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What`s NRI?:日本の保険システムとNRI

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What`s NRI?:日本の保険システムとNRI
What's NRI ?
NRI がやってきたこと、やろうとしていること
日 本 の 保 険 システムと N R I
── あいおい 損 保・センター 統合プロジェクト
幅広い事業領域を持つ NRI 。
「未来創発」では、そんな NRI がこれまでに手がけ、
世の中に大きなインパクトを与えた事業や
ソリューションについて、詳しく紹介しています。
今回のテーマは「保険システム」。
NRI は、1960 年代から保険システムの
開発に携わってきました。
これまでに蓄積した膨大なノウハウをもとに、
これからも、保険分野の様々なソリューションを
提供していきます。
未来創発 Vol.11 2003.8
1
9カ月の間に二度に分けて3つのセンターを統合する。
移転にかけられる日数は、
それぞれ3日間のみ
1967年から損害保険システムを
手がけてきた NRI
生命保険システムでは、簡易保険の
第四次オンラインシステムを受託
NRIと保険業界とのかかわりは、1967 年、NRI が中堅損害
生命保険会社についても、1990 年から第三次オンラインシス
保険会社の自動車保険集計業務を手がけたことに始まりま
テムを受託し、5 年間で 400 万ステップ規模のシステムを開
す。当時の損害保険業界では、競争の激化が予想され、経
発。その後、生命保険業界では初の大規模なアウトソーシン
営の効率化、広域損害調査体制への対応、代理店へのサー
グを受託しました。また、93 年には、大手生命保険会社のバ
ビス向上、商品多様化への対応などを追求していました。
ックアップシステムのアウトソーシングも受託しました。
72 年には、大東京火災海上保険(以下、大東京火災)か
90 年代中盤を過ぎると、生命保険業界では、金融制度改
らオンラインシステム構築への参画要請がありました。企業
革の進行によって、生命保険と損害保険の相互乗り入れや
間競争が激化する中、損害保険各社の戦略商品だった自動
システム費用削減に向けた業務の外部委託などが増えてい
車保険では、契約の引き受けから事故発生時における損害
きます。96 年には、生命保険会社の損保子会社向けシステム
調査サービスまでについて、他社との差別化をいかに図るか
(IOS)の営業を開始しました。
が大きな経営課題になっていました。また、将来の自動車保
そして、NRI にとって保険分野で最大のプロジェクトになっ
険料率の自由化を見据え、自動車保険を中心とした総合オン
たのは、簡易保険システムの構築です。94 年に第四次オンラ
ラインシステム構築の機運が急速に盛り上がっていたのです。
インシステムの概要設計、95 年には基本設計を受託。97 年
翌年稼働した、大東京火災のシステムは、全業務・全商品を
には、総計 2 万 5,000 ページにもおよぶ基本設計書を完成さ
対象とした、損害保険業界でも画期的な
せ、第四次オンラインシステムのプログラム作成を正式に受託
総合オンラインシステムでした。また、1
しました。
日本の
保険システム
とN R I
つの情報サービス会社がシステム開発か
ら運営まで全面受託したことも、業界の注
目を浴びました。
その後、NRI は大東京火災から、長期
総合保険オンラインシステムの開発を受
3つのセンターを1つにする。
移転は 3日間で行う
託しました。当時としては前例のない異メーカー・異機種の
以上のように、数多くの保険システムプロジェクトを手がけて
コンピューターを使うオンラインシステムの構築のほか、デー
きた NRI。ここでは、最新のプロジェクトを紹介します。あい
タベース管理システム(ADM)を全面的に採用し、COBOL
おい損害保険(以下、あいおい損保)の「センター統合」プロ
でプログラムを開発するなど、システムと開発方法に新機軸
ジェクトです。あいおい損保は、2001 年 4 月に、大東京火災
を打ち出しました。84 年には、営業店舗事務の OA 機能とセ
と千代田火災海上保険(以下、千代田火災)が合併して誕生
ンター機能を有機的に結合したシステムを完成。これは全国
した企業。合併を機にシステム分野の統合が行われました
の営業店舗に設置されたミニコンピューターが店内事務用
が、中でも大きな注目を浴びたのが、2002 年の春から構想が
の OA マシンとして稼働するとともに、必要のつどホストコンピ
スタートした、3 カ所に分散していたシステムセンターを 1 つに
ューターにもアクセスできる分散システムでした。
まとめるプロジェクトでした。2003 年 1 月、5 月の二度に分け、
以後、NRI は保険分野の資産運用システム(PMS)などの
東村山事務センター、聖蹟桜ヶ丘事務センターを、NRI の横
大規模システムの構築や、損害保険業界で人気が高まりつ
浜データセンターに統合しました。あいおい損保のシステム
つあった積立型の貯蓄保険などの新商品に対応したシステム
開発部担当部長、安本敬氏が語ります。
の構築、さらには業界初の口座管理の概念を導入した統合
「難しいプロジェクトでした。3 つのセンターを 1 つにする。
顧客データベースを核にシステム基盤を拡充した第三次オン
システム全体を動かすことになりますから、会社の業務に与え
ラインシステムの構想づくりと、損害保険システムソリューショ
る影響が非常に大きかったのです。普通に行えば、それぞれ
ンの提供を推し進めていきました。
の統合に 10 日間以上は必要だったでしょう。しかし、業務は
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合併によるシステム統合効果を
いかに早く出すことができるか
今回のセンター統合の背景には、合併によるシステム統合の
効果を早く出したいという、あいおい損保の狙いがありました。
あいおい損害保険株式会社
システム開発部 担当部長 安本
敬氏
NRI 証券・保険ソリューション部門
プロジェクト開発室長 塩澤
清恵
「大きなコストがかかるといわれるシステム部門で、どんな
統合効果が出せるのか。それは、企業の合併では最重要とも
いえるポイントです。そこで、大きなコスト削減効果のあるも
走っていますから、統合のチャンスは正月休みとゴールデンウ
のとしてすぐに浮かんだのが、センター統合でした」
(安本氏)
ィークしかありません。ところが、今年のカレンダーでは、どう
あいおい損保では、合併発表後にセンター統合に関する準
しても 3 日間しか移転のために取れませんでした。どうすれ
備委員会を発足させ、外部企業も交えて議論を重ねました。
ば 3 日間でできるのか。そんな大きな課題を抱えて始まった
NRI もその一員として議論に参加していました。そして、あい
プロジェクトでした」
おい損保が最終的に今回のセンター統合のパートナーに選
NRI のプロジェクトリーダーとしてこの統合を統括した、
んだのが、NRI だったのです。
NRI の証券・保険ソリューション部門プロジェクト開発室長、
「実はいくつかの会社を候補に挙げていました。NRI を選
塩澤清恵が続けます。
んだ理由は 3 つあります。1 つは大東京火災の時代から 30
「センター統合は二度に分けて行われましたが、最初の統
年間近くお付き合いをしていて、損害保険のシステムに精通
合までには、プロジェクト開始から 9 カ月しかありませんでし
していること。また、システム機器のメーカーではなかったこ
た。3 つのセンターを 1 つにする大規模移転であり、スピード
と。大東京火災と千代田火災では、使っていたシステムの
も求められるプロジェクトでした。移転を無事成功させるた
メインフレームのメーカーが違っていたため、統合がメーカ
め、NRI の様々な部署や NRI データサービスと協力しながら、
ーの意向に影響されるようでは、その行方が心配だったの
NRI グループを挙げての取り組みを進めていきました」
です。もう 1 つが、将来に向けてどんどん変化していくIT へ
「どうすれば 3 日間でできるのか。
そんな大きな課題を抱いて始まった
(安本氏)
プロジェクトでした」
「知り合いのメーカーの方に、
『3 日間でセンターを統合するなんて、
(糟谷氏)
冗談でしょう!』
と言われました」
「常に念頭にあったのは、
トラブルを絶対に起こさない統合を
(塩澤)
することです」
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3
2 段階のセンター移転に合わせて
2つの体制を作った
の対応力をしっかり
と備えていると評 価
したからです」
(安本
NRI でも、センター統合プロジェクトの準備は始められました。
氏)
「当時、各社のシステム統合時のトラブルが世間を騒がせ
そして、NRI をパ
ートナーに選んだ後、
この難しいプロジェ
株式会社あいおい保険システムズ
技術運用部 部長 糟谷
ていました。常に念頭にあったのは、トラブルを絶対に起こさ
富士雄 氏
ない統合をすることです。そして、センターを統合した後、運
クトの実行にあたり、あいおい損保はすぐに 3 つの取り組みを
用も NRI にお任せいただくことになっていましたから、統合直
進めました。
後から安定稼働させなければなりません。無事に統合させ、
「あいおい損保と NRI の両者がお互いに人を出し、知恵を
安全に運用を始める。それが最重要ポイントでした」
(塩澤)
出し合って考える体制と場所を作ること。会議においては、
1 月、5 月の 2 段階の統合に合わせて、NRI はまず、それぞ
即断即決を基本とし、決まらないものは、いつまでに誰が解
れの統合を担う 2 つの体制を作ることから始めました。
決するのかを明らかにすること。そして、センター統合を単に
「NRI も 2 体制を用意し、お客さまにも 2 つ分の人員体制
システム部門の課題にするのではなく、大きな経営課題であ
を組むことをお願いしました。そうすることで、それぞれのメ
ることを経営陣や従業員に理解してもらうことです」
(安本氏)
ンバーが 1 つの統合の準備だけに集中できます」
(塩澤)
この取り組みがプロジェクト期間中、一貫して実践され、大
プロジェクトを統括するプロジェクトマネージャーも 2 人に
きな成功要因となりました。あいおい損保のシステム開発を
なりました。その 1 人、1月の東村山センターの移転を担当し
担っている、あいおい保険システムズ技術運用部の部長、糟
た、NRI データサービスのプロジェクト推進部長、富安孝典
谷富士雄氏は語ります。
が語ります。
「統合に関して最も注意を払ったのは、ネットワークでした。
「2 つの統合ごとにチームを分けたことは、成功の大きな要
私たちのシステムでは、かなり複雑なネットワーク接続が行わ
因になったと思います。プロジェクトの体制をどう作るかは、
れていましたし、ネットワークがつながらないと、システムが稼
システムのプロジェクトマネジメント上、非常に重要な要素の
働せず、翌日からの業務に大きな影響を及ぼします。ネットワ
1 つです」
(富安)
ーク接続を確実なものにすることが、このセンター統合では
富安が感じていた今回のプロジェクトの最も難しい点は、
最重要だと考えていたのです」
動き続けているシステムを移さなければならない点だったとい
います。
日本の
「かつて、金融機関のシステムは、土曜・日曜は稼働するこ
保険システム
とが少なく、止めることができました。しかし、今のインターネ
とN R I
ット時代には、たとえ土曜・日曜でもシステムは基本的に止め
あいおい損保・センター統合プロジェクト
[実施規模]
実施総工数
[スケジュール]
1,100 MM
(あいおい 275MM 、 NRI 825MM )
ホストコンピューター
計 5 台( 947Mips )
サーバー
214 台
ネットワーク機器
90 台
磁気テープ
54,000 本
運用業務移管
タイムチャートの確認
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2002 年 4 月
9月
2003 年 1 月
5月
▼基本構想承認
▼実施承認
▼移転実施
▼移転実施
東村山事務
センターの移転
横浜データ
センターにて
本番運用
調査・計画
聖蹟桜ヶ丘事務センターの移転
約 7,000 ページ
(運用手順書、マニュアルなど)
直前の確認会議
搬出準備開始
機材を梱包中
横浜データ
センターにて
本番運用
られません。365 日 24 時間動き続けているのです。つまり、
「そのことを、プロジェクトに関わる全員が理解しておくこと
止めることによる、あいおい損保のお客さまへの影響を最小
が重要なのです。ですから、統合本番に立ち会うメンバー全
限にする。動き続けているものを移すというのが、最も難しい
員に、それぞれの役割をリハーサルで実際に果たしてもらいま
ことでした」
(富安)
した。本番のタイムチャートに基づいて、誰がどういう立場で
何をやるか。それをしっかり理解してもらうためのリハーサル
でした」
(富安)
全体工数の 40%が計画と準備。
本番さながらのリハーサルも実施
実際、その効果はとても大きかったようです。
「リハーサルはとても大きな意味があったと感じています。
『よほどのアクシデントがない限り、きっとこれでうまくいく』と
絶対に失敗は許されない。それが大前提のプロジェクトだっ
確信できるようになりましたから」
(糟谷氏)
ただけに、計画と準備は慎重に進められました。実は、全体
工数の 40%が計画と準備に費やされました。この計画の精
度の高さが無駄を排除し、センター統合を短期間で実現する
アウトソーシングすることで
戦略部分に人材を振り分けられる
ことにつながりました。
統合準備の中でも、特にポイントになったのは、リハーサル
です。東村山からの移転も、聖蹟桜ヶ丘からの移転も、それ
今回のプロジェクトでは、もう 1 つ大きな注目点がありました。
ぞれ二度のリハーサルが行われました。一度目のリハーサル
それは、センター統合後、システム運用を NRI に全面的にア
で見つけた課題は、二度目にはすべてクリアされるようにリハ
ウトソーシングするという点でした。運用担当責任者として現
ーサルは進められました。このリハーサルは、
あいおい損保に
在もプロジェクトを推進している NRI データサービス運用サ
とっても印象深いものになったようです。
ービス事業一部の主任システムエンジニア、伊佐元邦が語り
「最初のリハーサルのとき、私も横浜センターに来てほしい
ます。
と言われました。当初は、
『お任せしているんだから』なんて
「運用部門から見ても、これまで、これほどの規模のセンタ
思っていたのですが、いざ行ってみると、本当に意味のあるリ
ー統合は例がありませんでした。また、運用業務のみでこれ
ハーサルでした。各自が自らの役割をしっかりと確認できるよ
だけの規模の完全アウトソーシングの受託もそれほど多くは
うになっているのです。こういうことが、確実に成果を生んで
ありません。最初にチームに加わったときは、その統合規模
いくのだと思いましたね」
(安本氏)
に驚きましたね」
もちろん、リハーサル以外にも随時、テストは行いましたが、
では、あいおい損保には、運用のアウトソーシングにどのよ
大事なことは、リハーサルの時には誰がどのような役割を果た
うな狙いがあったのでしょうか。
すかをしっかりと確認することなのだ、と富安は言います。
「それまで、運用部分はグループ内の専門会社に任せてい
[センター概要]
[期待効果]
センター統合前
センター統合後
運用センター
災害センター
横浜データセンター
日立
ホスト
茨木技術センター
運用センター
災害センター
横浜データセンター
茨木技術センター
日立
ホスト サーバー
サーバー
富士通ホスト サーバー
サーバー
センター間ネットワーク
東村山事務センター
日立
ホスト
プロジェクトメンバー総出で
サーバー
聖蹟桜ヶ丘事務センター
富士通
ホスト
サーバー
梱包内容を慎重に確認
日立ホスト
京都事務センター
富士通
ホスト サーバー
システム運 用 要 員 の 開 発・戦 略 分 野
へのシフト
サーバー
開発ホストも含め、システム機器をメイン運用センターに集結
センターを1ヵ所にすることで、運用・オペレーション体制を一元化
● センター間ネットワークもシンプルに。回線も収容し効率化
●
●
搬出準備完了
センター設備や場所の統合、コンピュ
ーターリソースの最適化、センター間
ネットワークの削減に伴うコスト削減
トラックに積み込む
システム運用・管理の量的変化に対す
る柔軟性と拡張性の実現
搬出入作業をモニタリング
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5
ましたが、運用という定常的なところにグループ会社の能力
どうするのかということ。また、根拠のない値上げ要求やサー
を使うのではなく、我々自身は、戦略的な開発分野にこそ力を
ビスレベルダウンが起きたりしないかという点にも不安はありま
入れるべきだと思ったのです。戦略は、あいおいグループの
した」
(安本氏)
人間にしか考えられないわけですから、そこに、より多くの人
そこで、あいおい 損 保 は、NRI と SLA(Service Level
材を配置したい。他社にお任せできるところは、お任せして良
Agreement)を締結。不安な点についてはすべて NRIと話
いのではないか、と考えたわけです。もちろん、コストに見合
し合い、決めたことをすべて文書化することで、不安をクリア
えばという前提つきですが」
(安本氏)
していきました。
糟谷氏も続けます。
「あいおいグループのシステム開発を手がけている当社とし
ては、システム開発要員はまだまだ不足しているのが実情で
す。運用を NRI にお任せすることで、開発にさらに人を振り
統合直後の運用は、あいおい損保の
スタイルに合わせる
分けることができるのは大きな魅力でした」
(糟谷氏)
一方、NRI も、システム運用の受託にあたっては、センター統
合プロジェクトの状況に合わせた形で準備を進めました。例
外部に全面的に運用を委託する際の
不安は、 SLA で解決した
えば、統合直後の運用は、あいおい損保のスタイルにすべて
狙いがはっきりしていただけに、アウトソーシングを行うという
直後から、何事もなかったかのようにシステムが動くことです。
決断は早かったのだそうです。しかし、不安がまったくないわ
そこで、NRI データサービスが考えたのは、まずは、あらゆる
けではありませんでした。
運用について、そのままの状態でお引き受けするということで
「システム運用を NRI にお願いすれば、システムの重要な部
した。NRI データサービス側は、ひとまず運用スタイルを変
分を外部企業に委ねることになるわけです。そうなると、あい
更しないということです。もちろん、NRI データサービスには
おい損保として、これまでやっていたことが自由にできなくなる
NRI データサービスなりの運用スタイルがありますが、それを
のではないかという不安はありました。例えば、
トラブルの発生
統合直後から行うには、準備期間が十分ではないと考えまし
時。グループの人間なら、夜中でも日曜で
た。そこで、まずは統合を優先して、いったんそれまでのやり
日本の
保険システム
とN R I
合わせるという点です。
「今回の運用の受託に際して最も重視したことは、統合の
も対応に走りますが、NRI にお任せしたと
方で運用をお引き受けし、徐々に NRI データサービスの運用
たんに、
『それは契約時に引き受けた内容
スタイルを提案させていただくことを考えました」
(伊佐)
に入っていませんから』なんて言われたら
運用にあたっての準備では、NRIとあいおい損保のコミュ
困るわけです。そのような緊急時の対応を
ニケーションは非常にスムーズに進んだといいます。
「アウトソーシングにあたり、すぐに結論を出していただける
方がご担当だったことがとても大きかったと感じています。何
あいおい損保・センター統合プロジェクト(つづき)
[アウトソーシングの内容]
か早急に結論を出さなければならない時、すぐに結論を出し
ていただけましたし、その場で決められない場合は、何月何日
の何時に回答できるか、さらに回答の方法まで明示していた
サービス
内容
ハウジング
センター設備(スペース・電力・付帯設備)とセキュリティの提供
メインフレーム:CPU( 685MIPS )、ディスク装置(約 3TB )、仮想M
T装置(約 40TB 分)、MT ライブラリ装置(2 台)、その他周辺装置(MT
装置・プリンターなど)
サーバー:340 台
ネットワーク機器:ルーターなど計約 400 台
ホスティング 指定されたコンピューター機器等のリソースの提供
メインフレーム:CPU( 350MIPS )、ディスク装置(約 2T )、
周辺装置( MT 装置・プリンターなど)
システム運用 専門運用要員によるメインフレームとサーバーシステムの運用
メインフレームシステム運用、サーバーシステム運用、システムリソ
ース管理、システム維持管理、システムオペレーション、データ管理、
データデリバリ、セキュリティ運用、障害監視・対応など
だいていました。準備が短期間だっただけに、こうした体制
を敷いていただけたことに感謝しています」
(伊佐)
実施フェーズ 9 カ月間で
3センターの統合を完了
様々な課題を確実にクリアしていきながら、あいおい損保のセ
ンター統合プロジェクトは着々と進んでいきました。そして無
事、実施フェーズ 9 カ月間で 3 センターの統合を完了させまし
た。
「二度のリハーサルもそうでしたが、実行計画からスケジュ
ーリング、プロジェクトの推進まで、お客さまを含めたすべて
搬入完了後の横浜データセンター内
6 未来創発 Vol.11
2003.8
横浜データセンター
のプロジェクトメンバーが様々な準備作業を怠らず、やらなけ
「動き続けているものを移すというのが、
(富安)
最も難しいことでした」
ればならないタスクを着実に行っていきました。それが成功
の最大の要因だったと思っています」
(富安)
また、この最初の東村山事務センター移転の成功が、良い
意味での緊張感を生み、それが全体に広がっていきました。
「最初の移転がトラブルなしでできましたから、
『次も成功さ
せるぞ』という、良いムードが生まれましたね。緊張感が好循
環を生んだのです」
(塩澤)
もし自分たちだけでやっていたら、
果たしてどうなっていたか
最後に、今回のセンター統合プロジェクトを振り返って、NRI
に対する感想を、安本氏と糟谷氏にうかがいました。
「正直に言って、検討段階では、自分たちだけでやってしま
うという選択肢もあったのです。しかし、もしそれをやってい
たら、今どうなっていたかと思います。おそらく、我々だけでセ
ンター統合を実現するのは困難を極めたのではないかと思う
のです。そのくらい、今回のプロジェクトでは、NRI の技術力
と経験の豊かさを感じました。ノウハウやかじ取りもそうです
が、第三者的な立場でモノが見えて、モノが言える。これだ
け短期間で、確実にセンター統合を実現することができたの
は、その点が大きかったと思います」
(安本氏)
「知り合いのメーカーの方に、
『3 日間で統合する』という話
をしたとき、
『冗談でしょう!』と言われたことを今も覚えていま
す。それほど、厳しい条件の中で、NRI には、大変な能力と
スキルとリーダーシップをもってこの統合を実現していただい
たと思っています」
(糟谷氏)
あいおい損保のセンター統合プロジェクトは成功しました。
今回の統合によって、あいおい損保では数十億円のコスト削
減が見込まれています。しかし、NRI グループにとっては、プ
ロジェクトはまだ完全に終わったわけではありません。
「運用はまだスタートしたばかりですから。合併した会社の
システムはとても複雑。お客さまの業務にさらに精通し、より
良いシステム運用サービスを提供していかなければならない
と思っています。これからが、私たち運用担当者の本番なの
です」
(伊佐)
NRI は様々な分野のプロフェッショナルの力を結集し、こ
れからもお客さまの「成功」のために努力を続けてまいります。
「運用はまだスタートしたばかり。
これからが、私たち運用担当者の
(伊佐)
本番なのです」
左:NRI データサービス プロジェクト推進部長 富安
孝典
右:NRI データサービス 運用サービス事業一部 主任システムエンジニア 伊佐
元邦
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