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【破格の優遇措置~PEZA の魅力~】 フィリピン政府は外国資本の直接

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【破格の優遇措置~PEZA の魅力~】 フィリピン政府は外国資本の直接
【破格の優遇措置~PEZA の魅力~】
フィリピン政府は外国資本の直接投資を推進するという政策を掲げ、外国企業の誘致に積極
的に取り組んでいる。その中核を担うのが PEZA である。PEZA は経済特区を設置し、特区内
の企業に優遇措置を与えている。最も成功した経済特区の1つであるマクタン経済特区を訪問
したので報告する。
1
PEZA とは何か
PEZA とは Philippine Economic Zone Authority(フィリピン経済特区庁)。貿易産業省の法
定機関である。投資推進、雇用創出、輸出増加を目的として、1995年に設置された。20
11年末現在、フィリピン全土には252の経済特区がある。
経済特区内の企業には、法人税の減免※、海外からの機械設備・部品・原材料に対する関税
の免除、不動産取得に関する税金の免除など破格の優遇措置がある。
また、各経済特別区の管理事務所は、建築許可、輸出入許可、従業員及びその家族へのビザ
発給など異なる省庁の管轄する業務についても、経済特区内の企業に対しては広範な権限を持
ち、ワンストップサービスを提供している。さらに管理事務所は企業のために24時間体制で
業務を行うといったノンストップサービスも提供している。
フィリピンの経済特区には、トヨタ、パナソニック、島津製作所など様々な日本企業が進出
している。1995年から2011年までの累計の投資額では、日本が最も大きく、全体の
33.6%を占めている。
※法人税の減免…輸出企業に対して4年間(最長8年間まで)法人税が減免される。
2
視察先からの聴取内容
(1)マクタン経済特区(Mactan Economic Zone)管理事務所
対応者:Mr. Sansaluna A. Pinagayao マクタン経済特区管理長官
Mr. Raymund L. Java マクタン経済特区広報担当
●マクタン経済特区の概要
マクタン経済特区は、全国に252か所ある経済特区の1つ。1979年1月に従前の制度
である輸出推進特区として開設された。セブ国際空港から500メートル、セブ港から14キ
ロメートルと交通の便が非常に良い。現在、150ヘクタール(=東京ディズニーリゾート約
1.5個分の広さ)の面積を持つ。進出企業数は約160あり、約6万人の雇用が創出されて
いる。フィリピンの経済特区の中で最も成功したもの1つと言われている。PENTAX、NEC
など日本の大手企業も進出している。
●質疑応答
Q:経済特区に進出する企業に対して、例えば補助金などを出すなどといった、財政的な支
援は行っているのか?
A:企業に対する財政的な支援は、法人税など税金の減免を中心に行っており、補助金のよ
うな制度は無い。
Q:製品の原材料・部品を海外から輸入する場合でも、関税は免除されるのか?
A:免除される。
Q:この経済特区の敷地が無くなったら、どうするのか?
A:現在、第4区画まで拡張して対応している。今後、さらに周辺地区も開発して拡張して
いく予定である。
(2)フェアチャイルドセミコンダクター(マクタン経済特区内企業)
●フェアチャイルドセミコンダクターの概要
フェアチャイルドセミコンダクターは、アメリカで1955年に設立された半導体の大手メ
ーカー。1980年にこのマクタン経済特区に第1号として進出し、32年が経過した。当社
の広報担当者から、会社の歴史、方針、フィリピンでの生産活動等について説明を受ける。
(3)Treasure Island Industrial Corporation
対応者:Mr. Daniel Ong
代表取締役 CEO
●Treasure Island 社の概要
サンノセ・レコルトス大学の産学連携先の企業の一つ。セブ市内に本社を構え、3つの工場
を持つ。フィリピン国内で売上シェア第4位のペイントメーカー。
主にフィリピン南部のミンダナオ島をマーケットにしている。首都マニラ以外に本社を置く
ペイントメーカーはこの企業のみ。現社長 Daniel 氏の祖父 Siong 氏が1951年に樹脂の会
社を設立したことに始まる。その後、塗料、塗料用の金属缶・プラスチックパッケージ、更に
食料品のパッケージと関連製品や周辺部品へと事業を展開している。
●主な製品
外壁用塗料、家具・皮革製品向けの産業用塗料、自動車用塗料、道路・工場床向けの特殊塗
料、船舶用塗料、食材やお菓子等のパッケージ等
(Ti 社の新製品である食料品関係のパッケージのパンフレット)
●質疑応答
Q: ペイント塗料は海外に輸出しているのか?
A: 現在はフィリピン国内だけである。今後、日本を含めて海外にも進出していきたい
と考えている。
Q:日本製の製造装置はないのか?
A:日本製の製造装置は高価なため、多くは台湾製である。安価なうえに、比較的性能
が良い。
Q:工場の稼働時間は?
A:朝7:00から夜7:00までである。(勤務体制は未詳)
(ペンキ工場のシンボル)
(産業用塗料の製造過程)
(食料品用パッケージの製造)
(4)サンノセ・レコルトス大学(University of San Jose Recoletos)
対応者:Mr. Jonathan P. Capanas
法学部長(弁護士、公認会計士)
Mr. Virgilio Y. Abellana
工学部長
Mr. Teoddie B. Duman
文学部長
●サンノセ・レコルトス大学の概要
サンノセ・レコルトス大学は、スペイン人のアウグスチャアン・レコルトスによって、1947
年に設立されたカトリック系の私立大学である。看護学部、文理学部、教育学部、経営学部、
工学部、情報通信学部など6つの学部を持つ。大学生9000人、大学院生1000人の大規
模な学校である。キャンパスはセブ市内の他、2つのキャンパスを持つ。
常石造船(本社:広島県福山市)がセブ島に造船所があることから、産学連携を進めている
とともに、マクタン経済特区内の企業とも産学連携を進めている。
(ヒアリングの様子)
3
(大学内に飾られた歓迎の幕)
所感
今回の訪問先を通じて、フィリピン人の真摯な向上心を感じることができた。大学側の産学
連携による学生の質的向上を図る姿、経済特区における熱心な企業誘致策、企業における事業
展開など、一生懸命に働く姿を見ることができた。
フィリピンは長期にわたる政情不安のため、外国資本が投資を控えたこともあり、安定的に
経済成長することができなかった。そのため、近年は経済特区庁などを通じて外国資本の導入
を積極的に行い、経済は成長しつつある。(下記参照)
フィリピンは東南アジアの国の中では、英語を公用語とする数少ない国である。最近は英語
が公用語であることを利用して、多国籍企業のコールセンターの誘致に力を入れているとのこ
とである。今後のフィリピンの発展に期待したい。
【参 考】
2006 年
2007 年
2008 年
2009 年
2010 年
1,175
1,440
1,669
1,610
1,887
1,351
1,624
1,845
1,746
2,007
率
5.4
7.3
4.6
1.1
7.6
率
11.0
7.3
7.4
7.5
7.3
474.1
504.6
490.7
383.4
514.3
517.7
555.1
567.4
430.0
547.0
GDP
(億米ドル)
1人当たり GDP
(米ドル)
経
済
成
長
(%)
失
業
(%)
貿易総額
輸出
(億米ドル)
輸入
(億米ドル)
※貿易相手国は日本が輸出(15.2%)、輸入(12.3%)ともに1位
(出典:フィリピン政府統計局)
(マクタン経済特区等訪問時聞き取り等による)
(長濱調査役
埼玉県派遣)
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