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原油市場他:地政学的リスク要因に絡む石油供給途絶懸念の高まりと

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原油市場他:地政学的リスク要因に絡む石油供給途絶懸念の高まりと
更新日:2013/2/17
石油調査部:野神 隆之
原油市場他:地政学的リスク要因に絡む石油供給途絶懸念の高まりと景気回復期待で
上昇する原油価格
(IEA、OPEC、米国 DOE/EIA 他)
① 米国では、製油所での春場のメンテナンス作業シーズン突入に伴い稼働が低下、ガソリンや留出油
生産が減少した結果、在庫も減少傾向を示したが、それ以前に在庫が積み上がっていたガソリンは
平年幅の上限付近に位置しているのに対し、留出油在庫は平年並みの水準となっている。また、国
内生産が堅調である反面、製油所での精製処理量が低下したことにより、同国の原油在庫は増加傾
向となり、量的にも平年幅を超過する状態となっている。
② 2013 年 1 月末現在の OECD 諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、欧
州や日本での微減を米国での増加が相殺した結果 OECD 諸国全体としては増加傾向となり量的に
も平年幅を超過している。石油製品については、米国ではガソリンや留出油の在庫が減少したこと
が影響し石油製品全体でも減少となったものの、12 月下旬に米国で「財政の崖」問題回避の動きが
政権や議会で出始めたことにより、同国経済とガソリン需要増加の観測が市場で発生したことに加
え、複数の製油所の操業が停止するなどしたことから、ガソリン供給途絶懸念が市場で増大した結
果、米国のガソリン価格が上昇、欧米間での価格差が拡大したことから、欧州の製油所でのガソリン
生産活動が活発化し当該製品在庫が増加したことに加え、欧州域内での軽油価格が高水準であっ
たことで当該製品需要が低迷したことにより中間留分在庫が増加となったことが石油製品全体の在
庫水準を押し上げたことが、米国での製品在庫減少を相殺した格好となり、OECD 諸国全体の石油
製品在庫は増加となったが、量的には依然平年幅の下方付近に位置している。
③ 2013 年 1 月中旬から 2 月中旬にかけての原油市場においては、アルジェリアでのイナメナスの天然
ガス処理施設に対する武装勢力による襲撃やイスラエルによるシリアに対する空爆といった地政学
的リスク要因に対する市場の中東・北アフリカ地域からの石油供給途絶に対する不安感に加え、経
済回復を示唆する欧米中の指標類の発表に伴う市場の石油需要に対する楽観的な見方、米国等で
の春場のメンテナンス作業シーズン到来に伴う製油所の稼働低下とガソリン生産鈍化に対する市場
の需給逼迫懸念によるガソリン先物相場の上昇が、原油相場に上方圧力を加えた結果、原油相場は
WTI で 1 月中旬初めの 1 バレル当たり 92~94 ドル台から 2 月中旬には同 96~98 ドル台へと変動
範囲を切り上げた。
④ 原油市場では、アルジェリアのイナメナスでの武装勢力による天然ガス田関連施設襲撃事件やイス
ラエルによるシリア空爆を含めた地政学的リスクの高まりが意識されており、中東・北アフリカ地域か
らの石油供給途絶懸念も増大していることから、当面この面で相場は現状の水準で下支えされると
見られる一方で、米国や中国などでの経済回復に対する期待に加え、夏場のドライブシーズンに伴
うガソリン需要期に向かいつつある中、米国等での製油所における春場のメンテナンス作業シーズ
ン到来に伴う稼働低下によるガソリン生産鈍化と市場での需給逼迫懸念の増大によるガソリン先物相
場上昇が、引き続き原油相場に上方圧力を加えていく可能性があると考えられる。
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Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に
含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何
らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果について
は一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げま
す。
1.
原油市場を巡るファンダメンタルズ等
2012 年 11 月の米国ガソリン需要(確定値)は前年同月比でほぼ変わらずの日量 854 万バレルとなっ
たが、2011 年 11 月が同 3.2%程度の減少であったこと、そして 2010 年 11 月も前年同月比で 1.0%程度
の減少となっていることを考慮すれば、低位安定といった状況であり、また速報値(日量 863 万バレル、
前年同月比で約1.1%増加)からも下方修正されている(図1 参照)。他方、2013 年 1 月の米国ガソリン需
要(速報値)は日量 838 万バレルと前年同月比で 2.3%程度の堅調な増加を示している。これは最近の
米国での景況感の改善等景気回復の兆しを反映していることによるものと見られるが、市場ではこのよう
な米国ガソリン需要増加が傾向として定着するものなのか、それとも一過性のものなのか、現時点では
判断できない状況である。2008 年のリーマンショック以降においても、米国のガソリン需要は時折前年同
月比で数%の増加を示すことがあったが、実際にはその後発表されたデータは継続的に前年割れとな
ることにより、むしろ低下傾向を示していたことからすると、今回の同国ガソリン需要の増加もその持続性
について今後数ヶ月は様子を見る必要があろう。ただ、そのような需要の増加の一方で、米国では製油
所が春場のメンテナンス作業に突入したことにより稼働を引き下げ、原油精製処理量を減少させた(図 2
参照)ことから、ガソリン生産が低下した(図 3 参照)結果、当該製品在庫は減少傾向を示したが、1 月前
半までに在庫が大幅に積み上がっていたこともあり、水準自体は平年幅上限付近に位置している(図 4
参照)。
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含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何
らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果について
は一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げま
す。
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は一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げま
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2012 年 11 月の米国の留出油需要(確定値)については、日量 390 万バレルと前年同月比で約 5.0%
の減少となり、速報値(日量 390 万バレル、前年同月比 5.2%程度の減少)とほぼ同水準であった(図 5
参照)。この月は暖房油が前年同月比で 14%程度の減少となっているが、2012 年 7 月 1 日以降ニューヨ
ーク州で暖房用に使用される留出油の硫黄分を 15ppm 以下とする(つまりそれは超低硫黄軽油(ULSD:
Ultra Low Sulphur Diesel)に当たる)としたことから、いわゆる「暖房油」(硫黄分 500ppm 超)から ULSD へ
の需要の振替が発生することにより、軽油需要は前年同月比で増加となりやすい状況であるにもかかわ
らず、2011 年 11 月の軽油需要が前年同月比で 4.1%程度の減少となるなど、輸送部門における需要の
弱さが示唆される結果となっている。他方、2013 年 1 月の当該需要(速報値)は日量350 万バレルと前年
同月比で 8.5%の減少となっている。この時期米国では全体としては平年を上回る気温ではあったもの
の月の後半には寒波が来襲し気温が平年を大きく下回るときもあるなど、2012 年1 月に比べれば相対的
に寒冷であった(図 6 参照)ことから、暖房油需要が前年に比べて大幅に低下したとは考えにくく、むしろ
米国での議会や政権が「財政の崖」問題解決に手間取ったことの影響が同国経済及び軽油需要に影響
した可能性が考えられる。他方、米国での製油所メンテナンス作業に伴う稼働低下と夏場のガソリン需要
期をにらんだ製油所でのガソリン生産重視の姿勢から、留出油生産が落ち込んだ(図 7 参照)こともあり、
米国での留出油在庫は減少、平年並みの在庫量となっている(図 8 参照)。
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含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何
らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果について
は一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げま
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2012 年 11 月の米国石油需要(確定値)はガソリンが前年同月とほぼ同水準であった一方で、留出油
が前年割れとなっていたことが影響し、日量 1,860 万バレルと前年同月比で 2.5%程度減少した。また、
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は一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げま
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2013 年 1 月の当該需要(速報値)は、留出油需要の前年同月比での減少をガソリン需要の増加が相殺し
た格好となり、日量 1,838 万バレルと前年同月比でほぼ変わらずとなった(図 9 参照)。また、製油所での
原油精製処理量の低下と国内生産の増加の影響を受け、原油在庫は増加傾向となり、平年幅を超過す
る水準となっている(図 10 参照)。なお、原油在庫が平年幅を超過している一方で、ガソリンの在庫が平
年幅上限付近、留出油在庫が平年並みの水準にそれぞれ位置していることから、原油とガソリンを合計
した在庫、そして原油、ガソリン、及び留出油を合計した在庫は、いずれも平年幅を超過している(図 11
及び 12 参照)。
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は一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げま
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2013 年 1 月末現在の OECD 諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、欧州
や日本での微減を米国での増加が相殺した結果 OECD 諸国全体としては増加傾向となり量的にも平年
幅を超過している(図13 参照)。石油製品については、米国ではガソリンや留出油の在庫が減少したこと
が影響し石油製品全体でも減少となったものの、12 月下旬に米国で「財政の崖」問題回避の動きが政権
や議会で出始めたことにより、同国経済とガソリン需要増加の観測が市場で発生したことに加え、暴風雨
の影響で停電等が発生したことに伴い Motiva Enterprises の Port Arthur 製油所(テキサス州、原油精製
処理量日量 60 万バレル)が操業を停止したことをはじめとして複数の製油所の操業が停止するなどした
ことから、ガソリン供給途絶懸念が市場で増大した結果、米国のガソリン価格が上昇、欧米間での価格差
が拡大したことから、欧州の製油所でのガソリン生産活動が活発化し当該製品在庫が増加したことに加
え、欧州域内での軽油価格が高水準であったことで当該製品需要が低迷したことにより中間留分在庫が
増加となったことが石油製品全体の在庫を押し上げたことが、米国での製品在庫減少を相殺した格好と
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含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何
らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果について
は一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げま
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なり、OECD 諸国全体の石油製品在庫は増加となったが、量的には依然平年幅の下方付近に位置して
いる(図 14 参照)。なお、原油在庫の平年幅を超過する状態が維持される一方で石油製品在庫が平年
幅下方付近に位置していることから、原油と石油製品を合計した在庫は平年幅上方付近に位置している
(図 15 参照)。また、1 月末時点での OECD 諸国推定石油在庫日数(月末の在庫量をその直後の 3 ヶ月
間の 1 日当たり需要で除したもの)は 58.8 日と 12 月末の推定在庫日数である 58.3 日から上昇している。
2013 年 1 月上旬から 2 月中旬にかけては、シンガポールでのガソリン等の軽質製品在庫は総じて減
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少傾向となり、1 月 9 日時点には 1,150 万バレル余りの在庫量であったものが 2 月 13 日には 950 万バレ
ル程度と 2012 年 12 月 26 日(この時は 940 万バレル弱)以来の低水準となった。マレーシアの Petronas
が保有する製油所(Mekala-1、原油精製処理能力日量 10 万バレル)が 2013 年 1 月に 1 ヶ月程度のメン
テナンス作業を実施することにより当該製油所の操業を停止したことに伴い、当該製品需要と同国への
ガソリン輸出が発生した他、2 月 19~15 日の春節の休日を控えてガソリン需要が増加している中国や 3
月に複数のメンテナンス作業に伴う製油所の操業停止を控えている韓国からシンガポールへの輸出が
減少したことが影響したと見られる。このようなことに加え、今後予想されるインド、台湾、米国等での製油
所でのメンテナンス作業に伴う操業停止による供給の引き締まり懸念から、ガソリン価格は原油価格に比
べて上昇、両者の価格差が拡大する結果となっている。また、ナフサについても、アジアや中東地域で
の製油所メンテナンス作業に伴う稼働低下に関連した供給減少が発生しており、これが需給逼迫懸念を
市場で高めることを通じて当該製品価格を上昇させる格好となっている。
シンガポールでの中間留分在庫については、2 月上旬までは概ね 1,050~1,150 万バレル程度の範
囲内で変動していたが、2 月13 日には前週比で 120 万バレル減少し 950 万バレルを割り込んだ。これは、
中東地域での製油所メンテナンス作業に伴う稼働低下に際し需給の引き締まり感が市場で発生している
ことに加え、2 月上旬に台湾の Formosa の麦寮(Mailiao)製油所(原油精製能力日量 54 万バレル)の水素
化精製装置が停止した(2 月 7 日に業界筋の話として、当該装置の停止がその 2~3 日前に発生したこと
が明らかになっており、装置の復旧までには 7~10 日程度を要すると見られる旨も併せて伝えられる)こ
とにより、当該製油所からの石油製品供給が低下したことに伴うものと見られる。このようなことから、シン
ガポール市場での軽油価格も原油価格に比べて上昇する傾向にある。
重油在庫については 1 月 9 日時点では 1,800 万バレルを割り込む水準であったが、その後増加、1 月
30 日には 2,000 万バレルを超過したが、2 月 13 日には 1,900 万バレルを割り込むなど、上下に変動する
格好となった。中国での中小製油所(重油を原料としている)からの需要(春節を控えた在庫の積み増し
状況に応じて重油需要が増減したと考えられる)や韓国での冬場の電力需要に対応するための発電所
からの重油需要の動向がシンガポールでの在庫の変動に影響している。ただ、上下変動はしつつも在
庫は 1 ヶ月前に比べて相対的に増加していることが重油価格を抑制した結果、原油価格との差は縮小し
ている。
2.
2013 年 1 月中旬から 2 月中旬にかけての原油市場等の状況
2013 年1 月中旬から 2 月中旬にかけての原油市場においては、アルジェリアでのイナメナスの天然ガ
ス処理施設に対する武装勢力による襲撃やイスラエルによるシリアに対する空爆といった地政学的リスク
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要因に対する市場の中東・北アフリカ地域からの石油供給途絶に対する不安感に加え、経済回復を示
唆する欧米中の指標類の発表に伴う市場の石油需要に対する楽観的な見方、米国等での春場のメンテ
ナンス作業シーズン到来に伴う製油所の稼働低下とガソリン生産鈍化に対する市場の需給逼迫懸念に
よるガソリン先物相場の上昇が、原油相場に上方圧力を加えた結果、原油相場は WTI で 1 月中旬初め
の 1 バレル当たり 92~94 ドル台から 2 月中旬には同 96~98 ドル台へと変動範囲を切り上げた(図 16
参照)。
米国北東部における気温が 1 月下旬にかけ平年を下回るとの気象予報が発表される中、1 月 10 日以
降米国内の複数の製油所が装置不具合等により操業を停止した旨明らかになったことから石油製品需
給逼迫懸念が 1 月 14 日に市場で発生したことにより米国暖房油先物相場が上昇したこと、加えてスペイ
ンの銀行の欧州中央銀行(ECB)からの借入額が3,573億ユーロと前月比で2.1%減少した旨のデータを
スペイン中央銀行が 1 月 14 日に発表した他、ECB のチーフ・エコノミストであるプラート(Praet)氏が、ユ
ーロ圏の債務危機は最悪期を脱した可能性がそれなりにある旨の見解を同日金融通信社 Market News
International が報じたことで、欧州債務危機に対する市場の懸念が後退し、ユーロが上昇した反面米ド
ルが下落したことにより、1 月 14 日の原油価格は前週末終値比で 1 バレル当たり 0.58 ドル上昇し終値は
94.14 ドルとなった。ただ、1 月 15 日にドイツ連邦統計局から発表された 2012 年 10~12 月期の同国国
内総生産(GDP)成長率(速報値)が前期比マイナス 0.5%となった他 2012 年全体の伸び率も前年比プラ
ス 0.7%と 2011 年のプラス 3.0%から大幅に鈍化したうえ市場の事前予想(同プラス 0.8%)を下回ったこ
とに加え、同じくこの日ニューヨーク連邦準備銀行から発表された 1 月のニューヨーク地区製造業景況感
指数(ゼロが製造業拡大と縮小の分岐点)がマイナス 7.8 と 2012 年 8 月以来 6 ヶ月連続で当該地区の製
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造業が縮小している旨示唆したうえ市場の事前予想(0.0)を下回ったことから、1月15日の原油価格の終
値は 1 バレル当たり 93.28 ドルと前日終値比で 0.86 ドル下落した。しかしながら、1 月 16 日には、この日
午前 5 時頃(現地時間)にアルジェリアのイナメナスガス田(生産量天然ガス日量 9 億立方フィート、コン
デンセート日量 6 万バレル)の処理施設がイスラム武装勢力により攻撃され外国人が拘束された旨明ら
かになった(同日フランスのマリへの軍事介入に抗議するアルカイダ関連組織が犯行声明を発表してい
る)ことで中東・北アフリカ諸国からの石油供給途絶懸念が市場で増大したうえ、1 月 16 日に米国エネル
ギー省エネルギー情報局(EIA)から発表された同国石油統計(1 月 11 日の週分)で原油在庫が市場の
事前予想(220~230 万バレル程度の増加)に反し 95 万バレル減少したこと、また翌17 日にも、アリジェリ
アのイナメナスでの施設での武装勢力による人質事件を巡り同国を含めた中東・北アフリカ諸国からの
石油供給途絶懸念が市場で引き継がれたうえ、1 月 17 日に米国商務省から発表された 12 月の米国新
築住宅着工件数が年率 95.4 万戸と 2008 年 6 月(この時は同 108.4 万戸)以来の高水準となった他市場
の事前予想(同 89.0 万戸)を上回ったこと、同じくこの日米国労働省から発表された同国新規失業保険
申請件数(1 月 12 日の週分)が 33.5 万件と前週比で 3.7 万件減少、2008 年 1 月 18 日の週(この時は同
31.8 万件)以来の低水準になった他市場の事前予想(同 36.5 万件)を下回ったことにより、原油価格は 1
月 16~17 日の 2 日間併せ終値ベースで 1 バレル当たり 2.21 ドル上昇、1 月 17 日の終値は 95.49 ドル
となった。 ただ、1月18日においては、前日同様アリジェリアのイナメナスの施設での武装勢力による人
質事件に伴う市場による中東・北アフリカ諸国からの石油供給途絶懸念の流れを市場が引き継いだ他、
1 月 18 日に中国国家統計局から発表された 2012 年 10~12 月期の同国 GDP が前年同期比で 7.9%の
成長と同年 7~9 月期の同 7.4%の成長から加速したうえ市場の事前予想(同 7.8%成長)を上回ったこと、
1 月 18 日に発表された IEA のオイル・マーケット・レポートで世界石油需要を上方修正したこと、1 月 18
日に米議会下院の指導者が米国連邦政府の債務上限を暫定的に 3 ヶ月間引き上げる法案を 1 月 23 日
に下院で通過させる方針である旨明らかにしたことで同国の債務不履行が当面回避できるとの見方が市
場で発生したことが、原油価格に上方圧力を加えたものの、同じくこの日(1 月 18 日)に発表された 1 月
のミシガン大学消費者信頼感指数(1966 年=100)(速報値)が 71.3 と 2012 年 12 月の 72.9 から低下し、
2011 年12 月(この時は 69.9)以来の低水準となった他市場の事前予想(75.0)を下回ったことが原油相場
に下方圧力を加えたことから、1 月 18 日の原油価格の終値は 1 バレル当たり 95.56 ドルと前日終値比で
0.07 ドルの上昇にとどまった。
1 月 21 日は、米国ではキング牧師誕生日に伴う休日によりニューヨーク商業取引所(NYMEX)での原
油先物契約に関する通常取引は実施されなかったが、1 月 21~22 日に実施された日本銀行政策決定
会合で、日銀が物価上昇目標をそれまでの 1%から 2%へと引き上げるとともに 2014 年初以降毎月 2 兆
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らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果について
は一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げま
す。
円の長期国債と 10 兆円の国庫短期証券を含む 13 兆円程度の金融資産の購入を無期限に実施する旨
決定したことから日本経済回復と石油需要増加期待が市場で発生した他、1 月 22 日に欧州経済研究セ
ンター(ZEW)から発表された 1 月の独景況感指数(ゼロが景気拡大と縮小の分岐点)が 31.5 と 2010 年5
月(この時は 45.8)以来の高水準となった他市場の事前予想(12.0)を上回ったこと、1 月22 日に発表され
た米損害保険大手トラベラーズと米銅生産最大手フリーポート・マクモランの 2012 年10~12 月期の業績
が市場の事前予想を上回ったこともあり米国株式相場が上昇したことから、1 月 22 日の原油価格は前日
終値比で 1 バレル当たり 0.68 ドル上昇し、この日の終値は 96.24 ドルとなった(なお、この日を以て
NYMEXの2月渡しWTI原油先物契約取引は終了したが、3月渡し契約のこの日の終値は96.68ドル(前
日終値比 0.64 ドル上昇)であった)。1 月 23 日には、この日国際通貨基金(IMF)から発表された世界経
済見通しで IMF が 2013 年の世界経済成長率を 3.5%と 2012 年 10 月 9 日時点での見通しの 3.6%から
下方修正したうえ、1 月 23 日に Seaway パイプライン(オクラホマ州クッシング~テキサス州フリーポート、
1 月 11 日に輸送能力をそれまでの日量 15 万バレルから同 40 万バレルへと拡張する工事が完成)の輸
送量を日量 17.5 万バレルへと制限する旨操業者である Enterprise Products Partners が通知したことで、
クッシングでの原油在庫水準が上昇し需給が緩和するとの懸念が市場で発生したことにより、この日の
原油価格の終値は 1 バレル当たり 95.23 ドルと前日終値比で 1.01 ドル下落した。ただ、1 月 24 日には、
この日英大手金融機関 HSBC と英金融情報サービス会社マークイットから発表された 1 月の中国製造業
購買担当者指数(PMI)(速報値)(50 が製造業拡大と縮小の分岐点)が 51.9 と 2012 年 12 月の 51.5(改定
値)から上昇したうえ市場の事前予想(51.7)を上回ったことに加え、1月24日に米国労働省から発表され
た同国新規失業保険申請件数(1 月 19 日の週分)が 33.0 万件と前週から 0.5 万件減少し 2008 年 1 月
18 日の週(この時は 31.8 万件)以来の低水準となった他市場の事前予想(35.5 万件)を下回ったこと、同
じく 1 月24 日に米民間調査機関コンファレンス・ボードから発表された 12 月の米国景気先行指標総合指
数(2004 年=100)が前月比で 0.5%上昇し市場の事前予想(同 0.4%上昇)を上回ったこと、そして
Seaway パイプラインが 1 週間以内に輸送量を増加させるであろう旨示唆する関係筋からの情報が 1 月
24 日に報じられたことで今後クッシングでの原油在庫が減少し需給が引き締まるとの観測が市場で発生
したことにより、この日(1 月 24 日)の原油価格は反発、前日終値比で 1 バレル当たり 0.72 ドル上昇し終
値は 95.95 ドルとなった。他方、1 月25 日には、この日米商務省から発表された 12 月の米国新築住宅販
売件数が年率36.9万戸と前月から 7.3%減少したうえ市場の事前予想(同38.5 万戸)を下回ったことが原
油相場に下方圧力を加えた反面、1 月 25 日に独非営利研究機関 Ifo 経済研究所から発表された 1 月の
ドイツ景況感指数(2005 年=100)が 104.2 と 12 月の 102.4 から上昇し 2012 年 6 月(この時は 105.2)以
来の高水準となった他市場の事前予想(103.0)を上回ったうえ、1 月30 日に欧州金融機関278 行が ECB
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に
含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何
らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果について
は一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げま
す。
実施の 3 年物資金供給のうち 1,372 億ユーロを繰り上げ返済する予定である旨 1 月 25 日に ECB が明ら
かにし、それが市場の事前予想(840~1,000億ユーロ)を上回っていたことで、欧州金融機関の資金繰り
が改善しているとの観測が市場で発生したことから、ユーロが上昇した反面米ドルが下落したことに加え、
1 月 25 日に発表された米消費財最大手 P&G 及び米石油・天然ガスサービス大手ハリバートンの 2012
年 10~12 月期業績が市場の事前予想を上回ったことにより米国株式相場が上昇したことが原油相場に
上方圧力を加えたことで、この日(1 月 25 日)の原油価格の終値は 1 バレル当たり 95.88 ドルと前日終値
比で 0.07 ドルの下落にとどまった。
1 月 28 日には、この日米国商務省から発表された 12 月の同国耐久財受注額が前月比で 4.6%増加と
市場の事前予想(同 1.8~2.0%増加)を上回ったうえ、1 月 28 日に Hess が Port Reading(ニュージャージ
ー州、精製処理能力日量 7 万バレル)を 2 月末までに閉鎖すると発表したことで、米国北東部でのガソリ
ン需給引き締まり懸念が市場で発生したことから、米国ガソリン先物相場が上昇したことに加え、翌 29 日
には、この日独市場調査会社 GfK から発表されたドイツの 2 月の消費者信頼感指数(ゼロが景況感改善
と悪化の分岐点)が 5.8 と 1 月の 5.7 から上昇したうえ市場の事前予想(5.7)を上回ったこと、同じく 1 月
29 日に発表された 11 月の S&P ケースシラー住宅価格指数(全米 20 都市圏)が前年同月比で 5.5%の
上昇と 2006 年 8 月(この時は同 5.7%の上昇)以来の大きな増加率を示したこと、1 月 30 日も、この日欧
州委員会(EC:European Commission)から発表された 1 月のユーロ圏景況感指数(1990~2012 年平均
=100)が 89.2 と 12 月の 87.8(改定値)から上昇し 2012 年 6 月(この時は 90.7)以来の高水準となった他
市場の事前予想(88.2)を上回ったことによりユーロが上昇したことに加え、1 月 29~30 日に開催された
米国連邦公開市場委員会(FOMC)で月額 850 億ドル相当の資産を購入し続ける旨決定したことで同国
での金融緩和政策が継続するとの認識が市場で広がったことから、米ドルが下落したこと、1 月 30 日に
AFP 通信がイスラエル軍がシリアのレバノン国境付近で空爆を実施したと報じたため、中東地域を巡る
地政学的リスクを市場が意識したこと、1 月30 日に EIA から発表された同国石油統計(1 月 25 日の週分)
でガソリン及び留出油在庫が市場の事前予想(ガソリン 10 万バレル程度の減少~100 万バレル程度の
増加、留出油 50~110 万バレル程度の減少)に反する、もしくは上回る、ガソリン 96 万バレル、留出油
232 万バレルの、それぞれ減少となっていた旨判明したことにより、原油価格は 1 月 28~30 日の 3 日間
で併せて 1 バレル当たり 2.06 ドル上昇し、1 月 30 日の終値は 97.94 ドルとなった。 1 月 31 日には、こ
の日米国労働省から発表された同国新規失業保険申請件数(1 月 26 日の週分)が 36.8 万件と前週比で
3.8 万件増加した他市場の事前予想(35.0 万件)を上回ったことで、この日の原油価格の終値は 1 バレル
当たり 97.49 ドル前日終値比で 0.45 ドル下落したが、2 月 1 日には、この日発表されたミシガン大学消費
者信頼感指数(1966 年=100)(確定値)が 73.8 と 12 月の 72.9 から上昇した他市場の事前予想(71.5)を
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に
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らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果について
は一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げま
す。
上回ったことに加え、同日米国供給管理協会(ISM)から発表された 1 月の同国製造業景況感指数(50 が
景気拡大と縮小の分岐点)が 53.1 と 12 月の 50.2 から上昇した他市場の事前予想(50.6~50.7)を上回っ
たことにより米国株式相場が上昇したことから、この日の原油価格は前日終値比で 1 バレル当たり 0.28 ド
ル上昇し終値は 97.77 ドルとなった。
ただ、イランの最高指導者ハメネイ師が真剣に協議を行う用意があるなら、米国とイランとの 2ヶ国間で
の協議開催を行う準備がある旨、2 月 2 日にバイデン米副大統領が発言したことで、イランのウラン濃縮
活動を巡る西側諸国等との対立激化に対する市場の懸念が後退した(なお、ハメネイ師は 2 月 7 日にバ
イデン氏の提案を拒否している)他、1 月31 日付のスペイン紙「エルパイス」が、ラホイ首相率いる与党国
民党が企業から不正に資金を受領していた旨報じた(同日同首相と国民党は否定している)ことを受け、
2 月 3 日に野党である社会労働党が首相に対して辞任を要求した他、イタリアではベルルスコーニ前首
相が率いる自由国民が支持率を上昇させつつある(同氏は 2 月3 日に減税を実施するとの公約を発表し
ている)など、それぞれの国の政局の不透明感が増大していることから、両国の国債利回りが上昇したこ
とに伴い、2 月4 日の外国為替市場でユーロが下落した反面米ドルが上昇したこと、2 月4 日に米国商務
省から発表された同国製造業受注額が前月比 1.8%の増加と市場の事前予想(同 2.2~2.3%増加)を下
回ったことにより、米国株式相場が下落したことで、この日(2 月 4 日)の原油価格は前週末終値比で 1 バ
レル当たり 1.60 ドル下落し終値は 96.17 ドルとなったが、2 月 5 日には、この日マークイットから発表され
た 1 月のユーロ圏総合購買担当者指数(50 が景気拡大と縮小の分岐点)(改定値)が 48.6 と 1 月 24 日
に発表された速報値(48.2)から上方修正されたうえ 2012 年 3 月(この時は 49.1)以来の高水準となった
ことで、当該地域経済に対する楽観的な見方が市場で発生したうえ、同じくこの日 ISM から発表された 1
月の同国非製造業景況感指数(50 が当該部門拡大と縮小の分岐点)が 55.2 と市場の一部事前予想
(55.0~55.2)を上回ったこと、2 月 5 日に発表された米大手エンターテイメント会社ディズニーの 2012 年
10~12 月期業績が市場の事前予想を上回ったこともあり米国株式相場が上昇したこと、2 月 5 日に発表
された 1 月のユーロ圏総合購買担当者指数が上方修正されたことで、2 月 7 日に予定される ECB 理事
会では利下げの決定はないとの見方が市場で増大したことにより、ユーロが上昇した反面米ドルが下落
したことから、2月5日の原油価格の終値は1バレル当たり96.64ドルと前日終値比で0.47ドル上昇した。
また、2 月 6 日には、この日 EIA から発表された同国石油統計(2 月 1 日の週分)で原油在庫が前週比
262 万バレルの増加と市場の事前予想(265~300 万程度の増加)ほどには増加しなかったことが原油相
場に上方圧力を加えた一方で、スペイン及びイタリアの政局混乱への懸念が市場で再燃したことでユー
ロが下落した反面米ドルが上昇したことが原油相場に下方圧力を加えたことにより、この日の原油価格の
終値は 1 バレル当たり 96.62 ドルと前日終値比で 0.02 ドルの下落にとどまった。2 月 7 日には、この日米
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国労働省から発表された同国新規失業保険申請件数(2 月 2 日の週分)が 36.6 万件と市場の事前予想
(36.0 万件)を上回ったことに加え、BP の Whiting 製油所(インディアナ州、原油精製処理能力日量41 万
バレル)のうち、現在改修作業のため操業を停止している原油精製処理装置(能力日量 26 万バレル)の
操業再開が 4 月半ばから 7 月にまで延期された旨 2 月 7 日に報じられたことで、クッシングでの原油需
給緩和状態が長引くとの観測が市場で発生したこと、2 月 7 日にドラギ ECB 総裁がユーロ圏からの輸出
等当該地域経済に対する最近のユーロ上昇の影響を注視している旨発言したことで、ECB の利下げ可
能性に対しての市場の観測が増大し、ユーロが下落した反面米ドルが上昇したこと、また翌 8 日には、
Phillips 66 の Wood River 製油所(米国イリノイ州、原油精製能力日量 29 万バレル)で原油精製処理装置
2 基が 2 月 24 日から 34 日間の予定でメンテナンス作業を実施する旨 2 月 8 日に報じられたことで、製
油所の稼働低下に伴いクッシングでの原油需給が緩和するとの観測が市場で発生したことにより、原油
価格は 2 月 7~8 日の 2 日間で併せて 1 バレル当たり 0.90 ドル下落、2 月 8 日の終値は 95.72 ドルとな
った。
2 月 11 日には、この日 ECB 政策委員会のバイトマン(Weidmann)委員(ドイツ連邦銀行総裁)が、ユー
ロは過大評価されてないと発言したことで、ユーロが上昇した反面米ドルが下落したこと、また、翌 12 日
には、この日OPECから発表された「月刊オイル・マーケット・レポート」で2013年の世界石油需要が上方
修正された他同日 EIA から発表された「短期エネルギー展望」で 2013 年及び 2014 年の世界石油需要
が上方修正されたことに加え、2月12日に主要7 ヶ国(G7)財務相・中央銀行総裁が自国通貨を安く誘導
しない旨合意した他同日ドラギ ECB 総裁が政治家のユーロ相場への介入要請は控えるべき旨発言した
ことで、ユーロが上昇した反面米ドルが下落したことから、原油価格は 2 月 11~12 日の 2 日間で併せて
1 バレル当たり 1.79 ドル上昇し、2 月 12 日の終値は 97.51 ドルとなった。2 月 13 日には、この日 IEA か
ら発表されたオイル・マーケット・レポートで 2013 年の世界石油需要が下方修正されたうえ、2 月 13 日に
EIA から発表された同国石油統計(2 月 8 日の週分)で米国の原油生産量が日量 706.4 万バレルと 1992
年 12 月 8 日の週(この時は同 709.8 万バレル)以来の高水準に到達していた旨判明したことにより、この
日の原油価格は前日終値比で 1 バレル当たり 0.50 ドル下落し終値は 97.01 ドルとなった。 ただ、2 月 13
日に実施された国際原子力機関(IAEA)とイランとの間での同国核関連施設査察のための協議が合意
に至らず、次回協議開催日程も決定しなかった旨、2 月 14 日に IAEA のヘルマン・ナカーツ(Herman
Nackaerts)事務次長が明らかにしたことで、イランと西側諸国等との対立の激化を巡る懸念が2月14日の
原油市場で増大したこと、2 月 14 日に米国労働省から発表された同国新規失業保険申請件数(2 月 9 日
の週分)が 34.1 万件と前週比2.7 万件の減少となり、市場の事前予想(36.0 万件)を下回ったこと、米国で
の春場の製油所メンテナンスシーズン到来に伴うガソリン需給逼迫懸念が市場で発生したことにより米国
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ガソリン先物相場が上昇したことから、この日の原油価格の終値は 1 バレル当たり 97.31 ドルと前日終値
比で 0.30 ドル上昇したが、2 月 15 日には、この日欧州連合統計局(ユーロスタット:Eurostat)から発表さ
れた 12 月のユーロ圏輸出額が前月比で 1.8%の減少と 2012 年 7 月以来の減少を示したうえ、2 月 15
日に米国商務省から発表された 1 月の同国鉱工業生産指数が前月比で 0.1%の減少と市場の事前予想
(同 0.2%増加)を下回ったこと、西側諸国等がイランに対し金や貴金属の貿易を禁ずる制裁の緩和を提
案する計画である旨、2月15日にロイター通信社が報じたことで、ウラン濃縮を巡るイランと西側諸国等と
の対立が緩和するとの観測が市場で発生したことに加え、米小売り大手ウォルマート・ストアーズの 2 月
の売上が非常に悪い始まり方をしている旨示唆していると2月15日にブルームバーグ通信社が報じたこ
とで、米国経済の先行きに関する懸念が市場で発生したことから、2 月15 日の原油価格は前日終値比で
1 バレル当たり 1.45 ドル下落し、この日の終値は 95.86 ドルとなっている。
3.
今後の見通し等
原油市場では、アルジェリアのイナメナスでの武装勢力による天然ガス田関連施設襲撃事件やイスラ
エルによるシリア空爆を含めた地政学的リスクの高まりが意識されており、中東・北アフリカ地域からの石
油供給途絶懸念も増大していることから、当面この面で相場は現状の水準で下支えされると見られる一
方で、米国や中国などでの経済回復に対する期待に加え、夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要
期に向かいつつある中、米国等での製油所における春場のメンテナンス作業シーズン到来に伴う稼働
低下によるガソリン生産鈍化と市場での需給逼迫懸念の増大によるガソリン先物相場上昇が、引き続き
原油相場に上方圧力を加えていく可能性があると考えられる。
地政学的リスクについては、イランにおいては 2 月13 日に実施された国際原子力機関(IAEA)とイラン
との間での同国核関連施設査察のための協議が合意に至らず、次回協議開催日程も決定しなかった旨、
2 月 14 日に IAEA のヘルマン・ナカーツ事務次長が明らかにしたことで、イランと西側諸国等との対立の
激化を巡る懸念が市場で増大する格好となっている。また、2 月 26 日にはウラン濃縮問題を巡ると国連
安保理常任理事国 5 ヶ国及びドイツとイランとの間での協議が実施されるものの、これまでの経緯(協議
は実施するものの実りのある結果は残せず)からすると、当該協議の結果に関し市場が事前に容易に楽
観的になるという確率も低く、実際に具体的に前向きな結果(もしくは協議中において具体的に楽観的な
展開の兆候)が出てきたところで、初めて原油相場にその影響が織り込まれるということになろう。また、
シリアにおいても、国内での戦闘は激しさを増していることを示しており、1 月 30 日にイスラエル軍がシリ
アのレバノン国境付近で空爆を実施した(ヒズボラへの武器供与を防止するとされる)一方で、これに対
して 1 月 31 日にはシリアのアリ駐レバノン大使が報復を警告している他、2 月 11 日には、シリアとトルコ
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の緩衝地帯でバスが爆発しトルコ人を含む 13 人が死亡した他、2 月13 日には、シリアのアサド政権に対
して支援活動をしていたイランの革命防衛隊の司令官が反体制派武装勢力により殺害された旨明らか
になるなど、シリアの内戦の影響が再び周辺諸国へと波及する様相を呈し始めた。また、1 月 16 日にア
ルジェリアのイナメナスでの天然ガス田関連施設がイスラム武装勢力により襲撃されアルジェリア軍との
戦闘の結果多数の犠牲者が出たと伝えられる。加えて、リビアにおいても東部の石油都市ベンガジに滞
在する英国人に対して1 月24 日に英外務省が即時退去の警告を通知、エジプトでは石油の重要な輸送
路であるスエズ運河沿岸地域を含めた各地で騒乱が発生するなどしている。これに伴い、中東・北アフリ
カ地域からの石油供給途絶に対する市場の懸念が以前に比べて増大しており、それが原油相場に織り
込まれる格好となっている(実際アルジェリアでの人質事件以降原油相場の変動範囲は切り上がってい
る)。このような中東・北アフリカ諸国情勢の不安定化は急速に落ち着く類のものではないことから、今後
もしばらくはそのような状況は続く可能性があると考えられる。
他方、欧州では 2012年第四四半期の経済成長が市場の事前予想を下回るほど不振であったものの、
米国と中国の景気回復見通しに対する市場の期待感は根強いことから、今後当面発表される経済指標
類については、相場上昇を促す指標類は相場で織り込まれやすく、そうでない指標は織り込まれにくい
展開になるであろうと予想される。また、今後も米国等企業の業績が発表されるが、その中で市場の事前
予想を超過して良好な業績に対しては、株式相場にその結果が反映される他、原油相場もその影響を
受けることになろう。原油相場における下振れリスクを挙げるとすれば、2 月 24~25 日に実施される予定
のイタリア総選挙で、モンティ現首相陣営が敗北しベルルスコーニ前首相派が勝利すれば、イタリアやス
ペインの国債利回りが上昇するとともにユーロが下落する反面米ドルが上昇することにより、原油価格が
下方圧力を受ける、といった展開はありうるであろう。但し、市場では米国と中国の景気回復期待が根強
く、原油価格の下落を原油購入の好機と見て資金が流入しやすいことから、原油相場の下落局面が継続
する可能性はそれほど高くはないと思われる。
石油需給ファンダメンタルズ面については、米国や OECD 諸国の石油在庫に示されるように、現在必
ずしも石油需給が引き締まっているといったことは示唆されていない。しかしながら、米国での景気回復
期待が根強い中、同国のガソリン需要が前年比で増加を示していることから、今後米国等での春場のメ
ンテナンス作業シーズン到来に伴う製油所での稼働低下によりガソリン生産が鈍化することにより、当該
製品需給の引き締まり観測が市場で発生し、それがガソリン及び原油相場に影響を及ぼすといった展開
となる恐れはある。
1 月 11 日に輸送能力拡張工事を完了しクッシングでの原油在庫増加を抑制すると市場から期待され
た Seaway パイプラインについては、1 月 23 日に日量17.5 万バレルへと輸送能力が制限され、ほぼ拡張
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工事完了前の能力へと再び低下した。ただパイプライン自体の機能に問題があるわけではなく、顧客の
一つである Phillips 66 の Sweeny 製油所(原油精製能力日量 26 万バレル)からの原油購入が減少したこ
とにより原油輸送先の一つである Port Arthur 近くの Jones Creek ターミナルにおいて原油貯蔵量が高水
準となったことにより当該ターミナルでの原油受入が困難になったことに伴うものであり、当初は 1 週間程
度で従来の輸送能力に戻ると伝えられたが、1 月 31 日にはパイプライン操業者である Enterprise
Products Patners が、輸送能力の回復のためには Seaway パイプラインから ECHO 貯蔵ターミナル(ヒュ
ーストン郊外、当該施設では 2013 年 11 月に 75 万バレル、2014 年にはさらに 90 万バレル分の貯蔵施
設が完成する予定であるとしている)へ新たにパイプラインを敷設しなければならず、その完成は 2013
年第四四半期になる旨明らかにした。このため、当面 Seaway パイプラインの輸送能力は日量 17.5 万バ
レルで推移すると考えられ、従ってクッシングの原油在庫水準も低下しにくくなることから、ブレントと WTI
の価格差が大きく縮小する可能性は低下したものと思われる。
4.
世界天然ガス市場の動向
米国では、2011~12 年の冬が暖冬となったことに加え国内でのシェールガス生産が高水準であった
ことにより天然ガス需給が大幅に緩和、2012 年 4 月には価格が百万 Btu 当たり 2 ドルを割り込む状況と
なった(図 17 参照)。しかしながら、このような天然ガス価格の低下により米国では発電部門においてコ
スト面で天然ガスが石炭に比べて相対的に競争力を高めた(図18 参照)結果、石炭から天然ガスへの燃
料転換が発生、夏場の米国の気温上昇に伴う空調機器の稼働活発化による電力消費の増加に伴い天
然ガス需要が伸びる(図19 参照)一方で、価格がシェールガス開発・生産コストを割り込んだ(場所にもよ
るが米国でのシェールガスの開発・生産コストは百万 Btu 当たり概ね 4~6 ドル程度と言われている)こと
から、シェールガス開発のための掘削活動が低迷(図 20 参照)、その結果同国では天然ガス生産が
2011 年 10 月以降概ね日量 660 億立方フィート前後で伸び悩むことになった(図 21 参照)。このようなこ
とから、同国の天然ガス地下貯蔵量は 2012 年 3 月 30 日の時点では、5 年平均貯蔵量を 60%程度超過
する状況であったが、需要の増加と供給の伸び悩みによりその後需給は引き締まる方向に向かい、2012
年 11 月 16 日時点では同平均量を 4.5%程度超過する程度にまでその余剰幅を縮小させるに至った(図
22 参照)。勿論それでも 5年平均量は超過しており2012~13年の冬場においては再び同平均量の超過
度合いを高めつつある(2013 年 2 月 8 日時点での超過率は 16%程度である)ことから需給に逼迫感が
生じているというわけではない(従って、米国の LNG 輸入量は低迷したままである、図 23 参照)が、2012
~13 年の冬は 2011~12 年の冬に比べれば相対的に気温は総じて低めに推移しており(図 24 参照)、
例えば2012年11月は民生用(つまりその主流は暖房用)天然ガス需要(推定値)が前年同月比で増加し
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す。
ており、このような状況を反映し米国の天然ガス価格は冬場の初期には百万Btu当たり4ドルに接近する
水準へと上昇した。ただ、天然ガス価格が上昇した結果、一部地域では発電部門において再び天然ガ
スから石炭への燃料転換が発生した(2012 年 4 月には天然ガスと石炭の発電量の占有率が同一水準と
なったものの、その後は再び石炭の占有率が回復、天然ガスのそれを超過する状態が続いている、図
25 参照)ことに加え、2013 年1 月に入り冬場の暖房シーズンに伴う天然ガス需要期の残り期間も少なくな
り始めたことから、徐々に市場では春場以降の不需要期が意識され始めたことが価格に下方圧力を加え
る格好となっており、2013 年 2 月前半時点では天然ガス価格は百万 Btu 当たり 3 ドル台前半で推移して
いる。
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に
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らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果について
は一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げま
す。
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一方欧州では経済減速(2012 年のユーロ圏の経済は前年比で 0.6%の縮小と市場の事前予想である
同 0.4%の縮小を上回るものであった)に加え、米国発電部門での天然ガスとの競争で劣勢となった一
般炭の米国から欧州への輸出が一時活発化した※こともあり、欧州では発電部門において石炭コストが
天然ガス価格に比べて廉価となった結果天然ガスから石炭への燃料転換が発生し(例えば英国では発
電量における石炭の占有率が天然ガスのそれと逆転するといった現象が発生している、図26参照)天然
ガス需要が前年同月比で減少傾向となった(図 27 参照)。しかしながら、冬場に向けて欧州ではしばし
ば平年を下回るほどに気温が低下してきた一方北東アジア諸国等からの LNG に対する需要増加の観
測と欧州への LNG 輸入の減少(図 28 参照)から、当該地域での天然ガス需給引き締まり感が市場で発
生したこともあり、2012 年 8 月には百万 Btu 当たり 8 ドル程度であった英国天然ガス価格は 12 月初めに
は一時11 ドルを超過するなど上昇傾向となった。ただ、当該地域での需要不振が根強かったことが供給
の低下を相殺した結果、欧州での天然ガス貯蔵量が前年と遜色のない水準で推移している(図 29 参照)
こともあり、英国の天然ガス価格はその後総じて下落傾向を示し、2013 年2 月前半は概ね 10 ドル台前半
程度で推移している。
※ただ、2012 年後半には米国での石炭需要の減少と価格の低迷により石炭生産が減少(一部の石炭生産業者が減産等を
実施しているとの指摘もある、図 30 参照)したことに伴い、2012 年前半には前年同期比で大きく伸びた米国の一般炭輸
出は同年後半には落ち着き始めたがそれでも依然 2011 年は超過する水準となっている(図 31 参照)
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一方北東アジア地域では、原子力発電所の稼働率が低迷した反面 LNG 需要が堅調な日本(図 32 参
照、因みに 2012 年の日本の LNG 輸入量は 8,731 万トンと前年比で 878 万トン(11.1%)の伸びとなった)
において、2012 年 11 月 9 日には気象庁から発表された 1 ヶ月予報(11 月 10 日~12 月 9 日)で平年を
下回る気温の予報が発表された他、その後も日本では気温が低下傾向となったこともあり LNG に対する
需要が堅調になるとの観測が市場で発生した他、韓国の霊光(ヨングァン)原子力発電所 5 号機及び 6
号機において部品の品質保証書偽造が発覚したことにより 2012 年 11 月 5 日に運転を停止した(2013 年
1 月 2 日に操業再開)他、11 月9 日には韓国水力原子力が同発電所3 号機の制御棒案内管に亀裂が発
見されたことにより補修作業を実施する必要性がある旨示唆したことから、代替の発電向け LNG 需要が
発生するとの不安感が市場で広がったことから、このような観測や不安感が北東アジア地域における
LNG スポット価格に上方圧力を加えた。加えて、ブラジルでは渇水から水力発電所の稼働が低迷する一
方で、その代替としてガス火力発電を稼働させるために天然ガス需要が発生したことにより、2013 年に入
って同国は LNG のスポット調達を活発化させており(ブラジルは 2013 年 1 月に日量 8 億立方フィートの
LNG を輸入したと推定されるが、これは前月比で 70%程度の増加となる)、この結果、ブラジル等の中南
米諸国と北東アジア諸国とがスポット LNG 調達を巡って競合したことにより、2012 年 8~10 月にはしばし
ば百万Btu 当たり 13 ドルを割り込んでいた北東アジア地域での LNG スポット価格は再び上昇傾向となり
2013 年 2 月 11 日時点では百万 Btu 当たり 19 ドル台半ばに接近している。なお、欧州ではカタールから
の LNG 輸入が低下している反面、日本においてはカタールからの LNG 輸入が堅調である(図 33 参照)
ことから、カタールは欧州に比べて LNG 価格が相対的に高い日本に LNG を輸出しているといったこと
が窺われる。
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