...

音楽は世界の共通語

by user

on
Category: Documents
17

views

Report

Comments

Transcript

音楽は世界の共通語
ACCu PROGRAmmE
中国教職員招へいプロブラムに参加して
音楽は世界の共通語
文:池上
真由美(岡山県総社市教育委員会学校教育課主幹)
ACCU国際教育交流事業の一環として、2009年10月13日から26日まで、
中国教職員招へいプログラムが行われました。中国の学校教員や教
そう じゃ
育行政職員など142名からなる一団は、東京都をはじめ、岡山県総社市、熊本県植木町、沖縄県那覇市、千葉県成田市、埼玉県さいたま市で
様々な学校や文化施設を訪問し、日本の教育・文化について理解を深めました。
「ああ、中国語が話せたら・・・」5日間
育のあり方について意見交換し、総社北
の訪問中に何度も頭をよぎったフレーズ。
小学校では、全校集会で中国籍の女子
言葉が通じないもどかしさ。自由に言葉
児童による中国語の司会に、感嘆の声が
を操り、会話を交わすという当たり前に
上がりました。圧巻は、総社東中学校吹
思っていたことができない辛さ。そして、
奏楽部による青空コンサート。部員の生
片言の英語や筆談で気持ちが通じた時
徒達が「北国の春」を演奏し始めると、
の喜び。中国教職員の方々と共に過ごし
指揮者のリクエストに応え、総団長補佐
た5日間は、言葉の重要性を痛感すると
同時に言葉の壁を超えた心の交流の素
晴らしさを実感した貴重な期間でした。
山手小学校 ティームティーチング
の于(ユ)先生が朗々と中国語で歌い出
したのです。この歌は中国で大変親しま
一層進展することが期待されます。音楽
れているらしく、多くの先生方が口ずさ
集会では、全校児童が中国語で「茉莉花
み始め、最後には大合唱に。まさに音楽
2回目の受け入れ
(まつり花)」を披露するなど、心のこも
は世界の共通語。この曲を通して、一瞬
った歓迎ぶりでした。また、6年生の算数
のうちに心の距離が縮まったのを感じま
初日は、総社市の歓迎の気持ちを天
の授業では、参観するだけでなく、予め
した。
が代弁しているような最高の秋晴れの
学習指導案を送り、中国教職員の方にテ
中、金木犀の香る市庁舎へ29人の訪問
ィームティーチングをお願いするという新
団をお迎えしました。今回は19年度に続
しい試みにも挑戦しました。その授業を
く2回目の受け入れとあって、ホームビジ
通して、中国では、今学んでいることが将
ットのホストファミリーにも5組のリピータ
来どのように活かされるかという学習の
ーがおられ、前回の体験を生かし、ぼた
有用性を児童生徒にしっかり伝えること
餅作りや、お好み焼きパーティー等の楽
を重視するということがわかり、大変参
しい交流を企画してくれました。通訳の
考になりました。
留学生ボランティアの中にもリピーターが
総社東中学校吹奏楽部「北国の春」の演奏に応え
熱唱する于(ユ)先生
おられ、ホストファミリーの方との再会を
その夜の歓迎交流会では、とても迫力
喜ぶ姿が見られたのも、心温まる場面で
のある温羅太鼓の演奏があり、皆さんに
今回の訪問の特 色は、何と言っても
した。
日本の文化を体感していただけたと思い
音楽による交流。歌は言葉の壁を易々
ます。最後は参加者全員で「茉莉花(まつ
と越え、中国と日本をしっかり結びつけ
り花)」を歌い、会がしめくくられました。
てくれたように思います。最終日のお別
2日目のオリエンテーションでは、教育
う
ら
長が総社市の教育に関する説明をする
れの会でも、
「四季の歌」を日中双方で
と、中国教職員の方々から質問が続出。
歌い、別れを惜しみました。互いに手を
時間が過ぎても、まだまだ手が挙がる熱
振りバスを見送りながら、是非またこの
心さに同じ教職員として頭が下がる思い
方々にお会いしたいという強い思いがこ
でした。
み上げて来ました。
音楽を通じた交流
同じアジアの国でありながら、何となく
学校訪問の皮切りは、山手小学校。こ
間で、一人一人の方の顔を覚え、親しくな
の学校の校長は、昨年度の中国政府日
距離を感じていた中国ですが、この5日
歓迎交流会での温羅太鼓の演奏
本教職員招へいプログラムに参加して、
ることでとても身近に感じられるように
なりました。国際交流とは、そんなに難し
青海省西寧市行知小学校を訪問したこ
その後、三つの学 校を訪問しました
いことではなく、ひとつひとつの出会い
とを契機に、相互に作品交流を進めてい
が、それぞれに特色ある教育現場を見て
を大切にすること、そして何より、自分の
ます。今回は、行知小学校の校長が訪問
いただけました。早島養護学校では、一
隣人を大切にすることからその第一歩が
団員として参加されており、今後、交流が
人一人の成長を大切にする特別支援教
始まるということを実感しました。
14
ACCUニュース No.376 2010.2
Fly UP