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“ジュネーブから今を見る”
今日のヘッドライン
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今日のヘッドライン
2014年10月のまとめ
米国の引き締めユーロ圏に注目した2014年10月の今日のヘッドライン
10月の今日のヘッドラインは、先進国の注目点は米国の金融引締め時期とユーロ圏の量的金融緩和についてで、
新興国では中国、ロシア、ブラジルに注目しました。またエボラ出血熱などグローバルの話題も取り上げました。
2014年10月のテーマ:米国金融政策に
加えユーロ圏の景気動向が焦点に
国等
トピッ クス
日付
ペー ジ
10月、グローバルな話題をいくつか取り上げました。金融
米国雇用市場の着実な回復と今後の
注目点
10月6日
6
政策を中心にてこ入れしてきたグローバル経済ですが、
FOMC議事録で言及されたことは
10月9日
7
米国30年国債利回り低下で見過ごさ
れるリスク
10月14日
8
それでも、やはり米国中間選挙
10月17日
9
FOMC受けドル上昇、その理由は
10月30日
10
しました。ユーロ圏では量的金融緩和の内容と、ストレス
ECB政策理事会の注目ポイント
10月1日
11
テストの結果に注目しました。加えて、ユーロ圏について
ECB、期待はずれというけれど
10月3日
12
金融政策の効果に疑問がもたれる中、インフラ投資を含
北米
米国
めた財政政策の導入が話題となりました。
先進国では米国の金融引締め時期を巡る米連邦公開市
場委員会(FOMC)の検討内容、並びに中間選挙に注目
は、ギリシャなど周縁国で債務不安が台頭したため、そ
欧州
の背景も解説しています。
新興国では中国の経済政策は全体の底上げより、住宅
市場など的を絞った政策が柱となる可能性に言及してい
ギリシャの利回り上昇に見る、2つの
ユーロ圏
10月16日
懸念
ドイツの財政均衡目標に対する圧力は
10月21日
高まるか?
三度目の正直となるか、ECBのストレ
10月27日
ステスト
インド
ます。また普段は注目度の低い4中全会についても、中
国の今後の方向性が示される可能性があるため取り上
げました。ロシアはルーブル市場下落の背景と今後につ
新興国
アジア
中国
いて説明しています。ブラジルは大統領選挙の行方と選
挙後のブラジルの課題について解説しています。
新興国
欧州
今日のヘッドライン、2014年10月のまとめ
国等
グロー
バル
トピッ クス
IMFの提案、いつまでも金融政策頼り
では
エボラ出血熱、早期に解決することを
願う
最近気になる、量的金融緩和の効果
について
証券化市場のコントロールの新たな手
段
ピクテ投信投資顧問株式会社
日付
ペー ジ
10月8日
2
10月15日
3
10月22日
4
10月28日
5
ロシア
新興国
ブラジ ル
南米
インド、信頼感上昇の背景にあるもの
故(ふる)きを温(たず)ね新しきを知る、
中国住宅政策
4中全会が示す中国の方向は法治国
家か
中国の対外直接投資は助け舟となる
か
ロシアルーブルの悲観要因と、おぼろ
げな光
ロシアとウクライナ、ガス供給再開で
合意の事情
ブラジル、決選投票を左右すると見ら
れるシルバ氏支持票
ブラジル大統領選挙、その後を占う
13
14
15
10月2日
16
10月10日
17
10月20日
18
10月23日
19
10月29日
20
10月31日
21
10月7日
22
10月24日
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当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料
であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の
推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに
帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではあ
りません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、
使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在の
ものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利
回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護
機構の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対
象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他
に係る助言を構成するものではありません。
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“ジュネーブから今を見る”
今日のヘッドライン
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2014年10月8日
IMFの提案、いつまでも金融政策頼りでは
IMFは最新の世界経済見通しを発表、2014年、2015年ともに成長率予想が下方修正されました。また今後、経済
成長促進のため公共投資が必要との見方がしめされました。
IMF世界経済見通し:2014年世界成長3.3%に
下方修正、ユーロ圏・日本の成長には懸念
国際通貨基金(IMF)は7日に発表した「世界経済見通し」で、
2014年の世界経済の成長率予想を+3.3%、15年は+3.8%に引
き下げました。なお7月時点の予想は14年が+3.4%、15年は
+4.0%でした。IMFは長期的な潜在成長率についても下方修
正を行いました。一方で、IMFは今回の「世界経済見通し」の
中で、経済の停滞を回避するため、各国に労働市場改革や
租税回避対策、インフラ投資の拡大など一連の構造改革の
実施をあらためて求めています。
国・地域別では、米国については経済成長見通しが堅調な
経済を背景に2014年、2015年ともに上方修正されました。一
方、ユーロ圏や日本は下方修正されました。新興国では中
国の成長見通しは、同国の景気刺激策実施などを背景に据
え置かれたものの、ブラジルについては投資の低迷などを受
け大幅な下方修正となりました(図表1参照)。
今回の発表を受け為替市場はリスク回避的な動きとなり、安
全通貨とみられる円が上昇しました。また株式市場は、同時
に先進国の金融緩和を背景に一部株価の「泡立ち」が警告
されたこともあり、S&P500種指数が前日比-1.5%下落するな
ど、軟調な動きとなりました。
どこに注目すべきか
経済成長見通しの下方修正、公共投資
8%
2014年予想
4%
2014年10月(今回)
6%
4%
1.8%
2.2%
0.9%
0.8%
3.8%
5.0%
3.1%
1.4%
ブラジル
中国
新興国
1.3%
ユーロ圏
米国
0.8%
日本
2.3%
0.3%
7.1%
2015年予想
2%
0%
4.4%
3.3%
2%
0%
8%
7.4%
2014年7月(前回)
6%
先進国
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:IMFによる主な国・地域の
2014年、2015年の経済成長見通し
(2014年7月時点、2014年10月時点)
世界
今回のIMFが経済成長見通しを引き下げた背景には、①需
要の低迷、②地政学リスク、③金融政策の効果に変化が見
られてきたことがあると考えられます。
①需要の低迷:先進国における公的債務の積み上がりや、
それを是正するための緊縮的な財政政策、欧州を中心とした
失業率の高止まりなどが世界的な需要に影響を与えている
といえます。
②地政学リスク:中東における過激派組織の動きやウクライ
ナ問題などは当事国および近隣諸国の経済に影響を与えて
おり、今後の動向を注視する必要があるといえます。
③金融政策の効果に変化が見られてきたこと:これまで先進
国の金融緩和策は景気回復に寄与してきましたが、引き続き
経済成長が低水準で推移する中、金融政策だけでは限界が
あるものと考えます。
IMFは、世界経済の成長が鈍化する中で、短期的にも中長期
的にも経済成長に寄与する公共投資が重要になるとの見方
を示しています。新興国では電力や水道、道路などのインフ
ラ整備の不備が経済成長の足かせとなっており、また先進国
でも一部インフラの老朽化が見られる状況です。10月9日、10
日に開催される20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会
議では、公共投資の促進策について議論される予定ですが、
世界経済の成長促進にとって重要な議題となるといえます。
出所:国際通貨基金(IMF)のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料
であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の
推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに
帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではあ
りません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、
使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在の
ものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利
回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護
機構の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対
象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他
に係る助言を構成するものではありません。
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“ジュネーブから今を見る”
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2014年10月15日
エボラ出血熱、早期に解決することを願う
エボラ出血熱の世界的な流行が懸念されています。感染が広範囲となった場合、2003年の重症急性呼吸器症候
群(SARS)、1918年のスペイン風邪のように経済に大打撃を与える可能性もあり今後の動向に注視が必要です。
WHO(世界保健機構):アフリカのエボラ出血
熱感染、2014年12月1日には週間1万人増も
世界保健機関(WHO)はエボラ出血熱の感染拡大に伴い、
西アフリカ3ヵ国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)での感染
者数は2014年12月1日までに週間5千~1万人のペースへと
増える可能性があるとの見方を示しました。
WHOの事務局長補佐官でエボラ出血熱担当のブルース・ア
イルワード氏はジュネーブで記者会見し、ギニアとシエラレ
オネ、リベリアで感染が依然として拡大しており、過去3~4
週間の新たな感染者数は週ベースで約1,000人で、死亡率
は70%を超えると述べています。一方、ブルース氏によると、
WHOは12月1日までに感染で死亡した人の70%を安全に埋
葬し、感染者の70%を適切に管理することを目標に掲げてい
ます。こうした目標が達成されるならば、新たな感染者数は
2015年1月から週を追って減少する見通しも述べています。
どこに注目すべきか
エボラ出血熱、西アフリカ、感染経路
エボラ出血熱の世界的な流行の懸念が台頭しています。高
い致死率(7割程度といわれる)で恐れられることから、感染
が広範囲となった場合、2003年の重症急性呼吸器症候群
(SARS)、古くは1918年のスペイン風邪のように経済への打
撃や、航空機産業などへの影響から株式市場が大幅に下落
する可能性もあり今後の動向に注視が必要です。
まず、エボラ出血熱は、エボラウイルスによる感染症で、エボ
ラウイルスに感染すると、2~21日の潜伏期の後、突然の発
熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等の症状を呈します。次
いで、嘔吐、下痢、胸部痛、出血(吐血、下血)等の症状が表
れると言われています。現在、エボラ出血熱に対する確立さ
れた治療法はなく、対症療法が行われている模様です。
過去の発生を見ると、1970年代以降中央アフリカで発生して
いますが、今回は西アフリカで初めて流行した点と、症例数
が桁違いである点に注目が必要です(図表1参照)。
2014年のエボラ出血熱はアフリカ以外でもスペイン、ドイツ、
ピクテ投信投資顧問株式会社
米国などで確認され、特に米国では国内で人から人へ感染し
たケースが発生しており懸念が高まっています。エボラ出血
熱は空気感染しないとされ、症状が出ている患者の体液等に
触れて傷口から侵入することなどで感染するといわれていま
す。しかし、米国で感染した看護師は防護服を着ていた模様
で、感染拡大を防ぐためにも感染原因の究明が待たれます。
米疾病対策センター(CDC)は最悪のケースでは2015年1月
までに感染者数がリベリアとシエラレオネで55万~140万人
に上る可能性もあると推定しており、注視が必要です。
図表1:エボラ出血熱の主な発生状況
(期間:1976年~2014年、2014年は10月8日時点WHO集計)
年
1976
1977
1979
1994
1995
1996
2000
2001~
2002
2003
2004
2005
2007
2008
2011
主な発生国
コンゴ民主共和国、
スーダン
コンゴ民主共和国
スーダン
ガボン、コートジボ
ワール
コンゴ民主共和国
ガボン
ウガンダ
コンゴ、ガボン
コンゴ
スーダン
コンゴ
コンゴ民主共和国、
コンゴ民主共和国
ウガンダ
ウガンダ、コンゴ民
2012 主共和国
リベリア、シエラレオ
2014 ネ、ギニア
症例数
死亡者数
602
1
34
431
1
22
53
315
92
425
31
254
67
224
124
178
17
12
413
32
1
97
157
7
10
224
14
1
88
50
8,399
4,033
※症例数:確認された数に疑い等も含む、発生国は主な国
出所:WHO、厚生労働省のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料
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2014年10月22日
最近気になる、量的金融緩和の効果について
米国では量的金融緩和(QE)の終了が視野に入っているものの、ユーロ圏や日本ではQEが継続される見込みで
ある中、QEの有効性に関する議論も盛んになっており、今後のQEの動向を占う上での注目点を述べます。
欧州中央銀行(ECB):関係者談=社債の買
い入れ、12月に決定も
ロイター通信が2014年10月21日に複数の関係者の話として
欧州中央銀行(ECB)が流通市場での社債の買い入れを検
討しており、早ければ12月にも買い入れを決定する可能性
があると報道しました。ただし、ECB報道官はロイターに対し、
ECBはそのような決定をしていないと述べています。
どこに注目すべきか
QEの効果、信用乗数、市場との対話
2008年に米国で始まった量的金融緩和(QE)は、米国では終
了が視野に入っているものの、ユーロ圏や日本では今後も
QEが継続される見込みです。一方で、有効性に関する議論
も盛んになっています。今後のQEの動向を占う上で次の点に
注目しています。
まず、QEの(経済)効果について、米連邦準備制度理事会
(FRB)のバーナンキ元議長が退任直前のインタビューで「QE
は実務的には機能したが、理論的には機能しない」とユニー
クに表現しています。理論的にはQEは長期国債と短期の国
債(マネー)を交換(スワップ)してるに過ぎず、効果はないと
の見方があります。しかし、バーナンキ元議長は「投資家が
長期国債保有への期待が高い場合」には効果があると述べ
ています。そのQEの効果で多くのペーパーが共通して示唆
するのは次の2つで、(リーマンショックのような)金融市場の
崩壊を防ぐことと、長期国債利回りの低下です。
ただ、経済成長への効果を示唆する証拠は意外と少なく、む
しろ弊害さえ指摘されています。例えば、弊害の一つが潜在
的なインフレリスクの上昇です。図表1に示したように、米国で
はQEが始まってからマネタリーベースは急上昇しています。
マネタリーベース、マネーサプライ、そして名目GDP(国内総
生産)は2008年以前はほぼ、同じ動きをしていましたが、この
関係は崩れています。このギャップは理論的には長期的、潜
在的なインフレ要因となることも懸念されます。
次に、QEのプラス効果を高める方法として図表1のマネタリー
ピクテ投信投資顧問株式会社
ベースとマネーサプライの伸びの差異にも注目しています(図
表1の①)。理由は、この差異は信用乗数の低下として示され
るからです。名目GDPの上昇という経済成長を目指すには、
信用メカニズムの回復を図ることも大切と考えられます。
QEの効果を高める別の方法として市場との対話の重要性に
注目しています。例えばシカゴ連銀のエバンス総裁は最近の
インタビューで、QE3においては「労働市場が回復するまで」
債券購入を続けると言明したことで、市場に安心感を与えたこ
とが利回り低下などの効果を高めたとの考えを述べています。
最後に、米国の経験を踏まえ、現在の日欧のQEを見ると、市
場への強いメッセージでQEを実施した日銀の黒田氏は米国
流を踏襲する面もあると見られます。一方、資産担保証券
(ABS)やカバード債券の購入、うわさとは言え社債まで視野
にいれているECBは、ユーロ圏の分断化された信用市場のて
こ入れによるプラス効果を期待しているようにも見られます。
しかし、現在までに公表されたプログラムでは、名前が示す量
的金融緩和というには量の点で不十分なことと、エバンス総
裁が指摘したメッセージの重要性の点でやや迫力不足と見ら
れてしまう点を懸念しています。そして最も重要な点として、信
用市場の活性化は金融政策だけでは不十分で、需要を回復
させる財政政策などを併用するかにも注目しています。
図表1:米国のマネタリーベース、マネーサプライとGDP
(四半期、期間:1980年10-12月期~2014年4-6月期)
800
700
600
500
マネタリーベース
2000年1-3月期=100として指数化
マネーサプライ
400
①:信用乗数の低下
200 ②:貨幣流通速度の低下
300
QE3
名目GDP
QE2
①
QE1
②
100
0
80年 84年 88年 92年 96年 00年 04年 08年 12年
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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2014年10月28日
証券化市場のコントロールの新たな手段
2008年に発生したリーマンショックと証券化ブームの教訓を背景にドッド・フランク法には証券化商品への規則導入
が定められていましたが、ようやく最終案が公表され、今後、どのように市場へ影響するかに注目しています。
米金融規制当局、最終規則:証券化マネ
ジャーに5%以上の保有義務付け
米連邦準備制度理事会(FRB)、米連邦預金保険公社
(FDIC)など複数の米金融規制監督当局は2014年10月、高
リスクの融資債権を裏付けとした証券化商品を組成する投
資会社や銀行に対し、その一定割合を保持するよう義務付
ける(リスクリテンション)規則の最終案を公表しました。債権
証券化を手がける事業者を対象に、原則として発行する資
産担保証券(ABS)の信用リスクの最低5%の保有を義務づけ
ました。投資家とリスクを共有することで、証券化する債権の
リスクについて、事業者に適切な管理を促すのが狙いです。
また、ローン担保証券(CLO)マネジャーに対しても、パッケ
ージ化もしくは販売した融資債権の5%以上の保有を義務付
けることが盛り込まれています。CLOの発行が2014年、過去
最高のペースとなる中、規制が実施されればCLOの組成コ
ストが高くなる可能性があります。
なお、債務不履行となるリスクが低いと認定された住宅ロー
ン債権については規制の対象から除外し、その定義は定期
的に見直すとしています。監督当局は信用危機の反省から
過剰なリスクテークの抑制に取り組んでいます。
どこに注目すべきか
リスクリテンション、5%保有、ABS、CLO
受け急速に回復しています。ABS市場は全体の発行額は高く
ありませんが、ローンを借入れる人の審査を緩和したタイプの
ABSの発行の増加が懸念されています(図表1参照)。
CLOについては、リーマンショック後、安全性を高めたCLO
(CLO 2.0) が発行増加を助けている面はありますが、それで
も高い水準となっています。
最終案の公表により、証券化商品を発行する者に対する保有
義務が来年以降導入される公算であることから、CLO市場で
は2015年の発行額は2014年に比べ大幅な減少が見込まれて
います。CLO市場やCLOを構成するローン市場の流動性を注
視する必要があると見ています。
米国の低金利が続く見込みの中、個別市場の変動を規制で
管理する(マクロプルーデンス)手法は手探りで実施する面も
あるため、市場への影響に今後も注意が必要と見ています。
図表1:米国ABS市場年次発行額の推移
(年次:2000年~2014年、2014年は9月末)
3,000 億ドル
ABS発行額
2,000
1,000
0
2000年
2003年
2006年
2009年
2012年
出所:米国証券業金融市場協会のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
2008年に発生したリーマンショックとそこにいたる証券化ブー
図表2:米国ローン担保証券(CLO)年次発行額の推移
ムからの教訓を背景に2010年7月に成立したドッド・フランク
(年次:2007年~2014年、2014年は9月末)
法には証券化商品への規則の導入が定められていましたが、 1,000
億ドル
ようやく具体化した格好です。公表に至る経緯と市場への影
800
CLO発行額
響として以下の点に注目しています。
証券化商品への規制に対する国際的な合意は2009年の20ヵ 600
国・地域首脳会議(G20、ピッツバーグ)で行われました。米国 400
では2011、13年のパブリックコメントを経て、今回最終案の公 200
表に至りました。欧州、日本、中国も準備を進めており、今後
0
最終案が公表されるものと思われます。
2007年
2009年
2011年
2013年
出所:各種報道等のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
次に足元の米国証券化市場の発行状況を見ると金融緩和を
ピクテ投信投資顧問株式会社
当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料
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2014年10月6日
米国雇用市場の着実な回復と今後の注目点
米国の9月の雇用統計は、非農業部門雇用者数の増加と失業率の低下など、労働市場の継続的な改善を示唆す
る内容でした。結果を受け短期国債の利回りは上昇しましたが、長期国債の利回り上昇は小幅にとどまりました。
9月米雇用統計:労働市場改善。非農業部門
雇用者数24万8,000人増、失業率5.9%に低下
米労働省が2014年10月3日に発表した9月の雇用統計による
と、非農業部門雇用者数は前月比24万8,000人増と市場予
想(21万5,000人増)、前月(18万人増、速報14万2,000人増か
ら上方修正)を上回りました。また、家計調査に基づく9月の
失業率は5.9%に低下し、2008年7月以来の低水準となりまし
た。米国の雇用者は年初来で月平均22万7,000人のペース
で増加しています。一方でインフレ率は当局が目標とする2%
を下回っています。労働参加率は62.7%と、前月の62.8%から
低下し、1978年2月以来の低水準となりました。
項目別では、民間のサービス部門の雇用者が20万7,000人
増となり、内訳をみると、製造業部門は4,000人増え、前月低
迷した小売り部門は3万5,300人の増加となりました。
平均時給は前月比変わらず、前年比では2%増となりました。
どこに注目すべきか
非農業部門雇用者数、期待インフレ率、LMCI
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:米国国債(10年、2年)利回りの推移
(日次、期間:2014年7月3日~2014年10月3日)
3.0
% 0.7
10年国債利回り(左軸)
2年国債利回り(右軸)
%
2.5
0.6
2.0
0.5
1.5
14年7月
14年8月
14年9月
0.4
14年10月
下落 価格 上昇
米国の9月の雇用統計は、注目度の高い非農業部門雇用者
数と失業率が改善しており、労働市場の継続的な改善を示
唆する内容でした。利上げの可能性を織り込みやすいと考え
られる短期国債の利回りは上昇しました。しかし、長期国債
の利回り上昇は小幅にとどまりました(図表1参照)。長期国
債の利回り上昇が小幅であった理由を念頭に、雇用統計を
振り返りると、注目点は以下の通りです。
まず、9月に前月比で大幅な上昇となった非農業部門雇用者
数ですが、増加した項目を見ると、自動車工場の夏季閉鎖で
下落した自動車・同部品が改善したことや食品チェーン店の
営業停止の影響で下落した小売が9月の改善に貢献してい
ます。8月の(上方修正されたとはいえ)落ち込みの反動も今
月の改善に含まれている可能性が考えられます。
次に労働市場の供給余力を見る指標はまちまちでした。時
間あたりの賃金は横ばいにとどまり、27週間以上の長期失
業者の割合は8月の31.2%から31.9%へと悪化しています。一
方で、経済的理由のパートタイムは17.4万人減少するなど労
働市場のたるみが改善する指標も見られました。
長期国債の利回りが上がりにくい理由として、期待インフレ率
の低下傾向が上げられます(図表2参照)。10年国債と同年
限のインフレ連動国債利回りとの格差は2%を下回り、インフレ
懸念が低いことが利回りが上がりにくい要因と見られます。
最後に、雇用統計は関連する指標が幅広いため、個別の指
標にとらわれ過ぎると市場全体の動きが見えにくいという問
題があります。米連邦準備制度理事会(FRB)が労働市場を
統合的に見るために19の指標(変数)で構成された労働市場
環境指数(LMCI)を10月6日に公表する予定です。市場の試
算では最新の値は約6.3と前月より改善はしていますが、ピー
ク時の数字は下回っており、今後は従来の変数に加え、
LMCIの推移にも注目が集まるものと思われます。
今回の雇用統計は雇用市場の着実な回復を確認する内容で
すが利上げ予想時期を大幅に変更する程ではない模様です。
図表2:米国ブレーク・イーブン・レート(BEI)
(日次、期間:2013年10月3日~2014年10月3日)
2.3
%
1.9
1.5
13年10月
ブレーク・イーブン・レート(10年)
ブレーク・イーブン・レート(5年)
14年1月
14年4月
14年7月
14年10月
※ブレーク・イーブン・レート:国債とインフレ連動国債利回りとの格差
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料
であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の
推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに
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象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他
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2014年10月9日
FOMC議事録で言及されたことは
今回のFOMC議事録は、利上げへのシナリオを基本的に維持しており、ドル高懸念などが指摘されたことで9月に
強まった利上げ時期の前倒し感に一時的なゆり戻しが見られる可能性はありますが、影響は小幅と思われます。
FOMC議事録:「相当な期間」変更めぐり議論。
全体のトーンはややハト派
米連邦準備制度理事会(FRB)は2014年10月8日(現地時
間)に米連邦公開市場委員会(FOMC、9月16-17日開催)の
議事録を公表しました。議事録には世界的な経済成長減速
とドル上昇が米国の景気見通しにとりリスク要因になり得る
ことが指摘されました。多くのFOMC参加者が海外の経済成
長が予想よりも弱かった場合に米国の経済成長のペースが
予想以上に減速する可能性を懸念しています。また、一段
のドル高により輸出が抑えられ、すでに当局の目標を下回っ
ているインフレ率が低下しかねないとの見解も示されました。
また、フォワードガイダンスについて現在の「相当な期間」の
表現は、(ゼロ金利を維持する)約束と受け止められ、政策
決定が経済データ次第ではないと誤解される可能性がある
との懸念が表明されたため、フォワードガイダンスに関する
踏み込んだ議論が交わされた模様です。
どこに注目すべきか
2年国債利回り、ドル高懸念、相当の期間
また、議事録では世界の成長モメンタムが減速し始めている
点にも言及しており、ユーロ圏の景気の先行きや、中国など
アジアの成長鈍化や中東・ウクライナ情勢にも注意が必要と
指摘しています。
なお、今回のFOMCの決定について、ダラス連銀のフィッ
シャー総裁は実体経済の回復を理由に、また、フィラデルフィ
ア連銀のプロッサー総裁はフォワードガイダンスの表現を理
由に反対票を投じています。ただし両総裁とも2015年は投票
権を持たない予定で、来年のFOMCの布陣はややハト派より
との見方もあります。
プロッサー総裁が反対した理由は、量的金融緩和停止後の
ゼロ金利継続期間が「相当の期間」と表現されていることで、
あたかも約束と解釈され、利上げ時期は今後の経済データ
次第という本来の意味から乖離している点を問題視している
ためです。プロッサー総裁以外にも多数の当局者がこの問題
で懸念を表明した模様で、今後「相当の期間」の削除と、置き
換えられる表現に注目が必要と見ています。
今回のFOMC議事録は、利上げへのシナリオを基本的に維
持しており、ドル高懸念などが指摘されたことで9月に強まっ
た利上げ時期の前倒し感に一時的なゆり戻しが見られる可
能性はありますが、影響は小幅と思われます。
今回のFOMC議事録は全体的なトーンは、ドル高やユーロ圏
経済への懸念を示したことから、ややハト派(金融緩和を選
図表1:ドル・円レートと米国2年国債利回りの推移
好)的な印象です。一方で、フォワードガイダンスに関する表
(日次、期間:2013年10月8日~2014年10月8日)
現を見直し、ゼロ金利を維持する期間は経済データ次第であ
%
円/ドル
0.7
ると示唆する表現の変更が検討されるなど利上げへの準備 111
ドル・円(左軸)
を伺わせる内容も含まれています。
米国2年国債利回り(右軸)
0.6
まず、市場の反応を見ると政策金利の変更に反応する傾向
106
がある短期セクターの国債利回りが利上げ時期の後退を織
0.5
り込む形で低下(価格は上昇)し、小幅ながらドル安・円高も
0.4
進行しました(図表1参照)。
101
利上げ時期の後退を織り込んだ理由は、あまり言及されるこ
0.3
とがなかったドル高の米国輸出への悪影響が議事録に示さ
0.2
96
れていたこと等によると見ています。ただし、FOMCがどの程
13年10月
14年1月
14年4月
14年7月
14年10月
度ドル高の影響を懸念しているか確認は必要であり、今後も
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
注視が必要と思われます。
ピクテ投信投資顧問株式会社
当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料
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象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他
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2014年10月14日
米国30年国債利回り低下で見過ごされるリスク
海外経済の減速が米国景気に影響するリスクは十分認識すべきですが、米国経済への影響が小さかった場合の
将来的なインフレリスクを無視することもリスクが高いと見られ、年末に向け、経済指標を注視することが重要です。
米30年国債利回り:2013年5月以来の3%割れ
FRB副議長が海外景気の影響を懸念
米国の30年物国債利回りが2013年5月以来の3%割れとなり
ました。米連邦準備制度理事会(FRB)のフィッシャー副議長
が11日に国際通貨基金(IMF)主催のイベントで世界的な景
気減速をめぐる懸念を示したことなどが利回り低下の背景で
す。 10月13日はコロンブスデーで現物国債取引は休場でし
たが、取引のあった米国債先物市場では30年物などが上昇
(利回りは低下)しました。また13日に取引のあった米国株
は下落、ドルは円など主要通貨に対し下落しました。
フィッシャー副議長は海外の経済成長が予想よりも鈍くなれ
ば、その米国経済への影響でFRBの緩和策解除がより遅く
なる公算があると述べています。
どこに注目すべきか
フィッシャー副議長、VIX指数、米国政策金利
ユーロ圏など米国以外の景気減速やドル高懸念にもかかわ
らず、利上げの準備を進めてきた米国金融市場に不安心理
の高まりが国債利回りや期待インフレ率の低下傾向(図表1
参照)に見られます。また、2014年は概ね低水準で推移した
VIX指数も不安心理から足元急上昇しています(図表2参照)。
まず、米国の国内指標に目を移すと9月の雇用統計は、失業
率が5.9%となるなど、回復傾向を維持しています。米国国内
指標のみに注目すれば、来年の利上げに向けプロセスを進
めるのは当然のようにも思われます。
一方、米国外の景気に目を向けると、先日公表されたIMFの
世界経済見通しでは、ユーロ圏をはじめ日本や新興国の経
済成長率見通しが引き下げられるなど米国以外の景気の先
行きに不透明感が台頭しています。VIX指数が不安心理の
目安となる20を超えたことは市場のセンチメントを示唆した格
好です。フィッシャー副議長の発言事態は慎重な言い回しで、
可能性について述べたものの、市場は利回り低下という格好
で反応しました。
世界の景気回復が米国頼みとなる中、米国金融当局のシナ
ピクテ投信投資顧問株式会社
リオは基本的に2つあると見られます。一つは、利上げの時
期を遅らせること、もう一つはデータの回復を確認しつつ、金
融政策の正常化を淡々と進めるシナリオです。現在のところ、
米国の雇用、住宅市場、個人消費などの回復は維持される
可能性が高く、利上げ時期の後退シナリオは、やや気が早い
と思われます。海外経済の減速が米国景気に影響するリスク
は認識すべきですが、国内景気が回復する中、米国経済へ
の影響が小さかった場合の将来的なインフレリスクを無視す
ることもリスクが高いと思われます。予断を持たず、年末に向
け、経済指標を注視することが益々重要と思われます。
図表1:米30年国債利回りと期待インフレ率の推移
(日次、期間:2012年10月14日~2014年10月14日、東京時間15時)
4.1 %
% 2.8
3.7
3.3
2.3
2.9
利回りはQE3開始
当初の水準
2.5
12年10月
13年4月
米30年国債利回り(左軸)
期待インフレ率(右軸)
13年10月
14年4月
1.8
14年10月
※期待インフレ率:インフレ連動国債利回りと名目国債利回りの格差
図表2:VIX指数の推移
(日次、期間:2013年10月14日~2014年10月13日)
25
VIX指数
20
不安心理の高
まりの目安
15
10
13年10月
14年1月
14年4月
14年7月
14年10月
※VIX指数:シカゴ・オプション取引所SPXボラティリティ指数
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2014年10月17日
それでも、やはり米国中間選挙
米国中間選挙では民主党が過半数を占める上院と共和党が過半数を占める下院との「ねじれ議会」解消に注目し
ており、政策では2016年の大統領選挙の前哨戦と位置づけられる中、税制や外交政策に注目しています。
米国中間選挙:上院、下院のねじれ現象解
消が一つの注目点
米国では2014年11月4日に中間選挙が行われます。今回の
選挙では下院全議席(435議席)と上院100議席のうち36議
席(任期満了33議席と補欠選挙3議席)が争われることとなり
ます。大統領選挙と違い中間選挙では党の公約の発表や
党大会がなく、公約は候補者が述べる形であり、全般にロー
カル色の強い選挙となる傾向が見られます。今回の中間選
挙では争点があいまいなことから地味な選挙という印象です。
どこに注目すべきか
米国中間選挙、インバージョン、TPP
11月4日に迫った米国中間選挙では民主党が過半数を占め
る上院と共和党が過半数を占める下院との「ねじれ議会」が
解消するかに注目が集まっています(図表1参照)。一方政策
のポイントとしては、明確な争点がない中、2016年の大統領
選挙の前哨戦とも位置づけられることから税制や外交政策
に注目しています。
米国では、上院・下院は同等の権限であり、法案成立には、
両院での可決が必要となるため、ねじれ議会の解消に注目
が集まっています。世論調査では共和党が優位に(上院は6
年前のオバマ・ブームで選出された議員などが苦戦)選挙戦
を進めている模様で、上院で共和党が多数政党となった場
合、ねじれ議会は解消されます。しかし、大統領(民主党)と
議会のねじれは残るため、大統領が拒否権を多用するケー
スも想定され、中間選挙後の2年間の政策運営に懸念が残り
ます。反対に民主党が上院、下院で過半数を占めればねじ
れは共に解消され法案可決が円滑になり市場で好感される
と見られますが、世論調査などを見る限り実現の可能性は低
いと思われます。上院で民主党、下院で共和党が過半数と
現状と同じ結果となった場合、両者の関係に変化が無いこと
から市場への影響は小幅にとどまるものと思われます。
次に、さしあたっての議会運営ですが、暫定予算を9月18日
に議会を通過させており、ねじれ議会であっても2013年の米
ピクテ投信投資顧問株式会社
債務上限問題のような混乱は想定されにくい状況です。
オバマ大統領のように政権2期目の中間選挙は、その後の政
策運営が停滞する傾向(レイムダック)がある一方、次の大統
領選挙を前にした政策が選挙戦で浮かび上がることもありま
すが、今回注目は税制と外交です。
オバマ大統領は税制改革のフレームワークをホワイトハウス
と財務省の連名で公表するなど就任当時から、税制改革に意
欲的です。最近、米国企業が利益を海外へ移すことにより課
税を逃れる手法が問題視されています。9月には米民主党の
ブラウン、ダービン両上院議員が税率の低い国へ本社を移転
する税逃れ行為(インバージョン)防止に向けた法案を公表す
るなど、特に選挙が民主党優位の場合特に注目しています。
次に、外交政策では環太平洋連携協定(TPP)の動向に注目
しています。中間選挙で共和党が上下両院の過半数を占め
れば、米企業はTPPなどの重要な貿易協定交渉で進展が期
待できるためです。民主党は、労働組合を支持基盤にしてお
り、自由貿易が米国の雇用を損なうと懸念しています。しかし
共和党が上院を制せば、不思議ながらオバマ大統領と共和
党指導部が協力する格好でTPPが推し進められる可能性もあ
り、共和党が選挙で優位だった場合に特に注目しています。
図表1:米国議会上院(左)、下院(右)勢力分布
上院(定数 100)
下院(定数 435)
空
席, 3
無所
属, 2
共和
45
民主
53
共和
233
民主
199
※2014年1月3日に召集された第113議会の構成(2014年8月18日現在)、
無所属の2議員は民主党寄り
出所:米国上院下院HPを使用しピクテ投信投資顧問作成
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2014年10月30日
FOMC受けドル上昇、その理由は
10月28、29日のFOMCでは大方の予想通りQEの終了が決定されると共に、声明の全体的なトーンはタカ派(金融
引締めに積極的)寄りであったことを受け、為替市場ではドル高・円安が進行しました。
FOMC:予想通り資産購入プログラム(QE)は
終了。労働市場の見通しの改善を指摘
米連邦公開市場委員会(FOMC)は2014年10月28、29両日
開催した定例会合後に声明を発表し、労働市場の見通しが
改善したと指摘した上で、資産購入プログラム(量的緩和=
QE)の終了決定を明らかにしました。インフレ率低下は短期
的な要因が影響している公算が高いと指摘しています。また、
声明では、株式市場を揺るがした世界的な景気減速や地域
紛争に言及が見られませんでした。なお、QE後の事実上の
ゼロ金利政策を続ける期間については「相当な期間」という
表現を維持しました。
どこに注目すべきか
米労働市場、期待インフレ率、FOMC投票
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図表1:円(対ドル)レートの推移
(日次、期間:2013年10月30日~2014年10月30日午前10時時点)
112
高 ドル 安
10月28、29日のFOMCでは大方の予想通りQEの終了が決定
されると共に、声明の全体的なトーンはタカ派(金融引締めに
積極的)寄りであったことを受け、為替市場ではドル高・円安
が進行しました(図表1参照)。
今回の声明で注目したのは次の3点です。
1点目は、雇用市場の見方が改善していることです。9月の声
明では労働力の活用がなお極端に低い状態にあると述べ、
労働資源の未活用が著しい点を指摘していました。しかし、
今回の声明では労働市場において雇用は着実に増え、失業
率は低下していると指摘し、労働力の活用不足が徐々に解
消されつつあると上方修正しています。
2点目は、インフレ率の低下について懸念を示さなかった点で
す。エネルギー価格低下などの要因で短期的に下がる公算
はあるものの、インフレ率が米連邦準備制度理事会(FRB)の
目標である2%を下回る可能性は幾分後退したとの見方を維
持しています。また、期待インフレ率についても世帯調査ベー
スの期待インフレ率は安定している点を指摘しています。
3点目は、声明が世界的な景気減速や最近の株式市場の変
動、地政学リスクなどに明示的に言及していない点にも注目
しています。ユーロ圏の景気回復の減速、地政学リスクの悪
化懸念を受け米国株式市場の変動が高まる傾向が見られま
したが、声明は懸念を示さなかった格好です。
最後に、今回のFOMCではハト派(金融引締めに消極的)とさ
れるミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁が反対票を投じた点
にも注目しています。9月の会合で反対票を投じたのはタカ派
とされるダラス連銀のフィッシャー総裁とフィラデルフィア連銀
のプロッサー総裁であったことから、9月のFOMCはタカ派に受
け入れがたい内容であったことが伺われます。一方、コチャラ
コタ総裁が反対した10月のFOMCはハト派にとって受け入れ
がたい内容であったと見られるからです。
このように、声明文からは、タカ派トーンが高まった印象です。
ただし、QE終了後の事実上のゼロ金利政策を続ける期間を
示す「相当な期間」が今回も声明に盛り込まれたことで、今回
の声明のトーンが一気に利上げモードとなるリスクを回避して、
バランスをとる配慮も見られます。
したがって、今後の注目は、「相当な期間」という表現がはず
されるタイミングと、はずされた後、最初の利上げのタイミング
をどう表現するかであると見ています。恐らく、利上げの時期
については経済データ次第といった内容の表現が使用される
ものと思われます。
今回、何故タカ派トーンが強まったのかの理由を確認する意
味で、11月20日に公表される議事録にも注意を払う必要があ
ります。
円/ドル
107
円/ドル
102
97
13年10月
10月30日、東
京時間、109
円台へ
14年1月
14年4月
14年7月
14年10月
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2014年10月1日
ECB政策理事会の注目ポイント
10月2日のECB理事会の会見でABS、カバードボンド購入プログラムの詳細が公表される予定ですが、注目は、
トータルの購入金額(量)と、購入されるABSやカバードボンドの格付けや保証など質に関する条件と見ています。
FT紙報道:ECB総裁、ギリシャとキプロスの
ジャンク級ローン購入推進を模索か
欧州中央銀行(ECB)は2014年10月2日の理事会で、資産担
保証券(ABS)、カバードボンド(担保証券の一種で担保資産
を発行体のバランスシートに残すのが一般的)の購入計画
の詳細を明らかにする見込みです。そのような中、英紙フィ
ナンシャル・タイムズ(FT)が関係者の話として、ECBはギリ
シャやキプロスの投機的等級のABSも対象とすることを提案
する見込みと報道しています。ドイツ連銀のバイトマン総裁
はECBのバランスシートに過度なリスクをもたらす恐れがあ
るABS購入計画に反対を表明したこともあり、2日の公表内
容に対する関心が高まっています。
どこに注目すべきか
市場規模、ABS、カバードボンド、政府保証
10月2日のECB理事会の会見でABS、カバードボンド購入プ
ログラムの詳細が公表される予定ですが、注目は、トータル
の購入金額(量)と、購入されるABSやカバードボンドの格付
けや保証など質に関する条件と見ています。
まず、市場の規模を見ると、狭義のABS(自動車、消費者、ク
レジット、リース、その他)や住宅ローン担保証券(RMBS)を
合計すれば約1.2兆ユーロ(約170兆円)程度と見られます(図
表1参照)。また、カバードボンドも約1.7兆ユーロ程度(約240
兆円)の規模が検討対象と見られます(図表2参照)。
ただし、そのうち実際に購入の対象となるのは市場の予想で
は市場規模の10分の1程度を見込んでいる模様です。例え
ば、ロイター社の調査ではABSとカバードボンドの合計購入
額は2,000~3,000億ユーロ程度となっています。理由は、多く
のABSやカバードボンドがオペの担保に使用されていること、
格付けが低いABSなどは取引対象から除外されるためです。
先日公表された的を絞った長期性資金供給オペ(TLTRO)の
供給額は約826億ユーロと予想を下回っただけに、3,000億
ユーロでも量的な緩和としては力不足の感があります。
したがって、条件を緩めることで購入額を増やすとの観測が
ピクテ投信投資顧問株式会社
強まっています。例えば、投資適格格付け証券への投資が
原則であることから、ギリシャやキプロスは本来対象外です
が、購入が検討される可能性もあり注目しています。
また、信用力の低いABSなどに保証をつけることが検討され
る可能性はありますが、ドイツやフランスなどが政府保証に
難色を示した経緯もあり、購入するABSの範囲の拡大につな
がるか注目しています。
ABSやカバードボンド購入が十分な量を確保できなかった場
合には、国債購入への期待が高まる展開が想定されます。
図表1:ユーロ圏の主なABS発行残高の推移
(年次、期間:2000年~2014年、2014年は6月末時点)
2.0
兆ユーロ
住宅ローン
中小企業向け融資担保
その他
リース
クレジット
消費者
自動車
1.5
1.0
0.5
0.0
2000年
2003年
2006年
2009年
2012年
※図表1は主なABSの発行残高であり、ECB購入額とは異なります
出所:米国証券業金融市場協会(SIFMA)のデータを基にピクテ投信投資顧
問作成
図表2:ユーロ圏のカバードボンド発行残高の推移
(年次、期間:2003年~2013年)
2.0
兆ユーロ
カバードボンド残高
1.5
※カバードボンド発行残高はユーロ建の
みを集計したものであり、ECB購入額と
は異なります
1.0
2003年
2006年
2009年
2012年
出所:欧州カバードボンド評議会(ECBC)のデータを使用しピクテ投信投資顧
問作成
当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料
であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の
推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに
帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではあ
りません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、
使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在の
ものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利
回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護
機構の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対
象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他
に係る助言を構成するものではありません。
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2014年10月3日
ECB、期待はずれというけれど
ECBがABSやカバードボンドの購入規模を示さなかったことなどを受け、市場は金融緩和姿勢の後退と失望した面
もありますが、期待インフレの動向等経済実態を考慮すれば金融緩和姿勢の維持に変化は無いものと思われます。
ECB政策委員会:政策金利を過去最低で据
え置き-注目の資産購入計画は肩透かし
欧州中央銀行(ECB)は2014年10月2日に定例政策委員会を
開き、主要政策金利を市場予想通り0.05%で据え置くと共に、
中銀預金金利と限界貸出金利もそれぞれマイナス0.2%と0.3%
で据え置きました。
注目の資産担保証券(ABS)とカバードボンドの購入計画の
詳細についてECBドラギ総裁は、カバードボンドの購入を10
月後半、ABSについては10-12月(第4四半期)に開始し、少
なくとも2年間購入を続けると発表しました。しかし購入総額
には言及せず、景気刺激措置によるバランスシートの拡大は
先に示唆した約1兆ユーロ(137兆円)に届かない可能性もあ
ると発言しています。一方、投資適格証券の要件を緩めギリ
シャなど格付けがBBB-を下回る国々も買入れ対象とすると
述べています。
どこに注目すべきか
ABS、カバードボンド、バランスシート規模
ECB政策委員会はABSやカバードボンドの購入規模を示さな
かったこと、国債購入による量的金融緩和について言及がな
かったこと、バランスシート拡大の規模などについて市場の
認識に修正を迫ったことなどを背景に金融緩和期待が後退
し、ユーロ(対ドル)は上昇しました(図表1参照)。
今回のECB政策委員会でABSやカバードボンドの購入規模
が注目されたにも関わらず購入額に言及しなかった理由は、
12月に2回目の応札が予定されるTLTRO(的を絞った長期性
資金供給オペ)の利用額などを見定めながら決めるためと説
明しています。しかし、市場の受け止め方はECB内部で購入
プログラムへ反対、もしくは購入対象となるABSやカバードボ
ンドが実際市場にはそれほど流通していないのではといった
憶測(懸念)を生じさせた点がマイナス評価につながったと思
われます。そのためギリシャなどのABSを投資対象とするこ
とや、銀行に担保として保有されているABSも投資対象とす
る点などが過小評価されてしまった格好です。
ピクテ投信投資顧問株式会社
次にバランスシート拡大の規模について、1兆ユーロ程度の
拡大が目標値として一人歩きしている点について修正を試み
た結果が緩和姿勢の後退と受け止められたと見られます。
これまでのドラギ総裁の発言の経緯を振り返れば、今回の説
明では緩和姿勢の後退と受け止められても仕方のない面も
見られます。しかし、ドラギ総裁はECB本来の目的は目標と
するインフレ率の達成であると述べたに過ぎないと思われま
す。TLTROの入札額はECBにとり受身とならざるを得ない面
もあり、またABS購入も不透明要因の多い中で、本来は目的
で無く手段の一つに過ぎない、バランスシートの規模を目的
視する市場の動きにECBが釘を刺しただけとも考えられます。
目的とするインフレ率の達成を見る上で参照すべき指標の一
つである期待インフレ率(図表2参照)は低下傾向で目安の2%
を下回っています。ABS購入の準備にもたつくことがあっても、
ECBが金融緩和姿勢を維持する点に変化はなく、ユーロの動
向も中長期的にはインフレ率の先行きを反映した展開を想定
しています。
図表1:ユーロ(対ドル)の過去3ヵ月の推移
(日次、期間:2014年7月3日~2014年10月3日午前11時時点)
1.37 ドル/ユーロ
1.34
1.31
1.28
ユーロ(対ドル)
1.25
14年7月
14年8月
14年9月
14年10月
図表2:ユーロ圏ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)
(週次、期間:2006年10月2日~2014年10月2日)
3.0
%
期待インフレ率
2.7
2.4
2.1
1.8
06年10月
※インフレ目標、2%
08年10月
10年10月
12年10月
14年10月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料
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2014年10月16日
ギリシャの利回り上昇に見る、2つの懸念
ギリシャ国債利回り上昇の理由は、ギリシャ政府が支援プログラムからの脱却を目指していることを市場が懸念して
いるためですが、背景にはユーロ圏が直面する問題や矛盾を含む面もあり、今後の動向に注目しています。
ギリシャ債:ギリシャ国債利回りが大幅上昇
支援プログラム脱却をめぐる疑念で
2014年10月15日の欧州国債市場でギリシャ10年国債が3日
続落し、利回りは大幅上昇(価格は下落)となりました(図表
1参照)。ギリシャが2015年年初にも総選挙が行われる可能
性があること、ギリシャ政府が目指す支援プログラムからの
早期脱却計画は先行きが不透明で、ギリシャは資金調達面
で困難に直面するとの懸念が広がりました。ギリシャ財務省
幹部のクリストス・スタイクラス氏は7年債を発行する計画を
すでに表明しています。
どこに注目すべきか
ギリシャ支援プログラム、総選挙、資産購入
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:ギリシャ10年国債利回りの推移
(日次、期間:2013年10月15日~2014年10月15日)
9
%
8
7
6
5
13年10月
下落 国債価格 上昇
ギリシャ国債利回りが上昇(価格は下落)した直接の原因は、
ギリシャ政府が目指す支援プログラムからの脱却に無理が
あると市場が見ているためです。しかし、その背景には、ユー
ロ圏が直面する問題や矛盾を表している面もあります。この
観点から、次の2点に注目しています。
1点目は政策運営です。ギリシャの現在の主な支援プログラ
ムは、欧州連合(EU)からの支援(年内終了予定)と、2016年
までの国際通貨基金(IMF)による支援プログラムがあります。
ギリシャ政府は、国民に不人気な財政削減など構造改革の
履行が想定される支援プログラムから脱却する意向です。財
政削減を見直す方針を示すことで、国民から失った支持率を
回復し、減税法案などを盛り込んだ予算案の成立を図りたい
考えと思われます。しかしギリシャの議会勢力を見ると与党
は155議席に過ぎず、政権運営は不安定です(図表2参照)。
2012年の選挙では民主左派を含め3党で連立を組んでいま
したが、国民に人気のない政策を続けるなか民主左派が離
脱するなど政策運営は難しくなっています。ユーロ圏の他の
国でもイタリアのように、財政にメスを入れる必要のある国に
は、同様に、頭の痛い問題となる可能性もあります。
また、ギリシャの場合2015年3月にパプーリアス大統領が任
期を迎えますが、新大統領選出には国会議員180人の賛成
が必要で、選出できない場合、議会は2016年の任期を待たず
2015年春に解散・総選挙となる可能性があります。
注目の2点目は、欧州中央銀行(ECB)の資産購入プログラム
への影響です。ECBは当初は資産担保証券(ABS)等で、そ
の後は国債購入を視野に資産購入プログラムによる量的金
融緩和の準備を進めていると見られます。ECBはABS購入プ
ログラムではギリシャなどを購入対象としましたが、財政改革
を遅らせ、IMFの支援からの脱却を目指すSYRIZAのような政
党がギリシャ与党となった場合、ECBは購入に慎重となる可
能性もあり、注目しています。特に国債購入となるとギリシャ
だけをはずすという対応は考えにくく、ギリシャ政治の安定が
求められると思われます。米国などと違い、ユーロ圏での量
的金融緩和は複雑な条件を注視する必要がありそうです。
ギリシャ10年
国債利回り
14年1月
14年4月
14年7月
14年10月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
図表2:ギリシャ議会(定数300)勢力分布 (現時点)
その他
74
ND
127
ND
:新民主主義党
PASOK
:全ギリシャ社会主義運動
SYRIZA:急進左翼連合
ANEL :独立ギリシャ
与党
155
議席
Golden Dawn :黄金の夜明け
SYR IZ
A 71 PA SO
K 28
DHM.AR:民主主義左派党
野党
KKE:共産党
ADV:民主左派(2013年連立離脱)
出所:ギリシャ議会等のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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2014年10月21日
ドイツの財政均衡目標に対する圧力は高まるか?
財政規律の遵守か、それとも経済成長かを巡ってユーロ圏が難問に直面しています。フランス、イタリアなど財政規
律の緩和を求める国がある一方、ドイツは景気に不安があるものの財政規律を遵守する姿勢を示しています。
EU首脳会議:欧州債務危機をも思い起こさ
せる市場の展開に対応策は打ち出されるか
ギリシャなど主にユーロ圏周縁国の国債が大幅に下落(利
回りは上昇)した先週(10月13日~17日)の市場の動きは
ユーロ圏債務危機をも思い起こさせる動きとなりました。財
政赤字の削減に重点を置く傾向のあった欧州首脳に、市場
が景気への配慮を求めて警鐘を鳴らした格好です。このよう
な中、2014年10月23、24両日に欧州連合(EU)首脳会議が
開催されます。2010~13年のユーロ圏債務危機時には経済
問題解決に向け大きな役割を果たしたEU首脳会議の動向
に注目が集まっています。
どこに注目すべきか
EU首脳会議、2015年度予算案、公共投資
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:フランス財政赤字対名目GDP比率予想
(年次、期間:2014年~2017年)
-1.5
%
-2.0
財政赤字対GDP
中期計画(4月)
-2.5
下方修正
※-3%の目標達
成は2017年に先
延ばし
改善 財政 悪化
財政規律の遵守か、それとも経済成長かを巡ってユーロ圏
が難問に直面しています。フランス、イタリアなど財政規律の
緩和を求める国がある一方、ドイツは、足元の景気に不安が
あるものの、今のところ財政規律を遵守する姿勢を示してい
ます。EU首脳会議を前に、以下の点に注目しています。
まず、経済成長を重視して財政規律の緩和を求めている例
がフランスです(図表1参照)。ユーロ圏債務危機以後、EUは
加盟国の政策調整(ヨーロピアン・セメスター)の一環に予算
案の事前審査制度があり、10月15日までにユーロ加盟国の
2015年度予算案が出揃いました。予算案の財政赤字予想を
見ると、フランスは財政赤字の基準値(-3%)をクリアする年が
2017年へと4月時点の予想(中期計画)よりも先送りされてい
ます(イタリアは債務残高、構造的財政赤字の解消の先送り
が深刻)。審査を担当する欧州委員会がフランスなどに予算
の修正を求めるか、それとも妥協するのかに注目しています。
一方、ドイツの予算案は財政が均衡する見通しで、財政ルー
ルに抵触する懸念はほぼないと見られます。しかし、問題は
ドイツの経済成長です。9月のドイツの製造業購買担当者景
気指数(PMI)は49.9と50を下回っています(図表2参照)。ロシ
ア経済の低迷による輸出の不振などが景気減速の背景と見
られますが、成長の下支えに財政規律を緩める動きは緩慢で
す。その理由は2013年のメルケル首相の属すキリスト教民
主・社会同盟と社会民主党(SPD)の大連立で合意された2015
年の財政の黒字化もしくは収支均衡(ブラック・ゼロとも言わ
れる)の公約の存在です。しかしドイツには公共投資をする余
地はあると思われます。ドイツの公共投資のGDP(国内総生
産)に占める割合はわずか17%と経済協力開発機構(OECD)
平均の20%を下回っており、要は決断の問題と見られます。
EU首脳会議が始まる23日には先のドイツ製造業PMIが公表さ
れ、市場予想は約49.5と更なる悪化が見込まれています。ドイ
ツ連立政権内でも所得税の調整などは話し合われてきており、
ドイツ包囲網が背中を押すことになるか注目しています。
-3.0
-3.5
-4.0
※4月の中期計
画では目標達
成は2015年
下方修正
2015年度暫定予算案
-4.5
2014年
2015年
2016年
2017年
出所:フランス2015年度予算案、各種報道を基にピクテ投信投資顧問作成
図表2:ユーロ圏とドイツ製造業PMIの推移
(月次、期間:2011年10月~2014年9月)
58
54
ユーロ圏
50.3
ドイツ製造業PMI
ユーロ圏製造業PMI
50
※50が景気拡
大・縮小の目安
46
42
11年10月
12年10月
13年10月
ドイツ
49.9
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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2014年10月27日
三度目の正直となるか、ECBのストレステスト
今回の包括的審査の結果は過去に比べ、結果に対する信頼度が高いと見られるため市場から一定の評価が期待
されます。従って、ユーロ圏の銀行不安の後退で今後は銀行融資の拡大が注目される展開を想定しています。
欧州の銀行包括的審査:130行中、25行不合
格となるも大半は資本増強手当て済み
欧州中央銀行(ECB)は2014年10月26日にユーロ圏の銀行
を対象に実施した包括的審査の結果を公表、25行が不合格
となりました。国別で資本が最も不足していたのはイタリアで
した(図表1参照)。ECBは不合格となった25行の資本不足の
合計額を2013年末時点で約250億ユーロ(約3兆4,300億円)
と発表しています。ただし12行はすでに約150億ユーロの増
資を行っており、不足額は約100億ユーロとなっている模様
です。また、ドイツ銀行など欧州の大手銀行の資本不足は
認定されず、資本増強を求められたのは中小の金融機関で
した。資本不足が判明した銀行は最長9ヵ月以内にECBに指
摘された不足分を穴埋めする必要があります。
どこに注目すべきか
ECB包括的審査、資産査定、銀行同盟
(公表時点:2010年7月23日(右)、2014年10月26日(左))
2014年(合計25行)
2010年(合計7行)
5
3
2
2
1 1
1
1
1
1
1
アイル
ランド
オースト
リア
ポルト
ガル
スペイン
フランス
ドイツ
スロベ
ニア
ベルギー
キプロス
10 銀行数
9
8
9
7
6
5
4
3
3
2
1
1
0
ギリシャ
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:ストレステストによる国別資本不足行の数
イタリア
今回の包括的審査の結果は過去に比べ、結果に対する信頼
度が高いと見られること、ユーロ圏の銀行同盟の柱となる単
一銀行監督制度(SSM)への重要なステップとして市場から
一定の評価を受けることなどが期待されます。一方、銀行不
安が後退するならば、今後(銀行融資の拡大による)景気回
復が実現するかに注目が集まる展開が想定されます。
1点目は、今回の包括的審査の結果に対する信頼度が高い
と見られることです。包括的審査の一環であるストレステスト
で資本不足が指摘された銀行は今回(2014年10月)は25行
に上りますが、例えば2010年のストレステストでは基準が緩く
ギリシャ、ドイツ、スペインの合計7行が不合格したに過ぎま
せんでした(図表1参照) 。その上、結果が公表された直後の
8月10日にアイルランドの銀行に対する追加支援が承認され
ました。同行は国による管理下にあったためストレステストの
対象外であったとはいえ、公表直後に追加支援されたことで
ストレステストに対する市場の信頼を大きく揺るがしました。
2点目は、11月からのECBによる銀行監督一元化のメリットが
再確認されたことです。包括的審査は流動性などをチェック
する「監督上のリスク評価」、不良債権、担保評価などの「資
産査定(AQR)」、ストレスに対する対応能力を調べるなど注目
度の高い「ストレステスト」の3本柱で構成されています。従来
の「テスト」は3本の柱が明確でなく、その上一番の問題は不
良債権や担保評価などの基準が一元化されておらず、国ごと
にばらばらであったため信頼度が低い点が懸念でした。しかし
今回のAQRによる普通株式等Tier1(CET1)では公表ベース
の自己資本比率の不合格行平均が約10%であるのに対し、担
保評価などを共通の尺度で厳しく行ったAQR後には約8.4%に
低下しており、今回の数字の信頼度は高いと考えられます。
最後に市場の反応です。自己資本の不足額は100億ユーロで
不合格行12行が2014年9月末までに調達した150億ユーロを
下回る金額であること、ユーロ銀行同盟を構成する柱の一つ
であるSSMが動き出すことなどを株式市場が好感する可能性
も考えられます。ただし、問題は次の2点に注意が必要なこと
です。まず、短期的には(銀行の融資拡大等により)ユーロ圏
の景気が回復するかです。次に中長期的にはユーロの構造
問題で遅れている財政の共通化に進展が見られるかです。
※2010年は91行、2014年は130行が対象。Tier1比率は2010年の6%に対し
2014年は8%。ECBは2010、11年に続く3回目のストレステスト、包括審査は初。
出所:各種報道、ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
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回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護
機構の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対
象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他
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2014年10月2日
インド、信頼感上昇の背景にあるもの
インドの中長期的なインフレ率は概ね低下傾向での推移が見込まれています。一方で、インドの景気の底打ちの
兆候と、経常収支や財政収支の改善期待を受け、インドへの信頼感が高まる可能性もあると見ています。
インド中銀:主要政策金利を市場予想通りに
据え置き、インフレリスクを懸念
インド準備銀行(中央銀行、RBI)は2014年9月30日、政策金
利であるレポレートを市場予想通り8%に据え置きました(図表
1参照)。インド中銀はリバースレポレートも7%に据え置き、現
金準備率も4%に据え置きました。
インド中銀は声明で将来の政策スタンスは中期的なインフレ
目標に対するインド中銀のインフレ予想に左右されるため、
今後の経済指標次第と説明しています。8月の消費者物価
指数(CPI)は前年同月比7.8%上昇し、伸び率は前月から小
幅低下しました(図表1参照)。エネルギーや生鮮食品を除い
たコアCPIも同6.9%へ鈍化しています。
どこに注目すべきか
信用格付け、燃料補助金、財政収支、選挙
インド中銀が公表した金融政策レポートをみると、中長期的
なインフレ見通しとして、2016年1月までに年率6%へ低下する
という目標達成に懸念は残るものの、インフレ率は概ね低下
傾向で推移することが示されています。一方で、インドの景気
は回復傾向で、経常赤字も改善傾向です。インドに対する信
頼感が改善していると見られます。
インドの信頼感が回復している例として、信用格付け見通し
の引き上げがあります。格付け会社のスタンダード・アンド・
プアーズ(S&P)は9月26 日、インドの自国通貨建て国債及び
外貨建て国債の信用格付け見通しを「※ネガティブ」から「※
安定的」に引き上げました(※は無登録の格付け業者が付与
した格付け)。S&Pは引き上げの理由として、対外収支の改
善(経常収支の赤字幅縮小、図表2参照)や財政補助金負担
の減少、さらに政治情勢の安定などをあげています。
次に、信頼感回復の原動力に注目すると、2014年5月の総選
挙で勝利したモディ政権の対応が挙げられます。モディ政権
は選挙公約である成長と発展に向けての改革を進めていま
す。まず手をつけたのが重要な省庁(電力省、鉱業省、環境
省)間での連携と目標設定により効率化を進めることと、財
ピクテ投信投資顧問株式会社
政改革を進めています。燃料補助金の負担を軽減したことや
政府資産の売却を進めていることから、財政赤字をGDP(国
内総生産)対比で4.1%まで縮小させる目標も達成の可能性が
高まったと見られます。
一方で、経済はインフラ(社会基盤整備)投資への財政配分を
確保することで成長率は回復が見込まれています。
他の注目点は10月から年末に予定されている州議会選挙で
ここを乗り切れば、来年末まで、政策に集中できる環境が整
う展開も想定されます。
インド中銀は長年の懸案であるインドのインフレ対応を進め
る一方、モディ政権は供給不足や財政赤字というインドの構
造的な問題の解決に取り組むという、タッグを組んだ形がど
こまで強力になれるかに注目しています。
図表1:インド政策金利と消費者物価指数(CPI)変化率
(日次、期間:2012年1月31日~2014年8月31日、CPIは月次)
9.0
%
% 12
政策金利(左軸)
CPI(前年同月比、右軸)
11
8.5
10
8.0
9
7.5
7.0
12年1月
8
7
13年1月
14年1月
図表2:インドGDP成長率と経常収支対GDP比率 の推移
(四半期、期間:2008年10-12月~2014年4-6月、経常収支は年次)
12 %
%
-1
10
-2
8
-3
6
4
2
08年12月
-4
GDP(前年同期比、左軸)
経常収支対GDP比率(右軸)
10年12月
-5
-6
12年12月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料
であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の
推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに
帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではあ
りません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、
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2014年10月10日
故(ふる)きを温(たず)ね新しきを知る、中国住宅政策
中国の住宅政策を振り返ると、住宅市場の転換点近くで緩和、引き締めを繰り返してきた様子が伺えます。足元、
住宅価格が下落し、景気回復の先行きが不透明な中、背に腹はかえられず奥の手を引っ張り出した格好です。
中国人民銀:住宅ローンの適用要件を緩和
-販売低迷に対応
中国人民銀行(中央銀行)は国慶節の始まる2014年9月30
日、住宅の1次取得者だけに適用していた頭金要件を一部
緩和するなどの住宅市場のてこ入れ策を発表しました。人
民銀のウェブサイトに30日掲載した声明によれば、2件目の
住宅を購入するためのローンの申請者について、1軒目の
住宅購入時のローンを完済していれば1次住宅取得者と見
なすことができるようになるとしています。また、1次取得者と
見なされれば住宅ローンの頭金要件は30%となるほか、低率
のローン金利の適用も可能となるとしています。
どこに注目すべきか
住宅市場の規制緩和、引締め、融資態度
今回の住宅関連の規制緩和は過去のような劇的な効果を期
待するには不透明な要因もあります。
まず、中国の商業銀行が貸出金利を決定する際、信用リスク
に応じて水準を決める傾向が高まり、適用される貸出金利は
基準貸出金利を上回る融資が増えています。当局の規制緩
和に応じて住宅ローンを引き下げるかの判断は商業銀行の
問題であり、実際に貸出金利が低下するか注視が必要です。
次に、格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)が10月8日に
資料で指摘したように、供給過剰の懸念のある住宅市場に
割高感が残る可能性もあります。
また、中国政府は長期的な目標とはいえ、成長のけん引役を
住宅など固定資産投資から消費へと構造改革を進めており、
表立った後戻りは控えるものと思われます。
しかしながら、中国景気が急激に冷え込んだ場合、構造改革
そのものが立ち行かなくなる懸念もあり、景気の底割れ回避
に対応した格好です。また、報道によると、規制緩和の効果
に懐疑的なS&Pも、2年程度の需要を下支えする可能性はあ
ると指摘するなど、今回の規制緩和で2次取得者の住宅取得
が広がることで新規需要が開拓されるなど、一定の下支え効
果が期待できる見込みです。
今回の規制緩和の効果が高まるかを見る上で、商業銀行の
融資姿勢の今後に注目しています。
中国の住宅政策を振り返ると、住宅市場の転換点近くで緩和、
引き締めを繰り返してきた様子が伺えます(図表1参照)。足
元、住宅価格が下落し、景気回復の先行きが不透明な中、
背に腹は変えられず、奥の手を引っ張り出した格好です。
まず、2008年の金融危機後の中国当局による主な政策を見
ると、2008年11月に4兆元規模の景気対策が打たれています。
加えてローン金利の引き下げや頭金比率の緩和などを組み
図表1:中国新築住宅価格指数の推移
合わせたため、2009年頃に住宅市場は急回復をしました(図
(月次、期間:2005年10月~2014年8月)
表1、①)。
中国新築住
次に、引締めの例を見ると、2010年4月に最も厳しいといわれ
「シャドーバ ④
宅価格指数 2010年4月
る「国十条」を発表し、2件目の住宅取得者に対する住宅ロー
ンキング対
「国十条」
8
ンを貸し出し基準金利の1.1倍にしたことや、頭金比率を50%
策、商業銀
頭金比率
行住宅ロー
以上とするなどの引締めを実施しました。その後住宅市場は
引上げ等 ②
ン抑制等
下落しました(図表1、②)。
3
2013年頃の住宅市場の回復は、李克強発言などを受け住宅
2013年3月
2008年11月、
規制への緩和期待が強まったこと、シャドーバンキングから
① 李克強総理
4兆元景気
③
0
の資金流入が回復の要因と見られます(図表1、③)。しかし、
「市場に任せ
対策等
る」発言等
シャドーバンキングへの規制強化と、商業銀行の慎重な融資 -2
05年11月
07年11月
09年11月
11年11月
13年11月
姿勢などを背景に住宅市場は低迷しました(図表1、④)。
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
ピクテ投信投資顧問株式会社
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2014年10月20日
4中全会が示す中国の方向は法治国家か
経済規模世界第2位の中国も、政治体制は共産党一党独裁が維持され、法治に基づく政策運営の確立は手がつ
けにくい分野でしたが、今回の4中全会では汚職・腐敗摘発運動の成果が問われる可能性に注目しています。
人民日報:中国共産党は法に基づいて統治
を推進-4中全会を前に論説
中国は1978年12月の中国共産党第11期中央委員会第3回
全体会議で毛沢東時代から路線転換を行い、改革開放政
策に踏み切って以来30数年が経過しています。中国共産党
の機関紙である人民日報は2014年10月19日の論説で経済
が「新常態(ニューノーマル)」にあるなか、中国は法治を通
じて社会問題に取り組み、改革を推進する必要があるとの
見解を述べています。
中国は2014年10月20~23日の日程で開催する中央委員会
第4回全体会議(4中全会)で、「法に基づく国の統治」への方
針が示される見込みで改革開放政策以後も主流であった
「人治」から舵を切る可能性もあります。
の関係においてもルール重視が進むものと思われます。例え
ば、海外展開を拡大している中国の4大銀行はバーゼルⅢへ
の対応にすでに着手しておりコア自己資本比率(Tier1)を
2018年までに9.5%を確保する目標を立てています(図表2参
照)。10月17日には中国銀行がTier1比率の向上を意図して、
優先株(劣後特約付債券に類似)が発行されましたが、順調
に消化されるなど、国際化に向けた新たな動きも見られます。
法治への道筋には、前途多難が想定されるものの、国内の不
満と国際化を背景に、4中全会が、中国の市場化、国際化を
そろりと進展させる可能性もあり、注目しています。
図表1:中国実質GDP成長率(前年同期比)の推移
(四半期、期間:2004年10-12月~2014年4-6月)
13
%
中国実質GDP成長率
(前年同期比)
11
どこに注目すべきか
4中全会、汚職腐敗摘発運動、優先株式
経済規模では世界第2位とも言われる中国も、政治体制に目
を向けると共産党一党独裁という基本路線に変わりは無く、
法治に基づく政策・経済運営の確立は手がつけにくい分野で
した。しかし、2013年6月から習近平氏主導のもと始まった汚
職・腐敗摘発運動の目的には法治の促進も含まれると見ら
れ、今回の4中全会ではその成果が示される可能性もあり、
普段は関心の低い4中全会ですが、注目しています。
まず、報道によると、今回の4中全会で周永康・前党政治局
常務委員の党籍を剥奪する可能性もある見込みです。周氏
は、共産党が政権を握った1949年以降に汚職調査の対象と
なった高官の中で最高位で、2012年に退任しています。今ま
での中国で、ここまで厳しい処分は考えにくく、仮に処分とな
れば、汚職に対する中国国民の不満が高まる中、路線変更
を示唆する象徴的な出来事となる可能性もあります。
また、中国は世界経済に占める地位が高まる中、今後も
GDP(国内総生産)の成長を確保するには、国際ルールへの
対応をいっそう進め、市場原理の導入に積極的になるものと
思われます(図表1参照)。そのため、国内のみならず国外と
ピクテ投信投資顧問株式会社
9
7
5
04年12月
06年12月
08年12月
10年12月
12年12月
図表2:中国四大銀行のTier1比率の比較
(時点:2014年6月)
12%
10%
9.5%
8%
6%
4%
2%
0%
農業銀行
中国銀行
建設銀行
工商銀行
※農業銀行:中国農業銀行、建設銀行:中国建設銀行、工商銀行:中国工商
銀行。 Tier1比率:普通株式等Tier1資本(普通株式、内部留保等)とその他
Tier1(優先株式等)の合計とリスク・アセットの比率
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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2014年10月23日
中国の対外直接投資は助け舟となるか
中国経済のけん引役いうと住宅など固定資産投資や輸出というイメージですが、中国の国外直接投資の地位も高
まっています。今後、国外直接投資が国内直接投資を上回り、資本輸出国へと転じる展開も視野に入ってきました。
中国対外直接投資:対外直接投資が対内直
接投資を上回るのは時間の問題
中国商務省は2014年10月22日、中国企業の海外投資手続
き簡素化に向けた新規制公表の記者会見で、(自国資本が
外国に向かう)対外直接投資が(外国資本が中国国内に
入ってくる)対内直接投資を上回るのは「時間の問題だ」とし、
「今年ではないにしても、近い将来そうなる」と述べました。ま
た、今後5年間の対外直接投資は、毎年少なくとも10%拡大
するとの見通しを示しました。
中国企業の2014年1~9月の対外直接投資は約750億ドルと
前年(1~9月)比21.6%増加しています(図表1参照)。一方、
同時期の海外からの対内直接投資は約874億ドルと前年(1
~9月)比で-1.4%の減少となっています。ただし、中国企業
が保有する海外資産は米企業の海外資産の10分の1、日本
企業の海外資産の半分に過ぎないとも述べています。また、
中国商務省は中国のエネルギー・鉱山企業が保有する海外
資産は、先進国と比較して低水準で、中国企業の海外投資
全体に占めるエネルギー・鉱山企業の投資は16.7%にとど
まっているとも指摘しています。
どこに注目すべきか
対外直接投資、アフリカ、アジア・インフラ投資
中国経済のけん引役というと住宅や建設などの固定資産投
資と輸出がほとんどというイメージですが、中国の世界に占
める対外直接投資の地位も高まる可能性があります。中国
への対内直接投資が対外直接投資を下回り、中国が資本輸
出国へと転じる展開も視野に入ってきました。
注目点は以下の通りです。
まず、中国の対外直接投資が拡大しているのは中国国内の
投資先が以前のように豊富ではないことの裏返しと言えるの
かもしれません。それでも中国は巨大な市場であり、依然魅
力的な投資機会は存在すると思われます。
むしろ、対外直接投資の拡大の背景は更なる成長の源泉を
求めて海外に活路を求めた結果と思われます。
ピクテ投信投資顧問株式会社
そこで主な投資先を「中国の対外援助白書」で見てみると、半
分程度がアフリカで3分の1程度がアジアとなっています。特に
アフリカではアンゴラ、ナイジェリア、アルジェリアといった産油
国で道路などのインフラ投資を進め、原油を輸入する中国の
成長モデルが確立されつつあります。アジアでも同地域にお
けるインフラ投資機会(アジア開発銀行の推計、2020年まで)
は約8兆ドルと巨額であり有望な地域と思われます。
ただし、このようなインフラ投資資金をまかなう仕組みとして中
国が主導してきたアジアインフラ投資銀行は10月24日に中国
で覚書が交わされる予定ですが、当初の参加国は多くて20ヵ
国程度にとどまりそうです。しかも参加国は資金を提供するよ
りも受け取る側の国が多い見込みで、当初の拠出金(約500
億ドル)の負担は中国が多くを負う見込みです。報道によると、
米国などが中国の動きを警戒したため様子見を決めた国が
多く、日本も覚書には加わらない方針です。
海外のインフラ投資は魅力が高く、中国への警戒もあり米国
などとの競争に直面する場面も想定されます。中国商務省に
よると当局の認可を待つだけの投資案件が相当数控えてい
る模様です。中国の投資機会の分散には新たな成長モデル
への期待も高まるだけに、今後の展開に注目しています。
図表1:中国の年別(年初来)累積対内・対外直接投資
(月次、各年累積値、期間:2012年1月~2014年9月)
2012年
140
120
100
10 億ドル
対外直接投資
対内直接投資
80
2014年
(1~9月)
2013年
対内直接
投資と対
外直接投
資の差
※差は
年々縮小
している
60
40
20
0
12年1月
12年7月
13年1月
13年7月
14年1月
14年7月
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2014年10月29日
ロシアルーブルの悲観要因と、おぼろげな光
ロシアルーブルはロシアへの経済制裁と、外貨準備の減少、並びにロシア景気の悪化見通しを背景に下押し圧力
は当面続くものと思われます。一方、ロシアの健全な財政、交易条件の改善など下支え材料にも注目しています。
ロシアルーブル:過去最安値を更新
変動相場制への動き加速の可能性
2014年10月28日のロシア為替市場で通貨ルーブルが下落
し、5営業日連続で過去最安値を更新しました。10月に入っ
て行われた200億ドル超の介入にもかかわらずルーブル下
落に歯止めがかからない格好です。市場では、ロシアが変
動相場制への移行を加速させる可能性もささやかれていま
す。ルーブルはドルとユーロのバスケットから成るロシア中
央銀行の通貨バスケットに対し0.6%安の47.71ルーブルと年
初来では約19%安となっています(図表1参照)。
ロシア中銀は、10月に入り外貨売りの市場介入を加速させ
ると共に、10月28日にルーブル変動幅の下限を47.40に引き
下げたことを明らかにしました。
です。ロシア中銀は10月13日に2015年からの変動相場制の
移行方針を改めて表明していますが、現在のようにルーブル
の変動が大きい状況では移行は困難と思われます。
また、通貨防衛とインフレへの対応に政策金利は引上げられ
る可能性が高く、景気への悪影響も懸念されます。
ただし、スタンダード&プアーズが10月24日、ロシアの良好な
財政状況を背景に格付けの据え置きを公表したこと、ルーブ
ル安は歳入の半分程度を占める原油の輸出に有利という面
もあることから、ルーブルの下落圧力は続く見込みではあるも
のの、短期的に通貨暴落はやや考えにくいと思われます。
ロシア当局としても通貨が支えきれない形での変動相場への
移行は不本意と見られ、対応が待たれるところです。
図表1:ロシアMICEX指数とルーブルの推移
(日次、期間:2014年1月1日~2014年10月28日)
30
ロシアルーブルの下落が続いています。下落の主な要因は
欧米各国による対ロシア経済制裁と、外貨準備の減少、並び
にロシア景気の悪化見通しです。ルーブルへの下押し圧力
は当面続くものと思われますが、足元、スタンダード&プアー
ズがロシアの財政状態を評価(図表2参照)して格付けを据え
置いたように、下支え材料にも注目しています。
まず、ロシアルーブル下落の最大の要因はロシアに対する
経済制裁で、特にエネルギーや兵器会社、国営銀行が国際
金融市場から資金調達が困難となっていることです。ロシア
の民間部門の資本流出額は2014年9月までで853億ドルと予
想を上回る勢いです。10月月初、ムーディーズ・インベスター
ズ・サービスは制裁対象となっているロシア企業の資金調達
に懸念を示しました。
次に、対外ショックを吸収する外貨準備残高の減少が懸念さ
れます。ルーブルはバスケット通貨(ドル55%、ユーロ45%)に
変動範囲が定められる中、最近の下落傾向からルーブルを
防衛するため外貨準備が減少しています。2014年9月末の外
貨準備残高は4,000億ドル以上あるとはいえ、先行き不透明
ピクテ投信投資顧問株式会社
高 ルーブル 安
どこに注目すべきか
ロシア経済制裁、外貨準備、変動相場制
35
バスケット
ルーブル(バスケット通貨、左軸、逆メモリ)
ロシア MICEX指数(右軸)
1600
40
1400
45
50
14年1月
1200
14年4月
14年7月
14年10月
図表2:ロシア、ドイツ、米国の債務残高対GDP比率
(年次、期間:2003年~2013年)
80
%
ロシア
ドイツ
米国
60
40
20
0
2003年
2006年
2009年
2012年
※GDP:国内総生産
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2014年10月31日
ロシアとウクライナ、ガス供給再開で合意の事情
欧米の経済制裁が強化されたことなどを受け、ルーブルの下落傾向が続いていましたが、ロシア中銀が利上げを
模索していること、ウクライナとの対話が進展するとの期待が高まったことなど、改善の兆しも見え始めています。
ロシア天然ガス:
ウクライナへ天然ガス供給再開で合意報道
ロシアのエネルギー省報道官はウクライナへのロシア産天
然ガスの供給について2014年10月30日に両国が暫定合意
に達するとの見通しを明らかにしました。ガス暖房需要が高
まる冬季を前に供給を確保するため欧州連合(EU)が交渉
を仲介していました。ロシアのノバク・エネルギー相、ウクラ
イナのプロダン・エネルギー相、EUの行政執行機関、欧州委
員会のエッティンガー委員(エネルギー担当)が合意を主導
しました。ロシアからウクライナへのガス供給は価格や債務
をめぐる対立で、2014年6月から停止していました。
どこに注目すべきか
ロシア政策金利、クリミア、ガス供給再開
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:ロシアルーブル(対ドル)レートの推移
(日次、期間:2013年10月31日~2014年10月31日午前10時時点)
50
45
安 ルーブル 高
欧米の経済制裁が強化されたことなどを受け、ルーブルは下
落傾向が続いていましたが、ロシア中銀が利上げを模索して
いること、対立するウクライナとの対話が進展するとの期待
が高まったことなど、改善の兆しも見え始めています。
1点目は、金融政策については10月31日にもロシア中銀がイ
ンフレと通貨安対応として、2014年、4回目となる利上げを実
施するとの観測が市場で強まっています。ロシアの格付けは
BBB程度とジャンク債(信用力が低い債券)スレスレの評価で
す。格付けの悪化を避けるためにも、インフレ懸念への対応
を重視した信頼性の高い政策が求められています。
2点目は、真偽の確認は必要ですが、ロシアとウクライナがク
リミアの地位(統治形態)をめぐり非公式な合意に達した可能
性があるとの報道がルーブル高を演出したことです(図表1参
照)。ただし、ロシアのペスコフ大統領報道官は、同報道の対
象と見られるウクライナの外交官について認識はないとし、
報道内容に疑問を投げかけており、真偽の確認が必要と見
ています。
3点目は、ロシアがウクライナへのロシア産天然ガスの供給
について両国がEUの仲介により暫定合意に達するとの見通
しが明らかとなったことです。代金未払いを理由にロシアはウ
クライナへのガス供給を停止していました。ウクライナは2014
年末にはガス備蓄が枯渇するとの見方もあり、合意条件を
検討する必要はありますが、ウクライナにとりプラス要因と見
られます。
また、EUにとっても欧州各地で燃料の輸送中断や不足が起
きた2006年や09年のような事態の回避が期待されることは
朗報と思われます。2006年、09年にロシアはウクライナへの
ガス供給を停止、欧州向けにはウクライナ分を除いてガスを
供給したところウクライナが無断でガスを使用したため、欧州
向けガス圧力が低下し供給懸念が発生、一部の国ではガス
供給が停止する事態となったほどです。
ロシアにとっても今回の合意にはプラス面があると見ていま
す。理由は、ウクライナへのガス供給を停止すると、親ロシア
派が多いウクライナ東部への供給も停止してしまうためです。
ロシアはウクライナのように国境を接する国々がEUや北大
西洋条約機構(NATO)に加盟することに過去から介入を続
けてきており、今回のウクライナ問題でも解決は予断を許さ
ない状況です。しかしながら、少なくとも両国が対話のテーブ
ルにつけることを示したことから、解決の糸口にも注目すべ
きと思われます。
ルーブル(バスケット通貨)
40
35
13年10月
14年1月
14年4月
14年7月
14年10月
※バスケット通貨:対ドル55%と対ユーロ45%のバスケット通貨
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料
であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の
推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに
帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではあ
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2014年10月7日
ブラジル、決選投票を左右すると見られるシルバ氏支持票
貧困対策や市場介入をいとわない政策を掲げるルセフ氏の決選投票の相手はネベス氏となりました。決選投票ま
で世論調査の動向に市場が左右される展開も想定されますが、注目ポイントはシルバ票の取り込みと見られます。
ブラジル大統領選:第1回投票は野党ネベス
氏が2位、現職ルセフ氏と決選投票へ
ブラジル大統領選挙(第1回投票)が2014年10月5日に行わ
れ、野党・社会民主党のネべス上院議員が得票率約34%と事
前の予想に反して2位となりました。現職のルセフ大統領(労
働党)は約42%を獲得しました。過半数を獲得した候補者がな
く、10月26日に両者で決選投票が行われる予定です。
ルセフ氏は与党・労働党の統治が終われば3,500万人を貧困
層から脱却させた政策が脅かされると主張するなど、市場介
入もいとわない貧困対策を重視する一方、ネベス氏は市場
開放政策で投資家の支持を集めていました。ネベス氏への
期待を背景に市場は上昇しました(図表1参照)。
なお、一時ルセフ氏を上回る勢いで支持を集めたシルバ氏
は労働党のネガティブ・キャンペーンの前に失速、得票率は
約21%で決選投票に残れませんでした(図表2参照)。
側面が考えられます。ただ、ある世論調査では、決選投票に
持ち込まれた場合、シルバ氏支持者の半分以上がネベス氏
に投票するとしているものの、4分の1はルセフ氏支持に傾い
ており、残りの4分の1は未定といった内容であり、決戦投票
の動向は不透明です。
ルセフ氏の社会主義寄りの政策は市場の人気はともかく、有
権者からの支持は依然高いと見られます。今後ネベス氏はテ
レビの選挙運動をルセフ氏と同じ時間利用できるなど好材料
もある中、シルバ支持票の取り込み具合に注目しています。
図表1:ブラジル・ボベスパ指数とレアル(対ドル)の推移
(日次、期間:2014年4月7日~2014年10月6日)
62000
59000
レアル./ドル 2.1
※ルセフ
氏支持 2.2
高まる
2.3
56000
どこに注目すべきか
決選投票、世論調査、市場開放、選挙運動
53000
2.4
2.5
ボベスパ指数(左軸)
レアル(対ドル、右軸、逆メモリ)
2.6
14年7月
14年10月
貧困対策や市場介入をいとわない燃料価格統制を掲げるル
50000
14年4月
セフ氏の決選投票の相手はネベス氏となりました。決選投票
まで世論調査の動向に市場が左右される展開も想定されま
図表2:ブラジル大統領選挙世論調査と投票結果
すが、注目ポイントは以下の通りです。
(世論調査、期間:2014 年8月29日~2014年10月4日、投票10月5日)
まず、図表2で選挙直前の世論調査と選挙結果を比べるとル
セフ氏は世論調査と選挙結果がほぼ同じで、支持基盤は厚 50
選挙
ルセフ
世論
%
結果
いものの小幅な伸びです。一方ネベス氏は約10%伸ばしてお
調査
ネベス
シルバ
り態度を決めていなかった有権者の支持を集めた格好で、勢 40
42%
40%
※選挙直前
いがあるのはネベス氏と見られます。
の世論調査
34%
ネベス氏が勢いを加速させられるかは、シルバ氏支持票をど 30
24%
の程度取り込めるかが鍵となりそうです。第1回選挙結果を
参照に単純計算するならば、シルバ支持票(21%)のうち3分 20
22%
21%
の2以上がネベス氏(残り3分の1未満がルセフ氏)に向かう
展開となれば接戦に持ち込める算段です。シルバ氏としても、 10
8月29日 9月3日 9月9日 9月19日 9月26日 9月30日 10月2日 10月4日 10月5日
ネベス氏は市場開放という点で政策的に近く、またネガティ
出所:各種報道、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
ブ・キャンペーンを張ったルセフ氏よりも支持しやすいという
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2014年10月24日
ブラジル大統領選挙、その後を占う
ブラジルの大統領選挙は世論調査では現職のルセフ大統領がややリードしている模様です。両候補の公約などか
ら大統領選挙後のブラジル経済の姿を占うと、財政、金融政策、インフレなどに違いが表れるものと見られます。
ブラジル株式市場:ボベスパは下落
ルセフ大統領の再選見通しが高まる
ブラジル株式市場では、2014年10月23日、指標のボベスパ
指数が下落しました。10月26日に行われる大統領選挙決選
投票で現職のルセフ大統領が再選を果たすとの見方から主
要株価指数の下げの中心となり、今年の上げを縮小しまし
た。ボベスパ指数は、今年の安値を3月につけましたが、ル
セフ大統領が不利との見方が優勢となる中で9月に安値か
ら約38%上昇しましたが、現在は約13%上回る水準となってい
ます。調査会社ダッタフォリャが23日に発表した世論調査に
よると、ブラジル大統領選決選投票で、ルセフ大統領の支持
率が48%対立候補である野党・社会民主党(PSDB)のアエシ
オ・ネベス氏は42%とやや差が拡大しています。
どこに注目すべきか
ブラジル大統領選挙、財政政策、金融政策
目前に迫ったブラジルの大統領選挙は直前の世論調査では
現職のルセフ大統領がややリードしている模様ですが、依然
接戦です。両候補の公約、過去の実績などから大統領選挙
後のブラジル経済の姿を占うと、財政政策、金融政策、インフ
レなどに両候補の姿勢の違いが表れていると見られます。
まず、財政政策ですが、ルセフ氏の場合、選挙中実績を訴え
ていた貧困対策(ボルサ・ファミリア、子供の教育や予防接種
など)への手厚い配分と投資への低い配分が想定されます。
ブラジルの投資額対GDP(国内総生産)比率は世界平均を下
回り、ルセフ氏就任後、低下傾向です(図表1参照)。一方、ネ
ベス氏は2003~11年のミナスジェライス州知事時代、財政支
出削減と教育・医療の拡充を両立、きわめて高い支持を集め
た実績があり、効率的な投資が期待されます。またネベス氏
は財務省に(選挙で選ばれる前から)ブラジルのインフレ・
ターゲット導入に貢献したフラガ元ブラジル中央銀行総裁の
起用を明言しています。勇み足の面はありますが、市場がネ
ベス氏に対して期待が高い要因の一つです。
次に、金融政策では、ルセフ氏は選挙キャンペーン中に、ブ
ピクテ投信投資顧問株式会社
ラジル中銀はインフレ対策だけでなく、失業率を低水準に維
持するためにも金融政策を使うべきと述べています。可能性
として、大統領再選後も景気減速が続くようであれば、利下げ
を優先する可能性もあると見られます。ただし、ルセフ氏の実
績を見るとインフレ率が上限目標近辺で推移した際には利上
げを容認しており、現実的な対応を続けるものと思われます。
一方、ネベス氏は金融政策では独立性を尊重する一方、ガソ
リンなどの管理価格政策については、インフレを構造問題の
一貫として捉え、政策により維持されている管理価格へメスを
入れることに重点を置く見込みです。中長期的な信用格付け
の改善などを重視した戦略と見られます。
結果、インフレ率の動向を占うと、ルセフ氏が再選した場合は
インフレ率の変動は少なく、現状維持の可能性が高いと思わ
れます。一方ネベス氏が当選した場合、様々な期待を背景に
インフレ期待の変動は高まるものと思われます。
最後に、議会と大統領の関係を振り返ると、大統領第1回投
票と同じ時期に行われたブラジル下院(定数513)の選挙でル
セフ氏を支持する労働者党(PT)連合が約6割の議席を獲得し
ています。ネベス氏が大統領となった場合、「ねじれ」となりPT
連合を切り崩しての多数派工作が進まなければ議会運営に
懸念が残ります。ルセフ氏有利で下落した株価ですが、よく見
れば単に元の水準に戻ったに過ぎず、ルセフ氏を支持する勢
力は現実路線を選択したに過ぎないと思われます。
図表1:主な国の投資額対GDP(国内総生産)比率
(年次、期間:2001年~2014年、2013年以降はIMF予想)
60
%
50
中国(2013、14年はIMF予想)
中国、4兆元の公共投資
世界平均(2010年以降はIMF予想)
ブラジル(2013、14年はIMF予想)
40
30
2011年1月ブラジル、
ルセフ大統領就任、
世界平均
20
10
01年
ブラジル
04年
07年
10年
13年
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