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メキシコ湾深海の探査を開始したキューバの石油産業
JPEC レポート JJP PE EC C レ レポ ポー ートト 第 10 回 2012年度 平成 24 年 6 月 25 日 メキシコ湾深海の探査を開始したキューバの石油産業 ベネズエラと中国の協力で製油所や LNG 基地、化学プラント建設も計画 キューバ待望の海洋油田探査の掘削が今年 2 月から開始され、最初の試掘はドライであっ たが、同国北西沖、メキシコ湾の探鉱開発には、スペインやノルウェー、ベネズエラのほか 中国、マレーシア、インド、ベトナムといったアジア諸国、さらにロシア、アンゴラも参画 しており、世界の石油企業が注目している。こうした探鉱開発と併行し、中下流分野でも製 油所の増強・近代化プロジェクトや LNG 輸入・利用プロジェクト、石油化学・化学肥料プ ラント建設といった大型計画が打ち出されており、中国やベネズエラ、ロシアなどが協力 を表明している。 1.キューバの石油需給 1990 年代初頭まで 2 万 b/d 以下しかなかったキューバの石油生産は、1990 年代後半から 拡大し、2000 年代に入って 5 万 b/d を突破したが、その後は停滞しており、ほぼ横ばいで 推移している(図-1 参照)。 生産中の油田は、首都ハバナの東側、北部沿岸に位置するブロック 7(ページ 6 図 4 参照) の陸上および浅海域に集中しており、大部分は重質のサワー原油である。 1 JPEC レポート (単位 :Bcf) カナダ Sherritt International が国営石油会社の Union Cubapetroleo(Cupet)と共同 でPuerto Escondido、 Yumuri、 VaraderoおよびVaradero Westを操業しているほか、 Pebercan も、Canasi、Seboruco、Santa Cruz の過半の権益を保有していたが、2009 年に撤退した。 天然ガスも 1990 年代後半から増加し、年間 410 億 cf 程度の生産がある(図-2 参照)。 石油の消費は、旧ソ連の支援があった 1990 年まで 21-23 万 b/d あったが、現在は 16-17 万 b/d 程度に減少している。しかし、生産が 5 万 b/d しかなく、11-12 万 b/d をベネズエラ などからの輸入に頼っている。 キューバの石油精製能力 (公称) は3カ所の製油所で合計約30万b/dあるが、 Ñico López(La Habana)製油所および Hermanos Díaz(Santiago de Cuba)製油所は 1950 年代の老朽化した設 備であり、1980 年代後半に旧ソ連の支援で建設した Cienfuegos 製油所もソ連崩壊で 2007 年まで稼働しておらず、実働能力は大幅に下回っていた。このため 2007 年までは、原油の 輸入が4 万b/dに対して石油製品としての輸入が6 万b/d あった。 3製油所のうちCienfuegos 製油所は、ベネズエラ国営石油会社の Petroleos de Venezuela S.A.(PDVSA)が Cupet と の合弁会社 Cuvenpetrol を設立して改修、2008 年から操業を開始しており、現在では原油 の輸入が 9 万 5,000b/d、石油製品が 2 万 5,000b/d となっている。 この Cienfuegos 製油所向けなどキューバへの原油供給の大半は PDVSA が担っている。ベ ネズエラ・チャベス大統領は、輸入原油に依存している中米・カリブ諸国にベネズエラから 安価な原油を供給することで影響力拡大を狙い、2005 年 6 月の第 1 回カリブ・エネルギ 2 JPEC レポート ーサミットでペトロカリブ・エネルギー協定を締結したが、これによりキューバに対して国 際価格を下回る価格で 9 万 8,000b/d の原油供給を確約している。 支払い条件は、原油価格にスライドし、50 ドル以上の場合は代金の 40%に長期(25 年間) の低利(年間1%)融資が適用される。さらに支払いには、原油輸入国の農産物などを充て ることも可能で、キューバの場合には、ベネズエラへの医師派遣といったサービス役務の提 供も認められている。 2.キューバの石油埋蔵量とメキシコ湾の鉱区開放 こうしたキューバの石油産業が俄に注目されるようになったのは 2000 年の海洋鉱区開 放と各国石油会社の相次ぐ参入、そして 2004 年に米国地質研究所(USGS:U.S.Geological Survey)が発表した North Cuba Basin 未発見石油ガス資源評価(Assessment of Undiscovered Oil and Gas Resources of the North Cuba Basin, Cuba, 2004)などから である。 USGS によれば、キューバ北西部の海域および陸域には、46 億 bbl の石油、9 兆 8,000 億 cf の天然ガス(うち 8 兆 6,000 億 cf が随伴ガス)、9 億 bbl の NGL があり、その 70% 以上は North Cuba Foreland Basin に眠っているとされる(図-3、表 1、2、3 参照)。 一方、キューバは 2008 年 11 月、キューバ沖合には 200 億 bbl の未発見資源があると発 表した。ただ、200 億 bbl という数字は、USGS の評価において 5%の確率でしか存在しない 3 JPEC レポート と推定される埋蔵量(F5 値が 93 億 bbl)の 2 倍以上というあまり に楽観的なものであり、キューバ 側も 2010 年 4 月に 50-90 億 bbl に修正している。 キューバの石油生産は 1930 年 代から行われており、1940 年代か ら 50 年代にかけては、 主に米国の 石油企業と投資家がキューバのパ ートナーと共同で、La Habana、 Matanzas および Las Villas の浅 海域を中心に探鉱開発を進めた。 当時、キューバの石油産業に進出 していたのは、Kerr-McGee、Gulf Oil 、 Standard Oil of New Jersey(ESSO)、Standard Oil of Indiana(Amoco)などである。これ により Jatibonico や Jarahueca、 Motembo、Bacuranao といった油田 が発見されたが、大規模なものは なく、 革命直前の 1958 年の生産は 1,000b/d 未満だったとされる。 革命後の 1960 年代は探鉱成果 がほとんどなかったが、旧ソ連の 支援と 1971 年の Varadero 油田の 発見などを経て、原油生産は、1980 年には 5,000b/d、1980 年代中期には 1 万 8,000b/d に まで拡大した。 1990 年代に入ってからは、ソ連崩壊に伴い外国企業の参入を促すため、1992 年に基礎産 業省(Minbas)の下に国営石油会社の Cupet を創設、1993 年から陸上および沿岸部の計 33 鉱区を対外開放した。これにより、フランス Total、スウェーデン Taurus、カナダ Sherritt (Northwest Energy)や Talisman、ブラジル Petrobras(Braspetro)が参入した。このう 4 JPEC レポート ち、最も成功したのは Sherritt で、同社は現在に至るもキューバにおけるメインプレーヤ ーである(表-4)。 そして 1999 年には、北西部沖合の 59 鉱区の対外開放が発表された。総面積は 11 万 2,000km2 に及び、平均深度は 2,000mから最大で 4,000m。これらの鉱区に、スペイン Repsol-YPF、Statoil、インド ONGC(ONGC Videsh)、Sherritt、Petrobras、PDVSA、マレ ーシア Petronas、ベトナム PetroVietnam、ロシア Gazprom(GazpromNeft)、中国石油天 然ガス集団公司(CNPC)、アンゴラ Sonangol など米国を除く全世界の石油企業が参加する ことになった。 このほか陸上鉱区には、Sherritt を初め PDVSA、PetroVietnam、ロシア Zarubezhneft、 中国石油化工集団公司(Sinopec)が参入している。 3.探鉱開発動向と主要プレーヤー Sherritt(カナダ) 同社はカナダ資源大手であり、キューバにおいては Moa ニッケル・コバルト鉱山を開発 したほか電力会社の Energas にも参加している。 石油開発には 1991 年に Northwest Energy を買収して参入、これまでのところキューバで最も成功した外国企業の 1 つであり、200 坑の油井を掘削し、 320 以上の改修を行ってきた。 現在、 ブロック7の Yumuri および Puerto Escondido、Varadero Weat の 3 油田で原油を生産している。同社は、CO2 インジェクショ ンなどの EOR によって、既存油田の回収率向上を目指している。 なお、同社は 2002 年にブロック N16、N23、N24、N33 を取得したが、撤退した。 5 JPEC レポート Repsol-YPF(スペイン) ハバナ沖合の西から東に拡がるブロック N25、N26、N27、N28、N29、N35、N36 の連続した 海洋鉱区を取得した。 その後、 Norsk Hydro(現 Statoil)と ONGC も各 30%の権益で参加した。 2012 年 1 月に、イタリア ENI 傘下の Saipem が中国煙台来福士造船廠で建造したリグ (Scarabeo 9)がハバナ沖に到着、2 月から水深 1,700m の大水深で掘削キャンペーンを開 始したが、5 月 18 日段階で、今回の試掘井はドライであったと発表された。Repsol は、こ の掘削に 1 億 5,000 万ドルを費やしたが、今後はブラジルやアンゴラなどの探査に集中する ため、キューバから撤退する。 Repsol は 2004 年 6 月に沖合約 30km、水深約 1,600m の地点で探査を実施し、良質の原油 を発見したが、商業量には届かず、今回の掘削に期待していた。当時の Repsol のコメント によれば、16 億 bbl の埋蔵量が確認される可能性があり、商業規模の発見に成功すれば、 2015-2017 年頃には生産開始にこぎ着けることができるとしていた。 なお、米国側では 2010 年の BP による原油流出という苦い経験があり、キューバ側での掘 削開始に懸念を表明している。 ONGC(中国) 2005 年 6 月に前述した Repsol の鉱区に 30%の権益で参加しているほか、2006 年 9 月に Repsol の鉱区(ブロック N36)の西側に位置するブロック N34,N35 の PS 契約を締結した。 ONGC にとって中南米初のオペレーター事業で、100%の権益を保有するが、Cupet が 20% 6 JPEC レポート の権益を取得する権利をもつ。ONGC は 6 年間・3 期にわたって作業を行う計画で、2009 年 下期から 3D 震探作業を開始した。 なお、インドとキューバは、炭化水素協定を締結して、海洋油田開発に続いて精製プロ ジェクトなど中下流分野の協力も進める方針とされる。 Statoil(ノルウェー) 2005 年 6 月に ONGC とともに前述した Repsol の鉱区に 30%の権益で参加した。 PDVSA(ベネズエラ) キューバとベネズエラは、セメントプラントや通信事業、石油精製・石油化学、LNG、鉱 業、農業、漁業、観光など多くの分野で協力協定に調印しているが、その一環として PDVSA は、2006 年 5 月にキューバ最西部の陸上鉱区である Pinar del Rio のブロック 2 と西側に 隣接する浅海域のブロック1、さらにその西側に接するブロック N53、N54、N58、N59 を取 得している。 南米左派政権の象徴ともいえるベネズエラのチャベス大統領はキューバを全面支援して おり、前述したように PDVSA もペトロカリブ・エネルギー協定による安価な原油の供給、 Cienfuegos 製油所の改修などを進めてきた。 今後もさらに協力を拡大する意向とされるが、 チャベス大統領の政治信条に負うところが大きく、極めて政治色の強いものであり、キュー バにとっては、チャベス大統領の病状や世論動向に左右される危険性を孕んでいる。 Petronas/GazpromNeft(マレーシア/ロシア) 2006 年に Pinar del Rio 北西部沖合のブロック N44、N45、N50、N51 の 4 鉱区を取得した。 その後、2011 年に Gazprom の石油子会社である GazpromNeft に 30%の権益をファームアウ トし、PS 契約の補足契約に調印、マレーシア・ロシア連合でキューバ大水深の探鉱開発に 挑戦する。2012 年 2 月から Repsol が使用していた Scarabeo 9(海上掘削リグ)は、5 月 24 日から Catoche-1X に移動して Petronas が作業を開始している。 PetroVietnam(ベトナム) 2007 年 6 月のベトナム共産党ノン・ドク・マイン書記長のキューバ訪問を機に、Pinar del Rio 北西部沖合(Petronas の鉱区のさらに北西側沖合)のブロック N31、N32、N42、N43 と東部陸上 Camagüey のブロック 16、Las Tunas のブロック 17、Holguín のブロック 18 に 関する PS 契約を締結した。このうち深海鉱区については、ベトナム国内の Bach Ho 油田で 協力関係にあるロシア Zarubezhneft が協力することになり、2009 年 8 月に共同探査の覚 書に調印した。 7 JPEC レポート PetroVietnam は、1990 年代末から海外進出に意欲を示し、最近ではアジア近隣諸国以外 にキューバ、ボリビア、ベネズエラ、ペルー、ニカラグアなどで南米が重点地域となって いる。 Zarubezhneft(ロシア) 石油産業向けロシア製機器の提供や前述した PetroVietnam とのキューバ深海鉱区での 協力などに続き 2009 年 11 月、 ロシア石油企業として約 20 年ぶりに本格的なキューバ復帰 を果たした。これにより、Matanzas と Villa Clara の陸上ブロック9および 12、Matanzas 北部沖合のブロック III、Villa Clara 北東沖合のブロック L の計 4 鉱区について 2034 年 までの PS 契約に調印した。また、ブロック 7 に位置する Boca de Jaruco 油田の EOR 事業 にも合意した。同社は 4 鉱区のうちブロック L のみに集中する方針で、すでに 3-D 震探作 業を完了している。 なお、同社は 2010 年 6 月、キューバに代表事務所を開設している。 CNPC(中国) 2011 年 6 月、キューバを訪問した中国の習近平国家副主席とラウル・カストロ議長の立 会いのもと、CNPC と Cupet はキューバ海洋油田の開発に向けて石油分野の協力枠組協定に 署名した。 この協定には、 北西部沖合 (PetroVietnam の鉱区の北側に接する) ブロック N19、 N20、N21、N22、N30 の探査が含まれている。 これまでも CNPC は、 傘下の長城鑽探工程公司がキューバ陸上鉱区ので数多くの掘削作業 に従事してきたほか、傘下の中国寰球工程公司(HQCEC)が Cienfuegos の LNG 受入・再ガス 化ターミナル建設、Technip と協力して Cienfuegos 製油所の拡張にも取り組んでいる。 Sinopec(中国) 2005 年 1 月に Pinar del Rio(PDVSA の鉱区の東側に接する)陸上ブロック 3 に関する PS 契約に調印した。その前年の 11 月に胡錦濤国家主席がキューバを訪問してニッケル開 発など 16 項目の経済協力協定に調印しており、 これを期に両国の経済協力が強化されてい った。 なお、Sinopec 傘下の中国石化科技開発公司は、キューバ Matanzas 製油所プロジェクト に流動接触分解設備(FCCU)やディレードコーカー(DCU)、水素製造設備の技術供給を行 っている。 8 JPEC レポート Sonangol(アンゴラ) 2010 年 12 月に Pinar del Rio 北部沖合の大水深ブロック N23 と N33 の 2 鉱区に関して PS 契約に調印した。両鉱区とも Sherritt が撤退した鉱区である。 Sonangol は、Cupet と協力してベネズエラの油田開発にも乗り出しているほか、Cupet はアンゴラの飛び地である Cabinda の油田開発に参加するなどキューバと密接な関係にあ る。これは、1974 年からのアンゴラ内戦において、キューバが重要な軍事的支援を与えた ことに由来するものとみられる。 Petrobras(ブラジル) 同社のキューバにおける探鉱開発は 2 度にわたり失敗した。最初は 1998 年から 3 年間に わたり、Sherritt と共同でキューバ中部の Ciego de Avila 沖合の鉱区を探査したが、石油 の発見には至らなかった。 その後、2008 年 10 月にハバナ沖合の東側、既存油田の集中するブロック 7 の北側に隣 接するブロック N37 を取得し、2009 年 7 月にはハバナに事務所を開設、世界有数の大水深 開発企業である Petrobras のキューバ復帰として注目されたが、2011 年 3 月に、ブラジル での探査に集中するとして撤退を表明した。 Pebercan(カナダ) キューバの既存油田地帯であるブロック 7 で Sherritt と協力して原油生産および探査 を行い、ブロック 12、13、14、15 でも探査を続けていたが、2009 年 1 月に、PS 契約の契 約満了(2018 年)を待たずに早期の解消を受け入れ、権益を Cupet に売却して撤退した。 4.製油所、LNG 輸入ターミナル建設計画 キューバの石油精製事業は La Habana の東、Regla でスタートし、革命前に Esso および Shell が製油所を建設した。その後、両製油所は統合されて La Habana(Ñico López)製油所 となった。東部の Santiago de Cuba でも Texaco が Santiago de Cuba(Hermanos Díaz)製油 所を建設した。 1985 年から 1991 年にかけてから旧ソ連が南部の Cienfuegos で建設した製油所は、ソ連 崩壊で稼働しないままであったが、ベネズエラの協力を得て改修され、2008 年から操業を 開始した。 現在の原油精製能力(公称)は、Ñico López 製油所が 12 万 2,000b/d、Hermanos Díaz 製油所が 10 万 1,000b/d、Cienfuegos 製油所が 7 万 6,000b/d。 9 JPEC レポート このほか、Cabaiguan(Sergio Soto)にトッピングユニットが残っているが、精製能力は 2,100b/d と小規模である。 こうしたキューバ精製事業の近代化・増強には、ベネズエラと中国が協力する。 2008 年にカストロ議長がベネズエラを訪問、Santiago de Cuba 製油所の増強と北部の Matanzas で新製油所を建設することに合意した。 Matanzas 製油所の精製能力は15 万b/d で、 建設コストは 40 億ドルとされる。同製油所には、Sinopec 傘下の中国石化科技開発公司が、 233 万 t/y の流動接触分解設備(FCCU)、346 万 t/y ディレードコーカー(DCU)、5 万 m3/h 水素製造設備の技術供給を行っている。 中国とキューバは 2011 年 6 月、 中国の習近平副主席とキューバのカストロ国家評議会議 長の立ち会いのもと、Cienfuegos 製油所の増強・近代化プロジェクトなど 10 項目の協力協 定に調印した。 うち、Cienfuegos 製油所増強・近代化については、CNPC 傘下の中国寰球工程公司(HQCEC) およびフランス Technip イタリア法人が発注内示書 (L/I)に調印した。同製油所を 15 万 b/d に拡張する計画で、 HQCEC にとっては、 海外初の本格的な製油所案件となる。 Cienfuegos 製油所は、旧東独の Schwedt 製油所と類似した構成で技術的進歩に取り残され、トッパー や流動接触分解解設備(FCCU)の近代化のほか、最新鋭の水素化分解設備(HDU)、連続触 媒再生式接触改質設備(CCRU)などの二次処理設備の導入が必要。 Cienfuegos 製油所近代化には 54 億 4,000 万ドル、Matanzas 製油所の新設は 75 億 7,000 万ドル、Hermanos Diaz 製油所拡張は 6 億 2,200 万ドルの資金が必要になると試算されて いるが、中国進出口銀行(China Eximbank)がベネズエラの原油を担保に融資を検討して いるという。 製油所近代化のほか、HQCEC は、年間受入量 200 万トンの LNG 受入・再ガス化プラントの 建設および港湾の浚渫についても L/I を締結している。ベネズエラでは、Gran Mariscal de Ayacucho ガスコンプレックスで LNG プラント建設が計画されており、年間 200 万トンをキ ューバに入れて、気化ガスを化学肥料と化学製品および発電プラントで使用する計画。LNG 供給が遅れる場合は、一時的にトリニダードトバゴやアフリカ諸国から供給する。 また、天然ガスを原料とする 60 万 t/y のアンモニアプラントと 72 万 t/y の尿素プラン ト、150MW の発電プラントなども建設する。 10 JPEC レポート 肥料計画では 2010 年 5 月、アンモニア技術を Haldor Topsoe、尿素技術を東洋エンジニ アリング(TOYO)が供与した。TOYO によれば、この尿素プラントはキューバ初の大粒尿素 設備で、キューバ政府の方針に沿って最新・高効率、省エネルギー型技術に基づく高品質 な製品を生産し、輸入品の代替および輸出市場の獲得を狙ったものになる。 参考 ・Cuba Energy 2010‐2015(Institute of the Americas) ・Assessment of Undiscovered Oil and Gas Resources of the North Cuba Basin, Cuba, 2004(U.S. Geological Survey) ・Cuba’s Offshore Oil Development: Background and U.S. Policy Considerations(Congressional Research Service) ・世界製油所関連最新情報(石油エネルギー技術センター) ・East & West Report(東西貿易通信社) 本資料は、一般財団法人 石油エネルギー技術センターの情報探査で得られた情報を、整理、分析 したものです。無断転載、複製を禁止します。本資料に関するお問い合わせは [email protected] までお願いします。 Copyright 2012 Japan Petroleum Energy Center all rights reserved 11