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マイクロ波帯光電波融合通信システムの構成法(その1)
電中研報告 情報通信 マイクロ波帯光電波融合通信システムの 構成法(その1) −光変調器の多段接続構成および無バイアス変調特性− 背 景 光電波融合通信技術は、無線信号をそのままの形で光信号に変換し、低損失の光 ファイバ中を伝送させるものであり、無線信号と光信号を効率的に接続できる、伝 送損失の大きい高周波帯の無線信号を長距離伝送できるなどの特徴がある。電力通 信においては、アクセス系光ファイバ網の構築、アクセス系での無線利用が進んで おり、本技術は将来のアクセス系ネットワーク構築技術として期待できる。 アクセス系光ファイバ網は、1つの統括する局を中心に各事業所を経由するよう に構成されることが多い。さらに将来、無線信号とのアクセス地点が各事業所だけ でなく至る所に設置されることが予想されるため、光電波融合通信技術を利用する ネットワーク構成にはマルチドロップ構成の採用が有効である。現在、光/電気変 換部分にLD(Laser Diode)の直接変調方式を用いるもので実用化に至っているも のはあるが、ミリ波帯までの高周波数帯での適用は難しい。 目 的 ミリ波帯までの様々な周波数帯の無線システムに適用できるアクセス系ネットワ ークを簡易に構築するため、光変調器の適用形態について検討し、その基礎特性を 実験的に明らかにする。 主な成果 各アクセス局にLDの設置が不要な光変調器の多段接続構成は、マルチドロップ 構成の上り回線への適用が可能な効率的な構成方法と考えられる。また、光変調器 は良好な電気/光変換特性を得るためにバイアス電圧を印加して使用することが一 般的であるが、アクセス局で使用する光変調器の無バイアス動作が可能となれば、 アクセス局の省電力化が図られ、さらには無電源化も期待できる。 各々について2.4GHz帯スペクトル拡散無線信号による伝送実験を行い、以下の 結果を得た。 1.光変調器の多段接続構成による特性 図1に示す2つの電界吸収型光変調器(EA変調器)の多段接続構成において、 各EA変調器に無線LAN信号および周波数の異なる正弦波を入力した時の無線 LAN信号の符号誤り率(BER)特性を図2に示す。光変調器の挿入損失によ る影響はみられるが、無線入力に配慮すれば光変調器の多段接続構成による周波 数多重伝送が可能となる見通しを得た。ただし、多重する無線信号周波数によっ て干渉波が生じ、BER特性に影響することに注意する必要がある。 99─009 2.光変調器の無バイアス変調特性 光変調器を無バイアスで使用するための基本的な構成を図3に示す。光変調器 にLiNbO3変調器(LN変調器)またはEA変調器を用い、光変調器のバイアス電 圧をOVとした時の無線信号入力に対するBER特性を図4に示す。各変調器を 用いた場合のBER特性には、デバイスの特性や光源の波長による差が見られる が、無線入力に配慮すれば、光変調器を無バイアスで利用できる見通しが得られ た。 今後の展開 電波伝搬を含めて、光電波融合通信技術を用いる効率的なシステム構成について 実験的に評価する。 図1 多段接続構成の実験構成 図2 多段接続構成時のBER特性 図3 無バイアス変調の実験構成 図4 無バイアス変調時のBER特性 研究報告:R99027 キーワード:光電波融合通信、2.4GHz帯無線LAN、多段接続変調、無バイアス変調 関連研究報告書 主担当者 連 絡 先 高見 啓一郎(情報研究所) (財)電力中央研究所 情報研究所 事務担当 Tel 03−3480−2111(代) e-mail cil-rr-ml @ criepi.denken.or.jp