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VOL.57 SUMMER Lemon Yellow in Cuba

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VOL.57 SUMMER Lemon Yellow in Cuba
1984年に建てられたサン・フランシスコ修道
院は,学校の校舎として使われていた時期を
経て、今は革命博物館になっている。サンティ
シマ教会付近からの風景は、25¢コインのモ
チーフとなっている(左)
。
クラシックカーはキューバのシンボル。キュー
バ革命前のアメリカ車や革命後に国交を結ん
だソ連車を修理しながら大事に乗り継いでき
た。外側だけ残してすべて改造している車も
珍しくない。観光客用にクラシックカーのタク
シーもある。
(右)
。
カリブ海の真珠
キューバの未来に
モヒートで乾杯!
キ
ューバは「カリブ海の真珠」とい
に、オレンジやブルー、ピンクやレモン
われる風光明媚な島国だ。本島
イエローにペイントされたカラフルで
は日本の本州の半分ほどで、ほかに
ポップな壁の家並みが続く。かつての
1600余りの島や岩礁から成り立って
宗主国、スペインの影響を受けながら
いる。美しい海岸線にはビーチリゾー
も、カリブの島国らしい個性を、町の
トが点在し、カナダや欧米からの観光
あちこちに見ることができる。
客で賑わう。内陸には山脈が走り、平
ところでヘミングウェイはサトウキビを
地にはサトウキビ畑やオレンジ畑が広
原料としたラム酒のカクテルを好んだ
がっている。町にはコロニアル風のレ
そうだが、ミントの葉がたっぷり入った
トロな建物が残り、1950年代のクラ
ラム・ベースのモヒートは、この町でも
シックカーや馬車が当たり前のように
愛飲されている。最近は日本でも人気
行き交う。文豪アーネスト・ヘミング
で、専門店ができるほどだ。もしかし
ウェイはキューバを愛し、20年間暮ら
たら島国同士、嗜好が相通じるのかも
したというが、この国は当時の姿をタ
しれない。ちなみに日本とキューバの
イムカプセルのごとく保ち続けてきた。
交流は、17世紀初め、伊達政宗にロー
その一番の理由は長期にわたり経済
マ訪問の命を受け、メキシコ経由で渡
的に低迷していたからだが、医療費や
欧した支倉常長ら慶長遣欧使節団が、
大学までの教育費が無料で、最低限の
首都ハバナに2週間ほど滞在したのが
衣食住にも困らない。日々、海と太陽
最初だという。
のもとで音楽を愛し、ダンスやスポー
今、キューバは世界中から注目を集め
ツに興じる陽気な人々は、あるいは僕
ている。今年4月にアメリカのオバマ大
らよりもずっと豊かなのかもしれない。
統領とキューバのラウル・カストロ国家
かつてサトウキビ貿易で繁栄したトリ
評議会議長の会談が実現し、1961年
ニダーも、キューバの魅力的な古い町
以来閉ざされていた両国の扉が開か
Lemon Yellow
の一つだ。サトウキビ栽培の拠点だっ
れたからだ。アメリカとの国交が完全
たロス・インヘ ニオス渓 谷とともに
に回復してアメリカ資本が入るように
1988年、世界文化遺産に登録されて
なれば、キューバはドラスティックに
いる。18∼19世紀に大規模農園主が
変わるだろう。できればレトロな魅力
Cuba
建てたコロニアル風の瀟洒な邸宅は、
は残しつつ発展していってほしいもの
現在では多くが博物館として利用され
だ。かの国の未来に思いを馳せつつ、
ている。そして周辺には石畳の道沿い
今宵はモヒートで乾杯するとしよう。
in
U.S.A
太陽の色・希望の色
世界の
色図鑑
World color palette
BAHAMAS
ハバナ
地球の歩き方
編集長 植木 孝
CUBA
JAMAICA
国名 : キューバ
首都 : ラ・アバーナ(ハバナ)
面積 : 11万1000km2
人口 : 約1,126万人(2014年:世銀)
言語 : スペイン語
地球の歩き方 ガイドブック
キューバ&カリブの島々
映画のワンシーンのようにコロ
ニアル都市を走るクラッシック・
カー。
革命の地キュー
バは今や、観光立国
として世界に類の無
い魅力的な表情を見 Present
5名さま
せてくれる。
定価 1,944円(税込)
全国書店で発売中
2015 SUMMER
2
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