県下有数の強豪校なので、例えば、
ラグビーフットボールをテーマとした整備を行うことで、
『ラグビー
のまち 荒尾』といった、特色あるまちづくりへと繋がることも考え
られる。なお、この競技施設と併せて、スポーツ合宿に対応するた
めの宿泊機能を導入することによって、雇用の創出などの地域経済
への波及効果も期待される。
例:ベストアメニティスタジアム(出典:佐賀県鳥栖市)
42
(3)馬事文化を活かしたレジャー機能
(例:場外馬券売り場など)
荒尾競馬事業の廃止以降も、スタンド部分において、中央競馬及び
地方競馬の場外発売が行われている。現在の予定では、平成 25 年
度も単年度契約によって継続される見込みとなっているが、平成 24
年 1 月~11 月末までの来客数は約 28 万人と、交流機能の一つとし
ての役割を果たしている所である。但し、現行施設は老朽化してお
り、場外発売を行うだけであれば必要なスペースは限られてくるの
で、事業主体と協議しながら新たな施設を建設するなどして、移設
することも考えられる。なお、荒尾市に競馬場が存在していたこと
を後世に伝えるためにも、場外発売所の一角に、荒尾競馬に関する
メモリアルコーナーを併設することが考えられる。
例:BAOO 三刀屋(出典:日本レーシングサービス)
例:福島競馬場メモリアルコーナー(出典:日本中央競馬会)
43
5.4
方向性③の具体化へ向けた方策
方向性③
医療・福祉の充実や特色ある居住環境を創出することで
定住人口の増加を図る
(1)健康で安心した暮らしのための医療・福祉機能
(例:医療施設、健康増進施設など)
跡地周辺は荒尾市の中心市街地に位置しており、近年は空洞化が指
摘されるものの、交通機関や公共施設などの居住環境については、
依然として高いポテンシャルを有する。また、今後高齢化が予測さ
れる中で、いつまでも健康で安心した暮らしを送ることが出来る環
境を整備することは重要な課題なので、既存施設の立地及び整備状
況を踏まえて、医療施設や介護福祉施設、健康増進施設などを複合
的に配置することで、これらの施設を中核とした『ウェルネスシテ
ィ』として、居住空間が形成されていくことが期待される。現在、
荒尾市民病院の老朽化を背景として、施設の建替えが検討されてい
るが、現在の施設以外の場所に建設する場合には、跡地も候補地の
一つとして考えられ、仮に、跡地に整備された場合には、有明海沿
岸道路の整備促進が、都市間の交流拡大に加えて医療体制の充実と
いう面も備わるものと期待される。但し、市民病院の位置について
は、市民が頻繁に利用する施設であることから市内中央部が適当と
いう意見もあるため、今後、荒尾市全体のまちづくりや施設配置を
考慮しながら判断する必要がある。また、健康増進施設としては、
例えばウォーキングロードや温水プールなど、現在の荒尾市に不足
しており、多くの市民の利用が期待される機能などが考えられる。
例:社会保険直方病院や直方駅周辺整備イメージ
(出典:直方市中心市街地活性化基本計画)
44
(2)自然環境への配慮など特色ある居住機能
(例:再生可能エネルギーを活かした次世代型住宅など)
跡地周辺は生活関連施設が集積しており、また、跡地は広大な土
地なので、特色ある居住空間を創出することが可能であり、跡地
に居住することの魅力を高めることで、荒尾市外からの転入者の
増加に繋がることが期待される。例えば、跡地で生み出した太陽
光発電や風力発電等の再生可能エネルギーを活用し、域内の住宅
等の使用電力に充当することや、効率的なエネルギーの利用を行
う循環型の都市環境のモデル地域を創造(『スマート・コミュニテ
ィ』の構築)するなど、新しい暮らし方の提案に繋がることが考
えられる。なお、この方策の具体化に当たっては、再生可能エネ
ルギーの賦存量調査や、景観への配慮、総合的にコーディネート
する事業主体の調整などが必要になると見込まれる。また、跡地
は臨海部であり、より安全性を高めるためにも、土地のかさ上げ
など併せて調査が必要になると考えられる。
例:スマート・コミュニティのイメージ(出典:経済産業省)
45
5.5 跡地のゾーニングの考え方
これまでに述べた跡地活用の方向性に基づき、機能を導入する際のゾーニングの考え方を
示す。今後、具体的な施設配置を検討するに当たっては、事業の可能性調査や事業費の精査
などが必要であり、また、土地の整理手法との調整や、将来的な有明海沿岸道路(Ⅱ期)の
整備との関係など、様々な要因が存在する。よって、本提言書に示すゾーニングの考え方に
ついては、今後の具体化の過程において適宜修正する必要が生じるものと見込まれる。
なお、有明海沿岸道路(Ⅱ期)の整備実現は、跡地の活用において非常に重要な意義を持
つが、現時点ではルートが未確定なので、ゾーニングの中には記載していない。今後、跡地
の活用を精力的に進めることが、引いては、有明海沿岸道路の早期整備に繋がるものと期待
する。
名称
ゾーニングの考え方
ラムサール条約登録湿地である荒尾干潟との近接性を活か
し、主に、跡地の南西部に配置。有明海の卓越波高(波の高
さが最も高い向き(南南西))を考慮することで、防災機能の
環境共生ゾーン
強化に繋がることが期待され、また、堤防に沿うような形で
緑地帯を設けることで、高潮対策の効果も期待できる。更に、
(方向性①『自然環境の保全
「賑わい創出ゾーン」と「定住促進ゾーン」との間にも緑地
や理解促進』関係)
帯を設けることで、居住環境の向上(静かで良好な景観)に
も繋がると見込まれる。
交通の利便性や既存施設の位置等を考慮し、跡地の中央部付
賑わい創出ゾーン
近に配置。有明海沿岸道路(Ⅱ期)の整備が実現するまでの
間は、国道 389 号が主要路線となるので、来訪者の出入りを
(方向性②『地域の活性化や 容易にするため、国道に接する部分の間口を幅広く設けてい
経済振興』関係)
る。
定住促進ゾーン
(方向性③『定住人口の
増加』関係)
交通の利便性や自然災害への対策を考慮し、跡地の北部付近
に配置。このゾーンは、荒尾駅までの直線距離が他のゾーン
より短いので、通勤や通学の利便性が高まることが期待され
る。
46
国道389号
有明海沿岸道路
三池港
IC
有明海沿岸道路(Ⅱ期)の
早期整備
―
<・>
―
<・>
―
<・>
―
<・>
―
<・>
(大牟田市)
―
<・> ―
<・>
―
<・> ―
(荒尾市)
定住促進ゾーン
(医療・生活関連機能など)
堤防補強による
防災機能強化
荒尾駅への
交通の利便性
居住空間との
緩衝帯
国道 389 号
との近接性
賑わい創出ゾーン
(商業・交流機能など)
環境共生ゾーン
(緑地機能など)
荒尾干潟との繋がり
(卓越波高も考慮)
図 32.跡地のゾーニングの考え方(イメージ)
47
6.まとめと今後の課題
【まとめ】
今回、跡地の地域特性や社会情勢、アンケートやヒアリングを通じた民意等を踏まえ、本
委員会における審議内容等に基づき、荒尾市の発展に資すると期待される、跡地が目指す基
本的な方向性について提言を行った。跡地の基本コンセプトや方向性を示したことは、跡地
活用の実現へ向けた第一段階であり、今後、具体化へ向けて幾重の過程を経ることが見込ま
れる。
これらの方向性については、今後の具体化の過程を通じて、活用策の選択や優先順位の判
断が行われ、また、適宜社会情勢の変化等を踏まえながら、活用策を追加・修正していくこ
とが予想されるが、荒尾市には、本委員会が示した理念や活用の視点を尊重しながら、具体
化の取り組みを進めることを望む。また、今回の跡地活用が、荒尾市の再生拠点として、荒
尾市北西部の地域振興をリードする役割を担い、市域内の特色を活かしたまちづくりを行う
ことで、周辺地域との調和が取れた、持続的な発展に繋がることを期待する。
【今後の課題】
跡地活用を推進する上での大きな課題としては、土地整理手法の検討が挙げられる。跡地
は既に述べた通り、約 1/3 が民有地で構成されており、公有地と民有地がモザイク状に混在
している状況である。跡地活用の具体化には地権者の理解が必要不可欠であり、荒尾市には、
地権者との丁寧な協議を通じて活用を進めていくことが求められることとなる。
まずは、どのような土地整理手法が有効であるかの可能性調査や事業費等の精査を十分行
う必要がある。その際、荒尾市の財政運営は厳しい状況であるにもかかわらず、競馬事業の
清算費や老朽化した施設の解体費など、今後も様々な支出が見込まれることから、積極的に
民間企業等の参入を促進するなど、荒尾市の財政負担を可能な限り抑制できるような活用策
を併せて検討することが望まれる。
48
参考資料
荒尾競馬場跡地活用検討委員会設置要綱
平成24年1月30日告示第12号
(設置)
第1条 荒尾競馬場跡地(以下「跡地」という。)の活用方法を検討するため、荒尾競馬場
跡地活用検討委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
(所掌事務)
第2条 委員会は、跡地の活用方法に関して必要な事項について検討する。
(組織)
第3条 委員会は、委員12人以内をもって組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱し、又は任命する。
(1) 学識経験を有する者
(2) 経済団体を代表する者
(3) 地域住民を代表する者
(4) 関係行政機関の職員
(5) 市職員
(6) 前各号に掲げる者のほか、市長が必要と認める者
(任期)
第4条 委員の任期は、平成25年3月31日までとする。
(会長及び副会長)
第5条 委員会に会長及び副会長をそれぞれ1人置き、委員の互選により定める。
2 会長は、委員会を代表し、会務を総理する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を
代理する。
(会議)
第6条 委員会の会議は、会長が招集し、会長がその議長となる。
2 委員会は、委員の半数以上が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 会長は、必要に応じ、委員以外の者に会議への出席を求め、意見を聴取し、又は必要な
資料等の提出を求めることができる。
(庶務)
第7条 委員会の庶務は、総務部政策企画課において処理する。
(その他)
第8条 この要綱に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、会長が委員会に
諮って定める。
附 則
(施行期日)
1 この告示は、告示の日から施行する。
(この告示の失効)
2 この告示は、平成25年3月31日限り、その効力を失う。
49
荒尾競馬場跡地活用検討委員会委員名簿
(敬称略、順不同)
所
属
熊本学園大学経済学部教授
氏 名
秋元 一秀
荒尾商工会議所会頭
○那須 良介
社団法人荒尾青年会議所副理事長
溝脇 潤平
女性ネットワーク荒尾代表
坂田 尚子
地域振興課長
考
◎荒井 勝彦 荒尾市総合計画審議会会長
崇城大学工学部准教授
熊本県企画振興部地域・文化振興局
備
津森 洋介
熊本県玉名地域振興局土木部長
宮部 静夫
荒尾市副市長
山﨑 史郎
荒尾市総務部長
宮里 信雄
荒尾市建設経済部長
小柳 健一
荒尾市都市計画審議会会長
平成 24 年 4 月から委員就任
前任は佐藤伸之氏
平成 24 年 4 月から委員就任
前任は松永信弘氏
平成 24 年 4 月から委員就任
前任は山﨑史郎(現副市長)
◎:会長 、 ○:副会長
合計 10 名
50
荒尾競馬場跡地の活用に関する提言書の策定経過
年
月 日
内
容
第 1 回荒尾競馬場跡地活用検討委員会
平成 24 年 1 月 30 日
(検討委員会の進め方、跡地の概要、荒尾市の
地域特性、跡地活用の検討方法及び参考事例、
現地視察など)
第 2 回荒尾競馬場跡地活用検討委員会
平成 24 年 3 月 16 日
(荒尾市の主要課題及びまちづくりの方向性、
跡地活用の基本方向に対する意見交換など)
平成 24 年 5 月 18 日
第 3 回荒尾競馬場跡地活用検討委員会
(跡地活用方法に関する意見交換など)
第 4 回荒尾競馬場跡地活用検討委員会
平成 24 年 6 月 29 日
(跡地活用基本構想中間報告書(素案)の審議
など)
第 5 回荒尾競馬場跡地活用検討委員会
平成 24 年 7 月 23 日
(跡地活用基本構想中間報告書(修正案)の審議、
市民アンケート(案)の検討など)
平成 24 年 7 月 31 日
荒尾市長へ荒尾競馬場跡地活用基本構想中間報告書
を提出
第 6 回荒尾競馬場跡地活用検討委員会
平成 24 年 10 月 26 日
(市民アンケート及び団体ヒアリングの調査結果、
提言書の策定に向けた意見交換など)
平成 24 年 11 月 30 日
平成 24 年 12 月 18 日
平成 24 年 12 月 25 日
第 7 回荒尾競馬場跡地活用検討委員会
(跡地活用へ向けた提言(案)の審議など)
第 8 回荒尾競馬場跡地活用検討委員会
(跡地活用に関する提言書(案)の審議など)
荒尾市長へ荒尾競馬場跡地の活用に関する提言書を
提出
51
土地整理手法の紹介
跡地を一体的に活用するためには、活用の具体的な事業化を検討し、地権者の協力を得る
必要がある。今後、土地整理手法の検討及び地権者との協議などについては、本提言書を荒
尾市が受領した後、同市が主体となって実施する必要があるが、参考資料として、委員会で
紹介された一般的な土地整理手法の概要を以下に記載する。
1.買収
・・・民有地を市が買収し、全てを公有地化する。
○利点
・公共施設、公用施設を整備する場合の最もオーソドックスな手法。
・公有地として土地が一本化されるため、安定かつ安全に一体的活用が可能。
○課題
・個別補償であり、多大な財源と時間を要する。
・土地収用法等によらない用地買収では、起債や補助金等の財源措置がなく、地権者にとって
も税控除等のメリットを受けられない。
2.交換
・・・競馬場跡地内で公有地と民有地の交換を行い、公有地を一団にまとめる。
○利点
・土地買収や区画整理事業などのリスクを回避しながら、土地の整理・公有地化が可能。
・交換であるため、用地取得に係る財政支出を削減できる。
○課題
・交換位置や面積を個別に交渉する必要があり、買収以上に多大な時間と労力を要する。
・交渉によっては、多大な分筆費用が必要となる。
・条件によっては、税控除が受けられない。
3.土地区画整理事業
・・・道路、公園等の公共施設の整備が必要な区域において、地権者からその権利分に応じた土
地を提供(減歩)してもらい、この土地を集約し道路や公園などの公共用地に充てるほか、
その一部を保留地として売却し事業資金の一部に充てる事業制度。
施行者として個人、組合、法人、地方公共団体等がある。
(土地区画整理事業の流れ)
事業の完了
清算金の徴収・交付
土地建物の登記
換地処分
建物移転補償・工事
仮換地指定
土地区画整理審議会
・総会の設置
施行規程・定款
事業計画の決定
都市計画決定
52
○利点
・面的な整備を図るには、区画整理事業が有効。
・交換分合を活用することにより公有地が一団にまとめられ、利活用が容易になる。
・競馬場跡地の場合、移転を要する民間所有の建物がないため、事業期間の短縮、事業費の軽
減が可能。
○課題
・地権者の事業費負担、所有土地面積の減歩等が発生するため、事業実施の必要性について明
確な説明が必要。
・建物移転補償に係る交渉期間が短縮されるとはいえ、事業期間は長期を要する。
・事業資金回収のため保留地販売が必要。
・保留地処分価格が下落した際、地権者の負担が発生。
4.定期借地権(借地借家法)
・・・借地借家法に規定される借地権の一種で、契約の更新がない、建替えによる借地期間の延長
がない、建物買取請求権がないという特徴がある。
定期借地権の種類
名称
借地期間
用途
特色
一般定期借地権
50 年以上
定めなし
契約更新・延長なし。建物買取請求不可。更地
事業用借地権
10 年以上
事業用※
にして返還。
※居住用建物賃貸業は事業用の対象外。
50 年未満
建物譲渡特約付 30 年以上
借地権
定めなし
30 年以上経過時点で、借地上の建物を買い取る
ことで借地権消滅。
○利点
・現状に近い利用形態であり、現状維持の利用を前提とした場合の土地の散逸防止策としては
効果が認められる。
・ある程度長期間にわたり現状のまま一体的活用が可能。
○課題
・定期借地権の種類、期間等について全員の合意が必要。
・契約期間満了後は、更地にして返還が必要。土地の所有権は未整理のままで、抜本的な解決
策にはならない。
・契約期間満了後の活用方策について再度検討が必要となる。
53
市民アンケート調査様式
荒尾競馬場跡地活用に関するアンケート調査に
ご協力をお願いいたします
日頃から、荒尾市政の運営につきましては、ご理解・ご協力をいただき、誠にありがとうございます。
さて、長年にわたって本市のシンボルとして親しまれた荒尾競馬事業が、昨年 12 月に終了し、今後、本
市の地域振興を図る上で、荒尾競馬場跡地(広さ約 26 ヘクタール)の活用が大きな課題となっておりま
す。そこで、跡地の効果的な活用方法を検討するため、本年 1 月に学識経験者や市民団体、関係行政
機関により構成される「荒尾競馬場跡地活用検討委員会」を設置し、各委員の多角的な視点からご議論
をいただいているところです。
この度、同委員会から本市に対し、「荒尾競馬場跡地活用基本構想 中間報告書」が提出され、跡地活
用の基本的な方向性などが提案されました。つきましては、今後の審議の参考とするため、競馬場跡地活
用に対する市民の皆様のご意見を賜りたく、無作為に抽出した 20 歳以上の市民 1,000 人と、行政協力員
各位を対象としたアンケート調査(無記名形式)を実施することといたしましたので、下記調査にご協力いた
だきますよう、よろしくお願いいたします。
荒尾市長
Ⅰ.あなたご自身のことについておたずねします
問1.あなたの性別について (1つに○印)
1.男性
2.女性
問2.あなたの年齢について (1つに○印)
1.20~29歳
2.30~39歳
3.40~49歳
4.50~59歳
5.60~69歳
6.70歳以上
問3.あなたのお住まいの地区について (1つに○印)
1.荒尾
2.万田
3.万田中央
7.八幡
8.有明
9.緑ケ丘
4.井手川
10.中央
54
5.平井
6.府本
11.清里
12.桜山
Ⅱ.荒尾市や荒尾競馬事業のことについておたずねします
問4. 荒尾市のどの様な点に魅力を感じますか。(当てはまるもの全てに○印)
1.自然環境が良い
2.買い物が便利
3.娯楽・レジャー施設が充実
4.医療施設が充実
5.公共交通が便利
6.働く場が多い
7.治安が良い
8.高齢者福祉が充実 9.子育て・教育環境が充実
10.道路交通網が充実 11.公共施設が充実 12.歴史・文化が豊か
13.地域コミュニティ活動が活発
14.災害(地震・台風など)が少ない
15.その他(
)
問5. 荒尾市のどの様な点が課題だと感じますか。(当てはまるもの全てに○印)
1.自然環境が悪い
2.買い物が不便
3.娯楽・レジャー施設が少ない
4.医療施設が少ない
5.公共交通が不便
6.働く場が少ない
7.治安が悪い
8.高齢者福祉が不十分
10.道路交通網が不十分
11.公共施設が不便
13.地域コミュニティ活動が停滞
9.子育て・教育環境が不十分
12.歴史・文化が乏しい
14.災害(地震・台風など)が多い
15.その他(
)
問6. これまでに、どのような目的で荒尾競馬場を訪れたことがありますか。(当てはまるもの全てに○印)
1.競馬観戦・馬券購入のため
2.食事・買い物(朝市を含む)をするため
3.催し物を見物するため(荒炎祭など)
4.業務に従事するため
5.競馬場を訪れたことがない
6.その他(
)
問7. 荒尾競馬場がなくなったことで、どのような影響が生じたと思いますか。(当てはまるもの全てに○印)
1.荒尾市特有の施設がなくなり、他の街と比べて魅力が低下した
2.人の行き来が減少し、賑わいが減って寂しくなった
3.大規模な事業所がなくなり、市内で働く場所が減少した
4.特に影響は感じない
5.その他(
)
55
Ⅲ.競馬場跡地活用のことについておたずねします
問8.
荒尾市では、将来の地域振興を図るために、荒尾競馬場跡地の効果的な活用を検討していますが、
このことについて、あなたは関心がありますか。(最も当てはまるもの1つに○印)
1.関心がある
問9.
2.少し関心がある
3.あまり関心が無い
4.関心が無い
荒尾競馬場跡地をどのような分野に活用した方が良いと思いますか。(最大で6つまで○印)
1.ショッピングセンターや特産品販売所などの商業分野
2.レジャー施設やアミューズメント施設などの観光・娯楽分野
3.工場、事務所、研究施設などの産業分野
4.学校、保育所、幼稚園などの子育て・教育分野
5.病院や診療所などの医療分野
6.グループホームやデイサービスなどの介護福祉分野
7.戸建て、アパート、マンションなどの住宅分野
8.市役所や図書館などの公共分野
9.野菜や果物の栽培や、養殖施設などの農水産分野
10.公園や広場、グラウンドなどの自然・スポーツ分野
11.太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー分野
12.乗馬クラブなどの馬事分野
13.その他(
)
問10. 荒尾競馬場跡地の活用を通じて、どのような効果を期待しますか。(最大で2つまで○印)
1.市外からの来訪者の増加や働く場所の創出による、地域経済の振興
2.快適な居住環境の充実などを通じた、定住人口の増加
3.緑や海などの自然を活かした、憩いの場の創出
4.特に期待していない
5.その他(
)
56
問11. 市外からの交流を促進し、荒尾競馬場跡地への交通の利便性を高めるためには、どのような方法が
有効だと思いますか。(最も当てはまるもの1つに○印)
1.有明海沿岸道路や幹線道路の整備促進など
2.JR荒尾駅の列車本数増加や駅舎の改修など
3.広域バス路線網の整備や便数の増加など
4.その他(
)
Ⅳ.自由記入欄
問12. 最後に、荒尾競馬場跡地の活用へ向けたご意見やご要望などを、ご自由にお書きください。
以上で質問は終わりです。ご協力いただき誠にありがとうございました。ご回答いただいた内容
につきましては、調査目的以外には利用しないことを申し添えます。
誠に恐縮ですが、このアンケート用紙を返信用封筒に入れ、9月12日(水)まで に投函を
(切手は不要です。
)
お願いいたします。
(担当者連絡先)
荒尾市 政策企画課 政策経営室
TEL 0968-63-1273(直通)
担当:林田、石川
57
荒尾競馬場跡地の活用に関する提言書
平成24年12月 荒尾競馬場跡地活用検討委員会 策定
(事務局) 荒尾市 総務部 政策企画課
〒864-8686 熊本県荒尾市宮内出目 390 番地
TEL 0968-63-1273
FAX 0968-64-0940
http://www.city.arao.lg.jp
E-mail [email protected]
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