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風疹の検査項目(HI、EIA)(131016)

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風疹の検査項目(HI、EIA)(131016)
ROCKY NOTE
http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html
風疹の検査項目(HI、EIA)(131016)
自治体による風疹の検査、予防接種の補助事業が始まるとのこと。基本的には HI 法による抗体
検査でないと元が取れない・・・・。これを機会に EIA 法との違いと風疹予防接種の基本について
調べてみようと思う。
SRL のホームページを調べると、風疹の検査は EIA と HI 法の両方が検査可能である。
検査方法: HI(赤血球凝集抑制反応)
基準値: 8 未満(倍)
実施料: 79 点
判断料: 免疫学的検査判断料 144 点
検査方法: EIA
基準値: 2.0 未満 陰性
実施料: 230 点
判断料: 免疫学的検査判断料 144 点

「免疫がある」との判断は、①血清抗体陽性の証明、②2 回の予防接種完了、③検査による
確定診断のいずれかで判断できます。単なる既往歴(医師による臨床診断のみ)は不十分
で、免疫があるとはいえません。1)

測定は感度のよい酵素免疫測定法(enzyme immunoassay、EIA)の IgG 抗体が基本です。
1)

4 種のワクチンの接種(EIA、HI、CF、NT)および感染症診断のための検査法を 1 つ選ぶとす
ると、抗体の検出感度と再現性に優れているという点から、測定結果が短時間で得られる
EIA 法が最も適している。しかしながら費用がやや高額なため、予算はないが時間にゆとり
がある場合、風疹にかぎっては HI 法による抗体測定も有用である。2)
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(参考文献 2 より引用)

風疹 EIA 法の感度は HI 法の感度と同等であり、EIA 価 4.0 は HI 価 8 倍に相当する。3)

風疹 HI 価と EIA 価平均値の相関は良好であり、回帰直線から HI 価 16 倍は EIA 価 5.0 ない
し 6.0 と推定された。3)

EIA 価 4.0 以上 8.0 未満は通常抗体陽性と判定されているが、これを発症予防レベルと考え
てよいか否かは、今後さらに例数を増やして検討する必要がある。3)

EIA 価 8.0 以上あれば発症予防できる抗体があるものと判断してよいと思われる。3)

HI 価 8 倍以上の抗体価があれば風疹の発症を予防できるとされているが、一般に風疹ワク
チン接種対象者には、HI 価の測定誤差を考えて、 HI 価 8 倍未満の陰性者のみでなく、HI 価
8 倍の者も含めている。3)
(参考文献 7 より引用)

「抗体陽性により免疫あり」との判断と「罹患防止できる」は同じではありません。罹患防止に
は、特異細胞性免疫や分泌型 IgA 抗体、抗体などが総合的に働きます。簡単な方法として
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抗体が判断基準として用いられています。1)

罹患防御できることが確実なのは、過去におけるその感染症の確定診断だけです。それ以
外では不確実です。1)

抗体価が 8 倍以上(HI 検査で)は抗体有りと判断されます。32 倍以上では十分な抗体がある
と判断されます。抗体無し(HI で 8 倍未満)、あるいは抗体が十分でない(HI で 8 倍、16 倍、
あるいは EIA 法で 8.0 IU/mL 未満)場合には、ワクチン接種が勧められます。ワクチン後 2
か月間は避妊します(ただし、妊娠直前のワクチン接種や、妊娠に気づかずワクチン接種を
受けた場合であっても、あかちゃんに障害が生じた例はないとされています)。風疹に感染し
たことがある女性、風疹ワクチン接種を受けたことがある女性は抗体を持っている可能性が
高いですが、心配であれば、血液検査をお勧めします。5)

HI 価が 8 未満、8、16 の場合には接種することをお勧めします。6)

風疹 HI 抗体価が 16 倍以下の妊婦には、産褥早期の風疹ワクチン接種を勧める。4)

抗体陰性または低抗体価妊婦には、次回の妊娠における風疹罹患のリスク減少、および社
会全体の抗体陽性率上昇に貢献する目的で産褥早期の風疹ワクチン接種が勧められる。
産褥期風疹ワクチン接種は、すでに米国などで導入されており、小児に比べ関節痛の頻度
が高い以外に特別な問題は指摘されていない。母乳中にワクチンウイルスが検出される場
合があるが、それにより新生児が感染することはなく授乳中でも差支えない。抗体陰性者へ
のワクチン接種効果(抗体陽性率)は、ほぼ 100%であるが、HI 抗体価が 16 倍である妊婦へ
の産褥期風疹ワクチン接種では、次回妊娠時までに抗体価がほぼ元のレベルまで復する例
が指摘されている。HI 抗体価 16 倍である妊婦への産褥期風疹ワクチン接種が有効かについ
ては、今後の検討課題と考えられる。4)

産褥期以外の女性に対しても、抗体検査や予防接種の機会を積極的に提供し、ワクチン接
種後 2 ヵ月間の避妊を指導する。ただし、風疹ワクチン接種後に妊娠が判明したり、避妊に
失敗したりしても全世界的にこれまで風疹ワクチンによる CRS の報告はない。4)

妊娠中等の検査で、HI 価が 16 以下であった場合には、次の妊娠に備えて 1 か月健診時
等の出産後早期に風疹ワクチン接種を受けることが勧められます。米国では風疹感受性者
に対しては出産後の入院中の接種が勧められています。6)

Q:風疹ワクチン接種後の抗体獲得状況の有無を確認するとしたら、どのような検査方法で、
いつ行えばよいですか。→A:HI 価を、接種後 6 週以上あけて測定するとよいでしょう。検査
方法については IgG 抗体(EIA)でも効果判定が可能ですが、どの位の値であれば感染防御可
能かが不明なため、HI 価が適当と考えます。測定時期については、接種後 4 週で陽性率
100%の報告がありますが、急ぐ必要のない限り 6 週以降が確実でしょう。2 週、3 週では
早すぎます。6)
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「免疫がある状態」と「感染が予防できる状態」が違うというのは重要なことだ。本当なら、感染が
予防できる状態かどうかを各検査項目の感度と特異度を用いて表現できればよりわかりやすいと
思うが、現実的にはなかなか難しいのかもしれない。
参考文献
1.
寺田喜平.麻疹・風疹・水痘・ムンプスの免疫があるかどうか心配です. どのような検査をして、
どのような場合にワクチン接種すればよいですか? インフェクションコントロール 21(11):
1150-1151, 2012.
2.
浅利誠志, 金光敬二.さまざまな検査法の違いとその解釈.インフェクションコントロール 20(6):
579-584, 2011.
3.
高山直秀.風疹 HI 抗体価と風疹 EIA-IgG 抗体価との比較から推定した風疹 EIA-IgG 抗体の
風疹発症予防レベル.小児科臨床 63(8): 1777-1780, 2010.
4.
産婦人科診療ガイドライン̶産科編 2011
http://www.jaog.or.jp/all/document/guide_2011.pdf
5.
公益社団法人 日本産科婦人科学会.風疹に関して、心配しておられる女性のための Q&A
平成 25 年 6 月 25 日 http://www.jsog.or.jp/news/html/announce_20130625.html
6.
国立感染症研究所 感染症情報センター.風疹予防接種に関するガイドライン
http://idsc.nih.go.jp/disease/rubella/041119/041119guide.pdf
7.
国立感染症研究所 ウイルス第三部/感染症情報センター.風しん抗体価の換算(読み替え)
に関する検討(2013 年 3 月 6 日)
http://www.nih.go.jp/niid/images/idsc/disease/rubella/RubellaHI-EIAtiter.pdf
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