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ロシア情勢(2015 年7 月モスクワ事務所)

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ロシア情勢(2015 年7 月モスクワ事務所)
更新日:2015/8/27
JOGMEC モスクワ事務所
木原 栄治/荒井 智裕/井戸 智子
公開可
ロシア情勢(2015 年 7 月モスクワ事務所)
1.当地動向:
(1)ロシア情勢(対外、ウクライナ)
①停戦合意完全履行は厳しい状況
・ 7 月 28 日、ウクライナ軍は、なお戦闘が散発しているウクライナ東部の親ロシア派武装組織との戦闘
でこれまでにウクライナ軍の兵士約 2300 人が死亡したと明らかにした。また、兵士 273 人が行方不
明で、約 80 人が親露派の捕虜になっているとした。
・ なお、国際連合は昨年からのウクライナ東部における戦闘でこれまでに約6400 人が死亡したと推計
している。
・ 2 月のベラルーシ・ミンスクでの停戦合意完全履行に向けた協議を外相レベル(ロシア、ドイツ、フラ
ンス、ウクライナ)、実務レベルのコンタクトグループ(ロシア、ウクライナ、欧州安全保障協力機構、親
露派支配地域代表)が複数回に亘り協議を重ねているが、大きな進展が見られない状況が続いてい
る。
②BRICS 首脳会合での停戦合意履行呼びかけ
・ 7 月 9 日、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興 5 ヶ国でつくる BRICS の第 7 回首脳会
議が、ロシア中部のバシコルトスタン共和国の首都ウファで開かれた。会議では BRICS 開発銀行の
発足を歓迎し、ウクライナ危機に関する停戦合意の完全履行を求める宣言を採択した。プーチン大
統領は会議冒頭で、我々の権威と、政治経済への影響力を拡大するための重大な決定をしたいと
意欲を述べ、世界金融などの分野で存在感を示すと同時に、ウクライナ危機など欧米と対立する分
野でも団結を誇示する考えを示した。
・ 宣言の骨子は以下のとおり。
–1–
Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
 BRICS 開発銀行の設立を歓迎
 第 2 次大戦の結果を歪曲する試みを断固拒否
 二重基準の適用を排し、一部の国の国益を他国より優先しないことの必要性を強調
 国際法に違反する一方的な軍事介入や制裁を非難
 IMF 改革案を米議会が認めないことに失望
 BRICS 内貿易での自国通貨の使用拡大を目指す
 情報通信技術の悪用を懸念し、政治的独立や内政不干渉の重要性を強調
 イスラム国の非人間的行為を強く非難
 ウクライナ停戦合意の全項目の履行を呼びかけ
<上写真出典:クレムリン HP:http://kremlin.ru/events/president/news/49892/photos >
③追加経済制裁
・ 7 月 30 日、米国財務省は、ロシアに停戦合意を完全に履行するよう圧力をかけ続けるため、新たに
20 以上の個人や団体に制裁を拡大したと発表。具体的にはプーチン大統領を支援する実業家に
–2–
Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
つながる人物などのアメリカ国内の資産を凍結し、金融取引を禁止するとした。
・ 詳細は以下のとおり。
 個人
NOVATEK 主要株主のチムチェンコ氏、ローテンベルク兄弟の弟、カラシニコフ製造会社にリ
ンクする 11 個人
 企業
1) ロシア企業(軍事・港湾・航空・エネルギー):15 社
2) Vnesheconmbank(対外経済銀行 VEB)18 社、Rosneft16 社の二社の制裁対象子会社を
特定。
④国連安保理決議に対し拒否権行使
・ 7 月 20 日、ロシアはウクライナ東部で昨年7月にマレーシア航空機が撃墜された事件を巡り、マレ
ーシアやオランダなどが求めた国際法廷の設置に反発し、独自の決議案を国連安全保障理事会に
提出した。
・ 7 月 29 日、国連安全保障理事会は、マレーシア、オランダ、ウクライナ、オーストラリア、ベルギーの
5 ヶ国からなる合同調査チームが提案した国際法廷の設置を見込んだ決議案採択を試みたが、ロ
シアが拒否権を行使。同決議案には、11 ヶ国が賛成し、中国、ベネズエラ、アンゴラの 3 ヵ国が棄権
した。フランスの代表は、法廷の設置が阻まれたことは国連安保理にとって深刻な敗北であるとし、
決議を支持した一部の国は、ロシアの拒否権行使を犠牲者の遺族に対する侮辱とみなし、ウクライ
ナとマレーシアは、国連の枠外での法廷の設置といった同犯罪を追及する別の手立てを考えると声
明した。
(2)ロシア情勢(対外、ウクライナ情勢以外)
①アジアインフラ投資銀行
・ 6 月29 日、ロシアを含む 50 ヶ国が、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立協定書に署名した。1000
億 USD の資本金のうち、中国が 297 億 8000 万 USD、インドが 83 億 7000 万 USD、ロシアが 65
億 4000 万 USD を出資する。各国とも 20%を 5 年間で 5 分割して払い込む必要があり、ロシアは出
資の 20%にあたる 13 億 USD のうち最初の 2 億 6100 万 USD を来年中に支払う予定。
–3–
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
②露・イラン首脳会談
・7 月 9 日、プーチン大統領はバシコルト
スタン共和国の首都ウファで、イランのロ
ウハニ大統領と会談し、制裁の中でもロ
シアとイランの関係は発展していると評
価した。ロウハニ大統領はロシアの努力
に感謝すると表明した。
<上写真出典:クレムリン HP:http://kremlin.ru/events/president/news/49897 >
(3)ロシア情勢(国内)
①公共料金値上げ等措置
・ 7 月 1 日、ロシアでは以下の措置が講じられた。
 公共料金値上げ
全国平均の値上げ率は電気料金 8.5%、水道料金 9.1%、熱料金 8.4%、ガス料金 7.5%。なお、
ロシアの公共料金は欧州に比べて大幅に安く、今後は一層の値上げをせざるを得ないとの専
門家による指摘がある。
 住宅改修費徴収
徴収額は毎月 1 ㎡あたり全国平均で 6RUB
 メーターを設置していないアパート住民に対する罰金の引き上げ
 医薬品のネット販売の禁止
 児童用送迎バスには使用年数が 10 年以下のものを利用
 航空機による国内旅客輸送の付加価値税の免税。
②銀行業界健全化政策
・ 2013 年からロシア中銀は銀行業界健全化政策に着手し、成果を上げている。2013 年時点で疑わし
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
い業務を行っていると思われる銀行は 150 行ほどあったが、現在は 20 行程度に減少している。これ
までに延べ 197 行が銀行業務ライセンスを剥奪されており、清算の手続き中である。
③ロシア庶民生活厳しく
・ ロシア連邦政府附属財政大学社会学部局によれば、ロシアの中流家庭の割合は 2013 年が 18%、
2014 年が 15%、現在は 13%と徐々に減少しており、最富裕層である 5 万 5000 世帯でも年間所得
が昨年の約 2470 万 RUB から今年上半期は 2160 万 RUB まで減少。中でもオーナーや経営幹部
などは一般の雇用者より所得の落ち込みが激しいとした。同部局は、階級間の所得格差が縮小して
いるとして、危機時の過度な格差縮小は経済成長を阻害すると警鐘を鳴らす。一方で、貧富の差は
拡大しているとの見方もあり、貧困層は現在、塩とジャガイモ以外の食品を購入するのが難しくなっ
ている。そして、年金は 1998 年の経済危機以降では初めて実質減(3~4%)となった。
④2018 年 FIFA ワールドカップ予備抽選会
・7 月 25 日、ロシアのサンクトペテルブルクで
2018 年 FIFA ワールドカップ・ロシア大会の予選
抽選会が行われ、プーチン大統領と FIFA のブラ
ッター会長が出席した。プーチン大統領は演説
で、本大会を壮大なスポーツの祭典にするとして、
その安全のため必要な措置は全て講じると言明。
チケットを持っていればビザは免除されるとした。
ロシアでの大会開催で近隣諸国などにもサッカー
が普及し、本大会開催地となる 11 都市にはそれぞれ固有の文化があり、世界中から集まった観客に
ロシアの文化の多様性を知ってもらえると述べた。一方、FIFA のブラッター会長は、FIFA はロシアを
全面的に信頼しており、支援も行っていくとし、国際情勢が悪化している今だからこそ、平和のため
互いに協力していくことが重要だとの考えを示した。
<上写真出典:クレムリン HP:http://kremlin.ru/events/president/news/50057 >
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
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投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
⑤今後の租税政策
・ 7 月 30 日、財務省の Web サイトで発表された今後 3 年間の租税政策の基本方針によると、租税制
度を安定させ投資を呼び込むため増税は行なわれないとした。その一方で、これまで税や保険料
の支払いを免れていた化粧品直接販売員、路上音楽家、保母、個人運転手、庭師、IT 技術者など
の自営業者からも徴税するため、個人事業主としての登録か権利購入を義務付けるとした。また、個
人所得税免除の条件も変更され、公務員、軍人、裁判官は解雇の際に免除となる。
(4)ロシア情勢(石油ガス産業)
①ウクライナへのガス供給
・ 6 月 30 日、ノヴァック・エネルギー大臣は、オーストリアにて開催された露・EU・宇のエネルギー三者
協議にて、第 3 四半期のロシアからウクライナ向けガス価格を 1000 ㎥あたり 40USD 割引の約
247USD の価格を提案し、ウクライナ側は 30%以上の割引を主張。協議は平行線をたどり、合意に
至らなかった。7 月 1 日、Gazprom はウクライナ向けガス供給を停止した。
・ Naftogaz のコヴォレヴ社長は、会見で「7 月中にロシアからのガス供給再開に向けて交渉を開始す
る方針であり、ガス供給の全ての条件については 9 月末までに合意しなくてはならない。また、欧州
からのガスの逆送によるガス価格に比べると、ロシアが提案しているガス供給価格はより高いため不
満がある。紛争地域であるドネツクおよびルガンスクへの供給問題については EU と協議する」とし
た。Naftogaz 現在、スロバキアからのガス輸入に頼っている状況で、ウクライナは、Gazprom に四半
期ベースではなく、暖房シーズン全体での契約に変更するよう要請している。
②地下資源法改正への動き
・ 7 月 30 日、天然資源・環境省は、自らがそれを発見したのであれば外国企業であっても連邦的意
義を有する鉱床の開発ライセンスを獲得できることを保証する旨を記した地下資源法修正案を政府
に提出した。連邦的意義を有する地下資源鉱床に識別されているのは、石油の場合は埋蔵量が
7000 万t以上、ガスの場合は 500 億㎥以上の鉱床である。その他、金の場合は50t 以上、銅の場合
は 50 万 t 以上となっている。当該の修正案によれば、「税金および手数料の未払いがないこと、高
技能専門家、ならびに、財務上・技術上の能力を有していること等の条件を満たしていれば、当該
の外国企業は政府に対し探査と生産の許可を申請し、事前合意を得ることができる」とされている。
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
事前合意は、3 年に 1 度交付され、その間にライセンス保有者が連邦的意義を有する鉱床を発見し
た場合には、その所有者は政府から新たに許可を得ることなく当該の鉱床において探査と生産を実
施することができるとしている。
③原油・石油製品輸出税
・ 2015 年 7 月、原油輸出税は 19.6USD/BBL とわずかに引き下げ、東シベリア及びカスピ海北部の油
ガス田等に対しては、引き続きゼロ課税となった。
・ 7 月の石油製品輸出税は 68.6USD/t、ガソリンについては 121.6USD/t に設定された。
<参考:原油及び石油製品輸出税の推移>
2012 年
平均
404.3
55.4
2013 年
平均
392.2
53.7
減税特典原油(USD/t)
199.2
190.1
減税特典原油(USD/BBL)
石油製品(USD/t)
内、ガソリン(USD/t)
27.3
266.8
363.8
26.0
258.8
353.0
輸出税
原油(USD/t)
原油(USD/BBL)
2014 年
平均
366.1
50.2
174.9
2015 年
上半期
130.1
17.8
2015 年
7月
143.1
19.6
2 月以降
非課税
24.0
242.0
330.0
62.4
91.7
0
0
68.6
121.6
④原油生産・輸出統計(エネルギー省 HP 掲載データ)
・ 6 月、原油、ガス・コンデンセート生産量は 4387.8 万 t(約 3.2 億 BBL)で前年同期比 1.6%増。
・ 6 月、原油輸出量は 1969.2 万 t(約 1.4 億 BBL)で前年同期比、10.5%増。
⑤天然ガス生産統計(エネルギー省 HP 掲載データ)
・ 6月、天然ガス生産量は427.2億㎥(約1.5TCF)。
⑥原油生産・輸出統計(エネルギー省 HP 掲載データ)
・ 7 月、原油、ガス・コンデンセート生産量は 4503.2 万 t(約 3.3 億 BBL)で前年同期比 2.4%増。
・ 7 月、原油輸出量は 1958.1 万 t(約 1.4 億 BBL)で前年同時期比、6.9%増。
–7–
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投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
⑦天然ガス生産統計(Interfax 通信 8 月 3 日報道)
・ 7月、天然ガス生産量は447.7億㎥(約1.6TCF)。内、Gazpromによる生産は275億㎥(約1TCF)で、
前年同期比0.6%減。
(5)極東・サハリン
①東シベリア関連
・ 7 月6 日、サンクトペテルブルグにて Gazprom Neft は中国の独立系企業CEFC Energy Company
と東シベリアの Chonskaya 油田群(Tympuchikansky, Vakunaisky, Ignyalinsky 油田)との共同開発
で合意。石油埋蔵量 160 万 bbl、ガス埋蔵量 2,700 億 m3(9.5TCF)。
②サハリン関連
・6 月 30 日、 Rosneft が、サハリン州のコジェミャコ知事代行の
提案を受け、州内に製油所を建設する意向とした。コジェミャコ知
事代行は、Rosneft のイシャエフ副社長(極東プロジェクト調整担
当社長顧問を兼任;元極東発展相)と会談。石油鉱床に近いオヒ
ンスキー地区に製油所を建設することを提案した。同社もこれを
前向きに検討する模様で、今後詳細を詰めていく予定。製油所
の年産能力は 15~20 万 t(約 150 万 BBL)と想定され、将来的
には拡大される見込み。
<左:コジェミャコ知事代行、右:イシャエフ副社長、写真出典:サハリン州 HP:
http://www.admsakhalin.ru/index.php?id=105&no_cache=1&tx_ttnews%5Btt_news%5D=7744&cHash=af2e
2d94c798c955c1b7f98be057f911 >
③「シベリアの力」ガス P/L
・ 7 月、Sputnik 紙(旧「ロシアの声」)によると、Gazprom と中国石油天然気集団公司(CNPC)は「シベ
リアの力2」(旧アルタイガス P/L)に関する契約の調印を無期延期した。中国経済の成長率の低下や
油価の下落により、両者間で価格に関する意見の相違が原因とのこと。
・ 7 月 28 日、ロシアのペスコフ大統領報道官は、「ロシアと中国が「西ルート」(シベリアの力2、旧アル
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投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
タイガス P/L)経由での露中ガス供給契約の締結に関する準備を整えていれば、9 月のプーチン大
統領の訪中は、契約締結の良い機会になる。両国が合意に達すれば、首脳会談が協定調印の場と
して使われる可能性がある」と述べた。
(6)新規 P/L
①Turkish Stream
・ Gazprom は、Turkish Stream ガス P/L の建設にあたり、新たな困難に直面している。7 月 6 日、報
道によると、作業に関わっている Gazprom の子会社 3 社の社長に対し Gazprom の取締役が送っ
た書簡の内容を引用しながら、以下のように報じた。「Gazprom は、トルコ向けにガスを供給する黒
海海底区間へとつながるロシア国内の P/L システムの延長作業を凍結するとの決定を下した。
Gazprom は、Turkish Stream ガス P/L の始点となる Russkyaya 昇圧ステーションにつながる 2 本
の P/L のうちの 1 本の建設を中断している」。Turkish Stream ガス P/L の建設を巡る展開を勘案す
ると、同 P/L の計画送ガス能力が達成されるかどうかが疑問視され、ほとんどの専門家は、予算適正
化により、当面は当初計画の 4 本ではなく、2 本のみ敷設されると予想している。Gazprom は現在、
「少なくとも、2019 年に期限切れとなるウクライナとのガス供給通過国契約の延長について交渉する
予定だ」と述べている。トルコへのガス供給は 2016 年末に開始する見込みであるが、ロシアとトルコ
の政府間での公式な協定はまだ締結されていない。
・ 7 月 9 日、Gazprom は、Southern Corridor(南回廊) P/L 事業における合計 500 億 RUB 超の 20
件の作業に関わる入札を中止した。同事業には、8 基の加圧ステーションや Pochinki-Anapa P/L
の 2 本の P/L の建設も含まれる。当初、Southern Corridor P/L 事業は South Stream 事業のロシア
国内の区間を担当するものとして、2012 年に建設を開始した。また将来的には、Turkish Stream ガ
ス P/L の一部に組み込まれる計画だった。Southern Corridor P/L 事業では、2 本の P/L、および 10
基の昇圧ステーション建設することになっていた。
・ なお、ギリシャの Panos スコウリィティース生産的再建・環境・エネルギー相は、「ギリシャは、『南欧
ガス P/L』建設事業を続ける方針である」と述べた。南欧 P/L 建設事業の事業費 20 億 EUR は、ロシ
アの VEB Capital とギリシャの Energy Investment Public Enterprise との JV が出資する予定となっ
ている。同 P/L の建設開始は 2016 年、完了は 2019 年となる見込み。
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
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任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
計画中の Turkish Stream P/L
<図出典:Gazprom HP:http://www.gazprom.com/about/production/projects/pipelines/turk-stream/ >
②Nord Stream 2
・ 7 月15 日、シェフチョヴィッチ欧州連合(EU)エネルギー連合担当副委員長は Nord Stream 2 に関
して、欧州のエネルギー安全保障に悪影響があると、EU として初めて批判。エストニアのパエト元
外相の率いる欧州議会議員グループが Nord Stream 2 の建設阻止を求める文書を EU に提出。国
連海洋法により Gazprom は環境問題でバルト 3 国と協議の必要がある。専門家によると Nord
Stream 2 の建設には EU の許可は不要だが、EU 圏内のガス P/L を拡張するためには EU の同意
が必要。但し、ガスの受け渡し地点を Greifswald に移せば Gazprom でなく欧州の顧客が欧州にお
け るガス輸送設備を確保することになるので、欧州における新たなガス PL を第 3 エネルギーパッ
ケージの規則に適合させなければいけないという問題は解決可能になるとしている。
・ 7 月 15 日、Engie が Nord Stream 2 への参加に際しての法的拘束力ある合意書の交渉に入ると
Gazprom が発表した。Wintershall も参加を検討しており、Nord Stream 2 のパートナーは 6 社と
なる見込み。
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任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
(7)ロシア石油ガス会社
Gazprom
・ 7 月14 日、Gazprom は主要ポストにおける人事異動を発表。主要な 3 部門のトップが交代。ガス分
野の古参であるカルペリ部長とポシャギン部長が年金生活に入り、彼らが率いていた価格形成部と
供給司令部のトップにはそれぞれの第1副部長が就くことになった。財務部門をとりまく状況はより
複雑なものとなっている。同部を率いていたクルグロフ部長はより高いポストを得て、ガスプロムの財
務部門の全般を統括することになった。彼の後任には、財務部の第1副部長が就任することになっ
た。
Rosneft
・ 7 月8 日、Rosneft はインド西部Gujarat 州にある Essar の Vadinar 製油所(日量40 万BBL)の 49%
を所有し、そこへ日量 20 万 BBL を 10 年間、本年より供給することで合意した。製油所は 2020 年ま
でに能力を2倍に拡張する。Euro-IV、Euro-Vクラスの製品が製造できるとしている。Rosneftセーチ
ン社長は、法的拘束力のある合意書を 2 ヶ月以内に交わしたいと述べた。
<上写真出典:Rosneft HP:http://www.rosneft.com/news/today/08072015.html >
以上
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Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
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