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Taylor展開に関する解説
Taylor Expansion 1 05/29/2000 力学・補助教材 (新田英雄) テイラー展開 ここでは、ちょっと変わったやり方で、テイラー展開 ∞ 1 (n) f (a)xn n! n=0 f (x + a) = = (1) = が成り立つことを示す [1]。 て,何回でも微分できる関数 f (x) があるとする.こ · · · + Cm · m · (m − 1)xm−2 + · · · ∞ = Cm+1 (m + 1)mxm−1 のような関数は,一般に、次のような x の多項式の無 限級数の形に表すことができる: f (x) = Cm xm (2) = m=0 と f (x + a) は f (x + a) = Cm (x + a)m f (l) (x) = (3) = m=0 (x + a)m = l=0 m! xm−l al (m − l)!l! (4) Cm+l ∞ m (m + l)! m x m! Cm m! xm−l al (m − l)!l! (5) 一 方,式 (2) を 微分 して いく と (m 階 の 微分 を f (m) (x) と表して) ∞ d Cm xm dx m=0 d (C0 + C1 x1 + C2 x2 + C3 x3 + dx · · · + Cm xm + · · ·) = C1 + C2 · 2x1 + C3 · 3x2 + · · · + Cm · mxm−1 + · · · ∞ = Cm+1 (m + 1)xm げていって,x のべきが常にゼロからスタートするよ ∞ f (x) = d (1) f (x) dx Cm+l (m + l)! m a m! (7) が成り立つことがわかる.これから ∞ ∞ ∞ 1 (l) (m + l)! m l f (a)xl = a x Cm+l l! l!m! m=0 l=0 (8) l=0 という式が得られる.ここで l = n − m と置き換え て,l と m の和を m と n のものに変換すると (l ≥ 0 だから m ≤ n という制限が加わることに注意して), 式 (8) は ∞ ∞ n 1 (l) n! l f (a)x = am xn−m Cn l! (n − m)!m! n=0 m=0 l=0 (9) となる.この右辺は式 (5) の右辺と一致しているから (l = n とおき直して) m=0 (2) (6) うに調節した.最後の式から m=0 と書き直される. = m=0 ∞ Cm+l (m + l)(m + l − 1) · · · (m + 1)xm f (l) (a) = m=0 l=0 f (1) (x) = ··· ∞ となる.ただし,1 回微分するごとに和の添え字を上 だから,式 (3) は f (x + a) = Cm+2 (m + 2)(m + 1)xm m=0 となる.ここで 2 項定理から m m=1 ∞ m=0 係数 Cm はゼロをとっても構わない.(2) 式を用いる ∞ d (C1 + C2 · 2x1 + C3 · 3x2 + dx · · · + Cm · mxm−1 + · · ·) = C2 · 2 · 1 + C3 · 3 · 2x1 + いま,考えている x の範囲(変域)では発散しなく ∞ ∞ d Cm+1 (m + 1)xm dx m=0 f (x + a) = ∞ 1 (n) f (a)xn n! n=0 (10) Taylor Expansion 2 を得る.これは,テイラー展開の公式である. けて書くと 特に、a = 0 としたもの f (x) = ∞ 1 (n) f (0)xn n! n=0 f (2m) (x) = (11) f (2m+1) (x) = はよく用いられる。これをマクローリン展開と呼ぶこ とがある。 0.1 d2m cos x = (−1)m cos x dx2m d2m+1 cos x = (−1)m+1 sin x dx2m+1 (m = 0, 1, 2, 3, · · ·) (18) となる。x = 0 を代入すると f (2m) (0) テイラー展開の例 f (2m+1) (0) = (−1)m cos 0 = (−1)m = (−1)m sin 0 = 0 1. (m = 0, 1, 2, 3, · · ·) f (x) = ex (12) であるから、(11) 式では n = 偶数 = 2m の項だ けが残って exp(x) は、何回微分しても exp(x)、つまり f (n) (x) = ex cos x = (13) (14) ∞ 1 n x n! n=0 3. 1 f (x) = √ 1−x f (1) (x) = f (2) (x) = 2. ··· (16) コサインは、一回微分するとサインになり (マイ になる。この繰り返しで f (2) (x) = f (3) (x) = f (4) (x) = (22) くと 1 3 1 √ = 1 + x + x2 + · · · 2 8 1−x (23) となることがわかる. − sin x, d (1) f (x) = − cos x, dx d (2) f (x) = sin x, dx cos x ··· 1 (1 − x)−3/2 2 1·3 (1 − x)−5/2 2·2 となる。マクローリン展開の最初の 3 項までを書 ナスがつくが)、サインを一回微分するとコサイン f (1) (x) = (21) 微分していくと (15) を得る。 f (x) = cos x (20) に具体的に各項を書き並べて計算してみなさい。) を代入すると、 ex = ∞ (−1)m 2m x (2m)! m=0 となる。(よく分からなくなった人は、(6) 式のよう であるから、(11) 式に f (n) (0) = e0 = 1 (19) 参考文献 [1] 新田英雄「物理と特殊関数」(共立出版) (1997) (有馬朗人・大槻義彦編「物理数学 One Point」 (17) これより、奇数回微分したものはサインに、偶数 回微分したものはコサインになり、符号はサイン・ コサインが一巡りする毎に代わることが分かる。 そこで f (n) を、n が奇数のものと偶数のものに分 第 16 巻)