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【外国語・文化】 伊藤 洋司 ゼミ
【外国語・文化】 伊藤 洋司 ゼミ 演習テーマ : 映画論 <活動内容> 映画史及び映画美学を研究する。映画を愛することとは何かを知るための思考のレッスン。外国語(フランス語)ゼミ の枠内でのゼミであるので、フランス語(あるいは別の外国語)の学習に意欲的なことを前提とする。外国語の資料や 論文を自在に活用できるように、頑張ってほしい。 映画誕生期の短篇から最新の劇場公開作まで、ジャンル、国籍を問わずあらゆる映画作品が研究対象となる。映画 が好きで、様々な映画を日常的に観る習慣がある、あるいはそれを身につける覚悟のある学生でなければならない。 スティーヴン・スピルバーグの映画では、何故いつも親子は離れ離れになるのだろうか。クリント・イーストウッドの映 画では、何故人はしばしば体に傷があり、狭い空間に閉じ込められるのだろうか。小津安二郎の映画における食欲と性 欲の関係はいかなるものだろうか。映画では何故重要な場面でしばしば雨が降っているのだろうか。こうした問いかけ が、映画についての思考の出発点となるだろう。 フランス語学習者に対しては、希望があれば、サブゼミなどの時間を設けてフランス語の指導を行いたいと考えてい る。 <ゼミ紹介> かつてパリに住んでいた頃、チュイルリー公園のベンチに座り、散歩する人々の姿を眺めながら、昨晩シネマテー クで観た映画を思い返すことが、私にはよくありました。当時、シネマテーク・フランセ-ズはパリに二つ小屋をもち、シ ャイヨー宮の小屋で観た後は、私はライトアップされて夜空に光るエッフェル塔を眺めながら、少し優雅な気持ちでアパ ルトマンに帰りました。一方、かなりいかがわしい地区にあるグラン・ブールヴァールの小屋で観た後は、ドラッグでラリ ッた男たちが絡んでくるのを避けつつ、映画の興奮で少し浮き足立ちながら家路を急いでいました。6年半のパリ留学 はとても長く、チュイルリー公園の池で遊ぶ鴨の親子を眺めていると、いつか日本に帰る日が本当に来るのか、それと もこのまま一生フランスに住み続けるのか、自分でもよく分からなくなってくるのでした。そしていま、生まれ育った東京 に帰ってきた私は中央大学の教師となり、海外生活で得た何かを必死に若い学生たちに伝えようとしています。「伝え る」という言葉の裏には、どこか学生より上に立っている気持ちがあるのではないかと問いながら。 マイナーなゼミですが、映画を愛するとは、映画について考えるとはいかなることか、一緒に探していきましょう。