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スイス経由 日本橋(次期日銀総裁)

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スイス経由 日本橋(次期日銀総裁)
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スイス経由 日本橋(次期日銀総裁)
2016年12月13日(火)
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【欧米経済指標他】
・欧米で主要指標の公表はなかった。
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株はNYダウが高値更新。S&P500、NASDAQは反落。原油価格急上昇を受けてエネルギー株に買
いが入った反面、米10年金利が一時2.5%へと上昇したことが利益確定売りを誘発。欧州株はまちまち。W
TI原油は52.83㌦(+1.33㌦)で引け。OPEC加盟国とロシアをはじめとする非加盟国の減産合意が引き続
き材料視されている。
・前日のG10 通貨はUSDが全面安。米国時間午前までは米長期金利上昇がUSD買いをサポートしていたが、米
長期金利が上昇幅を失うと主要通貨全般に対してUSDが下落。USD/JPYは一時116へと水準を切り上げたが、
その後はほぼ一本調子で下落し、日本時間早朝には115を割れた。EUR/USDは1.06半ばへと水準を切り上げ
た。新興国通貨も全面高でJPMエマージング通貨インデックスは大幅に反発した。
・前日の米10年金利は2.471%(+0.4bp)で引け。10年金利は一時2.5%を付けたが、その後は水準バイヤー
の買いが入ったとみられ上昇幅を帳消しに。欧州債市場(10年)はコア軟調、周縁国堅調。ドイツ
(0.399%、+3.4bp)が金利上昇となった一方、イタリア(2.1.995%、▲4.5bp)、スペイン(1.498%、
▲1.5bp)、ポルトガル(3.831%、▲1.6bp)が揃って金利低下。周縁3ヶ国加重平均の対独スプレッドは
タイトニング。
【国内株式市場・アジアオセアニア経済指標・注目点】
・日本株はUSD/JPY下落傾向が重荷となり、小幅安で寄り付いた後、前日終値付近でもみ合い(9:30)。
<#総裁人事>
・来年は2018年3月(正確には4月)で任期満了となる黒田総裁の後任人事が話題となるだろう。現時点で
次期総裁の有力な情報は出回っていないが、市場関係者の間では①「黒田東彦」総裁の続投、②安倍首相
のブレーンで駐スイス大使の「本田悦郎」氏が有力視されているほか、③日銀生え抜きのエースとして名
高く黒田総裁に近いとされている日銀理事の「雨宮正佳」氏の起用、④インフレターゲット論の主唱者で
コロンビア大学教授、東京・一橋大学名誉教授の「伊藤隆敏」氏の名前が挙がっている。なお筆者は上記
4名の総裁就任確率を順に①45%、②45%、③5%、④5%と想定。
・上記4名は何れも金融緩和に積極的であることが知られているが、(恐らく)最有力視されているのは黒
田総裁の続投だろう。多くの為政者、市場参加者が政策の予見可能性という観点から望ましいと考えてい
るとみられ、金融市場の安定に資する可能性が最も高い。とはいえ、総裁任期満了時点で73歳という事情
もあり、本人が続投を辞退する可能性もある(※麻生財務大臣が現時点で76歳であることを踏まえると問
題が無さそうに思えるが、健康状態・体力、ライフプランについては本人以外が知る由もない)。その場
合、次期総裁の最有力候補に浮上するのが本田悦朗氏。アベノミクス開始以降、一貫して「積極財政+金
融緩和」を提唱。事あるごとにメディアに露出しては自身の見解を主張してきた経緯がある。内閣参与か
らスイス大使への転任は次期日銀総裁へのワンクッションだったとの見方も根強い。同氏が日銀総裁に就
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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任した場合、日銀のハト派バイアスが一段と強まる可能性があるほか、2014年10-11月(追加緩和+消費増
税策送り)のような政府との連携プレーが想定される。黒田総裁が消費増税の先送りに(恐らく)否定的
だった反面、本田氏が消費増税先送りを強く主張していたことを思い出されたい。諸点に鑑みて、筆者は
黒田総裁続投と本田氏就任の確率が同程度とみている。なお、雨宮氏、伊藤氏については、総裁就任の可
能性は低いと思われるが、同時に2名の副総裁も2018年3月で任期切れとなるため、日銀枠に中曽副総裁
の後任として雨宮正佳氏の就任が考えられるほか、学者枠として伊藤隆敏氏の就任も取り沙汰されるだろ
う。
・このように総裁・副総裁・審議委員は緩和積極論者で固められそうだ。次期総裁が誰になろうとも日銀は
さほど変わりそうにない。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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