...

第3章 1自由度系の振動

by user

on
Category: Documents
28

views

Report

Comments

Transcript

第3章 1自由度系の振動
第 3 章 1 自由度系の振動
第 3 章 1 自由度系の振動
畔上 秀幸
名古屋大学 情報科学研究科 複雑系科学専攻
December 13, 2016
1 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
はじめに
(目標) 1 自由度系の運動方程式を満たす変位の解を詳しく調べる.まず,定数
係数常微分方程式 (線形常微分方程式) の解に関する定理を確認する.それを用
いて,自由振動の解について詳しく調べてみる.そのあとで,強制振動の解につ
いてみていくことにする.
2 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
線形常微分方程式の基礎
§3.1 線形常微分方程式の基礎
1 自由度系の運動方程式は 2 階 1 元線形常微分方程式で与えられる.本論に入
る前に,線形常微分方程式の基礎事項をまとめておく.n を自然数とする.
問題 3.1.1 (同次形微分方程式)
a0 , · · · , an−1 を複素定数として,
dn u
dn−1 u
du
(t)
+
a
(t) + · · · + a1
(t) + a0 u (t) = 0
n−1
n
n−1
dt
dt
dt
(3.1.1)
を満たす関数 u : R → C を求めよ.
式 (3.1.1) を n 階線形常微分方程式の同次形という.
3 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
線形常微分方程式の基礎
問題 3.1.2 (非同次形微分方程式)
a0 , · · · , an−1 を複素定数として,p : R → C は非 0 の関数とする.このとき,
dn u
dn−1 u
du
(t)
+
a
(t) + · · · + a1
(t) + a0 u (t) = p (t)
n−1
n
n−1
dt
dt
dt
(3.1.2)
を満たす関数 u : R → C を求めよ.
式 (3.1.2) を n 階線形常微分方程式の非同次形という.
4 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
線形常微分方程式の基礎
定理 3.1.3 (同次形の線形性から得られる結果)
u1 (t) , · · · , un (t) が同次形の解ならば,任意の複素定数 c1 , · · · , cn に対して,
c1 u1 (t) + c2 u2 (t) + · · · + cn un (t)
も解である.
5 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
線形常微分方程式の基礎
定理 3.1.4 (同次形の解の独立性から得られる結果)
u1 (t) , · · · , un (t) が同次形の解で,それらが独立のとき,すなわち,Wronskian
u1 (t)
u2 (t)
···
un (t) du1
du2
dun (t)
···
dt (t)
dt
dt ..
..
..
..
̸= 0
.
.
.
.
dn−1 u
dn−1 u2
dn−1 un 2
(t) · · ·
n−1 (t)
dt
dtn−1
dtn−1
のとき,同次形のすべての解は,任意の複素定数 c1 , · · · , cn に対して,
c1 u1 (t) + c2 u2 (t) + · · · + cn un (t)
とかける.
すべての解を表す式は一般解とよばれる.
6 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
線形常微分方程式の基礎
定理 3.1.5 (非同次形の解)
u1 (t) , · · · , un (t) が同次形の解で,それらが独立とする.また,up (t) が非同次
形の解とする.このとき,非同次形のすべての解は,任意の複素定数 c1 , · · · , cn
に対して,
c1 u1 (t) + c2 u2 (t) + · · · + cn un (t) + up (t)
とかける.
非同次形の解 up (t) は特殊解とよばれる.
7 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
§3.2 非減衰自由振動
これより,運動方程式にもどって,非減衰自由振動の解 u (t) を求めることを
考える.これ以降,時間微分を ( ˙· ) = d ( · ) /dt とかくことにする.
運動方程式
mü + ku = 0
は,
ω12 =
k
m
(3.2.1)
とおくことで,標準形
ü + ω12 u = 0
(3.2.2)
に変換される.
8 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
試行錯誤
§3.2.1 試行錯誤
定理 3.1.3 と定理 3.1.4 から,独立な (Wronskian が 0 ではない) 2 つの解 u1
と u2 がみつかれば,自由振動 (同次形の運動方程式) の解は,任意の定数 a1 と
a2 を用いて,
a1 u1 + a2 u2
となる.そこで,試行錯誤で 2 つの解 u1 と u2 をみつけてみよう.
9 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
試行錯誤
一つの解を
u1 = sin ω1 t
と予想する.そのときの加速度は
ü1 = −ω12 sin ω1 t
となり,式 (3.2.2) に代入すれば,
ü1 + ω12 u1 = −ω12 sin ω1 t + ω12 sin ω1 t = 0
となり,運動方程式の解となっていることが確認される.
10 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
試行錯誤
もう一つの解を
u1 = cos ω1 t
と予想する.そのときの加速度は
ü1 = −ω12 cos ω1 t
となり,式 (3.2.2) に代入すれば,
ü1 + ω12 u1 = −ω12 cos ω1 t + ω12 cos ω1 t = 0
となり,運動方程式の解となっていることが確認される.
11 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
試行錯誤
2 つの解の独立性を調べてみる.Wronskian を計算すれば,
sin ω1 t
cos ω1 t 2
2
ω1 cos ω1 t −ω1 sin ω1 t = −ω1 sin ω1 t − ω1 cos ω1 t = −ω1 ̸= 0
となる.
そこで,自由振動の一般解は,定理 3.1.4 より,任意の実定数 a1 と a2 を用
いて,
u (t) = a1 sin ω1 t + a2 cos ω1 t
(3.2.3)
とかけることになる.
12 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
試行錯誤
式 (3.2.3) は,自由振動の一般解を調和波 (sin あるいは cos の時間関数) の線
形結合による表現になっている.この式は,振幅と初期位相を表す任意の実定数
a と ϕ を用いて,
u (t) = a cos (ω1 t + ϕ)
= −a sin ϕ sin (ω1 t) + a cos ϕ cos (ω1 t)
(3.2.4)
とかくこともできる.そこで,a1 = −a sin ϕ および a2 = a cos ϕ とおけば,両
者は等価であることがわかる.
a
a1=−a sinφ
φ
a2=a cosφ
図 3.1: 振幅 a と初期位相 ϕ
13 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
試行錯誤
式 (3.2.4) は振動する時間関数を表している.ω1 は,そのときの円振動数 (単
位: rad/sec) を表し,非減衰自由振動の固有円振動数とよばれる.また,振動数
f1 (単位: Hz = rev/sec) と周期 t1 (単位: sec) との関係は
ω1
,
2π
2π
t1 =
ω1
f1 =
である.
14 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
一般解の形式を利用する方法
§3.2.2 一般解の形式を利用する方法
次に,非減衰自由振動の解 u (t) を線形常微分方程式の一般解の形式を用いて
求めてみよう.
線形常微分方程式の一般解は,任意の複素定数 u1 と λ1 を用いて,
u (t) = u1 eλ1 t
(3.2.5)
のように与えられる.ここで,i は単位虚数を表す.これ以降,複素数 z は振幅
r と位相 θ を用いて
z = x + iy = r (cos θ + i sin θ) = reiθ
とかけることに注意する (図 3.2).この関係は,Euler の公式とよばれる.
15 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
一般解の形式を利用する方法
Euler の公式は,例えば,次の関係から得られる.
2
3
(iθ)
(iθ)
eiθ = 1 + iθ +
+
+ ···
2!
(
) 3!(
)
2
θ
θ3
= 1−
+ ··· + i θ −
+ ···
2!
3!
= cos θ + i sin θ
iy
r
θ
x
図 3.2: 複素数の振幅 r と位相 θ
16 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
一般解の形式を利用する方法
線形常微分方程式の一般解の形式 (式 (3.2.5)) を非減衰自由振動の運動方程式
(式 (3.2.2)) に代入すれば,
( 2
)
λ1 + ω12 u1 eλ1 t = 0
(3.2.6)
を得る.ここで,u1 = 0 は式 (3.2.6) を満たす.この解は u (t) = 0 を表し,自
明の解とよばれる.その解を除くために u1 ̸= 0 を仮定し,eλ1 t > 0 を考慮すれ
ば,λ1 に対する方程式
λ21 + ω12 = 0
(3.2.7)
を得る.式 (3.2.7) は特性方程式とよばれる.この方程式の解は
λ1 = ±i ω1
(3.2.8)
となる.
17 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
一般解の形式を利用する方法
式 (3.2.8) を式 (3.2.5) に代入すれば,
u (t) = u1 e±i ω1 t
(3.2.9)
となる.ここで次の性質に注目する.
実定数係数常微分方程式の一般解は,n 階のとき n 個存在して,それ
らは実数か共役な複素数である.
式 (3.2.9) の解は 2 個存在して,それらは複素数なので共役である.そこで,
互いに共役な2つの複素数の線形結合が実数となること注目すれば,
u (t) = u1 ei ω1 t + uc1 e−i ω1 t
= (a + ib) (cos ω1 t + i sin ω1 t) + (a − ib) (cos ω1 t − i sin ω1 t)
= 2a cos ω1 t − 2b sin ω1 t
(3.2.10)
c
となる.ただし,( · ) は複素共役を表す.また,a と b は任意の実定数である.
式 (3.2.10) において,2a と −2b をそれぞれ a1 と a2 にかきかえれば,試行錯
誤によって得られた結果 (式 (3.2.3)) と一致する.
18 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
一般解の形式を利用する方法
m
u
l
図 3.3: はりと質点
例題 3.2.1 (はりと質点)
図 3.3 のような長さ l,断面 2 次モーメント i,Young 率 eY の両端が単純支持
されたはりの中央に質量 m の質点がおかれている構造の固有円振動数を求めよ.
19 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
一般解の形式を利用する方法
(解答) この力学系の変形は,質点の変位 u だけで記述されることから,1 自由度系であ
る.このときの運動方程式は
mü + ku = 0
(3.2.11)
とかける,ここで,ばね定数 k は次のようにして得られる.図 3.4 のように,質点の位
置に外力 p が作用したときの変位 δ は
δ=
pl3
48eY i
(3.2.12)
となる.式 (3.2.12) より,
k=
p
48eY i
=
δ
l3
(3.2.13)
を得る.式 (3.2.13) の k を用いれば,固有円振動数は
√
√
k
48eY i
ω1 =
=
m
ml3
となる.
□
20 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
一般解の形式を利用する方法
p
δ
図 3.4: はりの変形
21 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
エネルギー保存則を用いた固有振動数の計算法
§3.2.3 エネルギー保存則を用いた固有振動数の計算法
エネルギー保存則は Hamilton 関数の時間に対する不変性で与えられた.運動
エネルギー κ が運動量 q = M u̇ ∈ Rd の2次形式で,質量 M ∈ Rd×d が不変の
とき,Hamilton 関数は
1
h (u, q) = −κ (u̇) + π (u) + q · u̇ = − u̇ · (M u̇) + π (u) + q · u̇
2
( −1 )
1 ( −1 )
= − q · M q + π (u) + q · M q
2
1 ( −1 )
= q · M q + π (u)
2
= κ (u̇) + π (u)
となる.
22 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
エネルギー保存則を用いた固有振動数の計算法
Hamilton 関数 h の時間変化は図 3.5 となる.そこで,運動エネルギー最大値
κmax とポテンシャルエネルギーの最大値 πmax に対して,
h = κ + π = κmax = πmax
(3.2.14)
が成り立つ.ここで,κmax は固有円振動数 ω1 の 2 乗と振幅の 2 乗に比例し,
πmax は振幅の 2 乗に比例するとき,式 (3.2.14) の 2 つ目の等式より,ω1 を求め
ることができる.
h
π
κ
t
図 3.5: Hamilton 関数 h の時間変化
23 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
エネルギー保存則を用いた固有振動数の計算法
例題 3.2.2 (2 つのばねと質点系の固有円振動数)
図 3.6 のようなばね定数 k1 , k2 の2つのばねと質量 m の質点からなる力学系の
固有円振動数を求めよ.
k1
m
u k2
図 3.6: 2 つのばねと質点系
24 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
エネルギー保存則を用いた固有振動数の計算法
(解答)
自由振動の変位を
u = a cos ω1 t
(3.2.15)
と仮定する.このとき,速度は u̇ = −ω1 a sin ω1 t となり,運動エネルギー κ = mu̇2 /2
の最大値は
κmax =
1
mω12 a2
2
(3.2.16)
1
(k1 + k2 ) a2
2
(3.2.17)
)
(
となる.一方,ポテンシャルエネルギー π = k1 u2 + k2 u2 /2 の最大値は
πmax =
となる.よって,式 (3.2.20) と式 (3.2.17) が等しいことから,
√
k1 + k2
ω1 =
m
となる.
□
25 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
エネルギー保存則を用いた固有振動数の計算法
例題 3.2.3 (分布質量ばねと質点系の固有円振動数)
図 3.7 のような長さ l,単位長さあたり質量 µ およびばね定数 k のばねと質量
m の質点からなる力学系の固有円振動数を RayLeigh 法 (変位分布を内挿関数で
近似して,エネルギー保存則を用いて固有振動数を計算する近似算法) で求めよ.
u(x)
µ
m
k
0
l
x
図 3.7: 分布質量ばねと質点系
26 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
エネルギー保存則を用いた固有振動数の計算法
(解答)
変位 u は x 座標と時間 t に対して,
u (x, t) =
x
a cos ω1 t
l
(3.2.18)
と仮定する.すなわち,質量の変位振幅を a と仮定して, x における変位は固定点から
の距離に比例すると仮定する.このとき,速度は u̇ = −ω1 (x/l) a sin ω1 t となり,運動エ
ネルギーは
}
∫ l{
1 2 ( x )2 2
1
2 2
2
κ=
µω1
sin ω1 t + mω1 a sin ω1 t dx
2
l
2
0
)
(m
m
S
2 2
2
=
+
ω1 a sin ω1 t
(3.2.19)
6
2
となる.ただし,ばねの質量を mS = µl とおいた.そこで,その最大値は
κmax =
)
1 ( mS
+ m ω12 a2
2
3
(3.2.20)
27 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
非減衰自由振動
エネルギー保存則を用いた固有振動数の計算法
となる.一方,ポテンシャルエネルギー π = ku2 /2 の最大値は
πmax =
1 2
ka
2
(3.2.21)
となる.よって,式 (3.2.19) と式 (3.2.21) が等しいことから,
v
u
k
u
ω1 = t mS
+m
3
となる.
□
RayLeigh 法によって得られる近似解は,内挿関数が厳密解と一致したときに
固有円振動数も厳密解と一致する.内挿関数が厳密解と一致しなくてもエネル
ギーの誤差は,通常,小さく,良い近似を与えることが多い.
28 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
減衰自由振動
§3.3 減衰自由振動
次に,減衰がある場合を考える.運動方程式
mü + cu̇ + ku = 0
は,
k
(非減衰固有振動数),
m
√
cC = 2 mk (臨界減衰係数),
c
ζ=
(減衰比),
cC
σ = ζω1 (減衰率)
ω12 =
とおくことで,標準形
ü + 2σ u̇ + ω12 u = 0
(3.3.1)
に変換される.
29 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
減衰自由振動
減衰自由振動の解 u (t) を線形常微分方程式の一般解の形式を用いて求めてみ
よう.一般解の形式は,任意の複素定数 u1 と λ1 を用いて,
u (t) = u1 eλ1 t
のように与えられる.これを式 (3.3.1) に代入すれば,
( 2
)
λ1 + 2σλ1 + ω12 u1 eλ1 t = 0
(3.3.2)
(3.3.3)
を得る.ここで,自明の解 u1 = 0 を除くために u1 ̸= 0 を仮定し,eλ1 t > 0 を
考慮すれば,λ1 に対する特性方程式
λ21 + 2σλ1 + ω12 = 0
を得る.この方程式の解は
√
λ1 = −σ ± ω1 ζ 2 − 1
(3.3.4)
(3.3.5)
となる.
30 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
減衰自由振動
弱減衰
§3.3.1 弱減衰
減衰比が ζ ∈ (0, 1) のときを弱減衰という.このとき,特性方程式の解は,共
役な複素数
√
λ1 = −σ ± 1 − ζ 2 ω1 = −σ ± i ω1D
(3.3.6)
√
になる.ここで,ω1D = 1 − ζ 2 ω1 を減衰固有円振動数とよぶ.このときの解
u は,共役な 2 つの複素数解の線形結合で与えられる.すなわち,
[
]
u (t) = u1 e(−σ+i ω1D )t + uc1 e(−σ−i ω1D )t = 2Re u1 e(−σ+i ω1D )t
[
]
= 2Re (a1 + ia2 ) e−σt (cos ω1D t + i sin ω1D t)
= 2e−σt (a1 cos ω1D t − a2 sin ω1D t)
= ae−σt cos (ω1D t + ϕ)
(3.3.7)
となる.ただし,a1 と a2 あるいは a と ϕ は任意の定数である.
31 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
減衰自由振動
弱減衰
u
ae−σt
acosφ
0
2π
4π
t
図 3.8: 弱減衰の自由振動 (σ = 0.2, ζ = 0.2, ϕ = 1)
32 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
減衰自由振動
弱減衰
弱減衰の自由振動に対して,実験から減衰比を計測する方法の一つに,対数減
衰率を用いた方法が使われる.周期 i ∈ {1, 2, · · · } 毎に最大値をとったときの時
刻を ti とかき,
tD = ti+1 − ti =
2π
ω1D
(3.3.8)
とおく.このとき,
u (ti ) = ae−σti cos (ω1D ti + ϕ) ,
u (ti+1 ) = ae−σti+1 cos (ω1D ti+1 + ϕ) = ae−σtD e−σti cos (ω1D ti + ϕ)
の関係を用いて,対数減衰率は
δ = ln
2πζ
u (ti )
2πζω1
= lneσtD = σtD =
=√
u (ti+1 )
ω1D
1 − ζ2
(3.3.9)
33 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
減衰自由振動
弱減衰
によって定義される.ここで,振幅比 ζ ≪ 1 のとき,
ζ=
δ
2π
(3.3.10)
が成り立つ.そこで,実験により周期ごとの振幅を計測し,対数減衰率 δ を求め
れば, ζ が小さいならば式 (3.3.10) により ζ が推定できることになる.
34 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
減衰自由振動
臨界減衰
§3.3.2 臨界減衰
減衰比が ζ = 1 のときを臨界減衰という.このとき,特性方程式の解は,重根
となり,
λ1 = −σ = −ω1
(3.3.11)
√
となる.ここで,ω1D = 1 − ζ 2 ω1 を減衰固有円振動数とよぶ.したがって,
一つの解は実定数 a を用いて
u (t) = ae−ω1 t
(3.3.12)
とかける.もう一つの解を定数変化法でみつけよう.
35 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
減衰自由振動
臨界減衰
定数変化法とは,解の定数を関数に置き換えて微分方程式に代入し,微分方程
式が成り立つ条件からその関数を求める方法である.すなわち,
u (t) = a (t) e−ω1 t
(3.3.13)
と仮定する.このとき,
u̇ (t) = ȧ (t) e−ω1 t − ω1 ae−ω1 t ,
u̇ (t) = ä (t) e
−ω1 t
− 2ω1 ȧ (t) e
−ω1 t
(3.3.14)
+
ω12 ae−ω1 t
(3.3.15)
となる.式 (3.3.13), 式 (3.3.14) と式 (3.3.15) を運動方程式 (式 (3.3.1)) に代入
すれば,
ä (t) e−ω1 t = 0
(3.3.16)
となる.そこで,ä (t) = 0 より,a (t) = c1 t + c0 (c1 と c0 は任意定数) を得る.
したがって,もう一つの解は
u (t) = bte−ω1 t
(3.3.17)
となる.ただし,b は任意の実定数である.
36 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
減衰自由振動
臨界減衰
2 つの解の独立性は,Wronskian が
−ω t
e 1
te−ω1 t
−2ω1 t
̸= 0
−ω1 e−ω1 t e−ω1 t − ω1 e−ω1 t = e
となることから確認される.
したがって,臨界減衰の自由振動 u は,2 つの解の線形結合で与えられる.す
なわち,
u (t) = (a + bt) e−ω1 t
(3.3.18)
となる.ただし,a と b は任意の定数である.
37 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
減衰自由振動
臨界減衰
u
0
π
2π
3π
t
図 3.9: 臨界減衰の自由振動 (ω1 = 1, a = 0.5, b = 1)
38 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
減衰自由振動
過減衰
§3.3.3 過減衰
減衰比が ζ > 1 のときを過減衰という.このとき,特性方程式の解は,2 つの
実数となり,
√
λ1 = −σ ± ω1 ζ 2 − 1
(3.3.19)
となる.そこで,過減衰のときの運動方程式 (式 (3.3.1)) の解は,任意の実定数
a と b を用いて
(
)
(
)
√
√
−σ−ω1 ζ 2 −1 t
−σ+ω1 ζ 2 −1 t
u (t) = ae
+ be
(3.3.20)
とかける.
39 / 40
第 3 章 1 自由度系の振動
減衰自由振動
過減衰
u
0
π
2π
3π
t
図 3.10: 過減衰の自由振動 (ζ = 2, a = 1, b = 1)
40 / 40
3.4 強制振動

強制力(励振力) f(t) を与えて変位の解 x(t) を求
めることを考える.

運動方程式を標準形に変換する.
mx(t ) + cx (t ) + kx(t ) = f (t )
x(t ) + 2ζω n x (t )

ただし
ω n2
k
=
m
+ ω n2 x
f (t )
(t ) =
m
非同次形の解の特徴

定数係数常微分方程式の非同次形の解は同次
形の一般解と特殊解の和で与えられる(前出の
定理3).
特殊解
x ( t ) = Ae + Ae
λt
Ae λt + A e λ t
λt
+ x f (t )
同次形の一般解
x (t ) = Ae λt + A e λ t + x f (t ), ζ > 0
t
x f (t )
強制振動の定義

非同次形運動方程式の一般解(同次形の一般
解と特殊解の和)を広義の強制振動と呼ぶ.


同次形の一般解は自由振動
非同次形の特殊解を狭義の強制振動と呼ぶ.
過渡振動
狭義の強制振動
t
広義の強制振動
これ以降は狭義に着目
励振力の分類

強制振動の解析は励振力の性質で異なる.

周期的



非周期的



調和波の重ね合わせ
Fourier 級数
インパルスの重ね合わせ
Fourier 積分
f (t )
t
f (t )
t
ランダム

統計量の定常性
f (t )
t
励振力が周期的ならば変位は?

励振力が周期 T のとき変位も周期 T である.



励振力は最長周期 T の Fourier 級数(調和波の重ね
合わせ)に展開できる.
非同次項が調和波の特殊解は同一周波数の調和波
である(後で確認する).
運動方程式の線形性により重ね合わせの原理が成
立し,変位は最長周期 T の Fourier 級数となる.
3.4.1 周期強制振動
(1) 調和力による強制振動
(2) 周波数応答関数
(3) 構造減衰系の調和力強制振動
(4) 調和変位による強制振動
(5) 振動の絶縁
(6) 振動計の原理
(7) 周期力による強制振動
(1) 調和力による強制振動

駆動円周波数 ω の調和力 Fcosωt を与えて変
位(特殊解) x(t) を解く.
x + 2ζω n x + ω x = (F m ) cos ωt
2
n
方法1:未定係数法

特殊解の形を未定係数 a, b を用いて仮定して,
それらを運動方程式に代入して決定する.

特殊解の形

運動方程式
x = a cosωt + b sinωt
x = −aω sinωt + ωb cosωt
x = −aω 2 cosωt − bω 2sinωt
x + 2ζω n x + ω n2 x = (F m )cosωt
方法1:未定係数法(cont.)

特殊解の形を運動方程式に代入する.
− aω 2 cosωt − bω 2sinωt + 2ζω n (− aω sinωt + ωb cosωt )
+ ω n2 (a cosωt + b sinωt ) = (F m )cosωt

sin と cos の項ごとに恒等式が成立する.
(
)
 − ω 2 + ω n2 a + (2ζω nω )b = (F m )

2
2
(
)
−
+
−
+
2
ζω
ω
a
ω
ω
n
n b=0


(
)
この連立方程式を解いて
a=
(
ω n2
ω n2 − ω 2
−ω
)
2 2
+ (2ζω nω )2
2ζω nω
F
F
, b=
2
2 2
m
ω n − ω + (2ζω nω )2 m
(
)
方法1:未定係数法(cont.)

得られた未定係数を特殊解の形に代入する.
(
ω
x=
=
2
n
)
− ω 2 cosωt + 2ζω nω sinωt F
2
2 2
m
ω − ω + (2ζω ω )2
(
)
n
n
1m
(
ω n2
−ω
)
2 2
+ (2ζω nω )
2ζω nω
φ = tan − 2
ωn − ω 2
変位の振幅
F cos(ωt + φ )
2
ω n2 − ω 2
−1
力に対する変位の位相差
(ω
2
n
−ω
) + (2ζω ω )
2 2
φ
2
− 2ζω nω
n
 cos(α + β)
= cosα cosβ − sinα sinβ
方法2:複素数表示

調和力と変位を共役項を省略した複素数で表示
して,それらを運動方程式に代入して決定し,共
役項を補足することによって実数解を得る.

本来の特殊解の形と共役項の省略形
[

Fe jωt + F e − jωt
j ωt
cos
Re
=
=
=
Fe
f
F
t
ω

2

− j ωt
j ωt
 x = Xe + Xe
j ωt
Re
=
Xe

2
[
]
]
力振幅(実数)
 f ∗ = Fe jωt
 ∗
j ωt
x
=
Xe

複素変位振幅
方法2:複素数表示(cont.)

省略形を運動方程式に代入する.
 f ∗ = Fe jωt
 x ∗ = Xe jωt
 ∗
j ωt

x
j
Xe
ω
=
 ∗
 x = −ω 2 Xe jωt

x + 2ζω n x + ω n2 x = f m
(− ω
2
)
+ j 2ζω nω + ω n2 Xe jωt = (F m )e jωt
複素変位振幅 X について解く.
ω n2 − ω 2 − j 2ζω nω F
F
1
X=
=
2
2
− ω + j 2ζω nω + ω n m ω n2 − ω 2 2 + (2ζω nω )2 m
1m
e jφ F φ = tan −1 − 2ζω nω
=
2
2 2
ω n2 − ω 2
ω n − ω + (2ζω nω )2
(
(
)
)
方法2:複素数表示(cont.)

共役項を省略した特殊解の複素数表示
∗
x =
(
ω n2

−ω
)
1
2 2
+ (2ζω nω )2
F j (ωt +φ )
e
m
同様に,これと共役な複素数も解となる.
∗
x =
(
ω n2
−ω
)
1
2 2
+ (2ζω nω )
2
F − j (ωt +φ )
e
m
方法2:複素数表示(cont.)

互いに共役な複素数の解を用いて,実数としての変
位解は互いに共役な複素数を加えて2で割る(実部を
取る)ことによって得られる.
 φ = tan −1 − 2ζω nω

F j (ωt +φ ) 
1

ω n2 − ω 2
e
x = Re


2 m
2
2 2

 ω n − ω + (2ζω nω )
1m
=
F cos(ωt + φ )
2
2 2
ω n − ω + (2ζω nω )2
(
(
)
)
方法1の結果と一致
方法2:複素数表示(cont.)

調和力が sin 関数で与えられた場合には,共役
な複素数との差を取って 2j で割る (虚部を取る)
ことを省略したと考える.

本来の特殊解の形と共役項の省略形
[

Fe jωt − F e − jωt
j ωt
sin
Im
f
F
t
Fe
ω
=
=
=


2j

− j ωt
j ωt
Xe
X
e
−
x =
= Im Xe jωt

2j
[
]
虚部を取る
]
 f ∗ = Fe jωt
 ∗
 x = Xe jωt
方法2:複素数表示(cont.)

互いに共役な複素数の解を用いて,実数としての変
位解は互いに共役な複素数の差を取って 2j で割る
(虚部を取る)ことによって得られる.


2ζω nω
−1
1
F
φ = tan − 2
2
x = Im
e j (ωt +φ ) 
ω
ω
−
n
2 m


2
2 2
+ (2ζω nω )
 ωn −ω

1m
位相差は同一
F sin (ωt + φ )
=
2
ω n2 − ω 2 + (2ζω nω )2
(
(
)
)
cos が sin に変わっただけ
(2) 周波数応答関数の定義

調和力に対する変位は調和力の振幅に比例し
た位相差を持った調和波であった.


複素変位振幅を調和力の振幅で割った値は調和力
の振幅には依存しない振動系の物理量(質量,減衰,
剛性)と駆動円周波数のみの関数となる.
この関数を周波数応答関数(力から変位への伝達関
数)と呼ぶ.
G (ω ) ≡
X
=
F
1m
(ω
2
n
−ω
) + (2ζω ω )
2 2
n
e jφ
2
周波数応答関数の定義(cont.)

周波数応答関数は振幅と位相を持つ.
G (ω ) =

e jφ = G (ω ) e jφ
1m
(ω
2
n
−ω 2
) + (2ζω ω )
2
位相
2
振幅
n
無次元化した周波数応答関数の振幅を振幅倍
率関数と呼ぶ.
ω
β=
M (β ) = k G (ω ) =
k m
(ω
2
n
−ω 2
) + (2ζω ω )
2
n
=
2
ωn
1
(1 − β ) + (2ζβ )
2 2
2
周波数応答関数の表示方法

周波数応答関数は振幅と位相をもつ.そのために表示
方法に工夫が必要である.

振幅-位相表示


実部-虚部表示


両対数表示のとき Bode 線図
Co-quad 線図 (coincident quadrature)
極座標表示

ベクトル線図 あるいは Nyquist 線図
振幅-位相表示

振幅倍率関数と位相
M =
1
(1 − β ) + (2ζβ )
2 2
2ζβ
φ = tan −
1− β 2
−1
,
2
1) β → 0: M → 1, φ → 0
π
1
2) β = 1: M =
, φ= −
2ζ
2
1
3) β → ∞: M → 2 → 0 ( 20LogM → −40Logβ ) , φ → −π
β
dM
dM
4)
= 0:
=
dβ
dβ
(
)
2 1 − 2ζ 2 − β 2 β
((1 − β ) + ( 2ζβ ) )
2
0 <ζ <
2
2
2
2
3/ 2
⇒ β =0, ± 1-2ζ 2
1
M=
, φ tan −
=
2
2ζ 1-ζ
−1
1-2ζ 2
ζ
振幅-位相線図

振幅倍率関数と位相 vs 無次元化周波数
M [−]
ζ = 0.1
φ [deg ]
ζ = 0.1
ζ =1 2
ζ =1 2
ζ =1
ζ =1
β [−]
β [−]
Bode 線図:共振曲線

振幅倍率関数 vs 無次元化周波数を両対数(デ
シベル)表示した線図を Bode 線図と呼ぶ.
20LogM [dB]
ζ = 0.1
ζ =1 2
ζ =1
20[dB]
− 40[dB]
20Logβ [dB]
実部-虚部表示

無次元化周波数応答関数の実部と虚部 vs 無
次元化周波数
1− β 2
jφ


=
,
Im
Me
2


2
1 − β 2 + ( 2ζβ )
Re  Me jφ 
(
)
−2ζβ
(1 − β ) + ( 2ζβ )
2
2
1) β → 0: Re  Me jφ  → 1, Im  Me jφ  → 0
1
=
2) β 1:=
Re  Me jφ  0,=
Im  Me jφ 
2ζ
3) β → ∞: Re  Me jφ  → 0, Im  Me jφ  → 0
(
)
d Re  Me jφ 
1
1
=
−
4)
0: β =
1 − 2ζ , Re  Me jφ  =
, Im  Me jφ  =
dβ
4ζ (1 − ζ )
4ζ (1 − ζ )
1
1
−
−
1 + 2ζ , Re  Me jφ  =
, Im  Me jφ  =
β=
4ζ (1 + ζ )
4ζ (1 + ζ )
2
Co-quad 線図

実部と虚部 vs 無次元化周波数
[
]
Re Me jφ
[−]
ζ = 0.1
[
]
Im Me jφ
[−]
ζ =1
ζ =1 2
ζ =1 2
ζ = 0.1
ζ =1
β [−]
β [−]
Nyquist 線図

実部 vs 虚部
[
β =2
β =0
]
Im Me jφ [-]
ζ =1
ζ =1 2
β =1
[
]
Re Me jφ [-]
ζ = 0.1
3線図の関係

減衰・非減衰固有振動数点,実部最大・最小点
に注目して3線図の対応を調べる.

Nyquist 線図
ζ = 0.1
β =2 β =0
[
]
Im Me jφ [-]
β = 1 − 2ζ
β = 1 + 2ζ
β = ωd ωn = 1−ζ 2
β =1
[
]
Re Me jφ [-]
1
2ζ
3線図の関係(cont.)
Co-quad 線図

ζ = 0.1
[
β = 1 − 2ζ
[
]
Re Me jφ
[-]
]
Im Me jφ [-]
β = ωd ωn = 1−ζ 2
β =1
β = 1 + 2ζ
β = 1 − 2ζ
1
2ζ
β = ωd ωn = 1−ζ 2
β = 1 + 2ζ
β [−]
β =1
β [−]
3線図の関係(cont.)

対数振幅と位相線図
ζ = 0.1
β = ωd ωn = 1 − ζ 2
β = 1 − 2ζ
β =1
20LogM
[dB]
φ [deg ]
β = 1 + 2ζ
β = 1 − 2ζ
β = ωd ωn = 1 − ζ 2
β =1
β = 1 + 2ζ
β [-]
β [-]
減衰比の推定法

振幅倍率関数の特徴的な値を読み取って減衰
比を推定することができる.

Q値 (quality factor)から推定
20LogM [dB]
M =
1
≡Q
2ζ
1
ζ=
2Q
β [-]
減衰比の推定法(cont.)

Half Power Points (3dB band) ∆β から
20Log
1
2
= 3.02 [dB]
∆β ≈ 1 + 2ζ − 1 − 2ζ ≈ 2ζ (ζ << 1)
ζ ≈
∆β
<< 1)
1
3[dB]
2
β = 1 − 2ζ
∆β
2
(ζ
β = 1 + 2ζ
1
(3) 構造減衰系の調和力強制振動

構造減衰系は調和力による強制振動について
のみ簡単な解析解が存在する.

運動方程式と標準形
mx + gk

x
ω
+ kx = Fe
x
F j ωt
x + gω
+ω x = e
ω
m
j ωt
2
n
2
n
複素数表示 x*=Xejωt を標準形に代入
{− ω + (1 + jg )ω }X = F
2
2
n
m
1m
1k
1 − β 2 − jg F
X = 2
F=
F=
2
2
2
2 2
ω n − ω + jgω n
1 − β + jg
+ g2 k
1− β
(
)
構造減衰系の調和力強制振動
(cont.)

無次元化周波数応答関数の振幅と位相
X
=
F k

1
(1 − β )
2 2
+ g2
,
g
X
−1
∠ = tan −
F
1− β 2
粘性減衰系の周波数応答関数との比較
M =
1
(1 − β ) + (2ζβ )
2 2
2ζβ
, φ = tan −
1− β 2
−1
2
減衰比が周波数に依存する
g
ζ =
2β
(4) 調和変位による強制振動

調和波上を移動するばね-減衰-質点系の振
動を調べよう.


質点の変位 x(t)
強制調和変位 y(t)
V
m
c
k
x (t )
λ
y (t ) = Y cosωt ,
ω=
2πV
λ
調和変位による強制振動(cont.)
x + 2ζω n ( x − y ) + ω n2 ( x − y ) = 0

運動方程式

移項して

複素数表示 x*=Xejωt , y*=Yejωt を代入
(− ω
x + 2ζω n x + ω n2 x = 2ζω n y + ω n2 y
2
)
(
)
+ j 2ζω nω + ω n2 X = j 2ζω nω + ω n2 Y
調和変位による強制振動(cont.)

複素変位振幅と複素強制変位振幅の関係
1 + j 2ζβ
1 − β 2 (2ζβ ) − j 2ζβ 3
X =
Y=
Y=
2
2
2
2
1 − β + j 2ζβ
+ (2ζβ )
1− β
2
(
φ1 = tan -1

)
1 + (2ζβ ) e jφ2
2
(1 − β ) + (2ζβ ) e
2 2
2ζβ
-1
,
φ
=
tan
2ζβ
2
2
1− β
無次元化周波数応答関数の振幅と位相
X
=
Y
1 + (2ζβ )
2
(1 − β ) + (2ζβ )
2 2
2
2ζβ 3
X
-1
∠ = tan −
2
Y
1 − β 2 (2ζβ )
2
jφ1
Y
調和変位による強制振動(cont.)

無次元化周波数応答関数の振幅と位相
X
=
Y
1 + (2ζβ )
2
(1 − β ) + (2ζβ )
2 2
X
Y
X
2) β = 1 :
Y
X
3) β = 2 :
Y
X
4) β → ∞ :
Y
1) β = 0 :
2
3
2
ζβ
X
∠ = tan -1 −
2
Y
1 − β 2 (2ζβ )
X
=0
Y
1
X
-1 1
= 1+
∠
=
,
tan
Y
2ζ
4ζ 2
= 1, ∠
=1
→ 0, ∠
π
X
→−
Y
2
調和変位による強制振動(cont.)

周波数応答関数の振幅と位相 vs 周波数
X
[−]
Y
ζ =1
X
[deg]
∠
ζ = 0.1
Y
ζ =1
ζ =1
2
ζ = 0.1
β [−]
β [−]
ζ =1
2
(5) 振動の絶縁

床に拘束されたばね-減衰-質点系の質点に
調和力が作用したときの振動を調べよう.

調和力 f(t)

床の反力 fT(t)

質点の変位 x(t)
f (t ) = F cos ωt
m
c
k
x(t )
f T (t ) = FT cos ωt
振動の絶縁(cont.)



運動方程式に複素数表示 f*=Fejωt , x*=Xejωtを代入
1k
して
X =
F
2
mx + cx + kx = f
1 − β + j 2ζβ
反力 fT=c˙x+kx にも複素数表示 fT*= FTejωt を代入し
て
FT = ( jωc + k ) X = k (1 + j 2ζβ ) X
力伝達率を求めると
FT
=
F
1 + (2ζβ )
2
(1 − β ) + (2ζβ )
2 2
2
1 + j 2ζβ
FT =
F
2
1 − β + j 2ζβ
調和変位による強制振動の |X/Y| と一致
(6) 振動計の原理

床が振動したときの目盛の振動を調べる.

床の強制変位 y(t)

質点の変位 z(t)
m

z (t ) = x(t ) − y (t )
目盛の変位 x(t)
c
k
x (t )
y (t )
振動計の原理(cont.)
mx + c( x − y ) + k ( x − y ) = 0

運動方程式

目盛 z(t)= x(t)− y(t) による運動方程式と標準形
mz + cz + kz = −my

z + 2ζω n z + ω n2 z = − y
複素数表示 z*= Zejωt を代入して
(− ω
2
)
+ j 2ζω nω + ω n2 Z = ω 2Y
Z=
β2
1 − β + j 2ζβ
2
Y
振動計の原理(cont.)

複素目盛振幅と複素強制変位振幅の関係
(1 − β 2 − j 2ζβ )β 2
β2
Z=
(1 − β ) + (2ζβ )
2 2
e jφ Y
(1 − β ) + (2ζβ )
e ( ) (− ω Y ), φ = tan
2 2
1
=
j φ +π
2
2
ω (1 − β ) + (2ζβ )2
無次元化周波数応答関数の振幅と位相
2
n

2
Y=
Z
=
Y
2 2
β2
(1 − β ) + (2ζβ )
2 2
2
-1
Z
2ζβ
-1
∠ = tan −
Y
1− β 2
2ζβ
−
1− β 2
振動計の原理(cont.)

無次元化周波数応答関数の振幅と位相
Z
=
Y
β2
(1 − β ) + (2ζβ )
2 2
2
Z
2ζβ
-1
∠ = tan −
Y
1− β 2
1) β → 0 :
ω n2 Z
ω n2 Z
Z
Z
2
→ β → 0, ∠ → 0,
→ 1, ∠
→π
2
2
Y
Y
−ω Y
−ω Y
2) β = 1 :
ω n2 Z
ω n2 Z
Z
Z
π
π
1
,
,
=
=
∠
=
−
∠
→
Y
Y
2ζ
2
2
− ω 2Y
− ω 2Y
ω n2 Z
Z
2
1
,
=
=
3) β = 2 :
Y
− ω 2Y
1 + 8ζ 2
1 + 8ζ 2
ω n2 Z
ω n2 Z
Z
Z
1
→ 1, ∠ → −π ,
→ 2 → 0, ∠
→0
4) β → ∞ :
2
2
Y
Y
−ω Y
−ω Y
β
振動計の原理(cont.)

変位計は β>>1 (大きな m 小さな k)のときに
|Z/Y|≈1 となる関係を利用している.
Z
[−]
Y
ζ = 0.1
∠
Z
[deg]
Y
ζ = 0.1
ζ =1
ζ =1
ζ =1
β [−]
2
ζ =1
β [−]
2
振動計の原理(cont.)

加速度計は β<<1 (大きな k 小さな m)のときに
|ωn2Z/(−ω2Y)|≈1 となる関係を利用している.
ω n2 Z
[deg]
∠
2
−ω Y
ζ = 0.1
ω n2 Z
[−]
2
−ω Y
ζ =1
ζ =1
β [−]
2
ζ = 0.1
ζ =1
ζ =1
β [−]
2
(7) 周期励振力による強制振動

周期励振力を Fourier 級数に展開して,周波数
ごとに応答を求めて重ね合わせる.
f (t )
a1cos(2π T )t
a 2 cos(4π T )t
a3 cos(6π T )t
b1sin (2π T )t
b2 sin (4π T )t
b3 sin (6π T )t
T
Fourier 級数展開
2πn
2πn 

f (t ) = ∑  a n cos
t + bn sin
t
T
T

n =0 
1 T
=
a0 =
f ( t ) dt , b0 0
∫
0
T

2 T
2π n
an = ∫ f ( t ) cos
t dt
0
T
T
2 T
2π n
bn = ∫ f ( t ) sin
t dt
0
T
T
∞

例題(例3.4.1): カム機構

周期的強制変位 y(t) に対する変位応答 x(t) を
求めよ.
k
c
x(t )
m
k1
y (t )
y (t )
1
0
1
2
3
t
例題(例3.4.1): カム機構(cont.)

周期的強制変位 y(t) を Fourier 級数に展開
y (t ) = t
(0 ≤ t < 1)
1
1
=
=
a0 ∫=
t dt
nt dt 0
, an 2 ∫ t cos2π =
0
0
2
1
1
1
1
 t

−
bn =
2 ∫ t sin2π nt dt =
2 −
cos2π nt  + 2 ∫ cos2π nt dt =
0
0
πn
 2π n
0
1
1 1 ∞ 1
y (t ) = − ∑ sin 2πnt
2 π n =1 n
例題(例3.4.1): カム機構(cont.)

運動方程式に代入
mx + cx + (k + k1 )x = k1 y
静荷重
2
2 ∞
∞
ω
ω
1
2
2
n1
n1
x + 2ζω n x + ω n x = ω n1 y =
sin 2πnt = f 0 + ∑ f n
−
∑
π n =1 n
2
n =1

ただし
ωn =
n 次調和励振力
k + k1
m
ζ =
c
2 m(k + k1 )
ω n1 =
k1
m
例題(例3.4.1): カム機構(cont.)


静荷重 f0=ωn12/2 に対する応答 x0=ωn12/2ωn2 (零点移
動)
n 次励振力 fn=−(ωn12/πn)sin2πnt に対する応答
ω n21
xn = −
πn

{ω
sin (2πnt + φ n )
2
n
− (2πn )
} + (4ζω πn)
2 2
φ n = tan −
−1
2
n
ω n2 − (2πn )2
n 次共振波
したがって,変位応答は
高調波
∞
x = x0 + ∑ x n = x0 + x1 + x 2 + x3 + 
n =1
4ζω nπn
基調波
例題(例3.4.1): カム機構(cont.)

例えば
ω n = 1, ω n1 = 2 , ζ = 0.1
n = 1, 2 , 3, 4 , 5
x(t )
t
3.4.2 非周期強制振動

非周期的励振力による強制振動
f (t )
t

周期 T → ∞ のとき

Fourier 級数 → Fourier 積分(変換)
Fourier 積分の導出

Fourier 級数の複素数表示
=
f (t )
∞
), ∆ω
∑ ( an cos n∆ω t + bn sin n∆ω t=
n =0
2π
T
+
−∞
∞
1 ∞

∑ ( an − jbn )( cos n∆ω t + j sin n∆ω t ) + ∑ ( an + jbn )( cos n∆ω t − j sin n∆ω t ) 
2  n =0
n =0

=
∞
∑
n = −∞
′
F=
n
Fn′e jn∆ω t
ただし Fn′ = F−′n
1
1 T2
1 T2
− jn∆ω t
dt
f
t
e
(
)
( an − jbn =) ∫−T 2 f ( t )( cos n∆ω t − j sin n∆ω t ) d=t
∫
−
T
2
2
T
T
Fourier 積分の導出(cont.)

Fourier 級数の複素数表示1
f (t )

∞
1 T2
− jn∆ω t
′
′
=
,
dt
F
e
F
f
t
e
(
)
∑
n
n
∫
2
T
−
T
n = −∞
jn∆ω t
Fourier 級数の複素数表示2

1/T=∆ω/2π の位置を移して
f (t )
∆ω
=
, Fn
F
e
∑
n
2π
n = −∞
∞
jn∆ω t
∫
T 2
−T 2
f ( t ) e − jn∆ω t dt
Fourier 積分の導出(cont.)

周期 T → ∞ のとき
1 ∆ω
dω
=
→
, n∆ω → ω
2π
T 2π

∞
jω t dω
 f ( t ) = ∫−∞ F (ω ) e

2π

∞

− jω t
ω
dt
=
F
f
t
e
(
)
(
)
∫−∞

逆 Fourier 変換
Fourier 変換
Fourier 積分の性質

線形性
α1 f1 ( t ) + α 2 f 2 ( t )

⇔
α1 F1 (ω ) + α 2 F2 (ω )
対称性
∞
f ( −t ) =
∫ F (ω ) e
− jω t
−∞
∞
− jω t
f ( −ω ) =
F
t
e
∫ ()
−∞
dω
2π
dt
2π





⇒
F ( t ) ⇔ 2π f ( −ω )
Fourier 積分の性質(cont.)

原点移動
 f ( t − t ) ⇔ F (ω ) e − jωt0
0
∞

jω ( t −t0 ) dω
=
⇒ 
f ( t − t0 ) ∫ F ( ω ) e
−∞
2π
 e jω0t f ( t ) ⇔ F (ω − ω0 )


伸縮
ω
−j t
1 ∞
a
dt , ( a > 0 )
f
t
e
(
)

∫
∞
−∞

a
− jωt
d
=
f
at
e
t
(
)

∫−∞
ω
−j t
∞
1
−
a
dt , ( a < 0 )
f
t
e
(
)
 a ∫−∞
積分の上限と下限の交換
⇒
f ( at ) ⇔
1 ω 
F 
a a
Fourier 積分の性質(cont.)

微分
∞
df ( t )
jω t dω
= ∫ jω F (ω ) e
−∞
dt
2π
 df ( t )
⇔ jω F (ω )

 dt
 n
 d f (t )
n
⇔ ( jω ) F (ω )
 dt n


dF ( ω )
 − jtf ( t ) ⇔
dω


d n F (ω )

n
 ( − jt ) f ( t ) ⇔
n
ω
d

1の逆 Fourier 変換

F(ω) = 1 のとき
f (t )
Fourier 核
∞
dω
jω t dω
F (ω ) e
e
∫=
∫
−∞
−∞
2π
2π
∞
Ω
dω
dω
sinΩt
2cosω t
lim ∫=
2cosω t
lim
∫=
0
0
Ω→∞
Ω→∞
2π
2π
πt
∞
jω t
≡ δ ( t ) (?)

Dirac のデルタ関数の条件を満たす(?)
Fourier 核の極限

デルタ関数の条件を満たす.

sinΩt
πt
超関数としてのデルタ関数
sinΩt
lim
φ ( t ) dt = φ ( 0 )
∫−∞ Ω→∞
πt
−
∞
(
π
Ω
π
π
Ω
t
)
−ε
∞
ε
sinΩ t
sinΩ t
φ ( t=
φ ( t ) dt
dt lim ∫ + ∫ + ∫
 ∫ lim
)
−∞ Ω →∞ π t
−ε
ε
Ω →∞ −∞
πt
ε sinΩ t
Ωε sin x
φ ( t ) dt φ ( 0 ) lim ∫
lim
dx
=
−
Ωε
→∞
Ω →∞ ∫− ε
Ω
πt
πx
2 ∞ sin x
φ=
dx φ ( 0 )
( 0 ) ∫0
x
π
∞
Ω
デルタ関数の Fourier 変換

1である.
sinΩt − jωt
∫−∞ Ω →∞ πt e dt = 1
∞

lim
Riemann-Lebesgue の定理
lim ∫=
e − jω tφ ( t ) dt 0,
b
ω →∞ a
∫
∞
−∞
 lim ∫ e − jω tφ ( t=
) dt lim
b
ω →∞ a

ω →∞
φ ( t ) dt < +∞
1
1
φ ( a ) e − jω a − φ ( a ) e − jω b ) + lim
(
ω →∞ jω
jω
Cauchy の積分定理の応用
∫
b
a
e − jω tφ ′ ( t=
) dt 0
運動方程式の Fourier 変換

運動方程式

x + 2ζω n x + ω n2 x =
f m
Fourier 変換すれば
x ( t ) ⇔ X (ω )


x ( t ) ⇔ jω X (ω ) 
 ⇒
2

x ( t ) ⇔ − ω X (ω ) 

f ( t ) ⇔ F (ω )


F (ω )
( −ω + j 2ζωnω + ω ) X (ω ) =m
2
2
n
伝達関数

伝達関数の定義
X (ω )
1m
G (ω ) ≡
= 2
F (ω ) ω n − ω 2 + j 2ζω nω


調和力の周波数応答関数(前述)G(ω) と同一
制御工学では Laplace 変換を用いる.
注:Laplace 変換と Fourier 変換

片側 Laplace 変換と Fourier 変換
f ( t ) : 0 ≤ t < +∞
σ + j∞

st ds
=
f
t
F
s
e
(
)
(
)
∫σ − j∞ I

2π j

 F ( s ) = ∞ f ( t ) e − st dt
∫0
 I
s=
σ + jω Re [ s ] > σ 0

f ( t ) : − ∞ < t < +∞
∞

jω t dω
ω
f
t
F
e
=
( ) ∫−∞ ( )

2π
⇔
s
jω 
 F (ω ) = ∞ f ( t ) e − jω t dt
∫−∞

−∞ < ω < +∞
収束条件がやや異なるが相互に誘導可能
単位インパルス応答

単位インパルス力

力がデルタ関数 = 力の Fourie 変換が1
f (t ) = δ (t ) ⇔ F (ω ) = 1

伝達関数 = 変位応答(単位インパルス応答)
X (ω )
⇒ G (ω ) ≡
= X (ω ) ⇔ x(t ) = g (t )
F (ω )
単位インパルス応答(cont.)

単位インパルス応答は伝達関数の逆 Fourie 変
換
dω
x=
( t ) g ( t ) ≡ ∫−∞ G (ω ) e
2π
∞
1m
jω t dω
=∫
e
−∞ ω 2 − ω 2 + j 2ζω ω
2π
n
n
∞
jω t
単位インパルス応答の別解釈

単位インパルス力のとき

力積(力の時間積分)は
∫
0 ( t < 0 )
f (τ )=
dτ ∫ δ ( t )=
dτ u=
(t ) 
単位ステップ関数
−∞
>
t
1
0
)
 (
t
t
−∞

したがって,t = 0 のときの運動量の変化(質量×速
度変動)は1である.
(
)
1 ⇒
m x ( 0+ ) − x ( 0− ) =
 x ( 0− ) = 0


+
 x ( 0 ) = 1 m
単位インパルス応答の別解釈
(cont.)

単位インパルス応答は次の初期条件のときの自
由振動とも等しい.
 x(0 ) ≡ x0 = 0

1

(
)
x
0
≡
v
=
0

m
弱減衰の単位インパルス応答

弱減衰(0<ζ<1)のとき

伝達関数分母の因数分解
{(
ωn2 − ω2 + j 2ζωn ω =
=

)
j ω + ωn 1 − ζ 2 + ζωn
}{ (
{ j ( ω + ω ) + σ}{ j ( ω − ω ) + σ}
d
d
伝達関数の Laplace 展開
=
G (ω)
1m
=
ωn2 − ω2 + j 2ζωn ω
j
2mωd
)
j ω − ωn 1 − ζ 2 + ζωn
j 2mωd
j 2mωd
−
j ( ω + ωd ) + σ j ( ω − ωd ) + σ


1
1
−


j
ω
jσ
ω
j
ω
jσ
ω
−
−
−
+
(
{ (
d )}
d )} 

 {
}
弱減衰の単位インパルス応答
(cont.)

弱減衰のときの単位インパルス応答
{
}
j
− σ + jω d )t
− σ − jω d )t
x (t ) =
g ( t ) ≡ F−1 G (ω )  = e (
u (t )
−e (
2mω d
 1 −σ t

e sinω d t  u ( t ) , u ( t )
=
 mω d


0 ( t < 0 )

1 ( t > 0 )
初期条件 x0=0, v0=1/m のときの自由振動(前述)
=
x ( t ) ae −σ t cos (=
ω d t + ϕ ) ae −σ t ( cosω d tcosϕ + sinω d tsinϕ )
=
x
v + σ x0
v
1 −σ t
1
e sinω d t , t > 0 , a = 0 , sinϕ = 0
= 0 =
mω d
cosϕ
aω d
aω d amω d
弱減衰の単位インパルス応答
(cont.)
ζ =0
ζ = 0.1
mg (t )
ω nt
ζ =
1
2
臨界減衰単位インパルス応答
G (ω ) =
ζ =1
1m
( jω + ω n )2
, g (t ) = F−1 [G (ω )] =
mg (t )
ω nt
1 −ω nt
e tu (t )
m
過減衰インパルス応答
ζ >1


1
1
−


2
2
 jω + ω n ζ − ζ − 1 jω + ω n ζ + ζ − 1 

−ω n  ζ + ζ 2 −1  t 
−ω n  ζ − ζ 2 −1 t
1

 



g (t ) = F−1[G (ω )] =
e
e
−
u (t )

2mω d 

1
G (ω ) =
2mω d
)
(
ζ =2 ζ =5
mg (t )
ω nt
(
)
任意の励振力に対する応答

Fourier 変換を用いて解く.

運動方程式

x ( t ) + 2ζω n x ( t ) + ω n2 x ( t ) =
f (t ) m

Fourier 変換して変位応答について解く.
X (ω ) = G (ω ) F (ω )

逆Fourier 変換で時間応答に変換する.
−1
x ( t ) F=
=
 X (ω )  F−1 G (ω ) F (ω ) 
畳み込み積分

畳み込み積分(convolution integral)
∫
∞
−∞

=
f1 (τ ) f 2 ( t − τ ) dτ ⇔ F1 (ω ) F2 (ω )
∫ {∫
∞
∞
−∞
−∞
∫
∞
−∞
}
f1 (τ ) f 2 ( t − τ ) dτ e − jω t dt
f1 (τ ) e
f1 ( t ) f 2 ( t )
− jωτ
{∫
∞
−∞
f2 (t −τ ) e
− jω ( t −τ )
dγ
⇔ ∫ F1 (γ ) F2 (ω − γ )
−∞
2π
∞
}
dt =
dτ F1 (ω ) F2 (ω )
任意の励振力に対する応答

畳み込み積分によって計算する.
−1
=
x ( t ) F=
ω ) F (ω ) 
 X (ω )  F−1 G (=
=
∞
t
0
−∞
∫ g (τ ) f ( t − τ ) dτ = ∫
∫
∞
−∞
g (τ ) f ( t − τ ) dτ
g ( t − τ ) f (τ ) dτ
f (t )
τ
f (τ )
t
g (t − τ )
例題:単位ステップ応答

力が単位ステップ関数(Heaviside関数)のとき
0 ( t < 0 )
f=
( t ) u=
(t ) 
1 ( t > 0 )

畳み込み積分を用いて計算する.
∞
1
dτ ∫ g (τ ) =
dτ
x=
( t ) ∫−∞ g (τ ) f ( t − τ ) =
0
mω d
1
=
mω d
t
∫
t
0
e −στ sinω dτ dτ
 1

1 −σ t
σ −σ t
σ2
cos
sin
−
−
−
e
ω
t
e
ω
t
m
ω
x
t

d
d
d ( )
2
2
ω
ω
ω
ω
d
d
d
 d

例題:単位ステップ応答

したがって
m (ω d2 + σ 2 ) x ( t ) =
1 − e −σ t cosω d t −
∴ kx ( t ) =
1 − e −σ t cosω d t −
1 
1
1
x ( t ) =−
e −σ t

k 
1−ζ 2
σ −σ t
e sinω d t
ωd
σ −σ t
e sinω d t
ωd

1 − ζ cosω d t + ζ sinω d t 


1 
1
−σ t
e cos (ω d t + φ ) 
=
1 −
2
k 
1−ζ

=
φ tan −1 −
ζ
1−ζ 2
(
2
)
例題:単位ステップ応答(cont.)

図に示す.
ζ = 0 ζ = 0.1
ζ =
1
2
kx(t )
ω nt
例題:単位ステップ応答(cont.)

Fourier 変換を用いて解く.

単位ステップ関数(Heaviside関数)の導関数はデル
タ関数である.
∞
∞
−∞
0
∫ u ( t ) φ ( t ) d t = ∫ φ ( t ) dt
u ( t ) φ ( t ) 
∫ u ′ ( t ) φ ( t ) dt =
∞
−∞
テスト関数∈C0∞
∞
∞
∞
−∞
0
∞
φ ( 0)
− ∫ u ( t ) φ ′ ( t ) dt =
− ∫ φ ′ ( t ) dt =
φ ( t )  0 =
−∞
∞
⇔ ∫ δ ( t ) φ ( t ) dt =φ ( 0 ) ⇒ u ′ ( t ) =δ ( t )
−∞

単位ステップ関数のFourier 変換はデルタ関数の積
分 1/jω で与えられる.
例題:単位ステップ応答(cont.)

単位ステップ応答の Fourier 変換は
G (ω )
1m
A
B
C
=
=
+
+
jω
jω (ω n2 − ω 2 + j 2ζω nω ) jω jω + (σ + jω d ) jω + (σ − jω d )
1 1
1
1
1
1
=
+
−
k jω j 2mω d (σ + jω d ) jω + (σ + jω d ) j 2mω d (σ − jω d ) jω + (σ − jω d )
σ + jω d
1 1 σ − jω d
1
1
=
+
−
k jω
j 2kω d jω + (σ + jω d ) j 2kω d jω + (σ − jω d )
例題:単位ステップ応答(cont.)

単位ステップ応答は逆 Fourier 変換によって得られ
る.
 1 1 σ − jω d

σ + jω d
1
1
F−1 
x (t ) =
+
−

2
2
k
j
ω
j
k
ω
j
ω
σ
j
ω
j
k
ω
j
ω
σ
j
ω
+
+
+
−
(
)
(
)
d
d
d
d 

1
1
u (t ) +
=
(σ − jω d ) e−(σ + jωd )t − (σ + jω d ) e−(σ − jωd )t
k
j 2kω d
{
}
1
1
− σ + jω d )t
 =1 u ( t ) + 1 e −σ t ( −σ sin ω d t − ω d cos ω d t )
Im (σ − jω d ) e (
= u (t ) +
 k
k
kω d
kω d

1 
1
ζ
−σ t
φ tan −1 −
e cos (ω d t + φ )  ,=
=
u ( t ) −
k 
1−ζ 2
1−ζ 2

例題:調和応答

力が調和関数のとき
f ( t ) = cosω 0t
F (ω )
=
∞
∞
cosω t e
dt ∫ cosω tcosω t dt
∫=
dt πδ (ω
∫ {cos (ω + ω ) t + cos (ω − ω ) t} =
−∞
− jω t
0
0
−∞
∞
0
0
0
πδ (ω 0 + ω )
− ω0
F (ω )
πδ (ω 0 − ω )
ω0
ω
0
+ ω ) + πδ (ω 0 − ω )
例題:調和応答(cont.)

調和力に対する変位応答
dω 1 ∞
jω t
dt
ω )e
ω
δ
ω
ω
δ
ω
ω
x ( t ) ∫ G (ω ) F=
G
+
+
−
e
(
)
(
)
(
)
(
{
}
0
0
∫
−∞
−∞
2π 2
1
Re G (ω 0 ) e jω0t 
= G ( −ω 0 ) e − jω0t + G (ω 0 ) e jω0t =
2
1m
cos (ω 0t + φ )
2
2
(ωn2 − ω02 ) + ( 2ζωnω0 )
∞
jω t
{
φ tan −1 −
=

}
2ζω nω 0
ω n2 − ω 0 2
前述の結果と同一
高速 Fourier 変換:FFT

高速 Fourier 変換の導出

Fourier 変換を離散化


離散 Fourier 変換を有限周期化


離散 Fourier 変換
離散Fourier 級数
サンプル数を2のべき乗化

高速 Fourier 変換
離散 Fourier 変換

Fourier 変換の時間関数を離散化
F (ω ) = ∫
∞
−∞
Fˆ (ω )
=
=
∫
∞
−∞
∞
∑
l = −∞
f ( t ) e − jω t dt
Fourier 変換
fˆ ( t ) e − jω t dt
=
f ( l ∆t )e
− jω l ∆t
=
∞
∞
∫ ∑
−∞
l = −∞
∞
∑
f ( t )δ ( t − l ∆t ) e − jω t dt
l = −∞
fˆl e − jω l ∆t
f (t )
離散 Fourier 変換

fl
ω
 − ∆t 0 ∆t 
離散 Fourier 級数(cont.)

離散 Fourier 変換の時間関数を周期化
T = N ∆t =
2π
∆ω
N −1

− jk ∆ω l ∆t
 Fˆk = ∑ fˆl e
離散 Fourier 級数

l =0
⇒ 
N −1
 fˆ = ∆ω
ˆ e jk ∆ω l ∆t
F
∑
 l 2π k =0 k

T
Fast Fourier Transform

離散 Fourier 級数表記の簡略化

サンプル数が N = 2n = 23 = 8 のとき
2π
N −1
N −1

− j kl
N
2π 
= ∑ f̂ lW kl
 F̂k = ∑ f̂ l e
∆t = 1 ⇔ N =
l =0
l =0
∆ω  ⇒ 
2π
2π
−
N −1
N
1
j kl
−j
1
1


N
= ∑ F̂kW −kl
f̂ =
F̂k e
W =e N

 l N k∑
N k =0
=0

 F̂0  W 0
   0
 F̂1  W
 F̂2  W 0
   0
 F̂3  W
 = 0
 F̂4  W
 F̂5  W 0
   0
 F̂6  W
 F̂  W 0
 7 
W0
W1
W2
W3
W4
W5
W6
W7
W0
W2
W4
W6
W0
W2
W4
W6
W0
W3
W6
W1
W4
W7
W2
W5
W0
W4
W0
W4
W0
W4
W0
W4
W0
W5
W2
W7
W4
W1
W6
W3
W0
W6
W4
W2
W0
W6
W4
W2
W 0   f̂ 0 
 
W 7   f̂1 
W 6   f̂ 2 
 
W 5   f̂ 3 
 
W 4   f̂ 4 

3  
W  f̂ 5
 
W 2   f̂ 6 
W 1   f̂ 7 
ユニタリ行列
(共役転置行列=逆行列)
掛け算の回数: N2 回
Fast Fourier Transform(cont.)

2つに分割
 F̂0  W 0
   0
F̂2  W
 = 0
F̂4  W
 F̂6  W 0
  
 F̂1  W 0
   0
 F̂3  W
 = 0
 F̂5  W
F̂7  W 0
  

 F̂0  W 0
W 0 W 0 W 0   f̂ 0 + W 0 f̂ 4 
 = 0

0
2
4
6 
W W W   f̂1 + W f̂ 5 
F̂4  W
⇒
0
4
0
4 
F̂2  W 0
W W W  f̂ 2 + W f̂ 6 

 = 0
W 6 W 4 W 2   f̂ 3 + W 0 f̂ 7 
 F̂6  W
W 1 W 2 W 3   f̂ 0 + W 4 f̂ 4 


W 3 W 6 W 1   f̂1 + W 4 f̂ 5 
⇒
4
5
2
7 
W W W  f̂ 2 + W f̂ 6 

W 7 W 6 W 5   f̂ 3 + W 4 f̂ 7 
W 0   p1 + W 0 p3 


W 4   p1 + W 0 p4 
W 2   p1 + W 4 p3 


W 6   p1 + W 4 p4 
W0 = 1, WN/2 = W4 = −1 を考慮すれば、掛け算の
回数は nN/2 回に減少する.
Fly UP