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ベネズエラの動向(1 月 1 日~1 月 31 日)

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ベネズエラの動向(1 月 1 日~1 月 31 日)
国際協力銀行
ニューヨーク駐在員事務所
2011 年 2 月 28 日
ベネズエラの動向(1 月 1 日~1 月 31 日)
I.
1.
政治・経済
野党、5 年ぶりに本格的に議会に復帰
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2.
新公的証券取引市場1が発足へ
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1 月 5 日、新議会が発足。野党の本格的な議会への復帰は 5 年振り。2010 年 9 月 26 日に実施さ
れた議会選挙で与野党は、それぞれ 98 議席、65 議席と確保。与党は絶対過半数に一議席及ばず、
野党との対立が高まると予測されている。
野党は、旧議会がレームダック期間中に豪雨被害策を理由とした大統領授権法、議会の審議期間
を短縮する法律や与党議員の党移行を禁止する法律等が成立させたことで行動が束縛されると反
発しているが、チャベス大統領は、15 日、新議会の発足を歓迎するメッセージを発表し、野党との
「対話」を呼掛け、大統領授権法の執行期間を短縮等、歩み寄る姿勢を示している。
アナリストは、野党の活動範囲は未だ制限されているものの、議会に復帰したことにより政府政策
の実態を国民に伝えることが可能になったと評価している。なお、野党に対する大統領の上記の「ス
タンスの変化」については、2012 年に実施予定の大統領選挙を見据えた行動と分析している。
1 月 31 日、政府は、国債及び社債を販売する新公的証券取引市場「Bolsa Pública de Valores
Bicentenario」を発足。新市場は、財務省管轄下、独立法人として機能する。
ジョルダニ財務大臣は、新市場の主要目的について、「証券取引コストを最低限に抑える設計を通
じ、中小投資家及び全預金者を支援すると共に、国内の経済成長に貢献することが可能」と説明。
また、「証券取引業務の透明化により、資本逃避を防ぐことができる」とコメントしている。
アナリストは、新取引市場のドル調達手段としての機能を評価。但し、その市場システムが外国為
替債券取引システム(SITME)及び為替当局(CADIVI)と同等なものと予測されることから、依然とし
てドル調達が困難な状況が続くとの見方も強い。
国立証券監視当局は、初日の取引にトヨタ自動車の関連会社 Toyota Servicios de Venezuela 及び
地場容器メーカーEnvases の社債販売を承認(前者は 200 百万ボリバルまでの発行が許可され、
後者は 35 百万ボリバルまでの発行が許可)。更に、同局は、PDVSA に対し、新市場での発行可能
額を 60 億ドル2までと承認。新取引市場は、カラカス証券取引市場3と並行で稼動することとなる。
2010 年 11 月 13 日、公的証券取引市場法(Ley de Bolsa Pública de Valores Bicentenario)が官報に記載。
うち、30 億ドルが新社債(5~7 年物)向け、30 億ドルが債務交換向けとなる。
Bolsa de Valores de Caracas (BVC)は、1947 年に民間証券取引市場として発足。2007 年には、約 60 社が取引したものの、チャベス政権
が実施した上場企業の国営化及び証券企業の閉鎖により BVC の規模が大幅に縮小し、存続が危ぶまれる状況にある。
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II.
外交
1.
ベネズエラ、米制裁にも関わらず対イラン関係維持へ
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III.
1.
石油その他の資源セクター
PDVSA、2017 年社債を再度販売へ
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1 月 17 日、PDVSA は、31.5 億ドルの資金調達を目的に、2010 年 10 月に行った 2017 年社債発行
(利率 8.5%)を再発行し、私募により「中銀及びその他基金」へ販売すると発表。うち、19.4 億ドルは
中銀6に販売され、残り 22.1 億ドルは PDVSA の年金基金に納められる。
アナリストは、PDVSA が本年中に合計で 60~70 億ドルの資金調達を実施し、PDVSA債券はベネ
ズエラ政府による国内直接販売よりも海外資本市場で販売されると分析している。
ベネズエラ、外資系石油企業に増産を要請
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1 月 16 日、ラミレス・エネルギー大臣は、2010 年 9 月末に、米議会より、イランとの関係断絶を証明
する旨の PDVSA 宛の書状を受領していたこと明らかにした。当該書状は、対イランとのビジネス関
係を継続した場合に制裁4も検討されると警告したもの。
ベネズエラ政府は、2009 年にイランとガソリン供給協定(2 万 b/d)を締結しているものの、制裁執行
以前に輸出したものは対象にならないと表明している。ラミレス大臣は、「ベネズエラ政府は、米国
の対イラン制裁に伴う対策等を打っていない」とし、イランとの関係は現状維持とコメントしている。
アナリストは、イランの原油生産(約 4 百万 b/d)がベネズエラの 2 倍であり、ガソリン生産能力は
1.5 百万 b/d であると指摘。そのうち、ベネズエラのイラン向けガソリン輸出量は約 1.5%にしかなら
ない規模のものであり、イランはガソリン輸入を減少する方針であることから、両国は、このような小
規模の取引に対するコメントを通じ、反米感情を示していると分析。
なお、石油セクター関係者は、PDVSA は本年 2 月中にもイラン向けにガソリンを輸出すると報告し
ている5。
1 月 27 日、ラミレス・エネルギー大臣は、2010 年 11 月に原油生産量の回復を目的として 20 以上
の J/V に対し早急な増産を要請したことに対し、「ポジティブな反応が伺える」とコメント。当該要請
は、同大臣が当初、米 Chevron、西 Repsol、伯 Petrobras 等に対し、30 日以内に新原油生産計画
を提出することを要請していたもの。ラミレス大臣は、当該企業が油田開発の投資向けに資金調達
を行っているとコメントする一方、当該企業が原油生産量の増加を怠った場合には、契約の見直し
も検討すると警告している。
米議会は、2010 年に米国包括的イラン制裁法(CISADA)を成立。同議会は、イランの核開発問題対策の一環として、同国のエネルギー及
び金融セクターと取引する外資系企業に対し厳重な罰則(米金融市場からの疎外、または、米契約の拒否等)を課すことを承認している。
Arturo Valenzuela 米西半球担当国務次官補は、対イラン経済制裁の執行にも関わらずイラン向けにガソリンを輸出した有無について、米
政府がベネズエラに対し調査を実施しているとコメント。
同行は、当該社債を SITME の資金補給に充てられる見込み。SITME の 1 日平均取引は 30~40 百万ドルである。
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また、ラミレス大臣は、アルゼンチン国営石油企業の Enarsa 及びウルグアイ国営石油企業の
Ancap がオリノコ重油質地帯アヤクチョ 6 鉱区の開発に参画すると発表。更に、トルコ国営石油企
業 Turkish Petroleum Corp.に対し、ボヤカ・フニン両鉱区へのアクセスを許可したとコメント。
ベネズエラ政府は、昨年 11 月の原油生産量が前月より 4.1%減の 2.69 百万 b/d と報告しているが、
OPEC はその水準を下回る 2.25 百万 b/d と報告している。
以 上
本レポートは発表時の最新情報に基づいて作成されておりますが、情報の正確性又は完全性を保証するものではあり
ません。また、レポートの内容は今後予告なしに変更されることがあります。予めご了承下さい。
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