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HPLC/PDA によるいわゆる健康食品中の植物性自然毒スクリーニング
千葉県衛研年報 第 59 号 2010 年 HPLC/PDA によるいわゆる健康食品中の植物性自然毒スクリーニング分析法について 髙橋 市長、長谷川 貴志、西條 雅明、吹譯友秀、元木裕二 Screening Analysis of phytotoxins in Dietary Supplements by HPLC/PDA Kazunaga TAKAHASHI, Takashi HASEGAWA, Masaaki SAIJO, Tomohide FUKIWAKE and Yuji MOTOKI 要旨 いわゆる健康食品中の植物性自然毒により健康被害が発生した場合に、その原因物質を迅速に推定するため、HPLC/PDA による植物性自 然毒のスクリーニング分析法を検討した。対象とする成分はアトロピン、アコニチン、メサコニチン、ストリキニーネ、コルヒチン及びア リストロキア酸Ⅰとした。HPLC/PDA 条件及び抽出条件を検討し、その検討した条件で、対象とする植物性自然毒を含むロートコン、ブシ、 ホミカ、コルヒクム根、馬兜鈴及び青木香を分析したところ、妨害するピークもなく、各植物性自然毒のピークを良好に検出することがで きた。また、ロートコン等の生薬を市販健康食品のカプセル剤に約 10%加えた試料を検討した条件で分析したところ、同様に、各植物性自 然毒のピークを検出することが可能であった。 キーワード:健康食品、植物性自然毒、アトロピン、アコニチン、メサコニチン、 ストリキニーネ、コルヒチン、アリストロキア酸Ⅰ Keywords:dietary supplement, phytotoxin, atropine, aconitine, mesaconitine, strychnine, colchicine, aristrochic acid Ⅰ はじ めに 製品を作成し、当該スクリーニング分析法で検出で 近年、健康志向の高まりとともに、多種多様ない きるか検討を行った。 わゆる健康食品やサプリメントが流通しており、そ 材料 と方 法 の中には、植物や植物に由来する成分を原料とする ものが多くある。また、インターネットの普及によ 1.試料 り、個人輸入という形式で外国から、様々な生薬が ロートコン、ブシ、ホミカ、コルヒクム根、馬兜 含まれる漢方薬や薬草・ハーブなどの伝統薬を容易 鈴及び青木香は旧千葉県薬草園から入手した生薬標 に入手できるようになった。しかし、それらの製品 本を用いた。生薬添加用の健康食品はインターネッ 中には、健康被害の発生が懸念される植物由来の成 トで購入したカプセル剤の製品を用いた。 分が含まれていることがあり、アトロピン、アコニ 2.試薬及び試液 チン、ストリキニーネ、アリストロキア酸等が検出 1)標準品 された事例が報告されている 1)- 8) 。 標準品としてアトロピンは東京化成工業社製、ア 今回、これら製品による健康被害が発生し、製品 コ ニ チ ン は Alexis 社 製 、メ サ コ ニ チ ン 及 び コ ル ヒ チ 表示等からその原因となる植物性自然毒が推定でき ンは和光純薬工業社製、ストリキニーネ硝酸塩は鳥 ない場合を想定して、その原因物質を迅速に推定す 居 薬 品 社 製 、ア リ ス ト ロ キ ア 酸 Ⅰ は LKT Laboratories るためのスクリーニング分析法を検討した。装置は 社製を用いた。 汎用されているフォトダイオードアレイ検出器付き 2)その他の試薬 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ( HPLC/PDA) を 用 い た 。 ア セ ト ニ ト リ ル 及 び リ ン 酸 は HPLC 用 、 1-ヘ キ サ スクリーニング分析の対象とする植物性自然毒はい ンスルホン酸ナトリウムはイオンペアクロマトグラ わゆる健康食品に含まれていた事例があるか、含ま フ用、その他の試薬は全て特級品を用いた(いずれ れていた場合に重篤な症状を引き起こすことが想定 も 、 和 光 純 薬 工 業 社 製 )。 水 は 日 本 ミ リ ポ ア 社 製 さ れ る 成 分 の う ち 、標 準 品 が 確 保 で き た ア ト ロ ピ ン 、 MILLI-Q Labo 超 純 水 製 造 装 置 に よ り 精 製 し た 超 純 アコニチン、メサコニチン、ストリキニーネ、コル 水を用いた。 ヒチン 及びア リス トロキ ア 酸 I と し た 。 抽 出 等 の 条 3.試験方法 件の検討には、これら植物性自然毒を有する生薬で 1)標準溶液の調製 あるロートコン、ブシ、ホミカ、コルヒクム根、馬 各 標 準 品 を 70%メ タ ノ ー ル に 溶 解 さ せ 調 製 し た 標 兜鈴及び青木香を用いた。また、これら生薬が混入 準 原 液 を 70%メ タ ノ ー ル で 適 宜 希 釈 し 、使 用 す る 濃 したカプセル剤を想定して、ロートコン等の生薬を 度 の 標 準 溶 液 を 用 時 調 製 し た 。ア ト ロ ピ ン 標 準 溶 液 、 市 販 カ プ セ ル 剤 に 重 量 割 合 で 約 10%添 加 し た モ デ ル アコニチン標準溶液、メサコニチン標準溶液及びコ 千葉県衛研年報 2010 年 第 59 号 ル ヒ チ ン 標 準 溶 液 は 4、20、100 g/mL の 濃 度 に 調 製 ( S/N=3) は 試 料 1 g あ た り ア ト ロ ピ ン で は 0.02 mg、 した。ストリキニーネ標準溶液はストリキニーネ硝 ア コ ニ チ ン で は 0.02 mg、メ サ コ ニ チ ン で は 0.03 mg、 酸 塩 を 70%メ タ ノ ー ル に 溶 解 さ せ ス ト リ キ ニ ー ネ と ストリキニーネでは 0.06 mg、コルヒチンでは 0.005 mg、 し て 4、20、100 g/mL の 濃 度 に 調 製 し た 。ア リ ス ト ア リ ス ト ロ キ ア 酸 Ⅰ で は 0.01 mg で あ っ た 。 ロ キ ア 酸 Ⅰ 標 準 溶 液 は 1、4、20 g/mL の 濃 度 に 調 製 アトロピンのヒトにおける経口中毒量はアトロピ 10 ) した。 ン 硫 酸 塩 と し て 、5~ 10 mg と さ れ て お り 2)試料の調製 る健康食品のカプセル剤にアトロピンが含まれてい ロートコン等の生薬は粉砕機(大阪ケミカル社製、 、い わ ゆ た と す る と 、1 カ プ セ ル の 内 容 量 を 400 mg と 仮 定 し ニ ュ ー パ ワ ー ミ ル PM-2005M)で 粉 砕 し 、均 一 な 粉 て、その 1 カプセルを摂取した場合、中毒症状が起 末 と し た 。 ま た 、 粉 末 と し た 生 薬 試 料 0.2 g と 市 販 きるアトロピンの最低量はカプセル内容物 1 g あた カ プ セ ル 剤 の 内 容 物 1.8 g を 粉 砕 機 の 容 器 に 入 れ 、 り 、 お よ そ 11 mg と な る 。 本 法 に お け る ア ト ロ ピ ン 粉 砕 機 で 粉 砕 混 合 し た も の を 生 薬 約 10%添 加 モ デ ル の 検 出 限 界 は 試 料 1 g あ た り 0.02 mg で あ る の で 、 製品とした。 中毒量のアトロピンが含まれるカプセル剤を分析す 3)試験溶液の調製 るのに十分な検出感度を有していると考えられる。 分 析 試 料 約 100 mg を 量 り 採 り 、70%メ タ ノ ー ル 溶 ア コ ニ チ ン の ヒ ト で の 致 死 量 は 2~ 5 mg と さ れ て 11) 12) 液 5 mL を 加 え 、 15 分 間 超 音 波 抽 出 を 行 い 、 1300 g おり で 10 分 間 遠 心 分 離 し 、 上 澄 液 を 10 mL メ ス フ ラ ス と 仮 定 す る と ヒ ト に お け る 最 低 中 毒 量 は 0.02 mg と コに入れた。残渣に同様の操作を繰り返し、上澄液 なる。アトロピンと同様に計算すると、中毒症状が を 先 の 10 mL メ ス フ ラ ス コ に 加 え 、 70%メ タ ノ ー ル 起きるアコニチンの量は、カプセル内容物 1 g あた 溶液でメスアップした。その後、メンブランフィル り 0.05 mg と な る 。 本 法 に お け る ア コ ニ チ ン の 検 出 ター(日本ミリポア社製 マイレクス LH, 25 mm, 0.45 m) 限 界 は 試 料 1 g あ た り 0.02 mg で あ る の で 、 中 毒 量 でろ過し、ろ液を試験溶液とした。 のアコニチンを含むカプセルからアコニチンを検出 4 ) HPLC/PDA 分 析 することができると考えられる。マウスを用いた毒 HPLC/PDA は 、 日 本 分 光 社 製 PU-2089 型 ポ ン プ 、 、最所ら と 同 様 に 中 毒 量 を 致 死 量 の 1/100 性 試 験 で は 、 ア コ ニ チ ン の マ ウ ス 経 口 50%致 死 量 同 AS-2055 型 オ ー ト サ ン プ ラ ー 、同 CO-2065 型 カ ラ (LD50 )は 1.8 mg/kg、メサコニチンの LD50 は 1.9 mg/kg ム オ ー ブ ン 、 同 MD-2015 型 PDA 検 出 器 か ら 構 成 さ とされており れる装置を用いた。測定条件は次の通り行った。 チンと同程度と推定される。メサコニチンのヒトで 13 ) 、メ サ コ ニ チ ン の 経 口 毒 性 は ア コ ニ カ ラ ム:TSK-GEL ODS 80-Ts( 4.6 mm i.d.×150 mm、 5 m、 東 ソ ー 社 製 )、 カ ラ ム 温 度 : 40℃ 、 移 動 相 A (A) 液 : ア セ ト ニ ト リ ル /水 /リ ン 酸 混 液 ( 100: 900: 1、 動 相 B 液 : ア セ ト ニ ト リ ル /水 /リ ン 酸 混 液 ( 900: 100: 1、 5mmol/L ヘ キ サ ン ス ル ホ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 含 有 )、グ ラ ジ エ ン ト 条 件 : 0 分( A: B=90: 10)→ 25 200 吸光度 (mAU) 5 mmol/L ヘ キ サ ン ス ル ホ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 含 有 )、 移 0 0 350 nm ( コ ル ヒ チ ン ) 結果 及び 考察 1 . HPLC/PDA 条 件 の 検 討 当研究室では、無承認無許可医薬品取締事業に基 10 9) 。この一斉分析法 時間 (分) 30 40 50 30 40 50 コルヒチン 1000 ストリキニーネ 800 600 400 200 0 0 10 づき、いわゆる健康食品中の医薬品成分の試験検査 を一斉分析法により行っている 20 (B) 吸光度 (mAU) リ ス ト ロ キ ア 酸 I)、 251 nm( ス ト リ キ ニ ー ネ )、 アリストロキア酸Ⅰ 50 速:1.0 mL/min、注入量:20 L、測定波長:200-400 nm( Max 230 nm( ア コ ニ チ ン 、 メ サ コ ニ チ ン )、 248 nm( ア アコニチン メサコニチン 100 分 ( A: B=55: 45) → 44-49 分 ( A: B=10: 90)、 流 Absorbance )、 定 量 波 長 : 215 nm ( ア ト ロ ピ ン )、 アトロピン 150 図 -1 20 時間 (分) 各 標 準 溶 液 の HPLC ク ロ マ ト グ ラ ム の HPLC/PDA 条 件 に よ り 、ア ト ロ ピ ン 、ア コ ニ チ ン 、 (Max Absorbance) メサコニチン、ストリキニーネ、コルヒチン、アリ (A) アトロピン 100 g/mL、メサコニチン 100 g/mL、アコニ ス ト ロ キ ア 酸 Ⅰ の 各 標 準 溶 液 を 分 析 し た( 図 -1)。最 チン 100 g/mL、アリストロキア酸Ⅰ 20 g/mL 低濃度の各標準溶液の試験結果から、検出限界 (B) ストリキニーネ 100 g/mL、コルヒチン 100 g/mL 千葉県衛研年報 第 59 号 2010 年 の経口毒性もアコニチンと同程度であると仮定する 量のコルヒチンを含むカプセル剤からコルヒチンを と 、メ サ コ ニ チ ン の 検 出 限 界 が ア コ ニ チ ン と ほ ぼ 同 , 検出するのに十分な感度を有していると考えられる。 等であった本法で、中毒量のメサコニチンを含有するカ プセル剤からメサコニチンを検出できると考えられる。 ストリキニーネの成人経口致死量はストリキニー ネ 硝 酸 塩 と し て 50~ 100 mg と さ れ て お り 10) 製品中のアリストロキア酸により腎障害が発生し たと疑われている製品のアリストロキア酸の含有量 は 3.1~ 233 g/g と 報 告 さ れ て い る 15) 、 16) 。本 法 の ア 、中毒 リ ス ト ロ キ ア 酸 I の 定 量 限 界 は 製 品 1 g 中 0.01 mg 量 を 致 死 量 の 1/100 と 仮 定 す る と ヒ ト に お け る 最 低 であるので、製品によってはアリストロキア酸 I を 中 毒 量 は 0.5 mg と な る 。ア ト ロ ピ ン と 同 様 に 計 算 す 検出できない場合もあることを考慮する必要がある ると、中毒症状が起きるカプセル内容物のストリキ と考えられる。 ニーネの量は、カプセル内容物 1 g あたり、およそ ま た 、ロ ー ト コ ン 、ブ シ 、ホ ミ カ 、コ ル ヒ ク ム 根 、 1 mg と な る 。本 法 に お け る ス ト リ キ ニ ー ネ の 検 出 限 馬兜鈴及び青木香を材料と方法3.2)の条件で粉 界 は 試 料 1 g あ た り 0.06 mg で あ る の で 、 本 法 で 、 砕し、3)の条件で調製した試験溶液を同様の 十分にストリキニーネを検出できると考えられる。 HPLC/PDA 条 件 で 分 析 し た と こ ろ 、 ロ ー ト コ ン の ア コ ル ヒ チ ン の ヒ ト に お け る 致 死 量 は 6 mg と さ れ トロピン、ブシのアコニチン及びメサコニチン、ホ ており 14) 、 中 毒 量 を 致 死 量 の 1/100 と 仮 定 す る と ヒ ミ カ の ス ト リ キ ニ ー ネ 、コ ル ヒ ク ム 根 の コ ル ヒ チ ン 、 ト に お け る 最 低 中 毒 量 は 0.06 mg と な る 。 ア ト ロ ピ 馬兜鈴及び青木香のアリストロキア酸Ⅰについて、 ンと同様に計算すると、中毒症状が起きるカプセル 特に妨害するピークは存在せず、各成分とも良好に 内容物のコルヒチンの量は、カプセル内容物 1 g あ 分 離 し た 結 果 が 得 ら れ た( 図 -2)。そ の た め 、植 物 性 た り 0.15 mg と な る 。 本 法 に お け る コ ル ヒ チ ン の 検 自 然 毒 の ス ク リ ー ニ ン グ 分 析 法 に お け る HPLC/PDA 出 限 界 は 試 料 1 g あ た り 0.005 mg で あ る の で 、中 毒 条件は、材料と方法3.4)に示すとおりとした。 (A) (B) アトロピン 吸光度 (mAU) 吸光度 (mAU) 50 300 200 0 6 8 10 12 800 20 600 0 22 400 24 26 28 200 100 0 0 0 10 20 (C) 30 40 時間 (分) 600 400 800 200 600 0 400 20 8 9 30 40 時間 (分) 10 11 50 コルヒチン 300 吸光度 (mAU) 800 1000 10 (D) ストリキニーネ 1200 0 50 200 150 250 100 200 50 150 0 12 100 14 50 0 0 10 20 30 時間 (分) 40 0 50 0 10 (F) 60 吸光度 (mAU) 20 300 0 29 200 30 40 50 40 50 40 500 40 400 30 アリストロキア酸Ⅰ アリストロキア酸Ⅰ 500 20 時間 (分) (E) 吸光度 (mAU) アコニチン 40 400 吸光度 (mAU) メサコニチン 1000 31 100 400 20 300 0 200 29 30 10 20 31 100 0 0 0 10 20 30 時間 (分) 40 50 0 30 時間 (分) 図-2 各生薬における HPLC クロマトグラム (Max Absorbance) (A) ロートコン、(B) ブシ、(C) ホミカ、(D) コルヒクム根、(E) 馬兜鈴、(F) 青木香 第 59 号 千葉県衛研年報 2.抽出条件の検討 鈴及び青木香を検討したスクリーニング分析法を用 当室が行っているいわゆる健康食品中の医薬品成 分の一斉分析法 9) 2010 年 と 同 様 の 抽 出 液 で あ る 70%メ タ ノ ールを抽出溶媒として、抽出条件の検討を行った。 ロ ー ト コ ン 等 の 粉 砕 し た 生 薬 約 100 mg を 量 り 採 り 、 いて材 料と 方法3.4)に示した定量波長で定量し た結果 、表 -1 の と お り と な っ た 。 4.モデル製品での検討 ロートコン等の生薬を市販カプセル剤内容物に重 70%メ タ ノ ー ル 5 mL を 加 え 、 15 分 間 超 音 波 抽 出 を 量割合で約 10%分加えて混ぜ合わせたモデル製品につ 行 い 、 1300 g で 10 分 間 遠 心 分 離 し 得 た 上 澄 液 を メ いて、検討したスクリーニング分析法を適用したとこ ンブランフィルターでろ過した液を 1 回目抽出液と ろ、各植物 性自然 毒は良 好 に検出する ことが できた 。 し た 。残 渣 に 同 様 の 操 作 を 繰 返 し 、2 回 目 抽 出 液 、3 また、モデル製品を定量した結果、表-2 のとおりであ 回目抽出液、4 回目抽出液を調製し、各抽出液を り、各成分とも添加量に相当する含有量を示した。 HPLC/PDA で 測 定 し た 。 そ の 結 果 、 ロ ー ト コ ン 中 の 以上の結果より、本法はいわゆる健康食品中にロ ア ト ロ ピ ン 、ブ シ 中 の ア コ ニ チ ン 及 び メ サ コ ニ チ ン 、 ートコン、ブシ、ホミカ、コルヒクム根、馬兜鈴及 ホミカ中のストリキニーネ、コルヒクム根中のコル び青木香が含まれていた場合に、その植物性自然毒 ヒチン、馬兜鈴及び青木香中のアリストロキア酸Ⅰ を一斉かつ迅速に検出する方法として有用であると のいずれも 2 回目の抽出液までで、全量に近い量が 考えられる。本法を用いて植物性自然毒の推定がで 抽 出 さ れ た( 図 -3)。そ の た め 、抽 出 条 件 は 材 料 と 方 きた場合は、既に報告されているアトロピン等の各 法 の 項 3 .2 )の と お り 、70%メ タ ノ ー ル 溶 液 5 mL 成分に焦点を当てた試験方法 での 2 回抽出とした。 確な定量を行う。今後、今回検討した 6 生薬 6 成分 3.各生薬中の植物性自然毒測定結果 以外にも対象となる成分を増やし、より充実したス ロートコン、ブシ、ホミカ、コルヒクム根、馬兜 6.0 Content (mg/g) 1.2 1.0 16.0 5.0 14.0 4.0 1.5 0.8 12.0 10.0 3.0 0.4 6.0 0.5 4.0 1.0 抽出4回目 抽出3回目 抽出2回目 抽出1回目 0.6 1.0 8.0 2.0 を用いてより正 クリーニング分析法にする予定である。 2.0 18.0 1 7)- 26 ) 0.2 2.0 0.0 0.0 1 2 0.0 0.0 3 4 6 5 7 図 -3 各 成 分 の 抽 出 回 数 の 検 討 ( 試 料 100 mg、 抽 出 液 70%メ タ ノ ー ル 5 mL) 1 ア ト ロ ピ ン ( ロ ー ト コ ン )、 2 ア コ ニ チ ン ( ブ シ )、 3 メ サ コ ニ チ ン ( ブ シ )、 4 ス ト リ キ ニ ー ネ ( ホ ミ カ )、 5 コ ル ヒ チ ン ( コ ル ヒ ク ム 根 )、 6 ア リ ス ト ロ キ ア 酸 Ⅰ ( 馬 兜 鈴 )、 7 ア リ ス ト ロ キ ア 酸 Ⅰ ( 青 木 香 ) 表 -1 生 薬 中 の 各 植 物 性 自 然 毒 含 有 量 表 -2 モデル製品中の各植物性自然毒含有量 a) 含有 量 (mg/g) 試料 成分 ロートコン アトロピン 5.91 ± 0.179 アコニチン 4.74 ± 0.089 メサコ ニチン 2.63 ± 0.016 ブシ ホミカ ストリキニーネ コルヒクム根 コルヒチン 馬兜鈴 アリストロキア 酸I 青木香 a) 平 均 値 ±標 準 偏 差 ( n=3) 15.9 1.80 a) 試料 約10%ロートコン添加カプセル 剤 約10%ブシ添加カプセル剤 ± 0.25 約10%ホミカ添加カプセル剤 ± 0.039 約10%コルヒクム根添加カプセ ル剤 0.847 ± 0.0217 約10%馬兜鈴添加カプセル剤 0.690 ± 0.0098 約10%青木香添加カプセル剤 成分 含有 量 (mg/g) アトロピン 0.623 ± 0.0171 アコニチン 0.417 ± 0.0089 メサコ ニチン 0.284 ± 0.0101 ストリキニーネ コルヒチン アリストロキア 酸I a) 平 均 値 ±標 準 偏 差 ( n=3) 1.83 ± 0.126 0.178 ± 0.0068 0.0867 ± 0.00163 0.0639 ± 0.00619 千葉県衛研年報 第 59 号 2010 年 文献 1) 香 港 衛 生 署 が 有 害 な 不 純 物 及 び 処 方 箋 医 薬 品 を 研 究 , 2, 225~ 228 (1989) 14) 西 玲 子 , 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