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Ⅳー1 評価に関する課題 1,評価の研究について 教育現場には未だ
Ⅳー1 評価に関する課題 が「総括的評価」であり、その中でも点数化しやす 1,評価の研究について 教育現場には未だ、評価イコールテストという意識 い「知識・理解」「表現・処理」の総括的評価であ った。 が根強く残っている。 ペーパーテストによる「知識・理解」「表現・処理」 もちろん、今後も「総括的評価」の重要性は変わら の評価や学期末、学年末など学習の結果のみに重点 ないであろう。変わらないからこそ、極めて難しい が置かれる傾向が全国のどの教室にも存在する。将 課題ではあるが、「数学的な考え方」や「関心・意 来における進学・受験を考えればその意識は当然な 欲・態度」が測れる評価問題の開発や研究が急がれ のかもしれない。 る。 しかし、平成 12年の教育課程審議会答申から評価観は大きく転 ●関心・意欲・態度を測る評価問題の開発と研究 換された。これまでの集団に準拠した、いわば相対 ●数学的な考え方を測る評価問題の開発と研究 評価から、目標に準拠した絶対評価への転換、それ ●ペーパーテストの工夫に関する研究 に伴う評価基準の明確化である。そして、最も大切 ②形成的評価での評価方法の研究 なのは、評価は子ども理解のためであり、授業改善 この形成的評価の充実こそ、「指導と評価の一体 のためであるという指導と評価の一体化というあま 化」の真の実践化であり、授業改善への早道である。 りにも言い尽くされた言葉の真の実践化である。 以上のことを踏まえながら、こ れからの評価に関する課題について述べる。 教師は子ども一人一人の学習状況を的確に把握し、 子どもの今の状態を理解し、できるだけ授業中に適 切な指導を返していかねばならない。 そのためには、子どものノートやワークシート、 2,今後の課題 板書や座席表の活用、学習感想を含む自己評価カー (1) 評価計画、評価規準に関する研究 ドや子どもたちの相互評価など授業改善に生きる評 目標に準拠した評価を中心とした評価への転換が 価方法の研究が求められている。 なされたことにより、目標に沿った、より信頼性の ●関心・意欲・態度の評価方法についての研究 高い評価規準の作成が求めらてきた。 ●数学的な考え方の評価方法についての研究 各学校では、様々な資料を参考に単元毎・小単元毎 ●表現力の評価方法についての研究 の評価規準や1時間ごとの評価規準を作成し、活用 さらに、次のような実践的研究が望まれる。 してきた。その初期の評価規準は「関心・意欲・態 ●ノートやワークシートによる評価方法の研究 度」「数学的な考え方」「表現・処理」「知識・理 ●板書を活用した評価方法の研究 解」の観点別に並列的に整理され、活用しにくいも ●吹き出しを用いた評価方法の研究 のも見られる。 ●座席表を用いた評価方法の研究 今後、求められるのは、評価規準における観点毎の ●学習感想を生かした評価方法の研究 重点化であり、授業改善のための活用方法である。 ●自己評価や相互評価の生かした方の研究など そこで、つぎのような研究が望まれる。 ③診断的評価での評価方法の研究 ●授業改善に生きる評価規準の作成と明確化・重 少人数指導、特に習熟度別指導の実施によりレデ 点化に関するの研究 ィネステストなどの診断的評価活動の必要性が増し ●評価規準の活用方法の研究 てきた。そこで、次のような研究が求められている。 ●指導計画と評価計画の一体化の研究 ●レディネステストの作成と実態分析の研究 (2)評価方法に関する研究 ●習熟度別指導に生きる評価方法の研究 ①総括的評価での評価方法の研究 評価には大きく「診断的評価」「形成的評価」「総 (宮本 Ⅲー1 博規) 学習指導法に関する課題 括的評価」がある。特にこれまで重視されてきたの 1,学習指導法の研究について 教育現場の最前線にいる教師にとって学習指導法 の工夫は最も大切な研究の一つである。 ろであるが、この「算数的活動」という言葉の登場 それは日々の学習指導の改善・工夫が直接算数教育 によってさらなる研究が期待される。算数的活動と のねらいである「知識・技能の習得」「筋道立てて いうのはやらされる活動から子ども自ら取り組む能 考える力の育成」「算数を活用していく態度」など 動型活動への変革を意味する。子どもが目的意識を に大きく繋がるからである。 持ち、活動していく中に数理を見出したり、新たな 近年では学校現場における日常的な算数授業も「知 活動の引き金となる課題を見つけたりする、そんな 識の暗記や技能の機械的な習得」ばかりが強調され 過程が保障できる活動である。○ た知識伝達型の学習指導から、問題解決型の「自ら り入れた主要教材の指導法 学び、自ら考える力」を育てる学習指導へと徐々に ○ 算数的活動のための教材開発についての研究○ 変化を見せてきた。 しかし、今ではその問題解決学習すら「問題提示ー 算数的活動を取 能動型・算数的活動についての実践的研究 (3) 子どものよさを生かし、高める指導法の研究 練 自力解決ー練り上げーまとめ」といった形式的なも り上げと言われる過程は子どもの考えを発表し合い、 のに陥り、先進的な研究を進めている会では問い直 検討し、数理へと創り上げていく段階があってこそ しを始めている。 成立する。しかし、子どもの考えを発表するだけの 画一的な問題解決学習ではなく、もっと子どもの声 練り上げ指導も少なくはない。練り上げ指導では完 を聞き、子どもの声を反映させた、子どものための 成品ばかり発表させるのではなく、未完成のものを 学習指導法の研究が求められているのである。 ともに創り上げていく発想が必要なのである。私は 2,今後の課題 よく練り上げ指導において子どものこだわりを生か (1) 子どもの自ら学ぶ意欲を高める課題設定につ せと言う。こだわりとは子どもの素直な疑問、当惑 いての研究 の声、つまずきなどである。それが授業で生かせて 学習指導法では問題づくりや課題設定などこれま こそ、算数の面白さ、追究の愉しさを多くの子ども でも様々な視点から授業のスタート時における実践 が実感できるのである。 的な研究がなされてきた。しかし、その研究の成果 ○ 算数的コミュニケーションのあり方について が未だ全国の教室の隅々にまでは入り込んではいな の研究 い。子どもとともに創ると言いながらもまだ一方的 ○ 多様な考え方を生かす指導法の研究 に教師が問題を与える姿がそこにある。問題把握と ○ 言いながらも単に教師が問題を提示し、それを説明 (4) TTやコンピュータを活用した指導法の研究 算数的表現力を育てる指導法の研究 するに過ぎない状態がある。こんな状態で形式的に 基礎・基本の確実な定着を図るための指導法として 自力解決にうつらせるものだから多くの子どもの学 ティームティーチングを確立しなければならない時 ぶ意欲は半減する。ここでは子どもの問いを引き出 がきた。また、算数科におけるコンピュータの活用 し、子どもが問題に働きかける状態まで高める指導 も様々なねらいの中で研究を深め、効果的な活用法 が求められるのだ。 を求めていかねばならない。 そこで次のような研究が期待される。 ○ 子どもの問いを生かし、子どもとともに創る 問題づくりの研究 ○ 子どもが主体的に関わる課題設定の研究 ○ 考える喜びを育て、考える楽しさを味わわせ る指導に関する研究 (2)算数的活動を生かした指導法の研究 新学習指導要領での指導法に関する最大のキーワ ードはこの「算数的活動」である。活動を中心とし た算数授業の大切さはこれまでも言われてきたとこ ○ 基礎・基本の確実な定着を図るためのTTの 果的な活用法の研究 ○ コンピュータ活用を取り入れた指導法の研究 (宮本 博規) 効