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Page 1 「天然」「自然」という表示の規制 ー食品を中心としてー 内 田 耕

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Page 1 「天然」「自然」という表示の規制 ー食品を中心としてー 内 田 耕
OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
研究ノート
「天然」「’自然」という表示の規制
−−一食品を中心として一叩
内 田 耕 作
Ⅰはじめに
「天然」「自然」という表示ほ.,最近とみに注目をあびるようになった。というのは,化
学等の発達に.よって新しい加工方法が取り入れられたり,添加物が加えられるように.なっ
たりした結果,商品の安全性に対して.疑問がもたれるように.なり,昔ながらの自然な方法
で加工された商品とか,添加物の加えられない商品が消費者によって選好されるようにな
ったからである。
他方,こういった今日的状況に即応して二「天然」「自然」という表示が与えられる商品が
数多く流通するように.なったが,「天然」「甘然」ということばの概念の不明確さもあいまっ
て.,そ・の申に.ほかならずしも適切な表示とはいえ.ないものもみうけられるよう把なった。
この点でも,「天然」「自然」という表示は注目なあびるようになったということができよ
う。
ところで,「天然」「自然」という表示は,商品を形容する他の表示とほ違って,商品の
原型を指すものとして特別の意味をもつように思ゎれる。したがって,それは,適切なも
のであることが特に要求され,それが本来もつぺき意味の希釈化は防止されなければなら
ない。しかし,「天然」「自然」という表示は,不適切な用いられ方をし,今日では消費者
(2)
の信額を欠くはどまでになった。そこで本稿で,「天然」「自然」という表示はどのような
場合紅認められ,どのような場合に認められるペきではないのかということ紅ついて考
(1)公正取引委員会事務局景品表示指導課「天然,自然等食品の試買検査会」公正取引
315号33ぺ一汐(1977年)参照。
(2)「日付,原材料,添加物,.TASマ−ク 農林水産省由査,主婦が目を付ける表示
事項岬・天然,自然等表示食品の購入者は.‘‘激減”岬」公正取引情報778号10,11ぺ
−・ジ(1979年)参照。
(1)
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算52巻 第6号
一 β6一
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え,表示の適正化のためのささやかな指針を提供してみたいと思う。
まず,「天然」「自然」という表示が現在どういう意味をもってこいるのかということを考
えてこみたい。続いて,「天然」「自然」という表示を規制するに際して.の基本的な考え方を
明らかに.したい。そ・して最後に.,規制法上の問題点に.ふれよう。
ⅠI「天然」「自然」という表示がもつ意味
「天然」「自然」という表示ほ,商品な形容するその他の表示,たとえば「新しい」「美し
い」という表示と同様に.,消費者が選好を有するものであるということほ否定できない。
したがって,「天然」「自然」という表示は,消費者の購買決定に実質的な影響を及ぼす表
示であるということができる。そこ/でその表示ほ適正なものでなければならず,それが不
適正なものであれば規制される必要がある。
しかし,「天然」「自然」という表示ほ,商品を形容するその他の表示と同列の評価紅と
どまるものでほない。それは,商品な形容するその他の表示と比べて:,1つの極立った特
徴をもっているよう紅思われる。その1つの棲息った特徴というのほ,その表示が商品の
内容とか加工方法についての原型,すなわち,商品の内容紅実質的な影響を及ばす人工的
な辛が加えられていない商品とか,自然界の法則紅合致した,昔ながらの加工方法を指す
ために用いられているということである。この商品の原型ほ,今日の社食でほ極めて少な
くなってきて−おり,また,商品のあるべき姿とも密接な関係をもっでいる。したがって,
それほ,特紅着目されなければならない。そこで,それを指すものと考えられる「天然」
「自然」という表示ほ,特別の使命を帯びたものであるということができる。
もちろん,どの商品塑が良いとか,どの商品塑が悪いとかという価値判断を行政機関が
おこなってはならないとは思う。しかし,問題状況だけほ正確に把握し,それ紅対処して
ゆかなければならないと考える。
したがって,「天然」「自然」という表示の取扱にほ注意を要する。そして,その表示を
適切に用いさせることによって,表示の信頼性を失わせないようにすることが必要である
といえよう。
Ⅰ‡王 規制の基本的な考え方
「天然」「自然」という表示の規制ほ,本来的に.,その表示が用いられている商品の種
類ごとに.,また,その商品の細分類ごと紅,細かく検討してゆかなけれはならない問題で
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「天然.J「自然」という表示の規制
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1−β7−
あるよう紅思われる。しかしこ.こでは,食品を中心としながらも,「天然」「自然」という
表示の規制一・般についての基本的な考え方を明らかにしでみたい。
まず,「天然」「自然」という表示が用いられる場面を区分けしよう。続いて,区分けさ
れた場面ごと紅「天然」「自然」という表示が何を意味するのかを明らかにし,それが規制
されるべき・であるかいなかを検討しよう。
(1)「天然」「自然」という表示が用いられる場面
「天然」「自然」という表示が用いられる場面としては,およそ次のものが考え.られる。
算1ほ,商品を指すため紅「天然」「自然」という表示が用いられる場合である。ここで
ほ,加工されて:いない商品と加エされている商品の2つの類型に.分けて,それぞれの商品
(3)
を指すのに「天然」「自然」という表示が用いられることの翼当性について考えてみたい◇
滞2ほ,自然食品を販売する店とか自然食晶を販売するコーナーとかを指すために「天然」
「白魚」という表示が用いられる場合である。第3ほ,「天然」「自然」ということばが商
品を直接には指さない場面で用いられる場合である。算4ほ,「天然」「自然」ということ
ばと他のことばとが一・体となって,定着した1つのことばとなっていると考えられる場合
である。
以下,区分けされた場合ごとに.,「天然」「自然」という表示が何を意味するのかを明ら
かに.するとともに.,規制の基本的な考え方に.ついて略述しよう。
(2)加エされていない商品を指すのに「天然」「自然」という表示が用いられる場合
こ.こでほ,加工されていない商品を,商品の存在形態からみて二次の4つの型に分け,そ
れぞれの型の商品に.「天然」「自然」という表示を用いることがどういう意味をもつのか,
それを規制する必要があるのかどうかを考えでみよう。
まず,加工されていない商品を4つに分類することからほじめよう。算1ほ,商品化の
過程でその種の商品の内容に.実質的な影響を及ぼす人工的な辛が加えられていないもので
ある。第2ほ,商品化の過程でその種の商品の内容に実質的な影呼を及ばす人工的な手が
(3)その種の商品の形態として加工されていないものと加工されているものとがある場
合にほ,加工されていないものに「天然」「自然」という表示を用いるのが妥当であ
るか,加工されているものに「天然」「自然」という表示を用いるのが妥当であるかと
いうふう紅分けて検討する。つまり,その種の商品を一価としてみて,それに「天然」
「自然」という表示を用いることが妥当であるかどうかというかたちでは検討しない0
なお,注(7)をも参照。
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−ββ−・
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加えられていないものが−・般的ではあるが,そうではないものもある場合である。算3
は,商品化の過程でその種の商品の内容に実質的な影響を及ばすと考えられる人工的な辛
が加えられないものも極めでわずかではあるが存在するが,人工的な辛が加え.られるもの
が圧倒的である場合である。籍4は,人工的な辛が加えられることによってその種の商品
がなりたつと考えられるものである。
続いて,それぞれの塑の商品に.「天然」「自然」という表示な用いることがどういう意味
をもつのか,それを規制する必要があるのかどうかについて考えてゆく。
(a)人工的な芋が加え.られて.いない商品 たとえ.ば「タコ」がそうである。こうい
った種類の商品は,商品化の過程でその内容に実質的な影響を及ばす人工的な手が何ら加
えられているわけではない。それほ,本来的に,「天然」「■自然」なものである。しかし,
それをわざわざ「天然.」「自然」と表示することになれば問題が生じる。というのは,その
種の商品すべてが「天然」「自然」のものだからである。その種の商品すべて.が「天然」
「自然」のものである場合に,その種の商品のあるものを「天然」「自然」と表示すること
ほ,「天然」「自然」と表示しない同種商品よりも優れているかのように,かえって誤解を
生むというとと紅なるであろう。したがってこの場合,その商品を指すのに.「天然」「自
然」という表示をおこなうことほ問題である。そ・のような表示は規制されなけれはならな
い。
(b)人工的な手が加えられでいないのが一一腰的である商品 たとえば「エビ」がそ
うである。この場合,養殖されていないものが一・般的ではあるが,養殖されて:いるものも
あるということである。この種の商品は,商品化の過程でその内容紅実質的な影轡を及ば
すと考えられる人工的な辛が加えられていないのが一一・般的であるので,それをあらためて
「天然」「自然」のものであるという必要はない。むしろそういうこ.とに.よって,それが優
れたものであるかのような誤解が生じる可能性がある。したがって,その種の商品に.「天
然」「自然」と表示することは妥当ではない。逆にり商品の内容に実質的な彩轡を及ぼす人
工的な手が加えられているものの方乾その旨を指す何らかの表示がなされるペきである。
例でいえば,養殖ものの方に,養殖ものである旨の表示がなされるべきであるということ
に.なる。
(C)人工的な手が加えられているのが圧倒的である商品 たとえば「ウナギ」がそ
うである。この場合,養殖されていないものもどくわずかあるが,養殖されているものが
圧倒的であるということである。この種の商品の圧倒的部分は,商品の内容紅実質的な影響
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「天然」「自然」という表示の規制
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を及ぼす・と考.え.られる人工的な辛が加えられている。そこで,そうではないものを「天
然」「自然」と表示することは,両者の区別に役立つのみではない。商品の内容に実質的な
影轡を及ぼすと考えられる人工的な辛が加えられてこいないもの把.スポット・ライトをあで
ることになる。したがって,この商品に「天然」「自然」という表示をすることほ.妥当であ
る。例でいえば,養殖されていないものの方に「天然」と表示することができるというこ
とになる。
(d)人工的な手が加えられることによってこなりたつ商品 たとえば,大部分の野菜
がそうである。この場合はいろいろ問題があり,簡単ではない。この類型の商品ほ本来的
な意味では「天然」「自然」のものではない。その種の商品の存在形態からみて.,人工的な
手が加えられることに.よって商品としてなりたつということであるので,そのことが考察
の前提とならなければならない。つまり,いわゆる自然に生成したものは商品としては存
在しないというこ.とである。したがって.,ここでほ,その種の商品の存在形態からみて最
低限手をかけるということが出発点となる。たとえば野菜を考えてこみれほ,人間の手に.よ
って植え,水をやるというこ.とである。このことを出発点としてみた場合,こ.の類型の商
品ほさらに次の4つに細分類するこ.とができる。欝1ほ,商品の存在形態からみて1最低限
手が加え.られているだけで,あとは,商品の内容に夷賀的な影響を及ばすと考えられる人
工的な芋が加えられないもののみがあるに・すぎない場合である9籍2は,商品の存在形態
からみて最低限手が加えられて:いるだけで,あとは,商品の内容に実質的な影響を及ばす
と考えられる人工的な手が加えられてこいないものが一・般的ではあるが,それ以上に人工的
〈l) な手が加えられて:いるものもある場合である。算3は,商品の存在形儲からみてこ最低限辛
が加えられているだけで,あとは,商品の内容に.実質的な影響を及ぼすと考え.られる人工
的な手が加えられないものもどくわずかあるが,圧倒的部分はそれ以上に、人工的な辛が加
えられるものである場合である。算4は,商品の存在形態からみて最低限手を加えるだけ
ではなく,それ以上紅商品の内容紅実質的な影響を及ぼすと考えられる人工的な手が加え
られるものがすべでである場合である。
問題ほ.,この類型の商品を「天然」「自然」と表示することができるかどうかである。そ
れを本来的な意味で「天然」「自然」と呼ぶことができないということは明らかである。そ
こで次には,本来的な意味での「天然」「自然」の商品は存在しないのであるから,商品の
(4)化学肥料や薬剤の散布,薬物処理,促成栽培等がそれにあたる。
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ーー90−
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存在形態からみて∴最低限手が加えられているに.すぎないものを第二次的な意味ではあるが
「天然」「自然」な商品であると認諭するかどうかが問題となってくる。本来的匿「天然」
「自然」なものほ商品の存在形腰としてはないということな考えると,それを「天然」「自
(5)
然」のものとして認識してもよいのではないかと考える。そうであるとすれば,次に.は,
この類型の商品のうちどういったものに「天然」「自然」という表示をして−もよいのかが検
討写れなけれはならない。
細分類の第1から第3の場合の考え方は,それぞれ,前述ⅠⅠⅠ(2)の(a)から(C)で
述べたところと同じということ紅なる。勢4の場合は,もはや「天然」「自然」と表示する
ことはできないということができよう。
(3)加エされた商品を指すの紅「天然」「自然」という表示が用いられる場合
加工された商品をr■天然」「自然」と表示することに.は矛盾がある。そ・もそも「加工」と
いうことばと「天然」「自然」というこ.とはとは矛盾するものだからである。したがって,
(¢)(7)
加工された商品に「天然」「自然」という表示を与えることほできない。これが原則であ
る。
ただし,この原則には例外がある。加工の方法が自然界の法則に合致した,菅ながらの
方法である場合にほ,その方法は「天然」「自然」なものであるということができる。たと
えば「み.そ」の加エの一・部がそうである。しかしそうであるからといって,その方法紅よ
って加エされた商品を常紅「天然」「自然」と表示してもよいということにほならない。以
(5)したがって,商品形態として,商品の内容に.実質的な影響を及ぼすと考えられる人
工的な手が加えられてこいないものと,人工的な手が加えられると.とに.よって商品化す
るものとの両者が存在する場合に.は,後者把.「天然」「自然」という表示をすることが
できるかどうかというととはそもそも問題となりえない。
(6)なお,たとえば「干しコンプ」のように,加工の前段階まで紅商品の内容に実質的
な影響を及ばす人工的な辛が何ら加えられず,かつ,最低限の加工をすること疫.よっ
て商品化するものほ,「天然」「自然」のものであるということができるかもしれない。
しかし,その加工の程度が最低限のものであるという前提紅たてば,その種の商品す
べてが「天然」「自然」なものである。したがって,それをあらためて「天然」「自然」
と表示する必要はないし,また,すべきでほない。このことはすでに述べたし,また,
これから述べるところである。
(7)なお,商品形態として加工されていない商品と加工されている商品との両者が存在
する場合には,加エされていない商品についてのみ「天然」「自然」という表示をする
ことができるかどうか検討してゆかなければならない。加工されていないものと加工
されているものとの区別をしたいのであれば,それほ,「天然」「自然」といった表示
によって言おと.なうのでほなく,より適切な表示紅よっておこなうぺきである。
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「天然」「自然」という表示の規制
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ー・9J−
下,「天賂」「自鮮」という表示が用いられる場合を区分けして,それぞれの場合に「天然.」
(8)
「自然」という表示を用いることが許されるべきであるかどうかを検討しよう。
第1は,その種の商品すべてが,自然界の法則に.合致した,昔ながらの方法によっての
み加工されている場合である。この場合に.その商品を「天賂」「自然」と表示することは・,
当然のことをいって小るにすぎないものと評価することはできない。消費者が「天然」「自
然」という表示に何らかの選好をもっているとすると,その表示はそれ以上のことを意味
しているということができよう。したがって,そういった表示牲規制されなけれほならな
い。
第2ほ,自然界の法則に.合致した,昔ながらの方法によって.加工されている商品が一・般
的でほあるがぅ そうではないものもあるという場合である。その場合,−その種の商品は自
然界の法則に合致した,昔ながらの方法によって:加工されているのが一・般的であるから,
そ・れをわざわぎ「天然」「自然」と表示する必要ほ.ないし,また,表示すればそれが優れた
ものであるかのように.誤解を生むおそれがある。したがって,「天然」「自然」という表示
ほ規制されなければならない。そして,昔ながらの方法で加工されて:いない商品の方に,
加工のしかたが自然界の法則に.合致した,昔ながらの方法によらない旨の明示をさせなけ
ればならない。
算3ほ,自然界の法則に合致した,昔ながらの方法によってその種の商品が加エされて
いるものもごくわずかあるが,もっぱら他の人工的な方法で加工されているものが圧倒的
である場合である。その場合紅は,自然界の法則に.合致した,昔ながらの方法に・よって:加
工された商品を「天然」「自然」と表示することは別の意味をもってくる。その表示は,自
然界の法則に合致した,昔ながらの方法で加工された商品とそうではない商品とを区別す
るの紅意味をもっている。のみならず,その場合の「天然」「自然」という表示は,自然界
の法則に合致した,昔ながらの方法で加工された商品を極立たせることに役立つ。したが
し9)
って,この場合には,「天然」「自然」という表示ほ許される。
もっともその場合,加工の方法が「天然」「自然」である旨が明示されなければならないと
(8)なお,その種の商品すべてが,もっぱら人工的な方法で加工されている場合には,
その加工方法は「天然」「自然」と表示することはできない。このことほ当然である。
(9)なお,加工の過程で,自然界の法則に合致した,昔ながらの方法で加工される商品
に.は用いられておらず,また,加工に必然的に必要であるとほ考えられない物質を添
加したものに対して,「天然」「自然」という表示を与えることはできない。
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一・92−
舞52巻 算6葛
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(10) いうことに留意しなければならない。
(4)「自然食晶販売店」「自然食晶コ血ナ鮒」といった表示
まず前者について,続いて.後者について.述べよう。
(a)「自然食品販売店」 この表示が意味することは,その販売店に.おかれている
商品の全部または相当部分が「一天然」「自然」と表示できるものであるというととである。
そこで,そういった表示をすることができるのは,そ・の販売店におかれている商品の全部
またほ相当部分が「天然」「自然」と表示できるものである場合紅限定されるペきである。
そうでないときには,そういった表示をおこなうことは黎止されるべきである。
なお,そ・の販売店で売られる商品すべてこが「天然」「自然」と表示することができるもの
とほいえないとき紅は,†天然」「自然」と表示することができる商品とできない商品とを
区別して二陳列しなけれはならない。しかも,「’天然」「自然」と表示することができない商
品は,自然食品等ではない旨明示されなければならない。
(b)「自然食品コーナー・」 この表示が意味するこ.とは,・そのコーナーに.おかれて
いる商品の全部が「天然」「自然」と表示できるものであるということである。そこで,そ
ういった表示をすることができるのは,そのコ−サー・紅おかれている商品がす、ぺて二「天然」
「自然」と表示できるものである場合紅かぎられるぺきである。そうでないとき紅は,そう
いった表示をおこ.なうことほ禁止されるべきである。
(5)商品な直接に.ほ指ざない場面で用いられる「天然」「自然」ということば
「北海道の大自然の申で作られた汐ヤガイモ」というふうに,「天然」「自然」というこ
とばが,商品な直接指すのでほなく,単なる背景な指すにすぎない場面で用いられている
場合がある。・そ・の場合,それが一・応実情に.合致しでおればとりたてて問題とする必要ほな
いように思われる。しかし,それが明らか紅実情に反している場合に.ほ規制される必要が
ある。例でいえ.ば,そのジャガイモが北海道産であればとりたてて−それを問題とする必要
はなく,北海道産でないものであれは規制されなければならないというこ.とになる。
(6)他のことばと合体して定着した1つのことばとなってこいる場合の「天然」「自然」
ということば
(10)ところで,加工された商品を指すの紅「天然の原料が用いられている」といった表
示方法があるか,その場合の「天然」「自然」といった表示の規制についての考え方は
前述の(2)で述べたところによる。
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−−9β−
「天然」r’自然」という表示の規制
たとえば「ブ・サコヲル・チーズ」といったことばがそうである。この場合,1つのこと
ばとして:定着しているので,「天然」「自然」ということばを合体している他のことばから
分離して吟味する意味はない。したがって,この場合の「天然」「自然.jということばは,
とりたてて二規制する必要ほないということができよう。もっとも,どういったことばがこ
のカグづり−・に入るかの問題は残る。
ⅠⅤ 規制法上の問題点
従来から不当衰示規制法として想定されて:いるのほ,景表法である。そこで,そ・の枠内
で「天然」「自然」という表示の規制を考えてみることにする。ところで,「天然」「自然」
という表示は,商品の内容にかかわるものであると思われ,商品の取引条件にかかわりを
もつことはないのではないかと思われる。したがってここでは,景表法第4粂1号および
3号紅ついで考えて−ゆくことになる。なお,景表法欝4条1号で充分規制できるというこ
とであれば3号を問題にすることはないかとも思われるが,かならずしもそうとはいえな
い◇
すでに述べたよう把.,「天然」「自然」という表示に対して7肖費者は選好なもっている。
その理由は木「天然」「自然」と表示できる商品の方がそうではない商品と比べて著しく優良
であると消費者が考えるからであると常紅いうことはできない。・それが「天然」「自然」と
表示できない商品と比べて二劣って.いると考えられる場合でも,消費者は,それが「天然」
「自然」のものであるという理由からだけでその商品を選ぶということはありうる。さら
には,それが,「天然」「自然」と表示できない商品と比べて単に優良であるに.すぎないと
消費者が考える場合もあろう。そうであるとすれば,その瘍合の「天然」「自然」紅かかる
不当表示は,景表法籍4条1号把.よって規制できないということ紅なり,3号の指定をま
たなければならないこと紅なる。
また,たとえ第4粂1号で「天然」「自然」という表示が充分に規制できるとしても,「天
然」「自然」という表示がもつ意味を考えれば,それについて3号で指定することは意味が
あるといえよう。
したがって,「天然」「自然」という表示紅ついては,景表法第4粂3号の指定紅よって
親制をおこなうことが必要である。
(11)
なお,公正取引委員会は,運用基準を作ろうとしていた。それほそれで良いことではあ
(11)土田孝美「『食品についての天然,自然等の不当な表示に関する不当景品類及び不
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第52巻 策6号
るが,それでカバ−されるのは,本来景表法簡4条1号で規制できること紅かぎられる。
それで規制できないことが残るとすれば,それに対してほ何らかの手当をしなければなら
ない。それゆえ,景表法第4条3号で「天然」「自然」という表示紅ついて.指定することの
意味は失なわれない。
Ⅴ むす び
以上,「天然」「自然」という表示の規制についての基本的な考え方を検討してきた。そ
の結果,次の6つの場合,「天然」「自然」という表示は認められるという結論に達した。
第1ほ,加工されて:いない商品で,その種の商品の圧倒的部分は,商品の内容に実質的な
影響を及ぼすと考えられる人工的な手が加えられているが,そうでほないものもごくわず
か存在するという場合である。その場合,後者の商品を「天然」「自然」と表示することが
認められる。算2は,加工されていない商品で,商品の存在形態からみて最低限手が加え
られているだけで,あとは,商品の内容に.実質的な影響を及ばすと考えられる人工的な辛
が加えられないものもごくわずかあるが,圧倒的部分はそれ以上に人工的な手が加えられ
ているものである場合である。その場合,前者の商品を「天然」「自然」と表示することが
認められる。第3は,加工された商品で,その種の商品の圧倒的部分ほ人工的な方法で加工
されているが,自然界の法則紅合致した,昔ながらの方法に.よって加工されているものも
どくわずかある場合である。その場合,後者の加工方法を「天然」「自然」と表示すること
が認められる。第4は,自然食品販売店の商品の全部または相当部分が「天然」「自然」と
表示できるものである場合,あるいは,自然食品コ−ナ・−の商品の全部が「天然」「自然」
と表示できるものである場合である。第5は,「天然」「自然」というこ.とばが商品を直接
にほ指さない場面で用いられており、それが・一応実情に合致している場合である。第6は,
「天然」「自然」ということばが,他のことばと合体して,定着した1つのことばとなって
いる場合である。
したがって,それ以外の場合には,「天然」「自然」という表示は認められない。
このよ−ぅ紅,「天然」「自然」という表示の使用は限定して認めるペきである。それによ
って消費者の誤認の排除が期待される。のみならず,こ.のことは,硫極・消極2つの意味
当表示防止法の運用基準(薬)』紅ついて」公正取引310号10ぺ一汐(1976年),公正取
引委員会事務局「食品に関する天然,自然等の不当な表示の規制に.ついて」公正取引
309号40ぺ−ジ(1976年)参照。
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「天然」「自然」という表示の規制
ー95−
をもって.いる。硫極的意味は,「天然」「自然」という表示の使用を限定することに.よって,
それが本来もつべき意味の希釈化が防止されるということである。消極的意味は,「天然」
「自然」という表示の使用を限定することによって,より適切な表示をおこなうという方
向に進むと思われるので,商品に対する表示の適正化紅役立つというこ・とである。いずれ
し12)
乾せよ,早急に.「天然」「自然」という表示の規制をおこなうととが望まれる。
(1980・1・4)
(12)なお,アメリカ合衆国紅おいても,取引規制規則の制定が検討されている。中川政
直「米国における表示規制の動向(下)一連邦取引委員会における取引規制規則の
制定を中心として−・」公正取引324号57,60−61ぺ小一汐 (1977年)参照。
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