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2010年 12月号 - JPモルガン・アセット・マネジメント

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2010年 12月号 - JPモルガン・アセット・マネジメント
BRICS マンスリー・レター
お客様用資料
2010年12月号
筆者のご紹介
門倉 貴史 (かどくら・たかし)
BRICs経済研究所 代表
慶應義塾大学経済学部卒業後、1995年に浜銀総合研究所入社。
社団法人日本経済研究センター、東南アジア研究所(シンガポー
ル)出向、第一生命経済研究経済調査部主任エコノミストを経て、
2005年より現職。同志社大学大学院非常勤講師。専門はアジア
やBRICs等の新興国経済のほか、多岐にわたる。
主な著書
「図説BRICs経済」(日本経済新聞社)
「『今のインド』がわかる本」(三笠書房)
「日本人が知らなかったVISTA株」(翔泳社)
「イスラム金融入門~世界マネーの新潮流」(幻冬舎新書)など多数。
投資信託は一般的に、株式、債券等様々な有価証券へ投資します。有価証券の価格は市場環境、有
価証券の発行会社の業績、財務状況等により変動するため、投資信託の基準価額も変動し、損失を
被ることがあります。また、外貨建の資産に投資する場合には、為替の変動により損失を被ることがあ
ります。そのため、投資信託は元本が保証されているものではありません。
ご注意していただきたい事項について
• 投資信託によっては、海外の証券取引所の休業日等に、取得、換金の申込の受付を行わない場合があります。
• 投資信託によっては、クローズド期間として、原則として換金が行えない期間が設けられていることや、1回の解約金額
に制限が設けられている場合があります。
• 分配金の額は、投資信託の運用状況等により委託会社が決定するものであり、将来分配金の額が減額されることや、
分配金が支払われないことがあります。
ファンドの諸費用について
投資信託では、一般的に以下のような手数料がかかります。手数料率はファンドによって異なり、下記以外の手数料
がかかること、または、一部の手数料がかからない場合もあるため、詳細は各ファンドの販売会社へお問い合わせい
ただくか、各ファンドの投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
投資信託の取得時:申込手数料(上限年率3.675%(税抜3.5%))
投資信託の換金時:換金(解約)手数料、信託財産留保額(上限1.0%)
投資信託の保有時:信託報酬(上限 1.995%(税抜1.9%))、監査費用(上限年間315万円(税抜300万円))
*費用の料率につきましては、JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が設定・運用するすべての公募投資信託の
うち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。
信託報酬、監査費用は、信託財産の中から日々控除され、間接的に受益者の負担となります。その他に有価証券売
買時の売買委託手数料、外貨建資産の保管費用、信託財産における租税費用等が実費としてかかります。また、他
の投資信託へ投資する投資信託の場合には、当該投資信託において上記の費用がかかることがあります。また、一
定の条件のもと目論見書の印刷に要する実費相当額が、信託財産中から支払われる場合があります。
金融商品取引業者等について
投資信託委託会社:JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第330号
加入協会:日本証券業協会、社団法人投資信託協会、社団法人日本証券投資顧問業協会
本資料はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」といいます。)が、BRICS諸国の政治、経済、文化等の情報を提供するために、
BRICs経済研究所の協力により作成したものです。本資料は特定のファンドもしくは個別銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。また
、当社が特定の有価証券の販売会社として直接説明するために作成したものではありません。本資料は信頼性が高いとみなす情報に基づいて作
成されていますが、当社およびBRICs経済研究所がその情報の正確性を保証するものではありません。また、当該意見・見通しは将来予告なしに
変更されることがあります。また本資料に掲載されている個別銘柄については、その売買の推奨を意図したものではなく、また当社が運用するファ
ンドへの組入れを示唆するものではありません。
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BRICS マンスリー・レター
お客様用資料
2010年12月号
今月のコラム
中国のブライダル関連市場が拡大している。ブライダル需要のベースとなる婚姻件数は、2003年時点では約811万4000
組であったが、年々増加傾向で推移しており、直近の2009年は1145万8000組と、2年連続で1000万組の大台を超えた(図
表1)。ボリューム層である1980年代以降に生まれた若者たちがちょうど結婚適齢期に差し掛かっており、それに伴って中国
の婚姻件数は今後も高水準で推移していくと予想される。
また、沿岸の大都市部を中心に購買力のある富裕層・中産階級が台頭し、1組あたりのブライダル関連費用が増えている
ことも中国のブライダル市場の拡大に拍車をかけている。上海復旦大学とHSBC銀行が共同で実施した調査によると、中
国本土の中産階級の数は2006年時点で約3500万人に上る。しかも、中産階級の数は年々増え続けており、2017年には日
本の総人口に匹敵する1億人を突破する見通しだ。
中産階級の台頭に伴うブライダル費用の増加は各種のアンケート調査の結果からも明らかになっている。たとえば、上海
青年報の調査によれば、2010年の挙式披露宴費用は平均8万元(約97万6000円、2010年10月のレート1元=12.2円で換
算)近くで2009年の平均(6万6000元)に比べて2割程度増加したという。このように現在の中国では婚姻件数の増加と、1
組あたりのブライダル関連費用の拡大が重なって、ブライダル関連のビジネスが大盛況となっているのだ。
ところで、結婚というイベントは他産業への波及効果が大きいことが知られている。結婚すると、結婚式や披露宴、新婚旅
行、ブライダルジュエリーなどにかかる費用のほか、新生活のためのマイホームが必要になるので不動産需要が伸びる。ま
た、新居を購入すれば、それにあわせて内装や家具、家電、自動車への需要も増えることになるだろう。
では、中国のブライダル関連市場はどれぐらいの大きさになっているのか。中国婚慶産業調査統計センターの調査による
と、2009年のブライダル関連市場の大きさは都市部だけでも6000億元(約7兆3200億円、2010年10月のレート1元=12.2
円で換算)を突破したという。各種のブライダル関連ビジネスの中でもとくに大きく伸びているのが、結婚式場やホテルの売
り上げで、2006年時点と比較すると2009年は162%の増加となった。そのほか、ウェディングドレス・衣装の売り上げも2006
年対比で49.4%増加している。
さらにブライダルジュエリーの需要も好調で、若い新婚カップルの間ではダイヤモンドなどのアクセサリーが人気だ。ブライ
ダル市場におけるダイヤモンド需要が大きく伸びていることから、2009年には中国のダイヤモンド消費額が日本を抜いて世
界第2位に躍進した(第1位は米国)。
地域別に見てブライダル関連のマーケットが大きいのは、上海と北京の2大都市であるが、今後は広州が第3のブライダ
ル市場になると期待されている。広州の婚姻件数は上海に比べると少ないが、これから先、結婚適齢期の男女の人口が増
えると見込まれている上、高級ホテル・レストランなどの建設も進んでおり、需要・供給の両面からブライダル関連市場の拡
大余地が大きい。
一方で、日本では結婚適齢期の人口が減少していることもあってブライダル関連ビジネスは伸び悩んでいる。婚姻件数は
2003年の約74万組から直近の2009年は約70万8000組まで縮小した(図表2)。2009年におけるブライダル関連市場の大
きさは前年比1.5%減の2兆7607億円と推計されており(矢野経済研究所)、中国都市部の4割程度の大きさにとどまる。限
られたパイをめぐる競争が激化する中、結婚式場業をはじめとする日本のブライダル関連産業は対中ビジネスを強化し、中
国のブライダル市場に活路を見出そうとしている。
(10万組)
120
図表1 中国の婚姻件数の推移
図表2
(10万組)
7.5
日本の婚姻件数の推移
100
7.0
80
60
6.5
40
20
6.0
0
03
04
05
06
07
08
09 (年)
03
04
05
06
07
08
(出所)厚生労働省資料よりBRICs経済研究所作成
2
(出所)中国国家統計局資料よりBRICs経済研究所作成
本資料はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」といいます。)が、BRICS諸国の政治、経済、文化等
の情報を提供するために、BRICs経済研究所の協力により作成したものです。本資料は特定のファンドもしくは個別銘柄
への投資勧誘を目的としたものではありません。また、当社が特定の有価証券の販売会社として直接説明するために作
成したものではありません。本資料は信頼性が高いとみなす情報に基づいて作成されていますが、当社およびBRICs経
済研究所がその情報の正確性を保証するものではありません。また、当該意見・見通しは将来予告なしに変更されること
があります。また本資料に掲載されている個別銘柄については、その売買の推奨を意図したものではなく、また当社が運
用するファンドへの組入れを示唆するものではありません。
09 (年)
BRICS マンスリー・レター
お客様用資料
2010年12月号
今月のコラム
2000年代以降、医療観光(メディカル・ツーリズム)のマーケットが世界規模で急拡大している。医療観光というのは、病
気の治療や美容整形、健康診断と観光旅行を組み合わせたサービスのことを指し、現在、世界約50カ国で医療観光が実
施されている。医療観光が発展するようになったのは、国際的な交通網の整備が進んだことと、IT(情報技術)の普及に
よって医療に関する情報の入手が容易になったことが重なったためと考えられる。
日本の観光庁によると、全世界の医療観光客数は2008年時点で約500万人から約600万人に上るという。市場規模は
2004年時点では400億ドルであったが、2006年時点には600億ドルまで膨らんだ。2012年には医療観光の市場規模が1
千億ドルに達するとの試算も出ている。
BRICsの一角を占めるインドも医療観光の振興に力を入れている国のひとつだ。インド政府は、将来的に、医療観光を
IT(情報技術)産業や製薬産業と並ぶ成長セクターに育成する方針を掲げている。国を挙げて医療観光を振興していること
もあって、医療観光の目的でインドを訪れる外国人患者の数は急増している。インド政府が発表する統計によると、医療観
光客数は2002年時点の約15万人から2007年には約45万人(図表)へと、5年間で3倍の規模に膨らんだ。
アジアではインドのほか、タイやフィリピン、韓国、マレーシア、シンガポールなども医療観光の育成に力を入れているが、
他の国と比べてインドには①医療水準の高さと②物価水準の低さを背景とした費用の安さといったメリットがあり、競争上
有利と言える。まず①については、インドの私立病院には欧米の一流大学で研鑽を積んだ優秀な医師が多数在籍しており、
その技術水準は周辺国の中では相当に高い。また②については、欧米で手術を受けるケースと比べると、インドの手術費
用は5分の1程度で済む。具体的に英国とインドの手術費用を比較すると、心臓手術の場合、英国が1万8000ドル以上で
あるのに対して、インドは4500ドル程度だ。脊髄移植についても、英国の1万3000ドル以上に対して、インドは4300ドル程
度にとどまる。そのほか、英語でコミュニケーションができるということも、欧米の医療観光客の呼び込みに一役買っている
側面がある。
しかしながら、インドの医療観光をめぐっては、最近になって懸念材料も浮上している。それが「多剤耐性菌」の問題であ
る。「多剤耐性菌」というのは、多くの抗生物質が効かない強い抵抗力を持った細菌のこと。「多剤耐性菌」の中でも、大腸
菌から見つかったNDM1という酵素の世界的な広がりが懸念されている。NDM1を持った大腸菌はほとんどの抗生物質
を分解できてしまう。このNDM1を、赤痢菌やサルモネラ菌といった強毒の細菌が取り込むと、抗生物質による治療が難し
くなる。日本国内においてもNDM1が初めて検出された。英国やフランスなど欧州の医療専門家は、この「多剤耐性菌」が
世界各地に広がった主な原因が、インドの医療観光にあると指摘し、インドで医療行為を受けることを控えるよう呼びかけ
ている。インドの病院では抗生物質が乱用されており、それによって細菌が耐性を強めたというのがその理由だ。
インドは、こうした見方に対し「科学的な根拠がない」と抗議をしている。安全性を強調することで、重要産業と位置づける
医療観光への打撃を最小限に抑えようとしているわけだが、「多剤耐性菌」が広がって以降、欧州からインドへの医療観光
客数は伸び悩んでいると言われる。今後、さらに医療観光を控える動きが広がるようになれば、インドの医療観光産業に
とっては大きな打撃となるだろう。
図表 アジア諸国における医療観光客数の比較
(万人)
図表 アジア諸国における医療観光客数の比較
160
140
120
100
80
60
40
20
0
タイ
シンガポール
インド
マレーシア
フィリピン
韓国
(出所)各国政府発表の統計に基づいてBRICs経済研究所作成
(注)韓国・フィリピンは2009年のデータ、タイ・シンガポールは2008年のデータ、インド、マレーシアは2007年のデータ。
本資料はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」といいます。)が、BRICS諸国の政治、経済、文化等の情報を提供するために、BRIC
s経済研究所の協力により作成したものです。本資料は特定のファンドもしくは個別銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。また、当社が
特定の有価証券の販売会社として直接説明するために作成したものではありません。本資料は信頼性が高いとみなす情報に基づいて作成されていま
すが、当社およびBRICs経済研究所がその情報の正確性を保証するものではありません。また、当該意見・見通しは将来予告なしに変更されることが
あります。また本資料に掲載されている個別銘柄については、その売買の推奨を意図したものではなく、また当社が運用するファンドへの組入れを示唆
するものではありません。
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