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地域と共に生きる身近な銀行を目指して
第2章 社会貢献活動事例 事例 1 地域と共に生きる身近な銀行を目指して 株式会社足利銀行 事例 1.地域と共に生きる身近な銀行を目指して(株式会社足利銀行) 株式会社足利銀行は、 「地域と共に生きる」の企業理念に基づき、持続的な地域社会の発 展に寄与するための取組を積極的に行い、企業としての社会的責任を果たしている。特に、 二酸化炭素の削減や特定非営利活動法人足尾に緑を育てる会(日光市)との協働による植 樹活動や、本業を生かした「あしぎんキッズスクール」などの社会貢献活動に重点を置い ている。また、従業員による自主的なボランティア活動も □■□会社概要□■□ 栃木県を中心とした 147 店舗 において、顧客に信頼され頼り にされる銀行として、また、持 積極的に推進している。 一時国有化から脱した 2008 年 10 月には広報室を CSR・社会貢献活動の統括部署として明確に位置付け、以 続的な地域経済の発展に貢献 後、CSR・社会貢献活動の取組を拡充・強化している。こ する銀行として、地域に密着し のような活動が、ステークホルダー(利害関係者)へのア た総合金融サービス業の実現 ピールや企業イメージの向上、ひいては従業員のモチベー に取り組んでいる。 ■□■企業データ■□■ ●企業理念 「豊かさの創造に 寄与する」 、 「地域と共に生き ション向上にも繋がっている。 今後は、足利銀行の持つ地域ネットワークを生かし、活 動の充実を図ろうとしている。 る」 、 「誇りと喜びをもって行動 する」 金融知識の普及 ●代表者 藤澤 智(代表執行役頭取) ●所在地 〒320-8610 栃木県宇都宮市桜 4-1-25 1895 年 ●設立年 ●従業員数 2,714 名 (2011 年 3 月現在) ●店舗数 ●TEL 147 店舗 028-622-0111(代表) ●CSR・環境レポート URL http://www.ashikagabank.co.j p/ashigin/disclosure.html 金融庁の指針(中小・地域金融機関向けの総合的な監督 指針)のもと、金融知識の普及に向けた社会貢献活動を実 施している。 具体的には、地元の小学生から大学生までの職場体験の 受け入れや校外体験学習を行っているほか、銀行業務に関 心のある学 生の就業体 験の場とし て、大学生・ 短大生のイ ンターンシ ップを受け 入れている。 また、2010 年 4 月より、 11 校外体験学習の様子 第2章 社会貢献活動事例 事例 1 地域の発展や社会貢献及び人材育成に資す 組みやその機能及び金融政策等について学 る取組の一環として、 宇都宮大学において、 ぶ講座「一地方銀行の歴史に学ぶ金融論」 金融論の主要なテーマである金融市場の仕 を開講している。 あしぎんキッズスクールの開催 8 月の夏休み期間中に、地域の子どもた 木県金融広報委員会が担当した。午後から ちにお金の大切さや銀行の役割を楽しく学 は、参加者を 4 グループに分けてグループ んでもらおうと、栃木県金融広報委員会と ごとに銀行内の見学ツアーをした。金庫室 連携し、地域の小学生を対象とした『あし の扉の厚さを手を広げて体感したり、ATM ぎんキッズスクール「お金の体験学習」』 の裏側で作動している様子を見たり、お金 を本店で開催、2010 年度は 24 組 58 名が の重さを体感してもらうために、研修用の 参加した。開催のきっかけは、他行で行っ お札を利用し、参加者に 1 億円の重さを体 ていたキッズスクールに関する情報を得た 験してもらった。実際に 1 億円分の 1 万円 事である。 札を手にした子どもからは「思ったよりも 午前中は、「おこづかいゲーム」や「お 重かった」という声が聞かれるなど、子ど 金に関するクイズ」、預ける(預金)、支 もならではの質問も飛び交い、充実した見 払う(引き出し)、送る(送金)の 3 つに 学ツアーとなった。現在は、年 1 回の開催 特化して銀行の役割の説明等をした。また ではあるが、複数日開催して欲しいとの要 保護者に対しては、子どもに対してどうい 望もあり好評なイベントである。 う金銭感覚の教育をすれば良いかなどの話 をしている。「おこづかいゲーム」とは、 1 か月間のお金の出来事を記入したカード (31 枚)を 1 枚ずつ引き、おこづかい帳に 記入していくゲームである。必要なものと 欲しいものの違いを理解し、計画性のある お金の使い方や、 自分で考え行動できる力、 無駄使いをせず、物やお金を大切にする気 持ちを育てることなどを学ぶゲームで、栃 あしぎんキッズスクールでの様子 「あしぎん YOU-I 運動」の取組 1990 年から社内の自主的なボランティ 件となった。 ア活動を推進する 「あしぎん YOU-I 運動」 ボランティア活動の機会や情報は、社内 を行っている。これまでに、地域イベント のイントラネットで従業員全員が閲覧可能 への参加、清掃活動、献血協力、各種募金 な状態になっており、情報提供は積極的に 活動、リサイクル資源の収集等を展開して 行っている。募集の状況と活動の成果もイ きた。2010 年度の活動実績は、全店で 588 ントラネットに掲載している。ボランティ 12 第2章 社会貢献活動事例 事例 1 ア活動に関する情報の取りまとめや活動の 際の保険の一括加入等の役割は広報室が担 っている。 あしぎん YOU-I 運動の様子 財団法人あしぎん国際交流財団の活動 財団法人あしぎん国際交流財団は、1985 年に足利銀行が総業 90 年を記念して基金を 全額出捐し、国際親善と地域の国際化に寄 与することを目的として設立された。具体 的な活動としては、海外からの留学生・研 修生や国際交流団体への助成を行っており、 25 年間の助成実績は延べ 284 個人・団体、 1 億 844 万円となっている。2010 年度は留 学生・研修生や国際交流団体等へ計 126 万 2010 年度の助成式の様子 円を助成した。 環境問題への取組 ■地球温暖化防止 地球温暖化防止に向けた「チャレンジ 25 キャンペーン」に参加登録しており、温室 効果ガスの排出量削減に取り組んでいる。 特に二酸化炭素の削減に関しては、2009 年 7 月に、全営業店のエネルギー使用量や 二酸化炭素排出量の一元管理をするシステ ムを導入し、二酸化炭素の削減に積極的に 取り組んでいる。また、栃木県主催の「“と 足尾での植樹の様子 ■植樹活動 ちぎ発”ストップ温暖化アクション」には 栃木県内の全営業所がエントリーしており、 5 年連続で表彰を受けている。 特定非営利活動法人足尾に緑を育てる会 との協働により、2010 年 7 月に新入社員 133 名が苗木の植樹を行った。2 年前に「日 13 第2章 社会貢献活動事例 事例 本の森を守る地方銀行有志の会」に参加し 新入社員を派遣したのが始まりである。 た事がきっかけである。会の趣旨である「日 ■森林保護 1 本の森を守る」に賛同し、担当者がとちぎ 森林保護への取組の一つとして、栃木県 ボランティア NPO センターぽ・ぽ・らや 「日光杉並木オーナー制度」に賛同し、制 栃木県の環境保全課に相談したところ、足 度が開始された 1996 年からオーナーとな 尾に緑を育てる会を紹介された。足尾に緑 っている。その後、継続的に購入を行い、 を育てる会から植樹に参加してみてはとの 2010 年 11 月現在で 1 団体としては最多の 提案を受け、新人研修のプログラムとして 63 本の杉を保有している。 栃木県「日光杉並木オーナー制度」とは? 栃木県では、日光杉並木保護の賛同者に、並木杉を 1 本 1 千万円で購入してもらい、 その代金を「栃木県日光杉並木街道保護基金」として運用し、その運用益で並木杉の 樹勢回復事業や杉並木保護の普及広報事業などの保護事業を実施している。 がん啓発セミナーの開催(がん検診受診率向上への取組) 2009 年 2 月に東京海上日動火災保険株 らを活用したがん検診の受診勧奨、来店者 式会社及び栃木県と「栃木県がん検診受診 へのプロジェクト事業の情報提供、記念品 率向上プロジェクト」の協定書を締結し、 の管理配布などを行っている。 また、2010 年 12 月には財団法人脳神経 栃木県内のがん検診の受診率の向上に向 けた取組を 3 者協働で進めている。 疾患研究所付属南東北病院の伊藤康信副 きっかけはがん検診の受診率を 2012 年 院長と、乳がん治療を二度にわたって克服 度までに 50%とする目標を掲げた「栃木県 し回復を果たした泉アキさんを招待して がん対策推進計画」を栃木県が 2008 年 3 「がん啓発セミナー」を 3 者共催で開催し 月に策定したことが背景にある。足利銀行 た。 では、地元金融機関として、がん検診の重 要性を普及啓発し受診勧奨を積極的に行 うことが、お客さまをはじめとする多くの 県民の方々をがんから守ることになるも のと考え、東京海上日動火災保険株式会社 と連携し、栃木県とともにがん検診の受診 勧奨に取り組むこととした。 現在、県内に広がる店舗網を生かし、リ ーフレットやポスターの作成や配布、それ がん啓発セミナーの様子 14