Comments
Description
Transcript
重力の強さ
運動の法則 力とは 物体の運動の状態(物体の速さ、方向や向き)を変えたり、物体の形を変えたりしたとき、その物体に 力 が働い たという。 力にはどの方向にどれだけの大きさでという 2 つの要素があるから力は ベクトル である。力を表す記号は英語の 力という意味の Force の頭文字から f、F などを使う。力は ベクトル であるから本来 F という記号で表すべきであ るが成分や大きさだけが問題になっているときは単に F でも構わない。 力の表し方 物体に働く力を図示するときは、力が物体に働いてい る点( 作用点 )から力の働いている方向( 作用線 )に 沿って引く。矢印の長さ(ベクトルの大きさ)は力の大 きさに比例させて長さを変える。 F 作用点 作用線 力の大きさに比例 力の単位 力の単位は物体に働く重力を基にした重量キログラム(キログラム重ともいう) [kgw]とニュートンの第 2 法則を 基にした ニュートン [N]がある。物理ではニュートン [N]を使う場合が多く、その方がこれから便利である。 1 [kgw]は質量 1 [kg]の物体に働く重力の大きさを表した量である。普段の生活ではこれを使っている。 (だから「私 の体重は○○キロ」という言い方は正しくなく「私の体重は○○キログラム重」というのが正しい) 1 [N]…質量 1 [kg]の物体に 1 [m/s2]の加速度を与える力の大きさ 1 [kgw]…質量 1 [kg]の物体に働く重力の大きさ 物体を落下させたときに生じる加速度は物体の質量に関係なく 9.8 [m/s2]であるから質量 1 [kg]の物体に働く重力 の大きさは 9.8 [N] となる。よって 1 [kgw]= 9.8 [N] という関係が成り立つ。ちなみに 1 [N]を[m]、[kg]、[s]で表すと [N]=[kg m/s2] である。 質量と重さ 重さというのはその物体に働く重力の大きさのことで ある。だから重力が異なる他の星(惑星)では物体の重 さが変わってくる。それに対して、重力が変わっても変 化しない量のことを質量という。正確には物体の運動の 状態の変えにくさを質量という。 質量の記号は英語の mass の頭文字をとって m、M な どで表す。単位は普通 [kg]を使う。 単位系 実験や計算をするときその量の基準が必要である。そ の基準のことを単位といい、基本単位と組立単位に分け られる。基本単位には長さ 、質量 、時間 、温度 、電 流 、物質量 がある。長さ、質量、時間を m、kg、s と し、 この 3 つを基本単位とする系を MKS 系といい、 MKS 系に電流の単位 A を加えた単位系を MKSA 系という。 物 理では特別なときを除いて MKSA 系をつかう。 場所 地球 月面 火星 木星 土星 重さ(重量)[kgw] 60 10 23 142 56.4 惑星上での重さ 物理量 長さ 質量 時間 温度 電流 物質量 単位 メートル キログラム 秒 ケルビン アンペア モル 基本単位 記号 m kg s K A mol No.1 力の合成・分解 力は ベクトル であるから、合成や分解ができる。右図 のように 2 つの力が物体に働いているとき、この 2 つの 力と同じ効果と同じ働きをする 1 つの力で表すことがで き、その力を 合力 といい、 合力 を求めることを力の 合成 という。式で表せば F1 F F2 F F1 F2 となる。 また、力の合成とは反対に 1 つの力 F と同じ働きをするように力をいくつか(普通は 2 つ)の力に分けることを 力の 分解 という。分解された力を 分力 といい、普通は直交した座標軸(x 軸と y 軸)に沿って分解する。 y F の大きさを F とすると三平方の定理より F= 2 Fx F y 2 が成立する。また分力の大きさは右図より Fx= F cos Fy= F sin で表される。 Fy Fy F 0 力の釣り合い 物体に働く力の合力が 0 になったとき、物体に働く力 が 釣り合っている という。このとき、物体は静止してい るか等速度直線運動する。 (詳しくはニュートンの法則 のところでやる) ベクトル的には、ベクトルで閉じた図形ができるとき 物体に働く力がつり合っていることになる。数式で表せ ば F1 F 2 F 3 0 x θ Fx Fx F3 F1 F1 F2 F3 F2 のときである。これは力の数がどんなに増えても成立す る。実際の計算ではそれぞれの力を成分に分けて成分同 士を計算すると楽である。 y 問題 今、原点にある物体に力の強さがそれぞれ 1 [N]と 3 [N]の F1 および F2 がある。力の方向は右図に示した通り F3 である。物体に働く力がつり合うように力 F3 の大きさ と方向を求めよ。 x方向の釣り合いは F1 F2 cos 30 F3 cos 0 x θ F1 30゜ F2 y方向の釣り合いは F2 sin 30 F3 sin 0 3 1 1 これよ り F 1 2 2 1 3 tan 3 60 F sin 3 2 2 F cos 3 A.大きさ 1 [N]、θ=60゜