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別紙2

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別紙2
別紙2
プロジェクト名
広島産牡蠣を用いた新規超高濃度カルシウムイオン水の商品化研究(20U600
3)
研究背景
(研究背景)
研究目的
広島県は、全国1位の牡蠣の産地であり、生産量は他県に比べ突出しており、広島
及び目標
産牡蠣は、この地域において特徴的な資源である。それに伴って、広島県内には全
国の約5割を占める排出量の牡蠣殻があり、貴重なカルシウム源ともなっている
が、今後、環境問題を含め、その処理方法が問題となってくると予想される。牡蠣
殻を 1000℃程度で焼成し、得られた粉末から超高濃度カルシウムイオン水を生成
する技術は、現在、実験段階においては確立されているが、それを多様な分野へ事
業化できるまでの技術は確立されていない。
(研究目的及び目標)
広島産牡蠣を焼成した粉末を有機酸溶液に溶解させ、炭酸水素塩で中和した上で、
有害重金属を分離・除去させることにより、ミネラル分を豊富に含み、人体に安全
で、従来の30倍という「超高濃度」のカルシウムイオン水を高効率・低コストで
量産する方法を確立させる。併行して、更なる超高濃度を追求して低コスト化を図
るとともに、「超高濃度」という新規の特徴を生かした付加価値の高い製品の用途
展開及び商品化を実現し、呉地区をはじめ、広く地域の産業振興を図ることを目指
し、以下の3つの項目の研究開発を実施した。
(1)牡蠣殻焼成炉の開発
(2)連続式超高濃度カルシウムイオン水製造方法の開発
(3)用途展開及び商品化
成果概要
本研究開発により、次のような成果を得ることができた。
(1)牡蠣殻焼成炉の開発
牡蠣殻の主成分である炭酸カルシウムを酸化カルシウムに化学変化させるため、
1000℃程度の熱を1時間負荷する必要がある。したがって、重金属(特に六価ク
ロム)分の溶出が規格値未満である等、耐熱性を有する炉材の選定が焦点であった。
熱伝導率が大きいセラミック素材であるニカセラコ(炭化ケイ素)を用いることで
この課題を解決した。牡蠣殻を1時間程度でほぼ連続的に焼成が可能であり、食品
添加物(焼成カルシウム)製造において、画期的でコンパクトな焼成炉の開発に成
功した。付属設備として、湿式集塵機を設け、粉塵の飛散および牡蠣殻焼成時に発
生する臭いを低減することができ、スクリューコンベアーとシュートを設けること
で、牡蠣殻の遠隔投入が可能となり、作業者の安全・衛生面の改善が図られた。
(2)連続式超高濃度カルシウムイオン水製造方法の開発
ベンチスケールでのカルシウムイオン水製造装置の能力(牡蠣殻焼成粉の処理
量、製造量)及びカルシウムイオン水の品質(カルシウムイオン濃度、重金属等含
有量、菌類含有量)は、ほぼ開発目標を達成した。カルシウムイオン濃度について
は、最高 66g/L のイオン水を得ることができ、酸性及び強アルカリのイオン水の調
製も実施した。牡蠣殻の湿式粉砕をしながらの酸性溶液への溶解法については、製
法特許を申請する予定である。
また、市場の裾野の拡大を目指し、ラボスケールでカルシウムイオン水について
の改良実験を行った。酢酸以外の有機酸として7種類の有機酸を用い、乳酸、グル
コン酸、アスコルビン酸及びラクトビオン酸についての製法技術に関する知見を得
た。カルシウムイオン水中のクロム濃度低減技術として、pH調製、硫酸鉄(Ⅱ)
の添加などにより、水道水の規格以下まで削減が可能となった。
(3)用途展開および商品化
①清涼飲料水への用途展開
ホワイトビネガー(食酢)を用い、カルシウムイオン濃度 30g/L のカルシウムイ
オン水を原液とし希釈実験を実施した結果、品質については目標値を達成した。日
本で生産される清涼飲料水としては硬度が高いものは珍しく、本研究のターゲット
である硬度 1500 程度の飲料は国内では他に類がない。飲みやすさの検討として、
リンゴ酢を添加し、更に、甘味料ステビアを添加し希釈したものが最も飲みやすい
ものとなった。
②醤油への用途展開
平成20年度にカルシウムイオン水を利用した生揚げで再仕込みを実施した結
果、きぢ醤油株式会社の既製品と比較して、総窒素数が高く、塩分の低く、かつ香
りの良い醤油を製造することができた。また、カルシウムイオン水の使用すること
で、酵母菌の抑制効果がみられ、それに反し乳酸菌の発酵促進効果がみられた。今
後、醤油醸造技法の画期的な手法の一つとして加えることができた。カルシウムイ
オン水を大豆蒸煮時に用い、製麹に関する雑菌抑制実験の結果、麹菌育成中の納豆
臭、酸臭がなく、麹菌発芽を早め、麹黴数が高くなり、総窒素などが増加するなど、
カルシウムイオン水を使用することで、よりエキス成分(うまみ成分)の高い醤油
の製造が期待でき、また、品質にバラツキのない、カルシウム強化の醤油加工品と
しての醤油を調製することができた。
③酒への用途展開
広島吟醸酵母を用いた総米 100kg の仕込みにおいて、仕込み温度を変えた2種
類の仕込みを実施した結果、成分的に濃醇甘口の酒質となり、官能的にも、甘み・
酸味が強い酒質となった。酢酸臭の除去が課題であるが、甘み及び酸味のある酒と
して、飲用だけではなく、高級料理酒などへの利用も見込める。
④商品化検討
食品分野を中心に、農業及びサニタリーなど他の分野も視野に入れた用途展開を
進めるため、各関連企業を訪問した結果、カルシウムイオン水に対し、比較的高評
価を得ているが、酢酸カルシウムに係る食品添加物未指定の問題があるため、その
解決が大きな課題となっている。
⑤ビジネスモデルの構築
カルシウムイオン水の販売に向け流通モデル・製造コストを想定した。酢酸以外
に乳酸を使用したカルシウムイオン水の事業化も同時に想定していくこととした。
牡蠣殻焼成粉、可搬型焼成炉及び連続式カルシウムイオン水製造装置の販売も将来
目指すこととなった。販売会社は営業や販路等を想定し、製造会社はコンプライア
ンス等の製造工程の検討をする。
図1 カルシウムイオン水
連絡窓口
財団法人くれ産業振興センター
連絡先
tel
0823-76-3766
fax
0823-72-0333
図2 カルシウムイオン水製造装置
(担当;村上)
(注)成果報告書(概要版)は A4 用紙1~2ページ程度とする。
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