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ベネズエラの最新動向(9 月 1 日~9 月 15 日)

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ベネズエラの最新動向(9 月 1 日~9 月 15 日)
国際協力銀行
ニューヨーク駐在員事務所
2009 年 9 月 17 日
ベネズエラの最新動向(9 月 1 日~9 月 15 日)
I.
1.
政治・経済
チャべス大統領反対デモが世界各地で実施される
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II.
1.
外交
チャべス大統領が 7 ヶ国を訪問
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2.
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チャベス大統領は、前月末日から 11 日間、外交・経済関係強化のためリビア、アルジェリア、シリア、
イラン、トルクメニスタン、ベラルーシ及びロシアを訪問2。大統領は、各国とエネルギー、農業、医療
分野等での協力協定、覚書等に合意すると共に米国との対立姿勢を強調した。
エコノミスト誌は今回のチャべス大統領の訪問をベネズエラの「第一社会主義計画-2007~2013
年」に記載された外交政策に従ったものと説明。同計画では南米及びカリブ諸国以外にリビア、イラ
ン、シリア、ベラルーシ及びロシアとの関係を重視し、これら諸国との「不可欠的政治同盟」締結の
必要性を謳っている。
同誌はチャべス大統領がこれら各国で同時に問題を引起すことで米「帝国主義」の崩壊を目論んで
いると指摘、この事態を軽視すべきでないと警告している。
ベネズエラ・イラン関係
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9 月 4 日、チャべス大統領の反対デモ「No Más Chavez1」がネット呼掛けにより世界約 30 ヶ国で実
施された。コロンビアの米軍受入れ問題をはじめ、他国の内政問題に関与するチャべス大統領へ抗
議するためコロンビアの活動家が企画。ベネズエラ、コロンビア、ホンジュラス及び米マイアミのデモ
には数千人が参加した。
Inter-American Dialogue の Michael Shifter 氏は、有力な対立候補が存在しない限り今回のデモに
よるチャべス大統領への影響は小さいとの見解。むしろこれを機に同大統領は、支持・反対をさらに
二極化させる政策を取るだろうとしている。なお、BBC の Will Grant記者によるとベネズエラ市民は
政策より抗議活動に焦点を置く反対派・支持派双方に幻滅を感じ始めている模様。
9 月 5 日、8 回目となるイランへの訪問でチャベス大統領は、アハマディネジャド大統領とエネルギ
ー分野での協力につき会談。イランの核問題にかかる支持、イランの支援によるベネズエラの原子
力エネルギー開発、イラン向けガソリン輸出3及びイランとの協力による鉱山開発等と物議を醸す内
容。
「チャべスはもういらない」。
この他、イタリアとスペインにも立ち寄った。
チャベス大統領は、イラン向けにガソリン 2 万 b/d を輸出することを決定。これは、イランのガソリン輸入を抑制しようとす
る米国の対イラン政策へ影響する可能性も。
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3.
ベネズエラはロシアとエネルギー分野の協力、兵器の輸入に向け融資枠等で合意
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III.
1.
Robert Morgenthau ニューヨーク地域検事は、9 月 8 日にこのベネズエラ・イラン関係につき
Brookings Institute で講演、オバマ政権に注視するよう要請した。
同氏によるとイランはベネズエラで実態の分からない工場建設・操業、ベネズエラ軍への訓練指導
等に関与。さらに、米国の監視が比較的緩いベネズエラの金融ネットワークを通じ核開発用の原料4
及び兵器等調達に伴う資金調達を実施していると主張。米国及び国連はイランに対し複数の制裁
を実施しているが、ベネズエラとイランはこのような対抗措置を打出してきていると指摘している。
9 月 10 日、チャべス大統領は訪問先のロシアでメドベージェフ大統領と兵器調達及びエネルギー分
野につき会合。両国政府はオリノコ・フニン 6 鉱区開発に向けた JV 設立5に合意し、上流開発及び
設備へ 200 億ドルを投資することが決定。
さらに、ベネズエラは新たな兵器輸入のためロシアから 22 億ドルの融資枠を確保。ロシアがベネズ
エラの原子力エネルギーの開発を支援することも合意された。チャべス大統領はこれらの兵器輸入
につきベネズエラの石油資源を隣国コロンビアに駐留する米軍から保護するためだと正当性を主張。
なお、クリントン米国務長官は 9 月 15 日、ベネズエラの兵器調達拡大及び南米地域での軍拡競争
の可能性につき懸念を示した。
石油その他の資源セクター
ベネズエラ湾で天然ガス田発見
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9 月 11 日、西 Repsol は在ベネズエラ湾のカルドン 4 鉱区6で約 7~8 兆立方フィートの天然ガス田
を発見したと発表。7 ヶ国訪問後にスペインへ立ち寄ったチャべス大統領はこの発見の経済的展望
に期待を寄せるとのコメントを発表。
なお、業界専門家は発表された数値は推定に過ぎないとの認識。Repsol は依然として鉱区の埋蔵
調査を行っている模様。
以上
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昨年 12 月に発行された Carnegie Endowment for International Peace のレポートによるとベネズエラはイランとの戦略的
鉱山協力につきウラン掘削活動を再開する可能性もあるとの指摘。ベネズエラにはウラン約 5 万トンが埋蔵されていると
の推定。
PDVSA と露エネルギー企業 5 社(Gazprom、Lukoi、Rosneft、Surgutneftega と TNK-BP)が参加。
伊 Eni と共同で開発。両企業は共に 32.5%の持ち分を保有。
本レポートは発表時の最新情報に基づいて作成されておりますが、情報の正確性又は完全性を保証するものではあり
ません。また、レポートの内容は今後予告なしに変更されることがあります。予めご了承下さい。
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