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移民による送金は貧困削減的か
移民による送金は貧困削減的か 平成 27 年度 一橋大学経済学部 学士論文 学籍番号:2111074h 氏名:近藤 修司 ゼミナール指導教員:川口 1 大司 概要 本研究は、途上国における移民と送金の増加が、貧困指数にどのような影響 を与えるかを検証したものである。118 ヵ国の途上国の GDP やジニ係数などの マクロデータを 1980 年から 2010 年分を用い、最小二乗推定と固定効果推定に よって回帰分析を行った。その結果、移民と送金は貧困指数に対して有意に負 の関係があることが分かった。既存の研究と照らし合わせ、その結果や係数値 に整合性があることも分かった。本稿の最後に Discussion という章を設け、 「移 民」「送金」「途上国」という 3 つのキーワードに関する言質について触れ、本 論の解釈を深める。 2 目次 第1章 はじめに ....................................................4 1. 1 問題意識 .... ................................................ 4 1. 2 先行研究 ...... .............................................. 5 第2章 使用データと分析方法 ....................................... 8 2. 1 データ ...... ............................................... 8 2. 2 分析方法 .... ............................................... 8 2. 3 仮説 ........ ............................................... 10 2. 4 記述統計 .... ............................................... 10 第3章 結果と解釈 .......... ....................................... 14 3. 1 分析結果 .... ............................................... 16 3. 2 分析結果の解釈 ............................................. 16 3. 2. 1 本論の推定結果の解釈 ................................... 16 3. 2. 2 送金受取額が貧困指数に与えるインパクトの解釈 ........... 17 第4章 Discussion .................................................19 第5章 結論と今後の展望 ...........................................21 5. 1 結論 ........ ............................................... 21 5. 2 今後の展望~より良い推定のために~ ......................... 21 謝辞 ....................... ........................................23 参考文献 ................... ........................................24 付表 ....................... ........................................26 3 第1章 1. 1 はじめに 問題意識 ここ十数年来、いわゆるグローバル化が進み、どの国においても外国人を見 かける機会が多くなり、それは観光客だけでなく、労働者にも当てはまるよう になった。付図1のように、80 年代半ばから移民は急増し、90 年代以降も緩ま る所もなく増加し続けている。ただし、付図1は途上国の総計の推移であり、 国ごとのグラフを作成したところ、国や年によって上下に変動していることも あった。 一方、移民の増加に伴い、移民による途上国への送金額も 2000 年代以降急激 に増加し、世界金融危機によって一時下落したものの、2010 年以降再び緩やか に増加し、2015 年には 4300 億ドルを超える見通しである(付図2)。このよう に送金額が急増した要因は桑原(2005)によると、(1)途上国から先進国への移 民の数の増加、(2)金融技術革新と送金サービス業への新規参入にともなうコ ストの低下およびサービスへのアクセス拡大、(3)各国政府の労働者送金統計 の整備、(4)主要通貨に対するドルの減価に伴うドル表示送金額の増大、とい う 4 つの要因が考えられる。(1)途上国から先進国への移民の数の増加に関し て、その要因は渡部(2007)によると、(A)労働力を補うためという経済的要因と、 それを支えるための移民政策という政治的要因、(B)言語や宗教などの共通性か ら芽生える移民に対する寛容性、という二つの要因が考えられ、また、内多(2009) によると、(a)自国通貨への交換時に生じる通貨切り下げ、(b)先進国における農 業従事者に対する保障政策、という二つの要因が考えられる。(b)に関して説明 を補うと、移民の多くは農業従事者であるため、母国よりも安定的な収入を得 られる機運が高まると、保障政策の厚い先進国に移住するという選択を取る傾 4 向があるからである。 2014 年の送金額の総計は、ODA などの政府や公的機関による途上国への開 発援助資金の 3 倍にも及び、そのインパクトに期待が集まっている。また、政 府や機関を介さず、家計に直接振り込まれるため、送金による影響力は援助資 金よりも直接的であるとも言われている(OECD, 2005)。送金受取額を対 GDP 比で見てみると、より直感的にそのインパクトが大きいであろうことが理解し 易く、2014 年ではタジキスタンで最も高く 42%、次いでキルギスで 30%となっ ている(付図3)。 ここで、開発援助資金の 3 倍にも及ぶ莫大な国際送金は、貧困者の削減など の社会問題を解決するほどのインパクトを実際に有するのかという疑問が浮か んでくる。仮にインパクトを有するとするならば、移民送出国にとって労働者 の国外流出が「頭脳流出」と問題視されているが、その問題を打ち消して余り ある便益がもたらされていることになる。なぜなら、国の発展が目標として据 えるならば、労働力を国外に送り出し、彼らから送金を受け取ることで国内の 貧困が削減し、結果として国の発展に繋がるからだ。また、仮にインパクトを 有さないとするならば、移民受入国にとって単なる資本の流出になるのではな いか。 以上のような背景や疑念から、移民及び移民による国際送金は貧困を削減す るのか、というテーマを扱い、検証していきたい。 1. 2 先行研究 移民(migration)と送金(remittances)をテーマに扱った論文は五万と存 在する。その中でも、移民による送金と貧困の相関関係を扱った論文は多く見 受けられる。Ravallion and Chen(1995)は、67 ヵ国の家計調査によって得たデ 5 ータを使用し、ラテンアメリカやヨーロッパなどの6つの地域ごとに最小二乗 法による回帰分析を行い、移民及び送金は途上国の貧困指数を減少させている とした。Adams and Page(2005)は、Ravallion らによる研究に則り、1980 年か ら 1999 年の 71 ヵ国の家計調査から得た所得のデータをもとに推定を行い、移 民による送金が貧困削減的であることを示した。 所得水準と送金の相関関係に着目した研究も数多くある。Becker(1974)の利 他的モデルによると、母国の家計所得水準と受入送金額は負の相関となること が示されている。つまり、母国の家計所得水準が低いほど送金受入額が多くな るということであり、裕福な家計の方がより多くの送金額を受け取るわけでは ないということである。Aydas et al.(2005)は、トルコ政府の調査による所得デ ータをもとに推定を行い、トルコ国内の所得水準が低い程、国外からの送金受 取額が増加することを示した。これは、Becker の利他的モデルと整合的である。 他方、Semyonov and Gorodzeisky(2005)は、フィリピンでの送金と家計の所得 水準の関係を分析し、所得水準と送金受入額との間に有意な正の関係を示した。 これは、Becker の利他的モデルとは整合的でない。また、雲(2011)は、世界銀 行がタジキスタンで実施している調査「タジキスタン生活水準状況調査」から 得たデータを使用し、家計所得水準が移民送出及び送金額に与える影響を調べ た。その結果、家計所得は移民送出に有意に正の影響を与えているが、家計所 得水準と送金額の間に有意な係数を得られず、所得水準が低い家計に対してよ り大きな額の外国送金受入が見られるわけでなく、移民による送金受入は貧困 削減に親和的でない可能性があるとした。つまり、タジキスタンでは裕福な家 計ほど多くの送金を受け取り、対 GDP で 40%にも及ぶ送金の多くが貧困層には 行き届いていないということである。これは、Becker の利他的モデルと整合的 でない。 6 このように、途上国全体を対象に検証を行った研究では、管見の限り移民と 送金は貧困削減に寄与していることを示している。一方、特定の国ごとに検証 を行った研究では、移民と送金が貧困に与える影響を調べた結果に対立が生じ ている。そして、これらの先行研究における限界として、付図2のように送金 額が急激に増加し始める 2000 年代初頭以前のデータをもとに推定を行ってい ることが挙げられる。そのため本稿では、2010 年までの送金データを用い、 Ravallion 及び Adams らの研究に則り、経済発展を続けている途上国における 送金受入額の増大が貧困削減に対してどれほどのインパクトを有するのかを明 らかにする。 7 第2章 2. 1 使用データと分析方法 データ 貧困率、貧困ギャップ率、GDP、人口、ジニ係数、移民送出数を、世界銀行 と 30 以上のパートナー機関から集められたデータを基にした世界開発指標 (WDI)データセットから引用する。送金額に関しては、IMF の Balance of Payments Statistics Yearbook から引用する。対象とする年は収集できるデー タの制約から、1980 年、1985 年、1990 年、1995 年、2000 年、2005 年、2010 年の計 7 ヵ年分である。 対象とする国は、世界銀行が 2016 年から会計制度に 導入するために定義した中所得国1以下 135 ヵ国の内、送金額や移民のデータが 揃った 118 ヵ国とする。記述統計量は本章の最後に触れる。 2. 2 分析方法 本 稿 で は 、 Ravallion and Chen (1997) に よ っ て 提 唱 さ れ た 以 下 の growth-poverty model を用いることで、移民と送金が途上国における貧困にど のような影響を与えるかを分析する。 log𝑃𝑖𝑡 = 𝛼𝑖 + 𝛽1 log 𝜇𝑖𝑡 + 𝛽2 log 𝑔𝑖𝑡 + 𝛽3 log 𝑥𝑖𝑡 + 𝜀𝑖𝑡 ( 𝑖 = 1 , . . . , 𝑁 ; 𝑡 = 1 , . . . , 𝑇𝑖 ) 𝑃 は途上国𝑖 における𝑡 年の貧困指数、𝛼 は定数項、𝜇 は一人当たりの所得、𝑔 は ジニ係数、𝑥 は移民数や送金額などの最も興味のある変数であり、𝜖 は誤差項で ある。変数の自然対数値をとっているのは、国の規模や経済に大きな variance が見られるため、弾力性を結果として示すことで、その係数の意味合いを直感 1 Low-income economies : 一人当たり GNI が$1,045 以下 Lower-middle- income economies : 一人当たり GNI が$1,046~$4,125 Upper-middle-income economies : 一人当たり GNI が$4,126~$12,735 8 的に理解し易くするためである。 このモデルは、 (1)経済成長、つまり一人当たり GDP の増加は、貧困を削減 する、(2)より所得分配が不平等な国であるほど、より貧困を削減する、とい う2つの仮定のもとに成り立っている。 (2)に関しては、Ravallion(1997)が 23 の発展途上国の二時点を比較し、線形モデルを使用して回帰分析を行った結果 に基づくものである。本稿では、上記のモデルをもとに最小二乗推定と固定効 果推定を行う。 変数について補足をする。まず、本稿では貧困線を 一日当たりの所得が $1.90(2011PPP)とし、貧困線を下回る水準にある人々を貧困者とする。被説明 変数に関して、貧困率と貧困ギャップ率を用いるが、貧困率は人口に占める貧 困者の割合であり、貧困ギャップ率は貧困者の貧困線との平均乖離率である。 例えば、貧困ギャップ率が 10%であることは、貧困者の一日当たりの所得の平 均は$1.71 であることを意味する。つまり、貧困ギャップ率は貧困の深度を測る ものである。説明変数に関して、一人当たり GDP を用いるが、本来は家計調査 から得た収入または支出のデータの方が推定にはふさわしい(Deaton, 2011)が、 118 ヵ国のマイクロデータを収集することは非常に困難であるため、本稿ではそ の近似値として一人当たり GDP を用いる。ただし、GDP には送金額は含まれ ていない。ジニ係数は、所得分配の不平等(所得格差)を示す指標であり、0 から 1 の値を取り、数値が大きい程格差が大きいことを示す。 また、上記のモデルにダミー変数として地域ダミーを加える。118 ヵ国を、 Europe, Central Asia、Middle East, North Africa、Latin America、South Asia、 East Asia、Sub-Saharan Africa の 6 つの地域に分け、主な移民受入国との距離 や経済規模などの特性をコントロールする。各国の地域の区分に関しては、世 界銀行が行っている区分を参考にした。脚注にも示した、対象国を 3 つに区分 9 した経済規模ダミーも考慮したが、6 つの地域ごとに経済規模の variance があ まりないため、同様の研究を行った Adams and Page(2005)に倣い、地域ダ ミーを使用する。 2. 3 仮説 一人当たり GDP𝜇 の係数は負、ジニ係数𝑔 の係数は正、移民の割合と一人当 たり送金受入額𝑥 の係数は負の値を取り、移民と送金そして経済成長は貧困を削 減し、所得の不平等が大きいほど貧困は大きく削減されるという仮説を立てる。 𝑥の係数に関して、その値が限りなく 0 に近い数字を取るならば、移民は送出国 にとっては頭脳流出であり、受入国にとっては資本の流出である可能性がある とする。 2. 4 記述統計 記述統計量をまとめると以下表1のようになった。各変数の値は全て、推定 の対象となる 118 ヵ国の 1980 年、1985 年、1990 年、1995 年、2000 年、2005 年、2010 年と 5 年刻みの 7 ヵ年分の記述統計であることに注意されたい。より 詳細な記述統計量は付表 1 を参照されたい。そして、表2は移民の割合の高い 国と低い国を中央値で区分し、表1と同様に 7 ヵ年分を対象にそれぞれの記述 統計量をまとめたものである。 表1.記述統計量 貧困率 (%) 貧困ギャップ率 (%) 平均値 標準偏差 21.19 22.04 8.26 12.05 10 移民の割合 (%) 4.12 6.43 一人当たり年間送金受取額 ($) 67.72 115.32 一人当たり GDP($) 1679.10 1600.82 ジニ係数 0.42 観測数 826 0.10 表2.移民の割合を中央値で分けた記述統計量 上位 50% 下位 50% 平均値 標準偏差 平均値 標準偏差 貧困率 (%) 17.61 19.45 24.78 23.87 貧困ギャップ率 (%) 6.80 8.24 9.71 10.88 移民の割合 (%) 7.06 8.12 1.18 1.25 一人当たり送金受取額 ($) 73.92 117.68 61.51 112.99 一人当たり GDP($) 1951.26 1671.10 1406.94 1481.59 0.10 0.43 0.09 ジニ係数 0.41 観測数 413 413 表1より 5 人に 1 人以上が貧困状態にあり、1980 年と昔のデータも含まれて いるとはいえ、途上国の貧困は深刻であることが分かる。また、移民の割合は 25 人に 1 人と多く感じられる。一人当たり GDP に関しては、非常に少ないよ 11 うに感じるが、データにはサハラ砂漠以南の国々が多く含まれており、昔のデ ータも混在された結果であるので、妥当な数字であると言える。ジニ係数に関 して、此本(2007)によれば、ジニ係数が 0.5 から 0.6 は慢性的に暴動が起こりや すいレベルとされており、記述統計の数値はその水準に近く、非常に高い水準 にあると言える。そして、最も注目すべき点は、貧困ギャップ率と一人当たり 年間送金受取額である。一人当たり年間送金受取額は$ 67.72 であり、現在の為 替レートで円換算すると約 8000 円である。この数値は我々先進国の人間にとっ ては非常に少額であるように感じる。しかし、1 日当たりに換算すると、約$ 0.18。 貧困ギャップ率は 8.26 %なので、一人当たり 1 日の平均所得は約$ 1.74 である。 つまり、もし仮に送金が平等に分配されれば、貧困は大きく削減されることに なるだろう。しかし、実際送金は移民送出世帯の家族が受け取るので、この仮 説は実現しないだろう。ただ一つ言えることは、一人当たり送金受取額の規模 は非常に大きく、貧困削減に対する影響力も期待できるものであるということ である。 一方、表2から分かる通り、移民の割合が高い国のグループは低い国のグル ープと比較して、経済的に豊かで、貧困の割合も度合も低い。つまり、移民を 多く送出している国は、低中所得国の中でも比較的経済発展の進んでいる国で ある。このことから、二つの可能性を挙げることができる。一つ目は、経済的 余裕がある人々がより良い所得を求めて移民となる傾向があり、貧困者が移民 となることは比較的少なく、貧困から脱却できていないという可能性である。 仮にそうであれば、送金が貧困削減に与える影響は小さい。二つ目は、経済発 展が進んでいる国ほど移住できる環境が整っている等の理由から、貧困者も移 民となることができ、より良い所得を得て貧困から脱却できるが、経済発展が 遅れている国では移民となることが難しく、貧困者が貧困から脱却することが 12 難しいという可能性である。この場合、送金が貧困削減に与える影響は確かに あるが、国の経済発展の度合いに依存してしまう。次章では、推定結果をもと に、ミクロ的視点から考察をした先行研究を引用しつつ、これらの可能性につ いて考察する。 13 第3章 結果と解釈 分析の結果をまとめると以下のようになった。表中の移民は移民の割合、送 金額は一人当たり送金受取額、GDP は一人当たり GDP (PPP(constant 2011 international $))の略称であり、各変数は第 2 章で言及した通り自然対数値を取 った結果である。また、( ) 内の数字は標準誤差である。そして、表の(1) (3) (5) (7)は地域ダミーを入れないで推定を行った結果、表の(2) (4) (6) (8) は地域ダミーを入れて推定を行った結果である。より詳細な結果は、付表を参 照されたい。 表3.移民シェアを説明変数とした最小二乗推定 貧困率 (1) 貧困ギャップ率 (2) (3) (4) 移民 -0.20(0.05)** -0.25(0.06)** -0.18(0.06)** -0.26(0.07)** GDP -1.15(0.08)* -0.96(0.10)** -1.30(0.10)** -1.14(0.12)** 4.85(0.40)** 4.40(0.59)** ジニ係数 3.43(0.34)** R2 0.64 3.24(0.50)** 0.67 0.65 0.68 "Notes : All variables expressed in logs. Standard errors in parentheses. ✻ p < 0.05, ✻✻ p < 0.01" 14 表4.一人当たり送金受取額を説明変数とした最小二乗推定 貧困率 貧困ギャップ率 (5) (6) (7) (8) 送金額 -0.11(0.05)* -0.10(0.05)* -0.14(0.06)** -0.14(0.06)* GDP -1.05(1.00)** -0.90(0.11)** -1.18(0.11)** -1.06(0.13)** ジニ係数 3.58(0.38)** 3.31(0.60)** 4.98(0.44)** 4.36(0.70)** R2 0.60 0.62 0.63 0.65 "Notes : All variables expressed in logs. Standard errors in parentheses . ✻ p < 0.05, ✻✻ p < 0.01" 表5.固定効果推定 貧困率 (9) 移民 (11) -1.29(0.11)** 0.57 (12) -0.11(0.08) -0.16(0.04)** ジニ係数 3.98(0.40)** R2 (10) -0.14(0.07)* 送金額 GDP 貧困ギャップ率 -0.20(0.05)** -1.09(0.13)** -1.52(0.13)** -1.29(0.15)** 4.29(0.45)** 5.50(0.47)** 5.86(0.52)** 0.63 0.59 "Notes : All variables expressed in logs. Standard errors in parentheses . ✻ p < 0.05, ✻✻ p < 0.01" 15 0.65 3. 1 分析結果 表2の(2) (4)を見て分かる通り、国際移民に関して移民が 10%増加すると、 貧困率が 2.5%減少、貧困ギャップ率が 2.6%減少することが分かった。また、 表3の(6) (8)から、国際送金に関して一人当たり送金受取額が 10%増加する と、貧困率が 1.0%減少、貧困ギャップ率が 1.4%減少することが分かった。そ して、固定効果推定を行った結果である表7から、国際移民は貧困率に対して、 国際送金は貧困率と貧困ギャップ率に対して有意な結果を得られた。 一人当 たり GDP が表すべての貧困率、貧困ギャップ率に対して有意に負の係数を得た ことから、経済成長は貧困削減に寄与していることが分かった。また、ジニ係 数が表すべての貧困率、貧困ギャップ率に対して有意に正の係数を得たことは、 Ravallion の仮説と整合的である。つまり、より所得分配が不平等な国ほど、よ り貧困削減的であった。これらの結果から、第 2 章で立てた仮説と整合的であ ることが分かる。 3. 2 分析結果の解釈 3. 2. 1 本論の推定結果の解釈 本論によって導き出された推定結果と既存の研究結果を比較することで、本 論の解釈を深める。 Adams and Page(2005)は、Ravallion and Chen(2005)が提唱するモデ ルをもとに、71 ヵ国の 1980 年から 1999 年の 20 年間の家計調査によって得た 所得データを説明変数として用い、説明変数と被説明変数の同時性によって生 じる内生性バイアスを取り除くために操作変数法を用いて分析を行った。その 結果、国際移民に関して、移民が 10%増加すると、貧困率が 2.1%、貧困ギャ ップ率が 2.0%減少し、国際送金に関して、送金受取額が 10%増加すると、貧 16 困率が 3.5%、貧困ギャップ率が 3.9%減少する、という結論を導き出した。所 得の近似値として一人当たり GDP を説明変数として使用し、操作変数を扱わな い最小二乗推定を行った本論と、国際移民の割合の結果に関して概ね一致して いることが分かる。国際送金額に関しては乖離が見られるが、2000 年代から送 金額が急激に変動したことが原因として考えられ、Adams らの研究と整合的で あると言える。また、Adams らが操作変数として、移民受入国と送出国との距 離、移民の教育水準、移民送出国の政府安定水準、の 3 つを用いて推定を行っ ているが、どの変数も操作変数として妥当か疑わしい。なぜなら、操作変数と 被説明変数の逆因果の可能性から、操作変数と誤差項と相関している可能性が ある。よって、操作変数法を扱わなかった本論と整合的な結果を得たのではな いかと解釈できる。 3. 2. 2 送金受取額が貧困指数に与えるインパクトの解釈 一人当たり送金受取額が 10%増加すれば貧困率が 1.0%減少するという結果か ら、確かに送金は貧困に対して有意に負の影響を与えることが確認できたが、 開発援助資金の 3 倍にも及ぶ国際送金額のインパクトは想定していたよりも小 さいのではないかと感じた。 雲(2011)は、世界銀行がタジキスタンで実施している調査「タジキスタン 生活水準状況調査」から得たデータと、タジキスタン人の主な移住先であるロ シア連邦の内部資料を使用し、家計所得が移民送出及び送金額に与える影響を 調べた。その結果、家計所得は移民送出に有意に正の影響を与えているが、家 計所得水準と送金額の間に有意な係数を得られなかった。雲はこれを、所得水 準が低い家計に対してより大きな額の外国送金受入が見られるわけでなく、送 金を受け入れる側の家計の所得水準が低いほど送金を行う側からの送金規模が 17 拡大するという利他的モデルは該当しない、かつ所得の高い家計ほど移民送出 の可能性が高いと考察している。つまり、移民による送金受入は貧困削減に親 和的でない可能性があることを示した。これは、第2章で述べた可能性を指し 示す見解となっている。 雲の研究から、タジキスタンにおいて送金額が貧困削減に与えるインパクト が小さいのであれば、他国でも同様の結果を得られる可能性があり、結果とし て 118 ヵ国の合算値である送金受取額の係数が小さくなった可能性があると解 釈できる。実際、各国固有の特性を取り除いた固定効果推定を行った結果は、 最小二乗推定による結果から得られた値よりも大きな値を取り、最小二乗推定 では一人当たり送金受取額が 10%増加すれば貧困率が 1.0%減少するという結果 であったのに対し、固定効果推定では一人当たり送金受取額が 10%増加すれば 貧困率が 1.6%減少するという結果であった。これは、移民送出国の経済規模や 送金受取額が様々であるため、最小二乗法によって過少に推定されていた値が、 より現実の効果に近い数値になったためであろう。 18 第4章 Discussion 本章では、移民による送金は削減的であるという仮説を立て、World Bank と IMF のデータを用いた回帰分析によって検証を行い、送金と貧困には統計的に 有意な負の関係が確認されたという仮説と整合的な結果を導いた本稿の本流と は少し違う視点から、その対立的立ち位置にある見解を紹介しつつ、本論の理 解を深めたい。 第1章でも紹介したように、移民は貧困削減的でない可能性があることを示 した論文は多く見受けられる。その見解を表す一つの概念として頭脳流出、 brain drain がある。頭脳流出とは、高度な知識や技術を持つ人材が、より生活 水準が高く、安全で自由な環境であり、高所得の見込める国へ移住する現象で ある(村上、2008)。彼らは国の経済や社会の発展に大きな役割を果たすことが期 待される、人的資本の要であるため、頭脳流出は送出国側から見ると、高度な 知識や技能、高い生産力が失われることを意味し、貧困から脱却することが難 しくなり、また、高等教育に対する国の投資が回収されないという問題が生じ る。世界銀行は 2011 年にマレーシアにおける頭脳流出に関するレポート 「Malaysia Economic Monitor」を発表した。成長が著しく、移民送出国として も中位層である東南アジアにおいて最も高い経済力を誇るマレーシアで、全出 移民に占める高度人材2の割合が増加しているとして、brain drain という言葉を 用いて警鐘を鳴らし、これにより、様々な言論や実証研究がなされた。 しかし、そのような見解は近年否定され始めている。つまり、brain drain は 論じられているほど深刻でなく、深刻化もしていないという議論が始まってい るということである。頭脳流出に対して、頭脳還流という概念がある。頭脳還 2高等教育を修了した 25 歳以上の出移民(田中、2015) 19 流は、高度な知識や技術を持つ人材が、移住先で知識や技術に磨きをかけ、経 験も蓄積したうえで母国に帰還することを表す。人的資本としての価値を上げ、 生産性を向上させて帰国することは、移民送出国にとって望ましいことである。 田中(2015)はマレーシアにおけるデータを定量的、定性的に分析し、(1)頭脳 の供給が流出を上回っており、高度人材の流出量の増加速度は緩やかになって きている、(2)政治的問題からメディアによって発信される情報が誇張されて いる可能性がある、という二つの論点から頭脳流出が問題ではない可能性があ ることを示した。また、Beine & Docquier(2011)は 147 ヵ国の 26 年分のパネル データを使用して回帰分析を行い、低所得国からの送出移民に人的資本の蓄積 に有意な係数を得た。 移民、送金、貧困という 3 つのキーワードに関する言質は多種多様に存在す るが、既存の研究を参考にし、定量的、定性的、計量的見地から、移民及び移 民による送金は貧困削減的であり、かつ移民は母国の経済にもプラスの影響を 与えることが示された。 20 第5章 結論と今後の展望 5. 1 結論 本稿は、先行研究やその他の研究と比較して新しいデータセットを用いて 118 ヵ国の途上国における移民と送金が貧困に与える影響を推定し、マクロ・ミク ロ両面の視点から考察を行った。この点に関して、本稿は意義のあるものとな ったであろう。そして、推定の結果から、途上国において移民と送金は貧困に 対して統計的に強く有意に負の関係があることを明らかにした。途上国におけ る移民の割合が 10%増加すれば、一日に$1.90 以下で生活する人々が 2.5%減少 し、同様に、途上国における一人当たり送金受取額が 10%増加すれば、一日に $1.90 以下で生活する人々が 1.0%減少することが分かった。このことから、移 民や移民による送金によって国を跨いだ経済格差が是正されていけば、貧困が 削減されていくという期待ができる。また、現在の世界的な送金手数料の水準 は 9%で、途上国における送金手数料はこの水準よりも高い。仮に手数料を撤廃 するだけでも、上記のように貧困削減に寄与することも可能である。しかし、 国を跨いだ送金は金融機関にとってもコストがかかるため、送金手数料の水準 を下げる、または途上国における送金手数料を世界的な水準に近づけるなどの 施策がなされることが望ましい。 5. 2 今後の展望~より良い推定のために~ 本稿における推定には、データに関していくつかの制約があった。 まず一つ目に、移民と送金のデータに問題があることである。移民数と送金 額は、公的機関や金融機関の協力の下、公式な形の移住と送金に関しては正確 な数値を表している。しかし、数えきれないほどの不法移民や違法送金、そし 21 て虚偽の申告のため、その数値は実際の数値を捉えているとは言えない。例え ば、様々な社会問題について情報収集を行う Pew Research Center によれば、 2014 年度のアメリカにおける不法移民は 1000 万人を超えたとされている。ま た、独自のヒアリング調査によって得たデータをもとにバングラデシュにおけ る送金と所得分配の相関関係を検証した石田(1998)によれば、金融機関を通 さない手渡しによる送金や、税金対策のために送金受取額が過少に申告さてい るケースが多く見受けられるため、正確な送金受取額を把握することが難しい。 そのため、データ収集を行うシンクタンクは、明らかになった不法移民や違法 送金などを計上するなどの施策を行うことが望ましい。 二つ目に、送金先のデータが不十分であることである。多くの先進国では、 どの国にどれ程の送金が行われたかというデータを収集、公表しているが、途 上国においては不十分である。そのため、推定のためのサンプルサイズが小さ くなってしまう。今後十分なデータの蓄積が行われれば、送金手数料を操作変 数とした推定を行うなどして、より良い推定が行えるだろう。 22 謝辞 本稿執筆に当たり、指導教員である川口大司教授をはじめ、原ひろみ准教授、 川口大司ゼミナールの同僚には多くの助言を頂きました。ここに感謝の意を表 します。 23 参考文献 [1] Adams, R. and J. 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[16] 此本臣吾. (2007). 中国の目指す新国家像としての 「社会主義和諧社会」. [17] 田中李歩. (2015). マレーシアにおける頭脳流出: 実態の再検討と 「問題化」 の理解を試みて. [18] 野田順康. (2009). アジアの都市・経済成長と格差の関係に係る一考察. 九 州経済学会年報, 47, 141-146. [19] 渡部和男. (2007). スペインの移民問題-中南米よりの移民動向分析. 神戸 大學經濟學研究年報, 54, 85-106. 25 付図・付表 付図1.国際移民数の推移 230 210 190 million(people) 170 150 130 110 90 70 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 出所)世界銀行(World Bank) Webサイト(http://data.worldbank.org/indicator)より筆者作成 26 付図2.途上国への送金額の推移 450 400 350 billion($) 300 250 200 150 100 50 0 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 出所)世界銀行(World Bank)Webサイト(http://data.worldbank.org/indicator)より筆者作成 付図3.国際送金受取額対 GDP 比上位 10 ヵ国(2014 年) 45% 40% 35% 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 出所) 世界銀行(World Bank) Webサイト(http://data.worldbank.org/indicator)より筆者作成 27 表 1 記述統計量 Poverty headcount ratio(%) Mean Min Max 21.193 0.100 84.740 0.010 44.540 0.166 0.630 (22.041) Poverty gap ratio(%) 8.257 (12.050) GINI index 0.421 (0.097) Migration share(%) 4.119 0.031 50.479 0.007 753.095 68.567 8442.589 (6.433) Remittances per capita per year($) 67.724 (115.319) GDP per capita($) 1679.095 (1600.821) East Asia dummy 0.127 0 1 Europe, Central Asia dummy 0.186 0 1 Latine America dummy 0.169 0 1 Middle East, North Africa dummy 0.093 0 1 South Asia dummy 0.068 0 1 Number of observation 826 28 付表 2 移民割合を説明変数、 貧困率を被説明変数とした最小二乗推定 Poverty headcount ratio at $1.90 a day (2005 PPP) (% of population)) Migration as share of country population -0.204** (0.050) GDP per capita, PPP(constant 2005 -1.151** international $) (0.084) GINI index 3.430** (0.343) 13.842** 定数項 (0.756) R2 0.64 観測数 826 * p<0.05; ** p<0.01 ( ) 内の数字 : 標準誤差 29 付表 3 地域ダミーを加え、移民割合を説明変数、 貧困率を被説明変数とした最小二乗推定 Poverty headcount ratio at $1.90 a day (2005 PPP) (% of population)) Migration as share of country population -0.245** (0.058) GDP per capita, PPP(constant 2005 -0.959** international $) (0.101) GINI index 3.242** (0.500) East Asia -0.765* (0.308) Europe, Central Asia -0.618* (0.287) Latin America -0.579* (0.259) Middle East, North Africa -0.694* (0.308) South Asia 0.214 (0.351) 12.741** 定数項 (0.836) 30 R2 0.67 観測数 826 * p<0.05; ** p<0.01 ( ) 内の数字 : 標準誤差 31 付表 4 移民割合を説明変数、 貧困ギャップ率を被説明変数とした最小二乗推定 Poverty gap ratio at $1.90 a day (2011 PPP) (% of population)) Migration as share of country population -0.182** (0.059) GDP per capita, PPP(constant 2005 -1.304** international $) (0.098) GINI index 4.846** (0.403) 14.961** 定数項 (0.889) R2 0.65 観測数 826 * p<0.05; ** p<0.01 ( ) 内の数字 : 標準誤差 32 付表 5 地域ダミーを加え、移民割合を説明変数、 貧困ギャップ率を被説明変数とした最小二乗推定 Poverty gap ratio at $1.90 a day (2005 PPP) population)) Migration as share of country population -0.255** (0.068) GDP per capita, PPP(constant 2005 -1.143** international $) (0.119) GINI index 4.396** (0.589) East Asia -1.032** (0.363) Europe, Central Asia -0.570 (0.339) Latin America -0.433 (0.305) Middle East, North Africa -0.864* (0.363) South Asia 0.090 (0.414) 13.872** 定数項 (0.985) 33 (% of R2 0.68 観測数 826 * p<0.05; ** p<0.01 ( ) 内の数字 : 標準誤差 34 付表 6 送金受取額を説明変数、 貧困率を被説明変数とした最小二乗推定 Poverty headcount ratio at $1.90 a day (2005 PPP) (% of population)) Personal remittances, received, -0.113* PPP(constant 2005 international $) (0.048) GDP per capita, PPP(constant 2005 -1.052** international $) (0.099) GINI index 3.580** (0.380) 13.539** 定数項 (0.839) R2 0.60 観測数 826 * p<0.05; ** p<0.01 ( ) 内の数字 : 標準誤差 35 付表 7 地域ダミーを加え、送金受取額を説明変数、 貧困率を被説明変数とした最小二乗推定 Poverty headcount ratio at $1.90 a day (2005 PPP) (% of population)) Personal remittances, received, -0.099* PPP(constant 2005 international $) (0.050) GDP per capita, PPP(constant 2005 -0.897** international $) (0.113) GINI index 3.313** (0.600) East Asia -0.279 (0.316) Europe, Central Asia -0.656 (0.337) Latin America -0.317 (0.285) Middle East, North Africa -0.321 (0.347) South Asia 0.457 (0.389) 12.375** 定数項 (0.946) 36 R2 0.62 観測数 826 * p<0.05; ** p<0.01 ( ) 内の数字 : 標準誤差 37 付表 8 送金受取額を説明変数、 貧困ギャップ率を被説明変数とした最小二乗推定 Poverty gap ratio at $1.90 a day (2005 PPP) population)) Personal remittances, received, -0.144** PPP(constant 2005 international $) (0.055) GDP per capita, PPP(constant 2005 -1.183** international $) (0.114) GINI index 4.979** (0.438) 14.584** 定数項 (0.968) R2 0.63 観測数 826 * p<0.05; ** p<0.01 ( ) 内の数字 : 標準誤差 38 (% of 付表 9 地域ダミーを加え、送金受取額を説明変数、 貧困ギャップ率を被説明変数とした最小二乗推定 Poverty gap ratio at $1.90 a day (2005 PPP) population)) Personal remittances, received, -0.140* PPP(constant 2005 international $) (0.058) GDP per capita, PPP(constant 2005 -1.062** international $) (0.132) GINI index 4.363** (0.696) East Asia -0.551 (0.366) Europe, Central Asia -0.631 (0.391) Latin America -0.090 (0.231) Middle East, North Africa -0.425 (0.403) South Asia 0.360 (0.451) 13.365** 定数項 (1.099) 39 (% of R2 0.65 観測数 826 * p<0.05; ** p<0.01 ( ) 内の数字 : 標準誤差 40 付表 10 移民割合を説明変数、 貧困率を被説明変数とした固定効果推定 Poverty headcount ratio at $1.90 a day (2005 PPP) (% of population)) Migration as share of country population -0.140* (0.067) GDP per capita, PPP(constant 2005 -1.285** international $) (0.107) GINI index 3.976** (0.397) 15.256** 定数項 (0.895) R2 0.57 観測数 826 * p<0.05; ** p<0.01 ( ) 内の数字 : 標準誤差 41 付表 11 移民割合を説明変数、 貧困ギャップ率を被説明変数とした固定効果推定 Poverty gap ratio at $1.90 a day (2011 PPP) (% of population)) Migration as share of country population -0.109 (0.079) GDP per capita, PPP(constant 2005 -1.523** international $) (0.126) GINI index 5.495** (0.465) 17.065** 定数項 (1.050) R2 0.63 観測数 826 * p<0.05; ** p<0.01 ( ) 内の数字 : 標準誤差 42 付表 12 送金受取額を説明変数、 貧困率を被説明変数とした固定効果推定 Poverty headcount ratio at $1.90 a day (2005 PPP) (% of population)) Personal remittances, received, -0.159** PPP(constant 2005 international $) (0.044) GDP per capita, PPP(constant 2005 -1.087** international $) (0.127) GINI index 4.292** (0.445) 14.508** 定数項 (0.997) R2 0.59 観測数 826 * p<0.05; ** p<0.01 ( ) 内の数字 : 標準誤差 43 付表 13 送金受取額を説明変数、 貧困ギャップ率を被説明変数とした固定効果推定 Poverty gap ratio at $1.90 a day (2005 PPP) population)) Personal remittances, received, -0.199** PPP(constant 2005 international $) (0.050) GDP per capita, PPP(constant 2005 -1.294** international $) (0.149) GINI index 5.862** (0.515) 14.584** 定数項 (1.161) R2 0.65 観測数 826 * p<0.05; ** p<0.01 ( ) 内の数字 : 標準誤差 44 (% of