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472 資
料
資
第5巻
料
電 氣抵抗 用金屬材料 に就 て(飜譯)
[A.Schulze;Metallwirtsch.,20(1941),69,
101]
白
川
勇
記*譯
譯者 の こと ば:近 年電 氣抵 抗 用金 屬材 料 の 需要 は益ゝ 多 く,ま た そ の特 性 も盆 々 高級 な もの を要 求 され る様 にな つ
た.特 に精 密 抵 抗 及 び標 準 抵 抗 用 材料 は電 氣 工學 の 獲 達 と共 にそ の機 器の 精密 度 が 高 くな るに隨 ひ更 に高 度 の條件
を具備 した 高級 なも ので あ る こ とが必要に なつ て來 た.優 秀な る精 密抵 抗 及び 標 準抵 抗 用 金 屬 材 料 な る爲 に は 銘抵
抗 が大 き く且つ抵 抗變 化 の 温 度.係数 が小 さい と歯 ふ 電 氣 的 性 質 を有 して ゐ な けれ ば な らな い 著 々は 鳶 者 の性 質に
對して は,合金 の抵 抗 は 成分 元 素 の抵 抗 よ りも大 な る こと を,また後 者 の それ に欝 しては,常温 加 工 を施 した合 金 に は
抵 抗 愛 化 の温度 係数 が 負 にな る もの があ り.加熱 に よつ て機械 的 な恢 復 と固 溶體 の均 一 化 と に よつ て係 敷 の零 に な る
温 度 が あ る こと を利 用す る.後 者 の性 質 は精 密度 に 直接 影 響 す るも ので 重 要 観 され な け れば な らない.ま た實 用 だ
供 す る爲 めに は上 述 の 電 氣 的性 質 以外 に機械 的性 質,耐 触性,銅に對 す る熱起 電 力 等 を十 分 考慮 に入 れ な ければ な ら
な い ことは 勿論 で あ る.現 在の 精 密抵 抗 及 び 標準 抵 抗 用 金 屬材 料 を概 観 す るに は こ ゝに課 出 す る論 文 が好 適 の もの
で あ る と思 はれ る.
内 容:電
Isabellin,
氣抵 抗 用 金屬 材料 の 材 料 的 特 性 精 密 抵 抗 及 び 標 準 抵抗 用 材 料の 概 観-Cu-Mn系
Novokonstant,A-合
金(Therlo)一Au-Cr系
材 料(Manganin,
材 料 一 以 上 の 材 料 の 物 理 的 特 性 一 結 論
抵 抗 用 に適 當 な金 屬材 料 は比 較 的 僅 少で あ る.優 秀 な
る こ と,他 方 に於 て新 しい材 料 を發見 す る こ と が 必 要 に
る抵 抗 材料 は本 質 的 な特 性 と して,比 抵 抗 が 大 き く且 つ
なつ て來 だ.そ こで,比 較 的 短 い時間 で は抵 抗 値 が 一定
抵 抗變 化 の温 度 係數 が 小 さい と云 ふ 電 氣 的性質を有 して
で あ つ て,普 通 の標 準 抵 抗 と比 較 して は本 質 的 に小 さい
ゐ な けれ ば な らな い.純 金 屬 は特 に,温 度 係數 が 大 き いた
10-6程 度 の温 度 係 数 を有 す る材 料 を 製 造 す る.に努 力 し
め に この條 件 を満 足 して ゐ な いの で,こ の 日 的 の た めに
た.
は合 金 が 利 用せ られ る.耐 蝕 性 の 強 い こ と も亦 一 つ の 重
標 準 抵 抗 と して これ 迄 研 究 した 抵 抗 材 料 は 一Au-Cr合
要 な條件 で あ る.先 づ 主要 成 分 と して熔 融 點 の高 い 固溶
金 を除 いて-Cu-Mn系
體を形 成 す る金 屬 か らな ろ合 金 に 着 眼 す る.そ こで 抵 抗
材 料 と してCu, Ni, Fe, Cr
はMnか
ら成 る合金 を製 造
く基 成 分 と して銀 を用ひ た 抵 抗 合 金 を製 造 し て ゐ るが,
これ は標 準 抵 抗 へ の應 用 と して は 未 だ 用 ひ られ て ゐな
した.
い ※.
を 基 礎 と した もの で あ る.薪 し
抵抗 材 料 には 早速 これを應 用 して役 立 つ大 きな ものが
Ⅰ.Cu-Mn系
あ る.よ つ て先 づ 抵 抗 の測 定 に高 感 度 を必 要 とす る精 密
抵 抗 及 び標 準 抵抗 次 に工 業 用抵 抗(直 列 抵 抗 及び 補 償 抵
抗)同 様 に護 熱 抵 抗 に封 し抵 抗 合 金 を使 用 した/
これ 迄 の 研 究 に よつ て精 密 抵 抗 及び標 準 抵 抗 に應 用 す
Cu-Mn系
抵 抗 材 料
に 屬 す る抵 抗 材 料 に は 昔 か ら 知 られ て ゐ る
マ ン ガ ニ ン(Manganin),新
し い イ サ ベ リ ン(Isabellin) ,
ノ ボ コ ン ス タ ン ト(Novokonstant)及
びA-合
金 と して命
が あ る.第1表
は それ 等
る ことが 出 来 る金 屬 材 料 が 知 られ て ゐ る.特 に この種 の
名 さ れ て ゐ る材 料(Therlo)等
色 々な 抵 抗材 料 につ い ての これ 迄 の研 究 を集 録 して 見 や
の 化 學 組 成 を示 した もの で あ る.
う.か くの如 き電氣 抵 抗 を有 す る材 料 に特 に最 も要 求 せ
これ 等 の 材 料 の 比 電 氣 抵 抗 は 互 に僅 か 程 異 つ て ゐ る
られ る こ とは或 精 密 な測 定 に充 分 闇 に合 ふ こ とで あ る.
この 要 求 は近年 に なつ て 著 し くな つ た.從 つ て一 方 に 於
(第2表
て 〓 に使 用 して ゐた 精 密 抵 抗 及 び標 準 抵 抗材 料 を改 良 す
の で あ る.從
*東
北 帝國 大 學 助 教 授
金 屬 材 料 研究 所 員
を見 よ).ま
い.こ
た 銅 に封 す る熱 起 電 力 は非常 に小 さ
※譯
の 性 質 は 標 準 抵 抗 に應 用 す る 際 に 要 求 せ ら れ る も
つ て 機 械 的 性 質 も類 似 し て 居 り,15∼25%
者 註:Ag-合金
材 料 につ い て既 に著 者 の登 表 が あ る
.
本稿 の最 後に そ の特 性 を示 す こ とに す る.
第9號
電 氣 抵 抗 用金 屬材 料 に 就 て(飜譯) 伸張 の 際 に50∼55kg/mm2の
抗 張 力 を有 す る 。
473
の加 熱 温 度 で は 主 に機械 的 な 恢 復 が 起 る,一 方高 温 に於
電 氣抵 抗 の 温 度 係 数 の小 さい の は,こ れ 等 の 材料 の抵
て は熟 成 に よつ て起 る第2の 影 響 〓 ち化 學 的均 一 化 が 進
抗-温 度 曲 線 が抛 物 線 に 類 似 して居 り,そ の極 大 が常 温
行 す る.こ の こ とか らマ ン ガ ニ ンは これ を約400。 で加 熱
近 くに存 在 して ゐ る といふ こ とに起 因 す る.
す れ ば標 準 抵 抗 を製 造 す る に最 も適 して ゐ る こ とが わか
第1表Cu-Mn系
る.こ の温 度 にて加 熱 すれ ば1第1に 抵 抗の 温 度 係数 が
抵 抗 材 料 の化 學 組 成(%)
小 さ く,第2に 高 温 に於 て 作 用 す る均 一 化 効 果 の た め に
抵 抗 の 時 間 的 一定 性 が 非 常 に よ くな る.長 い 間 の研 究 に
よつ て 資 際 に次 の様 な こ とが わ か つ た:約400°
で1時
間 中性 瓦斯 氣 中に て加 熱 し後 述 す る如 く緩 冷 す る と,抵
抗 の時 間 的一 定 性 が 処理 直 後 に於 て10-6以
内 に な る,一
方 これ 迄 の加 熱 処 理(約140。)に 從 へ ば,抵 抗 の變 化 は約
1年 間 に10-4よ
り10-2程 度 に變 化す る.米 國(2)や英 國(3)
等 にて 行 つ て ゐ る500∼600°
に て加 熱 して も,第1∼2
圖 に よつ て もわか る如 くに,400° の却 熱 よ りもよ い性 質
を與 へ な い.恐 ら くマ ンガ ニ ン線 は高 い温 度 に永 く置 か
れ る ので 線 の表 面か らMnの
蒸 氣 が 出 るた め に相 當 に悪
くな つ て ゐ るだ ら う.
更 に抵 抗,熱 電 氣,機 械 的 の取 扱 は上 記 の 論 文 に示 され
こ の極 大 の 位 置 は材 料 の 熱 処 理 に よつ て 大 い に 異 る.
1.マ
標 準 抵 抗 の製 造 に 關 して 云 へ ば,1Ω-抵 抗 に は直 徑
ン ガ ニ ン(Manganin)
マ ン ガニ ン(1)關
し て は,第1圖
て ゐ る もので 十 分 で あ る.
に 示 す 如 く に抵 抗對
温 度 曲線 は加 熱 温度に
よつ て非 常 に影 響
1mm,10Ω-抵
抗 に は直 徑0・5mmの
マ ンガ デ ン線 が利
用 され て ゐ る.こ の マ ンガ ニ ン線 を線 が 捲 け る様 に溝 を
堀 つ てあ る磁 製 管(外 徑35mm,長
さ65mm)に
捲 きつ け,
を蒙 る.曲 線aは 材
これ をAr氣
料 が 元 の状 態 〓 ち冷
す る.表 面 か らMnが 蒸發 す るか ら 線 を 愼 重 に腐 蝕 し
100°附近 の温 度 で 約1時 間 乾燥 左施 す.調 整 してか ら酸
間加 工 を受 けた状 態
中で400°1時 間 加熱 し常 温 まで適 當 に緩 冷
にあ る と き の 結 果
で,他 の 曲線 は100,
_150, 250,310,400
及 び550。 に1時
間
加 熱 した と き の結 果
第1圖
マ ソ ガニ ンの 抵 抗-温 度
曲線 と加熱 温 度 との 關 係
で あ る.後 者 の 曲線
を曲線aと 比 較 して
見 る と次 の こ とが
わか る:加 熱 温 度 が
250。 まで の 抵 抗一温
第3a圖
新 方 法 に よつ て 製作 した1Ω ーマ ンガ ニ ンー抵 抗
度 曲線 は元 の 曲線
aよ りも急 な 曲 線 で
あ るが,250。 以上 の
第2圖
マ ソ ガ ニ ン の20∼30°
間 の平 均 温 度 係 数 と加 熱 温 度
それ は 曲線aよ
りも
緩 や か で あ る・ これ
に よつ て 抵 抗 の温 度 係 数は 前 者 に於 て増 大,後 者 に於 て
減 少 に當 然 成 る.第2圖
係 を示 す
は温 度 係敷 の 加 熱 温 度 に よる關
この 曲線 は次 の如 くに説 明 され る:250° 以下
(1)A. Schu1ze:Phys.Z.,38(1937),598;39(1938),300;
Metallwirtsch.;16(1937),954;17(1938),437.
第3b圖10-Ω-Au-Cr-抵
抗
(2)J.L. Thomas;Bur. Stand. J.Res.,5(1930),295.
(3)E.H. Reyner, J.Sci. Eastrum.,12(1935),294.
474 資
第4表
料
抵
抗
の時
間 的變
第5巻
化
第9.號
電氣抵抗用鋼 材料}蹴 て(翻 課)
475
化 を:防ぐた めに 抵 抗 盤 にペ ー ク ラ イ1一ラ ック を薄 く塗 り
との 間 に は 差 が あ る が 大 して 重 要 な も の で は な い.次
最 後 に80。 位 にて ラ ックが 乾 く迄 凡 そ2時 間加 熱 す る・
マン =ー
の両 端 に銅 燈 を牟 田付 け し,こ れ を 轡 曲 し
0・15mm街
匁 の 綿 に 於 て は 曲 線bとcと
に
の 商 に は150。
てゐ る銅 棒 の 内端 に ネヂ と白燃 にて結 び付 け る.こ の様
に して作 つ た1≦2一抵 抗 の爲 眞 を第3a圖
に掲 げた.
この様 に して澤 由 の マ ンガ2ン 抵 抗 が 製 造 せ られ る.
第4表 に は1-SZ及
び19一 Ω 抵 抗 の時 間 の経 渦 に よる攣
傍 を示 した.見 れ ば わか る 様 に10一6程 度 の と ころが 攣 化
す るに 過 ぎな)》.然 し或為 抵 抗 謹 で は2年 孚 で2×io-5
の攣化 を示 して ゐ る..第3表 に は20∼3◎ 。間 の平 均 線 撫
第4a圖
0・1mln.
抗 憂化a!齪 ち
を示 して あ る.同 時 に次 式 の 温 度 攣 化 を示 す係
輝 線,直
i 500抽
醗
執
第4b圖
輝線 直 脛
0・1mm,400。
加熟
第4c圏
塗 線 直裡
0・lmnユ,1500カ;1熟
a,β の
植 を も掲 げ た.
第3表
抵抗 の温 度係籔
第4d圖
輝 線,直 径
0・15mm,150°
加熱
第4e圖
輝 線,直 徑 第4f圖
塗 線,直 徑
0・15mm,400°加
熟0・15mm,150°
加熱
加 熱 の 際 に歴 然 た る差 異 が あ る
(第4d圖).然
し乍 ら400° 加 熱
の 際 に は比 較 的 僅 少 で あ る(第
4e圖).直
径0・15mm線
に塗 を
施 した150。 加 熱 した もの は丁
度 磨 いた ま ゝの もの で400° 加
熱 した 曲線 に よ く似 て ゐ る(第
4f圖).塗 を施 す 際 に線 は短 時 間
高 温 に な るの で,塗 を施 した 線
マ ン炉
ン抵 抗 の 製 造 に あ たつ て 實 際 に起 る特 に 興味
ある問 題が 存 在 して ゐ る.マ ン ガ ニ ンの攣 形 度 に關 して
は特 に さ うで ある.こ の 意 味 に於 て 汐
第49圖
塗 線,直 徑
0・3mm,150°
加熱
は以 前 の 処 理 も加 は つ て 恰 も
400° に加 熱 され た磨 き 線 に 近づ く様 に思 はれ る.第4d
ン ガ ニ ン抵 欄
温度 繭線 を測定 した.材 料 と して,
1.0・1mmの
2.0・15mmの
直 徑(100オ
直 徑(20オ
ー ム),
ー ム),
3.0.3mmの
直 徑(10オ
ー ム),
4.0・5mmの
直 径(2オ
ー ム),
を有 する 線 を選 び 磨 い た ま ゝの もの と これ に塗 を施 した
もゆゝ2種を
作 つ た.次 に 常 温 力脚
場 合(第4圖,曲
線
a)と次 に150°15時 間 或 は400°1時 間半 加 熱 した 場 合(曲
線b)に つ い て測 定 した.次
に線 を再 び 捲 きつ け,眞 直 に
伸 し,ま た捲 きつ け て 測 定 した 抵 抗 封 温 度 曲線(曲 線c)は
曲線bと 比 較 され る.全體
示 して あ る.0・1mm直
(4a∼4b圖)と
bとcと
の實 験結 果 は第4圖a∼kに
徑 の線 に 於 て 磨 い た ま ゝの もの
塗 を施 した もの(第4c圖)に 於 て は 曲線
の 間 の 差 異 は僅 か で あ る.加 熱 温 度150° と400°
第4h圖
輝 線.直 徑
0・5mm,150°
加熱
第4a∼k圖
第4i圖
輝 線.直 徑
0・5mm,400°
加熱
第4k圖
塗 線.直 徑
0・5mm,150°加 熱
マン ガ ニ ンの 抵抗-温 度 曲線 に
及ぼ す屈 曲 の影 響
476 ど4e圖
資
に於 て,曲 線bとcと
料
の相 甥 的 の 差 異 が 兵 なつ
て ゐ るの は,捲 きつ け る と きの慶 形 度 が 硬線(1500加
第5卷
腐 蝕 液 に よつ て溶 解 す る量 が 同 じで な い,と いふ こ とで
熱)
明瞭 な こ とであ る.從 つ て線 の表 面は,如 何 な る腐 蝕 液
よ りも軟 線(400。 加 熱)の 方が 少 い こ と に起 因 す る と考
へ られ る.從 つ て塗 を施 した 第4f圖 に於 け る 曲 線b,c
が 使用 され るか に よつ て,あ れ や これ や の 成 分 に よつ て
の 差 は第4e圖
よ り少 し く大 きい.
合 金 の1成 分 の 濃度 によ つ て 非 常 に變 化 す るか ら,材 料
び0・5mm(第4h,i,k圖)の
の 抵 抗封 温 度 曲線 に よつ て腐 蝕 液 に よる 影 響 が その 場 合
の 相對 的 な關 係 は 非常 に異 つ て
に從 つ て よ くわ か るの で あ る.よ つ て研 究 の 方 針 と して
直径0.3mm(第49圖)及
線 に於 て は 曲線bとcと
多 少悪 くな る もので あ る,抵 抗 曲線 の抛 物 線 類 似 の 形 ば
ゐる.以 上 に よつ て わか る.ことは,太 い線 は 曲 げた り伸
種 々の 腐 蝕 液 を使 用せ ねば な らな い.そ の 結 果 に よつて
ば した りす る こ とに よつ て非 常 に強 く變 形 され,細 い線
初 め て本 質 的 に論 議 され る べ き もので あ る.研 究 に は磁
は そ の 際非 常 に 都合 よ く取 扱 はれ て ゐ る こ とで あ る.圖
製 管 に捲 きつ け空 氣 中に て 約150°12時 間加 熱 した直 径
0・5mmの マ ンガ ニ ン線 を用 ひ た Ⅱ次 に腐 蝕 試 験 と して
中點線 に て示 した 曲線dは
曲 線cを 求 め た る後150° 或
は400° に加 熱 した ものゝ 値 を現 す.
マ ンガ ニ ン を取 扱 ふ とき に 自然 に繰 返 され て ゐ る捲 き
硝 酸 を用 ひ,そ の 濃度 を30∼85%に
か へ て 實 験 した.
この實 験 の 示 す と ころ に よれ ば,抵 抗二温 度 曲線 は その 大
直 しにつ いて 研 究 した 以 上 の 結果 か ら,150° 加熱 よ りも
400°加 熱 が よ く,エ ナ メル 塗 線 は 少 し く熱 処 理 を受 け る
い さ も様 子 も全 く硝 酸 の 濃度 に 無關 係 で あ る.線 の 表面
の で150° 加 熱 の もの も400° 加 熱 せ られ たも の に近づ
で は絵り に強 過 ぎ るの で 實 際 に は50∼70%濃
い て來 る といふ こ とが わか る.從 つ て塗 線 は精 密 用 抵抗
で 腐 蝕 した 方が よい.然
と して使 用 す るに推 薦 せ られ る.こ の種 の 抵 抗 は近 年 非
表 面の 酸 化 物 が 存 在 して ゐ る こ と を 忘 れ て は な ら な
常 に多 く製 作せ られ 且 つ これ 迄 に これ を使 用 して種 々利
い.
釜 あ る経験 を した.
が 溶 け て行 くに濃 度 が30%で
は 非 常 に 弱 くまた85%
度の硝酸
し乍 ら硝 酸 で腐 蝕 す る 際 に常 に
重 ク ロ ー ム 酸 カ リ ウ ム と硫 酸(1.84g/cm3)を
特に マ ン ガ ニ ン塗 線 の 抵抗 は空 氣 中の濕 氣 に對 して 十
用 ひ ての
腐 蝕 實 験 に は 重 クロ ー ム 酸 カ リ ウム10∼40gを(125cm3
分 安全 で あ る.古 い,こ れ 迄に 用 ひ られ た 抵 抗 の構造 と
H2SO4+250cm3H2O)に
して マ ンガ ニ ン線 を ラヅクで 完 全 に 埋 め て終 つた.こ
こ れ よ り以 下 の 硫 酸 濃 度 で は 溶 解 が 飴 り弱 い の で 薦 め ら
ゝ
に用 ひ られ る ラックは吸濕 性が 張 いの で空 氣 中の濕 氣 が
多 くな ると この ラ ック は流 れ 出 す,さ うす る と 捲 か れて
れ な い.量
溶 解 した 程 度 の 温 度 を選 ぶ.
も適 當 な 濃 度 は 次 の 通 りで あ る.
10∼30g重
ク ロ ー ム 酸 カ リ ウ ム 或 は ナ ト リウム
あつ たマ ン ガニ ン線 は 伸 び,從 つ て抵抗 値が 増 して 來
る.Lindeck(4)の
研 究 に 零 れ ば 抵抗 値 が 大 きい,例 へ ば
10・000Ω-抵 抗,と き に特 に著 し く,相對て 度1%に對
腐 蝕 した 後 な線 は平 らに な り輝 い て ゐ る.現 在行 つた
し
抵 抗 測 定 に於 て は,重 ク ロー ム酸鹽 と硫 酸 で腐 蝕 した 方
抵 抗 の變 化 は1/100,000.で あ る.か くの 加 きて度 の影 響
が 一般 に硝 酸 で 行 つ た よ りも曲線 の 形 に よい結 果 を與 へ
を蒙 ら ない様 に當 時 はH.v.
て ゐ る.こ れ は幾 分平 滑 に な るか らで あ る.ま た後 者 の
Steinwehr(5)の 提 案 に よつ
て 標 準 抵 抗 を一 定て 度(50%)の
箱 に 入 れ た.400° 加 熱
の マ ン ガ ニ ン抵 抗 は殆 ん ど 伸 長 しな いが140° 加 熱 の 抵
腐 蝕 法 は色 々な窯 で硝 酸 腐 蝕法 に優 れ て ゐ る.
マ ン ガ ニ ンは適 當 な 処理 に よつ て尚 も本 質 的 に改 良 さ
抗 よ りも濕氣 の變 化 に よ く感 ず る;よ つ て本 論 文 第Ⅲ
れ 且 つ その 優 秀 な る性 質 を標 準 抵 抗 の 製 作 に非 常 に役 立
章 に詳 論 す る.エ ナ メル 塗 線 を鷹 用 して 近年 は濕 度 の影
た せ る ζ とが 出来 る といふ こ とを近 年 の 研 究 か ら知 り得
響を高 度 に低 くす る ことが出 來 た.こ れ は 國 立研 究 所 に
於 て長期 間 に亘 つ て種 々%の濕
度 の 中 に抵 抗 線 を入 れ
て研 究 した 結 果 で あ る.高 抵 抗 の マ ンガニ ン抵 抗 が 全 く
濕度 の影 響 を受 け な い様 に す る に は 軍 に その 組 立 だ け の
問 題 に な る.
更 に別途 の研 究 が 示 す様 に抵 抗線 表 面 の腐 蝕 の 影 響 に
つ い て も亦 抵抗 封 温 度 曲 線 の 過 程 よ り知 る こ と が 出 來
る.こ れ は,(マ ンガニ ンの)合 金 を作 る各 成分 が 種 々の
た こ と で あ る.
2.イ
サ べ リ ン(Isabeilin)
イ サ ベ リ ン はA1を
含 ん で ゐ るCu-MH合
業用 抵 抗體 例 へ ば 加 熱 抵 抗 艦 等 に 利 用 され て ゐ る.こ
の
材 料 は マ シ ガ ニ ン と 同 様 にDillenburg(Hessen-Nassau)
のIsabellenhutteか
ら製 造 ぜ られ,CU-Mn合
き 性 質 を 有 し,同 時 にNiを
して ゐ る.比
金の都合 よ
含 ん で ゐ な い と い ふ 利 益 を有
抵 抗 は 常 温 に 於 て0・50Ωmm2/m,銅
す る 熱 起 電 力 は 極 め て 小 さ い(第2表).抵
(4) St. Lindeck, Instrumentende., 28 (1908), 229.
(5) H. v. Steinwehr, Handbuch d. Physik (Geiger-Scheel),
Bd. 16, S. 426.
金 で,特 に 工
に對
抗-温 度 曲 線 は
マ ン ガ ニ ン に 類 似 し て 居 り,そ の 極 大 は 常 温 以 下 に あ る
の で 温 度 係數 は室 温 附 近 に 於 て 負 で あ り約2∼4×10-6
で あ る.抵
抗 一 温 度 曲 線 の 様 子 は 熱 処 理 に よ つ て 非 常に
第 9號
電 氣 抵 抗 用 金 屬材 料 に就 て(飜譯) 變化 す る(6).これ は第5圖
ゝには直徑0・4mmの
に示 され る如 く明 瞭 で あ る.こ
イ サ ベ リン 線 を使 用 して ゐ る.圖
中曲線aは 常 温 附近 に於 け る加 工 した 状 態 の 抵 抗-温 度
曲線 で あ る.次 に200,350,500,600°
477
a-曲 線 は 約500° の 加 熱 に 於 て曲 線 に 極 値 を有 す る 如
き経 過 を有 して ゐ る,恰
も マ ン ガ ニ ン に對 す る 特 性 の 如
く で あ る.
に 順 次 加 熱 した イ
上 記の研 究 に よ り,イ サ べ リ ンの 抵 抗 の 温 度 係數 を比
サ べ リンの常 温 附 近 に於 け る 曲線 を示 す.熱 処理 は 中性
較 的 簡單 な 方 法 で 僅 か に す る こ とが 出 来 る こ とが わ か つ
瓦斯 氣 中 にて行 ひ,各 温 度 に1
た.〓
時 間 保 持 し最 後 に徐 々 に室 温
性 瓦 斯(Ar2よりH2ま
まで 冷 却 を行 つ た,こ の測 定
第5圖
イ サ ベ リン の抵
抗-温 度 曲線 と加 熱 温 度
で)氣 中 に て 加 熱 し,室 温 まで 徐
冷す る こ と に よ つ て僅 か の 温 度 係數 に 一 度 の 加 熱 で 達
抵 抗 曲線 は著 し く平滑 に な り,
が 著 しい か ら最 後 に線 の 表 面 を マ ン ガ ニ ンと 同 様 稀 薄 な
從 つ て抵 抗 の 温 度 係数 は明 ら
硝 酸 か 或 は 更 に よ い 上 述 の 重 ク ロー ム 酸 カ リ ウ ム と硫 酸
か に減 少 して ゐ る こ と を知 り
の 腐 蝕 液 で 取 除 く必 要 が あ る.
得 た.第5表
よ り温 度 係数 の
加 熱 温 度 に よ る關 係 が ま く知
以 上300°
に て 既 に 線 の 表 面 か らMnの
蒸發
イ サ ベ リ ン に 就 て 電 氣 的 研 究 に よつ て,こ の 抵 抗 材 料
は 標 準 抵 抗 に 十 分 利 用 され,抵抗
線 は磁 製 管 に 捲 きつ け
られ る.表 に は α'と
られ て 抵 抗體 と な り,且 つ 精 確 に 上 記 の マ ン ガ ニ ン抵 抗
して15∼25° の 平均
と等 し く な る 諸 條 件 を 満た し て ゐ る こ とが わ か つ た.イ
の値 を示 して あ る.
サ べ リン 抵 抗體 の 抵 抗 の 時 間 的變
化 を2ケ
年 間 測 定 した
.こ の 期 間中 に抵 抗 の 増 減 は そ の 抵 抗 値 の2∼3×10-6
大 を示 す位 置 が加 熱
に 過 ぎ な か つ た.澤
温 度 の上 昇 に 從つ て
あ る だ ら う.こ れ は 抵 航 線 内 部 の 化 學 的 な 不 均 一 に 依 る
變化 す る.第5表
も の ゝ様 で あ る.尚
の
山 の 抵 抗體 で は 確 か に 大 き い變 化 が
且 つ缺點 の な い 材 料 で あ れ ば 抵 抗 値
最 後 の 列 に 抵 抗 曲線
の時 間 的 に 一 定 な こ と は 十 分 期 待 さ れ る.例 へ ば1Ω-抵
の 最 大 に なつ て ゐ る
抗體(Is7),及
温 度tmaxを 示 した.
4表 に 示 した.
明 らか に 抵 抗の
温 度 係 敷 の例 に 於
て,熱 処 理 に よつ て
-40×10-6(加
工 状 態)か
約-2×10-6に
圏 曲 線b参
ら
減 少 した(第6
3.ノ
び10Ω-抵
ボ コ ン ス タ ンh
抗體(Is103)の
時 間 的變 化 を 第
(Novokollstant)
ノボコ ン スタント はWestfallenのAltenaのVereinigten
Detrtschen
Metaliwerken
A G.(BasseとSelveの
で 取 扱 つ て ゐ る も の で,同 様 にCu-Mn一
は82.5%Cu,12%Mn,4%Al,1・5%Feで
合 同)
合 金 で その 組 成
あ る.こ の 合
金 は電 氣 的 研 究 の 結 果,精 密 用
照).
太 い 線(直 径1mm)の
抵抗 材 料 に適 當 で あ る(7).抵抗
とき
に は α一値 は 加 工 状 態 で-20
温度 曲線 ぼ これ迄 に述 べ た抵 抗
×10-6を
材 料 に非 常 に よ く似 て ゐ る.曲
示 して ゐ るが 最 後
の 曲線
線 の極 大 を示 す 位 置 は この材 料
當 な 熱処 理 を し
に於 て も尚 熱 処 理 に よつ て 非常
の 値 に 達 す る(第6圖
aを 見 よ).適
に異 る.こ れ は第7圖
て 第5圖 に あ る と同 じ 曲線 を求 め,そ の 曲線 か らそれ 相
中)
は,若 し 同 様 の 熱 処 理 を行 ふ な ち ば 常 に 同 じ様 に なつ
た.加 熱 時 間 を更 に長 くす れ ば 温度 係數 が 正 に な る可 能
し出 來 るだ け小 さい抵 抗 の 温 度 係 数 を有 す
る抵抗材 料 を欲 す るな らば500∼5500で
加 熱 する こと
に よつ て
明 らか で あ る.圖 中 曲線aは
中のa曲 線 で あ る.澤 山 測 定 を
繰 返 して 見 た が イサベ リ ンに對 す るa-曲 線(第6圖
性 が あ る.若
間 中
す る.250°
同時 に抵 抗 曲 線 の極
應に求 め た 曲線 が 第6圖
に て 約75∼85時
に よつ て,加 熱温 度 が 高 い程
第5表O・4mmイ
サ ベ リン線 の
種 々の熱 処 理 に よ る抵 抗 の温 度
係數 及び 抵 抗 曲線 に於 て極 大 を
示 す温 度
第6圖
イサ ベ リン抵 抗
の温 度 係 敷(15∼25°)
と加 熱 温 度
ち イ サ ベ リン 抵 抗 を500°
ノ
ボ コン ス タ ン ト線(直徑lmm)
第7圖
ノポ コ ン ス ダン
トの抵抗-温 度曲 線 と
加熱温度
の 加 工 の まゝ に 於 け る 抵 抗 一温
度 曲線 で あ る.そ の 外 の 線 に温
度 が 記 さ れ て ゐ る が,こ れ は ノボ コン ス タ ント 線 を順
次 に125°,250°,400°,540° に1時 間 中性 瓦 斯 氣 中で加
が最 も適 當 で あ る.尚 更 に高温 加 熱 を行 ふ と悪 化 す る.
熱 し次 に室 温 まで徐 々に冷 却 した 場 合 の 曲 線 で あ る.
〓 ち温度 係数 は再 び 大 きな 負 とな る.
測 定 す る前 に線 の表 面 を腐 蝕 した.こ れ は線 の表 面 に於
(6)A.Schulze, Phys. Z.,39(1938),401;Metallwirtsch
17(1938),677.
(7)A.Schulze,Phys. Z.,40(1939),307;1Vletaliwirtsch.,
18(1939),652.
478 資
て はMnが
料
蒸發 して ゐ るか らで あ る.
第5巻
も維 持 され 得 るや 否 や は明 言 出來 な い.
第7圖 か らわか る様 に冷 間加 工 を した ノボ コン ス タ ン
ト線 の 抵 抗 曲線 に於 て は 極 大 が 著 し く室 温 以 下 に あ る
4.A-合
金
が,加 熱 温 度 の上 昇 と共 に この極 大 を示 す温 度 は 高 くな
更 にCu-Mn系
に屬 す る抵 抗 材 料 はA-合 金 と稱 され
て ゐ る材 料 で あ る,こ れ は ノボ コン ス タン ト及 び イサペ
る.今 ノボ コン ス タン トを400° で加 熱 す る と極 大 が 室
リ ン よ り もMnが
温 近 くに あ る抵 抗一温 度 曲線 が 得 られ る.抵 抗 曲 線 の極
(第1表 を 見 よ).こ の 合 金 はJ.L.Thomas(8)に
よつ て
Nat. Bur. Stand.に 於 て製 造 され た もの で あ る.彼 は標
大 の 位置 は,標 準 抵 抗 に應 用 す る とき に非 常 に 重 大 な こ
とで あ るが,吾 人 の 欲 す る通 りに,加 熱 に よつ て 容 易 に必
ず な され るの で あ る.
第7圖 の曲 線a'は 直径1mm線
工 され て ゐ る直 径0・4mmの
よ りも非 常 に 強 く加
ノ ボ コ ンス タン ト線 の加 工
勘 くAIを
多 く含 ん で ゐ る もの で あ る
準 抵 抗 に利 用 す る に甥 す る 凡べ て の 研 究 を行 つ て ゐ る
一(第2表).Thomasに
よつ て製 作 され た 抵 抗體(1Ω 及 び
10Ω)は2種
の 異 れ る熱処 理 が 施 され て ゐ る.〓 ち一つ
は500° で眞空 中數 時 間,他 は 室 氣 中 に 於 て400°2∼3
直後 に於 け る抵 抗 一温 度 曲線 で あ る,こ の温 度 係 激 は比
時 間 加 熱 し常 温 まで 徐 冷 す るの で あ る.500° で加 熱 した
較 的 大 き く-44×10-6で
合 金 の 抵 抗 の 温度 係數 は1∼3×10-5の
は-6・5×10-6で
あ る.尚 直 径1mmの
線の値
でMnの
あ る.
上 述 の研 究 結果 に よ り知 られ る こ とは,精 密 抵 抗 に 製
作 す る に必 要 で あ る2∼3×10-6の
抵 抗 温 度 係数 を持 つ
様 に す る こと は比較 的 簡單 に 實 現 出 來 る こ とで あ る.
〓ち直 径1mmの
ノボ コ ン ス タ
る.か くの 如 くに熱 処理 を受 け て 製 造 され た抵 抗體 は,
Thomasの
観 測 に從 へ ば,約6ケ
月経 過 した る後 に2∼3
ン ト線 を用 ふ るな らば400° で
×10-6以 内の よい 時 間 的 一 定 性 を 示 す Ⅱ こ の合 金 は
Firma Driver Harris Co.に 於 て製 造 され てゐ るTher1o
た 直 径0・4mm線
を用 ふ る な らば400° で15∼20
はH2)氣
と名 づ け られ て ゐ る 抵抗 材 料 と同 じ成 分 で あ る.
Thomasの
研 究 所 で製造 して ゐ る 合 金 の うち1Ω-抵
中に て加 熱 し室 温 まで 徐 冷 すれ
抗體 群 が あ る.140° に て 適 當 に加 熱 して,そ の抵 抗 の温
ば得 られ るの で あ る.線 の表 面
度 係數 は米 國 に於 て 研 究 した 値1×10-6と
腐 蝕 は,上 記 の 重要 な る研 究 に
もの を得 て ゐ る.而 して連績3ケ
よつ て明 白 で あ る 如 くに,行 は
曲線a:5時
間
曲線b:10時 間 半
曲線c:12時 間
曲 線d:14時 間半
曲線e:最 後 に440° に
て4時 間
る.こ れ とは反對 に140° で 加 熱 した合 金 は-1∼+1×
10-6の 間 に あ る如 き非 常 に 小 さい 温度 係數 を有 して ゐ
5∼10時間,ま
時 間 中 性 瓦 斯(Ar或
第8圖400°
加熱 の際
に於 け る ノボ コ ンス タ
ン トの 温度-抵 抗曲 線
間 に變 動 す るの
含有 量 が勘 い と いふ 利 益 が 少 しもな い こ とにな
ね ば な らない.第8圖
よ り400°
よ く一 致 した
年 間 観 測 した8ケ の抵
抗體の うち或 物 は近 年 まで も 一 定 の 抵 抗 値 を示 して ゐ
る,一 方或 もの は その 抵 抗 値 の5∼6×10-5位
の變 化 を
加 熱 の 際 に於 け る加 熱 時 間 に よ
示 した.從 つ て この合 金 は標 準抵 抗 と して利 用 され な い
る影 響 が わか る.
こ とが わか る.
ノ ボ コン ス タ ン トは標 準 抵 抗
第1表
に この材 料 を利 用 す る と きに要
Mn-合
求 せ られ る 凡べ ての 條 件 を満 足
いAl含
して ゐ る.比 抵 抗 及 び熱 電 氣 的 性質 は第2表
に揚 げて あ
る.
よ りわ か る 加 くに,こ ゝに 述 べ た4種
金 の うちA-合
金 は最 も勘 いMn含
のCu-
有 量 と最 も多-
有 量 と を有 す.抵抗 値 の 不 定 は この様 な化 學的
成分 及び これ に關 聯 して ゐ る再 結 晶現 象 に歸 着 せ られ る
や 否 や,或 は,大 きな不 均 一 性(偏 析)が 非常 に 役割 を演 じ
1Ω(直 径1mmの
線)及 び10Ω(直 径0・4 mmの
線)の
2種 の ノボ コ シス タン ト抵抗體 の 時 間 的變 化 を研 究 した .
或 物 は 抵 抗 が一 定 にな る まで に約6ケ
て起 る もの か は 一 概 に決定 する こ と は出來 な い.
Cu-Mn群
に屬 す る抵 抗 材料 を取 扱 つ て ゐ る うち に,物
月 を要 した.從 つ
理-工 業 國立 研 究 所 に よつ て これ 迄 確 實 な標 準 抵 抗 用 と
度 に一 定 性 が 完 結 した る後 抵 抗値 が
して只 一 つ の抵 抗 材 料 と認 めて ゐ た マ ン ガ ニ ンの 外 に 二
與 へ られ る.初 め永 ら く斷績 す る變 化 は 抵抗 材 料 内部 の
つ の 抵 抗材 料 が 見 つ け られ た.こ れ 等 の 材 料 は これ迄 の
短 時間 の 加熱 によつ て は除 去 され な い と とろ の化 學 的 に
研 究 結 果 に よつて 確 か に標 準 抵 抗 材 料 と して認 め られ且
つ 色 々な鮎 に於 て マン ガ ニ ン と一 致 して ゐ る.然 しこの
て2∼3×10-6程
強 い 不均 一性 に確 か に歸納 され る.
第4表
に ノボ コン ス タ ン ト抵 抗體No14及びNo104の
時間 的變 化 を掲 げた.御 覧 の 通 りに"ノ ボ コ ンス タ ン ト"
一抵抗體 は非常 に 小 さい温 度 係數 を有 して ゐ る
.そ の時
間的の 一 定 性 は これ までの 観 測 によれ ば 全 く最も適 當 な
もの で あ る こ とが 知 られ る.然
しなが ら これ が将 來 まで
様 な抵 抗 材料 が發 見 せ られ る に は,材 料 につ い ての 研 究
を怠 らず且つ 種 々 の方 面 へ の應 用 的發 展 を志 して ゐ るこ
とが 必 要 で あ る.こ れ 等 の 物 理 的 考 察 は 本 論 の 第Ⅲ
に 於 て 述 べ る.
(8)J.L.
Thomas, Bur. Stand., J. Res.,16(1936),149.
章
第9號
電 氣 抵 抗 用 金 屬材 料 に就 て(飜譯) Ⅱ.
Au-Cr系
狭い濃 度範圍(2重 量%Crf附
抵 抗材料
近年 貴金 屬就 中純 粋 なAu及
示す
び 白金 を標 準 抵 抗に 利 用
ぜん とす る研 究 が 進 め られ た(9)然
479
しこれ 等 元 素 は約
4×103程 度 の高 い抵 抗 温 度 係 数 を有 す.〓
ちか ゝる細
近)につ いて は10圖に
上 部 のa一 曲線 は常 温線 引 した状 態 の合 金 に,ま た
下 部 の それ は軟 い(500° 加 熱 に よつ て 得 られ た)状 態 の
それ につ いて 得 られ た もので あ る.20° に於 て温 度 係數
を零 にす るに2方 法 が ある.そ の一 つ は,1・8%Crを
含
線の温 度 が0・001°の變 化 をな す と抵 抗 の變 化 は4×10-6
有 す る 合金 を500° で 眞 空 中加熱 す る こ とで あ る.ま た他
とな る.從 つ て純 粋 な 貴金 屬 を標 準 抵抗 に慮 用 す る に は,
の 一つ は2・1∼2・4%Crを
温 度 測 定 の 際 に,自 然 に 高 感 度が 要 求 せ られ るの で 全 く
て温 度 係數 が 零 にな るま で長 い間(例 へ ば數 日)加熱 す る
不確 實 な もの に な る と云 ふ 困難 が 主 と して存 在 す る.J.
O.Linde(10)の
含 有 す る合 金 を選 び150° に
ことで あ る.後 者 の場 合 に於 い て は 合 金 は丁 度140° に
行つた薄い 固 溶
て加 熱 せ られ た マ ンガ ニ ンに似 て或 種 の 中間 状 態 を示 す.
體の電 氣 的 性 質 につ い て の研 究
室温 附 近 の電 氣 抵 抗 の變化 は次 式 に よつ て計 算 され る.
に よれ ば,明 らか に金 合 金 は標
準 抵 抗 へ の應 用 に 關 して特 別 十
第9圖
金 合 金 の電
氣 抵 抗 の温 度 係數
(Linde に よ る)
(第9圖
を見 よ).抵
この 合 金 の β一値 は 非 常 に 小 さ く,從 つ て 直 線 か ら の 偏
分 な る適 當 な條 件 を満 足 して ゐ
倚
は非 常 に 僅 か で あ る.
る.〓 ち僅 か のCo或
2・05重 量%Crを
はCrを
添
加 した 合 金 で〓 に十 分 で ある.
作 つ て ゐ る.次
か くす ると4×10-3の
ゐ る.〓
金の温度
含 有 す るAu-Cr合
金 で標
準抵抗 を
の 如 く抵 抗體 に よつ て 線 の 太 さ を か へ て
ち
係數 は 零 に な り而 も負 に二な る
抗 測 定 の 見 地 よ りAu-Co-合
金 は標
準 抵 抗 に 樹 す る 凡 べ て の 豫 想 と條 件 と を具 備 して ゐ う け
れ ど も,そ
のCuに
甥 す る 熱 起 電 力 が 非 常 に 大 き い(11)た
め に 用 ひ ら れ な い.こ
れ と は 反對 にAu-Cr-合
金 は どの
點に 於 て も適 當 な る 條 件 を與 ヘ て ゐ る(12)(13)
純粹 なAuの
%Crを
(長 さ65mm,外
添 加 す る と急 に 増 加 す る.2・05重
含 ん だAu-Cr合
量
金 の 比 抵 抗 は20° に 於 て 次 の 通
径35 mm)に
捲 きつ け る.而 してAr瓦
徐 冷 す る.個
間 加熱 し次 に室 温 まで
々の抵 抗 の と きに は加 熱 時 間が 永 い.温 度
係 激 を零 に す る ため に温 度 係 数 の 減少 率 が更 に緩 慢 に な
る線 に抵 抗體 を加熱 せ な ければ な らな い こ とが わ か る.
りで あ る.
この 合 金 は 加 熱 條 件 が 便 利 な 爲 め に 特 に 都 合 が よい 様
で あ る.こ
を捲絲 を 備 へ て ゐ る磁製 管
斯 氣 中に て約2000で16∼20時
比 抵 抗 は 室 温 に 於 て 約0・02Ωmm2/mで
あ る が,僅 か のCrを
の 細線 を利 用 して ゐ る.線
れ はHanau
か ら製 造 せ ら れ る.比
a. M.のFirma
の両 端 に銅 環 を硬 く半田 づ け す る.〓 接 を堅固 にす るた
W.C.Heraeus
め に合 金線 を薄 い銅 膜 で覆 ふ.銅 環 は 普通 の加 くに 螺 旋
抵 抗 は マ ン ガ ニ ン よ り約25%小
さ く,純粋 なAuよ
り約16倍
大
凌 い.銅 に對 す る熱 起 電 力は マ
第10圖Au-Cr-合
金
の電 氣 抵 抗 の温 度係
數對 Cr含 有 貴
(T rhomas)
調 整 した後 抵 抗體 に はべー ク ライ トラ ッ クを薄 く塗 り,
これが 固 まる まで80° で 約2時 間 加 熱 する.Au-Cr線
と軟〓 に て銅製 端 手 の 内端 に結 びつ け られ る.
この様 に して製 作 せ るAu-Cr抵
抗 膿 を3ケ 年 間 観 測
ン ガ ニン よ り 大 き く そ の 値 は
を績 けた.そ の結 果 は第3表
7∼8×10-3V/Gradで
の合 金 を加熱 す る と線 の表 面 に
さ い温 度 係敷 で あ る.
2ケ の1Ω抵抗體(11及
薄 いCrの 酸 化皮 膜 が出 來 る.
(103及 び105)に 封 す る抵 抗 値 の 時 間 的變 化 は第4表
これ は王 水 で最 も よく取 除 か れ
あ る.抵 抗體 を完 成 して後 間 もな く(1∼2週
る.加 熱 は眞 空 中か 或 は 中性 瓦
初 め られ る.そ の 後観測 中抵抗 は約1∼2×10-5の變
化
で あ る のでAu-Cr-合
金 の 抵 抗 の 時間 的 一 定 性は 満 足 さ
あ る.こ
斯 氣 中で も何 れ で も よい.
温 度 係數 αの減 少 は,〓 に上 述 せ る如く,特 に大 きい.
に示 す如 くに 全 く非常 に小
び12)及 び2ケ の10Ω 抵 抗體
に
間)観 測 が
れ て ゐ る.こ れ は標 準 局 に於 て4ケ 年 の観 測 期 間 後 に決
定 した と ころ の時 間 的變 化 で もあ る(14)
(9)
(10)
(11)
(12)
(13)
J. L. Thomas, Arch. techn. Messen, (1934), Z 111-4.
J. O. Linde, Ann. Phys., 10 (1931), 52.
J. L. Thomas, Bur. Sand., J. Res., 14 (1935), 589.
J. L. Thomas, ebenda, 18 (1934), 681.
A. Schulze,'Phys. Z., 41 (1940), 121 ; Metallwirtsch.,
19 (1940),177.
Ⅲ. 抵 抗 用 材 料 の 物 理 的 性 質 の 特 異 性
こ ゝに述 べ た 抵 抗 用材料 は その 物 理 的 性質 に 一 つ の特
(14) T. B, Goldfrey, Bur, Stand., J. Res., 22(1939),565.
480 資
料
第5巻
異 性 を示 して ゐ る.こ れ は 凡べ て に一 般 的 の もので 從 つ
Cu-Mn合
て次 の 如 く簡單 に 理 解 さ れ ね ば な らな い.先 づ 第 一 に
る負 の温 度 係数 が 部分 的 に 起 き て居 る が(17),一方Crは
金 に於 て は,γ-Mnの
全 範圍 に 於 て観 灘 され
Cu-Mn-系
か ら成 る抵 抗 用材 料 の 抵 抗 の温 度 係 数 が 室 温
熔 融點 まで 電 氣 抵 抗 の 温 度 係 数が 正 で あ る.こ の こ とは
附 近 に 於 て特 別 に小 さい の は 何 故 で あ るか.こ れ は-上
著 しい こ とで あ る.從 つ てCr-合 金 に於 て負 の 温度 係数
述 の如 くに-抵 抗-温 度 曲線 が その 極大 が この 温 度 範 圖 に
の 現 れ るの は明 瞭 に理 解 され な い.
於 て直 線 的 に な る様 な抛 物線 的 な経 過 を取 る こ とに歸 せ
これ等 の材 料 は或 熱 処 理を受け る と直 ぐ機械 的變 形 に
られ る.然 しなが らこの 小 さい温 度 係數 は狭 い温 度 範圍
感 じ易 くな る.而 も熱処 理 に よつ て抵 抗 の温 度 係 数 が零
よ り知 られ る如 くに,
に近 づ くに從 つ て 抵 抗 用材 料 は こ の點 につ い て更 に感 じ
マ ンガ ニ ン,イ サベ リ ン 及 び ノ ボ コ ン ス タ ン トの 抵 抗-
易 くな る と一般 に 云 はれ る.こ の状 態 を研 究 す る こ とが
温 度 曲線 はS型 の経 過 を有 す る.〓 ち 抵 抗 は(室 温 以 上
目下 の 問題 で あ る.
に 限 られ る.何 ん となれ ば第11圖
に)温 度 を高 め て行 くに從 つ て 更 に減 少 しな いで,先 に マ
ンガ 島 ンに就 い て述 べ た如 くに250。 以 上 に な つて 初 め
て 緩慢 に上 昇 す る(第12圖 の温 度 係数 の 曲線 経 過 を も見
よ).後 者 は低 温 及 び同様 に高 温 に於 て非 常 に増大 す る.
全 く類 似 の 圖表 がAu-Cr-合
金 に於 て得 られ る(第13
抵 抗 値 が 空氣 中の温 度 に よつ て影 響 す る こ と も亦上述
の こ とゝ共 に研 究 され な けれ ば な らな い.
例 と して,Au-Cr抵
及 び15)及 び2個
抗體 の3個 の1Ω-抵
の10Ω-抵
抗體(103及
抗體(l1,I2
び105)に つ い
て,そ の抵 抗 値變化 の 時 間的 経 過(2∼3年間)を
第14圖
圖).一 つ の 曲線 は材 料 に存在 す る異 な つた 金 屬的 状態 に
(第3表
相應 してゐ る.只特 徴 と もい ふ べ き もの は抵 抗 の温 度 係
に 示 した.先 づ10-Ω
を も比 較 せ よ)
敷 で ある.Au-Cr-合
金 の温 度 係數 が 殆 ん ど零 に な る範
抵 抗體 に 於 て,そ の 抵
圖 は極 め て狭 い.然
し或 目的 の標 準 抵 抗 に利 用 す る に十
抗 値が 周期 的 に變 動 し
て ゐ る こ とが 目 立つ て
分 の様 で あ る.
ゐ る.抵 抗 値 の 増加 は
夏 季 に初 ま り,そ の 極
大 は秋 季 の 温 度 の極 大
第14圖
二.三Au-Cr-抵
抵 抗 値 の 時 間 的變 化
抗體;
と一 致 して ゐ る.こ の
性質 は ラ ッ クが 原 因 と
なつ て,濕 度 の増 大,從 つ て抵 抗 線 の伸 び に よつ て説 萌 さ
れ る.こ れ は高抵 抗 の マ ンガニ ン線 に於 て は長 期 間 に亘
第11圖Cu-Mn抵
抗
用 材 料 の 抵 抗-温 度 曲 線
Ⅰマ ン ガニン
第12圖Cu-Mn系
抵 抗用材
料 の 抵 抗 の 温 度 係Ⅰ
マンガニン
Ⅱイ サ ベ リ ン
Ⅲノ ボ コ ソ ス ダ ン ト
Ⅱイ サ ベ リ ン
Ⅲ
ノボ コ ソ ス タ ン ト
亦 電 氣 抵 抗 に及 ぼ す濕 度 の 影 響 が 明 らか に知 られ てゐ
る.こ の 場 合 に も同様 に夏 期 〓 ち濕 度 の 多 い季 節 に抵 抗
「
の 増 加 が あ る.こ の 抵 抗 は決 して再 び元 に戻 らな い.こ
Ni-Cr合 金 の 際 と同様 にAu-
の ことが 材 料 の 弾 性 限 が 非常 に低 い と いふ と とに 關係 あ
Cr合 金 に 於 て も亦 抵 抗 温 度 曲
るや 否 や は 豫斷 す る こ とが 出來 な い.抵 抗體 に塗 つ てあ
線 がS-型
る ラ ックの層 が 薄 い に もか ゝは らず 前述 の如 く,こ れ が
の 経 過 を とる(15)こと
及 びCu-Mn系
第13圖Au-Cr-抵
抗
用 合 金 の 電 氣 抵抗
(曲線a)及 び そ の 温
度 係數(曲 線b)の 温
度 に よ る變化
つ て知 られ そゐ る こと で あ る(18).1-Ω 抵 抗 盤 の 際に も
の抵 抗 用 合金 に
電 氣 抵 抗 に 及ぼ す影 響
於 て も亦 同 じ様 な経 過 を と る こ
が 確 かで あ り,こ れ と
とは興 味 あ る ことで あ る.こ の
相 勤 して 抵 抗材 料 が機
特 性 は 普通 と は非 常 に異 なつ て
械 的 歪 に非 常 に感 じ易
居 り,非常 に 類 似 して ゐ る2金
い とい ふ こ とは 驚 ぐべ
屬Mn及
き こ とで あ る.
びCrの
不 溶 性 のた め
に起 る も の で あ るが,こ の2金
屬 の複 雑 な 格 子 構 造 の た や で あ る とされ てゐ るが 非常 挺
最 もら しい.或 る完 成 して ゐ る可 逆 的 な経過 を と る逆轉
新し い 熱 処 理 に 從
第15圖
高温加熟ぜ るマソガニ
ンー 抵 抗體;抵 抗 値 の時 間 的關 係
つ て400° 加 熱 した 或
10Ω-マ ン ガニ ン抵 抗
現 象 が 存 在 す る の で,こ の 特殊 の 抵 抗 の経過 は確 實 に は
説 明 され 得 な い(16)Cuを
含 む γ-Mnの
(15) A. Schulze, Metallwirtsch.,18
固 溶體 で あ る
(1939),35.
(16)A. Schulze, Z. techn. Phys., 14 (1933), 89.
(17) G, Grube, II. Speidel, Z. Electrochem., 46,(1940),233.
(18) St. Lindeck, Z. Instrumentenkde.,
28 (1-908); 229.
第9號
電 氣 抵 抗 用 金 屬材 料 に就 て(飜譯) 體に就 て,そ の 抵 抗 値 の 時 間 的経過 を第15圖 に同 様 に示
した.
481
濕度 の影 響 を全 く除外 す る た め に,こ れ 迄 行 つ た實 験
を もとに して,ラ ック を全 然 使 用 しな い新抵
抵 抗體 をAu-
これ と は別 にA1を
含 ん で ゐ るCu-Mn-合
金 は空 氣中
の濕 度 に感 ず る程 度 が尠 い.
Cr-合 金 で 製 造 した.コ
イル を眞 鍮 の 箱 の 中 に納 め て,
これ を外氣 と遮斷 す る(第3b圖
上述 の事 柄 に 追 加 と して,多 くのAu-Cr抵
を見 よ).箱 の 中 に は 中
抗體 及 び
性 瓦斯 然 もAr2が 充 満 して ゐ る.こ の構 造 で あれば空 氣
400°加 熱 した マ ンガ ニ ン抵 抗體 に つ き硫 酸 と水 との 混
の濕 氣 に完 全 に無 關 係 で ある ことが わ か る.こ の 様 な抵
合 にて決 定 した種 々の相對濕 度 に 於 て 測定 した.二,三 の
抗體 は 〓 に8ケ 月間 も観測 され て ゐ るか ら これ に關 聯 し
例 を第5表
た結 果 が 期 待 され な けれ ば な らな い.
に掲 げた.凡 べ て の場 合,空 氣 中 の濕 度 が増
加 す る に從 つ て 明 らか に抵 抗 の 増 加 を示 してゐ る.或 る
場 合 は30%の濕
度 の變 化 に對 し只2∼3×10-6程
愛 化 で あ るが,抵 抗體103の
度の
場 合 に は抵 抗 の 増加 は10-5
程 度 よ り大 きい.
第6表
マ ン ガニ ンー抵 抗體 を用 ひて も類似 の 構 造 を作 つ て ゐ
る.
こ れ 等 抵抵體 の濕 度 に よる著 しい影 響 は,加 之,小 さ
い 抵抗 量 に導 入 して來 るの で,自 然 不 利 益 で あ る.ま た
これ は,高 感 度 を要 求 す る際 に無條 件 に計算 すれ ば,精 密
Au-Cr-及 び マソ ガ ニンー抵 抗體 の
濕度 に 依 る影 響
度 に温 入 す る もの で あ る.一 方 特 殊 の熱 処理 に よつ て 到
達 し得 た抵 抗 の濕 度 係数 が 小 さ や こ と 及 び 〓 に比 較 的
短 日 月で は あ るが 抵抗 値 の 一 定 性 が 得 られ た こと は,こ
の種 の抵 抗 材料 を利 用 す る上 に 非 常 に重 大 な利 益 で あつ
て閑視 して はな らな い もので あ る.
結
論
電 氣 抵 抗 用金 属材 料 の題 下 に於 て各 抵 抗材 料 を記 述 し
標 準 用-精 密 用-抵抗體 へ の利 用 につ き言 及 し且 つ これ 迄
行 はれ て ゐ た 取 扱 を通 覧 した.次は 先 づ第 一にCuと
Mnよ
り成 る二元 系 合 金 の材 料 を取 扱 ひ,第 一 線 にマ ン
ガ ニン を取 上 げ,新 熱 処 理 法 と して約400。 加 熱 を提 供 し,
次 にA1を 含 有 す るCu-Mn合
金 イサベ リン,ノ ボ コ ンス
タ ン ト及びA4-合 金(Thereo)に つ いて 述 べ た.最 後 の もの
に つ い て言 へ ば,こ の 抵 抗材 料 は3ケ 年 間 観 測 の後,良 欝
400°加 熱 せ る マ ンガ ニ ン抵 抗體 の濕 度 に よる影 響 は
Au-Cr-抵
抗體 と同様 の 大 い さ の 程 度 で あ る.先 に これ
迄 普通 に 用 ひ られ てゐ る熱 処 理 法に よつ て140° で 処 理
な る結 果 を與 へ,標 準 抵 抗 に 鷹 用 して 好 適 の もの で ある
ことが わ かつ た.同 様 の こ とがAu-Cr一 抵 抗 用 合 金 に つ
い て もあ て は まる.抵fig.を
完 成 して後 短 い期 間 内 に達
した 同程 度 の マ ンガ ニ ン抵 抗 艦 の と きに は濕 度 に よる影
した抵 抗値 の 一定 性 は約3ケ 年 の 観 測 中十 分 満 足な もの
響が極 め て僅 少で あ る,若
で あ つた.こ
しラ ッ クの 層 を非常 に厚 くす
ゝに記 述 した 抵 抗 材 料 の 特 徴 は,特 殊 の 熱
れば,濕 度 の増 大 す る と共 に 抵 抗 線 は比 較 的 大 き く伸 び
処 理 に よつ て達 し得 られ るの で あ るが,温 度 係 敷 が2∼
るわ け で ある.そ こで140。 にて 加 熱 した1Ω-及び10Ω-
3×10-6程 度 に非常 に小 さ い こ とで あ る.更 に これ 等 の
抵 抗體 に つ いて 測 定 した と ころ濕 度(35∼65%)の
増加
抵 抗 材 料 は 物理 的 性 質 に二,三 の特 性 を有 つ て ゐ る.そ れ
度 の變 化 に なつ
はS-型 の抵 抗 温 度 曲 線 及 び機 械 的 加 工 に 非常 に敏 感 で
に從つて 抵 抗値 が増 大 し2∼3×10-5程
た.こ の比 較的 大 き な
第7表
抵抗用Ag合
金の成分 及び特性
温度 の 影響 は 既 に 申述
べ た如 くに 高 抵 抗 の 抵
抗體 に著 しい.
若 し吾 人 が これ 等 抵
抗合金 に 封 し高 度 の 精
密度 を要 求 す る な ら
ば,濕 度一 定 な る 所 に保 持 す る ことが 望 ま しい こ とで あ
あ る こと等 で あ る.こ れ 等 に つ い て は 少 し く穿 墾 した.
る.
種 々 の材 料 の 冶金 學 的 性 質 は 各 個 に詳細 に記 述 した.
482 [譯者註 ]最 近 著者 はAg-合
資
金 に つ きその 抵 抗 の温 度
係數 が 負 で あ る こ と に着 隠 し,且 つCu-合
金 より も耐 酸
性 で あ る利益 が あ るの で 機械 的 並 に 電 氣 的 研 究 を行 ひ,
この合 金が 標 準 抵 抗一及 び 精 密抵 抗用 に應 用 され る こと
料
第5巻
を發見 した(19).第7表 と して そ の 成 分,特 殊 熱處 理,及
び特 性 等 を掲 げ て お く.
(19) A Schulze, Z. Metallk.,
42(1941),6.
33 (1941), 188, Phys. Z.,
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