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めざせ ! アジアのアニメーション文化と産業の活性化
ACCu PROGRAmmE 文化の多様性を促進するために めざせ ! アジアのアニメーション文化と産業の活性化 文: 大貫 美佐子(文化協力課 課長) 去る7月16日から18日の3日間、日本動画協会(AJA)との共催、東京大学の協力のもと「アニメーション文化・産業に関するアジア太平洋リー ジョナルセミナー∼文化多様性推進のために∼」を開催しました。これは、昨年の第1回のアジア・パシフィック アニメ国際会議に引き続き企 画したものです。猛暑の中、東京で開催されたセミナーには、フィリピンやインドネシアなど8か国から若いクリエーターを含め合計20名が集 まり、熱い議論が繰り広げられました。 文化の表現ツールとしてのアニメ アニメ業界をささえる日本の企業の方々 「宮崎監督にはどうやったら会えるの 発展の可能性」 、 「動画配信の現状と展 に「アニメの力」 「新メディアによるアニメ 今後のフォローアップは 何をすべきか ? でしょうか?」 「 『崖の上のポニョ』をぜ 望」などをテーマに講義いただきました。 今後 ACCU は、現代文化推 進のた ひ観たい」インドネシアや韓国の参加者 現場見学では、ジブリ美術館を訪問し、 めのいくつかの試験的なプロジェクトを は、来日するなり目を輝かせて質問をし アニメーション美術館としてプレゼンテー 計画しています。そのなかで、現代文化 てきました。シンガポールからは、自費 ションのノウハウを見学し、また、アニメ コンテンツ事業の青写真を描く必要があ 参加を含め 4 名が参加するなど熱心ぶ ーションプロデューサー育成を研究して ること、発展途上国の文化をプロデュー りがうかがえます。 いる東京大学七丈直弘准教授のグルー スするための人材育成などが課題である このセミナーの目的は、アジアからア プの講義を受け意見交換しました。 と思いました。しかしアニメーション制作 ニメーションの制作関係者、研究者、行 最 終日には参加者とともに宣 言を採 技術取得には、他の伝統的職人と同様 政官を招聘し、それぞれの立場で日本 択し、アニメーション作品と産業を各国 に長い年月の訓練が必要で、後継者不 を中心としたアニメ文化とビジネスの状 政 府が文化政策によって支援すること 足などの問題も抱えています。人材の育 況を学ぶことにありました。そしてもうひ が強く求められていること、専門家や産 成は長期的計画に基づく必要がありま とつは、ユネスコが 2005 年に採択した 業界と協力して地域におけるアニメ産業 す。ACCU は、文化の多様性に関係す 「文化の多様性条約」※ 1 について、内容 を企画し、政策的なプランをたててさら る新サイトを立ち上げ、アニメセミナーの がよく理解できない、自国の文化産業に に発展させていくことが必要であること 参加者のネットワーク構築、セミナーの どういった利点があるのか、といったア を確認しました。また、アジア太平洋地 アウトプットを共 有する予定です。その ジア各国からの質問に配慮し、ニーズに 域諸国間の情報共 有ネットワークの必 後、サイトを利用して条約関連の情報、 応えていく必要があると考えていたから 要性から、AAA(Association of Asia 各国の文化政策の情報、アニメーション です。 Animation Network) を設立しそれを運 教材などの配信を行っていきたいと考え 自国の文化コンテンツをどうやって活 営することなどが具体的に盛り込まれま ています。 性化させ、国内外にプロモーションして した。 最後に、期間中ご協力いただいた講 いくか。これは特にアジアの発展 途 上 師、講演者の方々、そして日本政府関係 国に必要なノウハウといえます。例えば、 者にこの場をかりてお礼を申し上げます。 カンボジアの伝統的な舞台芸能を現代 芸術の受け入れやすさと融合させ、それ をどのように国内外に伝えるかということ もそのひとつかもしれません。その結果 として、カンボジアの多様な文化が世界 に認識され、一辺倒でない価値観が広 がっていくことになり、それがカンボジア の観光をはじめとする産業などにも影響 をおよぼすことになるでしょう。 いまやアニメは日本を代表する最も元 気な輸出産業のひとつといえます。例え ば、ポケットモンスターは、世界の 70 近 い国と地域で放映されていて、特にアメ リカでの大ヒットは、日本のキャラクター がトップクラスの世界的展開力をもつこと を証明しています。今回のセミナーでは、 真剣に講義を聞く参加者 8 ※ 1 Convention on the Protection and Promotion of the Development of Cultural Expressions のこと。 2008 年 7 月 18 日現在、批准国はアジアでインド、中国、バングラデシュ、ベトナム、カンボジア、 ニュージーランド、モンゴル、ラオスの 8 か国。 ACCUニュース No.369 2008.9