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第10 回

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第10 回
第10 回
◆解答◆
A.(a)-3 (b)-1 (c)-1 (d)-4 (e)-2 (f)-2 (g)-2 (h)-4 (i)-2 (j)-2
B-2
C.Y-3 Z-2
D-3
E-2・4・7
◆全訳◆
《バイオリンはどのようにしてできるか》
ロンドンのバイオリン商のフローリアン= レオナードは, 店のショールームに大きなア
ンモナイトの化石を置いている。それはバイオリンのネックの渦巻きに似ているが, それに
は象徴的な意味もある。バイオリン作りは「化石化した職業」だと彼は言う。彼の言うこ
とには一理ある。現存している最も古いバイオリンは, 1564 年にアンドレア= アマティに
よってイタリアのクレモナで作られたものである。現代の音楽家でもそれを取り上げて演
奏することができる。その後行われたいくつかの小さな修正は別として, 基本的なデザイン
は今日もほとんど同じままであり, 高品質の楽器を作る方法もやはり変わらない。つまり,
時間をかけて, 愛情を込めて, 手作りするということだ。
どんなバイオリンも同じ複雑な輪郭をしている。一番上と一番下はふくらんでいて, 中央
は演奏者の弓が 4 本の弦に容易に触れられるようにくびれている。 それは華やかで表情に
富んだ, 無限に変化する音を人間の声と同じ周波数域で生み出すには完璧な形である。 バ
イオリンの形には魅力的で女性的な点もある。米国のアーティストのマン= レイは, 美しい
女性を後ろから撮影した有名な写真でその特性を表現している。
バイオリンの本体は木製の共鳴箱で, 薄ければ薄いほど良い。最良の木材は堂々としたし
ま模様の趣をかもし出している。だが, 何よりも重要なのは、木材は正しい音を出さねばな
らないということである。これまでで最も有名なバイオリニストであるニコロ=パガニー
ニは, かつて「最も有名なバイオリン職人のアントニオ=ストラディバリは, 『サヨナキド
リがさえずる木の木材だけを使った』」 と言った。4 本の弦から出る振動はブリッジを通
ってバイオリンの前面に伝えられ, それが全部サウンドポスト(箱の内部にある, 前面と背
面の間に押し込まれた, 円柱状の木材) を通って背面に伝えられる。音は f 字型の穴 (ブリ
ッジの両側にある, 優雅にカーブした一対のすき間) から出てくる。 合計すると, 70 以上
の部品で作られているのである。
ひとたび組み立てられると, バイオリンは何層ものニスで覆われ, 黄色に始まってあら
ゆる色合いの茶色を経て深く鮮やかな赤まで, さまざまな色になる。これによって楽器その
ものの見栄えが良くなるだけでなく, 音色も良くなるのである。ニスは伝説のもとである。
多くのバイオリン職人が自分独自のニスを作り, そのレシピを油断なく守っているのだ。
バイオリン以前にも多くの弦楽器があったが, それらの音は全く別物だった。バイオリン
は生まれながらにしてほぼ完壁であったように思われる。最初期のバイオリンの前面と背
面はわずかに弧を描いており, それが甘く親しみやすい音色を与えていた。ホールが大きく
なり, 聴衆が増えるにつれて,楽器はより大きな音を出せることが必要になった。1700 年か
ら 1720 年までの自らのバイオリン作りの「黄金時代」に, ストラディバリはより平らなデ
ザインを開発し, 音を大きく出せるようにした。それ以来, 昔のバイオリンはほとんどすべ
て, ネックと指板がより長く, ネックが斜めになるように修正されていて, 演奏しやすくな
っている。
科学者たちは昔の楽器を注意深く分析し, 製作者がかつて理解していたよりもその物理
的な特性についてはるかに多くのことを明らかにしている。年輪のパターンの分析に基づ
いて年代を鑑定する年輪年代学によって, 木材の年齢や来歴が証明されている。 三次元 X
線によって, 木材にどれくらいの厚みと密度があるかをミリメートル単位で正確に知るこ
とができる。また, 分光計によって, ニスの組成も明らかになる。昔の名人が作った楽器を,
今ではあらゆる細部にわたってコピーすることができるのだが, 音だけは例外だ。450 年た
っても, クレモナのバイオリン職人は自らの最大の秘訣を守り続けているのである。
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