Comments
Description
Transcript
水稲多収農家の収益性
東北農業研 究 測定値 では共 同田植が完了し,緊 張 のゆ るみが見え,さ らに田植完了 1日 後 の状態 をみる と急激 に下降 し,平 常 に戻 り安堵 してい る様相が よみ とれ る。 部 落 農 従 者 全 員43名 について,若 柳病院 の協力を得 て健康診断を農繁 期 に入る直前, 4月 3日 と日植完了後 5月 29日 に実施 し ス こ 。 問診 .視 診 ,検 査の40項 目について診断 し,そ の状態 を総合化 した「 老化度」 として男女別 ,年 令別にみると (第 5図 )。 老化度は 男子は年令とともに高ま るが,女 子 に つ い ては 30代 よ り40代 に急激 に老化現象 がみ られ ヒ度は,日 植前後 の短期FHnで は る。総合指標 としての老イ 一定 の変化はみられず,年 令によっては田植前 よ り回植 後の方が良好な場合 も見受 けられる。 しか しながら,検 査項 目の うち体重の増減変化をみると,日 植前に比 べ 明 第 11号 らかに減少 し,増加者は皆無 であった(第 6図 )。 とくに 男子 の減少が激 しく,20代 男子 で 4ん ,も 減少 した者が認 め られた。 日植 作業は完全 なる裸手作業 で,手 首 の筋肉部分 をと くにInL使 す るが,関 節痛 を訴え てい る者が30代 ,40代 の 男子 に多い。 4む す び 水田単作農家における日植 期 の労働投下 の一断面を疲 労 と健康保持 の側面 よ り検討 したが,生 産のための作業 能率の変化 と精 神的 ,肉 体的疲労 の相互関連については 明確な結論 を見い 出していない。現在 までの疲労蓄積 お よび憔 人体質あるいは背景の私経済条件 との結 びつ きに ついて,今 後考察検討を加えるつ もりである。 水 稲 多 収 農 家 の 収 益 性 公 昭・ 佐 藤 神 多 吉 。佐 々木 勝 美 (青 森 県 農 詢 1ま え が き この研究は経営類型別 の収益性規制要因に関す る研究 の一環 として行な った もので,水 稲多収農家の収益性 だ けでな く,各 生産要素 の投入 と,産 出の関係 を明らかに しょ うとす る ものであ る。 2 研究の方法と対象 対象年次は昭和42年 で,面 接きき とりによる。 対象農家は技術水準 のば らつ きによる影響 をなるべ く 少 な くす るため,県 の 多贋獲競技会 で僣 常的に好成績を 収 めている農家群 の中から,地 域性 を考慮 して20数 戸の 農家を選定 した。 しか し,最 終的 に集計された農家は19 戸 で,地 域別には車力村 3戸 ,稲 垣村 3戸 ,む つ 市 2戸 , 東通村 4戸 ,五 戸町 7戸 であった。 ここで,多 収農家 であるが,昭 和42年 の県平均 10α 当 り収量452り に対 して,対 象農家 19戸 の平均 は592ん ,で あ って,す べての農家が多収 であったわけではない。 した が って,厳 密 には多収農家 とい うよ りも,多 収 のための 技術水準に達 した農家 と理解す る方力工 しい。 3 調査結果の概要 と考察 1.調 査農家の概要 いずれ も家族粥 動を主体 とした経営 で,水 回面積 の最 ,最 低は 高は38″ α,最 低は10れ ら 畑面積 の最高は25″ α 0,そ の他に りん ご園を もつ経営が 4戸 あ った。 資本装備 の中,大 農機具は栞用 トラクターを もつ経営 が一戸あ るが,他 は耕縁機 , トレー ラー, ミス トまたは 噴霧機 ,動 力脱穀機を主体 とす る。 平し 牛飼養 3戸 ,肉 牛飼養 2戸 ,豚 飼養13戸 あ るが ,規 模は大き くない。 粗収入は最高2,800,000円 ,最 低 570,000円 で,い ずれ も水稲部門を最大 とす る。 2 水稲部門の経営成果 に)粗 収入 :価 格が一定 であ り,品 質差 ,時期差が ほ とん とな いため,10α 当 り粗収 入は10α 当 り収量 に比 例 し,一 経営当 り粗収 入は全収量 に比 allす る。 レ)所 得的費用 :青 森県平均値 16,000円 (10α 当 り )に 対 して約 1,500円 多 く,そ れ以下の経営は191・ l中 8 例 (42%)で あ る。 0)所 得 :青 森県平I」 値39,000円 に対 して50,837円 を示 し (い ずれ も10C当 り),経 営費が若千多 くなって もそれ をはるかに上回 る所得 をあげてお り,そ の意味 で は きわ めて単純 明快 に多収 の有利 さをあらわ してい る。 ●)企 業利潤 3,3, 3,2, 1 ■ 2, 3,4 L 4,2, しる。 らオ 6)労 働生産性 1日 8時 間当 りとして,最 高 3,000円 近 い値 を示す経 営がある一方 ,400円 た らずの経 営 もあって,そ のふれ 0}土 地生産性 10α 当 りで示す と平均33,555円 であるが,こ れ も経営 間格差が大きい。 この値 で逆算す ると,年 利子率 7%で 10α 当 り479,000円 を水田のため投資 しても ど うや ら採 算が とれ ることを意味す る。 1,000円 当 り平均572円 を示し,そ の値はかな り高い。 ●)資 本効率 量 2 4,3,4, 2 3,2,3, 4,2,4, 2,2,3, 4 45 4 2 3 , 19,380円 となる。 しか し,労 賃・地価は実際の値 よ り低 す ぎる場合 もあ り,実 質的には さらに低下す るものとみ 2 2 2 3, 3 2 3 5 2, 1,4,2, 該生産要素 の投入量 で除す とい う方法を用 いた。 36 6︲ 7明5 69 9︲ 73 05 82 49 3︲ 288 ︲5 9︲ 94 48 45 7 ︲6 4協 6 7筋0 0 284 8︲ 64 45 2︲5 43 95 , , , , , , ,■ , 3 ︲3 962 747 8388390 4第9 6 4 価 8 7 9 4 0 5 咄 ︲ 6 9 3 3 9 ︲2 7 0 7 3 3 3 ︲以鈍7 5 6 9 35 9 7 7 7 9 , ■ ■ ,,, ,,, 4 , ■ , 8 ,8 ,8 ,8 , 8 ,9 ,8 ,9 , 5 ,6 ,8 ,6 , 9 ,8 ,9 ,8 , 7 ,9 ,7 , 8 ,8 ,8 , 36 65 73 87 34 756 24 43 36 93 8″6 9︲ 28 55 03 ︲8 79 86 0 4 25 0 9 78 55 60 478 8 80 34 0︲ 35 90 46 46 餅 34 9, 0, 9, ︲3 58 06 5畑5 6 38 05 8︲ 65 57 4︲ 04 87 2鰯6 69 5 26 95 9 7柳7 9 7勁7 0 8 5 67 4 77 45 56 63 5 4 6 5 26 9 2 ︲ ︲ 0 8 6 0 8 9 0 86 3 7 3 2︲ 4 86 3 68 2 0 4 5 略 4 8 ︲ 8550 8 ︲40 9 77︲3 7 39 49 6 , ,, ︲, 6,5, , 9, 4, 4,︲, ︲,,6, 独9 2, L 24 22 4 κ 9 9 2 29 1 29 1 2 △ △ △ , 得 第 1図 10α 当 り収量 と所得 外 の二つの生産要素 の見積額を 71得 か ら差 し引いて,当 「 75 05 8鍋0 00 25 ︲ 6 76 7︲ 57 ︲0 40 67W︲ 85︲ 0 鰯”︲ 6 53 71 8以網0 37 86 79 2 40 27 6 ︲37 105 5 7 4 0 36 0 8 6 75 0 3 38 ︲ 0 2 0 8 認 2, 7, 8,7, 4, 0,4, 4, 2︲ 3, ︲︲ ︲︲︲ ︲ ︲︲ す る可能r■ がある。 収 以上各生 産性 の算出に当っては ,算 出す る生 産要素以 5,3,3,2, L 7,1,3, 1,2,7,5, 2,■ 3︲0 9 24 7 7 0 4 7 僻 2 W 8 3 75 5 9剛 850 2 6 0 5 08 8,2, 9, 4,5, 6, , ,3, 0, 6, ︲ ︲ ︲ ︲9 5 ︲ ︲ 21 t 90 3 9 8 3 4 8 ︲5 45 9 3 7 4 餅 硼5 7 “4 4 ︲ ︲5 7 25 ︲ 5 ル 3” ︲ 79 価 8 ︲ 26 85 6 ︲3 ︲5 36 3 8 4 9, 9, 7, 6,6, 7, 9, 6,6, 6, 7, 8,0, 7, 7, 4,6, 5, 2,0, 3, 45 6 3 3 6 4 7 6 26 2 5 4 5 5 25 4 56 肌 4 ︲ 6 蜘3 9 6 7, 7, 7, ︲ ︲ ︲ 9977 75 29 778 9698 ︲ 3 3 0 8 6 4 2 7 ︲ 3 3 0 節 3 8 7 6 6 餅 2 8 8 0 0 ︲ 0 3 8 7 8 2 8 5 7 ︲ 9 0 , , 4, 8, ︲, ,,6, 3,t︲ 4, 4,8 9, 8, 5 9,t9, 4, λ ︲︲ 21 ︲ ︲ ︲︲ 2︲ ︲3 ︲0 2 1︲ 所 △ 38 7 3 8 5 0 4 0︲33 05 ︲7 7 ︲ 節 3 80 5 ︲6 5 5 協 ︲ 0 ︲33 5 0 6 0 44 0 5 2 9 94 8 0 99︲ 珈0 0 2 59 48 8, 8, 0, ︲, 9, 0,4, 5, 7, 6, “7 0, 5,仏 0, 7,8, ︲, 6, 85 似 86 9 8 4肌4 “67 7 76 6 85 はか な り大きい。 1,000円 未満 の経営が数例あるが , こ れ らの経営 では雇傭率が高まれば急速に経営状態が悪化 経営成果 の指標間関連 3 , 所得的費用 に家族労賃 ,所 有地地代, 自己資本利子を 加えて,711収 入か ら差 し引いた ものとして算出 したが 10α 当 り最高 44,000円 ,最 低 マ イ ナ ス 9,700円 ,平 均 △ 所 米単価 は0り 当玄米7,000円 として計算。 家族労賃は 1時 間100円 として計算。 資本利子は固定資本期首評価額 の 7%プ ラス流動資 本 の半分 の 7%と して計算。 , △ 経営費 2 4 6 単位は円,た だ し収量 はり。 経営費=所 得的費用。 地代 は売買地価20万 円,年 資本利子 7%と し ― ・a114,000円 として計算。 1 3 5 注 経営費 企業利潤 得 所 収量 資本利子 企業利潤 得 粗収入 対象番号 り 当 , 100た り 当 α 10 経 営 成 果 に 関 す る諸 指 標 表 第 第 11号 東北農業研究 東北農業研究 一〇 〇 聴 当 り 利 潤 3 利 2 ,聞 第 11号 \ ・ 100kg当 り利l・ l 1 0 第 3図 10α 当 り収量 と100り 当 り利潤 収量 の増加につれて,所 得は低収層に大き く,高 収層に -1 第 2図 10α 当 り収量 と利潤 に)10α 当 り収量 と所得 明らかに正 の相関を示 し,10。 当 り収量が増加す るは ど所得は増加 し,800ん 夕水準に達 してもなお所得は増 加 す る傾 向に ある。 したが って,限 界所得がゼ ロに近づ く 反収水準は推定不可能 であった。所得 が マイナ スになる 点は10α 当 り収旦 150た ,前 後 となるが ,こ のよ うな低 収 は現行収量水準か らは考えられない。 2)10α 当 り収量 と利潤 10α 当 り収量 の増加 につれて利潤が比例的に増加 して お り,1又 量 と所得 の関係 と類似す る。 しか し よ くみ る と,低 収層 で,ま 利潤の増加率が大き く,高 収層 では逆に 小 さく増加す るとい う関係が得 られる。 しか し,800旬 水準に達 して も限界所得が ゼ ロに近づ くとい う確証はな く, その辺 の収量限界はおそ らく1,200ん 夕以上であろ う とい う単なる推測の域を でない。 したが って,経 営 目標 を所得 においた場 合は,な お10α 当 り収量を高めること であるとい うことができ る。 が有矛」 e' 10α 当 り収量 と生産性 現行賃金水準 1日 当 り 1,000円 以上の労働生 産性を う るためには,10α 当 り 450ん 夕 以上 の収量が要求 され るが, それはまた企業矛」 潤がゼ ロ以上を示す収量限界 ともはぼ 一致 している。 土地生 産性 については ,年 利子率 7%と した場合 ,地 代部分に引き合 うためには ,売 買地価 200,000円 とし10 停滞す るような傾向をみせている。 これらの関係 をさらに,10α 当 り収量 と,100ん ,当 り α当 り収量400旬 ,300,000円 とすれセ 洵 70旬 ,400,000円 利潤 の関係 とあわせて考えてみると, まず ,100跨 当 り 利潤は低収層 では若干 の収量 の増加に応 して,急 速に増 収量 としなければならな いとい う関係が示されてい る。 資本効率 については前二者 ほと明確な関係がないが 加す るが ,次 第 に増加 率は減少し,高 収位層 (800∼ 900 た,)で はほ とんと停滞 の様相 をみせている。 一般に固定資本投 入額 の大きい場合はど,資 本効率が低 く,固 定資本 の投入額 と収量 の相対的関係が,資 本効率 このよ うな限界利潤 の変化を基礎に して,も う一度 10 。当 り収量 と禾」 潤 の関係を模式的 に画きだしてみると, 当 り収量 450初 前後を境に して利潤は マイナ スか ら 10α プラスに転 じ,そ の後はほ とん ど一定 した率 を保ちなが ら, 800袴 水準まで増加 し,さ らに収量が増加す ると10 α当 り利潤 は逆 に減少に転ずる とい う結果がみられる。 この結果は ,す でに与えられた経済的諸条件 と計算の 方法 ,な らびに現行技術体系を前提に した も の で あ る が,経 営 目標を利潤 においた場合の収量 の経済的限界を 指示す るものと考え られる。 このよ うな見方を10α 当 り所得 と,収 量の関係 に適用 してみると,前 者 ほと明確ではな いに して も,10ι 当 り とすれ ば540り ,500,000円 とすれ セ お 10ん θをそれそれ最低 , を規定す るように見受けられ る。 4 労働時間 と10α 当 り収量 (1)総労働時間 と収量 10α 当 り粥 動時間 の平均は 167時 間 であって,青 森県 の平均値 と同 じであるが ,収 量 との間には一定 の関係は み られない。つ ま りこのことは ,単 純 に労働の投入量を 大き くして も収量は増加 しないが ,逆 に労働を減 らして も必らず しも減収 しない とい うことを示 してお り,稲 作 生産 のための作業内容について さらに吟味す べ き要素の 多いことを あらわ している。 レ}除 草時間 と収量 収量 と除草時間 (機 械 ,手 取 り,除 草剤散布 ,畦 畔草