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IFRS Project Insights リース

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IFRS Project Insights リース
注: 本資料は Deloitte の IFRS Global Office が作成し、有限責任監査法人トーマツが翻訳し
たものです。
この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、原文については英語版
ニュースレターをご参照下さい。
IFRS Project Insights
リース
IASB および FASB(以下、「両審議会」という。)
(vii) 2014 年 6 月、両審議会は、(i)サブリース、(ii)
は、2009 年 3 月に、借手の会計モデルの提案を示
借手の貸借対照表の表示および(iii)キャッシュ・
したディスカッション・ペーパー(DP)を公表した。
フローの表示に関する決定を行った。
使用権モデルは維持しているが、提案されている
(viii) 2014 年 7 月、両審議会は(i)セール・アンド・
会計モデルは DP の公表から進展した。両審議会
リースバック取引および(ii)貸手の開示の要
は、2015 年 3 月に再審議を終え、IFRS 第 16 号と
求事項に関する決定を行った。
なる最終の会計基準が 2015 年末までに公表され
る予定である。発効日は 2019 年 1 月 1 日となる。
(ix) 2014 年 10 月および 12 月、両審議会は、資
企業は、IFRS 第 15 号顧客との契約から生じる収
産の使用を指図する顧客の権利を識別する
益を合わせて適用することを条件に、IFRS 第 16
ための指針に関する決定を行った。
号を早期適用することが可能である。
(x)
2014 年 11 月、IASB は IAS 第 40 号投資不
現在までのプロジェクトにおける最も重要な提案
動産の結果的な修正に関する暫定的な決定
は、以下のとおりである。Updated
を行った。
(i)
2010 年 8 月、IASB および FASB は、貸手お
よび借手の新たな会計モデルを提案する公
開草案 ED/2010/09 リース(ED)を公表し
た。そのコメントの期間は 2010 年 12 月 15
日に終了した。ED における提案の再審議は
2011 年 1 月に開始し、2011 年 7 月に両審議
会は再公開草案を公表する方針を表明した。
(ii)
2013 年 5 月に再公開草案が公表され、コメン
ト期間は 2013 年 9 月に終了した(付録 A に
2013 年 ED の要約を含めている)。
(iii) 2014 年 1 月、両審議会は再審議を開始し、
公開の円卓会議、非公開のアウトリーチ会
議、フィールドワーク会議において、投資家、
アナリスト、財務諸表作成者、会計士、その
他のコメントレターから得られたフィードバッ
クを検討した。
(xi) 2015 年 1 月、両審議会は借手の開示の要
求事項に関する決定を行った。
(xii) 2015 年 2 月および 3 月、IASB は、(i)借手、
貸手および初度適用企業における経過措
置、並びに(ii)少額資産のリースおよびサブ
リースの例外に関する追加的な指針につい
て暫定的に決定した。
(xiii) 2015 年 3 月、IASB はプロジェクトの再審議
を完了し、すべてのデュー・プロセスのステッ
プが完了し、再公開は不要であることを確認
した。
(xiv) 2015 年 10 月、IASB はリース基準の発効日
を 2019 年 1 月 1 日とすることを決定した。
IASB はまた、文案作成プロセスにおいてス
タッフにより識別された(i)別個の新たなリー
スとして取り扱われるリースの条件変更、(ii)
(iv) 2014 年 3 月、両審議会は、(i)借手の会計モ
変動金利リースに係る割引率の見直し、(iii)
デル、(ii)貸手の会計モデル、(iii)少額リース
リースの終了時における原資産の返却に係
および(iv)リース期間および借手によるリース
る費用、(iv)企業結合における短期リースお
期間の見直しに関する決定を行った。
よび少額資産のリース、(v)IFRS 第 5 号売
2014 年 4 月、両審議会は、(i)リースの条件
却目的で保有する非流動資産及び非継続
事業 における開示の要求事項との相互関
変更および契約の結合、(ii)変動リース料、
係、に関する整理論点に対処した。
(v)
(iii)実質的な固定支払および(iv)割引率に
関する決定を行った。
本資料 Project Insights は、現在までの IASB の
暫定決定事項および IASB と FASB との間の相違
(vi)
2015 年 11 月
2014 年 5 月、両審議会は、(i)リースの定義
事項を要約している。
(ii)リースおよび非リースの構成部分の区分お
よび(iii)当初直接コストに関する決定を行った。
IFRS Project Insights Leases 1
再審議における暫定決定
顧客が資産の使用方法および使用目的を指
図する権利を有しているか否かの判断に関す
リースの定義
る決定
IASB は、リースの定義に関する 2013 年 ED の原
彼らの分析では、IASB は、資産の使用方法お
則を維持することを暫定的に決定した。
よび使用目的についての決定は、稼動および
2013 年 ED では、資産(原資産)を使用する権利
を対価と交換に一定期間にわたり移転する契約を
リースと定義した。契約の開始日に、企業は、次の
両方を評価することにより、契約がリースであるか
否か、または、リースを含むか否かを決定しなけ
ればならない。
a) 契約の履行が、特定された資産の使用に依存
するか否か
維持管理についての決定を含めた、使用につ
いてなされた他の決定よりも重要と考えてい
る。これは、通常、資産の使用方法および使用
目的についての決定は、使用から得られる経
済的便益に より大きな影響を与えるためであ
る。稼動に関する決定は、通常、資産の使用
方法および使用目的についての決定の履行に
係る決定であり、それらの決定に依存(そして
従属)する。例えば、供給者の稼動に係る決定
は、顧客が資産を稼動することを決定しない場
b) 契約が、特定された資産の使用を支配する権
合には資産から得られる経済的便益に影響を
利を一定期間にわたり対価と交換に移転する
与えず、また、通常、資産の使用方法および使
か否か
用目的についての決定よりも、比例的に影響
顧客が、資産の使用を指図する能力と資産の使
は小さくなる。
用から便益を得る能力の両方を有する場合にの
み、特定された資産を使用する権利は移転する。
このリースの定義は、IFRIC 解釈指針第 4 号契約
にリースが含まれているか否かの判断における現
行の指針と整合している。しかし、IASB は、IFRS
第 10 号連結財務諸表および IFRS 第 15 号顧客
との契約から生じる収益の支配の概念と平仄を合
わせる明確化のための指針を追加することを暫定
的に決定した。
指針では以下の点を明確にする。
a)
供給者が、代替資産に入れ替える実質上の
能力を有していない、または、供給者が資産
の入替えにより便益を受けない場合、契約の
履行は特定された資産の使用に依存する。
顧客がそのような決定をするのが実務上不可
IASB は、顧客または供給者のいずれも、使用期
間にわたり資産の使用方法および使用目的を支
配していない場合、以下の状況のいずれかであれ
ば、顧客は特定された資産の使用を指図する権利
を有していると考えられることを暫定的に決定した。
a)
顧客が、資産を稼動する権利を有している場
合、または、(供給者がそれらの稼動の指示
を変更する権利を有しておらず)顧客が決定
した方法で他者に資産の稼動を指図する権
利を有している場合
b) 顧客が、使用期間にわたる以下を予め定める
方法により、資産を設計した、または資産を設
計させた場合
i.
資産の使用方法および使用目的
ii.
資産の稼動方法
能である場合、顧客は契約の履行が特定さ
れた資産の使用に依存していると推定する。
b)
顧客が特定された資産の使用を指図する能
さらに、IASB は、供給者の特定された資産に対す
力を有しているか否かを識別する際、そのよ
る防御的権利は、通常、顧客の資産の使用の範
うな決定および使用期間にわたる原資産の使
囲を定義するが、それ単独では、顧客が資産の使
用に伴う便益に基づき、リースは評価されな
用を指図する権利を有することの妨げとならない
ければならない。
ことを決定した。
さらに、IASB は、顧客が使用期間にわたり、資産
の使用方法および使用目的を変更する権利も含
め、資産の使用方法および使用目的を指図する
権利を有している場合に、顧客は特定された資産
の使用を指図する権利を有していることを明確化
することを暫定的に決定した。
IFRS Project Insights Leases 2
顧客と供給者の双方が、資産の使用に関する
対応する負債は別個に認識され、現行のファイ
意思決定に実質的な影響を及ぼす能力を有し
ナンス・リースと同様、全体として費用計上が前倒
ている場合に、両者の意思決定をどのように
しになる償却原価で会計処理される。使用権資産
比較考量すべきか?
およびリース負債はリース料の現在価値で当初測
リース基準は、資産の使用から生じる経済的
定される。
便益に最も重要な影響を及ぼす意思決定能力
を有する当事者はいずれかを識別することを
要求する。この評価は、(IFRS 第 10 号に基づ
く投資先に対するパワーを有している当事者
の決定と整合的に)当該取決めに特有の要素
に基づく。ほとんどの場合、使用期間中に「資
産を使用する目的や方法」についての決定が、
資産の使用から生じる便益に最も重要な影響
を及ぼす決定となる。例えば、船舶の運航の目
的地や時期のような船舶の操業、および、どの
IASB と FASB の相違
リースを財政状態計算書に計上するにあたっ
て、FASB は 2013 年 ED で提案されたのと同
様の二本立てのアプローチを暫定的に決定し
た。 このアプローチでは、借手は現行のキャピ
タル/ファイナンス・リースをタイプ A のリース
(償却と利息を区分)として会計処理し、ほとんど
のオペレーティング・リースをタイプ B のリース
(単一定額法によるリース費用)として会計処
理する。
ような貨物を運搬するかについての決定は、資
産の使用から生じる便益に最も重要な影響を及
ぼす決定となる。
リースとサービスの区分
リース基準にはサービスの定義を含めない。し
たがって、この分野に関する課題は残る。サー
ビスを提供するために資産の重要な使用を伴
う取引がある。
2014 年 5 月に審議されたアジェンダ・ペーパー
では、リースとサービスを区別するため、企業
が IFRS 第 10 号および IFRS 第 15 号で定義
されている支配の概念に焦点を当てることが
しかしながら、リースの分類は、2013 年 ED で
提案された資産が不動産か否かではなく、現
行の IAS 第 17 号の原則に基づいている。
さらに、現行の米国会計基準における数値基
準は削除される(すなわち、リース期間が資産
の経済的耐用年数の 75%以上か否か、リース
料(残価保証を含む)の現在価値がリースされ
る資産の公正価値の少なくとも 90%か否か)
使用権資産モデルの免除
2013 年 ED に関して受け取った懸念に対処す
るために、IASB は財務諸表作成者に対してい
くつかの救済措置を決定した。
示された。仮に、供給者が使用期間にわたり
資産の使用を支配している場合、その契約は
サービスである-供給者は顧客にサービスを
詳細については、少額リースおよび短期リース
のセクションを参照のこと。
提供するために、その資産を使用している。一
方、顧客が使用期間にわたり資産の使用を支
貸手の会計モデル
配している場合、供給者はその資産に対する
IASB は、現行の IFRS の貸手の会計モデルについ
支配を有していない。その場合、顧客は原資産
て重要な変更は必要ないことを暫定的に合意した。
を使用する権利を得ており、その契約はリース
を含む。
IASB は、貸手はリースの分類をリースが実質的
にファイナンス契約または販売であるか、もしくは
借手の会計モデル
オペレーティング・リースであるかを基礎に、現行
IASB は、大部分のリース(例外は下記参照)を借手
の IAS 第 17 号の要求事項と同様の指針を用い
の財政状態計算書において認識することを要求する
て決定すべきであることを暫定的に決定した。し
使用権モデルを採用することを暫定的に合意した。
たがって、リースの分類は原資産の所有に伴うリ
スクと経済価値のほとんどすべて(substantially
IASB は、借手が大部分のリースを使用権資産を
all)が借手に移転したかどうかに着目している。
購入する金融取引として財政状態計算書にオンバ
ランスする会計処理となる単一モデルのアプロー
IASB は、また、2013 年 ED で提案されていた債権
チを採用し、したがって 2013 年 ED に含まれてい
および残存資産アプローチを削除することを決定
たタイプ A とタイプ B の区別を削除することを暫定
した。代わりに、貸手はリースを現行の IAS 第 17
的に決定した。単一モデルのアプローチでは、使
号と整合的に、販売またはファイナンス・リース、もし
用権資産は他の非金融資産と整合的な会計処理
くはオペレーティング・リースとして会計処理する。
(例えば償却)が行われる非金融資産である。
IFRS Project Insights Leases 3
借手と貸手の会計処理の対称性
少額リースの免除
貸手が IAS 第 17 号の現行の指針に基づくリー
IASB は、企業が会計方針の選択として、少額資
スの分類を維持し、会計処理を行うことにより、
産のリースを認識と測定の要求事項から除外する
IASB は、費用対効果の考慮に基づいて、借手
ことを容認すると暫定的に決定した。この免除は、
と貸手の間の会計モデルの対称性に反する決
少額の IT 機器やオフィス家具のようなリースを捉
定を行った。
えることを意図しているが、リースに関する重要性
の適用方法の指針としては機能しない。資産が免
除の要件を満たすかどうかの評価は、絶対額を基
IASB と FASB の相違
礎として行われる。
FASB は IASB が採用したのと同様のアプロー
チの採用を暫定的に決定した。しかし、FASB
重要性
は、リース開始時点で原資産の支配が借手に
両審議会は、IFRS と米国会計基準のいずれも
移転していないすべての販売型リースにおい
基準レベルでは重要性の要求事項を提供して
て、貸手は売却益を認識することができないこ
いないことを踏まえ、リースの最終基準に明示
とを暫定的に決定した(すなわち、借手が原資
的な重要性のガイダンスを含めないことを暫定
産の使用を指図する能力を有し、原資産の残
的に決定した。利用者は、リースの重要性を評
存する経済価値のほとんどすべてを獲得した
価するために、IAS 第 8 号のガイダンスを利用
時点で認識する)。
し続ける。
結果として、米国会計基準においては、貸手が
原資産の支配を移転していない場合には、売
IASB は、また、最終の会計基準に、少額資産の
却益はリース期間にわたって繰り延べられる
免除の要求事項を他のリース資産に依存しないま
一方、IFRS においては、すべてのファイナン
たは他のリース資産と相互関連性の高くない資産
ス・リースの貸手は、現行の指針に従って売却
のリースについてのみ適用する要求事項を含める
益をリース開始時に認識する。
ことを暫定的に決定した。この方法により少額資
産のリースの免除を制限することは、個々には少
少額リース
額の部分的なリースから構成される多額の資産が
IASB は、借手が保有する少額リースについてコス
この免除の対象となることを防止する。
ト面での救済を次のように提供することを暫定的
に決定した。
さらに、最終の会計基準の結論の根拠に、この免
除の審議の際に IASB が念頭においた定量的な
ポートフォリオの免除
閾値の議論を含める。
企業は、会計方針の選択として、リースをポートフォ
リオ・レベルで会計処理することが認められる。リー
スをポートフォリオ・レベルで会計処理することは、
少額リースを有する多くの企業にとってリースの指
針を適用するコストを減少させる。例えば、IT 機器
や車をマスター・リース契約の一部としてリースす
る企業はこの指針を適用できる。IASB が適用指
針を含めることを暫定的に決定する一方で、
FASB はそのような指針を結論の根拠に含めるこ
とを暫定的に決定した。
定量的な閾値
IASB が議論したアジェンダ・ペーパーでは、新
規取得時の原資産の価値について 5,000 ドル
の閾値が示唆されたことが示されている。この
アジェンダペーパーでは、少額のリース資産の
免除の閾値は、重要性とは関連しないという点
で資産計上の閾値とは異なること、および、こ
の金額を結論の根拠に含める目的はこの結論
が行われた際の状況・背景を提供することであ
ることが明示されている。
減損
ポートフォリオの中のすべてではないがいくつ
かの使用権資産が減損し、その減損が企業に
IASB と FASB の相違
とって重要な場合、企業はもはやそのポートフォ
FASB は、少額リースの免除に取り組まないこ
リオにリース指針を適用することは認められな
とを暫定的に決定した。
い。代わりに、企業は元々のポートフォリオをよ
り小さいポートフォリオに分割するか、契約レベ
ルでリース指針を適用する必要がある。
IFRS Project Insights Leases 4
リース期間
短期リース-Updated
IASB は、以下を暫定的に決定した。
IASB は、最終的なリース基準は短期リースの認
識および測定について範囲の免除を含むことを暫
(i)
企業は、リースを延長するオプションを行使す
定的に決定した。
る、または、解約するオプションを行使しない
経済的インセンティブがあるかを評価する際
短期リースは、12 ヶ月以下のリース期間(上記参
に、すべての関連性のある要因を考慮すべき
照)を有する。
である。企業は、関連性のある経済的要因を
借手は、会計方針の選択として、短期リースに認
考慮し、借手がオプションを行使することが合
識と測定の要求事項を適用しないことができ、代
理的に確実(reasonably certain)な場合にの
わりにリース料を純損益に、通常は定額法で認識
み、そのようなオプションをリース期間に含め
する。
るべきである。
この免除規定を採用する企業は、通常のリースで
(ii) 購入オプションは、更新オプションや解約オプ
要求される定性的な情報に加えて、当期に認識さ
ションと同様に取り扱われるべきである。
れた短期リース費用を開示することが要求され
る。短期リース・コミットメントの開示は、認識され
重大な経済的インセンティブ
借手がオプションを行使する重大な経済的イン
た短期リース費用が短期リース・コミットメントを反
映していない場合に要求される。
センティブを有しているかどうかの評価は、借
オペレーティング・リースの条件が有利または不利
手がオプションを行使するか行使しないかの決
な場合に、取得企業が資産および負債を認識する
定に関連するリース開始時点の事実と状況に
という IFRS 第 3 号企業結合における要求事項
基づいており、これは契約書ベース、資産ベー
は、維持されないこととなる。この決定は、IFRS 第
ス、市場ベースおよび企業ベースの要因に基
3 号との潜在的な矛盾を避けるためのものである。
づいている。その評価は借手の意図や過去の
実務には基づかない。
リースの条件変更-借手の会計処理
IASB は、リースの条件変更を、当初のリースの契
「重大な」という用語は現行の IAS 第 17 号で使
用されている「合理的に確実」と実質的に同一
である。
約条件の一部ではなかったリースの契約条件の
変更と定義することを暫定的に決定した。条件変
更として検討されるのは、リースの範囲の変更お
よび借手により支払われる対価の変更に関連する
場合のみである。
リース期間の見直し
IASB は、以下を暫定的に決定した。
リースの条件変更とリースの見直し
リースの条件変更の定義は、リースの見直しと
(i)
借手は、借手が統制可能であり、かつ借手が
なる場合(すなわち、契約の開始時にリースの
オプションを行使する重大な経済的インセン
更新オプションが契約に含まれている場合に、
ティブを有しているかどうかに直接影響を与え
当該更新オプションの行使によって生じるリー
る重大なトリガーとなる事象の発生に基づい
ス期間の変更)と、リースの条件変更となる場
てのみリース期間を見直すべきである。市場
合(すなわち、当初のリースの契約条件の変更
ベースの要因の重大な変化は、単独では、見
によって生じるリース期間の変更)を区別する。
直しのトリガーとはならない。
別個の新たなリースとなる条件変更-Updated
(ii) 貸手は、リース期間を見直すべきではない。
借手は、以下の双方が生じる場合、リースの条件
変更を当初のリースと別個の新たなリースとして
見直しが要求される状況
会計処理する。
見直しは、単なる時の経過やマクロ経済事象
の発生ではなく、借手によって引き起こされる
行動に対して要求される。
(a) 条件変更が、1 つ以上の原資産を使用する権
利を追加することによりリースの範囲を拡大
する。
見直しのトリガーとなり得る例は、延長、解約、
(b) その追加的な使用権が、(その特定の契約と
購入オプションが行使可能となったときに、借
の関連において)独立した価格と同等の価格
手にとって重大な経済価値をもつと期待される
付けがされている。
重要な建物付属設備の建設である。
IFRS Project Insights Leases 5
別個の新たなリースとならない条件変更-
リースの条件変更 – 貸手の会計処理
Updated
IASB は、貸手は、リースの条件変更を IFRS 第 15
IASB は、条件変更が以下のいずれかに該当する
号顧客との契約から生じる収益における契約条件
場合、別個の新たなリースとならないリースの条
変更と整合した方法で評価することを暫定的に決
件変更を区別することを暫定的に決定した。
定した。
(a) 原資産の使用を延長する
別個の新たなリースとなる条件変更
借手のアプローチと整合させて、貸手は、以下の
(b) リースの範囲を縮小する
(c) リースに対して支払われる対価を変更する
場合に、リースの条件変更を新たなリースとして会
計処理する。
(a) リースの条件変更が、借手に当初のリースに
このアプローチは、資産の使用権に焦点を当てて
含まれない追加的な使用権を付与する。
おり、そして、条件変更がその使用権に影響を与
えるのか、または使用権に対して支払われる対価
のみに影響を与えるかに焦点を当てている。
(b) その追加的な使用権が、(その特定の契約と
の関連において)独立した価格と同等の価格
付けがされている。
当初のリースの範囲を拡大する、または、リース
の対価を変更する条件変更については、借手は、
別個の新たなリースとならない条件変更
リース負債を修正するために、更新後のリース料
IASB は、オペレーティング・リースについて、貸手
および更新後の割引率を使用し、差額を使用権資
は変更されたリースを、条件変更の発効日から、
産の調整として認識する。
新たなリースとして会計処理することを暫定的に
決定した。
当初のリースの範囲を縮小する条件変更につい
ては、借手は、改訂されたリース料および更新後
の割引率を使用してリース負債を調整し、使用権
資産の比例する金額について認識を中止し、純損
益を通じて差額を利得または損失として認識する。
ファイナンス・リースについて、貸手は、リース債権
に IFRS 第 9 号における減損および認識の中止の
指針を適用すべきである。これには、リースの条
件変更の影響を評価する場合を含む。
これは、IFRS の貸手にとっては、リースの条件変
割引率
更に関する実質的な変更はないことを意味する。
条件変更について、借手は、リース負債の再測
契約の結合
定に更新後の割引率を使用することが要求さ
IASB は、企業が、以下のいずれかの要件を満た
れる。その意図は、リースの条件変更によっ
す場合には、同時または、ほぼ同時に同じ相手先
て、借手が割引率として見積もろうとする貸手
(または関連当事者)と締結した複数の契約を結
の計算利子率が変化している事実を反映させ
合し、これらを単一の取引とみなすことを暫定的に
ることである。
決定した。
(a) 契約が、単一の商業的な目的を有するパッ
割引率の重要な変更を伴なって範囲を縮小さ
せる契約条件の変更
条件変更による範囲の縮小は僅かであるが、
ケージとして交渉されている。
(b) 1 つの契約で支払われる対価の金額が、他の
契約の価格または履行に左右される。
割引率に重要な変化が生じる場合、リース負債
の変更は、純損益に影響を与える部分を決定
するために、次の 2 つの構成部分に区分され
る。(1)範囲の縮小は、純損益に影響を及ぼ
し、(2)割引率の変更(すなわち、範囲以外の
変更)は、純損益に影響を及ぼさず、使用権資
産に影響を及ぼす。
単一の取引における複数の契約
企業は、実質的に単一の契約を締結するかの
ように、相互の契約を期待して、複数の契約を
締結する場合がある。契約条件が他の契約を
期待して交渉される場合、取引の経済的効果
をより正確に反映するために、それらは単一の
契約として認識されるべきである。
IFRS Project Insights Leases 6
変動リース料
割引率
IASB は、リース資産およびリース負債の当初測
IASB は、以下について暫定的に合意した。
定に変動リース料のうち指数または率に応じて決
まるもののみを含め、それらはリース開始時の指
数または率を使用して測定されることを暫定的に
決定した。
使用または業績に連動する変動リース料
資産の使用または業績に基づく変動リース料
はリース資産またはリース負債の当初測定に
含めず、これらは発生した期間に損益計算書で
認識する。この決定は、主にコスト・ベネフィット
の理由によるものである。
• 借手の追加借入利子率(incremental borrowing
rate)の定義において、「価値」が何を指してい
るのかを明確にするが、その他の点では、
2013 年 ED の定義は変更しない。
• 現行の貸手の指針と整合させて、貸手が借手
に課す利率(the rate the lessor charges the
lessee)をリースの計算利子率(the rate implicit
in the lease)として記述する。
• リースの計算利子率に、貸手の当初直接コスト
を含める。
割引率の見直し-Updated
変動リース料の見直し
借手は、借手の統制可能な重大な事象または重
IASB は、借手に、契約上のキャッシュ・フローが変
大な状況の変化により、リース期間の変更または
化した場合に、指数または率に応じて決まる変動
購入オプションの見直しがあった場合、および、別
リース料の見直しを要求することを暫定的に決定
個の新たなリースとならないリースの条件変更の
した。
場合にのみ、割引率の見直しが要求される。しか
しながら、変動金利リースの割引率は、支払リース
IASB と FASB の相違
FASB は、変動リース料が変動した場合に見直
しを要求しないことを暫定的に決定した。そうし
た変動は発生時に純損益に認識される。
料が改定されるたびに更新しなければならない。
変動金利リースの割引率を更新するという要
求事項は、償却原価で測定される金融負債に
係る変動金利の金融商品を会計処理する際に
使用する実効金利を、将来キャッシュ・フロー
貸手に関しては、IASB は、貸手に指数または率
の見積りの見直しに伴い、見直すべきであるこ
に応じて決まる変動リース料の見直しを要求すべ
とを示している IFRS 第 9 号と整合している。
きでないことを暫定的に決定した。
貸手は、割引率を見直さない。このことは、貸手に
実質的な固定支払
リース期間の見直し、または、借手が原資産の購入オ
IASB は、以下を暫定的に決定した。
プションを行使することが合理的に確実であるか否か
の見直しを要求しない暫定的な決定と整合している。
(a) 実質的な固定支払である変動リース料をリー
ス料の定義に含めるべきである。
リースの構成部分の区別
IASB は、借手および貸手双方における、別個のリー
(b) 結論の根拠で、実質的な固定支払である変
動リース料が、実務において存在していること
に言及するべきである。
スの構成部分の識別に関する 2013 年 ED の指針
を維持することを暫定的に決定した。
リース基準には、契約がリースを含んでいるかどうか
を判定した後に、契約の中の別個のリース構成部分
IASB は実質的な固定支払である変動リース料
の概念は広く受入れられていると認識していた
が、IAS 第 17 号リースは、現在、実質的な固定
のそれぞれを識別することが述べられている。企業
は、以下の両方の要件に該当する場合には、資産を
使用する権利を、別個のリース構成部分と考える。
支払である変動リース料についてどのような場
合に最低リース料の定義に含まれるべきである
(a) 借手が、資産単独または借手が容易に利用
かについての指針を、含んでいない。IASB は、
可能な他の資源との組合せのいずれかによ
実質的な固定支払は真正な変動性を生じさせ
り、資産の使用により便益を受けることができ
ず、回避不能であり、また、固定支払と区別でき
る。容易に利用可能な資源とは、別個に(貸
ないことから、ストラクチャリングの機会を回避す
手または他の供給者により)販売またはリー
るためにこれを含めることを暫定的に決定した。
スされている財またはサービス、あるいは借
手がすでに(貸手から、または他の取引また
は事象により)入手している資源である。
IFRS Project Insights Leases 7
(b) 原資産が、契約の中の他の原資産に依存してお
らず、高い相関もない。
リース構成部分と非リース構成部分の区別
IASB は、以下を暫定的に決定した。
IASB と FASB の相違
FASB は、中間の貸手は使用権資産ではなく
原資産を参照してサブリースを分類することを
暫定的に決定した。
• 貸手にリース構成部分と非リース構成部分の区
別、並びに、契約の対価をこれらの構成部分に配
貸借対照表の表示 – 借手
分することを要求する。貸手は、リース構成部分と
IASB は、借手に以下を要求することを暫定的に
非リース構成部分を区別する場合に、別個の履行
決定した。
義務に対する取引価格の配分に関する IFRS 第 15
号の指針を適用するべきである。
• 借手に、以下のいずれかの会計方針の選択を認める。
• 使用権資産を貸借対照表で独立の表示科目と
して表示するか、注記で開示する。借手が使用
権資産を貸借対照表で独立の表示科目として
– 契約に含まれるリース構成部分を非リース構成
表示しない場合、借手は(a)使用権資産を、対
部分と区別する。配分は、利用可能な場合は単
応する原資産を所有していたとした場合に表示
独の価格に基づき、そうでない場合は観察可能
するのと同じ表示科目の中で表示し、(b)使用
な情報を最大限に使用した見積りに基づくべきで
権資産が貸借対照表のどの表示科目に含まれ
ある。
ているかを注記で開示する。
– リース構成部分と非リース構成部分を区別せ
ず、契約全体をリースとして認識する。
• リース負債を貸借対照表で独立の表示科目と
して表示するか、注記で開示する。
当初直接コスト
IASB は、増分コストのみが当初直接コストとしての
IASB と FASB の相違
要件を満たすことを暫定的に決定した。最終のリース
FASB は、貸借対照表でも注記でも、リース資産
基準では、当初直接コストはリースが獲得されなかっ
とリース負債をタイプ A のリースとタイプ B のリー
た場合には企業が負担しなかった増分コスト(例え
スで別個に表示することを暫定的に決定した。
ば、貸手により支払われる販売手数料)のみが含ま
れることが示される。
キャッシュ・フローの表示
同一の定義が、借手と貸手の両方に適用される。
IASB は、以下を暫定的に決定した。
サブリース
• 貸手にリースからの現金収入を営業活動に分
IASB は、中間の貸手に以下を要求することを暫定的
類することを要求する。
に決定した。
• 原リースとサブリースの契約が契約の結合(上記
の契約の結合を参照)に該当する場合を除き、2
つの別個の契約として会計処理する。
• サブリースを使用権資産(すなわち、原リースの貸手
• 借手に、IAS 第 7 号にしたがい、リースの現金
支出の元本部分は財務活動に、リース負債に
係る利息部分は営業活動に分類し、リースの
支出は他のキャッシュ・フローとは別個に開示
することを要求する。
により支配されている原資産ではなく中間の貸手によ
り支配されている資産)を参照して分類する。
• 金融商品の相殺要件を満たす場合を除き、リース
資産とリース負債を相殺しない。
IASB と FASB の相違
FASB は、借手に以下の分類を要求することを
暫定的に決定した。
• IFRS 第 15 号の「本人/代理人」の指針にしたがっ
てサブリース収益を収益として認識し代理人として
活動する場合を除き、原リースとサブリースに係る
(i)
タイプ A のリース負債の元本部分の現金
支出は財務活動に
リース費用とリース収益を相殺しない。
IASB は、また、中間の貸手に、ファイナンス・リース
(ii) タイプ A のリース負債の利息部分の現金
支出は営業活動に
に分類されたサブリースを会計処理するために、サ
ブリースの計算利子率が容易に決定できない場合に
(iii) タイプ B のリースの現金支出は営業活動に
は、原リースにおいて使用した割引率の使用を認め
ることを暫定的に決定した。
IFRS Project Insihts Leases 8
セール・アンド・リースバック取引
IASB と FASB の相違
売却が生じたか否かの決定
FASB は、売手/借手はセール・アンド・リース
IASB は、セール・アンド・リースバック取引におい
バック取引における適格な売却に係る利得に
て売却が生じたか否かの決定にあたり、IFRS 第
ついて、他の同様の売却に適用する指針と整
15 号における売却に係る要求事項を適用すること
合的に会計処理することを暫定的に決定した。
を暫定的に決定した。リースバックの存在自体は、
したがって、利得は、売手/借手により売却さ
売手/借手が、原資産を買手/貸手に売却したと
れた残存資産に制限されない。
結論づけることの妨げとはならない。
最終の会計基準では、売手/借手が原資産に係
「市場から外れた」条件の会計処理
る実質的な買戻しオプションを有している場合に
IASB は、原資産の売却の対価がその資産の公正
は、買手/貸手はその資産の支配を獲得しておら
価値でない場合、または、リース料が市場のレート
ず、売却は生じていないことを明確にする。この場
でない場合に当初の売却の会計処理を調整する
合、売手/借手は、その取引を金融取引として会
とした、2013 年 ED における要求事項を維持する
計処理する。一方、実質的でない買戻しオプション
ことを暫定的に決定した。
は、売却の会計処理の妨げとはならない。
IASB は、企業は、可能性のある「市場から外れて
さらに、IASB は、売却が生じたか否かの決定に関
いる」ことによる調整を、(a) 原資産の売却価格と
して、最終のリース会計基準に追加の適用指針を
公正価値、または、(b) 契約上のリース料の現在
含めないことを暫定的に決定した。
価値と公正な市場価格によるリース料の現在価値
のうち、より容易に決定可能ないずれかの差額に
IASB と FASB の相違
基づいて決定することを、暫定的に決定した。
FASB は、売手/借手の観点からリースバック
取引がタイプ A のリースである場合、売却は生
企業は、取引が市場によっているか、市場から外
じていないと暫定的に決定した。
れているかの判断、および、市場から外れた条件
の調整計算において使用する、より適切なベンチ
マークの選択にあたり、観察可能な価格および観察
売却/購入およびリースバックの会計処理
可能な情報を最大限に使用することが要求される。
売却が生じたセール・アンド・リースバック取引に関
して、IASB は、以下を暫定的に決定した。
市場から外れた条件の影響は以下のように会計
処理される。
• 買手/貸手は、原資産の購入を、(リースバッ
クの存在を伴わない)他の非金融資産の購入
に適用する指針と整合的に会計処理する。
• 公正価値または市場の条件との比較による不
足額:賃借料の前払いとして会計処理
• 売手/借手は、セール・アンド・リースバックに
• 公正価値または市場の条件からの超過額:買
おける適格な売却に係る損失は、他の同様の
手/貸手から売手/借手に対する追加融資の
売却に適用する指針と整合的に会計処理する。
供与として会計処理
• 売手/借手は、保持してきた使用権資産に関
「不適格」なセール・アンド・リースバック取引の会
連する部分ではなく、残存資産に関連する利得
計処理
の部分のみを認識する。
IASB は、売手/借手および買手/貸手ともに、
• 売手/借手および買手/貸手は、リースバック
を他のリースと同様の方法で会計処理する。
「不適格な」セール・アンド・リースバック取引を金
融取引として会計処理することを暫定的に決定し
た。したがって、売手/借手は、原資産の認識を
中止せず、代わりに、買手/貸手からの収入を金
融負債として認識する。
IFRS Project Insihts Leases 9
リースの終了時における原資産の返却に係る費
定量的な開示の要求事項-Updated
用-New
IASB は、借手に以下の開示を要求することを暫
IASB は、リースの終了時に貸手に資産を特定の
定的に決定した。
状態で返却する(原資産を撤去または移転する、
または、原資産が配置されていた場所を元の状態
a)
に、償却費は資産の種類毎に提供する)
に戻す)借手の義務を、IAS 第 37 号引当金、偶発
負債及び偶発資産に基づき会計処理すべきであ
ることを暫定的に決定した。したがって、借手は以
b) 報告期間に認識した短期リースの費用(リー
ス期間が 30 日以上、1 年未満のリースについ
下を要求される。
(i)
リース費用(償却費と利息費用に区分し、さら
て)および少額資産のリース費用。短期リース
発生するコストの当初の見積りを使用権資産
の費用が借手の短期リースのコミットメントを反
の当初測定に含めなければならず、また、負
映しない場合には、追加的な開示を提供する。
債は IAS 第 37 号に従って会計処理しなけれ
ばならない(すなわち、リース負債と考えるべ
c)
その期間に生じたが、リース負債に含められ
なかった(または、資産の一部として計上され
きでない)。
なかった)変動リース費用
(ii) IFRIC 第 1 号廃棄、原状回復及びそれらに類
似する既存の負債の変動 の範囲に含まれる
d)
負債は、使用権資産を調整することで認識し
企業の主要な活動がサブリースと関係しない
場合のサブリース収益
なければならない。
e)
リースに関するキャッシュ・アウトフロー。企業
IAS 第 40 号投資不動産の結果的な修正
のサブリース収益が重要な場合、関連する
IASB は、2013 年 ED において提案された IAS 第
キャッシュ・インフローは別個に開示される
40 号に係る修正(例えば、不動産が他の点では
投資不動産の定義を満たす場合の不動産リース
f)
使用権資産の増加(リースの条件変更、行使
から生じた使用権資産は、IAS 第 40 号の範囲に
されたが、以前にリース期間に含められなかっ
含める)を確認することを暫定的に決定した。
た延長オプション、および新たなリースから生
じた使用権資産を含む)
借手の開示の要求事項
全体的な開示の目的
g) セール・アンド・リースバック取引から生じた利
IASB は、財務諸表利用者 がリースから生 じる
得または損失は、他の資産の処分に係る利
キャッシュ・フローの金額、時期および不確実性を理
得または損失と別個に開示される。
解できるようにする、2013年EDの全体的な開示の目
的の要求事項を維持することを暫定的に決定した。
IASB は、上記の定量的な情報の表示につい
IASB と FASB の相違
て、特定の表形式を要求しないが、単一の注記
FASB は、借手に以下の定性的な項目の開示
により表示すべきことを暫定的に決定した。
を要求する 2013 年 ED の提案を維持すること
を暫定的に決定した。
• リース(およびサブリース)の内容に関する
情報
• まだ開始していないが借手にとって重大な
権利および義務を創出するリースに関する
情報
さらに、借手は、IFRS 第 7 号金融商品:開示にし
たがって、リース負債の満期分析の開示が要求さ
れる。適切な数の期間の区分を決定するために判
断を用いなければならない。
新たなリース会計基準は、IFRS 第 5 号の範囲に
• リース会計基準の要求事項を適用する際に
含まれるリースに関して、すでに IFRS 第 5 号によっ
行った重要な仮定および判断に関する情報
て要求されている開示を超えた特定の開示を要求
• セール・アンド・リースバック取引の主要な契
しない。
約条件
• 短期リースの免除規定について会計方針
の選択を行ったかどうか
IASB は、2013 年 ED のこれらの要求事項を維
持しないことを暫定的に決定した。
IFRS Project Insights Leases 10
IASB と FASB の相違
IASB と FASB の相違
FASB は、借手は以下を開示することを暫定的
FASB は、貸手に、タイプ A のリースへの純投
に決定した。
資の構成部分(リース債権を除く)に係る報告
期間中の重要な変動に関する説明を要求する
• リース費用(タイプ A とタイプ B のリースで区
分する)
ことを暫定的に決定した。FASB は、減損プロ
ジェクトの一部として、タイプ A のリースの債権
に関する開示を考慮する予定である。
• リース負債に含めた現金支払の金額(タイ
プ A とタイプ B のリースで区分する)
• 加重平均残存リース期間
• リース負債の満期分析。最低限、最初の 5
年間の各年度に係る割引前キャッシュ・フ
ローおよび残りの年度に係る金額の合計を
示し、その割引前キャッシュ・フローを財政
状態計算書で認識している割引後のリース
負債と調整する。
経過措置
従来、オペレーティング・リースに分類されていた
リース-借手
IASB は、移行に関して、借手は完全遡及アプロー
チまたは修正遡及アプローチのいずれかを選択で
きることを暫定的に決定した。IASB は、新たなリー
ス会計基準を完全に遡及して適用するか否かの
選択について、借手の従前のオペレーティング・リー
スのポートフォリオ全体に一貫して適用することを
暫定的に決定した。
完全遡及アプローチのもとでは、借手は、新たな
貸手の開示の要求事項
リース会計基準の要求事項が当初から適用されて
IASB は、貸手に以下の開示を要求することを暫
いたかのように、リースのポートフォリオのすべての
定的に決定した。
要素について移行を行う。これは、IAS 第 8 号にした
がった比較可能額の修正再表示および新たなリー
• リースの内容に関する情報、およびリースの要
ス会計基準の適用の影響についての開示を含む。
求事項を適用する際に用いた重要な仮定と判
断に関する情報
修正遡及アプローチは、IFRS 第 15 号および
IFRS 第 9 号において認められたアプローチに類
• 報告期間中に認識されたリース収益の表
似しているが、移行における比較可能性の欠如を
軽減するための追加の開示の要求事項が含まれ
• リース資産の残存価値に係るリスク管理方法
に関する情報
• タイプ A のリースの債権から生じる割引前の将
来キャッシュ・フローの満期分析(報告日から 5
年間の各年度およびその後の残存期間の合計
の受取金額)および割引前のキャッシュ・フロー
と認識されているリース債権との調整
る。修正遡及アプローチの適用に関して、IASB は
以下を暫定的に決定した。
(i)
借手は比較可能額の修正再表示を行わない。
(ii) 借手は新たな会計基準の適用開始の累積的
影響を、適用開始日における利益剰余金(他
の資本項目が適当であれば当該項目)の期
首残高の調整として認識する。
• タイプ B のリースから受取る割引前リース支払
(iii) 借手はリース負債を適用開始日の借手の追
い額の満期分析(報告日から 5 年間の各年度
加借入利子率を使用して割引いた、残存リー
およびその後の残存期間の合計の金額)
ス料の現在価値で測定する
• タイプ A のリースへの純投資に係る報告期間
(iv) 借手に適用開始日において使用権資産に係
中の重要な変動に関する定性的および定量的
る 2 つの測定のアプローチの選択を認める。当
説明
該アプローチは、リース毎に以下を選択する。
• 使用権資産を新たなリース会計基準が当
IASB は、貸手がタイプ B のリースの資産を、貸手
初から適用されていたかのように測定する
が所有し使用する資産とは区別して、有形固定資
が、適用開始日における借手の追加借入
産の種類ごとに表示することを要求することを暫
利子率に基づく割引率を使用する。
定的に決定した。
• 使用権資産を従前に認識した前払または
未払リース料の金額により調整した、リー
ス負債と同じ金額で測定する。
IFRS Project Insights Leases 11
(v) 借手は、合理的に類似する特徴を有するリース
のポートフォリオに単一の割引率を適用する。
従来、オペレーティング・リースに分類されていた
リース-貸手
IASB は、サブリースの会計処理の例外とともに、
(vi) 借手は減損の検討を実施する代わりに、従前
貸手は、適用開始日に実行中のリース(すなわ
に認識した不利なリースの引当金の金額によ
ち、従来 IAS 第 17 号のもとで会計処理され、適用
り使用権資産を調整する。
開始日においてそのまま継続しているリース)につ
(vii) 借手は、適用開始日から 12 ヶ月以内に期間
が終了するリースについて明示的な認識およ
いて、現行の会計処理の適用を継続することを暫
定的に決定した。
び測定の免除を適用できる(短期リースの例
従来、オペレーティング・リースに分類されていた
外として決定されたもの)。借手は、代わりに、
リース-初度適用企業
これらのリースについて短期リースと同様に
IASB は、IFRS 第 1 号において、初度適用企業に
会計処理できる(すなわち、オペレーティング・
修正遡及アプローチの適用を認めることを暫定的
リースの会計処理の適用を継続する)。借手
に決定した。
は、これらのリースにかかるコストを適用開始
日を含む年次報告期間の短期リースの費用
ただし、初度適用企業については、修正遡及アプ
に含めて開示することが要求される。
ローチの適用について、以下の調整が行われる。
(viii) 借手は、使用権資産の測定に当初直接コスト
を含める必要はない。
(a) 適用開始日を、IFRS 第 1 号による IFRS への
移行日と考える。
(b) 適用開始日から 12 ヶ月以内に期間が終了す
(ix) 借手は、契約がリースを延長または解約する
オプションを含む場合のリース期間の決定等
るリースについての明示的な認識および測定
の免除を設けない。
に、事後的判断を使用できる。
従来、ファイナンス・リースに分類されていたリース
修正遡及アプローチでは、リースは以下を開示す
IASB は、企業は、適用開始日に存在するファイナン
ることが要求されている。
ス・リースの会計処理を変更しないことを暫定的に
決定した。
a.
適用開始日時点の加重平均追加借入利子率
b.
以下の差異の説明
セール・アンド・リースバック取引
i. 適用開始日前の年次報告期間の末日に
おいて、IAS 第 17 号「リース」に基づき報
告されたオペレーティング・リースのコミット
メントを割り引いた結果
IASB は、売手-借手は、IFRS 第 15 号にしたがっ
て、売却が生じたか否かを決定するための、過去
のセール・アンド・リースバック取引の再評価を行
わないことを暫定的に決定した。
IAS 第 17 号によりファイナンス・リースに分類され
たセール・アンド・リースバック取引について、売
ii. 適用開始日における累積的キャッチアップ
手/借手は、セール・アンド・リースバック契約特
調整を元帳に転記直後に貸借対照表で認
有の遡及的な会計処理を行わない。代わりに、売
識したリース負債
手/借手は、適用開始日に実行中の他のファイナン
ス・リースと同じ方法で会計処理し、IAS 第 17 号と
同じ方法で売却に係る利得の償却を継続する。
IAS 第 34 号 16A 項により、企業に会計方針の
IAS 第 17 号によりオペレーティング・リースに分類
変更の内容および影響の説明を開示しなけれ
されたセール・アンド・リースバック取引について、
ばならない。IASB は、企業が新たなリース会
売手/借手は、セール・アンド・リースバック契約
計基準の財務諸表に対する具体的な影響に
特有の遡及的な会計処理を行わない。代わりに、
基づき、適用開始年度の期中財務諸表におい
売手/借手は、以下の会計処理を行う。
て、年次財務諸表で要求されている開示と同
様の開示を提供することが適切かどうかを検
討すべきであることを確認した。
• リースバックを適用開始日に実行中の他
のオペレーティング・リースと同じ方法で会
計処理する。
• 市場から外れた条件に関する繰延損益を
適用開始日においてリースバックの使用
権資産の調整として会計処理する。
IFRS Project Insights Leases 12
売手/借手は、適用開始日以降に締結したセール・
アンド・リースバック取引についてのみ、新たなリース
会計基準における部分的利得認識アプローチの適
用が要求される。
サブリース
IASB は、中間の貸手に以下を要求することを暫定的
に決定した。
(i)
適用開始日に実行中のそれぞれのオペレーティン
グ・サブリースについて、それらが新たなリース
会計基準によりオペレーティング・リースまたは
ファイナンス・リースのいずれに分類されるかを
決定するために、再評価を行う(この評価は、
IAS 第 17 号のもとで行われるように原資産を参
照するのではなく、原リースに係る使用権資産を
参照して行われる)。
(ii) この再評価は(遡及的な再評価を行うのではな
IASB と FASB の相違
IASB と FASB は、両審議会が以前に借手につ
いて異なる会計モデルを暫定的に決定したこと
から、経過措置について別個に議論を行った。
FASB の経過措置の要約は、以下で確認できる。
http://www.iasplus.com/en/publications/us/aj
e/2015/0226
発効日-New
IASB は、企業に 2019 年 1 月 1 日以後開始する
事業年度について、新たなリース会計基準を適用
することを要求すること、および、早期適用可能と
することを暫定的に決定した。しかしながら、新た
なリース会計基準を早期適用する企業は、同じ報
告期間において IFRS 第 15 号顧客との契約から
生じる収益も適用しなければならない。
く)原リースおよびサブリースの残存契約期間に
基づく。
(iii) IAS 第 17 号のもとではオペレーティング・リース
に分類されたが、新たなリース会計基準のもとで
はファイナンス・リースに分類されるサブリースに
ついては、適用開始日において締結された新た
なファイナンス・リースとして会計処理する。
リースの定義
IASB は、企業に、新たなリース会計基準において、
検討事項
• 借手について、短期リースを除いて、オペレー
ティング・リースの概念が廃止され、したがっ
て、すべてのリースが財政状態計算書に認識
される。借手のリース資産の使用権とリース料
支払債務について、資産と負債がそれぞれ認
識される。
適用開始日に実行中のすべての契約について、リー
スの定義の適用の免除を認める(要求するのではな
• 判断が含まれる程度のため、堅牢な会計方針
い)ことを暫定的に決定した。したがって、企業は現
行の IAS 第 17 号および IFRIC 第 4 号の要求事項の
リースの契約締結時のリース期間を決定する
もとでリースを含んでいる契約について、新たなリー
ス会計基準を適用した場合にもリースを含んでいるも
を開発する必要があるかもしれない。例えば、
ために、相当の判断が必要となるであろう。
• 個々および/またはポートフォリオ・レベルで、
のとして会計処理を継続する。企業は現行の IAS 第
17 号および IFRIC 第 4 号の要求事項のもとでリース
リースについて追跡を行い、リース期間および
を含んでいない契約について、新たなリース会計基
準を適用した場合にリースとして会計処理する必要
ステムの修正と拡充が必要になるかもしれない。
はない。
支払リース料の決定に必要な計算を行うため、シ
• 借手は、新たなリース・モデルが既存の財務制
限条項に及ぼす影響を考慮しなければならない。
IASB により議論されたアジェンダ・ペーパーでは、
スタッフは、IFRIC 第 4 号とリースの定義に関する
• 借手は、業績指標を変更するかどうか、新しい
IASB の暫定的な決定の適用において、非常に限
リース基準の影響をアナリストに理解させる必
定的な相違しか生じないと予想していることが示唆
要があるかどうかを、検討しなければならない。
されている。この相違は、借手が、その資産の使用
に係る意思決定を行う権利を有していないが、リー
• 借手は、提案されたモデルのため、新規および
ス期間にわたり原資産のアプトプットのすべて(また
既存のリース契約の条件を変更すべきかどう
は、ほとんどすべて)を得る(および、契約が特定の
かを検討しなければならない。2013 年 ED で提
方法で価格を設定している)場合に生じる。そのよう
案されている経過措置の要求事項(まだ IASB
な契約は、IFRIC 第 4 号のもとではリースとなるが、
は議論していない)は、既存のリースについて
新たなリース会計基準のもとではサービスとなる。
も適用除外とならない。
IASB は、また、企業がリースの定義の適用の免除を
選択した場合には、適用開始日に実行中のすべての
次のステップ-Updated
契約についてそれを行い、その事実を開示することを
暫定的に決定した。
表する予定である。
IASB は、最終の会計基準を 2015 年末までに公
IFRS Project Insihts Leases 13
付録 A
2013 年再公開草案の提案の要約
リースの分類
以下は、2013 年 ED に含まれている提案の要約
2013 年 ED では、リースは原資産の性質に応じて
である。
「タイプ A」または「タイプ B」に分類される。土地、
建物、または建物の一部を含む不動産のリース
リースの定義
は、リース期間が原資産の残りの経済耐用年数
2013 年 ED は、リースを「資産を使用する権利(使
の大部分を占める、または固定リース料の現在価
用権資産)を一定期間にわたり対価と交換に移転
値が原資産の公正価値のほぼ全額を占める場合
する契約」として定義した。契約の履行が明示的
を除き、タイプ B のリースに分類される。不動産以
(例えば特定のシリアル番号)または黙示的(例え
外のリースは、リース期間が原資産の経済的耐用
ばリース契約を満たすことが可能な唯一の資産)
年数の重大ではない部分であるか、固定リース料
な特定された資産の利用に依存し、契約が特定さ
の現在価値が原資産の公正価値と比較して重大で
れた資産を使用する権利を一定期間にわたり対
はない場合を除き、タイプ A のリースに分類される。
価と交換に移転する場合には、契約はリースを含
む。特定された資産を使用する権利は、顧客が資
借手の会計モデル
産の使用を指図する能力と、資産の使用から便益
2013 年 ED では、短期リースを除くすべてのリー
を得る能力の双方を有する場合にのみ移転する。
スに「使用権」モデルの適用を提案した。このモデ
契約により可能な最大限のリース期間が、延長オ
プションも含めて、12 ヶ月以内であるリース(短期
リースとして定義されている)は、現行のオペレー
ティング・リースと同様の処理に適格である。その
救済措置の適用の選択は、リースごとではなく資
産の種類ごとの会計方針の選択である。すべての
通知期間を含む当初の解約不能期間が 12 ヶ月以
下である場合、解約可能なリースは、短期リースと
考えられる。
ルでは、借手は、それぞれのリースについて使用
権資産およびリース負債を、財政状態計算書で認
識する。使用権資産およびリース負債は、リース
料の現在価値で当初測定される。リースの交渉お
よび契約の結果として発生する当初直接コスト
は、使用権資産に資産化される。借手のリースの
分類は、使用権資産の事後測定、結果として費用
認識のパターンを決定する。
タイプ A のリースについては、借手は使用権資産
提案の範囲から明示的に除外されているリースに
を規則的な方法で償却する。さらに、リース負債の
は、(1)鉱物、石油、天然ガスおよび類似の非再
利息費用は実効金利法を用いて認識される。この
生資源の探索または使用のためのリース、(2)生
方法においては、利息費用は一般的に時の経過
物資産のリース、(3)無形資産のリース(IASB の
により減少する一方、使用権資産の償却は一定
提案は借手が無形資産のリースにこの提案を適
(定額法)であるか、時の経過により減少する(定
用することは認めている)、(4)IFRIC 第 12 号サー
率法)。
ビス委譲契約 の範囲に含まれるサービス委譲契
約が含まれる。
したがって、リース契約から生じる費用総額は前
倒しとなる。この費用認識のパターンは現行のリー
非リース構成部分を含む契約に対して、企業は、
ス会計のファイナンス・リースの取扱いと整合的で
リース構成部分と非リース構成部分を区別するこ
ある。
とを要求され、非リース構成部分を他の基準に従っ
て会計処理する。借手は、支払をそれぞれの構成
タイプ B のリースについては、借手は単一のリー
部分の観察可能な単独の価格の比に基づいて、
ス費用を定額ベースで認識する。
リース構成部分と非リース構成部分に配分する。
どの構成部分にも観察可能な単独の価格が存在
貸手の会計モデル
しない場合には、借手はすべての構成部分を結合
貸手は、短期リースについて、現行のオペレーティン
し、それらを単一のリースとして処理する。契約の
グ・リース会計モデルを適用することを選択できる。
1 つ以上だがすべてではない観察可能な単独の
短期リースと考えられないリースや貸手が現行の
価格が存在する場合には、配分はそれぞれの構
オペレーティング・リース会計モデルを選択しな
成部分の単独の価格および残りの対価に基づい
かった短期リースについては、貸手は借手と同様
て行われる。1 つ以上の構成部分がリースである
の方法でリースを分類することが要求される。
場合には、当該構成部分は結合され、単一のリー
ス構成要素として会計処理される。貸手は、支払
を、個別の構成部分の単独の価格の比に基づいて
リース構成部分と非リース構成部分に配分する。
IFRS Project Insihts Leases 14
タイプ A のリースについては、貸手はリース資産
変動リース料を伴うリース
の認識を中止し、リース料債権および残存資産を
2013 年 ED は、リース料総額は固定支払(または
認識する。残存資産はリース期間終了時における
実質的な固定支払)および指数や率(例えば CPI
リース対象資産の残存価値に対する貸手の請求
や LIBOR)に基づいて決まる変動支払を含むとし
権を表す。残存資産は(a)リース期間終了時点の
ている。解約ペナルティや購入オプションの支払
見積残存価値の現在価値で測定される総額での
は、リース期間の決定において考慮されている場
残存資産と(b)該当する場合には未稼得利益の
合、リース料総額に含まれる。業績や資産の使用
純額として測定される。残存資産に係る利益は、
に連動した変動リース料は、借手および貸手の双
原資産の売却または再リースまで繰り延べられ
方においてリース料総額から除かれ、それらが発
る。純額の残存資産を構成する 2 つの要素は単一
生した際に、当該期間において純損益に認識され
の金額として表示されるが、企業は、その後の会
る。しかし、貸手については、予想される変動リー
計処理の要求事項を適用するために 2 つの構成
ス料(指数や率に基づくものや、実質的な固定支払
要素を計算しなければならない。貸手は、資産の
以外のもの)は残存資産の当初測定に含まれる。
うちリースされた部分に関して当初に損益を認識
することを要求される。
借手は、リース負債の計算に、残価保証に基づい
て支払うと見込まれる金額を含める。貸手は、相
貸手は、事後的にリース債権を実効金利法によっ
手がリース期間終了時に残存資産の便益を受け
て償却原価で会計処理し、貸手が借手に課す利
取る際に、残価保証に基づいて受取ったかまたは
率で利息収益を認識する。さらに、貸手は事後的
受取るべき金額のみをリース料として認識する。
に、総額での残存資産をリース対象資産のリース
当該状況以外は、貸手は、リースの終了まで残価
終了時の予想残存価値と等しくなる金額まで、貸
保証を認識しないが、リース期間にわたり残存資
手が借手に課すリース契約上の利率を用いてリー
産の減損を評価する際には、残価保証の金額を
ス期間にわたって増価させる。
考慮する。
タイプ B のリースについては、貸手は現行のオペ
レーティング・リース会計と概ね整合的なモデルを
適用する。貸手は、リース資産を引き続き財政状
態計算書に認識する。リース料は、他の規則的な
基礎が利用者の便益の時間パターンのより適切
な表現である場合を除いて、リース期間にわたっ
て定額ベースで認識される。
変動するリース期間を有するリース
2013 年 ED では、リース期間は、借手が原資産を
リースすることを貸手と契約した解約不能期間で
あると提案している。また、リース期間は、リースを
延長するオプションを行使する重大な経済的イン
センティブを有している場合の当該延長オプション
の対象期間、および、リースを解約するオプション
を行使しない重大な経済的インセンティブを有して
いる場合の当該解約オプションの対象期間を含ん
でいる。
借手および貸手は、スポット・レートを用いて各報
告日における指標または率に基づく変動リース料
を見直す必要がある。当期に影響する見直しによ
る変動の範囲で、借手は、変動を純損益に認識す
る。将来期間に関連する部分は、使用権資産およ
びリース負債についての変動となる。一方、貸手
は、指標または率に応じたリース料の変動のすべ
ての金額を純損益に認識する。
表示
借手
財政状態計算書
借手は、短期リースの定義に合致しないすべての
リースについて、使用権資産およびリース負債を
報告する。使用権資産およびリース負債は、それ
ぞれ財政状態計算書において独立表示するか、
財政状態計算書において類似する資産および負
開始日において、企業は、当該評価を行う際に、
債と同じ表示項目に含め、財務諸表の注記におい
契約ベース、資産ベース、企業ベースおよび市場
て独立開示する。使用権資産およびリース負債
ベースの要因を考慮する。
は、財政状態計算書または注記において、タイプ
A のリースとタイプ B のリースとに区別する。
リース期間は、市場ベースの要因(例えば、同等
の資産の市場賃料)以外の 1 つ以上の要因に重
包括利益計算書及びキャッシュ・フロー計算書
大な変化がある場合に見直される。その際には、
包括利益計算書におけるリース関連費用の表示
企業はリースを延長するか、または、リースを解約
およびキャッシュ・フロー計算書における現金支払
する重大な経済的インセンティブを有するか、また
いは、リースの分類による。
は、有していないことになる。
IFRS Project Insihts Leases15
タイプ A に分類されたリースについて、借手は包
貸手に対する重要な開示要求には、以下が含ま
括利益計算書において、リース負債の利息と別個
れる。
に資産の償却/減価償却を報告する。借手は、元
本部分の支払総額(財務活動に表示)と利息部分
(IAS 第 7 号キャッシュ・フロー計算書に従い表示)
とに区分する。
• 変動リース料や期間オプションに関する情報を
含む、リース活動の記述
• すべてのリース関連収益項目に関する表
• リース料を受取る権利(リース債権)に含まれる
タイプ B に分類されたリースについて、借手は包
割引前キャッシュ・フローの満期分析
括利益計算書およびキャッシュ・フロー計算書にお
いて、現行のリース基準におけるオペレーティン
グ・リースと類似した会計処理を行う。すなわち、
借手は、包括利益計算書においてリース負債の
利息および資産の償却/減価償却を 1 つの金額
(リース費用)で報告し、現金支払をキャッシュ・フ
ロー計算書において営業活動に報告する。
• リース料を受取る権利(リース債権)および残存
資産に関する期首残高と期末残高の調整
契約の条件変更
既存のリースに対し重要な変更が生じる契約条件
の変更は、新たな契約として会計処理し、差額は
純損益に認識する。
貸手
割引率
財政状態計算書
借手は、使用可能な場合には貸手が借手に課し
タイプ A に分類されたリースについて、貸手は、リー
ている利子率(例えば、リースの計算利子率、また
ス債権と残存資産を財政状態計算書において別
は、不動産の利回り)を使用してリース料を割引か
個に表示するか、注記で別個に開示する。
なければならない。そうでない場合、借手の追加
借入利子率を使用しなければならない。どのよう
タイプ B に分類されたリースについては、その表示
な場合でも、割引率は、取引の性質およびリース
は、オペレーティング・リースについての現行の実
の特定の条件を反映しなければならない。
務と引き続き整合的である。
貸手は、リースにおいて課している利子率を使用
包括利益計算書およびキャッシュ・フロー計算書
リース収益およびリース費用は、包括利益計算書
において貸手の事業モデルを最も適切に反映す
るよう総額または純額で開示する。タイプ A に分類
されたリースにおいて、貸手は残存資産の増加を
利息収益として開示する。
リースからの現金収入は、キャッシュ・フロー計算
書において営業活動に分類する。
してリース料を割引かなければならない。
割引率は、リース期間、借手が原資産を購入する
オプションを行使する重大な経済的インセンティブ
を有する(またはもはや有しない)かどうかの評価
にあたり関連性のある要因、または参照している
利子率(変動リース料が当該割引率を使用して算
定される場合)のいずれかに変更がある場合にの
み見直さなければならない。
減損
開示要求
借手および貸手は、使用権資産および残存資産
2013 年 ED は、財務諸表利用者がリースから生じ
の評価にあたり、IAS 第 36 号資産の減損のガイ
るキャッシュ・フローの金額、時期および不確実性
ダンスに従う。リース債権は、IAS 第 39 号金融商
を理解できるように、借手および貸手に多くの開示
品:認識および測定における他の金融資産と整合
を要求している。
的に、貸手によって減損の評価が行われる。
借手に対する重要な開示要求には、以下が含ま
契約締結日対契約開始日
れる。
借手および貸手は、リースの開始日においてリー
ス資産およびリース負債を、当初分類、測定およ
• 変動リース料および期間オプションに関する情
報を含む、リース活動の記述
• 割引前リース・コミットメントの満期分析、および
財政状態計算書で報告され金額との調整および
• 借手によって認識される資産および負債の期
首残高と期末残高の調整
び認識する。当該日は、貸手が借手に対し原資産
を使用可能にする日である。
当初直接コスト
当初直接コスト(IAS 第 17 号で定義されている)は
資産化され、借手の使用権資産および貸手のリー
ス債権として認識される金額に加えられる。
IFRS Project Insihts Leases16
セール・アンド・リースバック
経過措置
譲受人が資産の支配を獲得した(売買取引を示
2013 年 ED は、最も古い比較対象期間の期首に
す)かどうかの決定にあたり、企業は、いつ履行義
存在するすべてのリース取引に対する適用を提案
務を満たしたかを確定するため、新たな収益認識
している。
基準の要求事項を適用する。販売が生じたと決定
される場合、リースバック取引は、譲渡人および譲
企業は、移行時に「完全遡及アプローチ」あるいは
受人によって、その他のリースと同様に会計処理
「修正遡及アプローチ」のいずれかを適用する選
される。売却の対価が公正価値ではない場合、ま
択肢を有する。「完全遡及アプローチ」において
たはリース料が現在の市場レートを反映していな
は、借手および貸手は、リースの開始日から最終
い場合、利得または損失は繰り延べられる。
基準書を適用する。一方、「修正遡及アプローチ」
においては、借手が同様の特徴を有するリースの
サブリース
ポートフォリオ(従来、オペレーティング・リースとし
サブリースは、原リースと別個の取引として会計処
て分類)に対して単一の割引率を適用することを
理される。サブリースの貸手は、原リースについて
認めるなどの、移行に係る規定からの一定の救済
借手の会計処理を適用し、サブリースについて貸
措置を提供する。従来、ファイナンス・リースとして
手の会計処理を適用する。サブリースを分類する
分類されていたリースについては、再測定する必
場合、企業は、使用権資産ではなく原資産を参照
要はなく、提案されている要求事項は実質的に、
して、サブリースを評価する。
事後測定に適用する。
また、企業は、契約にリースが含まれているかどう
かの決定、リースの分類、または契約がリース期
間の延長または解約のオプションを含む場合のリー
ス期間の決定に際して、移行時に事後的な判断を
使用することができる。間の延長または解約のオプ
ションを含む場合のリース期間の決定に際して、移
行時に事後的な判断を使用することができる。
デロイト トーマツ グループは日本におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(英国の法令に基づく保証有限責任会社)のメンバーファームおよびそのグ
ループ法人(有限責任監査法人 トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロ
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Deloitte(デロイト)とは、英国の法令に基づく保証有限責任会社であるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(“DTTL”)ならびにそのネットワーク組織を構成
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