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初等教育段階における国際読書力調査PIRLSの 特徴

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初等教育段階における国際読書力調査PIRLSの 特徴
ワ′
初等教育段階における国際読書力調 査PIRLSの 特徴
一 他 の国際 テ ス ト・国内テ ス トとの比較 か ら 一
An analysis of Progress in lnternational Reading
Literacy Study(PIRLS)through Colmparison with
international and domestic reading assesslrlents
足
立
幸
子
Sachiko ADACHI
1.は
じめ に
P I R L S を 取 り上 げ る の には , 二 つ の 理 由 が あ る。
一 つ 日は , P I S A を 相対 化 し, 国 際 テ ス トの 意味 を
本稿 は , 「 国際標 準」 を視野 に入れた 読書 力評価
を考 え るた めに , 国 際的 に影響 力 のあ る国 々の 国内
考察す るた めで あ る。 この 数年間 の 間 に, 国 語科教
育, 特 に読 む ことの 評価 に関す る状況 は変わ つた 。
P I S A 2 0 0 3 で 我 が 国 の 生徒 の 「読 解 力」 の 低 下 が マ
標準 の テ ス トを分 析 して きた研究 ( 足立2 0 0 3 b , 足
一
立 2 0 0 4 , 足 立2 0 0 5 ) に 続 く研究 で あ る。 言で 「国
スコ ミで 報 じられ, 研 究者 ・教 員 は もちろんの こと ,
一 般市民 に まで 「読解 力」 の 国際比較 調査 の 存在 が
際標準」 と言 つて も個 々の 評価 はその実施者, 目的 ,
参加 者, 経 済性 な どに よ つて , 様 々な形 を と りうる。
知 られ る こととな つた。 我 が 国 の 子供 た ちに対 して
何 を読書 力 ととらえ何 を教育 して い くか, カ リキ ュ
ラムを構成す るた めに この ような国際調査 を視野 に
た とえば, 経 済 教 育 開 発 機 構 ( O r g a n i s a t i o n f o r
下 OECDと す
CO―operation and Development, 以
る) の 1 5 歳の生 徒 の 学 習 f l 達度 調 査 ( P r O g r a r n m e
ISA
f o r l n t e m a t i o n a l S t u d e n t A s s e s s m e n下
t ,P 以
/
1
‐
とす る) で は , 現 代社 会に生 きる 徒 が義 務教 育を
終 えた段階 で どの ような能 力を身 に つ けて い るべ き
かを測 る もので あ り, カ リキ ュラ ムが どの程度生徒
に熟知 されて い るか とい うことは問題 にな つて い な
置 く ことは重要 で あ る と考 え られ る。 筆者 自身 も,
P I S A 型 「読解 力」 を踏 まえ て の 今 後 の 我 が 国 の 教
育 の あ り方 に つ いて , 原 稿 の 依 頼 を受 け る ことが 多
くな つた ( 足立 2 0 0 6 b , 2 0 0 6 c ) 。 しか し, 一 方 で ,
P I S A だ け がす べ ての 根拠 とな る こ とに も, 危 惧 を
一
覚 え る。 P I S A は 1 5 歳 とい う年齢 にお け る つ の テ
い 。 本研究 は読書指導 を充実 させ るた めの評価 を考
ス トに 過 ぎな い か らで あ る。 そ こで , 本 稿 で は ,
P I R L S と い う も う一 つ の 国際 テ ス トを取 り上げ る
察す る ことを 目的 と して きた た め , P I S A の よ うな
国際 テ ス トで はな く, む しろ各 国 の カ リキ ュラ ム妻1
ことで , P I S A を 相 対化 しなが ら, 読 書 力 の 国際 標
準を浮 かび上が らせ る こ とを 目的 とす る。 二つ 目は ,
達度 を測定す る 「国 内標 準」 が どの ように評価 され
てい るかに着 日 して きた。 今後 もそ の ような問題 意
識 は変わ らな いが , 本稿 で はあえて , 小学校 4 年 生を
時期 的 な問題 で あ る。 また, P I R L S は 2 0 0 1 年に 開
始 され , 5 年 ごとに行 われ る こ とが決 ま つて お り,
を取 り上 げ る。
お い て ,我 が 国 に PIRLSの 2001年 の 調 査 (以下
P I R L S 2 0 0 1 と 略記す る) の 情 報 を提 供す る ことは ,
読書 力 の 国際標 準を議論 す る準備 を整 え る意味 で ,
今年 P I S A 2 0 0 6 と 呼 ばれ る調 査 が実 施 され る。 今後
対 象 と して い るP I R L S ( P r o g r e s s i n l n t e r n a t i o n a l 読書 力 に 関す る国際 学 会 な どで は , P I R L S が 議 論
の 対象 とな つて くるで あろ う。 この よ うな状 況下 に
い う 「国際 テ ス ト」
Reading Literacy Study)と
2006.11.29 受 理
172
新潟大学教育人間科学部紀要 第
重要 で ある と考 えた。
本稿 の 目的は, 国 際読 書 力調 査 P I R L S の 特 徴 を ,
他 の 国際調査 や各国 の 国 内評価 との 比較 を通 して 明
第 2号
9巻
究所 で 日本 も参加す るので はないか と言われた こと
が あ るが, 現 時点 で 確認 で きな い。 しか し, 理 科 ・
らかにす る こ とで あ る。特 に何 を読書 力 と想定 して
数学 な どを扱 うT I M S S と 並 ん で , 国 際的 に 最 も信
頼 されて い る調査 で ある。
い るか に焦点 をあて る。 したが つて , どの 国 が どの
ような成績 を と つたかで はな く, 質 問紙 , 配 布 され
3.質
問紙
て い るテ クス ト ( 読書 材 ) , 及 び 与 え られ て い る設
3-1.4つ
間 に関心 が あ る。 そ こで , ま ず , P I R L S の 概 要 を
述 べ , P I R L S 2 0 0 1 の 質問紙, 読 書力 の フ レー ム ワー
ク, 設 間 ・解 答を説 明 ・分析 したの ち, 国 際 テ ス ト
庭 ( 両親 ) , 教 師, 学 校 ( 校長 ) に 対 して , 計 4 つ
( P I S A ) 及 び , そ の 他 の 国 内 テ ス トとの 比較 を試
の 質 問紙 を出 し, 子 ど もが どの ような読書及 び教育
み る こととす る。
の質問紙
P I R L S で は , 子 ど も ( テ ス トを受 けた本人) , 家
なお, 筆 者 は従来 の 我 が 国 の 読解指導 で は , 国 際
的な意味で の 読む 力 は育たない とい う立場 に立 つて
環境 にい るのか を と らえ ようと してい る。 ここで は
特 に重要だ と考 え られ る子 ど もと教師 に つ いて 質問
項 目と内容を 一 覧表 の形 で 説 明 し, 家 庭 と学校 に つ
きて, 幅 広 く読む ことを指導 して い くことを読書指
いては , 質 問項 目のみ を示す ( 表 1 ∼ 表 4 ) 。
導 と呼 ん で きた の で , こ れ ま で の 拙 稿 と 同 様 に
readingに │ま
は言
静躊彗, reading literacylこ
彗ソフとい
売層
う訳語 をあててい る。 また, 4年 生 が 対 象 な ので ,
3-2.質
studentには 子 ど もとい う訳語 を あてて い る。
3-2-1 子
2.PIRLSの
概要
問紙 の考察
ここで は , 子 ど も用質問紙 と教 師用 質問紙 に つい
て , 注 目す べ き項 目を取 り上 げて説 明を加 え る。
ど も用質 問紙 の 質 問項 目
P I R L S は 読 書 力 を測定 す る もので あ るが, そ の
子 ど もの 背景 とな る読書環境 や教 育環境 を と らえ よ
PIRLSは ,国 際教 育到達度評価学 会
(International Association for the Evaluation
of EducatiOnal Achievement, IEAと
己す る)
略言
ス
に よつて行われ て い る読 書 カ テ トで あ る。 第 4 学
年を対 象 と してい る。I E A で は1 9 7 0 年代以 降, 様 々
な読 書 力 に 関す る国際 調 査 を行 つて きて い るが ,
1 9 9 1 年にP I R L S 2 0 0 1 の 前 身 とな る調 査 が 行 わ れ て
い る。
P I R L S は 2 0 0 1 年に 実 施 され , 2 0 0 6 年 , 2 0 1 1 年 と
5 年 ご とに実施 され る ことに な つて い る。
P I R L S 2 0 0 1 に 参 加 した の は 以 下 の3 4 カ 国 ・地 区
で ある。
アル ゼ ンチ ン, ベ リー ズ, ブ ル ガ リア, カ ナ ダ, コ
ロン ビア, キプ ロス, チェ コ共和 国, イ ングラ ン ド,
フ ラ ンス, ドイ ツ, ギ リシア, 香 港特別区, ハ ンガ
リー , ア イ ス ラ ン ド, イ ラ ン, イ ス ラエル , イ タ リ
ア, クウェー ト, ラ トビア, マ ケ ドニ ア, モ ル ダヴィ
ア, モ ロ ッ コ, オ ラ ン ダ, ニ ュー ジー ラ ン ド, ノル
ウェー, ル ー マニ ア, ロシア連邦, ス コ ッ トラン ド,
シンガポー ル, ス ロ ヴ ァキア共和 国, ス ロ ヴェニ ア ,
ス ウェー デ ン, トル コ, ア メ リカ
P I R L S 2 0 0 6 で は , スペ イ ン, 台北 , 南 ア フ リカ
な どあ らた に 参加す る国 。地域 もあ り, 全 体 で4 0 カ
国を上回 りそ うで あ る。数年前 に ア メ リカの評価 研
うとす るのが 質 問紙 で あ る。 したが つて , 各 質問項
目は, 主 に, 子 ど もの読書活 動 との関連 が あ るか ど
うかを検討す るた めに用 い られ る。
まず注 目 した いのは, 表 1 の 「3 学 校外 での活動」
「4 学 校 外 での 読書」 「5 図 書館 の 利用」 「1 9 家庭 の
蔵書」 で あ る。 これ らは , 子 ど もた ちが学校外 での
様 々 な場面で どれほ ど読書活 動 を行 つて い るかを と
らえ ようと して い る もので あ る。我 が 国 で 読書調査
を しようとす る と 「マ ンガ も読書 に含 まれ るのか 」
な ど とい う議 論 がお こ る。 しか し, P I R L S で は ,
「マ ンガ」 は読 書 に対立 す る もので はな く 「い ろい
ろな タイプの テ クス ト」 に含 まれ る もので あ る。 と
にか くい ろい ろな タイプの もの を幅広 くい ろい ろな
場面で読 む こ とが, 高 い読書 力 と関係 が あるか ど う
かをはか ろ うと して い るわ け で あ る。
次 に注 目 した いの は, 「1 9 家庭 の 蔵書」 「2 0 家庭 の
地 位 」 「2 1 - 2 2 - 緒 に住 ん で い る人 」 な ど で あ る。
P I R L S で は , 家 庭 の 読 書 環 境 を重 視 して い る。 そ
れ は , 家 庭用 の 質問紙 が 存在す る こ とか らも明 らか
で あ る。家庭 に本が あ り, 読 書す る大 人が いて 読書
す る モ デ ル を示 してい る ことが , 子 ど もの 読書 力 に
どう影響 して い るかを と らえ ようと してい るので あ
る。
最後 に触れ て お きた いの は , 「 1 2 読書 に対す る態
初等教育段階における国際読書力調査P I R L S の特徴
173
表 1 子 ども用質問紙の質 問項 目とその内容
質問の番号
質
問
項
目
性別
1
つ4
3
内
容
男 か女 か
誕生 日
生 まれた年 と月
学校 外で の 活動
読書に関係 した様 々な活動 とテ レビ視聴 の頻度
学校外 でい ろいろな タイプのテ クス トを読む頻度
学校 外 での 読書
楽 しみ のために 図書館 か ら本を借 りる頻度
6
図書館 の 利用
テ レビ視聴
7-8
指 導 の活 動
学校 の 中 で の指 導活動 の 頻度
9-10
宿題
コンピュー タの使用
読書 の宿題 の頻度 と読書の宿題に使 う時間 の量
い ろい ろな リテ ラシー活動 のために コンピュー タを使用す る頻度 と場所
読書に対す る態度
読書に対す る子 どもの態度
13
読書 の概 念
読書能 力に関す る 自分 の概 念
14
学校についての感情
学 校 に つ い て の 感 情 ― 安 全 , 他 の 子 ど もた ち や 教 師 に 対 す る認 識
5
普通 の 学校 があ る 日に テ レビを見 る頻度
9 “
(perception)
15
学校 の 環境
学校 で他 の 了‐
どもたちが引 き起 こす問題行動 に関す る報告
16-18
家庭 の 言語
家庭 で テ ス トの 言語 が使 われ て い るか どうか ( 家庭環境 及 び読書 に関 して
家庭 で の サ ポー トが あ るか ど うか の イ ンデ ィケ ー タと して使用す る)
19
家庭 の 蔵書
家庭にある本の数 (家庭環境及び経済的地位 のイ ンデ ィケー タとして使用
する)
20
家庭 の地位
様 々 な社 会 ・経 済 的 イ ンデ ィケ ー タ ( 家庭環境及 び経 済的地位 の イ ンデ ィ
ケ ー タと して使 用す る)
21-22
一 緒 に住 ん で い る 人
23-25
生 徒 と両 親 が そ の 国
家庭 で 一 緒 に住 んで い る人及 び子 ど もの 数 ( 家庭環境及 び経 済的地位 の イ
ンデ ィケー タと して使 用す る)
移民資格 に つ いての 情報 ( 家庭環境及 び読書 に関 して家庭 での サ ポー トが
で 生 まれ た か ど うか
あ るか ど うかの イ ンデ ィケ ー タと して使用 す る)
度 」 「1 3 読書 の 概 念」 で あ る。 これ は 後 ほ ど詳 しく
述 べ るが, P I R L S で は 読 書 力 の フ レー ム ワー クを
作成す るにあた つて , 読 書 の 行動 や 態度 を重視 して
い る こと と関係 が あ る。読書 に対 して肯定的 な態度
や 概 念 を 持 つ て い る か ど うか を 問 う も の で ,
P I R L S で はそ の よ うな態 度 も読 書 力 に含 め て 考 え
る。
∼ 25人 ぐらいで あ る。 また ,特 別 な ニ ー ズを持 った
子 ど もた ちに対 して の 特別 な読 書学級 が あ る場 合 も
あ る。 例 え ば ,ニ ュ ー ジー ラ ン ドの 研 究 者 ,Clay
の 唱 えたReading Recoveryな どは ,初 等教 育 の 段
階 で の 徹底 した読書 の 指導 を実現 させ るた めに ,個
人指 導 を行 つて い る。 ア メ リカのTitle lと い う特
別支援 の 学級 で も, 2人 ∼ 8人 と,子 ど もの 抱 え る
3-2-2 教
師用質 問紙 の質 問項 目
教師用 質問紙 (表 2)は ,子 ど もの 読書 力 の 育成
読書 の 困難度 に よ つて ,柔 軟 に対応す る。 また ,普
通 の 学級 で あ つて も,様 々 な 目的 に応 じて , グ ル ー
に も つ と も深 く関わ って い る教師 に対 して,子 ど も
が どの よ うな教育環境 におかれて い るか を間 うもの
プ編成 を して読書 の 指導 を行 つて い る。
次に,「 8読 書 の指導」 「9読 書 の 指導 の時間」 「10
で ある。
読書 の指導 の頻度」に着 目す る。 これ らは教師に よつ
は じめ に ,「 1学 級 の 規模」 「11指導 の グル ー ピン
グ」 「2425読 書 の 困難」 に着 目 してみた ぃ。我 が 国
で は,40人 学級 とい う ことにな つてい るが , これ は
4年 生 で は非常 に多 い数 で あ る。 筆者 が 訪れた こと
の ある ア メ リカやオ ー ス トラ リアな どでは,州 に よつ
て も学校 に よ つて も異 な るが ,普 通 の学級で は ,20
て ,子 ど もの読書活動 がい ろい ろな機会 に指 導 され
る ことを と らえ よ うとす る もので あ る。最近 の 読書
研究 で は様 々 な指 導 の 方法や教 材や メデ ィアが開発
されてお り,そ れ らを子 ど もの 能力や特性 に応 じて ,
また,教 育 目的 に応 じて使 い分 け て い くことが 奨励
されて い る。 「12オ
旨導 の 教 材」 「13読書 の 教材」 「14
174
潟大学教育人間科学部紀要 第 9 巻 第 2 号
新
表 2 教 師用質問紙 の質問項 目とそ の 内容
質問の番号
質
目
項
問
勺
学級 の 規模
l
2-5
6-7
ー
子供たちの読書の レベル,言語能力,受けている読書/言 語サ ビスを記述
学級 の 子ど もた ち
言語 の 指 導
言語 の 指 導 が 扱われ て い る教育課程 の い ろい ろな領域 や教科 , 言 語 の 指導
に費や され る時間, 言語 の 宿題 が出 され る頻度
読書 の指導 が扱われ ている教育課程 のいろいろな領域や教科
読書 の指導に費や され る時間, ま た, も しも正式 の ( f o r m a l ) 読書 の指導
読書の指導
読書 の指導 の時間
8
9
容
学級 の子 どもの数 とクラ スの学年
があるな らばそれに費やす時間
10
読書 の 指導 の 頻度
指 導 の グル ー ピング
1週 間 の うち何 日を 読書 の 指導 を行 うか
ー
読書 の指導 で グルー プを作 るか どうか, 作 るな らどの ように グル ピング
す るか
04
指
導
の
教
材
(material)
ー
教 ( ワー クシ トや教科 書な ど) を 使 用,
教師 が い ろい ろな ( d i f f e r e n t ) 材
す る頻度
13
読 書 の 教材
14
読 書 の 指 導 の 教材 と
教師 がい ろい ろな タイプの テ ク ス トを読 書 の 指導 で 使 用す る頻度
いろいろな読書 の レベル に対 して教師が どの ように読書 の指導 の 教 材を使 つ
い ろ い ろな能 力
てい るか
指 導 の活 動
指導 の メデ ィア
コンピ ュー タの使 用
い ろい ろな読書の指 導活動 を使 用す る頻度
15-17
18
19
教師 が読 書 の 指導 の 際 に使 用す る メデ ィアと,使 用す る頻度
リテ ラシー活 動のために使 用 で きる コンピ ュー タが あ るか ど うか, 使 用 の
実態
20
ー ー
学級文庫 ( c l a s s r 0 0 m 学級文庫 や読書 コ ナ があるか,そ の 大きさ,使 用 の実態
library)
つ4
学校 図書館 の 利 用
学校 図書館 を教師 自身 が 利用 した り, 子 ど もに利用 させ た りす る頻度
22-23
宿題
24-25
読書 の 困難
26-28
評価 (assessment)
教師 が読 書を宿題 にす る頻度 と子 ど もがその 宿題 に費やす時 間
ー
読書 が特 に困難な子 ど もを扱 うため の 教師 用 の リツ スと, 読 書 の 困難を
ー
扱 うため の 教師 の 指 導 アプ ロ チが あ るか ど うか
ー
子 ど もの 読書 の 進 歩や成績 を モ ■ タ した り評価 した りす るた めの い ろい
29
教 員研 修
学 校 で 教 員研修 のた めの機 会を教師 が 得 てい るか
30
協力 と協 同作 業
ー
教師 が他 の 教師 と一緒に読書 の 教育課程及 び指導 アプ ロ チを議論 した り
計画 した りす る頻度
31
家庭 と学 校 の 連携
成功 へ の 期待
教師 が 両親 に 会 った り子 ど もに家庭 で 宿題 を させた りす る頻度
子 ど もた ちが将 来読者 と して成功す る ( 望ま しい読 者 にな る) で あ ろ うと
ろな評価 法
32
い う期待
33-34
教 育 の 経験
教師 が 教育を行 った経験 年数 と特 に成績 評価 を した経験
35-36
年齢 と性 別
教師 の 年齢 と性 別
37-39
教育/訓 練
読書 を教 え るた めに 教師 が 受 けて い る最 も高 い レベ ルの 教 育, 教 員免許,
40
教 員研修
41
読書習慣
42
教育 して い る学級
る頻度
一 人だけ の 教師 が 教育 して い る学級 か , あ る いはい ろい ろな教 科を 教え る
教師 の チ ー ムが教育 して い る学級 か
43
1時間
回答に費や した時間
学 術的 準備
過 去 2年 間 にお いて 教師 が 研修 のた めに費や した時間
教師 が い ろい ろな教材を読んだ りい ろい ろな 目的 のために 読 書 を した りす
175
初等教育段階における国際読書力調査P I R L S の特徴
表 3 家 庭用質問紙 の質問項 目
質問 の 番号
質
問
項
目
項
目
lnJ答
者
ー
両親 。子 ど もの リテ ラシ の 相互作 用
1
9 “
幼稚 園 へ の 出席
学 校 へ 行 き始 めた年齢
3
ー
学校 へ 行 き始めた ときの リテラシ スキル
ー
家庭 での リテラシ 活動
5
6
ク′
家庭 と学校 の連携
8
学校 に対す る見解
9-10
両親 の リテ ラシー活動
11
両親 の読書 に対す る態度
14
家庭 の 蔵書
両親 の 教育
15-16
仕事
17-18
貧富 (収 入)
19
回答に費や した時間
12-13
表 4 学 校用質問紙 の質問項 目
質問 の 番号
質
間
2-3
P I R L S テ ス トを受 けた子 ど もの学 年
子 ど もの 数 (学校全体 とテ ス トを受 けた子 ど も)
4-5
コ ミ ュ ニ テ ィー
6
コ ミ ュ ニ テ ィー の リ ソ ー ス
7-9
子ど もの 状態
10
能 力別学級編成
l
指導 の 時 間
12
同 じ教師 が 同 じ子 ど もを教 え る年数
13
教 育課 程 の効 果
14
入学 して くる子 ど もた ちの リテ ラシー
15-16
読書 力 の 強調
″′
18
読書 の 指導 で の協 同作 業
指 導 の 教材
19
指導 の 強 調
20
いろいろな読書 レベルに対す る指導
つ´
22
学校図書館
学級 文庫
24
コンピ ュー タの有 無 とイ ンター ネ ッ トヘ の ア クセ ス
ー
指 導 の リツ ス
25-27
家庭 と学校 の連携
28-29
30-31
学 校 の 風土
教師 の 協力
32
校長 が 様 々 な役割 や機能 を担 う時間
33
回答 に費や した時間
23
新潟大学教育人間科学部紀要 第
176
読書 の 指 導 の 教材 と い ろい ろな能 力」 や 「1 5 1 7 指
導 の 活 動」 は , これ らの方法 ・教 材 ・メデ ィアを ど
れ ぐらい 反 映 して い るか を問 う もので あ る。「い ろ
い ろな 」 はd i f f e r e n t 訳
の 語 で あ るが, い ろい ろな も
のを幅広 く使 い 分け てい くことが よい ことで あ る。
その種類は多 いほ うが よい とい う考え方 が前提にな つ
9巻
第 2号
の 価値 が 認 め られ る よ うに な つて きて い る。 「41読
書習慣」 は教 員 自身 の読書 の 頻度を問 うもので ある。
「30協 力 と協 同作 業」 も,教 師 同士 が 学 び あ い,高
い 質 の 読書 の教 育を子 ど もに提供 で きて い るか どう
か をたずね て い る もので あ る。新 しい指導 に つ いて
てい る とい え よう。 残念 な が ら我 が 国 にお いて は ,
よ く学習 し, 自 らの読書 習慣 も高 い 教師 が ,高 い読
書 力を育 て る こ とが で きる と想定 され てい る。
能 力差 や子 ど もの 特性 に応 じて指導 の 方法や指導 の
教材 を変 えて い くことは, ま だ十 分 に行われて い る
表 3は 家庭用,表 4は 学校 用 の 質問紙 の 質 問項 日
を示 した もので あ る。 4者 に対す る質問紙 を用意す
とは言 えない。
る ことで ,子 ど もの 読書 生活 全体 を と らえ よ うと し
て い る こ とが分 か る。 PISAな どで は , こ れ ほ ど多
「20学 級 文 庫 」 に は ,説 明 が 必 要 で あ る 。
classroom libraryを
学 級 文 庫 と訳 した が ,少 し違
うもので あ る と考 えたほ うが よい 。筆者 が 訪 問 した
ことの あ る ア メ リカや オ ー ス トラ リアな どの教 室 で
は,教 室 の 一 角 にclassroom library,読
書 コー ナ ー
ー
(reading corner),あ るい は読書 セ ンタ と呼 ば
れるところがある。教室 の10%∼ 25%ぐ らいの スペー
スで あ る。そ こに ,何 百冊 もの 本 が 子 ど もに分 か り
やす い 分類 で 置 かれ てお り,た いていは カ ー ペ ッ ト
が 敷 かれて いて , ソ フ ァー もあ る。子 どもがそ こに
あ る本 を 自由に読 む場 合 もあ る し,教 師 がそ こで 読
み聞かせをす る場合 もある。簡易型 の ホワイ ト・ボー
ドや, ポ ス ター ぐらいの 大 き さの あ る ポ ス トイ ッ ト
(これ も ホ ワイ ト ・ボー ドと同 じような使 い 方 をす
る)が セ ッ トされて いて ,共 通 に読 んだ ものにつ い
て ,教 師が話 を進 め なが ら,板 書 して い く場 合 もあ
くの質問紙 は用意 してい な い。
3-3.ま
とめ
以 上の ように,質 問紙 の 質問項 日は, これ ま でに
行 われ て きた読書 の 研究 や ,開 発 され て きた読書 の
指 導 の 方法 な どが ,そ れぞれ の 国 で は どれ ぐらい反
映 され てい るかを,子 ど もの読 書環境 と してみ る も
ので あ る。 したが つて ,逆 の 言 い方 をす れば ,質 問
項 目を 見 て い けば, どの ような指導を して い くこと
が 国際的 な動 向 で あ るかを,あ る程度 と らえ る こと
がで きるので あ る。 ま とめ と して,質 問紙 か ら読み
取 れ る こ とを,次 の 4点 を示す。
・多様 な場 面 で 多様 な もの を読 む こと
・読書 に対す る肯定 的 な態度
・教師や家庭 にい る大 人 の 読書能 力,教 育経験
。教 員研修 な ど新 しい指導 を学 習す る教師
る。 「21学校 図書館」 は ,国 に よ つて 様 々で あ るが ,
一 般 的 に教 師用 の リ ソー スセ ンター が 併設 され てい
て ,教 師 自身 が教材 を探 しにい つた り,探 した教材
る こ とが で きる。
を加工 (教材化)し た りす ることがで きるようにな つ
て い る。 「21学 校 図書館 」 で 教 師 自身 の 利 用頻 度 を
4.P:RLSの 読書力 の フ レーム ワ ー ク
これ らは ,子 ど もの 読書 力を高 め るた めの状 況 と見
尋ね て い る背景 には , こ の ような状 況 が あ る と考 え
られ る。
「26-28評 価 」 に つ いて は ,諸 外 国 には ,我 が 国
4-1.読
定義
書力 (reading literacy)の
PIRLSで は ,読 書 力を次 の よ うに定 義す る。
で は想像 で きな い ような 多様 な読書 の 評価 方法 があ
る。そ の使 い 方 と読書 力 の 関係 を見 る もので あ る。
我が国では, 残 念ながら, 諸 外国はどには評価方法
が発達 していない。本研究を始めた 3 年ほど前から
社 会 か ら要 求 されて い るあ るいは 自分 で価値
が あ る と思われ る書 かれた形 の 言語 を理解 した
持 って きた問題 意識 で もあ るが, 教 師 が使 用 で きる
り使用 した りす る能 力。年少 の読者たちは,様 々
な テ ク ス トか ら意 味 を 構 成 す る ( c o n s t r u c t
読書 力評価 を開発 して いか なけれ ばな らない。
「2 9 教 員研修 」 「4 0 教 員研修 」 は , 読 書 の 指 導 に
m e a n i n g ) こ とがで きる。学 習す るた め に, 読
者 の コ ミュニ テ ィー に参加す るため に, 楽 しみ
つ いて , 様 々 な方法 が 開発 されて い る こ とと関係 が
のため に読 む。
ある。教師は新 しい研究 の 動 向を知 り, 新 しい教材 ,
一
新 しい方法 を学ん で いか なければな らない。 方 で ,
最 近 で は , 我 が 国 の 伝 統 の 校 内 研 修 も, l e s s o n
s t u d y ( 授 業研 究 ) と して , 外 国 に紹 介 され て , そ
ここで注 目 した いの は , 「意味 を構成 す る」 とい う
と ころで あ る。 これ は, 数 多 くの 読書研究 に基 づい
1。
た理 論 を反映 させ た もので あ る
読 書 力を構 成 的
初等教育段階 におけ る国際読書 力調査PIRLSの 特徴
で 相互作 用的 な過程 と して と らえ る。す なわ ち,読
177
とを,読 む こ ととと らえ る ので あ る。 したが って ,
PIRLSで は ,な ぜ 読 む の か ,読 者 自身 の 目的 を 重
ような物語 であつて も,実 際 の子 どもたちの生活に
ついて振 り返 らせた り,普 段の生活を よりは つき り
と分か らせた りす るような ことが ある。話者や中心
人物 の ものの 見方や,あ るいは より複雑 に複数 の視
視す る。 また ,意 味 を構成 してい く過程 も重視す るb
点 が示 され る。大切な考えは直接会話や行動を通 し
さらには ,読 書 に対す る行動 と態度 に つい て も重視
す る。 「読 書 の 目的」 「理解 の 過 程」 「読書行 動 ・態
て 語 られ る。 この ような もの を,PIRLSで
者 自身 が 自分 の 目的 に応 じて意味 を構成 して い くこ
度」 を PIRLSで は ,読 書 力 の三 つ の 側 面 と位 置 づ
けて い る の で あ る。 そ れぞ れ に つ い て ,Camp腱 11
ら (2001)に 基 づ いて 説 明を加 え る。
4-2.読
書 の 目的 (purpose s for reading)
読書 力 は 人がなぜ読 書す るのか とい う 目的 に 直接
関係す る もので あ る。読書 の 目的 は 非常 に広 い 。個
人的興味や楽 しみ の た め ,社 会 へ 参加す るた め ,ま
た ,学 習す るた め に読書 をす る。 PIRLSが 対 象 と
して い る幼 い 子供 た ちの場 合は特 に ,楽 しな のため
に読 ん だ り,学 習す るために読んだ りす る ところを
強調 した い 。 した が つて ,PIRLSの 読書 力評価 は ,
学校 の 内外 で 展 開 され る読書 の 目的 を大 き く 2つ に
は,文
学的経験 のための読書 ととらえ,主 に フ ィクシ ョン
の物語を,評 価 で扱 う。
4-2-2 情
報 を獲得 した り使用 した りするため
の読書
情報を読む ことを通 して,読 者は, 世界 が どの よ
うであるかを知 り,な ぜ 物事は進んでい くのか を知
る。読者は単に情報を獲得す るだけでな く, 自 らも
使 い こなす ようにな つてい く。情報を獲得 した り使
用 した りす る こ とを 目的に読まれ るテ ク ス トには,
様 々 な 形 式 が あ る 。 PIRLSで は ,時 間 順
ク ス ト と リトロ
寺FH5 1贋
(nOn―
c h r o n o l o g i c a l ) テク ス トに 分 けて説 明を して い る。
(chron010gical)テ
時間順 テ ク ス トとは, テ ク ス トが 時 間 にそ つて ,
す なわ ち こ とが起 こつた 順 に 積み重 な つてで きて い
分 けて考 えてい る。
くもので あ る。 例 えば 日記 , 伝 記 な どが , 時 間順 テ
・文学 的経験 のための 読書 (literacy experience) クス トの一 つの グル ー プ といえ る。
もう一 つの グル ー
。情 報 を獲 得 した り使 用 した りす るた めの 読 書
プ は , 手 順 を示す よ うな もの , 例 えば , 料 理 の レシ
ピや , 何 かの 指示 とい つた ものが 含まれ る。
(acquire and use informatiOn)
これ らの 目的 の違 いは , テ ク ス トの タイプか ら,
あ るい は テ ク ス トの 形 式 か ら も, 生 まれ て くる。
非時 間順 テ ク ス トとは, 時 間 よ りも論理 が テ ク ス
P I R L S で は , 子 ど もた ちが学 校 の 内外 で 読 む テ ク
ス トを幅広 く集 め , で きるだけ本 当 の読書経験 を反
映す る ように読書 力を評価 した い と考 えるか らで あ
る。そ れぞれ の 日的 あわせ て , どの ようなテ ク ス ト
の タイプ , 形 式 が あ るか に つ い て , P I R L S の 分 類
トを組織す る もので あ る。 何 かの 事柄 を記述 した り
説 明 した りす る もの , 議 論 した り反論 した りす る も
の な ど が , 証 拠 を と もな つ て 示 され る。 説 得 的
r s u a s 市e ) テ ク ス トは , 読 者 の 見解 に 直接 影響
(pё
を与 え るね らい とす る。 議論 や説 得を通 して読者 は
を示す。
自分 の 考 えを発 展 さあせ た り, 意 見に対 して批判的
にな つた りす る。 時間順 で ない テ クス トの 中 には ,
4-2-l 文
リス ト, 図 式, 表 , 図 な ど異 な る形式で情報 を与 え
学的経験 のための 読書
ど
ちは
子 もた
, で き ごと, 時 代 。場所 。人物 な ど
の設定 , 行 動, 結 果, 登 場 人物, 雰 囲気, 考 え , 感
情, 使 われ て い る 言語それ 自体 を楽 しむた めに , 文
学 を読む。文学 で は , た とえそれ が フ ァ ン タジー の
る ものが 含 まれ る。
以上,PIRLSで
は , 二 つ の 目的 か ら くる テ クス
トを評価 に使用す るので あ るが , そ れぞれ の 割 合 は
半 々 で あ る と して い る ( 表 5 参 照) 。
表 5 各 種テ クス ト及び設間における 「
読書の 目的」 と 「
理解の過程」の割合
文 学 的 経 験
情報 の使用及び獲得
① 明示的情報の焦点化 ・引き出し
②直接的推漠1
③考え 。情報の解釈と統合
④内容 ・言語 。テクス ト要素の考察 ・評価
20%
30'イ
30'イ
20,イ
50%
50,`
新潟 大学教 育 人間科学部紀要 第
178
9巻
第 2号
4-3.理
解 の過 程 (process of comprehens:on)
理解 の 過程 は , 読 者 が 読み なが ら自分 に と つての
した り評価 した りす る こと,テ ク ス トの 構造 ・使 用
され てい る言語 ・文学 的か ら くり 。筆者 の 見解 や技
意味 を構成 して い くときのはた らきをあ らわ した も
巧 な どに つ いて 認識 した り評価 した りす る ことで あ
ので あ る。 P I R L S で は , 4 つ の 過 程 を想 定 して い
る。 例 えば ,描 かれてい るで き ご とが実際 に起 こ り
うる 「
I能性 を査定す る こと, ど の ように して筆者 は
る。
弓│ き出す ( F o c u s o n a n d R e t r i e v e E x p l i c i t l y
驚 きの結 末を考案 したか を述 べ る こと,テ ク ス トの
中 の 情報 が どれ ぐらい完 全 で 明晰 で あ るかを判断す
Stated lnforlnation)
る こと,中 心的 な話題 に つ いての 筆者 の 見解 を 明 ら
①明示的に規定された情報に焦点をあて, 情 報を
d る こと,意 味 に影響す る修飾 語 が どの よ うに
②直接的 な推測をす る ( M a k e S t r a i g h t f o r w aかr にす
lnferences)
③考 えと情報を解釈 し統合する ( I n t 6 r p r e t
lntegrate ldeas and lnformation)
④内容と言語とテクス トの要素を考察 し評価する
選 ばれて い るか を述 べ る ことな どが これ にあた る。
a n d PIRLSで は ,い くつ か の 設 間 をす るわ け で あ る
が , 1つ の 設間 が , 1つ の過程 を淑1定す る よ うに作
られて い る。 1つ の テ ク ス トは , こ れ らの 4つ の過
and Textual Elё ments)
程 を反映 した設間 の 組み 合わ せ で ,11∼ 13ぐ らいの
設間 で 成 り立 つて い る。 表 5は , 2つ の 読 書 の 目的
そ れ ぞ れ に つ い て , 解 説 を 加 え る。
と 4つ の 理解 の過 程 が ,実 際 の 設 間 で どれ くらいの
割 合で 反映 してい るかを示 した もので あ る。
(Examine and Evaluate Content, Language,
「
① 明示的情報 の 焦点化 ・情報 の 引 き出 し」 とは ,
テ クス トに 明示的 に規定 されて い る,関 係 の あ る情
報 あ る いは 考 えの あ る位 置を突 き止めて理解 をす る
こ とで あ る。例 えば ,あ る特定 の 読書 の 目標 に関係
の あ る情 報 を確認す ること,特 定 の 考えを探す こと ,
語や 句 の 定 義を捜す こ と,物 語 の 設定 (時間 0場 所
な ど)を 見分け る こと, ト ピ ック ・セ ンテ ンスや主
題 を (明示 されて い る場 合は)見 つ け る ことな どが
これ に あた る。
「
②直接的な推測」とは,テ クス トに基づいた直
接的な推没1をするために,表 面的な意味を越えてい
くことで あ る。 例 えば , 一 つの で き ごとが 別 ので き
ご との 原因に な つて い る ことを 推 測す る こと, 一 連
の 議論 に よ つて 形 成 され た ポ イ ン トは何かで あ るか
断定す る こと, 代 名詞 が 指 して い る もの を 明 らか に
す る こ と, テ ク ス トの 中 で 一般 化 されて い る ことを
見分け る こと, 二 人の 登場 人物 の 関 係を述 べ る こと
書行動 (behaViOr)0態 度 (att■ude)
読書 力は 単に様 々 な テ ク ス トか ら意味 を構 成す る
4-4.読
能 力だけ で はな く,一 生を通 して読書 をす る ことを
支持 して い く行動 や態度 も含まれ る。 この よ うな行
動や態度 は , リ テ レー トな社 会 (すなわ ち,皆 が 読
み 書 きを持 ち必 要 な教養 もつ 社 会)に お いて ,個 人
の 潜 在能 力を十分 に発揮 させ て い くの に貢献す る と
は,
考 え られ る。 この よ うな こ とか ら,PIRLSで
子 ど もた ちが どの ような読書行動 と態 度 を と ってい
るか に関心 を持 つて い る。子 ど もの 質問紙 の 「12読
書 に 対す る態 度」 「13読 書 の 概 念」 の 項 目を説 明す
る ときに も述 べ たが ,読 書 に対 して肯定 的 な態 度 を
と つてい る こ とを重 視 し,そ れ を読書 力 の 一 部 で あ
る と考えて い る。
5.テ
ク ス トと設 問 ・解 答
な どが これ にあた る。
「
③ 考え ・情報 の解釈 。統 合」 とは, テ クス トの
中の 考えと情報のつ なが りをな つけるために, 陛界 ,
経験, ほ かの知識についての理 解を深 めることであ
る。例えば, テ クス トを包括す る メッセー ジや主題
を理解す る こと, 登 場 人物 の行動 の 代案を考える こ
と, テ クス トの情報を比較 した り対照 させた りす る
こと, 物 語 の ムー ドや調 子を推測す る こと, テ ク ス
トの情報の実際 の世 界へ の応用を解釈す ることな ど
が これにあたる。
「
④内容 。言語 。テクスト要素の考察 ・評価」と
は , テ クス トを批 判的 に認識す る こと, 内 容を熟 考
本稿 で は ,公 開 されて い るテ ク ス トの うち, 4つ
を取 り上げ る。 テ ク ス トの 名前,読 書 の 目的,テ ク
ス トの 内容 と,そ の テ ク ス トを使 って の 設間及 び解
答 の 形式を表 6に 示す。
実際 の テ ス トで は , さ らに 多 くの テ クス トが あ る
のだ が ,公 開 され ていて 筆者 が 入手で き,内 容 を把
握 で きた のは以上 の 4つ の テ ク ス トで あ った。 本稿
で は ,こ の うち,文 学的経験 を 目的 と した テ ク ス ト
の 中か ら 「野 ウサギ,地 震 を知 らせ るJと ,情 報 の
使丹l及び獲得を 目的 と したテ クス トの 中か ら 「リバー。
トレー ル 」 を取 り Lげ る。 なぜ な ら,「 野 ウサ ギ ,
初等教育段階における国際読書力調査P I R L S の 特徴
179
表 6 P I R L S 2 0 0 1 で 用 い られたテ クス トの 内容 と設 問
テ ク ス ト ( 作者)
目
的
内
容
と
設
間
野 ウサギ,地 震 を失ロ 文学 的経験
動物 の登場 人物に よる伝統的な スタイルの物語。果物が落 ちてきた
ら せ る (ROsalind
の を野 ウサギが地震だ と思 つて パニ ックになる。賢い ライオンが,
Kerven).
間違 いをお しえてや る。
1 1 の 設 間 ( 5 の 多肢 選 択 式 解 答 , 6 の 自 由 記 述 解 答 ( o p e n
response))
プ フ
リ ン の 夜
(Bruce McMillan)
さか さ まね ず み
情報 の使用
及び獲得
文学的経験
(Roald Dahl)
リバ ー ・ トレー ル
毎年 プフ リン ( 赤ちゃん プフ リン) が 海 へ戻 る道を見つ け るときど
の ように互いに助け 合うかを, 島 の子 どもた ちの視点か ら書いた情
報 テ クス ト。
1 3 の設間 ( 8 の 多肢選択式解答, 5 の 自由記述解答)
お じいさんが, 家 のね ずみを退治す るのに, 家 具を天丼には りつ け
るとい うこみいつた トリックを使 つた短 い物語。
1 4 の設間 ( 7 の 多肢選択式解答, 7 の 自由記述解答 )
情報 の使用
及び獲得
自転車で サ イ ク リン グす るための川沿 いの道 を描 いた リー フ レ ッ ト。
情 報を与 え る こ とと説得 をす る ことの 両方 を 目的 と してい る。
1 1 の設 間 ( 3 の 多肢選択 式解 答, 5 の 自由記述 解 答, 3 の 記述 解 答
(other c10sed f0111lats))
※ 「野 ウサギ, 地 震を知 らせ る」 と 「プフ リンの夜」 は二つ あわせて , 『自然 の世 界』 とい うタイ トルが
つ け られた カラーの ブ ックレッ トの形にな つてい る。
地震 を知 らせ るJは よ り伝 統的 で ,「 リバ ー ・ トレー
ル」 は 新 しい形式で好対照 だか らで あ る。
上はおだやかで ある。そ こに賢 い ライオ ンが通 りか
か つた。 ライオ ンは注 意ボ か く話を聞 き,最 初 に地
そ れぞれ テ クス トの 概 要 と,設 間 と解 答を示す。
多肢選択式解答の場合には,正 解を正の字で示す。
震を感 じた野 ウサギが,ど こでそ う思 つたの か, 自
分を連れて い つてほ しい とい った。臆病な野 ウサギ
自由記述解答の場 合に は, ポイ ン トを示す 。 ( 例え
ば 1ポ イ ン トな ら,「 1ポ 」 と記す。)ポ イ ン トは記
は本 当は怖 くていやだ つたが, ライオ ンを信頼 して
い るので, ラ イオ ンを連れてい った。 ライオ ンは果
述 の長 さや重 さで決 まる。解答す る際に子 どもにそ
の ポイン トが分か るように してあるのであ る。その
物 が落 ちているのを 見て考 え,そ して,野 ウサギに
果物 の落下 が地面が揺 れ た ように感 じた原因だ つた
と教えてや つた。野 ウサギは 自分 の こ とをなんて馬
後, どの設間が どの 「理解 の過程Jを 測 るもの と し
て作成 されたのか を示す。
「
野 ウサギ ,地 震を知 らせる」の設問 ・解答
5-1-l「
野 ウサギ ,地 震 を知 らせ る」のテ ク
5-1。
ス トの概要
野 ウサギ とライオ ンを登場 人物 と した,比 較的や
さ しい短い物語であ る。 あ らす じは以 下の とお りで
ある。
鹿な のだろ うと思 つたが, ラ イオ ンは皆恐れ てい る
ものが あるときは,物 事を正確に理解で きない もの
だ よとや さ しく言 つてや つた。 ライオ ンと野 ウサギ
は, 一万 もの野 ウサギが待 つてい る山に もど り,安
全だ とわか って もう心配は い らないか ら,家 に戻 り
な さい と言 つた。
5-1-2「
野 ウサギ ,地 震 を知 らせ る」の設問 ・
解答
【あ らす じ】臆病な野 ウサギは,地 震を怖が って
い る。 あるとき,地 面 が揺れた ような気 が した。実
は大きな果物 が落 ドしただけだ つたのだが,野 ウサ
間 1.野 ウサギの最 も大 きな心配は何 で したか。
A ラ イオ ン
ギは地震だ と思い込んだ。 い とこの無 事 のため に,
急 いで走 つて地震を知 らせた。地震 の知 らせはす ぐ
B 衝 突
正C 地 震
に野 ウサギ間に広 が って,一 万 もの野 ウサギが,逃
げ ようと山 の上を 目指 して走 つた。 ところが,山 の
D 落 下す る果物
、
B が
間 2.何 が地 面 を振 動 させ ま したか。
A 地
正C ば
震
正B 大
走す る野 ウサ ギた ち
D 落
下す る木
っか り した
かみ た いだ と思 つた
D 心 配 した
きな果物
C 逃
第 2号
9巻
新潟大学教育 人間科学部紀要 第
180
間 7 . こ の 物語 の 最後 に , ラ イオ ンは野 ウサギの 気
持ちがよくなるようにと思つてやつたことを
問 3.野
ウサ ギが 「地震 だ ! 」 と叫んだ後 で 起 こつ
2つ
た こ とを 二 つ (二語)見 つ け て示 しな さい。
書 きな さい。
)1.
(1ポ
(1ポ )1.
(1ポ )2.
(1ポ )2.
間 4 . ラ イオ ンは野 ウサギに 自分を どこに連れてい つ
てほ しい と言 い ま したか。
(1ポ )1.
8 . ラ イオ ンは野 ウサ ギの こ とを好 きだ と思 いま
か 。 そ の ことが 分 か る のは , 物 語 で 起 こっ
問
す
た どん な ことか らで しょうか。
間 5,な ぜ ライオンは地面 に果物 を落 としたのですか。
A 野
ウサ ギを逃 がす た め
B 野
ウサギが果 物 を とるのを助 け るため
正C 野
D 野
ウサギに何 が 起 こったのか を示す ため
間
(1ポ
)1.
9 . こ の物語 で 野 ウサギの 気持 ちは どの ように変
ウサ ギを 笑わせ るた め
間 6 . ラ イオ ンが 果物 を地面 に落 と した後 , 野 ウサ
化 しま したか。
( 1 ポ ) 物 語 の 最初 の と ころで は, 野 ウサギは
と感 じて いた 。
なぜ な ら
ギは どん な気持 ちにな りま したか。
A 怒
か らだ
つた
表 7 「 理 解の過程」 に よる 「野 ウサギ ,地 震 を知 らせ る」 の設 間 の 分類 ,
番号
設
1
野 ウサ ギの 最 も大 きな心配 は何 で したか。
9 “
3
間
何 が地 面 を振 動 させ ま したか。
野 ウサギが 「地震だ ! 」 と叫んだ後 で 起 こった こ とを 二つ ( 二語 ) 見 つ け
分 類
①情引
①情引
④評価
解 答形 式
4択
4択
て示 しな さい。
4
5
6
ライオ ンに と思 つて した ことを野 ウサギに 自分を ど こに連 れてい ってほ し
い といい ま したか。
①情引
なぜ ライオ ンは地面 に果物 を落 と した ので す か 。
ライオ ンが 果物 を地 面 に落 と した後 , 野 ウサ ギは どん な気持 ちにな りま し
②直推
③解釈
4択
4択
たか 。
″′
8
9
10
この物語 の最後 に, ライオ ンは野 ウサギの気持 ちが よくなるように と思 つ
てや った ことを 2 つ 書 きな さい。
ライオ ンは野 ウサ ギの ことを好きだ と思いますか。そ のことが分かるのは ,
②直推
③解釈
物語 で起 こつた どんな ことか らで しょうか。
この物語 で野 ウサギの気持 ちはどの ように変化 しま したか。
③解釈
あなたが この物語を通 して ライオ ンと野 ウサギか ら学んだ ことは何ですか。 ③解釈
ライオ ンと野 ウサギがそれぞれ どの ように違 ってい るのか, そ の違 いが分
か ると ころを示 して述 べ な さい。
この物 語 の主 要 な メ ッセ ー ジは何 で す か 。
③解釈
4択
l lJ等
教 育段階 にお け るlil際読書 力調査PIRLSの 特徴
(1ボ )物 語 の最後 の ところでは,野 ウサ ギは
と感 じた。
なぜな ら
か るだ 「
隔1 1 0 . あなた が この 物語 を通 して ラ f オ ンと野 ウサ
ギか ら学 んだ ことは 何 です か . ラ イオ ンと野
181
リバ ー ・トレ ー ル」 の設 問 ・解答
5-2-1「
リバ ー ・トレー ル」のテ クス トの概要
ー
の 紙 を 3 つ に折
「リバ ・ トレー ルJ は , A 4 判
ー
りたたんで作 られた リ フ レ ッ トで あ る。表 と裏 に
5-2.「
日」
刷 され てい る. 図 1 に お もて 面を, 図 2 に うら│ 百
i
を示す。 図 1 の お もて面 は , 折 りたたんで 3 ベ ー ジ
ウ十 ギがそれぞれ どの ように違 つてい るのか ,
構成 とな つていて , 一番 右の ベ ー ジが, 表 紙 とな る。
た ときに 見えるような形 にな つ
図 2 の う時面 は, l r l H い
その違 いが 分か ると ころを示 して述 べ な さい。
てい る。
5-2-2 「
(3ポ )
門 1
リバ ー ・トレ ー ル」 の設 問 ・解 答
「リバー ・ノー ド ・ トレー ルJ と 名づ け られ
てい る この セ クシ ョンの 主 要 な 目的 は何 で す
か。 ( リー フ レ ットの 表 の 一 番右 の ペ ー ジが
示 されて い る)
ラ ン ドル城 は どの ように 見え るか を記述す
A グ
問 1 1 . こ の 物 語 の 主要 な メッセ ー ジは何 です か 。
しか ら逃 げ ろ。
A ト ラ ブノ
正B パ ニ ックにな る前に事実 を確認 しろ.
C 親 切に 見える ラ イオ ンさえ も信用 で きな い.
D 野
る こと
B 自 転車 に つ いて 説 り1 する こと
C 自 転車 を借 りる値段 を表示す る こと
[ L D 指 示 を与 え る こ と
ウサ ギは 足 の 速 いE 4物
」だ 。
フ レい
フトの この セ クシ ョンの 主要 な 目的
です か。 ( リー フ レ ットの 表 の 一 番 左 及
は1 可
問 2 '一
表 7 に , 各 設間 が どの 理 解 の過 程J に 基 づ いて 作
成 され てい る のか を示す。
び l 卜央の ペ ー ジが 載せ られて い る)
For children under 7 we have hrkes that
attach to an adult bikc-grcat for kccprng
children where they shorrld be and hclping
them out on long ridcs For childrcn
under 5 w<'havc comfortablc child seats
and trailcrs that attach to the adult's bike
l-or thc morc ablc young cychst wc havc
littlc bikcs with or without stabilizcrs
Cycling is fun for everyone
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鼈
図 1
「リバ ー ・トレ ー ル」 リー フ レ ッ トのお もて面
182
新潟 大学教育 人間科学部 紀要 第
9巻
第 2号
The River Nord Tlail
The River Nord Tlail is flat and easy to
cycle on, with plenty to see along the way.
Start from Altenburg, keeping to the east
bank of the river. Go over the bridge at
AltenburgQuay
This takes you t the Riverside Valley
Park. Apprcximately 2 kilornetres from
the start you reach the Sunaet Caf6 To
praeed fiuther you need to continue on
the west bank (see map).
You then prced past The Marshes
Nature Reserue.
You can stop to visit the historic port of
Banheim by catching the little ferry boat
across the River Nord
Continue along the trail and enjoy the
is on
wildlife area-full of birds-which
the way to the River Hotel.
A little futher on you reach Griindorf.
You can now follow a quict country lane
around Griindorf
Castle grounds. You
will see part of the large herd of fallow
deer, often at glose quarters
This brings you to the end of the trail.
GrOndorf
図2 「
リバ ー 。トレ ー ル」 リー フ レ ッ トの うら面
レー ル が どこにい くかを示す こと
A ト
正B 借
りる こ とので きる 自転車 に つ いての 情 報 を
与え る こと
C ト レー ル で 何 がお こ るかを描 く こと
間 4 . リ バ ー ・ トレー ル を最 初 か ら最 後 まで行 くと
で 現れ ます か 。
す る と, 次 の ものは どのl l B 番
1 番 目だけ 番 号が 書 いて ある ので , 後 を続 け
な さい。
グラ ン ドル 城
バナム
D 自 転車 の 乗 り方を教 え る こ と
間 3.リ
バ ー ・ノー ド ・ トレー ル は ど こか ら始 ま り
リバ ー サ イ ド ・バ リー ・パ ー
リバ ー ・ホ テ ル
ます か 。
A バ
ナム
B グ
ラ ン ドル
正C ア
D リ
ル テ ンボ ロー
バ ー ・サ イ ド ・バ リー ・パ ー ク
一
間 5 . 1 0 歳 の 子 ど もが 日自転車を借 りる と した ら ,
い くらかか ります か 。
(1ポ )
初等教育段階における国際読書力調査P I R L S の特徴
183
間 6 . ジ ッピー ・レンタル 自転車は, 子ども用 の 自
転車 を貸 して くれ ます。子 ど も用 の もの を 二
つ 書 きな さい。
問 9 . リ バ ー ・ トレー ル の どの場 所 を家族 は訪 れ る
(1ポ )1.
ことがで きたで しょうか 。 なぜ そ こに 彼 らが
(1ポ )2.
行 きそ うだ と考 えたか 説 明 して くだ さい。
(2ポ )
間 7.よ い状態 の 自転車を借 りるためには, ジ ッピー ・
レンタル 自転車 の どん な情 報が必要です か 。
問 1 0 . ジ ェー ン, ア レ ック ス, ジ ョ ン, カ リル の コ
メン トを読みな さい。それぞれ リバー ・ トレー
(1ポ )
間 8 と 問 9 は , 二 人の 大 人 と, 1 0 歳 と 3 歳 の二 人
の子 ど もか らなる家族 に ついての設間です。家族 は ,
リバ ー ・ トレー ル にそ つて , 一 日サ イ ク リングをす
る こ とを計 画 してい ます。
ル の どこの ことを言 つて い るのか , 地 図 の場
と コ メン トを線 で 結 び な さい。 一 つ 例 が 示
所
てあ ります 。
ー
ジ ェ ン : ス ナ ック ( 間食) を 買 うために , サ
ンセ ッ ト 0 カ フ ェに 立 ち寄 った さ。
し
例
( 線が地 図上 のS u n s e t C ご
ёに矢 印 の よ うな形 で
問 8.ど の 自転車が家族には必要です か。 リー フ レ ッ
卜を読んで分か る こ とを書 きな さい。
(2ポ )
結
ばれ てい る。)
ア レックス :川 の向 こう岸に素敵な小 さい港町
があるよ。
表 8 「 理解の過程」 による 「リバ ー 。トレール」 の設間の分類
番号
設
問
「リバ ー 0 ノ ー ド ・ トレー ル」 と名 づ け られ て い る この セ クシ ョンの 主要
9 “
3
4
5
6
7
8
な 目的 は何 で す か。
リー フ レ ッ トの この セ クシ ョンの 主要 な 目的 は 何 で す か。
リバ ー ・ノー ド ・ トレー ル は ど こか ら始 ま ります か 。
リバー ・ トレニルを最初か ら最後まで行 くとす ると, 次 の ものは どの順 番
で 現れますか。 1 番 目だけ番号が書 いて あるので, 後 を続けな さい。
10歳の子 どもが 一日自転車を借 りると した ら,い くらかか りますか。
ジ ッピー 0 レ ンタル 自転車は, 子 ども用の 自転車を貸 して くれます。子 ど
も用 の もの を二つ書 きな さい。
よい状態 の 自転車を借 りるた めには, ジッピー ・レンタル 自転車 の どんな
情報 が必 要 ですか。
間 8 と 問 9 は , 二 人の大人と, 1 0 歳 と 3 歳 の二 人の子 どもか らなる家族に
ついての 設間 です。家族は, リバー ・トレー ルにそ って, 一 日サイ クリン
分 類
④評価
4択
④評価
①情引
②直推
4択
②直推
①情引
②直推
③解釈
グをす ることを計画 しています。
どの 自転車が家族には必要 ですか。 リー フ レ ッ トを読ん で分かる こ とを書
9
きな さい。
リバー ・ トレー ルのどの場所を家族は訪れ る こ とがで きたで しょうか。な
③解釈
ぜそ こに彼 らが行 きそ うだ と考えたか説 明 して くだ さい。
10
ジェー ン, ア レ ック ス, ジ ョ ン, カ リル の コメ ン トを読み な さい。 そ れぞ
れ リバ ー ・ トレー ル の どこの こ とを言 つて い る のか ,地 図 の 場所 と コメ ン
トを線 で 結 びな さい。 1つ 例 が示 して あ ります。
それぞれ の 質問 に対す る答 えが どこに書 いて あ るのか , 質 問 と書 いて あ る
ところ とを線 で 結 びな さい。 1 つ 例 が 示 してあ ります。
解 答形 式
③解釈
④評価
4択
新潟 大学教育人間科学部紀要 第
ジ ョン : こ こで 何 百羽 もの 鳥 をみ た よ。
カ リル : 鹿 が僕 た ちの 自転車 の音 に驚いたんだ。
問 1 1 。それぞれ の 質 問 に対す る答 えが ど こに 書 いて
あ るのか , 質 問 と書 いて あ る と ころ とを線 で
例
結 びな さい。 1 つ 例 が示 して あ ります。
サ イ ク リン グを す る よ うに説 得 す る
( p e r s u a d i n g ) 短い 文 は ど こにあ ります か。
どの文 が リバ ー ・ トレー ル を してみ る ように ,
あなたを招待 して ( i n v i t e s ) います か。
自転車 を借 りる 費用 に つ いての情報 は どこにあ
ります か 。
大 人の 自転 車を借 りる場 合 の 大 人 の 範 囲 が 分 か
るの は どこです か 。
9巻
第 2号
授業 との関係, 学 校内外 の読書 活動, 読 書 に対 す る
肯定的な態度な どは, P I S A で もP I R L S で も, 読 書
力の育成に重要な要素 と して, 見 られている。
6-1-2 読
書力のフ レームワ ー ク `
まず, P I S A の
「読解 力」 の定義は, 「自 らの 目標
を達成 し, 自らの知識 と可能性を発達 させ , 効 果的
な社会に参加す るために, 書 かれたテキ ス トと理解
し, 利 用 し, 熟 考す る能 力」 で あ る。 P I R L S の 読
書力の定義と,① 社会への参加,② 自らの楽 しみ,
③目的 (日標)の 重視,な どの点で非常によく似て
い る。 違 い は , P I R L S が 小 学 校 4 年 生 を扱 つて い
るた め , よ り若 い 読者 向け の 表現 にな つて い る とい
う こ とで あ る。
次 に, P I R L S で は , 読 者 が読 書 をす る 目的 か ら ,
表 8 に , 各 設 間 が どの 「理解 の 過程」 に基 づ いて 作
「文学 的経験 」 「情報 の 使 用 及 び 獲 得」 を 目的 と し
た 二 種 類 の テ クス トを想定 した。 一 方 P I S A で は ,
成 され てい るのか を示す。
目的 とい うよ りは , 読 者 がおかれて い る状況 を重視
6 . 考 察 ― P : R L S と , 他 の 国 際 テ ス トや 国 内 テ
ス トとの比 較 ―
す る。 これは , 義 務教育 を終 了 した1 5 歳の 生徒 た ち
が 社 会に参加 して い くために , 個 人的 ・公共 的使用
のた めに , 仕 事 のために, 教 育 のために 読書 をす る
とい う こ とを強調 した結果で あ る。
本研究 では, これまでに, 読 書力 の国際標準を見
るために諸外国 の 国内 テ ス トを扱 つて きた。全体的
な印象 と してP I R L S は これ らの 国内 テ ス トに似 て
いるようである。
そ こで , 本 稿 の 考察 の 仕方 と して は, P I R L S の
質問紙, フ レー ム ヮー ク, テ クス ト ・設問 ・解答 の
それから,理 解の過程である。PIRLSでは,理
解の過程を 「
① 明示的情報の焦点化 ・引き出し」
「
④
②直接的推測」「
③考え ・情報の解釈と統合」「
内容 ・言語 。テ ク ス ト要素 の 考察 ・評価 」 に分 けて
いた 。 C a m p b e l l ら ( 2 0 0 1 ) で は , P I R L S と P I S A の
テ ク ス トを理解す る ことについての大 きな 5 つ の 側
全体 に ついて , 国 際 テス トで あるP I S A や 諸外国 の
国内 テ ス トと比較を してみたい。 今回 は アメ リカの
を
面 (Macro aspects of Understanding Text)と
表 の 形式 で 比較 して い る (p.87)。 この 5つ の 側 面
NAEP (National Assessment of Education
は ,い わ ゆ る 3つ の 側面 「情報 の 取 り出 し」 「解 釈」
「熟考 ・評価」 の 前提 とな つた もので あ る。そ れ を
Progress,足 立2004参照),イ ギ リスの ナ シ ョナ ル ・
テ ス ト (足立 2003b参照),オ ー ス トラ リアの クイー
ンズ ラ ン ド州 の リテ ラ シー ・テ ス ト (足立 2006a参
ふ ま えて,筆 者 がPISAの 理解 の 「3つ の 側 面」 及
照 ), ス ペ イ ンの 初 等教 育 の 評価 を取 り上 げ る。 こ
の作業を通 して,共 通点か ら国際標準が浮かびあが っ
4つ の 「理 解 の 過
程 」 を比 較 し表 に ま とめ た もの が ,表 9で あ る。
Campbellら は 明確 な表 には して い な い 。 とい うの
て くる の で あ ろ う し,相 違 点 か らPIRLSの 独 自性
は ,PISAと
が明確 にな るか らで あ る。
て い る が ,微 妙 に 異 な る点 もあ るか らで あ る。
の 他 の 国 内 テ ス トの 3つ に分
PISA,NAEP,そ
けて,比 較す る。
び 「5つ の 側 面 」 と,PIRLSの
PIRLSの
4つ の 「理 解 の 過 程 」 の そ れ ぞ れ を ,
PISAの
「5つ の 側 面 」 と比較 して み よ う。 まず ,
「① 明示 的情報 の 焦点化 。引 き出 し」 は ,
PIRLSの
6-1.P:SAと
6-1-1 質
の比 較
問紙
PISAも 生徒 の 背 景 を知 るた めの 質 問紙 を ,子 ど
もと教 師 に対 して実施 して いた 。 国際 テ ス トと して
は様 々 な こ とを比較 の 指標 に用 い る必要 があ るわ け
だが,特 に読書 に対 して,家 庭 の蔵書等 の 読書関係 ,
PIRLSは 非常 に 似 た読 書 の 過程 を描 い
PISAが 言 うと ころの 「情報 の 取 り出 し」 とほ ぼ 同
じと見て よいで あ ろ う。PIRLSの 「② 直接 的推 測 」
は ,基 本的 な解 釈 で あ るか ら,PISAの
「広 く全般
的な理解 を形作 る こと」 と 「解釈を展開 させ る こ と」
の両方にあたると考 えられる。PIRLSの 「
③考 え。
情報 の解釈 と統合」は,解 釈が,そ のテクス トの中
初等教 育段階 におけ る国際読書 力調査PIRLSの 特徴
185
表 9 P:SAの
「
読書の 3つ の側面」及びその前提 とな った 「
読書 の 5つ の側面」 と,PiRLSの
過程」 との比較
P I S A 3 つ の側面
情報 の 取 り出 し
解釈
熟考 ・評価
PISA 5つ
PIRLS 理
の側 面
「
理解の
解 の過程
①明示的情報の焦点化 ・引き出し
②直接的推測
③考え 0情報の解釈と統合
情報 を引 き出す こ と
広 く全般的 な理解 を形作 る こ と
解釈 を展 開 させ る こと
テ クス トの 内容を熟考 0評 価す る こと
テ ク ス トの 形式 を熟考 0評 価す る こ と
(③考え ・情報の解釈と統合)
④内容 ・言語 0テクスト要素の考察 ・評価
に閉 じられた ものだ け で はな く, 外 にあ るそ の 読者
の個 人的 な関心や既有知識 との統 合 まで も含む もの
いた 。 どち らも,我 が 国 での 伝統 的 な二 つの ジャン
で あ るか ら, P I S A の
で (学校 の 内外 で ,あ る いは社 会 に 参加 して )読 む
もの を使 用 してい る とい うことがで きる。
「広 く全 般 的 な理解 を形 作 る
こと」 「解 釈 を展 開 させ る こと」 だけに とどま らず ,
多少 「テ ク ス トの 内容を熟 考 ・評価す る こと」 に も
ル (文学 的文章,説 明的文章 )よ りは ,現 実 の 生活
かかわ つて くる ような幅の広 さを持 つて い る。 この
6-2.NAEPと
よ うなP I R L S の 解 釈 に対 す る考 え 方は, ま さに ,
PIRLSが
読書 に対 す る構成 的 な 見方 を示 して い る といえ る。
つ ま り, 読 者 は , テ ク ス トに向か うときテ ク ス ト内
NAEPは
の 比較
4年 生 を 対 象 と して い る の に 対 し,
4年 生, 8年 生,12年 生を対象 と してい る。
した が つてPIRLSと NAEPの
部 の 整 合性や テ ク ス トの 部分 と部 分 の 関係 を と らえ
4年 生 を比較 す る と ,
それぞれ の テ ス トの 性質 がは つ き りす る。全体 的に
なが ら解釈 して い くわ けで あるが , そ の 場合 に , 読
は , PIRLSと NAEPは
者 の 関心 や既 有知識 を用 い なが ら, 解 釈 してい くの
で あ る。 また , P I R L S の
「④ 内容 ・言語 。テ ク ス
ト要 素 の 考察 ・評価 」 は , P I S A の 「テ ク ス トの 内
容を熟考 。評価 す る こと」 「テ ク ス トの形式 を熟考 。
評価 す る こ と」 に あた る。 P I R L S は 現 在 の フ レー
ム ヮー クで 行 わ れ た 最 初 の 調査 が2 0 0 1 年で あ り,
P I S A の 最初 の 調査 は2 0 0 0 年な ので , 同 じよ うな読
書 の 研 究 をふ まえて つ くられてい る と見て よい。 調
査 の 対 象 とな る年齢 が 4 年 生 ( 9 歳 ∼ 1 0 歳) と 1 5 歳
と異 な つて いて も, 読 書す る ときに読者 の 中に起 こ
る こ とは, 同 じような もので あ る と想定 されて い る
とい うことがで きる。
クス ト ・設 問 ・解答
P I R L S の テ ク ス トは , 子 ど もが読 書 をす る 日的
リト常 に似 て い る とい うこ と
が で き る。 足 立 (2004)で は ,す で に 一 部 PIRLS
2が
とNAEPの 比較 を試 み て きて い る
,本 稿 で は ,
ー
ー
・
質問紙, フ レ ム ワ ク,テ ク ス ト 設 間 ◆解 答 に
つ いて ,詳 しくみ て い く。
6-2-1 質
NAEPの
問紙
質 問 紙 は ,子
ど もの 一 般 的 な 背 景
(General Background)を 知 るた めの もの と,読
書 に つ いての 背景 (Reading Background)と に分
か れ て い る。 内容 は ,PIRLSの 子 ど も用 質 問項 目
とほぼ 同 じで あ る。 しか し,読 書 に つい ての 背 景 に
つ いて は ,具 体 的 な教科 名や授 業 の 内容 (例え ば家
庭 での 読書 に ついて 授業 で プ レゼ ンテ ー シ ョンす る
6-1-3 テ
こと)な どが記 されてお り, よ り詳 しく子 ど もた ち
の 読 書 活 動 が 分 か る よ うに な つて い た 。 一 方
に 合わせ て , 文 学的 テ ク ス トと情報的 テ ク ス トの二
P I R L S の 質 問紙 は子 ど もに対 して だ け で は な く,
種類 に分 け られていた。文学的 テ クス トは我 々 に も
両親, 教 師, 校 長 に も配布 されてお り, よ り多 角的
に子 ど もの 一 般 的 な背景を と らえ よ うと してい る と
比較 的剛1 染み があ る短 い物 語 で あ るが, 情 報的 テ ク
ス トのほ うは い わゆ る我 が 国 で 言 うと ころの 説 明的
文章 だけで な く, 説 得的 テ ク ス トと して リー フ レ ッ
トの ような もの も使 用 して いた 。情報的 テ クス トの
ほ うは , 時 間l l A テク ス トと非時間順 テ クス トの二 種
類 が あ り, 主 に後者 に図 。表 な どの形式 も含 まれ る
いえ る。 国 に よ つて状況が異 な る ので , ど う して も
一 般的 な背 景を と らえ る質 問項 目が 多 くな るのだ と
考 え られ る。
6-2-2 読
書 力の フ レー ム ワ ー ク
と していた。 これ に対 してP I S A の ほ うは, 基 本 的
には連続型 テ クス トと非 連続型 テ ク ス トがあると し,
N t t P の 読書 力 の 定 義 は , 「書 か れた テ ク ス トを
一般的 に理解す る こ とを発達 させ る ことだ け で な く,
テ クス トについて考 え, い ろいろな 目的 のために様 々
目的 よ りもそ の テ ク ス トが 使われ る状 況を検討 して
なテ クス トを使用す る こ と」 で あ る。 い ろい ろな 目
186
新潟大学教育 人間科 学 部紀要 第
表 10 NAEPの
「
読書の側面」とP!RLSの
NAEP 読
9巻
第 2号
「
理解の過程」の比較
書 の 側面
PIRLS 理
解 の過程
①明示的情報の焦点化 ・引き出し
A全 般的 な理解 を形 作 る
B解 釈を展開す る
C読 者 とテ クス トのつ なが りを つ ける
D内 容 と形 式 を吟味す る
的には,「楽 しみ のため,学 習 のため,社 会参加 の
ため,そ して, 自己 目標 の達成 のため」 が含まれる。
NAEPも ,読 書 の 目的に応 じて,読 む ものが違 っ
て くる こ とを論 じて い るが,「文学的経験 のため」
「情報 のための」 「課題 の達成 のため」 の 3つ を想
定 している。「課題 の達成」 (perform a task)と
は,
ー
例 えば,「図表,バ スや列車の時刻 表, ゲ ムや 修
理 の説明書,教 室や図書館利用 の手続 き,税 金や保
険 の 申込用紙, レ シー ト,選 挙登録 の書類,地 図,
国民投票,保 証書,事 務的な メモ など」を読む こと
が挙げ られ る。ただ し,「課題 の達成 のため」 を想
定 したテ ス トは, 8年 生 と12年生だけに実施 されて
お り,PIRLSと ほぼ 年齢 が同 じ4年 生 で は実施 さ
れて い な い。 4年 生 の 「文学的経験 のため」 の読書
のテ ス トは55%,「 情報 のための」読書 のテ ス トは
45%な ので,「文学的経験」「情報 の獲得 と使 用」を
それぞれ50%ず つ と したPIRLSと ,非 常 に似通 っ
た割 合にな つてい ると言える。
NAEPも 読書 の側 面 (aspects)とい う呼び方で ,
4つ の読書 の過程を示 している。表10は,NAEPの
読書 の側面 とNAEPの 読書 の過程を並べ てみた もの
である。 これ も,微 妙な違 いがあ るが,お おむね似
た もので あるといえ るで あろう。 一番 の違 い と言え
ば,NAEPで は明示的な情報を引 き出す とい うよう
な ものが な い とい うところであろ う。NAEPの 「C
読者 とテ ク ス トのつ なが りを つ ける」 は,テ クス ト
②直接的推汎1
③考え・情報の解釈と統合
④内容 。言語 。テクス ト要素の考察 。評価
「
情報的 テ ク ス ト」 は,NAEPの
「情報的 テ ク ス ト」
よ りも範囲が広 い ようで ある。例 えば ,本 稿 で 取 り
上 げた 「リバ ー ・ トレー ル」 の ような リー フ レ ッ ト
は ,NAEPで
あればむ しろ 「課題的 テ ク ス ト」 とな
る と ころで あ ろ う。 足 立 (2004)で は ,NAEPの
「課題的 テ ク ス トJの 一 例 と して 8年 生 の 広告 の テ
ク ス トを 取 り 上げ た。 した が つて ,PIRLSが 言 う
ク ス ト と い う概 念 も,
説 得 的 (persuasive)テ
NAEPで
はあま り重要で はな く, 「課題 的 テ ク ス ト」
の 中に入れて しま うのだ と考 え られ る。
設 間は, 非 常 に類似 して い る。 どち らも, 4 つ の
選択肢 を持 つ 多肢 選択式解 答, 1 行 あ る いは 数行 の
自由記述解 答 の 形式 があ る。 多岐選択 式回答 と 自由
記述解 答 の割 合 もほぼ 同 じで あ る。 1 つ の 設 間 が 1
つの 読書 の 過程 を測 るた めに用 い られ て い る ところ
も同様 で あ る。 この ように , 読 書 力を構成 的 な もの
と考 え, 構 成 して い く各過 程 を設定 し, そ の 各過程
に した が つて 設 間 を作成す る こ とが, 「 国際標 準 」
の 形 と見て よいで あろ う。
6-3.そ
の他の 国 内テス トとの比較
ギ リスのナシ ョナル ・テス ト
P I R L S に 参加 して い る国 の 中に は , 国 内標 準 テ
ス トを持 ってお り, そ の結 果 とP I R L S を 比較 して
いる ものが ある。例えば, イギ リスはナシ ョナル ・
6-3-1 イ
にP I R L S の「
③考え ・情報の解釈と統合」と同じ
カ リキュラムを持 ち, そ れに準 じた ナシ ョナル 0 テ
ス トを行 ってい る。T w i s t ら ( 2 0 0 3 ) では, P I R L S
とナシ ョナル ・カ リキュラム及び名所 ナ ス ・テ ス ト
との比較を行 っている3 。『火災― 味 方か敵か』 は足
と考 えて よいで あ ろ う。 P I R L S の 方 が ; い くらか
情報 の 引 き出 しを重 視 してい るが , N A E P の
「読書
の 側 面 」 とP I R L S の 「理 解 の 過 程 」 は , 非 常 に似
立 ( 2 0 0 3 b ) で も取 り L げ た ナ シ ョナル ・テ ス トの
テ ク ス ト ( 読書媒体 ) で あるが , T w i s t ら ( 2 0 0 3 )
は, この テ ク ス トに対す る設間が , P I R L S の 読書
た構造 を持 つて い る と言 え る。
6-2-3 テ
クス ト 。設 問 ・解 答
テ ク ス トに つ い て 比 較 す る。 P I R L S も N A E P も
の過程 「
①明示的情報の焦点化 ・情報の引き出 し」
「
②直接的な推測 」「
③考え 。情報の解釈 ・統合J
。
・
「
④内容 言語 テクス ト要素の考察 ・評価」を問
4 年 生 では 「文学的 テ ク ス ト」 と 「情報的 テ ク ス ト」
を約 半 々ず つ 扱 う こ とに な つて い るが , P I R L S の
う設間になつていることを論 じている。以下具体的
に見ていく。
の 中の 考えや情報だけでな く,読 者 の既有知識 との
つ なが りをつ けてい くとい う意味であるか ら,ま さ
00
初等教育段階 におけ る国際読書 力調査PIRLSの 特徴
「① 明示的情報 の 焦点化 ・情報 の 引 き出 しJ に つ い
て1 7,■
「 この 炎は以下 の理 由で 速 く移動す る。動物 ,
太陽 , 風 邪, 煙 の 中か ら一 つ 選 びな さい。」や, 「雌
イ ンパ ラや赤 ち ゃん イ ンパ ラが 安全 な ことが 分 か る
ところを1 0 ペー ジの 中か ら見つ けて抜 き出 しな さい。」
などで, ナシ ョナル ・テ ス ト中の2 0 % が この タイプ
の設間である。
あ ります が , この ことが 何 を意味 して い るのか , こ
の こ とがなぜ この 物 語 の 中 で 重 要 な のか 説 明 しな さ
い。」 「この ブ ック レ ッ トは 『火災― 味 方 か 敵 か 』 と
い うタイ トル が つ け られています。 この ブ ック レ ッ
トに含 まれ るす べ ての 読み物 を考 えて , な ぜ これ が
よい タ イ トル な の か を説 明 しな さい。」 な どの例 が
あ る。 全体 の3 0 % に あた る。
「④ 内容 ・言語 。テ ク ス ト要素 の 考察 ・評価 」 に つ
いて は , 「 矢 印は テ ク ス トの 構 造 につ いて どん な こ
て い るので あ る。 本研究 で は ,国 内テ ス トか ら積み
Lげ て 「国際標 準Jを 導 き出そ うとい う試み を行 っ
て きて い るが ,国 際 テ ス トか ら国際標 準 が 読み取 ら
れ ,国 内 の 評価 に生か されて い くとい う逆 の 進み方
を して い る事例 とみ る ことがで きる。 オー ス トラ リ
「
②直接的な推測」については,「この詩の中で,
森林の動物たちは,何 から逃げているのか。また,
何を探 しているのか。
」等の設間で,28%を 占める。
・
同様に,「③考え 情報の解釈 。統合」については,
「この 詩 の 第 二 連 の 主題 は何 で す か 。 ( 4 項 選択 間
題) J 「彼 は恐 れ るには若す ぎま した ( 9 ペ ー ジ) と
はない。 しか し, こ の よ うな国際 テ ス トが ,国 内 テ
ス トに有用で あ る と半1断されて ,影 響 を与 えて い っ
ア ・クイー ン ラ ン ド州は,読 書 力育成 の カ リキ ュラ
ム の ユ ニ ー クな取組 を行 って お り (足立2006a,足
立2006b),今 後 この リテ ラ シー ・テ ス トの テ ク ス
ト及 び設間の 詳細 を分 析 してみ た い と考 えて い る。
ペ イ ンの 初等教 育の評 価
6-3-3 ス
スペ イ ンで は ,初 等 教育 の 終 了時 で あ る小学校 6
年生 が 受 け る評価 (Evaluacion de la Educaci6n
Primaria,以 下EEPと す る)が あ る。
EEPは ,「 文学 的 テ ク ス ト」 「情 報 的 テ ク ス ト」
「画像 的 テ クス ト」 の 3種 類 にな つて い る。 PIRLS
の 「リ バ ー ・ ト レ ー ル 」 に あ っ た よ う な 地 図
(plano)を 読 む こ とや ,広 告 (anuncio)を 読 ん
だ りす る こ とは ,「 画像 的 テ ク ス ト」 の 中 に 含 まれ
て い る。 我 が 国 の 伝 統 的 な 「文 学 的文 章 」 「説 明的
とを示 して い ます か。」 「なぜ 「t e r r O r 」と い う語 を
文章 」 か らみ てみ る と,EEPも PIRLSも よ り実 生
活 に即 した読書 を テ ス トに取 り入れて きて い る とい
筆者 は用 いた のだ と思 い ます か 。」 な どの間 が あた
える。
り, 2 2 % を
占め る と言 つてい る。
す なわ ち, ナ シ ョナ ル ・テ ス ト独 自の 「読書 の過
程」 が あ るわ けで はないが , ナ シ ョナ ル ・テ ス トで
EEPの 理 解 の 過 程 は ,PIRLSと は 多 少 異 な つて
い る。 「理解 の レベ ル (niVeles de cOmprensi6n)」
と い う言 葉 を 用 い ,「 文字 通 りに 理 解 す る こ と
はか られ て い る読 書 力 も, P I R L S の 求 め て い る読
書 力 とほぼ 同 じで あ り, 各 過程 の 割 合 も非常 に似 て
い る とい うことにな る。
ー ス トラ リア ・クイ ー ンズ ン
6-3-2 ォ
ラ ド州
( c o m p r e n s i 6 n l i t e r a l )「再
」 編 成 す る こ と
( r e o r g a n i z a c i 6 n,)「推
」 測 して読 む こ と ( l e c t u r a
i n f e r e n c i a l「
)批判
」 的に読む こ と ( l e c t u r a tci亘
ca)」
の リテ ラシ ー ・テス ト
ー
オ ス トラ リアの クイー ンズ ラ ン ド州で は, 3 年
生 ・5 年 生 ・7 年 生 に州内の 統 一 テ ス トを行 つてい
る。 この 州 の テ ス トは , P I R L S の
「読書 の 目的 」
と 「読書 の 過程」 を , テ クス トの 選択及 び設間 を構
成 して い くた めの ガ イ ドと して使 用 してい る。 オ ー
ス トラ リア 自体 は , P I R L S に
参加 して い るわ け で
「真価 を認 め る こ と ( a p r e c i a c i O n )の
」 5 つ の レベ
ル を想 定 して い る。 お そ ら く, E E P の
「文 字 通 り
の理解」がPIRLSの 「
① 明示的情報の焦点化 ・情
報の引き出 し」に,「再編成」が 「
③考え ・情報の
解釈 ・統合」に,「推測的読書」が 「
②直接的な推
1」
に
「
汲
,「批半1的読書」 と 真価の認識」が 「
④内
容 ・言語 0テ クス ト要素の考察 。評価」が近い もの
であると考えられる。一つの設間に対 して一つのレ
表 ‖ ス ペ インEEP2007の 読書のテ クス トと理解の レベ ルの割合
テ ク ス ト
文
情
画
学
報
像
文字通りの理解
再 編
成
推測的読書
批判 的読書
真価 の 認識
34%
31%
的
的
35'イ
的
17%
19%
28'イ
219イ
15%
188
9巻
新潟大学教育人間科学部紀要 第
第 2号
ベル が 割 り当て られ て い るの はP I R L S と 同 じで あ
る。 これ ま で に開発 された評価 ( テス ト) の 各 テ ク
文献
ス トにお け る設 間を合計す る と8 2 にな る のだが , そ
の 中 のそ れぞれ の テ クス トの割 合及 び レベ ル の 割 合
足立幸子 。(2003a)。国際読書カ テ ス ト開発 のための
は , 表 1 1 のとお りで あ る。
準備調査 (平成 14年度科学研究費補助金基盤研
この 表 を見 ると, P I R L S に 比 べ てE E P で は , 画
像的 テ クス トの割 合 が 高 い ( 3 5 % ) 。 また, 再 編成
画調査 研 究成果報告書,研 究課題番
究lCX2)企
号 14608008):1-92.
の割合 が低い ( 1 9 % ) と いえ る。今後設問等を分析
して, テ クス ト及び レベ ルの 内容を詳 しくみていき
足立幸子 .(2003b).読 書 力評価 の 国際標準 にむ け
ての一 考察― イギ リスの ナシ ョナル ・テ ス トを
たいと考 えている。
なお , スペ イ ンは2 0 0 6 年の調査 か らP I R L S に 参
加す る こ とにな つて お り, 2 0 0 6 年 3 月 に筆者 が 国
中心 に一 .人 文科教育研 究30:95-112.
足立幸子 。
(2004).読 書 力評価 の 国際標準 にむけて
の一考察(2)―
アメ リカのNAEPを 中心 に一 .人
立教育制度評価研究 所 ( I n s t i t u t O N a c i o n a l d e
文科教育研究31:4363.
足立幸子 .(2005).読書 力評価 の 国際標準 にむけて
の一 考察(3)―オ ー ス トラ リアのDARTの 分析
Evaluacion y Calidad del Sistema EducativO,
I N E C S E と 略記す る) を 訪問 した時 には , P I R L S の
スペ イ ン国 内 の 4 つ の 言語 に翻訳 した ものを 印刷 し
― 。 人文科教育研究32:4561.
分類 す る作 業 を して い た 。 今後 E E P が P I R L S か ら
影響 を受 け るか ど うか も見守 つて い きた い し, 多 言
語国家 の 中 で , 国 際標 準及 び 国内標準 の テ ス トが ど
足立幸子 。
(2006a).オー ス トラ リア ・クー ンズ ラン
ド州における リテ ラシーの評価 .新 大国語31:
の ように機能 してい くかに つ いて も, 検 討 を して い
きた い と考 えてい る。 ・
足 立 幸 子 , ( 2 0 0 6 b ) . 読解 力 が告 め る教 育 課 程 の 創
造的展 開― オ ー ス トラ リアの 取組 を中心 に一 .
1-8.
初等等教育資料 8 0 9 : 2 - 5 .
7 . おわ りに
足 立 幸子 . ( 2 0 0 6 c ) . 〈
読解 力〉 を ど う捉 え評価す る
ー
か. 教 育 フ ォ ラム3 8 金 子書房 : 2 8 3 8 .
本稿 では, 初 等教育段階 の 国際読書力評価 と して ,
P I R L S を 取 り上 げ た 。 そ して , P I S A と い う国際 テ
ス ト及 び ア メ リカ, イ ギ リス, オ ー ス トラ リア, ス
Carnpbell, 」.R., Kelly, D.L., Mullis I.V.
ペ イ ンの 国 内 テ ス トと比較す る こ とに よ り次の よう
な特徴 を 明 らかにす る こ とがで きた。
・読書 に対す る構成 的 な見方
0 読 者 が 読 書 をす る ときの 目的 の 強調
・読書 に対す る肯定 的態度 の 重視
・親 ・教師 など の 影響 を考慮
0 多 様 な場 面 で 多様 な もの を読 む ことを反映 した幅
広 い テ クス トの タイプ ・形式
・理解 の 過程 に基 づ く設 間 の 作成
。多肢 選択式解 答 と 自由記述解 答 の組み 合わせ
今後 の 課題 と して は , さ らに多言語主義 の 国や英
語圏以外 の 国 で も, どの よ うな読 書 力評価 が 「国内
標準」 と して行われ て い る のか を研究す る ことで あ
る。そ の こ とを通 して , 読 書 力評価 の 国際標 準 とは
どの ようなものかが, より明らかになつて くるだろ
う。
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Literacy
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力ιTタ
レ〃 P/RLS Ab′ グ
″η′ル ″ ιノ
″ D』 ′
α〃 .
(PIRLS)of 2001 p.30を
Departinent for EducatiOn and Skills and
と相違 点 をあげた。
National
4年 生 の た め の テ ス トで あ るが , こ
れは イギ リスの 5年 生 にあた るた め ,イ ギ リス
Foundation
for
EducatiOnal
Research.
もとに,共 通 点 と して
PIRLSは
は 5年 生 がPIRLSに
注
1)Campbellら
( 2 0 0 1 ) の フ レー ム ヮー ク書 の 注
に よる と, P I R L S は
以下 の よ うな研 究 をふ ま
えて い る。我 が 国 の 研究者 に もな じみが あ りそ
うな もの をい くつ か と りあげ る。
解 答 して い る。 そ の た め ,
シ
Twistら は , ナ
ョナ ル 0カ リキ ュ ラ ムで 5年
生 に 教 え る こ と に な つ て い る こ と (キ ー ス
テ ー ジ 2)と そ の 評価 (National Curriculum
assessment focuses),及
トの 内容 と比較 して い る。
び ナ シ ョナ ル ・テ ス
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