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フランス語 - 関西大学

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フランス語 - 関西大学
フランス語
Le français
1.世界の中のフランス
フランス語がフランスの国語であることは皆さんご存じですね。でもフランスという国がヨーロ
ッパ大陸以外にもあることはご存じですか?アメリカ大陸のメキシコ近くの、グアドループ島やマ
ルチニーク島は海外県と言って、フランスの県の一つです。南太平洋にもニューカレドニアなどの
海外領土や植民地があります。1995年(みなさんはまだ小学生)、フランスが南太平洋の一角にあり、
タヒチから1,300kmのモルロア環礁で核実験をしましたが、それは、ここにフランスの植民地があ
るからです。フランスの領土は南米にもあります。ロケットの打ち上げ基地があるクールーは南米
の仏領ギアナです。ちなみに2003年6月2日には日本のBSデジタル用の放送衛星「BSAT─2c」が、
フランス製のアリアンロケットに乗ってこの基地から打ち上げられました。
上の地図のグレー部分の国は「フランス語圏」です。何カ国あるか分かりますか?ベルギー、ス
イス、それにリュクサンブールという小さな国がベルギーとドイツの間にあります。カナダは英語
とフランス語が国語です。アフリカ大陸にもフランスの旧植民地だったアルジェリアやフランスの
保護領であったチュニジア、モロッコを始めフランス語圏の国が沢山あります。アジアにもありま
す。カンボジア、ベトナムは今でもフランス語圏に属し、多くの人がフランス語を話します。この
ようにフランス語はいろいろな国で国語または、公用語として使われています。
グローバル化の流れとインターネットの普及で、英語の重要性が大きくなりましたが、非英語圏
から英語で発信されている情報は、発信者の意図に完全に依存した情報です。現地の言葉でしか提
供されていない資料の中にこそ貴重な情報があるものです。フランス語は世界中のこれほど多くの
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国で使われ、しかもフランスは世界第4位の経済大国であり、原子力、宇宙開発、バイオ、マルチ
メディアなど、多くの分野で世界のリーダーとなっていますから、地域研究や、民俗学、フランス
法、人権問題などに興味がある人には、専門分野の研究が始まった時にフランス語が強い味方にな
ってくれます。
文化の面でもフランス語はもちろん重要なツールです。数年前に「アメリ」が大ヒットしました
が、映画はアメリカについで世界第2位です。文学・芸術の分野では重要な作品がフランス語で書
かれていますが、特に19世紀から20世紀初頭の作品は数え切れない程日本語に翻訳されています。
「レ・ミゼラブル」、「星の王子様」
は有名な作品ですが、ボードレール、アルチュール・ランボー、
カミュ、サルトルなど、なじみ深い名前ではないでしょうか。絵画ではマネ、モネ、ルノアール、
ピサロ、シスレーを中心とする印象派はフランスを舞台に活躍しました。
2.日常生活にあふれるフランス語
フランス語の重要性は書き切れませんが、日常生活の中の身近なフランス語もあります。ワイン、
香 水、 高 級 ブ ラ ン ド は フ ラ ン ス の 得 意 と す る 分 野 で す。Pierre Cardin, Yves Saint-Laurent,
Hermès, Louis Vuitton, Agnès B, Sonia Rikiel、他にもいろいろありますね。パリの名所も良く知
られていて、旅行会社のパンフレットを見るとすぐにみつかります。Tour Eiffel, Invalides, Avenue
des Champs-Elysées, Sacré-Cœur de Montmartre, Louvre, Jardin du Luxembourg, bois de
Boulogne。デパートの近くを通ったら地下に降りてケーキ売り場やハム・ソーセージの売り場に行
ってみましょう。カタカナで書かれている名前の中にフランス語がたくさんあります。次のフラン
ス語の意味が想像できますか? croissant, café au lait, chou à la crème, éclair, gâteau au chocolat,
soufflé, saucisse, pâté, foie gras。このような身近なフランス語は、実際にフランス語を習い始める
と気づくようになり、しかも意味が分かって楽しくなります。たとえばchou à la crèmeのchouは
「キ
ャベツ」で、crèmeは「クリーム」。つまり「クリームの詰まったキャベツ」という名前のお菓子
が「シュークリーム」なのです。
3.フランス語の発音はむずかしい…?
このように世界中で使えて、しかも身近なフランス語は決して難しいことばではありません。な
によりもまず読み方が英語より規則的で楽ですから、短期間で辞書を見ずに正確に読めるようにな
ります。cinéma, mélodie, économieは「シネマ」「メロディ」「エコノミ」と読みます。殆どローマ
字読みですね。aはアと発音し、エやエイと発音することはありません。他の母音字もoはオ、iはイ、
é, èのようにアクセント記号というものがつきますが、いずれもエと読みます。少し複雑な感じが
するのは、母音字が2つ、3つ続いている場合です。eau, auはいずれもオと読みます。ouはいつ
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でもウと読みます。oiはいつでもウヮと読みます。これだけ知っているだけで上の例の、croissant,
saucisse, foie gras, gâteau, chou, souffléが読めるようになりましたね。
4.フランス語のカリキュラム─「使う力を身につける」フランス語教育─
関西大学では「フランス語を実践的に使う力」の養成を目指して、実質重視のフランス語教育を
行っていますが、学部によってカリキュラムは多少変化します。まず、大学で受講できるフランス
語科目を一覧表にしてみましょう。
法・文・経済・商・社会・工学部
基本コース
3年次
コミュニケーション養成コース
フランス語Ⅴ,Ⅵ各a b
総合情報学部
フランス語主選択
フランス語副選択
フランス語Ⅵ各a b
2年次 フランス語Ⅲ, Ⅳ各a b フランス語Ⅲ, Ⅳ各a b フランス語Ⅳ, Ⅴ各a b
フランス語Ⅷa, b
およびフランス語C, D
1年次 フランス語Ⅰ, Ⅱ各a b フランス語Ⅰ, Ⅱ各a b フランス語Ⅰ, Ⅱ,Ⅲ各a b
フランス語Ⅶa, b
およびフランス語A, B
以下、それぞれのコースのカリキュラムと科目の特徴を説明していきます。
4.1. 法・文・経済・商・社会・工学部
■基本コース
ステップ1:基礎養成課程 フランス語Ⅰa, b、フランス語Ⅱa, b
1年次で履修するフランス語Ⅰa, b、フランス語Ⅱa, bは入門課程です。この4つの科目では1
人の教師(一部のクラスでは2人の教師)が同一テキストを使って授業を行います。使用する教材
は実用的な会話や短い文章を中心に文法、語彙を学習するように作られています。理論的な知識を
無理に詰め込むのではなく、
対話練習や具体的な場面でフランス語を使う練習を行うことによって、
言語の仕組みを理解できるようにします。「聞く」「話す」を中心に「読む」「書く」も含めた4技
能をバランスよく習得して、今後のフランス語学習の土台となる基本的運用能力を身につけること
が目標です。
ステップ2:基礎完成課程 フランス語Ⅲa, b、フランス語Ⅳa, b
2年次で履修するフランス語Ⅲa, bとフランス語Ⅳa, bではフランス語の基礎的運用能力を完成
させることを目指します。これらの科目についても、大部分のクラスでは、フランス語Ⅰa, b、フ
ランス語Ⅱa, bの場合と同様に、同一テキストを使って授業が行われます。1年次に引き続き、総
合学習によって4つの技能をバランスよく身につけ実践的なフランス語の力を養成します。「聞く」
「話す」だけでなく、テーマに応じてまとまった文章を読む・書く練習も行います。応用力をつけ
るためにも、文法知識を整理しながら実践的な運用能力をしっかり身につけましょう。語彙や表現
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も増えてきますので、テーマに応じて体系的に整理しながら学習を進めましょう。
フランス語Ⅲa, bとフランス語Ⅳa, bを別々のテキストで学習する場合は、フランス語Ⅲa, bでは
「聞く」
「話す」ことを中心に授業を行います。フランス語Ⅳa, bでは主として、やさしく書き直し
たフランス人作家の作品を読みます。
文を読み取るためには構文を良く理解する必要がありますが、
そのためにはフランス語Ⅰa, b、Ⅱa, bで学んだことを復習しながらたくさん文章を読むことが大
切です。できるだけ予習をして積極的に授業に参加しましょう。
■コミュニケーション能力養成コース
希望者が選択して登録するコースです。2人の教師が協力して授業をするのでタンデム・コミュ
ニケーションクラスと呼ばれています。
基本コースでは各科目を個別に履修することが可能ですが、
このコースでは1年次ではフランス語Ⅰa, bとフランス語Ⅱa, bを、2年次ではフランス語Ⅲa, bと
フランス語Ⅳa, bをセットで履修します。
基本コースと同じく、1年目でコミュニケーション能力の土台を作り、2年間で基本的コミュニ
ケーション能力をしっかりと身に着けることを目標とします。授業はフランス人教師と日本人教師
がペアになり、協力して発信型の対話授業を行います。使用する教材は会話や短い文章を中心に構
成されており、モデルに倣ってフランス語を使うことによって文法や語彙が学習できるように作ら
れています。授業ではテキストの他にビデオなどの視聴覚資料を使うこともあります。できるだけ
日本語に置き換えずにフランス語を理解し、話す練習と書く練習を積み重ねていきます。
2年目が終わるころには、日常的な内容についてフランス語で的確に受け答えをする、目的に従っ
て文章から必要な情報を読み取る、テーマに沿って簡潔な文章を書く、などの基本的なことがらが
フランス語で行えるようになります。是非、1年次からフランス語があふれる環境に浸かってみて
ください。
尚、このコースでは1,2年次ともに筆記試験と口頭試験が行われます。
■フランス語Ⅴa, b、フランス語Ⅵa, b さらにフランス語の力を伸ばしたい人へ
2年間で身につけたフランス語の運用能力をグレードアップしたい人はフランス語Ⅴa, bとフラ
ンス語Ⅵa, bも受講しましょう。この2科目は基本コース、コミュニケーション能力養成コースど
ちらのコースを選択した人も受けることが出来ます。これらの授業では少々複雑な構文や文法を学
習して、ディスカッションをしたり、長い文章を読んで情報収集できるようにします。中・上級の
フランス語ともいうべきこれらの科目を受講するころには、フランス語の上達を実感することでし
ょう。フランス語検定3級はもちろんのこと、頑張れば2級にチャレンジできる人もいるはずです。
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4.2. 総合情報学部
総合情報学部では、フランス語を主選択にするか副選択にするかにより授業の内容が変わります。
■フランス語を主選択にする場合
1年次はフランス語Ⅰa, b, Ⅱa, b, Ⅲa, bを履修します。Ⅰa, bをフランス人教師、Ⅱa, bとⅢa, b
を日本人教師が担当します。コミュニケーション養成コースと同様に、3人の教師が協力して、フ
ランス語の運用能力を身につけるための対話型授業を行います。週3回の授業で練習も十分に行え
るので、無理なく「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能が習得できます。
2年次はフランス語Ⅳa, b, Ⅴa, bを履修します。フランス人教師と日本人教師がペアで授業を行
います。1年次に引き続き、総合学習によって、基本的コミュニケーションに必要な4技能を養成
していきます。2年次が終わるころには、日常的なことはフランス語で受け答えが出来、自分につ
いて短い文章を書く、目的に応じて文章から必要な情報を読み取るなどの能力が身につけられます。
頑張り方しだいでは、3年次のフランス語Ⅵa, bを履修するころには、フランス語で本物の資料を
読んだり、聞いたりすることも可能になります。是非、仏検3級のチャレンジをめざしましょう。
■フランス語を副選択にする場合
フランス語Ⅶa, bではフランス語の基礎を端的に学び、フランス語Ⅷa, bはその発展として、平
易で実践的なフランス語を学びます。さらに上のフランス語を学びたい人には、自由科目としてフ
ランス語A,B,C,Dが用意されています。担当はいずれも日本人教師です。
5.授業以外でも勉強するには
まずは授業を最大限活用し、さらにはいろいろな機会をとらえて、さまざまな方法で主体的に学
習する姿勢は、なにを学ぶにも大切なことです。フランス語に接する機会を増やすために、大学内
外でフランス語学習をサポートする方法をいくつかご紹介しましょう。
■テープライブラリー
第1学舎3号館4階と第2学舎1号館にあるテープライブラリーコーナーでは、授業で使用して
いるテキストの録音テープ・CDや他の教材用のCDやビデオを利用することができます。CD付の
やさしい読み物や映画のビデオ・DVDも豊富にあります。
■NHKテレビ・ラジオのフランス語講座
ラジオでは月曜日から土曜日まで毎日、テレビでは月曜日と木曜日にフランス語講座を視聴する
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ことができます。特にフランスの文化を知るためにはテレビのフランス語会話がお勧めです。上記
のテープライブラリーにはラジオフランス語講座の月刊テキストと録音が揃っています。
■留学
フランス語がかなり上達した人は協定校であるパリ第3大学に留学することもできます。詳細は
国際交流センターに問い合わせてください。
6.辞書について
仏和辞典は絶対に必要です。大小とりまぜて、かなりの数が出版されていますが、あまり規模の
小さいものは選ばないようにしてください。リストをあげておきますが、実際に購入するのは授業
で担当者の説明と指示を聞いてからにしましょう。
■仏和辞典
初級から中・上級まで使えるもの
①『新スタンダード仏和辞典』(大修館書店) ②『ロワイヤル仏和中辞典』(旺文社)
初級向き
①『新コンサイス仏和辞典』(三省堂)
②『クラウン仏和辞典』(CD付)(三省堂)
③『プチ・ロワイヤル仏和辞典』(旺文社)
④『Le Dico-現代フランス語辞典』(白水社)
⑤『ジュネス仏和辞典』(大修館書店)
⑥『プログレッシブ仏和辞典』(小学館)
■和仏辞典
①『コンコルド和仏辞典』(白水社)
②『コンサイス和仏辞典』(三省堂)
③『プチ・ロワイヤル和仏辞典』(旺文社)
④『スタンダード和佛辞典』(大修館書店)
■電子辞書
最近はいろいろな電子辞書が出回っています。電子辞書には国語辞典、英和・和英辞典などが収
録されているので、複数の言語を学ぶには便利です。フランス語が収録されているものには次のよ
うなものがあります。
①CASIO EX─word XD-R7200(クラウン仏和辞典とコンサイス和仏辞典収録)
②CASIO EX─word XD-L7250(クラウン仏和辞典とコンサイス和仏辞典収録、音声付)
③SEIKO IC Dictionary SR-T5020フルコンテンツ電子辞書
④SHARP e dictionary PW-U5000(プティロワイヤル仏和・和仏カード別売り、音声付)
7.参考書その他
授業ではフランス語だけで書かれた教科書を使うことが多いので、日本語の参考書や文法書がほ
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しくなるかもしれません。そういう方のために、以下の参考書をお勧めします。タイプは違います
が、いずれも代表的なものです。
①曽我祐典他著『コレクション フランス語[1]─入門』
『コレクション フランス語[3]─文法』(共に白水社)
②京都大学フランス語教室著『実践フランス語教程』(白水社)
③小林正『テーブル式 基礎フランス語便覧』(評論社)
フランスについて興味のある人には、以下の読み物が参考になるでしょう。
①小林義彦著『フランス学入門』『フランスの知恵と発想』(白水社)
②河村雅隆著『フランスという幻想 ∼共和国の名の下に∼』(ブロンズ新社)
③日本フランス語教育学会編『フランス語で広がる世界』(駿河台出版社)
おわりに……
外国語を学ぶことによって視野が広がり、さまざまな角度からものごとを考えるヒントを得るこ
とができます。フランス語学習もきっと皆さんの世界を広げてくれるはずです。
では最後にフランス語の挨拶を覚えましょう。昼間ならbonjourボンジュール、夕方ならbonsoirボ
ンソワール、そして別れる時にはau revoirオルヴォワールですが、みなさんに教室でお会いする
ことを期待して、à bientôtアビエント。
(文責:菊地歌子・平嶋一美)
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